従業員 のコ ーピ ングに職場のソ ーシャルサポート が
与え る影響につ いて
臨 床こ 理 学 専 修 P06603 加 藤 純 子 ( 指 導 教 員 森 下 高 治 教 授 ・ 神 澤 創 教 授)問 題 と 目 的
わが 国 の 産業 構 造 の変 化 は 急 速 に 進 展 し 、 雇 用 環 境 は 労 働 者 に負 荷 を与 え る も の と な っ て い る。 そ の 結 果 、 強い ス ト レ スや 不 安 を 感 じ てい る 労 働 者 が 急 増 し て い る。 厚 生 労 働省 が5 年 ご と に 労 働 者 を 対 象 に 行 っ て い る 労 働 者 健 康 状 況 調 査 の中 で 匚仕 事 や 職 業 生 活 で の 強 い 不 安 や 、 悩 み、 ス ト レ スあ り 」 と回 答 し た も の は61. 5% (2002 年 ) で あ り 、 そ の 職場 スト レ スの 内 容 と し て は 匚職 場 で の人 間 関 係 」 (35. 1%) が 最 も高 か っ た こ と か ら 、 今 回 の 研 究 で は 匚職場 で の人 間関 係 」を 取 り上 げ ソ ー シ ャ ル ・ サ ポ ート ( 以 下 サ ポ ート と 略 記 ) と い う 視点 で 捉 え る。 ま た、 サ ポ ート に は コ ー ピ ン グ の 実 行 を 規 定 す る 要 因 と し て の役 割 が 指 摘 さ れ て い る こ と か ら、 サ ポ ート と コ ー ピ ン グ の関 係 を検 討 し た い と考 え る。 従来 、 コ ーピ ン グ の 効 果 に 与 え る 影 響 につ い て、 職 場 で の サ ポ ー ト を 会 社 内 サ ポ ー ト と 一 括 り に し た も の や 、 職 場 で の サ ポ ー ト の1 つ であ る 同 僚 サ ポ ー ト に つ い て 有 用 な結 果 が 示 さ れ た もの はあ る が、 上司 サ ポ ート につ い て 有 用 な 示 唆 が 得 ら れ て い る もの は見 当 た ら ない 。 職 場 の 心 の健 康づ く り を 推 進 す る に 際 し て は、 管 理 監 督 者 教育 が 不 可 欠 で あ る と言 −55 わ れ て い る( 廣 ・ 森 ・ 鈴 木 ・ 小 林 ・ 深 潭 ・ 田 中 ・ 木 村 、2000) こ と か ら、 職 場 サ ポ ー ト と し て 上 司 サ ポ ート の 働 き につ い て 検 討 す るこ と も不 可 欠 で あ る た め 、 サ ポ ー ト 源 を 上 司 サ ポ ート と同 僚 サ ポ ート に区 分 し て 研 究 を 進 め るこ と と す る。手 続 き
対 象 A 県 3 市 町 の 職 員1678 名 ( 男 性734 名 、 女 性944 名 、有 効 回 答 率81.7%) で あ る。 200 7年 3 月15 ∼20 囗 ( 2 市 町 ) と 7 月23 ∼30 囗( 1 市 町 ) に か け て 職 場 に て 調 査 を 実 施 し た 。 平 均 年 齢 は42.96歳 で あ り 、 職 種 は 事 務 職 が43% 、 病 院 看 護 師 が12% 、 保 育 士 がn% を占 め た。 調 査票 スト レ ッ サ ー、 ス ト レ ス反 応 、 コ ー ピ ン ク、 サ ポ ート 、 ソ ー シ ャル ス キ ルを 問 う独 自 の 質 問 紙 を 用 い た。 回 答 形 式 は ソ ー シ ャル ス キ ルが 5件 法、 そ の 他 は4 件 法 を 用 い た。 分 析 方 法 [ 研 究 1]サ ポ ート 、 コ ー ピ ング の カ テ ゴ リ ー に よ る 分 析 サ ポ ート 尺 度 を 上司 ・ 同 僚別 に、 先 行 研 究( 福 岡 、2000)に も と づ い て ク ラ ス タ ー 分 析 を 行 っ た。 ま た、 コ ーピ ン グ 尺度 につ い て 確 認 的 因 子 分 析 を 行 っ た。[研 究 2]コ ーピ ン グ に サ ポ ート が 与 え て い る 影 響 研 究1 の 分 析 に 続 き 、 上 司 と 同 僚 サ ポ ー ト の 各 種 類 別 に下 位 尺 度 得 点 を 算 出 し そ の得点 を33 %・66 % タイ ルで 分 け、 サ ポー ト の 程 度 を 高 群 ・ 中 群 ・ 低 群 に 分 類 し た。 コ ー ピ ン グ は、 分 類 別 平 均 値 か ら コ ー ピ ン グ の 程 度 を 高 群 ・ 低 群 に 分 類 し た。 次 に、 分類 別 の サ ポ ート (高 群 ・ 中 群 ・ 低 群 ) と 分類 別 の コ ー ピ ン グ ( 高 群 ・ 低 群 ) を 独立 変 数 、 スト レ ス反 応 得点 を 従 属 変 数 と し た 2要 因 6 水準 の 分 散 分 析 を 行 っ た。
結 果
[研 究 1]サ ポ ート につ い て は 、 先 行 研 究 に 殼 も近 い 分 類 と し てTablel の 分 類 が 得 ら れ た た め、 先 行 研 究 に準 じ て そ れ ぞ れ の因 子 に 対 し て 命 名 し た。 Tablel ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト 分 類 と 因 子 名 上 司 同 僚 質 問No. 因 子 質 問No. 因子 1 助 言 吋 目談 5 慰 め ・励 ま し 3 6 2 4 5 慰 め ・ 励 ま し 1 助 言 吋 目談 6 3 4 2 9 手伝 い 7 道 具 ・ 行 動 7 道 具 ・ 行 動 10 8 8 10 9 手 伝 い コ ー ピ ン グに つ い て 本 研 究 で 抽 出 し た因 子 は先 行 研 究 と 類 似 し た も の で あ っ た た め、 各 因 子 は 先 行 研 究 に も とづ き 解 釈 さ れ、 第 1因 子 は対 人 関 係 コ ー ピ ン グ の 匚共 感 的 対 人 コ ー ピ ング 」、 第 H 因 子 は 先 行 研究 ( 尾 関 、1993) に て問 題 焦 点 と 情 動 焦点 コ ーピ ン グ に分 類 さ れ てい た 因 子 で あ る が、 自 ら 積 極 的 に スト レ ス に対 処 し よ う と い っ た共 通点 が 考 え ら れ る こ と か ら 匚積 極 的 コ ー ピ ン グ 」、 第 m 因 子 は 消 極 的 コ ー ピ ング の1 つ で あ る 匚回 避 ・ 逃 避 コ ーピ ン グ」 と 命 名 し た (Table2 )。 Table2 コ ー ピ ン グ 尺 度 の 因 子 分 析 結 果 罔 佃手のことを理解しようとした 0.91 -o、02 -o、03 コ) 佃手がどのように感じている力題解しようとした 0.89 -o、02 -o、 肘 21) 佃手の話に耳剖 頃けることで、佃手の役に立とうとした 0.83 0、 肌 o、01 ㈲ 佃手のために何力覗 立つことをしようとした 0.82 0、 叫 -o、01 ㈲ 佃手の視点に立って、物事を兄よ うとした 0.79 0、02 0、00 20) 佃手匹 分か良くなるように匹 だ 0.74 0、 叫 o、03 2) 問題の原因を 兄つけようとする o、00 0.76 -o、M 1) 硯在の状況を変えるよう努力する o、00 0.75 -o、19 5) 物事の明るい而を 兄ようとする o、12 0.54 0、 口 め 自分で自分を励ます o、09 0.9 0、15 3) 自分のお力れ烈 火況を人に問いて もらう -o、08 0.45 0、M 6) 今の継嫐 はためになると思うことにする o、18 0.45 0、 コ 8) 片刀すぎるのにまか仕る -o、03 -o、02 0.86 9) こんな事もあると思ってあきらめる o、03 0、00 0.74 7) なるようになれと思う -o、01 0、10 0.67 因了一寄与 36、05 12、19 8、03 因了寄与率(%) 36、05 倣 乙 56、27 因了一問佃 関 I H m I − H o、肌 − Ⅲ o、15 0、13 − [ 研 究 2]上司 サ ポ ート と コ ー ピ ン グに つ いて は、 分 析 の 結 果 交 互 作 用 は認 め ら れな か っ たが 、 全 て の 組 合 せ につ い て 上司 サ ポ ート の主 効果 が認 めら れ た. 同 僚 サ ポ ートと コ ー ピ ン クに つ い て は、 分 析 の 結 果、「 ポ ジテ ィ ブ関 係 コ ー ピ ン グ* 助 言 ・ 相 談 サ ポ ート」 (F (2,1669) =3.89、p <.05) と「 ポ ジ テ ィ ブ 関係 コ ー ピ ン グ* 慰 め・ 励 ま し サ ポ ート」 (F (2,1669) =3.61、p <.05)、「 ポ ジ テ ィ ブ 関 係 コ ー ピ ン グ* 手 伝 い サ ポ ート」(F (2,166 9) =3.13、p <.05)、「 回 避 ・ 逃 避 コ ー ピ ン グ * 道 具 ・ 行 動 サ ポ ー ト」(F (2,1668) =3.17、 p <.05) の 4つ に つ い て 有 意 な 交 互 作 用 が 認 め ら れ た.考 察
上 司 サ ポ ー ト が コ ー ピ ン グ の 効 果 ( スト レ ス反 応 ) に与 え る影 響 は 認 め ら れ なか った が 、 上 司 サ ポ ー ト の 主 効 果 は全 て の 分 析 で 認 め ら −56れ た こ と か ら 、 ど の 種類 の コ ーピ ン グが 実 行 さ れ る か に 関 わ らず 、 な ん ら か の 上 司 サ ポ ー ト か お る と い う 知 覚 が高 い ほど 、 スト レ ス反 応 は 減 少 す る 、 とい え る。 上 司 サ ポ ート が 得 ら れ る で あ ろ う とい う 期 待 は 、 普 段 の職 場 状 況 や 職 場 上 司 と の関 係 か ら 認 識 さ れて い く 期 待 と 考 え ら れる た め、 職 場 の 管 理 監 督 者 は サ ポ ー ト の 得 ら れ やす い 環 境 づ く り を 工 夫 し て い く必 要 が あ る と考 え ら れ る。 一 方 、 同 僚 サ ポ ー ト に つ い て は仮 説 に 即 し て 、 サ ポ ー ト の 種 類 に よ り コ ー ピ ン グ に与 え る 影 響 が 異 な る 可 能 性 か お る と い え る。 ポ ジテ ィブ 関 係 コ ー ピ ン グ に 影 響 を 与 え る助 言 ・ 相 談 、 慰 め ・ 励 ま し、 手 伝 い サ ポ ー ト は、 道 具 ・ 行 動 サ ポ ー 囗 こ比 べ て 、 相 手 を 思 い や る 気 持 ち の表 れ や す い サ ポ ート と も考 え ら れ る こ と か ら、 人 と の関 係 を良 い状 態 に保 つ 対 処 を し てい く に は、 職 場 の 人 的 環 境 の良 さ、 つ ま り 雰 囲 気 の良 さ が 影 響を 与 え る と も考え ら れ る。 また、 回 避 ・ 逃 避 コ ーピ ン グ に影 響 を 与 え る 道 具 ・ 行 動 サ ポ ー ト に 関 す る 今 回 の 結 果 は 、 サ ポ ート 互 恵 性 の面 か ら も妥 当 で あ る と考 え ら れ る。 −57 引 用 文 献
Lazarus RS & Folkman S (1984):Stress, appraisal and coping. Springer. 本 明 寛 ほ か 監 訳(1990): ス ト レ ス の科 学:認 知 的 評 価 と 対 処 の研 究 実 務 教 育 出 版 尾 関 友 佳 子(1993): 大 学 生 用 ス ト レ ス 自 己 評 価 尺 度 の 改 定:ト ラ ン ス ア ク シ ョ ナ ル な 分 析 に 向 け て 久 留 米 大 学 大 学 院 比 較 文 化 研 究 科 年 報, 1, 95-114. 福 岡 欣 治(2000): ソ ー シ ャ ル サ ポ ート 内 容 お よ び サ ポ ート 源 の 分 類 に つ い て .日 本 心 理 学 会 第 64 回 大 会 発 表 論 文 集, 144. 鈴 木 伸 一 ほ か(1997): 新 し い 心 理 的 ス ト レ ス 反 応 尺 度(SRS-18) の 開 発 と 信 頼 吐・ 妥 当 性 の 検 討 . 行 動 医 学 研 究 ,4,22-29. Key Words: ソ ー シ ャル ・ サポ ート、 コ ーピ ン グ スト レ ス反 応 、 職 場 スト レ ス