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Rho-kinase limits BMP-4-stimulated osteocalcin synthesis in osteoblasts : regulation of the p38 MAP kinase pathway(骨芽細胞において、Rho-kinaseはBMP-4刺激によるオステオカルシンの産生をp38 MAP kinaseを制御して抑制する)<内容の要旨及び審査結果の要旨>

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Academic year: 2021

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(1)

Nagoya City University Academic Repository

学 位 の 種 類 博士 (医学)

学 位 記 番 号 第 1034 号

氏 名 近藤 章

授 与 年 月 日 平成 26 年 3 月 25 日

学位論文の題名

Rho-kinase limits BMP-4-stimulated osteocalcin synthesis in osteoblasts:

regulation of the p38 MAP kinase pathway

(骨芽細胞において、Rho-kinase は BMP-4 刺激によるオステオカルシンの 産生を p38 MAP kinase を制御して抑制する)

Life Sciences. 96: 18-25: 2014

論文審査担当者 主査: 中西 真

(2)

論 文 内 容 の 要 旨 参考論文の内容も関連のある研究のため一部加えさせていただきました。 [背景]

骨代謝は骨芽細胞が担う骨形成と破骨細胞が担う骨吸収により制御されている。また、骨芽細 胞がreceptor activator of nuclear factor B ligand (RANKL) を介して破骨細胞の分化を調節し、 骨吸収も制御していることが明らかとなってきた。私共の研究室では骨芽細胞の、種々の生理活 性物質の刺激による骨吸収因子であるインターロイキン 6、血管新生を担う成長因子である vascular endothelial growth factor (VEGF)、骨形成調節因子であるオステオカルシンの産生機 序を明らかにしてきた。

オステオカルシンは成熟した骨芽細胞のみに特異的に産生される物質であり、石灰化等の骨芽 細胞の分化の調節因子としての役割を担っている。また、オステオカルシンがエネルギー代謝に 作用するホルモンである可能性も報告されている。Rho は低分子量 GTP 結合タンパク質の一つ であり、Rho-kinase は Rho のエフェクター分子の一つである。Rho-kinase は、血管平滑筋細胞 の 収 縮 の み な ら ず 、 種 々 の 細 胞 機 能 を 制 御 し て い る こ と が 明 ら か に さ れ て き た 。Bone morphogenetic protein (BMP) は膜受容体を介して作用しており、骨代謝に重要な役割を果た していることが知られている。甲状腺ホルモンは主に核内受容体を介して作用しており、骨形成 と骨吸収の両者を刺激することが知られている。私共の研究室では既に骨芽細胞においてBMP-4 がp38 mitogen-activated protein (MAP) kinase を介して促進的に、一方、p44/p42 MAP kinase を介して抑制的にオステオカルシンの産生を制御していることを報告している。また、甲状腺ホ ルモンもp38 MAP kinase を介して促進的にオステオカルシンの産生を刺激していることを報告 している。 [目的] 骨芽細胞において、BMP-4 及び甲状腺ホルモン刺激によるオステオカルシン産生に対する Rho-kinase の役割を明らかにすること。 [方法] 新生マウス頭蓋冠より分離株化された骨芽細胞様MC3T3-E1 細胞を 10%牛胎仔血清を含むα -MEM 培地で 5 日間培養した後、牛胎仔血清を 0.3%とし、48 時間後に実験に供した。細胞を Rho-kinase の阻害剤である Y27632 及び fasudil で前処置した後に BMP-4、甲状腺ホルモンで刺 激し、上清中のオステオカルシンおよびオステオカルシン mRNA 量を測定した。また、

Rho-siRNA を使用して Rho を knockdown した細胞において、BMP-4 及び甲状腺ホルモン刺激 による上清中のオステオカルシン量を測定した。さらに、Rho-kinase の substrate である MYPT、 p38 MAP kinase、p44/p42 MAP kinase 及び SMAD のリン酸化を Western blot 法にて解析した。 [結果]

Y27632 及び fasudil は、BMP-4、甲状腺ホルモン刺激によるオステオカルシンの遊離、オステ オカルシン mRNA 発現レベルを著明に増加させた。Rho-siRNA で処理した細胞においても、 BMP-4、甲状腺ホルモン刺激によるオステオカルシン産生は著明に増加した。また、BMP-4、甲 状腺ホルモンはMYPT をリン酸化し、Y27632 及び fasudil はそのリン酸化を抑制した。Y27632 及びfasudil は BMP-4 刺激による SMAD 及び p44/p42 MAP kinase のリン酸化には何ら影響を 及ぼさず、p38 MAP kinase のリン酸化を増強した。

[考察]

以上の結果より、骨芽細胞において、膜受容体を介して作用している BMP-4 及び主に核内受容 体 を 介 し て 作 用 し て い る 甲 状 腺 ホ ル モ ン 両 者 が Rho-kinase を活性化する こと及びその

(3)

Rho-kinase は BMP-4、甲状腺ホルモンによるオステオカルシン産生を抑制的に制御しているこ とが示唆された。さらに、BMP-4 刺激によるオステオカルシン産生においては、Rho-kinase が p38 MAP kinase を阻害し、その産生を抑制することが示唆された。既に Rho-kinase 阻害剤はく も膜下出血後の血管攣縮予防に臨床応用されており、今回の結果から骨粗鬆症など骨代謝疾患に 対しても、Rho-kinase を標的とした新たな治療に資する可能性が示唆された。

(4)

論文審査の結果の要旨

参考論文の内容も関連のある研究のため加えて報告した。本研究は骨芽細胞において、膜受容 体を介して作用する Bone morphogenetic protein-4(BMP-4)及び核内受容体を介して作用する甲 状腺ホルモンによるオステオカルシン産生に対する Rho-kinase の役割を検討したものである。 本論文著者らの研究室では既に骨芽細胞において BMP-4 が p38 mitogen-activated protein (MAP) kinase を介して促進的に、p44/p42 MAP kinase を介して抑制的にオステオカルシンの産 生を制御していることを報告している。近年、Rho-kinase と骨代謝が関連しているという報告 がなされており、本論文は骨芽細胞における Rho-kinase の役割に着目したものである。 [方法]骨芽細胞様 MC3T3-E1 細胞を用いた。細胞を Rho-kinase 阻害剤で前処置した後に BMP-4 及び甲状腺ホルモンで刺激し、オステオカルシンの遊離を ELISA 法にて、mRNA 発現レベルを RT-PCR 法にて測定した。また、Rho A を knockdown した細胞を作成し、BMP-4 及び甲状腺ホルモ ン刺激によるオステオカルシンの遊離を ELISA 法にて測定した。さらに、オステオカルシン産 生に係わる細胞内シグナル伝達と Rho-kinase の関係を Western blot 法にて解析した。

[結果]BMP-4、甲状腺ホルモンは Rho-kinase の substrate である MYPT-1 をリン酸化した。Rho-kinase 阻害剤は、BMP-4、甲状腺ホルモン刺激によるオステオカルシンの遊離、mRNA 発現レベ ルを著明に増強させた。Rho A を knockdown した細胞においても、BMP-4、甲状腺ホルモン刺激 によるオステオカルシン遊離は著明に増強した。Rho-kinase 阻害剤は BMP-4 刺激による SMAD1 及び p44/p42 MAP kinase のリン酸化には何ら影響を及ぼさなかったが、一方、p38 MAP kinase のリン酸化を増強した。

[考察]以上の結果より、骨芽細胞において、膜受容体を介して作用している BMP-4 及び主に核 内受容体を介して作用している甲状腺ホルモン両者が Rho-kinase を活性化すること及び活性化 された Rho-kinase は BMP-4、甲状腺ホルモンによるオステオカルシン産生を抑制的に制御して いることが示唆された。さらに、BMP-4 刺激によるオステオカルシン産生においては、Rho-kinase が p38 MAP 刺激によるオステオカルシン産生においては、Rho-kinase の活性化を阻害し、その産生を抑制することが示唆された。既に Rho-kinase 阻害剤はくも膜下出血後の脳血管攣縮予防に臨床応用されており、今回の結果から 骨粗鬆症など骨代謝疾患に対しても、Rho-kinase を標的とした新たな治療に資する可能性が示 唆された。

[審査内容]主査の中西教授より、骨機能に関与する3種の細胞はどのように相互に働いている のか、Rho-kinase が p38 MAP kinase をどのように抑制しているのか等 10 項目、第一副査の岡 本教授より、Rho-kinase 阻害剤の特異性はどの程度か、オステオカルシンの機能の詳細につい て等 10 項目、第二副査の大塚教授より、電気、超音波刺激による骨への影響について、骨粗鬆 症の最新治療や将来への展望について等 3 項目の質問があった。これらの質問に対して、申請 者から適切な回答が得られ、学位論文の内容を十分に理解しており、また大学院修了者として の学力を備えていると判断した。 本研究は Rho-kinase の骨代謝における生理的役割の一端を明らかとする重要な研究であり高く 評価される。よって、本論文著者は、博士(医学)の学位を授与するに値するものと判定し た。 論文審査担当者 主査 中西 真 副査 岡本 尚、 大塚隆信

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