日本語学習者の「の」の過剰使用にみられる言語処理のストラテジー
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(2) おいても、. あ. る種類の動詞の 正用率が高い 理由として、 例えば「似ている」. という表現は 最初から「テイル」の 形でしか覚えていないことが おり、. る特定の語とティルがかたまりとして. あ. (許 t997;. れている. 挙げられて. 処理されている 可能,注が示さ. 菅谷 2002L 。 M Ⅲ er (1957) は 、 「かたまり」は 言語の自動. 化や流暢さを 達成するための 基礎となるプロセスであ り、 長期記憶. (long-. termstorage) に連結するものであ ると説明しており、 学習者がこのような 言語処理のストラテジ ーを 用いることは、 目標言語の使用過程の 負担を軽減 し、 コミュニケーションを 最大にするために 当然のことであ. る. (. ㎝ i5 994) Ⅰ. と 考えられる。. しかしながら、 このような学習者の 言語処理のストラテジ ーが 誤用を生み 出すこともあ る。 迫田 (2001) は学習者の誤りに 場所を表す格助詞「に」、 と 「で」が多 い ことを取り上げ、 その理由として 学習者が「位置を 示す名詞 (例 : 中. 前 ) 十に」「地名や 建物を示す名詞 (例 : 東京・食堂 ) 十で」でか たまりを形成し、 後続の動詞を 考慮することなく 助詞を選択した 結果、 誤用 ・. を 産出することを. 示した (2) 。 また寒村・迫田 (2001) は「じゃない」全体を. 否定 辞と 捉え、 否定を表す際に 、 ィ 形容詞や動詞にまで 付加するために「 楽しいじゃない」という 誤用を生み出すことを 示している (3)0. 求. 本稿は日本語学習者の 誤りによくみられる「の」の 過剰使用 (例 : * 母が 作った史料理、 球外国語を学ぶ 四 ために ) をとりあ げ、 その要因のひとつと して、 このような学習者のかたまりで 捉える言語処理のストラテジ ーが 関与 している可能,性が 高 い ことを検証するものであ る。 また、 それが知識レベル で 関与しているのか、. 運用レベルで 関与しているのかについても 検討したい。. 1. 第二言語習得過程における「の」の 過剰使用 これまで、 第二言語としての 日本語の習得過程における「の」の. 過剰使用. に関する研究は、 白畑 (1993a;1993b;1994) 、 迫田 (1999)、 奥野 (2001;2003) において行われてきた。 古畑 (1993a; 1993b; 1994) は、 韓国語を母語とする 幼児 1 名 ーシアの成人各. 1 名の日本語学習者を. 対象として、 其々来日. 3. と タ イと. マレ. ケ 月目から 11 ケ. 、 来日時から 18 ケ 月の縦断研究を 行った。 その結果、 この 3 名の名詞句の 習得過程において、 母語で「の」に 相当するマーカーを 必要としない 箇所に 月. おいても「の」の 過剰使用が観察されたことから、 「の」の過剰使用は 日本. 一 48 一.
(3) 語の名詞句の 習得過程における 共通した発達段階であ ると結論づけた。 迫田 (1999) は、 成人の英語・ 中国語・韓国語を 母語とする日本語学習者 60 名分の発話資料 (4)を分析した結果、 中級ではどの 母語話者にも「の」の 過剰使用がみられるが、 上級では他の 母語話者に比べて 中国語母語話者に 「の」の過剰使用による 誤用が多く、 超級ではどの 母語話者にも 誤用が見ら れないことを 報 古し、 レベルによって 母語による違いが 存在することを 示し た。 更に全体的な「の」の 過剰使用例の 傾向から、 用 が多いことを 指摘した。 そして、 例えば「 と 」のような誤用は. 、 「もの・こと」などを. ホ. あ. る名詞句パターンで 誤. 売れるのもの」「 求 好きのこ. 回・目のように. l. ひとつのフレーズとして 覚えているために 起こるのではないかと 述べてい. る。 つまり、 「家族のこと」「世界のもの」と. 同様に、 形容詞や動詞によって. 名詞を修飾する 場合にも「の」を 付随した形で 用いるために「 ホ 楽しいのこ と 」「水明るいのもの」という「の」の. 過剰使用による 誤用を生み出すので. はないかと考えた。 奥野 (2001) は、 初級から上級を 含む 20 名分の、 日本語コースの 開始時と 終了時という 2 時点で得られた、 縦断的な発話資料を 分析し、 迫田 (1999) の横断的発話資料の 結果と比較した。 その結果、 初級から中級に 進むと、 母 話 にかかわらず「の」の 過剰使用が出現するが、 上級では他の 母語話者と比 べて中国語母語話者に 多くみられ、 しかも複数の 品詞に広範囲に 誤用が観察 されることから、 言語転移が関与している 可能,性を示した。また、 迫田. (1999) の「のこと」「のほう」などをかたまりで 用いているのではないかと いう仮説を追究するため、 個人内の使用名詞句において、 わらず、. あ. 正月・誤用にかか. る特定の語を 用いているかどうかを 分析、 検討した。 その結果、. 個人内において、. ある語. と「の」が分析されずに、 定式化して使用されてい. る傾向が観察された (具体例は次頁の (1)-(4) を参照 ) 。 更に奥野 (2003) では、 発話資料において 上級レベルで 母語による差が 示 唆されたことから、 韓国語・ 中 ・国語・英語を 母語とする上級学習者を 対象と して即時的な 言語処理を求める 文法性判断テストを 実施し、 言語転移の可能 性を検証した。 統計的分析結果と. 3 言語の名詞句の. 言語構造を踏まえた 考察. の結果、 韓国語の正の 転移と中国語の 魚の転移が関与していることが 明らか となり、 特に即時的な 処理が求められる 場合に無意識的なレベルにおいて 言 語 転移が作用することを 示した。. 49 一.
(4) これらの研究結果から、 「の」の過剰使用は 中級レベルでは 年齢や母語に かかわらず表出するが、 中国語母語話者は 言語転移により 上級になっても 誤 が残りやすく、 特に即時的な 処理を求められる 場合には「の」を 過剰に使 用しやすいことがわかる。 また、 「の」の過剰使用の 要因として、 かたまり で 捉える学習者の 言語処理ストラテジーも 関与している 可能性がみられる。. 用. しかし、 これが真に「の」の 過剰使用の要因の 一つであ るかという点は 更 な. る手続きによって 検証する必要があ. 2.. 調査の目的と. ろ つ@. 仮説設定. 既述した通り、 奥野 (2001)では、 初級から上級学習者の 個人内における 名 詞句を観察した 結果、 あ る語種を用いる 場合には前にくる 品詞にかかわらず、 ィ 形容詞や動詞にも. 必ず「の」を 付随する形式で 使用することから、 五周と誤. 用が同時に出現する 場合があ ることを明らかにした。 以下に具体例を 挙げる。. (1) 「とき」の場合. ( 中国 a.. 中級 ) (5) a 求大学人って 四と 亘 僕は歴史勉強します b 僕は高校のとき 理科好きです. (2) 「ために」の 場合 (英語・中級. a水 漢字書くのために、. b. (3). 「ほ う. ほんとにすごい、 ちょっとだけで. きる. 漢字の勉強 丑土亜二 がんばりました 」の場合. ( 中国 b.. 上級 ). a* 毎週一緒にしますけど b. ). 彼は汚 い 四方. 京都旦方が大きい. (4) 「ような」の 場合. ( 中国 c.. 上級 ). a ホ アメリカの方が 混ざった四よ 三五感じ. b. ボーイフレンド 二よ二五感じ. これらの例は、 かたまりで捉える 言語処理ストラテジ ーが 個人内において 関与している 可能,性が高いことを示すものであ る。 しかしそれは 一部の学生 のみに観察されたものであ. り、 母語にかかわらず 用いられるストラ テジ 一で. るのかどうかは 明らかにされていない。 そこで、 本稿では、 奥野 (2003) において、 母語による有意な 違いが認められた 名詞句の文法性判断調査に 組 あ. み 込んだ、 かたまりの言語処理ストラ. テジ 一に関する項目. 一 50 一. (. 以下、. 「かたま.
(5) り. 」. (6))を分析し、. 「の」の過剰使用の 要因として学習者独自の. 文法を形成. するストラテジ ーが 関与しているかどうかを 探ることを目的とする。 まり」以覚の 名詞句の文法性判断において、. 「かた. 母語による差がみられたにもか. かわらず、 「かたまり」においては 母語による差がみられず、 績が低い場合、 言語処理のストラテジーも「の」の. 誤用の判断成. 過剰使用の要因として 関. 与している可能,注が 高いと考える。 また、 知識レベルにおいて、 かたまりで理解されているのか、. 用面 レベルにおいて 作用するものであ. あ るいは 運. るのかを検討するために、 同一被調査. 者に実施した 誤用訂正テストとも 比較を行う. 本研究の仮説を 以下のように 設定する。 学習者は母語にかかわらず、. 「の」とあ る特定の語をひとかたまりと. して認識し 、 前にくる品詞にかかわらず. ィ. 形容詞や動詞にもそのかた. まりを付加するストラテジーを 用いるであ ろう。. 3. 調査の方法 3Ⅰ. 手続き. 調査は、 2 種類行った。 まず即時的処理を 求める文法性判断テストを 実施 し、 次に時間的余裕を 与える誤用訂正テストを 行った。 即時的処理を 求める文法性判断テストは、 音声を聞きながらその 文法性を 即時に判断する 文法性判断テストを 指す (7)。 これは「の」の 過剰使用を含ん だ 名詞句や誤用を. 含まない名詞句を 文の中で提示し、 その名詞句部分の 適切. 性を判断するテストであ り、 学習者の運用時の 状態に近い直感的な 知識を測 定 しょうとするものであ. る. (8)0. 調査の手続きは 以下のと お りであ る。 まず例を説明し、 回答方法を把握さ せた。 教示は全てロ 頭で、 文を提示しながら 日本語で与え、 被調査者は 5 間 練習を行 い テープの音量や 早さを確認した。 問題文は自然なスピードで 一度 読み上げられ、 それに沿って 回答された。 問題文の名詞句の 部分が下線空欄 になっており、 その空欄部分の 文法性が OX. で判断された。 漢字には全てル. ビ をふった。 (読み上げ. 例). (問題 例 ). テキストの内容は 少し. 「テキストの 内容は少し難しいの 方が勉強になります」 へんきょう. が 勉強になります. (X). 誤用訂正テストは、 時間が与えられ、 通常の筆記試験などで 要求される 文. 一 51 一.
(6) 法的な言語知識を 測定するものであ る。 文法性判断テストと 同じ問題 丈に つ いて、 別冊にて順序を 変えて配置したものを 配布し、 問題文の名詞句の 下 線. 正誤で判断させた。 また、 誤りの場合、 下線部を正しく 訂正 指示した。 文法性判断テストの 後、 リラックス用の 音楽を流しなが. 部分の文法性を するよ. う. ら 雑談した後、. ati-e. 学習者の背景についてのアンケートを. 正 テストを実施した。. これは、 疲労度を考慮し、. 行ない、. その後誤用言下. 前に行った学習効果を 出来. るだけ抑えるためであ る。 また、 先のテストとは 異なり今度はゆっくりと 分 のぺ ー スで行. う. よ. う. 自. に 、 文を提示しながら 日本語で指示した。 前の間 題 に. は戻らないように 指示し、 全 80 間中、 各 40 間のセクションごとに 好きなだけ 休憩するように 指示した。 へ んきよ. (問題 例 ). 3,2. テキストの 筒 蓉は歩し。 鎚L 坦坦 旦三が鉱胃 になります つ. (x). 調査対象者. 中国語・韓国語・. 英語を母語とする 成人の上級学習者 各 10 名 (9)。 母語と日. 本語以外の言語使用者は 対象外とした。 レベルは 0P I (OralProficiency InterView) によって判定され、 判定に迷うものについては、 もう一名の OP 1 テスターとのダブルレイティン グ を行った。 滞日歴は半年以上、 教室指導 を受けた経験のあ る者、 もしくは受けている 学習者を対象とした。 調査に用いた 名詞句 調査 丈 に用いた名詞句は「一のこと」「一のため」などの「かたまり」に. 3.3. よる誤用・五円を 各 10 間、. イ 形容詞、 ナ 形容詞、. 動詞、 名詞を修飾部とする. 名詞句の正用・ 誤用 各 5 間 (10) 、 更にフィラ ー として他の文法項目の 正用・ 誤 用 を各 10 間、 計 80 問 とした。 調査に用いた 名詞句は実際の 発話に見られた 誤. 用に基づいて、 日本語能力試験の 出題基準 2 級までの語彙を 用いて作成した。 「かたまり」に 関しては既述の 奥野 (2001) の縦断的な調査から、 学習者が 非分析的に定式化して 用いている可能,性が 高いと判断されたものを 採用し た。 「かたまり」による 例を表 1 に示す。. 3.4. 要因計画 「かたまり」には 1 要因配置が用いられた。 母語条件で、 中国語・韓国. 語 口口 ・英語の 3 水準であ った。 被調査者間要因であ った。. 一 52 一.
(7) 表 分類. 「かたまり」に 関する調査 1真日の 例. 1. 正誤. 調査例 こっちの服の 方が明るくてパーティ 一に良いんじやない. 正岡. ゲームばかりしていないでもっと. 外で遊んだ方がいいよ. 1. のほう. テキストの内容は 少し難しいの 方が勉強になります 誤用. 合 はとても疲れているので、 食べるより寝るの 方がいい. 今夜は仕事のことは 考えずに飲みましょう 正月. 難しいことはかり 言っていると 女の子に嫌われるよ. 2. のこと. 彼は自分に都合が 悪いのことはすぐに 忘れる 誤用. 彼がとても日本語が 上手になったのことに 驚きました 漢字で 手紙を害くために 私は辞吉を買いました. 正月. この本は母のために 買いました. 3. のために. やせるのために 毎日ジョギングをしています 誤用. 法律を学ぶのために 私は日本へきました 案がまだ固いときは 食べてもおいしくあ りません. 正月. 私も学生のときにはよくスポーツをしたものだ. 4. のとき. 大学時代は私の 人生の中で一番楽しいのときでした 誤用. 試合に勝ったのときが 一番うれしかった 父 のような気がしたが 人違いだった. 正月. だれかが見ているような 気がして、 気持ち悪. い. 5. のような. 今、 祖母の頗が笑ったのような 感じがしました 誤用. 4.. 調査の結果と. 彼の方が正しいのような 気がしてきた. 考察. 4 Ⅰ文法性判断テスト. 正解に 1 点を与え、 不正解及び 無 答には 0 点を与え、 各品詞の満点を 10 点と して平均値を 算出した。 誤用、 正月各々に対して (11)、 各条件の平均得点を 図 1 、 図 2 に示す。. 一 53 一.
(8) 中国語. 英語. 均 平 の. ィ, 昇. 断. 点. 半 Ⅰ の 用. 誤用の判断得点の 平均. 英語. 韓国語. 正. 2 図. 国Ⅰ. 韓国語. 0S87G5432l0. l. 中国語. 「かたまり」の 正用 判断、 誤用判断それぞれに 対して 1 要因分散分析を 行 ったところ、 「かたまり」の 誤用判断. ( 図 1 参照 ). については、 主 効果も交互. 作用も有意でなく、 母語による判断の 差は示されなかった。 「かたまり」の 正用 判断. ( 図 2 参照 ). については 主 効果 (F(2.27) 二 3.51,p く 05) が有意であ ・. た。 母語要因の玉効果における. っ. 多重比較を行ったところ、 中国語母語話者と. 英語母語話者の 間に有意差がみられ. (p く 05) 、 中国語母語話者の 方が成績が ・. 高 い ことが示された。 しかしながらこれは、 平均値が両者. 8. 以上とかなり 高. い 中での有意差であ ると言える。 試みに正月と 誤用を同時に、 母語 (3) X 正. 誤 (2) の 2 要因分散分析を 行った結果、 正誤の玉効果. (F(l,27)=23.86,p く 001) ・. が有意であ り、 母語の玉効果は 有意でなく、 母語 X 正誤の交互作用に 傾向 差 がみられた. (pく 10)。 正誤要因に主効果がみられたので、 ㎏an法による多重 ・. 比較を行ったところ、 五周と誤用に 有意差があ った わく 05) ことから、 学 ・. 習 者にとっては 誤用判断の方が 正岡判断よりも 成績が有意に低いことが示さ れた。 交互作用に傾向差が 見られたので、 試みに単純生効果の 検定を行った ところ、 中国語において 正誤要因が有意であ った わく 001) ことから、 中国 ・. 語 母語話者は他の 母語話者より、 「かたまり」による 正岡判断と誤用判断の. 成績差が大きい 傾向にあ ることが認められた。 以上、 「かたまり」の 誤用判断については 母語による差は 認められず、 正 用に比べて成績も 有意に低いことから、 学習者は母語にかかわらず. 特定の被. 修飾部と「の」をひとかたまりとして 非分析的に捉えて 用いる可能性が 高い こ どが明かとなった。 奥野 (2003) では、 「かたまり」以覚の 名詞句におけ る 「の」の過剰使用に. 関して、 母語による有意な 差があ ったことからも、 か. たまりで処理するストラテジ ーは、・母語にかかわらず 学習者に共通した 言語. 一 54. 一.
(9) 処理方法であ ることを示していると 考えられ、 仮説は支持されたと 言えよう。 しかしながら、 中国語母語話者は 他の母語話者と 比べて「かたまり」にお ける誤用判断と 正 用 判断の成績の 差が大きい傾向が 示されたことから、 母語. による違いがかたまりの 形成にもなんらかの 形で作用し、 関連している 可能 , 性も示唆されていることがわかる。 中国語では修飾部 と被 修飾 S の間に「の」 に相 当する「的」が 基本的に必要であ ることから (12)、 他の母語話者と 比べ て、. 日本語では不要であ る「の」がⅠ 寸随 していても気にならない. のではないだろうか。 しかしそれは、 「の」が付随していないも. 断 が低い ) (正岡 ). の 用). (誤用の判. を誤用と判断するというものではなく、. 付随していないもの. (正. も正用 と正しく受容するものであ ることがわかる。 これは、 学習者共通. の 要因に言語転移が. 味 深く、. 複雑に絡まっていることを 示唆するものとして 非常に興 同一被調査者の 発話資料も合わせ、 今後さらに検討を 加えたい。. 4-2 誤用訂正テスト 正しく判断し、 かつ誤用を正しく 訂正できているものを 正答とみなして 点を与え. ( 判断と訂正に. 違いがあ ったのは全回答申. 2. 1. 間のみ ) 、 不正解及び 無. 答 には 0 点を与えた。 各条件の平均得点を 図 3 、 図 4 に、 正岡・誤用別に 示す。 いずれも正答率は 高い。. 分散分析の結果、. 「かたまり」の 誤用、 正月判断はそれぞれ 共に母語に ょ. る 有意な差はなかった。. 誤用判断と正. 用 判断の間にも 有意な差はなかった。. 二の結果は、 十分な時間が 与えられた訂正テストにおいては、. 中国語. 韓国語. 英;き. 中国語. 図 3 訂正テスト 誤 m の判断得点の 平均 定の語が分析的に. 韓国語. 一 55 一. 英語. 図 4 訂正テスト 正 用の判断得点の 平均. 捉えられており、 知識として定着していることを. る。. 「の」と 特. 示してい.
(10) このことから、 上級レベルでは 知識としては「. ホ やせるのために」は. 誤用. であ ると正しく理解していても、 運用時には、 正しいと誤判断してしまうこ. とがあ ると考えられる。 学習者の実際の 誤用から今回取り 上げた語種「とき」「ために」「ような」 「ほ. う. 」は、 それ自体では 具体的な意味を 持たず、 節を形成してより 大きな. 複文をつくる 際に必要なマーカ 一であ る。 中級から上級へ 習得と進むにつれ、 多くの節を含む 複文の生成が 成されるようになる. 2001) が、. ( 奥野・金澤・. 宮瀬・山本. その過程においてこのような 形式名詞の使用は 不可欠であ. る。. 学. 習者は、 運用時において、 節を形成し文の 核となるこのような 被修飾部を効 率よくかたまりとして 処理し、 より多くの意味を 伝えようとするのではない だろうか。 「の」の過剰使用はこのような 習得の過程で 生じるストラテジ ー が 要因として関与し、. は 記憶を編成するかたまりは、 あ. ることがうかがえる。 Newell (1990). 生じる場合もあ. より大きな文を 構成するための 潜在的能力で. ると主張している。 また、 PawleyandSyder (1983)は、. 目標言語を話せ. るようになるということは 無制限の数の 文を生み出せる 規則を学習するだけ. でなく、 「記憶された 連続 体 (memorizedsequences). 」. や、. 「語彙化された 文. の核 (le丈 calizedsentence stems)」を学ぶことでもあ ると述べている。 この よ. う. に、. かたまりで処理するストラテジ. ーは 第二言語習得過程の 重要なメカ. ニズムであ り、 「の」の過剰使用は 習得の過程で 生じる習得の 証とも言える. 誤用なのではないだろうか。. 5.. まとめと今後の. 課題. 本研究では「の」の 過剰使用に関する. 文法性判断テストと、. トを 通して、 「の」の過剰使用の 要因のひとつとして トラテ ジ ー が関与しているかどうか. 断 テストにおいては い と判断することが. 的にひとかたまりで. 誤用訂正テス. 学習者の言語処理の. ス. 追究した。 その結果、 即時的な文法性 判. 母語にかかわらず、 例えば「 ホ やせるのために」を 正し 明らかとなり、 学習者はあ る特定の語と「の」を 非分析 用いるストラテジーを 用いている可能,注が高いことが 明. らかとなった。. しかしながら、 誤用訂正テストにおいて、 学習者は知識としては 分析的に 正しく理解していることが 明らかとなり、 言語処理のストラテジ ーは艮叩 手酌 な 処理が求められる 運用レベルにおいて 関与する傾向が 強 い ことが示され. 6 5.
(11) た 。 学習者は運用時に、 それ自体あ まり意味をもたず 節を形成するような 話. と「の」を非分析的にひとかたまりで. 用いるストラテジ ーな 用いることによ. り、 誤用 ( 「の」の過剰使用 ) を生成する場合があ ると考えられる。 同時に今回の 結果からは、 誤用と正 m の成績 差 に関して、 母語と何らかの 関連性も示唆された。 この点に関しては、 実際の発話資料と 合わせて今後さ らに追究してゆきたい。 また、 今回示されたことから、 発話において「の」の 過剰使用が化石化し. ているような 学習者には、 その誤用の双後の 語彙を観察し、 「かたまり」の 言語処理のストラ テジ 一の観点から、 気づきを与えることも 有効ではないか. と考えられる。 一見同じように 見える誤用であ ってもそこには 様々な要因が 絡まりあ っているのであ る。 教育現場において、 学習者の誤用を 注意深く 観 察し、 どの段階でどのように 指導すれば有効であ るかについても 今後検討し てゆきたい。. 引用文献 奥野由紀子. (2001) 「日本語学習者の『の』の 過剰使用の要因に 関する一考. 察 一縦断的な発話調査に 基づいて 一 」『広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部」第 50 号広島大学教育学部 pp.187-195. 奥野由紀子・ 金澤真智子・ 宮瀬真理・ m 本真知子 (2002) OP 「. タ. における『テキストの 型』の内容分析 一. 「. 奥野由紀子. I. 発話 デ一. 節 」を指標とした 個人内変. 化と判定レベルの 関連性を中心に 一」『日本語 OP. ーラム論文集』日本語 OP. I. T l0 周年記念合同フォ. 研究会 pp.l01-111.. (2003) 「上級日本語学習者における 言語転移の可能性一「の」. の過剰使用に 関する文法性判断テストに 基づいて 一 」『日本語教育』. 116. 号 pp.79-88. 鎌田修 (1999). 「. KY. コ一 パスと第二言語としての. 日本語の習得研究」『第二. 言語としての 日本語の習得に 関する総合研究』平成 8 年度一 10 年度科学研. 先賢助成金研究成果報告書 pp.227-237. 家村 伸子・迫田久美子 、ジ ー. (2001) 「学習者の誤用を 産み出す学習者のストラ テ. (2) 一 否定形『じゃな U 』の場合一」『日本語教育研究』広島大学. 教育学部日本語教育講座 第 ml 号 pp.43-48. 57 一.
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(14) る 誤用・. 正 用のみを分析の 対象とする。. (11) 文法性判断テストで. 正岡を正月. る能力は、 同質とは言えないため. ど. 判断することと、 (坂本・小山. 誤用を誤用と 判断す. 1997) 、 正月と誤用は 分け. て 分析を行った。. (12)中国語・英語・. 韓国語の名詞句の 対照言語学的分析は 奥野. 参照。. (2003:81)を. 0 6.
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