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高機能広汎性発達障害者における消費者被害実態調査及び消費者教育プログラムの検討

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Academic year: 2021

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(1)高機能広汎性発達障害者における消費者被害実態調査及び消費者教育プログラムの検討                            専攻  特別支援教育学専攻                            コース   心身障害コース                            学籍番号    M09098C                             氏名     香美 裕子 遇したことがあるのか、また、消費者教育の       I.問題と目的 二一ズについて調べる構成になっていた。全  国民生活センターにおける、全国消費生活 ネットワーク・システム(PIO−NET)に登録さ 5問で各問いに枝問があった。調査用紙作成 にあたり、深F日ら(2008)などを参考にした。 れた相談のうち、「認知症高齢者、障害のある 2.結果と考察 人等が契約時当事者である相談」は、1996 年度は2,116件、2005年度は14,899件と約  97名に調査用紙を郵送し、59名の回答を 得た。調査用紙全体の回収率は、61%であっ 7倍に増加している(国民生活センター, た。子どもの所属は、小学校が9名、中学校 2007)。障害者が被害にあう原因として、コ ミュニケーションを図ることの困難さや消費 が11名、高校が13名、大学が5名、専門学 生活の経験・情報の少なさ、地域における障 校1名、社会人が16名、無記入が4名であ った。r悪質な商法の被害に遭ったことがある 害者への支援体制の脆弱さがあげられている (国民生活センター,2007)。また、障害者の相 か」について、被害に遭ったことがある、ま 談の特徴として、障害の「軽い人」が被害に たは、被害に遭いそうになったことがあるを 選択していたものは5名7件(8%)であった。 あう傾向がみられる、一人暮らしのケースが 被害内容としては、キャッチセールス(2名)、 多いという点があげられている(国民生活セ ンター,2007)。高機能広汎性発達障害者は、 SF商法、架空請求、オークション詐欺、フ ンクリック詐欺(各1名)と多岐にわたってい これらの原因や特徴にあてはまる可能性が高 た。「子どもが今後消費者トラブルに巻き込ま く、トラブル・被害にあうリスクが高まると れそうか」については、49名(86%)の保護者 考えられる。しかし、どれくらい被害にあっ が巻き込まれそうと答えていた。巻き込まれ ているのか、被害にあっている状況はどのよ る理由の自由記述をコード化したところ、被 うなものかといった実態については明らかに 害に遭う理由としては、「言葉の理解が困難」 なっていない。  「コミュニケーションの苦手さ」といったコ  そこで、研究Iでは、高機能広汎性発達障 ードがあげられた。被害に遣わないと考える 害の子どもをもつ保護者に対し、アンケート 理由としては、r用心深い」などがあげられた。 調査を行い消費者被害の現状や二一ズを把握 する。研究1Iでは、アンケート結果を参考に  「消費者教育は必要か」という質問では、57 名(97%)の保護者が必要であると答え、rどの 消.費者教育プログラムを作成し、高機能広汎 ような内容を教えてほしいか」という質問に 性発達障害者に対して適用することで、プロ おいて選択された項目の内訳は、消費トラブ グラムの効果を検討する。 ルの対処方法(39名)、悪質商法等の消費トラ         皿.研究I ブルについて(40名)、金銭管理について(34 1.方法  1)対象.  高機能広汎性発達障害児老親の会の小学生 以上の子どもをもつ保護者97名であった。. 名)が多かった。.  これらのことから、保護者が今後子どもが 被害に巻き込まれるのではないかと考えてい.  2)調査方法. る害1」合は86%と高く、消費者教育は必要だと.  質問紙調査を用いて行った。調査用紙は、  r消費生活に関するアンケート」と題して、 日常生活上でどのような消費者トラブルに遭. 考えられていることがわかった。被害に遭い そうな理由としてあげられたコードは、自閉 性障害の特性とも一致しており、それに応じ. 一180一.

(2) た指導が必要であることが示唆された。また、.  (5)般化テスト:プログラム終了後2ヵ月以. 被害に遭っている・遭いそうになったと答え た5名中2名は複数の被害に遭っていること から、繰り返し被害に遭う可能性が高いこと. 内に獲得したスキルが日常生活場面において も自発するか測定した。  3)言平価.  高機能広汎性発達障害者3名(X,YZ)であっ.  ロールプレイは断らずに契約する等の行動 を0点(最低点)、早い段階で断ったのを4点 (最高点)というように5段階評価で評価し得 点化した。また筆記テストは場面選択が9問、 知識を問う問題が36間あった。1問1点とし. た。対象者は全員大学に通っていた。また、. て得点化した。. その内の1名は1人暮らしをしていた。  2)指導方法. 2.結果. が考えられる。.        皿.研究皿 1.方法  1)対象者.  指導は、週1回2時間程度合7回で構成し た。.  (1)べ一スライン1:ロールプレイと筆記テ. ストを行った。ロールプレイでは、プログラ ム開始前に「悪質な商法の勧誘を断る」とい う標的行動がどれくらい自発するか測定した。 ロールプレイの内容は、プログラムの第2回 ∼第4回でとりあげる3パターンを使用した。 筆記テストでは、クーリングオフ等の知識を 間う問題や悪質商法に遭遇する場面を提示し、 自分の考えに近い選択肢を選ぶ問題を取り入 れた。.  (2)プログラム:全5回で構成されていた。 すべて、講義と演習を用いて行った。.  第1回は、金銭管理についてや物の値段の 相場について指導を行った。第2回∼第4回 では、悪質な商法に遭遇する場面を、3つの パターンにわけて指導を行った。第2回は、.  べ一スライン1から2へとロールプレイ、 筆記テストと両方のテストにおいて全員の点 数が上昇した。また、望ましい答え方である rいりません」r必要ありません」に変化した。.  弁別テストでは、X,Yは全ての場面、Zは 5つの場面について弁別することができてい た。般化テストでは、対象者全員断ることが できていた。. 3.考察  本プログラムは、悪質な商法の勧誘を断る 行動の形成をする上で有効であると考えられ る。弁別テストにおける結果は、プログラム 中に取り上げたパターンで出会うすべての人 が悪質商法を行うとは限らないという指導を 行ったことが影響している可能性がある。ま た、般化テストの結果はロールプレイを行う 際に多様な指導者や事例を用いたためである と考えられる(StokesandBaer,1977)。. 直接人と接さずに手紙や電話を用いるパター.        1V.総合考察  本研究において、消費者教育プログラムは 有効であった。課題としては、般化テストが 指導上、倫理.Lの問題から1つの商法でしか 行えなかったこと、継続的な指導の必要が示. ン(以下、当選商法)であった。第5回では、. 唆されたことがあげられる。. 悪質な商法の被害にあった時の対応方法につ.  (4)弁別テスト:断る場面(3っ)と断らなく.  障害者への消費者教育に関する研究は少な く、消費者トラブルヘの対応を指導した研究 は見当たらない。今後は、例えば、買い物と いう場面の中でも発達段階に応じて商品を比 較し選択する等、よりよい消費者となるため の教育も必要であると考える。. てもよい場面(3つ)を弁別することができる.         主指導教員 井澤 信三. 外出先で声をかけられるパターン(以下、キャ. ッチセールス)、第3回は、在宅時に人が訪ね てくるパターン(以下、訪問販売)、第4回は、. いて、指導を行った。.  (3)べ一スライン2:プログラム終了後、標. 的行動の自発を測定するために、ロールプレ イと筆記テストを行った。. か測定した。. 指導教員  井澤 信三. 一181一.

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