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東井義雄の教育観 : 「いのち」の思想と「ビリ」の思想を中心に

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Academic year: 2021

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(1)     東井義雄の教育観 「いのち」の思想と「ビリ」の思想を中心に. 専攻. 学校教育学. コース. 教育コミュニケーションコース. 学籍番号. M09001K. 氏名. 上田早也香.  第三節 いのちふれあう授業. 【研究の目的】. 【研究の概要】. 本研究ではrいのちあるものすべてを大事にす.  貧しい寺の子として生まれ、東井は複雑な家. る共生的生命観」というrいのち」の思想と、 「どんな子どもでもひとりひとりいのちある大. 庭環境の中で育ってきた。彼の人生は生まれた. 事な存在である」という「ビリ」の思想とを中. 時からr生死」と向かい合わせであった。父や. 心として、子どもたちをどう見づめていけばい. 母や愛する子などの身近な人の「死」と直面す. いのか、どのようにすれば子どもひとりひとり. ることによって、「いのち」を感じ取るようにな. を光輝かせるようなものになるのか、というこ. り、r生きていること」を実感することとなる。. とを明らかにするために、東井義雄の教育観の. このr生きている」ということの実感から東井. 検証を進める。. 自身のr死生観」が生まれ、rいのち」の思想の. 【論文構成】. 形成へと繋がっていくこととなる。東井は寺の. 序章 問題の所在と研究の目的. 子でありながら、仏教思想に疑問を持つように. 第一章 戦前におけるrいのち」の思想の契機. なる。「危険思想」を無視できなくなり、日本が.  第」節 東井義雄の生涯. 不況の底にいた頃、無神論を唱え、プロレタリ.  第二節 幼少期・青年期における家庭生活・生活環境. ア文学にはまり、「危険思想」へと導かれると共.  第三節 宗教的感性の中の「いのち」の思想. に、彼の思想傾向は、宗教への疑問を深めるこ.  第四節戦前における「いのち」の思想. ととなる。. 第二章 戦後における「いのち」の思想の契機.  第二章では、戦前から戦後において、重要と.  第一節  rいのち」の思想の変化. なる「いのち」の思想の変化について検討した。.  第二節 教師経験から得た「いのち」の思想. 彼は戦後、戦争協力者となった自分を反省し「沈.  第三節 戦後における「いのち」の思想. 黙の12年間」を過ごす。その間、東井は死を. 第三章  rビリ」の思想と「いのち」の思想の変化. 覚悟し教員を辞職しようとしたが、それも出来.  第一節 「ビリ」の思想. なかった。12年間で朝夕瞑目して逝った人たち.  第二節  「いのち」の思想と「ビリ」の思想の関連. を憶念した。そして民主主義教育に再度、思想. 終章 東井義雄の教育観. を転向し、教育者として戻ってきた東井は「も.  第一節 子どもの評価. う二度と思想なんかにはたぶらかせられない.  第二節 子どもと教師. ぞ」と語り、「転んでもただでは起きない」と思. 一8一.

(2) 憩の蓄積への執念を持った。「口蓋垂の働き」の. しい光があり、その光を消さないように、教師. 質問から得た「生かされていること」の発見や. は光に応えてあげる。「通信簿」が子どもを責め. 「夕焼の小便」という児童の「いのち」に触れ. る道具にならないように、次のがんぱり・明日. r生きていることのただごとではなさ」を感じ. への希望がわきたっような評価をするべきであ. るなど、「ひとりひとりのいのちを大事にする教. ると述べ、実践に取り組んだ。東井が述べる子. 育とは、ひとりひとりが、ひとりひとりの大事. どもと教師の関わり方を「人間と人間、いのち. さに目覚め、生まれてきてよかったといえるよ. といのちの信頼によって、子どもを大切にする. うな生涯を、ひとりひとりに切り拓かせる教育」. 教師」と「子どものつぶやきが聞こえる教師」. ということに気付く。. の二つの観点から考察した。いのちふれあう授.  第三章では、東井の特徴的思想の一つである. 業の取り組みとして「ひとりしらべ」をあげて、. 「ビリ」の思想を検討した。彼は「ビリ」の思. 考察した。rひとりしらべ」とは確実で効率の高. 想を「一番はもちろん尊い。しかし、一番より. い、そして授業の本質にかなっているものであ. 尊いビリだってある」と一言で述べる。r私が『ビ. り、rひとりしらべ→分け合い・磨き合い→ひと. リ』を独占しなかったら誰かが、このみじめな. り学習」となり、この「分け合い・磨き合いの. 思いを味わわなければならない。誰かがこのみ. 部分に東井の言う「いのち」の触れ合いが含ま. じめな思いを味わうことなく済んでいるのは、. れている。東井は授業をr子どものいのちを磨. 私がビリを独占しているからだ」「私はみんなの. く仕事」と言う。「いのち」を磨くには子どもの. 役に立っている」と発見し、すべてにおいて優. 感じ方・思い方・考え方・行動を踏み外しては. 劣ではなく、価値があることを見いだしてくこ. 成り立たず、そこに教師のr願い」やr意図」. とこそ教育であると述べる。このような経験か. を含める実践を進めた。. ら東井のrビリ」の思想が生まれた。rビリ」で.  東井の「いのち」の思想の原点でもある「凡. あろうが、周りよりも劣っていようが「いのち」. 聖逆諺斎廻入」r凡人も聖者も逆らう人もけなす. の輝きを放っていることに変わりはない。rビ. 人もひとたび心を回せばみなひとしく救われ. リ」であってもr一人のいのち」r自分は一人の. る」という仏さまの願いのように、どんな子ど. 自分」として必要な存在であると感じてもらい. もであっても、みんな等しく救われる存在であ. たいと願う。同時に「ひとりひとりの個性を大. るという事に通ずる。その先に、教師はそのよ. 切にした教育」を重視するようになり、東井自. うなすべての子どもを受け入れ、自分の人生に. 身もr生きる」ということを教えられた。. 責任を持ち、自分らしい生き方が出来る子ども.  終章では、東井の実践の一つである、通信簿. を育てるという東井の教育観がある。. の改革から子どもの評価の在り方を検討した。. 子ζもの評価を五段階評価の学力重視でのみ見 るのではなく、普段の行動や態度など一人一人 を見つめることが出来る「通信簿」の改革を行 う。それによって、子どもの評価を数字のみで. 主任指導教員 安部崇慶. 見るのではなくて、子ども一人一人にその子ら. 指導教員   安部崇慶. 一g一.

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