• 検索結果がありません。

閾下知覚効果に関する基礎的研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "閾下知覚効果に関する基礎的研究"

Copied!
50
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)車成5年度 修士論文. 閾下知覚効果に関する基礎的研究. 兵庫教育大学 学校教育研究科 障害児教育専攻. M92309F 神戸. 成企.

(2) 《目次》. 1. 第1章 序論 ・………………一一一一一……一一一一一……一一……… 第1節 闘下知覚. 1. ……一一’ ’一 ‘’ ” ”『一一一一一一一一一一p一一’ ” ’” “” 一一一”一一一鱒……騨一騨. 第1項 闘下知覚の概観と問題点 第2項 生理指標と階下知覚 第2節 事象関連電位P300成分と認知. 4. …一…一一一………一一一. 第2章 研究工. 8. 第1節 方法. 8. 第2節 結果. 12 17. 第3節 考察. 第3章 研究ll. 第1節 方法 第2節 結果 第3節 考察. 第4章 研究皿 第1節 方法 第2節 結果 第3節 考察. 20 20 21 26 28 28 29 35. 第5章 全体のまとめ及び考察と今後の課題 ………一一……一・一一一37.

(3) 文献. @一一 一一 一一 一H 一一 一一 一一一一一 一. H .p 一 一一 一p 一一 一一 一一一一一一 一一 一一 一 一一 一一 一一 一一 一一一一 一’ 一一一一 一一 一p 一’ p一 一一 p N一 t一 一一 一一一 一’ 一一 一一 一一一 一一 一p 4 1. 一一. 謝辞. …一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 資料. 一一一一一”一.一一一一一一一一..一一一一一H..H..一.一..一一一一一一一一一一一一一一一一一. @44. @一H一一一一一一一一一一一一一一一一m一”pH 4 5.

(4) 第1章 序論 第1節 閾下知覚 第1項 閾下知覚の概観と聞題点 闘下知覚とは、閾値以下の強度または呈示時間の刺激によって,生体 に対して生じる何らかの効果もしくは,知覚反応である(新版心理学事典 1981)。即ち,本人は気づかないが受容していることをいう。近年、様. 々な分野で闘下知覚効果が応用されている。閾下知覚効果を利用した有 名な例としては,映画館で闘下知覚を利用して,ドリンクとポップコ・一一. ンのコマーシャルを映したところ,コーラの売上が驚異的に増えたとい う話は有名である。また,万引き防止のために全米各地のスーパーーマ・…一. ケットで窃盗防止の閾下知覚メッセージを使用した結果,従業員の窃盗 や客の万引きが激減したという報告がある。また, 「エクソシスト」と. いう映画では,映画の中の人の顔の上に骸骨の映像をかぶせて恐怖心を 高めた。フランスの大統領選挙でフランス国営放送がニュース番組の申 に閾下知覚メッセbUジとして,ミッテラン大統領の顔写真を放送したこ となど様々な話がある。また,閾下知覚効果を利用した商品も販売され ている。この様に様々な分野に閾下知覚効果を応用しようとする動きが ある。しかしながら研究レベルではその効果に対する評価が分かれてい 6のが実状である。. 我国における閾下知覚の研究を歴史的にみるならば,宮城・宇留野・ 多湖(1952)らの研究がある。彼らは錯視図形を利用した研究において,. 閾下知覚の存在を示唆する結果を示した。また,相良ら(1958)は,人の. 顔に“喜”“悲”の文字を閾下で投影したが効果は認められず,顔の絵 に閾下で涙の絵としわの絵を付加した場合は効果が認められたと述べて いる。大谷・野口(1961)も,図形の大きさ判断で‘‘大きい’,‘‘小さい,,. 一1一.

(5) の閾下文字の付加による効果が認められたとしている。後藤(1963)は, 中性有意味語をタキストスコー・一一プによって呈示し,これらの呈示5秒前. に情動刺激,あるいは申性刺激が与えられた場合,情動刺激が後続語の 認知に影響することを実証した。このように,これまで様々な方法によ り,閾下知覚の効果が報告されている。最近の研究では,閾下精神力動 賦活化(subliminal psychodynamic activation,SPA)という方法が多. く行われている。例えば,Silveman(1985)は一連の研究で,母親との同. 一化の願望を充足することによって,精神の安定や不安の解消などの効 果を閾下知覚によって検証している。この種の研究には,これまで情緒 障害者(Rose−Bryant,1984),恐怖症の患者(Greenberg,1992)などを対象. に様々あり,その効果も報告されている。 しかし,斎藤(1990)は,閾下の視聴覚刺激をテレビに投影し,催眠状. 態での闘下暗示の効果を調べた研究において,十分な成果が見られなか ったと述べている。この結果について,斎藤は閾下知覚現象を否定する ものではなく,闘下現象が極めて微妙なものであり,それを捉える方法 が不十分であったためとしている。また,Russellら(1991)は,閾下の聴. 覚刺激を受けることによって,学業向上をねらった研究でも効果が認め られなかったと述べている。. さらにこの領域を発展させたもので,閾下でのプライミング効果を検 討した研究もある。池上・川口(1989)は,閾下で敵意語を無意識的に繰. り返し処理した場合に,意識的に処理した疇と類似の効果が現れたとし ている。一方,大平(1992)は,闘下で無意識的な言語処理によるプライ. ミングが,怒りの情動及び攻撃行動へ及ぼす効果が認められなかったと. 述べている。その理由として,無意識的処理は意識的処理に比べて情報 処理の活性化の度合いが小さく,そのため活性化拡散の範囲も狭く限ら. t2一.

(6) れており,情動や行動的反応の評定に顕著な効果を及ぼさなかったと考 察した。このように,閾下知覚の効果に対して否定的な多くの研究者は, 刺激の強度が弱いために行動変容にいたらないことを問題にしている。. 刺激の強度を強くすると闘上刺激になるため,閾下刺激を長期間与え ることによって刺激量を多くして,閾下知覚の存在を明らかにするとい うことが考えられる。筆者は,これを実証するために,予備研究(詳し くは後述の資料参照)を行った。その結果明瞭な結果が得られず以下の ような問題点が明らかになった。. ①日常生活から受ける刺激が標的の闘下刺激より強い可能牲があるた め,標的の閾下刺激による効果が現れにくい。②長期間実験を行うと日 常生活から受ける意識できない閾’下刺激や閾上刺激を制御することが困 難である。. 第2項 生理指標と闘下知覚 直接的に閾下刺激の効果を捉える方法として,行動指標ではなく生理 指標でみた研究も近年報告されてきている。Kostandovら,(1986)は,情. 動語による大脳の左右差をみる研究で,大脳の左右差はなかったが,情 動語の方が申性語より振幅が増大したと事象関連電位(Event−Related Potentials)を用いて分析し報告している。また, Rothら(1989)は,閾下. の言語刺激を繰り返し呈示したとき,言葉の認知を反映するといわれて. いるERPの変化を調べた。その結果,閾下の言語刺激でもP300成分の 潜時が短縮したと述べている。この研究は,閾下知覚効果を十分に実証. しているとはいえないが,闘下刺激に対して中枢神経系の反応をERP で捉えることが可能であることを示唆した研究として注目される。. 次節にERPと認知との関係について述べる。. t3一.

(7) 第2節. 事象関連電位P300成分と認知. 事象関連電位は,知覚刺激などに誘発されて生じる一過性のμV単位の 脳電位活動である。事象関連電位には,誘発電位,運動関連電位,随伴. 性陰性変動などがある。その申で,P300と呼ばれる成分は,感覚情報に 対する脳の高次機能を表現する電位である(今塩屋、1993)。同様に,亀 山ら(1986a)も,注意というよりも,より認知面を反映する電位であると. している。このようなことから,P300成分(図1)は、認知に関連する 電位であると想定できる。. !一’…・∼,!……∼/ 1 5. 」2 曇. 1. 100ms. 輌 一 闇 一 ■ 一鱒 一 一”一 }一胃 o一 一P 輯” 一隔 麟. 振幅(μV). 潜暗(ms) 図! P300の振幅と潜時. P300回分については、 Suttonら(1965)が手がかり刺激に続いて呈示さ. れる試験刺激が音か光かを予測する課題を用いてERPを記録した。そ れによると試験刺激呈示後約300msに陽性ピークを持つ電位変動が報告さ. れた。その後の研究によって,P300は情報呈示に基づく不確実さの解決 に関連して出現し,刺激の情報内容により変動する内因性の電位である ことが明らかになってきた(斎藤1986)。P300と刺激の強度について,下 河内ら(1988)は, r閾値付近の刺激については,その刺激を正しく知覚. 一4一.

(8) でき,その刺激が課題に関連する情報を提供するものであれば,P300が 出現する。しかし,その知覚が暖昧なものでありその刺激がはっきりし た情報を提供しないものであ一 ≠狽ホ, P 300が出現しない。」と述べている。. 認知障害の指標としてP300を用いた研究では,福田(1988)が,臨床的立. 場からまとめている。それによると,痴呆については健常者にくらべP 300の潜時が著しく遅延するとしている。また,分裂病患者については, 亀山ら(1986b)によって, P300の振幅が健常者より小さいことが指摘さ. れている。これら認知障害をもつ患者の研究から推測すると,はっきり. 認知できればP300成分の振幅は増大し、不確かであれば振幅が減少する。 また、潜時ははっきり認知できれば短縮の傾向があり、不確かであれば 潜時が遅延することが考えられる。従って,闘下刺激に対して:P300が出. 現すれば,刺激を知覚したという意識が生じなくても,その刺激を課題 に関連する情報として処理していることを明らかにすることができるも のと考えられる。. P300を出現させる方法として,まず, oddballパラダイムがある。こ. れは,呈示頻度の異なる2種類の刺激をランダムに呈示し,呈示頻度の 少ないほうの呈示回数を被験者に数えさせるとか,注意を向けさせる方 法がある。これで,被験者が信号や標的刺激を正しく見つけられる試行. ではP300は出現し,課題刺激の発見に失敗した試行ではP300は出現し ない。また,積極的に課題を無視させてもP300は出現しない。 P300が 出現するには,被験者が必ず標的刺激を非標的刺激から区別できた場合 に限り,しかも,標的刺激に対しては非標的刺激呈示時とは違った反応 を行う必要がある。つまり,刺激の課題関連性がなければならない。下 河内(1981)は,P300を出現させる条件としては,①その刺激が低頻度確. 率性であること,②その刺激が予想不可能性であること,⑧その刺激が. 一5一.

(9) 課題関連性であることを上げている。刺激の種類は聴覚,視覚,体性感 覚のいずれの刺激によっても中心部及び頭頂部に優位に出現する。これ はP3bと呼ばれている。また,下河内ら(1988)は, P300成分と類似する. が,頭皮上の分布が異なり,生起条件も若干異なる陽性電位があると報. 告している。第1はP3aと呼ばれ,繰り返し音刺激を与えている間に突 然少し違った音を与えたとき,違った音に対して前頭部に現れる呈示確 率依存性の陽性電位である。これは,音刺激に注意を払っていない場合 でも現れる。第2は,一連の視覚刺激の申に新奇刺激を挿入すると,そ の刺激に対して潜時360ms∼450msの陽性波が出現し,中心部と前頭部優 位のBovelP3がある。この様に,様々な成分がみられるが, P 300を現時 点でどのように捉えるべきかは定かではない。しかし,音成ら(1991)は,. 「いくつかの成分が報告されているが,その基本原理は変わらない。」. と述べている。こうした見解から,刺激に関連する課題によって,様々. な成分はあるが総じてこれらをP300成分としてまとめ,認知の指標とし て差し支えないと考える。. 閾下刺激は被験者が刺激を意識できないため,刺激に関連した課題を 設定することが困難である。しかしながら,視覚刺激として電子スチル 写真を用い計数課題を課さずに行った研究(音成ら,1991)はP300成分を 出現させている。また,宮尾(1993)も,電子スチル写真を用いた研究で,. 画面を見つめるだけの課題でP300を出現させている。従って,課題を課 さずに画面に集中させる手続きによりP300を出現させることは可能であ ると考える。. 第3節 本研究の目的 閾下刺激は,刺激のレベルが低いためその効果を行動の変容として捉. 一6一.

(10) えることが困難である。そのためこれまでの研究では,効果を明瞭に実 証できなかった。しかし,行動変容がみられなくても,閾下刺激に対し て申枢神経系が反応していれば,閾下刺激を中枢神経系が受容している と考えられる。この申枢神経素の程度を明らかにすることで,閾下知覚 効果の存在を実証する可能性が見いだせるものと考える。さらに,刺激 の強度を増加したり、あるいは刺激回数を増加することにより,行動変 容の可能性も考えられる。そこで,本研究は,闘下知覚効果の存在を明 確にするという目的で,閾下刺激によって申枢神経系が反応するか否か. を,認知を反映する脳電位の一種である事象関連電位(ERP)のP30 0成分を中心に検討する。さらに,先に閾下刺激を繰り返し受けた効果が,. その後の認知過程においてP300成分と反応時聞に影響を与えるか否かに よって閾下知覚効果を検証する。. 一7一.

(11) 第2章. 研究1. 本章では,Rothら(1989)の研究に従い,視覚による単語の呈示が閾下. で繰り返された時,被験者の閾下刺激に対する意識や呈示回数の変化に よって,P300成分にどのように反映していくかを検討する。. 第1節. 方法. 被験者:被験者は矯正視力を含め視力正常な健常成人12名とした。 年齢は22歳∼41歳であった。 手続き:刺激材料は,幼児・児童の違想語彙表(国立国語研究所,1981). より連想価の高い平仮名3文字とし濁音,促音のないもの70単語をス ライドにした。. 刺激呈示方法は,タキストスコープによりシールドルーム内のスクリ. ーンに約2cm×5cmの大きさに単語を呈示した。被験者は,約1.5m離れ たところがら両眼で刺激を注視した。視角は約2度とした。刺激間間隔. は3秒とし,5回から15回の呈示回数の間に認知できる呈示時間を測 定し,その呈示時間で刺激を呈示した。 実験に際して,被験者には, 「スクリーンに平仮名3文字がでます。. 何が書いてあるかしつかり見てください。何となくわかったと思った時,. ボタンを1回押してください。そして,はっきり認知できた時,2回潔 タンを押してください。後で,呈示さ劇た文字を報告してください。測 定中は楽にして,目はできるだけ動かさないようにしてください。」と,. 教示を与えた。1ブロックの流れは,図2に示した。1ブロック終了ご とに,被験者に刺激の文字を尋ねた。しかし,正誤の判定は知らせなか. った。休息は1ブロック終了ごとに1∼2分取り,15ブロック終了ご とに小休憩として数分聞,30ブロック終了後に10分間大休憩を取る. 一8一.

(12) ことを原則にしたが,必要に応じて適宜休息を取った。. 実験終了後,全被験者に対し,認知できるまでの過程を回心に内省報 告を求めた。. r’一一一”一一一一一『最大17回一 1回目2回目3回目4回目 A回目A+1回目 X回目X+1回目X+2回目. 1ブ. 」一一L⊥層† 鮪一弓仰†⊥■ スタート. スイッチ1回忌 スイッチ2回忌終了刺激確認. 図2 1ブロックの流れ 測定方法:測定室は,防音処理したシールドルームであった。安楽椅 子に被験者をすわらせて測定を行った。脳電位は,10−20国際電極配置法 (図3)に基づき,前頭(Fz),中心(Cz),頭頂(Pz)の3ヶ所を活性電極,. 左右耳朶A1, A2の両耳結合を基準電極として単極導出した。また,主. 要なアーチファクト要因である眼球運動(EOG)監視するため,左眼 よりこれを導出した。接地電極は前額部(FPz)とした。これらの電位は,. データレコーダー(TEAC PU−400)に記録した。試行回数は6 0ブロック行った。. 一9一.

(13) 〔撚ll. /9El・. )/魁. p・・. Fp!. ヂ. キ. 十. 一sl. Eix)ti一 (!1)L .. it 一. ..(ll;〉. . “ . .t(li)“1”Ei. 左前上「一点 ,M. 1}N(t. 右前耳倉・点 .Xl. ゑ T’ ci. t. 十 、ゆ一一”一 一( 1’r )’ HF 一一. Ois〈一i:... キ. 7−t.. Ol. 咲. 1itlLtHli. 。== :c L)e”(,1. (’r一一一一一一一一一CZ I O’”!.. 図3 10−20国際電極配置法 (中村,1992). データ処理:データ処理は,データ処理装置(日本電気三栄 シグナル. ・プロセッサー 7T18)でオフ・ライン処理した。処理条件は以下の 通りであった。帯域周波数は0.5Hzから30Hz,サンプリ・ング・クロックは. 3msとした。 EOGが50μV以上記録された場合は,アーチファクトが生 じたものとして,分析の対象から除外した。また,ブロック終了時に刺. 激の文字の報告が聞違っているブロックと,1ブロックの呈示回数が1 5回を越えても認知できなかったブロックも分析の対象から除外した。. その上で,各被験者ごとに,各ブロックの1回目と2回目を加算し,そ. れを全ブロック分加算した。また,同様に3回目と4回目を加算し,そ れを全ブロック分加算した。各ブロックで被験者が何となくわかってボ. タンを1回押した時をA回目として,A回目とA+1回目を加算し,同. 一10一.

(14) 様に,全ブロック労加算した。各ブロックで被験者がはっきり認知でき. ボタンを2回押した縛をX回目として,X同目, X+1回目, X+2回 目を加算し,同様に全ブロック分加算した。分析時聞は刺激呈示前48ms から,刺激呈示後768msとした。 P 300は原則として,潜時250ms以降に生. じる最大陽性電位として分析した。各電位の振幅は,刺激呈示前48凱sか ら刺激呈示時点までの48ms閥の平均電位を求め,これを基線(0電位)とし て用いた。尚,はっきりと認知できた時(X,X+1,X+2回目)を加算した試行. で、P300の同定ができなかった被験者は除いた。実験装置のセットアッ プは,図4に示した。. Signal Processor. 制御信号 タキストスコープ“. Stimulator. 7T18. トリガー信号. P300. 生. Data Recorder. 生体アンプ 体. PU−400. 図4 実験装置のセットアップ. 一11一.

(15) 第2節 結果 一各被験者の刺激呈示時間は13ms∼55msであった。全ブロックは60ブ. ロック行ったが,呈示回数瀞5回以上15回未満で刺激を認知し且つ刺. 激の読みとりの報告で正答だったブロックは平均32.5ブロック(2 1ブロック∼46ブロック)であった。 各被験者ともシールドルーム内で行い,ほとんど真っ暗な状態で行っ たため眼球運動が少し強く起こった被験者もいた。分析可能な被験者1 2名について,P 300の平均電位と振幅をを表1にまとめた。また,認知 できない時(1,2回目),(3,4回目),何となくわかった時(A,A+1回目),は. っきり認知できる時(X,X+1,X+2回目)のそれぞれの各被験者の重ね書き波. 形と,総加算平均波形を図5∼図8に示した。また,これら4条件の総 加算平均波形を同一時聞軸上に測定部位ごとに示したものが図9∼図1 1である。. P300成hの潜時について4刺激呈示回数条件(1,2回目/3,4回自/A, A+1回目/X,X+1,X+2回目)X3測定部位(Fz/Cz/Pz)の分散分析をした 結果,4刺激呈示回数条件(1,2回目/3,4回目/A,A+1回目/X,X+1,X+2. 回目)の主効果は認められなかった。3測定部位(Fz/Cz/Pz)の主効果 も認められなかった。交互作用があった(F=3.205,df=6,66,Pく0.01)。下. 位検定の結果1,2回目で,CzとFzの聞でCzが有意に遅延した(t=2.334,d f=88,Pく0.05)。 X,X+1,X+2回目で, CzとFzの間でCzが有意に遅延した(t. =2.222,df=88,Pく0.05)。その他には有意なものはなかった。振幅も同様 に4刺激呈示回数条件(1,2回目/3,4回目/A,A+1回目/X,X+1,X÷2回旨). X3測定部位(Fz/Cz/Pz)の分散公析をした結果4刺激呈示回数条件 (1,2回目/3,4回目/A,A+1回目/X,X+1,X+2回目)の主効果の傾向が認め られた(F=2.91,df=3,33, Pく0.1)。主効果の多重比較で1,2回目と3,4回目. t12一.

(16) の振幅で1,2回目が有意に増大した(t=2.532,df=33,Pく0.05)。その他には. 有意な差は認められなかった。下位検定でFzにおいて1,2回目と3,4回目 で1,2回目の振幅が有意に増大した(t=3.OO2,df=99,Pく0.005)。また,3 測定部位(Fz/Cz/Pz)の主効果が(F=4.382,df=2,22,Pく0.05)認められた。. 主効果の多重比較の結果,CzがFzより有意に振幅が増大した(t=2.931,d f=22,Pく0.01)。その他には:有意な差はなかった。下位検定の結果,3,4回 目でCzがFzより有意に増大した(t=3.246,df=88,Pく0.005)。また, Pzの方 がFzより有意に増:大した(t=2。409,df=88,Pく0.05)。. 表1 刺激呈示回数条件ごとの各測定部位(Fz,Cz,Pz). のP300振幅と潜時 振幅(μv). 潜時(ms). Fz Cz Pz. n=12. 1+2回目. Fz. (平均)6.46 7.32 6.98. Cz. 355.75 358.00 361.00. (SD) 2.06 2.32 2.67 35.91 35.80 33.57. 3+4回目. (平均)4.33 6.09 5.63 357.00 356.75 353.25 (S D) 2.94 2.76 2.54 46.54 49.92 5e.77. A+(A+1)回目(平均)5.33 6。76 6.10. 342.00 338.50 337.25. (SD) 2.23 2.60 2.83 18.53 15.29 11.84 X+(X+1)+. (平均) 5.46. 6.08. 5.78. (X+2)回目 (SD)1.73 2.35 1.98. 一13一. 334.75 338.75 339.75. 38.23. 38.09. 37.31. Pz.

(17) Fz. Fz層・. 一一・一一→一一一→遜一一吋ゴ. 一,ノ獣}→ N.. ノ. ’y一. .一V 、,. /. ノ. 一・;三熱Cz. 三諦霧婚. Cz. 蹴 一ナ寸う. +『卜 へ. N. ノ. 瓦ノ/. ’P z. /’. C一邑. th一一v ,ズ ×x .M/ \ノ. 工2μV. 0. 300. 600ms O. 、工2μV. 300. 600ms. 図5 1,2回目の重:ね書き(左)と総加算平均波形(右) リ. ハへが ノノへし. 痩ワ麟Fz 文一 ノハ. Fz. ・嘉_、。、 孟。一斗. Cz獄. Cz. 一+一→ >F一・一==t=Kl. ・蝕/コ’(. 》 ・更一i蔽こ将. X.:.tM.’一’. 戸. Pz麺 フ. D蘇、謙ユ痛”L’ ’”∼P・. 父無. ’欝撃 vx. −r”一一s まゴ『一. I2ptV. 工2μV. O 300 600 ms O 300 600 ms. 図6 3,4回目の重ね書き(左)と総加算平均波形(右). 一14一.

(18) t. 蝋癖i蓼i灘Fz. Fzis,!Egtju.一)As・一. x. .=野」. tt>ttci,tr・’{’一・i’. X. Xy.....一xv..xr’一”’一一’一L”s一一一一m一. x. Cz. Cz. t一一’H一”tTH. ←一一一一ト 一一十一一一1. x.一t /一x一一一一 .一. v. ”一”’一 ’X r−. ハ. Pz. ノ. 饒乙宏Pz. N. H一一. ヘ \. ァへへ. 12pV. 12 sL V. 一 “一一一一一一一一一一一L一一th.一一一一一一一kL一一. O図7300 600ms O 300 600:ms A,A+1回目の重ね書き.(左)と総加算平均波形(右). Fz. F z 一一一ny. .s..一一FK 一U. \__ノML”一’”一f. Cz襲. Cz. Pz;. x. →一. 一. \_._ノ今 ∼一. }==: 蚤 ?s v.r. @’. 一_. 12,uV 121‘V. ノ. 一一L一一一一一L一一一一一L “ O 300 600 ms O 300 600 ms 図8 X,X+1,X+2回目の重ね書き(左)と総加算平均波形(右). 一15一.

(19) ,貧・. 、_鴨の ’h・ ∫. 諏. 、層 /’ /. 一b 一一k. 〃≠㍉諺ンべくこ一、必,・一∼=一一. 穐、. 鷺ゾ ”Xk. 1,2回目. 」. 一…・一一・… 3,4回目 一一一一一一一・ A,A+1回目. 2μV 60皿s. 一・一一一・一一一一一一 X,X+1,X+2回目. 図9 Fzの1,2回目3,4回目A,A+1回目X,X+1,X+2回目の重ね書き波形. t A一一. ドーア. し ノ. t. r一▽一:凝\. ’翻ン7’ げ. マ. ’N. “. ら. ノ. 獣・.∠一\ ヘ ミ 、)/(・、. y−t r. 2μV 60ms. d. ’ / N.ノ〆. it. 、、. J. へ. 1ごンノ\:こ恩_.<二)2. 1,2回臼. 一…・一・一・ 3,4回目 一一一一一… A,A+1回目 一一一一一一一一・ X,X+1,X+2回目. 図10 Czの1,2回目3,4回目A,,A+1回目X,X+1,X+2回目の重ね書き波形. ” ’〉““. ’㏄’. @. へ. =、ド. i. ㌔_㌔/一唖\_/’\. \、・、. ノ●. \〆ミ:\.グ諮.一〆で渓,、_.一!ゾ、ク ,ノ \ンノ ’. \、1鴨ノの tl /t. //. J 2μV. 60ms. 1,2回目. 一…・一・・一 3,4回目 一一一一一一一・ A,A+1回目. 一…一一・ X,X+1,X+2回目. 図11 Pzの1,2回目3,4回目A,A+1回目X,X+1,X+2回目の重ね書き波形. 一16一.

(20) 第3節 考察 闘下刺激を繰り返し呈示した時,刺激を自覚していく過程をP300成分 で検討した。. 各被験者の内省報告では, 「始めはわからないが刺激呈示が進むにつ れ刺激がわかってくる。」 「刺激呈示回数が増えると,だんだんわかっ てきた。」などの報告が多く出された。この報告は,Roth(1989)の研究. での被験者の報告と一致する。このことは,呈示回数が増加するにつれ はっきりと認知ができるようになることを意味している。初期の刺激呈 示では刺激を認知できなくても繰り返し刺激を受けることによって,部 分的な処理が進み,最終的に刺激を認知していると考えられる。従って,. 刺激強度は同じでも,刺激回数が増加すると認知できるようになること は,1回ごとの刺激呈示で,部労的に認知が進んでいくことを示唆して いると=考えられる。’. 1,2回目の認知できない時からX,X+1,X+2回自の認知できる時までの全. ての条件の各加算波形をみると,基線(0電位)より明らかに陽性方向に振. れており,P300成分が同定できたことから,全ての条件で刺激に対して, 中枢神経系が反応していると考えられる。そして,その振幅について, 分散分析の結果から3,4回目と何となくわかったとき(A,A+1回目)とは っきり認知できた時(X,X+1,X+2回目)では振幅に有意な差が認められなか. った。このことから認知していない3,4回目にもP300成分が出現したと 考えられる。しかし,1,2回目の振幅が,3,4回目の振幅より有意に大き. いことから,1,2回自の加算には,定位反応の要素が含まれていると考え. られる。また,統計的には差がないが平均値では,何となくわかった時 が最も振幅が増大し,はっきり認知できると振幅が減少した。これは,. 刺激が明らかに読み取れたため,刺激に対する集申が弱まり振幅が減少. 一17一.

(21) したのではないかと考える。. また,統計的には差がないが平均値で比べると,刺激を自覚していな いときから自覚できるようになるにつれ,振幅が増大し、潜時が短縮す る傾向にあった。村田ら(1993)は,プライミングの繰り返しによってFz,. Cz, Pzの振幅が増大したと報告している。本研究も繰り返し呈示するこ. とから振幅が増大している。従って,先行する閾下刺激によって後続の 刺激を活性化し処理を推進しているのではないか。言い換えれば,先行 の閾下刺激によるプライミング効果の影響ではないかと考える。. P300の振幅については,第1章第2節で述べたように,複数の成分が 考えられる。亀山ら(1986a)は, novel P3は同じ・novel刺激を繰り返すと. 出現しなくなる。P3bはPzの振幅が優位であるとしている。この点から考. 察すると,本研究でのP300は刺激を一定間隔で繰り返し呈示しているに もかかわらず減衰しないことから,新奇刺激に対して出現するn。vel P3. ではないと考えられる。また,Fzの振幅よりよりCzの振幅が優位になり、 CzとPzでは振幅の有意差がなかったことからP3bであると考えられる。 P300の潜時について検討すると,1,2回躍,3,4回冒,何となくわかっ た時,}まっきり認知した時で有意な差は認められなかった。しかし,平 均植でみる限り自覚していない1,2回目や3,4回目より何となくわかった. 時やはっきり認知した時のほうが潜時が短縮している。この結果は痴呆 患者が健常者に比べ,P300潜晦が遅延するという先行研究(亀山ら,198 6b)の結果から考えると,はっきり認知ができるにつれて潜時が短縮する ことになり妥当なものといえる。. 以上より,刺激語を自覚していない1,2回圏や3,4回目においても自覚. して刺激語を認知している時と比べ振幅に有意な差がないP300が出現し たことは,閾下刺激に対して明らかに申枢神経系が反応していることを. 一 18 一.

(22) 示唆している。. 本研究では,刺激の強度を一定にして連続的に繰り返し刺激を呈示す. ることによって,刺激内容を自覚した時と自覚できない時でP300の変化 を比較検討し閾下知覚の申枢神経系の反応について検討した。次に,刺 激の強度を変えて,自覚で壷る時と自覚できtsい時の, P 300成分の比較 検討を試みた。. 一19一.

(23) 第3章 研究9 文字刺激を閾下(5ms),闘上(100ms),刺激なしの3条件で繰り返し与. えた時のERPを比較し,認知できない時,はっきり認知できる時,刺 激がない時のP300成分の違いを検討する。. 第1節 方法 被験者:被験者は,矯疋視力を含む視力正常成人24名 年齢は22歳∼41歳であった。. 手続き:刺激材料は,研究1と同様である。 刺激呈示時間の3条件(5ms間呈示,100ms間呈示,刺激なし)で各条件 間のカウンターバランスをとり実施した。刺激間間隔は3秒とした。 実験に際しては,100ms聞呈示の時は, 「スクリーーンに平仮名3文字が. 100ms聞ごとに繰り返してでます。何が書いてあるかしつかり読みとって ください。わかっても,最後まで読みとってください。」と,教示を与 えた。5ms間呈示の時は, 「スクリーンに平仮名3文字が5msでます。何. が書いてあるか,しっかり読みとってください。わからなくても,最後 まで読み取る努力をしてください。Jと教示を与えた。刺激なしの時は, 「非常に短い呈示疇聞で文字を呈示します。何が書いてあるかしつかり 読みとってください。わからなくても,最後まで読み取る努力をしてく. ださい。1と教示を与えた。各条件ごとに共通して「測定中は楽にして, 目はできるだけ動かさないようにしてください。」という教示も与えた。. 1条件終了後に,刺激文字について尋ねた。休息は,原則として1条件 終了ごとに数分間取るようにした。. 実験終了後に,全被験者に対して実験申考えていたことなどを内省報 告として尋ねた。. 一2e一.

(24) 測定方法:ERPの測定は,研究1と同様の条件で行った。 各条件は,原則として50回加算するまで行った。 データ処理:データ処理は,データ処理装置(日本電気三栄 シグナル・. プロセッサー 7T18)でオフ・ライン処理した。処理条件は,研究1 と同様である。加算回数は,EOGなどで除外した試行を除いて各条件 50回加算した。また,分析時間を刺激呈示前96msから,刺激呈示後672m. sに変更して各被験者の3条件それぞれの50回加算申の最初の3試行だ けを取り出し,それを24名分各条件ごとに加算を行った。ブロック終 了時の報告で,100ms間呈示のブロックで,刺激文字が正確に認知できな かった被験者,5ms間呈示のブロックで,刺激文字が正確に認知できた被 験者は分析から除外した。また,刺激なしのブロックでα波が出現した 被験者も分析の対象から除外した。. 第2節 結果 5ms間呈示と刺激なしの条件では、 P 300が同定できない被験者がいた。. 100ms間呈示では、はっきり認知できたと内省報告しているが、視覚刺激 に対するP300成分の振幅が小さい結果になった。100ms間呈示の時の被験. 者24名の電位を重ね書きしたものと、総加算平均波形を図12に、5m s間呈示の時の被験者24名の電位を重ね書きしたものと、総加算平均波. 形を図13に、刺激なしの時の被験者24名の電位を重ね書きしたもの と、総加算平均波形を図14}こ示した。また、各被験者の3条件それぞ. れの50回加算申の最初の3試行だけを取り出し,それを24名分各条 件ごとに加算した波形を電極の部位ごとに図15∼図17に示した。ま た,100ms間呈示,5ms問呈示,刺激なしの各3条件ごとのP 3eoの平均振. 一21一.

(25) 幅と平均潜時を表2にまとめた。. 100ms間呈示と5ms間呈示についてP300の振幅と潜時について各測定部 位ごとにt検定を行った結果,潜蒔においてFz,Cz,Pzの各部位で100ms聞 呈示の潜時か有意に短縮している(t=2.809,df=42 Pく0.01;t=2.796,df=4. 2Pく0.01;t=3.458,df=42 Pく0.01)。同様にP300の振幅についてt検定を. 行ったが3部位いずれも有意な差は認められなかった。. 表2 各3条件ごとの各電極部位(Fz,Cz,Pz)のP300の振幅と潜時. 振幅(Pt v). 潜時(ms). Fz Cz. Fz Cz Pz. Pz. 00ms間呈示(平均)3.92. 4.55. 4.49. 344.75. 343.13. 346.38. @. P.77. P謹9. Q8.33. Q3.09. Q3.32. 4.44. 4.38. 387.45. 380.32. 385.8◎. (SD)1.86. ms間呈示 (平均)3.51. (SD) 1.97 2.03 1.79 65.80 5&43 52.86 刺激なし. 同定不可. 同定不可. *は100ms間呈示と5ms間呈示の間でPく0.01の有意差のあったもの. 一22一.

(26) Fz. IF z=一一一一. ぜ▽7 フ 、ノ. .’. Cz. ンこ黒. E難三. ヲ.蕪1 三、. Cz. IO’一一’“一’”一S“t’N’,一一HL’.一M一’.」. Lbyv’ /. lpz. Pz. ザ. ゆ. か ト イ ト. \\、△/〔 〉〆 、ノ. 12 pc v. 12ptV. 〇 300 600 ms O. 300 600 MS “M−uL一一一一ptL一 一 図12 100ms間呈示の重ね書き(左)と総加算平’均波形(右). 一トー一一. Fz. Cz. ’周. bz. N−hL=7FKgH一一一. う + 1突_, ト7一. ’x.. /へhノ \. Nr.一. w“t. .ノ. di’一. Pz 12 pt V. 一ptL.一一.一..一. 〇 300 600ms O 300 600)ms 図13 5ms間呈示のの重ね書き(左)と総加算平均波形(右). 一23一.

(27) siF z 一一一一. 1“ z. 一ノ冨. へ囲睾』・一 一. Ctl.. Pz・一 繍誌舜鍵講P。_.. .一一w. /IN一一一T,s一. 一th 鼈黶g. ?鼈. 12 ,, v. 12 pt V. O図14300 600im$ O 300 600ms 刺激なしの重ね書き(左)と総加算平均波形(右). へ9}. t、へ. L ㌧噺 i一一i !LX!C. 、ノ (. ∫4. vxKY・. ・㌧一 入 Y’卜《ヤプ烹諦∼ 伸’ト’a← ㌧.、・ノ・/v、亀 ●む㌔・㌔. w,t. 一kNv... X」1;;.Ji. ,、煽 ,{\. ご ノ ノ.曳・. ㌃. sN r’一 f. m.t. し♂イ「. ・.. 1 ’ゐ。、、_輔. f. L2ptv 100msec間呈示 Tmsec聞呈示. ・一……一一…. 60ms. 一一・一一一・一一一・・. 図15 各試行の:最初3回の総加算平均波形(Fz). 一24一. h激なし.

(28) ‘st,. tM. 帯譲ぐ∀篤ザ(rヂL愚μ勢 v s i v x w rへ. Iil. .ハ .. ,h. `−i:一.Ms. .一一. /’ 縄. t. N. N. ””. ’. Nl). f’r∼ヘ. ・へ. ノ 、、ノ/”’NN一・“‘’V’. .ノ. .ノゾ 、も∼、 ,tnf. vl. 」 2ptv. 100msec間呈示 …一……… Tmsec間呈示. 60ms. h激なし. 一一・一一一一一・・. 図16 各試行の最初3回の総記;算平均波形(Cz). v許熟 /忍. い、1↑・ ’. へ. /. m’^、. ,ヘへ∂. ノ/ 訟⊥.!. ノN一,、 →一一プ滞‘ 照. ’. ゾ @. 、. @. 吻、. 、. \!. @. し. 、. 、. \一. 、 、》一へ 、汽 ・. @ @. / 、 !・.へ㌧.!^’. \ ノ. 「》. 、 ,.♂㌧・!. 、 ぺ.レ・r. @. 100碗sec聞呈 一1 2 p‘ V. ・一一一一一一一一一一一一. 60ms. @5msec間呈示. 一一・一一・一一“一・一・一・・. 図17 各試行の最初3回の総加算平均波形(Pz). 一25一. h激なし.

(29) 第3節 考察 100ms聞呈示の条件では5ms間呈示条件よりP300の潜時が有意に短縮し た。これは,刺激の強度が増すと潜時が短縮するが振幅は変化しない(P apnicolaouら1985)という先行研究に一致している。振幅については,1. 00ms間呈示も5ms間呈示も差がないことから,はっきり認知できる100ms 間呈示の条件では,総加算平均波形でみると振幅は比較的小さいが明瞭 にP300が同定できた。また,5ms間呈示のブロックでは,何もわからな いと内省報告しているにも関わらず,P300が明瞭ではないが出現した。. 刺激なしでは,P300を同定できなかった。このことは,明らかに認知が できる試行では,当然のことながら呈示刺激に対して,P300が出現して おり,申枢神経系での認知処理が行われている。同時に自覚的に認知が. できない5ms間呈示の刺激に対しても認知にともなう処理が中枢神経 系で行われていることになる。. P300成分の振幅が小さいのは,一・定の間隔で同じ刺激を繰り返させる. 実験だったために,ブロックの後半になって慣れが生じたのではないか と考えられる。そこで,各被験者の最初の3試行だけを加算した波形で. みるならば,100ms間呈示でP300は明瞭に出現した。5ms間呈示の試 行でも,振幅が増大し明瞭になった。そして,刺激なしでは,やはりP. 300が同定できなかった(図15∼図17)。下河内ら(1988)は,刺 激強度によって正しく知覚すればP300が出現し,曖昧な刺激に対しては 出現しないとしている。本実験では,閾下刺激に対して明瞭ではないが P300が出現していることから,閾下刺激に対しても中枢神経系が反応し ている可能性が示唆れた。閾下刺激に対しても申枢神経系が反応してい るならば,その効果が現れてくる可能性がある。そこで,次の研究皿で 先行する闘下刺激により後続の閾上刺激の認知に変化が生ごるか否かを,. 一26一.

(30) 申枢神経系の指標であるERPと単純な行動指標の反応時間で捉えるこ とにする。. 一27一.

(31) 第4章 研究皿 闘下で刺激を繰り返し呈示した場合,その刺激が通常の閾上での刺激. 弁別時に,他の刺激と異なった申枢神経系の反応を示すかどうかをER Pの差異から検討した。. 第1節 方法 被験者:被験者は矯正視力を含む視力正常な大学生及び大学院生7名 年齢は18歳∼32歳であった。各被験者はすべて右利きであった。被験. 者7名の内,右手で標的刺激語に反応させた者は4名,左手で反応させ た者が3名であった。. 手続き:刺激材料は,研究1と同様である。 [実験条件]被験者は,始めに刺激語(有意味語)を閾下(5恥s聞呈示)で 200回から300回注視する。 (この刺激を以後target刺激と呼ぶ)その後,. target刺激と始めに閾下で呈示しなかった刺激語(以後non−tar欝t刺激 と呼ぶ)を闘上(100ms間呈示)でランダムに呈示させ,2種類の刺激語に 対して左右のボタン押しを課した。 実験}こ際しては, r1秒おきに5ms間刺激が250回程度繰り返しでます。. わからないかも知れませんが,最後までしっかり見てください。」と, 教示を与えた。target刺激の闘下呈示終了後に, 「次は、平均2秒おき に1eOms間刺激語が繰り返しでます。それで,刺激の文字を読みとって, 「おかし」が出たら右のボタンを, 「はものJが出たら左のボタンをで. きるだけ早く,正確に押してください。また,冒はできるだけ動かさな いようにしてください。」と,教示を与えた。刺激語は被験者によって. 変えた。被験者には,閾下でみせた刺激語が,弁別の2種類の刺激語の 申に含まれていることは知らせなかった。. [統制条件]条件として閾下刺激を見せないで,別の2種類の刺激語を. 一28一.

(32) 同様にランダムに呈示し,ボタン押し課題を課した。そして, 「次も、. 平均2秒おきに100ms間刺激語が繰り返しでます。それで,刺激の文字を 読みとって, 「けいと」が出たら右のボタンを, 「さそり」が出たら左. のボタンをできるだけ早くそして,正確に押してください。また,目は できるだけ動かさないようにしてください。」と,教示を与えた。刺激 語は被験者によって変えた。. 測定方法:ERPの測定は,研究1と同様の条件で行った。 加算回数は,原則としてEOGの生じた試行や過大な電位変動の生じ た試行を分析対象から除外し50回加算できるまで刺激呈示を行った。 データ処理 データ処理は,データ処理装置く日本電気三栄 シグナル・. プロセッサー 7T18)でオフ・ライン処理した。処理条件は,研究1 と同様である。但し,分析時間は刺激呈示前96msから,刺激呈示後672m sとした。加算は,ボタン押し課題の正反応試行のうち反応時聞が200ms. ∼1000msまでの内,平均値の±2SDより離れた試行とEOGなどで除 外された試行を除いて加算した。反応時間は,正反応の内200皿s∼1000m. sまでの内平均値の±2SDより離れた試行を除外して牙析した。. 第2節 結果 実験条件のtarget刺激とnon−target刺激に対する各測定部位のP300成分. の平均振幅と潜時を表3に示した。また,統制条件では右手と左手で反 応したときのP300成分の平均振幅と潜時を表4に示した。 実験条件のP300成分の潜時について2刺激語(target/non−target)× 3測定部位(Fz/Cz/Pz)の分散分析を行った結果,刺激語(target/non一. 一29一.

(33) target)に主効果の傾向が認められた(F=4.912,df=1,6 Pく0.1)。交互作用 の傾向も認められた(F=3.863,df=2,12 Pく0.1)。 target刺激がnon−targe. t刺激より潜時が短縮する傾向が認められた(t=2.216,df=6,Pく0.1)。交互. 作用における.単純主効果はFz, Cz, Pzにおいてそれぞれta聡et刺激がno n−target刺激より有意に短縮している(F=6.694,df=1,18 PくO.05;F=4.74 1,df=1,18 Pく0.05;F=3.215,df=1,18 Pぐ0.1)。また, target刺激において. 測定部位に単純主効果が認められた(F=3.581,df=2,24 Pく0.05)。多重比. 較すると,target刺激においてFzがPzより有意に短縮する傾向が認めら 才した(t=2.672,df=24,Pく0.05)。. 実験条件の振編について2刺激語(target/non・target)X3測定部位 (Fz/Cz!Pz)の分散分析を行った結果測定部位(Fz/Cz!Pz)の主効果が認 められた(F=11.797,df=2,12 Pくe.005)。 target刺激とnon−target刺激の. 主効果と交互作用は認められなかった。測定部位による主効果の多重比 較をすると,Fz<Cz(t=3.073,df=12,P〈0.01),Fz<Pz(t=4.794,df=12,Pく. 0.001)で有意であった。しかし,CzとPzには有意な差はなかった。 統制条件の振幅について2要因の分散分析の結果測定部位(Fz/Cz/Pz) の主効果が認めらわた(F=12.796,df=2,12 Pく0.005)。刺激語の主効果と. 交互作用は認められなかった。測定部位の主効果における多重比較から, Fz<Cz(t=2.449,df=12,Pく0.05),Fz<Pz(t=5.058,df=12,Pく0.001),Cz<. Pz(t=2.609,df=12,Pく0.05)で有意である。同様に,潜時について分散分. 析を行ったが,主効果交互作用共に認められなかった。 反応時間についてのtarget刺激に対する平均反応時聞とnon−target刺 激に対する反応時聞を分散分析したが,有意な差は認められなかった。. 統制条件の右手と左手の反応時間にも有意な差は認められなかった。反 応時間は表5にまとめた。. 一30一.

(34) また,各被験者は実験終了後の内省報告の結果,5ms間呈示で繰り返 し呈示したtarget刺激がまったく認知できなかったと報告した。. 表3 実験条件のtarget刺激とnon−target刺激に対するP300成分 の各測定部位ごとの平均振幅と潜時. 振幅(μv). Fz Cz tar歪ζet剃激. 潜時(ms). Pz. (平均)6.20 8.85 9.67. Fz. Cz. 380.14 387.00 392.57. (S D) 2.61 3.60 3.39 52.05 44.73 39.91 non−target. 刺激:. (平均) 5.02. 6.87. 8.57. 423.43. (SD)3.08 3.57 2.76. 51.85. 一31一. Pz. 423.43. 47.23. 422.57. 44.22.

(35) 表4 統制条件の右手と左手に対するP300成分の各測定部位ごとの平 均振幅とと潜時. 振幅(μv). Fz Cz 右. 潜時(ms). Fz. Pz. (平均)5.65 7.20 9.00. Cz. Pz. 398.14 399.86 400.71. (SD) 2.41 2.17 2.17 69.19 68.93 62.50 左. (平均)4.12 6.35 8.57. 383.14 381.86 373.28. (SD) 3.36 3.59 3.20 61.18 5&89 51.64. 表5 実験条件でのtarget刺激とn◎n−target刺激に対する反応時間と 統制条件での右手と左手の反応時間. 反応時間(ms). target. (平均). (SD). 521. 70 96. 31. 実験条件 non−target (平均). (SD) 右. 506. 54 47. 64. (平均). (SD). 471. 96 78. 07. 統制条件 左. (平均). (SD). 一32一. 500. 38 80. 02.

(36) xx. Fz三 Cz. 宙黹 一. C、,. 一wt=.7Ar一一一M. 気. 7<こ’. /チピ. ,” C’z−sp一一. @ ド》 、. 一.. 「!. r一. /”儲轡. \ 〆ノ !. Y ’蚊/〃、 / ’ノ \. / く’. ㌣,・へ\. \▽へ\ //. se. 、. XHv!ノ/. ㎡. \、, ■. Pz ・メ⊃ぐ丞\. \鷲添. ノ. .ノ. oz. \ \\/. ’. /. 、ピ. 5μ. 200 300 400 50Qms o loo 200 300 40e 500yns 実験条件のtarget刺激に対する重ね書き(左)と総加算. O 100. 図18. 平均波形(右) \. Fz. 、. 一、、. 門、. ・.∠うぐ\ ・r鍛\. \. へ_. 鍍、へt\1・F・. 》総/. \ノ fr. Cz. 騨−. A、へ. ノ「. 黛. 編\》1\賃蒲CZム)▽ここ/ Kx:. ’Pz. 偽. .〆‘・へ. ぺ、_餐載デ\倉.. ’. ’曽. Pz. 貿 御t. 15#v. 5μ 1. O IQO. 200 300 400 500MS O 100 200 300 400 500ms 図19 実験条件のnon−target刺激に対する重ね書き(左)と総加 算平均波形(右) 一33一.

(37) ・商レ. F。鎌・瓢7 〈’Jtt’ktN. 図解へ. 孕 曾. 〆へ. .一『. ィ一一一一一一 _/へV/\. 一一一一一一幽噂. \ノ. \. Cz. ‘ぐ\、. Cz. / 、 、 誇. !◎. ロ認. \. \へ恢ノ〆. 、\. 0. 一 100. 200. 300. 400. 500rns. O. 騨 200. 100. 300 4◎0. 500ms. 図20統制条件の右手に対する重ね書き(左)と総加算平均波形(右) ノへ 」. ハ、 j. 馳,「. \∠撫 、P・、. ノ 、. r㌔. 「. ズ!. Cz∼一一兀τ二二=フ →. ン. 〆. 緯. 、. 一. /』9”こ沖’. { 、ーノ. 4 ,. 、〆. )/、. つ 《・). 筑. 蕊毒 v. 一. 曇ミ. Pz. 峡, .. _ノ @し〆 @ }5μ. てスこ/ lsiLv. o loo 200 300 400 500ms O 100 200 300 400 500 ms 図21統制条件の左手に対する重ね書き(左)と総加算平均波形(右). 一34一.

(38) 第3節 考察 target刺激とnon−target刺激に対するP300成分の違いを検討した。さら に,統制条件との比較から,闘下刺激の効果を検討した。. 結果をみると,明瞭にP300成分が出現した。その理由として,刺激に 対して明瞭な課題を与えたこと,刺激がtarget刺激語とnon−target刺激. 語と等確率ではあるがランダムに呈示したことなどが原因であると考え られる。. 刺激呈示後250ms以降の最大陽性振幅をみると,実験条件,統制条件共. にPzが優位になった。従って,この成分は研究1で述べたようにP3bで あると考えられる。. P300成分について, target刺激語に対するP300成分の潜時は, non−. target刺激語に対するP300成分の潜時より有意に短縮する傾向がみられ た。このことは,P300の潜時が刺激の評価時聞の変動を反映している (下河内,1981)とするならば,先行刺激の受容が,その刺激と同じ後続刺. 激の処理に促進効果を及ぼすという直接プライミングによるプライミン. グ効果を起こしたと考えられる。ここで言う先行刺激とは,ERP測定 前に呈示した250回から300回程度繰り返し呈示した闘下刺激のことであ る。振幅については、統計的には有意ではないが、平均値でみる限り. target刺激語に対して増大している。このことも,直接プライミング効 果によりtarget刺激語に対する活性化が起こり, target刺激語の方がよ り認知できたことを意味していると考える。. 統制条件については,2つの刺激語に対するP300成分の潜時・振幅に 有意な差が認められなかった。この事から,ボタン押しの左右差は認め られなかった。. 以上のことから,はじめに繰り返し与えた閾下刺激が後の刺激の処理に. 一35t.

(39) 影響を与えたことになる。. 反応時間は,統制条件の右手と左手の差は認められなかった。また, target刺激語とnon−target刺激語に対する反応時間にも有意な差が認め. られなかった。これは実験に際して練習試行を行わなかったことが結果 に大きく影響しているものと考えられる。大平(1992)が閾下言語処理に. おけるプライミングの実験で,閾下刺激による活性化拡散範囲が狭いこ とを指摘している。従って,:本実験でも,閾下刺激の効果が弱いため. target刺激に対する反応時間の促進効果に影響を与えなかったと考えら れる。. 本研究では,始めに与えた閾下刺激が,申枢神経系で作用して,tar・. get刺激に対してP300成分の潜時が短縮する結果を示した。このことは 先行して繰り返し与えた闘下刺激に対して中枢神経系が反応しており, 後の刺激の処理に影響を与えることを意味するものである。. 一36一.

(40) 第5章 全体のまとめ及び考察と今後の課題 本研究は、閾下知覚効果の有無を確認することが最大の目的であった。. まず始めに,小学生を対象に,閾下知覚効果を行動指標で捉えようと した。しかしながら,多くの研究者が指摘しているように、閾下刺激に. よって行動の変容をみることができなかった。その理由として,被験者 に対する凝ントロールが非常に困難であることが考えられた。例えば,. 被験者は日常生活のなかでさまざまな刺激を実験者が気づかない内に実 験の手がかりとして刺激を与えている可能性がある。こうした,被験者 に対する環境のコントロールが困難であることが,閾下知覚効果を明瞭 にし得ない原因になっている。. そこで,次に生理指標で閾下知覚効果を検討した。まず第一に,閾下. 知覚効果を中枢神経系が反応しているか否かの検討を行った。研究1で は、刺激呈示の強度は変わらない状態で閾下刺激を繰り返し与え,被験 者が刺激の内容を自覚していない時にも、P300成分が出現した。また, 刺激の内容が自覚できたときにもP300が出現する結果を得た。そして, そのP300成分の潜時,振幅に統計的な有意な差は認められなかった。従 って,本実験では,本人が刺激の内容を自覚していない閾下の刺激に対 しても認知できる刺激と同様に中枢神経系が反応している。このことは 申枢神経系が閾下刺激に反応していることになり,閾下知覚の可能性が 示唆された。また,被験者の内省報告からも閾下の刺激を繰り返し与え た時,閾下刺激に対して部分的に情報処理が進んでいることが示唆され た。. 次に,研究皿では,刺激強度の強い閾上刺激と刺激強度の弱い閾下刺. 激さらに刺激なしでP300を検討した。閾上刺激を与えた被験者は,刺激 内容が自覚でき,認知できP300成分も明瞭に出現した。また、闘下刺激. 一37一.

(41) に対しても被験者は刺激内容を自覚できないと内省報告したが,中枢神. 経系では認知の指標であるP300成分が出現した。刺激なしの試行では被. 験者はERPの反応を示さなかった。これらのことから,5ms間呈示の閾 下刺激に対しても申枢神経系が反応していることが示唆された。 また,研究1と研究fiのP300成分の潜時を比較す,ると,100ms間呈示の. 時が最も潜時が短縮し,5鵬聞呈示の時が最も遅延する結果になった。 これは,研究1の呈示時間が閾下ではあるが比較的長く13ms∼55船であ ったためと考えられる。この事から,劇激呈示時間が長ければP300成分 の潜時は短縮し,呈示時間が短くなるにつれ潜時は遅延していくことを 示している。. 研究1,皿より閾下刺激に申枢神経系が反応していることが示唆され た。そこで,研究皿では,より実際的応用を踏まえて閾下刺激の効果が 現れるかを検討した。被験者にあらかじめ閾下刺激を繰り返しあたえて. おき,閾下で与えた刺激と与えなかった刺激でERPの違いと課題に対 する反応時間の差から検討することにした。その結果,閾下で繰り返し 刺激を与えた刺激に対してP 300成分の潜時が短縮する傾向が認められた。. 振幅には,統計的な差はないが平均値では増大する傾向が認められた。. このことから,先に与えた閾下刺激が,後に与えた刺激の処理に影響を 与えたことになり,閾下知覚効果の存在を示唆した結果になった。 反. 応時間については,被験者内でもSDが大きくばらつく結果になった。. さらに,被験者間のSDも大きくなり,閾下刺激に対する効果の差は認 められなかった。. 以上から,申枢神経系が閾下刺激に反応していることか示唆され,閾 下知覚の効果がP300成分に明らかに認められた。 本研究についてまとめると,本人が自覚されない閾下刺激たよって申. 一38一.

(42) 枢神経系が反応し,P300回分を出現させた。このことは,本人は自覚し ていないが闘下刺激を認知していることを示唆している。また,内省報 告から閾下刺激を繰り返し呈示することによって,刺激内容が認知でき ることは先行する閾下刺激によって,後続刺激の情報処理の活性化が起 こったことになる。言い換えるならば,直接プライミングのプライミン グ効果があることを示唆している。また,研究1では,平均値でみると P300成分の潜時と振幅の差が認められた。研究皿おいても,潜時に閾下 刺激の効果が認められた。しかし,行動の変容までにはいたらなかった。 閾下刺激が極めて弱い刺激のため,変化が現れにくいことも事実である。. 閾下刺激の刺激強度を高めて行うことがより明瞭に効果を出現させるこ とになるであろう。. また,本研究はP300成分を申心に検討してきたが,初期成分であるNl 成分,N2成分,P2成分などの分析を今後行うことによって,より明確に閾 下知覚効果の検証ができるものと考える。. 教育への応用を考えると、児童生徒が閾下刺激を受けることによって 現段階では、直ちに行動の変容が起こるとはいいがたいが、自覚できな い閾下刺激に対しても申枢神経系で反応していることから、閾下刺激が 行動の変容の一助になることは明らかである。また,直接プライミング 効果は長期持続性が注目されている(太田,1991)。従って、教師の指導と. 併用すれば、効果が期待できると考える。例えば、登校拒否児に対して、. 適切な刺激語を日常生活のテレビやVTRを通して、与えながら、専門 機関の指導を受けるなどの応用が考えられる。また、障害児教育にも日. 常生活の指導にVTRなどと併用すれば、弱い刺激を繰り返し呈示する ことによって、学習効果が上がると期待できる。今後、刺激の強度、呈 示時間、呈示回数並びに有効な刺激のメッセージを検討することによっ. 一39一.

(43) て、教育への応用が開けて行くと考える。. ・一. @40 一.

(44) 参考文献 Bryant−Tuekett,R・,Silverman,L・H・, 1984 Effects of the Subliminal. Stimulation of Symbiotic Fantasies on the Academic Perform− anee of Emotionally HaRdicapped students., /ett”al ef eoun− seling Ps3“eholog““,31(3),295−3e5. 福田正人・斎藤 治・亀山知道・平松謙一・・丹羽真一1988P300の臨床, 神経進歩,32(1),163−176 Greenberg, A・C. 1992 Subliminal Psychodynamic Activation Nethod afid AnAShilatiofi Anxiety: Prelimiilary Findings.,Pereeptual and pteter Skills,74,219−225. 池上知子・川口 潤 1989 敵意語・友好語の意識的・無意識的処理が 他者のパーソナリティ評価に及ぼす効果,心理学研究,60(1),38−. 44. 三盛屋隼男 1993 障害児の事象関連電位 北大路書房 門林岩雄・井上 健・申村道彦 1983 脳波 金芳三 二藤義明 1965 New Look心理学の展望,心理学研究,36(3),14◎一154. 亀山知道・平松ew 一一・斎藤 治 1986a 認知機能に関する事象関連電位. (特に:P300)と精神科領域におけるその測定の価値 一第1回一,精 神医学,28(4),364−378. 亀山知道・平松謙一・斎藤 治 1986a 認知機能に関する事象関連電位 (特にP300)と精神科領域におけるその測定の価値 一第2回一,精 神医学,28(6),598−611 Kostandov,E・A・, Arzumanov,YU.L. 1986 The lnfluence of Subliminal Emotional biords on Funetional fiemispheric Asymmetry., /nter− nn t ionaノ ノOttna/ ef As}・(ch ephンsiologs’, 4, 143−147. 一41一.

(45) 国立国語研究所 1981 幼児・現童の連想語彙表 頭音語彙表 213−30 9. 川口 潤 1983 プライミング効果と意識的処理・無意識的処理,心理 学評論,26(2) 109−128. 川口潤1987先行刺激処理の意味的水準とプライミング効果,心理 学研究,57(6)350−356. 宮城音弥・宇留野藤雄・多湖 輝 1952闘下知覚の実験的研究,心理学 研究,22,248. 諸冨 隆 1992視知覚と視覚誘発電位(1)北海道大学教育学部紀要 57,29−116. 村田祥子・諸冨 隆 1993 事象関連電位におけるプライミング課題繰 り返しの効果,生理心理,11(1),23−29. 中村道彦・井上 健 1992 脳波のとり方と読み方 4.脳波の誘導法, 臨床脳波,34(4),264−268. 太田信央 1991 直接プライミング,心理学研究,62(2),119−135. 音成龍司・黒田康夫・柿木隆介・藤山文乃・鎗田 勝 1991視覚刺激に よる課題非関連性事象関連電位:電子スチル写真を用いた新しい刺 激法の提案,脳波と筋電図,19(1),25・31 Papanieolaou,A.C., Loring,D.W・,Raz,N.,Eisenberg,H.M. 1985 Rela− tionship between intensity and the P300・ Pss’ehoph3“sie/os““ 22,. 326−329 Roth,N., Boddy,J. 1989 Event−related poteRtials and the recogni−. tion of subliminally exposed words after repeated presen− tation.. !ourna/ ef 2s♪’ekρρh3・’3iρ108ダ, 3, 281−289. Russell,T・G・, Rowe,W・, Smouse,A. 1991 Subliminal Self−Help Tapes. 一42一.

(46) and 《cademic Achievement: An Evaluation, /0ttrna/ ef Counseノー. ing di Pevelepaent, 69, 359−362. 斎藤治・平松謙一・亀山知道・福田正人・丹羽真一・伊藤憲治1986 注意と事象関連電位,神経進歩,30(5),827−840 斎藤稔正 1990 催眠状態での閾下暗示の効果一和痛による検dat 一一e催 眠額研究, 35(1.2),5−11. Silverman,L・,H・ 1985 Researeh on psychoanalytic psychodynamie propositions, Cノノ〃ノeal Ps}・ eh ela8♪’Reγノθが, 5, 247−257. 下河内稔 1981a事象関連電位(1),臨床脳波,23(10),683−690 下河内稔 1981b事象関連電位(皿),臨床脳波,23(11),743−752. 下河内稔・投石保広・楊井一彦・小山幸子1988P300の基礎,神経進歩, 32(1), 149−162 Sutton,S・,Braren,M., Zubin, J・ and John, E・R・ 1965 Evoked poten−. tial eorrelates of stimulus uncertaiRty., Seience, 150, 1187. −1188. 梅津八三・相良守次・宮城音弥・依田 新(監修)1981新版心理学事典, 平凡社. 一43一.

(47) 謝辞 本論文作成に当たり、終始、懇切丁寧な御指導をいただきました、兵 庫教育大学障害児教育講座教授、今塩屋隼男先生、ならびに障害児教育 講座助手、七木田敦先生に深謝申し上げます。また、数多くのご助言を 頂戴した、障害児教育講座の諸先生方に感謝申し上げます。. 実験用プログラム作成に協力していただいた今塩屋隼男研究室の岩木 信喜氏、および数々のご協力をいただいた北川憲明氏、橋間省造氏、稲 垣和男氏、高階恵子氏、白鳥忠氏をはじめとする障害児教育講座の大学 院学生諸氏に心よりお礼申し上げます。. 本論文作成上の調査に当たり、ひとかたならぬお世話になりました加 古川市立八幡小学校校長、藤井正昭先生をはじめとする諸先生方に深謝 申し上げます。. そして何より、調査に直接ご協力してくださったお子様方、学生及び 大学院生のかたがたに心よりお礼申し上げます。. 平成5年12月20日. 一44一.

(48) 資料 予備研究. 第1節 目的 闘下知覚効果を行動指標で捉える目的で行った。小学生の動物に対す る興味が閾下刺激によって変化するか否かを調べ,閾下知覚効果を検討 した。. 第2節 方法 小学生(1年生∼6年生)410名を対象に実験を行った。被験者の 内訳は下記に示した。. 1年生 65名 2年生 58名 3年生 72名 4年生 62名 5年生 78名 6年生 75名 刺激材料は,教材用VTRに視覚刺激として親子の象の写真を5秒間 隔で,60分の1秒間挿入し,聴覚刺激として,閾下になるように元の 音声でマスキングし, 「象はかわいいね」 r象がすきJを繰り返し挿入 した。. 手続きは,実験に先立ち事前調査として平仮名2文字の10種類の動 物名から好きな動物を全児童に選択させた。その後,被験者は刺激を挿. 入したVTRを授業前に約5分聞視聴した。こ轟を1週間に約4回で約 1ヶ月聞続けた。その後,申間調査として,もう一度,好きな動物を調. 査した。さらに,同様に1週聞に約4回で約1ヶ月間VTRを視聴させ た。その後,事後調査として,全被験者に好きな動物を調査した。. 第3節 結果 事前調査では,標的刺激にした「象」が痔きな児童は7名であった。 三間調査では象の好きな児童は11名で,事後調査では象が好きな児童は 10名になった。標的刺激にした「象』が好きになった児童数の増減には. 一45t.

(49) 有意な差は認められなかった。. 表1 好きな動物調査. 事前調査. 中間調査. 事後調査. ぞう. 7. 11. 10. うま. 22. さる. 10. 18 12. 14 10. ねこ. 70. 73. 67. いぬ. 137. 147. 163. りす. 97. 86. しか. 24. くま. 24. 95 17 22. やぎ. 9. 2. 6. かめ. 10. 13. 17. 410. 410. 合計. 410. 17 20. 第4節 考察 事前調査,申間調査,事後調査の3調査の間に標的刺激のr象」が好. 一46一.

(50) きになった人数は統計的には有意に増加することは認められなかったが,. 申間調査では,事前調査より4名増加した。しかし,事後調査では標的 刺激の象ぶ好きになった児童は10名減少した。これについて,1年生の 担任から,授業で好きな動物の調査項目に入っている「亀」を教材とし て使用したと報告を受けた。亀について,申聞調査と事後調査を比較す. ると4名増加している。この様なことから考えると,家庭生活や学校生 活を通して受ける様々な刺激には,閾上の強い刺激や本人は気づかない 閾下の様々な刺激を長蒔間受けることもあり,標的の閾下刺激より強い 可能性がある。すなわち,外界から様々な刺激を受け,標的の刺激に対 する効果をみることが容易ではない。同様のことをNeisser(1967)は,. Dixonの研究に対する批判として述べている。. 以上予備実験から①日常生活から受ける刺激が標的の閾下刺激より強 い可能性があるため,標的の闘下刺激による効果が現れにくい。②長期 間実験を行うと日常生活から受ける閾下刺激や闘上刺激を調整すること が困難である。以上のことから閾下知覚効果を行動指標で捉えることは 困難であることが示唆された。. 一47一.

(51)

参照

関連したドキュメント

 第I節 腹腔内接種實験  第2節 度下接種實験  第3節 経口的接種實験  第4節 結膜感染實験 第4章 総括及ピ考案

 第1節 灸  第1項 膣  重  第2項 赤血球歎  第3項 血色素量  第4項色素指激  第5項 白血球数  第6項 血液比重  第7項血液粘稠度

を,松田教授開講20周年記念論文集1)に.発表してある

 第1節計測法  第2節 計測成績  第3節 年齢的差異・a就テ  第4節 性的差異二就テ  第5節 小 括 第5章  纏括並二結論

新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成 24 年法律第 31 号。以下「法」と いう。)第 28 条第 1 項第

第20回 4月 知っておきたい働くときの基礎知識① 11名 第21回 5月 知っておきたい働くときの基礎知識② 11名 第22回 6月

(国民保護法第102条第1項に規定する生活関連等施設をいう。以下同じ。)の安

(5) 帳簿の記載と保存 (法第 12 条の 2 第 14 項、法第 7 条第 15 項、同第 16