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図20統制条件の右手に対する重ね書き(左)と総加算平均波形(右)
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図21統制条件の左手に対する重ね書き(左)と総加算平均波形(右)
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第3節 考察
target刺激とnon−target刺激に対するP300成分の違いを検討した。さら に,統制条件との比較から,闘下刺激の効果を検討した。
結果をみると,明瞭にP300成分が出現した。その理由として,刺激に 対して明瞭な課題を与えたこと,刺激がtarget刺激語とnon−target刺激 語と等確率ではあるがランダムに呈示したことなどが原因であると考え
られる。
刺激呈示後250ms以降の最大陽性振幅をみると,実験条件,統制条件共 にPzが優位になった。従って,この成分は研究1で述べたようにP3bで あると考えられる。
P300成分について, target刺激語に対するP300成分の潜時は, non−
target刺激語に対するP300成分の潜時より有意に短縮する傾向がみられ た。このことは,P300の潜時が刺激の評価時聞の変動を反映している
(下河内,1981)とするならば,先行刺激の受容が,その刺激と同じ後続刺 激の処理に促進効果を及ぼすという直接プライミングによるプライミン
グ効果を起こしたと考えられる。ここで言う先行刺激とは,ERP測定 前に呈示した250回から300回程度繰り返し呈示した闘下刺激のことであ る。振幅については、統計的には有意ではないが、平均値でみる限り target刺激語に対して増大している。このことも,直接プライミング効 果によりtarget刺激語に対する活性化が起こり, target刺激語の方がよ
り認知できたことを意味していると考える。
統制条件については,2つの刺激語に対するP300成分の潜時・振幅に 有意な差が認められなかった。この事から,ボタン押しの左右差は認め
られなかった。
影響を与えたことになる。
反応時間は,統制条件の右手と左手の差は認められなかった。また,
target刺激語とnon−target刺激語に対する反応時間にも有意な差が認め られなかった。これは実験に際して練習試行を行わなかったことが結果 に大きく影響しているものと考えられる。大平(1992)が閾下言語処理に おけるプライミングの実験で,閾下刺激による活性化拡散範囲が狭いこ
とを指摘している。従って,:本実験でも,閾下刺激の効果が弱いため target刺激に対する反応時間の促進効果に影響を与えなかったと考えら
れる。
本研究では,始めに与えた閾下刺激が,申枢神経系で作用して,tar・
get刺激に対してP300成分の潜時が短縮する結果を示した。このことは 先行して繰り返し与えた闘下刺激に対して中枢神経系が反応しており,
後の刺激の処理に影響を与えることを意味するものである。
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第5章 全体のまとめ及び考察と今後の課題
本研究は、閾下知覚効果の有無を確認することが最大の目的であった。
まず始めに,小学生を対象に,閾下知覚効果を行動指標で捉えようと した。しかしながら,多くの研究者が指摘しているように、閾下刺激に よって行動の変容をみることができなかった。その理由として,被験者 に対する凝ントロールが非常に困難であることが考えられた。例えば,
被験者は日常生活のなかでさまざまな刺激を実験者が気づかない内に実 験の手がかりとして刺激を与えている可能性がある。こうした,被験者 に対する環境のコントロールが困難であることが,閾下知覚効果を明瞭 にし得ない原因になっている。
そこで,次に生理指標で閾下知覚効果を検討した。まず第一に,閾下 知覚効果を中枢神経系が反応しているか否かの検討を行った。研究1で
は、刺激呈示の強度は変わらない状態で閾下刺激を繰り返し与え,被験 者が刺激の内容を自覚していない時にも、P300成分が出現した。また,
刺激の内容が自覚できたときにもP300が出現する結果を得た。そして,
そのP300成分の潜時,振幅に統計的な有意な差は認められなかった。従 って,本実験では,本人が刺激の内容を自覚していない閾下の刺激に対 しても認知できる刺激と同様に中枢神経系が反応している。このことは 申枢神経系が閾下刺激に反応していることになり,閾下知覚の可能性が 示唆された。また,被験者の内省報告からも閾下の刺激を繰り返し与え た時,閾下刺激に対して部分的に情報処理が進んでいることが示唆され
た。
次に,研究皿では,刺激強度の強い閾上刺激と刺激強度の弱い閾下刺 激さらに刺激なしでP300を検討した。閾上刺激を与えた被験者は,刺激
に対しても被験者は刺激内容を自覚できないと内省報告したが,中枢神 経系では認知の指標であるP300成分が出現した。刺激なしの試行では被 験者はERPの反応を示さなかった。これらのことから,5ms間呈示の閾 下刺激に対しても申枢神経系が反応していることが示唆された。
また,研究1と研究fiのP300成分の潜時を比較す,ると,100ms間呈示の 時が最も潜時が短縮し,5鵬聞呈示の時が最も遅延する結果になった。
これは,研究1の呈示時間が閾下ではあるが比較的長く13ms〜55船であ ったためと考えられる。この事から,劇激呈示時間が長ければP300成分 の潜時は短縮し,呈示時間が短くなるにつれ潜時は遅延していくことを 示している。
研究1,皿より閾下刺激に申枢神経系が反応していることが示唆され た。そこで,研究皿では,より実際的応用を踏まえて閾下刺激の効果が 現れるかを検討した。被験者にあらかじめ閾下刺激を繰り返しあたえて おき,閾下で与えた刺激と与えなかった刺激でERPの違いと課題に対 する反応時間の差から検討することにした。その結果,閾下で繰り返し 刺激を与えた刺激に対してP 300成分の潜時が短縮する傾向が認められた。
振幅には,統計的な差はないが平均値では増大する傾向が認められた。
このことから,先に与えた閾下刺激が,後に与えた刺激の処理に影響を 与えたことになり,閾下知覚効果の存在を示唆した結果になった。 反 応時間については,被験者内でもSDが大きくばらつく結果になった。
さらに,被験者間のSDも大きくなり,閾下刺激に対する効果の差は認 められなかった。
以上から,申枢神経系が閾下刺激に反応していることか示唆され,閾 下知覚の効果がP300成分に明らかに認められた。
本研究についてまとめると,本人が自覚されない閾下刺激たよって申
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枢神経系が反応し,P300回分を出現させた。このことは,本人は自覚し ていないが闘下刺激を認知していることを示唆している。また,内省報 告から閾下刺激を繰り返し呈示することによって,刺激内容が認知でき ることは先行する閾下刺激によって,後続刺激の情報処理の活性化が起 こったことになる。言い換えるならば,直接プライミングのプライミン グ効果があることを示唆している。また,研究1では,平均値でみると P300成分の潜時と振幅の差が認められた。研究皿おいても,潜時に閾下 刺激の効果が認められた。しかし,行動の変容までにはいたらなかった。
閾下刺激が極めて弱い刺激のため,変化が現れにくいことも事実である。
閾下刺激の刺激強度を高めて行うことがより明瞭に効果を出現させるこ とになるであろう。
また,本研究はP300成分を申心に検討してきたが,初期成分であるNl 成分,N2成分,P2成分などの分析を今後行うことによって,より明確に閾 下知覚効果の検証ができるものと考える。
教育への応用を考えると、児童生徒が閾下刺激を受けることによって 現段階では、直ちに行動の変容が起こるとはいいがたいが、自覚できな
い閾下刺激に対しても申枢神経系で反応していることから、閾下刺激が 行動の変容の一助になることは明らかである。また,直接プライミング 効果は長期持続性が注目されている(太田,1991)。従って、教師の指導と 併用すれば、効果が期待できると考える。例えば、登校拒否児に対して、
適切な刺激語を日常生活のテレビやVTRを通して、与えながら、専門 機関の指導を受けるなどの応用が考えられる。また、障害児教育にも日 常生活の指導にVTRなどと併用すれば、弱い刺激を繰り返し呈示する
ことによって、学習効果が上がると期待できる。今後、刺激の強度、呈