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外国人の人権と地方自治体の対応 : 地方参政権と地方公務員就任権を中心に

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Academic year: 2021

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外 国人 の人権 と地方 自治体 の対 応

地方参政権 と地方公務員就任権 を中心 に

高*

Human Rights of foreigners

and Measure

of local

governments

for foreigners:

The focus of local suffrage

and

the right to get a local government

employee

Yoshitaka Saito は じめ に一住 民 と しての外 国人一 第1章 地 方参 政権付 与 に対す る地 方 自治体 の対 応 1.定 住外 国 人 と 日本 国民 ある いは市 民 との 関係 (1)日 本 国民 と定 住外 国人 との関係 (2)市 民 と定 住外 国人 との関係 2.最 高裁 の判 決 と地方 自治体 の対 応 (1)最 高裁 の判決 に よる住民 の と らえ方 (2)地 方参 政権 に対す る地 方 自治体 の対 応 第2章 外 国籍 地方公 務員 に対 す る地方 自治体 の対応 1.一 般 職地 方公務 員 に対す る地 方 自治体 の対 応 (1)地 方公務 員 法 にい う 「国民 」 と定住 外 国人 (2)「公 務員 に関す る当然 の法 理」 によ る任 用 の制限 (3)地 方公 務員就 任権 に対 す る地 方 自治 体 の対応 2.公 立学校外 国籍教員 に対 す る地 方 自治体 の対応 おわ りに一 とりわ け在 日韓 国 ・朝鮮 人 に対 す る対応一 は じ め に一 住 民 と して の 外 国 人 一 地 方 自治 体 にお け る住 民 に外 国 人 を含 む の か ど うか 。 地 方 自治 法10条1項 に は 「市 町 村 の 区 域 内 に住 所 を有 す る者 は 、 当 該 市 町村 及 び これ を包 括 す る都 道 府 県 の 住 民 とす る 。」 とあ る 。 市 町 村 の 区域 内 に住 所 を有 す る 者 はす べ て 住 民 で あ り、 自 然 人 で あ ろ う と法 人 で あ ろ う と 問 わ な い 。 そ の こ とか ら、 「住 民 」 に は外 国 人 も含 ま れ 、 住 所 を *さ い と う よ したか 文教 大学 国際 学部

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有 す れ ば 外 国 人 で あ ろ う と地 方 自 治体 の 住 民 と して の 地 位 を 有 す る こ と に な る。 そ して 、 住 民 は法 律 の 定 め る と ころ に よ り、 そ の 属 す る 地 方 公 共 団体 の役 務 の提 供 を等 し く受 け る権 利 を 有 し、 そ の 負 担 を分 任 す る義 務 を 負 う(地 方 自治 法10条2項)。 住 民 た る外 国 人 は 、 地 方 公 共 団 体 及 び そ の機 関 に よ っ て行 わ れ る一 切 の 利 便 、 サ ー ビス の提 供 を平 等 に受 け る権 利 を 有 す る 一 方 、 地 方 税 、分 担 金 、 使 用 料 、 受 益 者 負 担 等 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よっ て住 民 に課 せ られ る す べ て の負 担 も負 う こ とに な る 。 た だ し、住 民 と して扱 わ れ る た め に は外 国 人登 録 を必 要 とす る が 、 国籍 に よ る 制 限 は設 け られ て い ない(注')。 で は 、 地 方 参 政 権 と地 方 公 務 員 就 任 権 に 関 して 、 住 民 た る外 国 人 に 日本 人 住 民 と同様 の 地 位 が 付 与 され て い るの で あ ろ うか 。 ま ず 、 地 方 参 政 権 につ い て は 、 地 方 自治 法(注2)に よる と、 日本 国 民 で あ る住 民 に そ の権 利 が あ り、公 職 選 挙 法(注3)も 日本 国 民 に 限 定 され て い る の で 、 地 方 自治 体 の 住 民 で あ る外 国 人 は 排 除 さ れ て い る 。 地 方 自治 体 と特 段 に 関係 の 深 い 定 住 外 国 人 も同様 で あ る。 次 に 、 地 方 公 務 員 就 任 権 につ い て は 、 地 方 公 務 員 法 に は 明確 な国 籍 に よ る制 限 は な い が 、 地 方 公 務 員 法 の 「第3章 職 員 に適 用 され る基 準 」 の 項 目 に は 、 同 法 の適 用 につ い て 平 等 に取 り扱 わ れ る対 象 は 「す べ て 国 民 」(13条)と な って お り、受 験 資 格 に 関 して も競 争 試 験 は 「す べ て の 国 民 」 に公 開 され な け れ ば な ら な い(19条1項)と 規 定 され 、 こ こ で も外 国 人 た る住 民 に は権 利 が な い よ うに 思 わ れ る 。 こ の よ う に 、 地 方 参 政 権 と地 方 公 務 員 就 任 権 を有 して い る 「国 民 」 と は 日本 国籍 者 の み を 意 味 して い る の か 、 そ れ と も、 日本 国籍 を有 してい な い 定 住 外 国 人 も含 む の か 、 以 下 判 例 を 中心 に考 察 す る 。 1)手 塚 和 彰 『外 国 人 と法 「第2版 」』 有 斐 閣(1999年)200頁 2)地 方 自 治 法11条 住 民 の 選 挙 権 、12条 条 例 の 制 定 改 廃 請 求 権 、 事 務 の 監 査 請 求 権 、13条 議 会 の 解 散 請 求 権 、 解 職 請 求 権 3)公 職 選 挙 法9条 、10条

第1章

地方参政権付与 に対 する地方 自治体の対応

定 住 外 国 人(と りわ け 、 韓 国 ・朝 鮮 人)は 地 方 自治 体 の住 民 と して 、 出 生 以 来今 日 まで 、 日本 社 会 に 生 活 の本 拠 を お き、 生 活 実 態 も 日本 人 と何 ら変 わ る と こ とが な く、 地 域 社 会 生 活 に も融 け 込 ん で きた 。 そ して 、各 種 の 納 税 義 務 も果 た して い る。 しか し、 日本 国 籍 を有 して い な い が た め に地 方 参 政 権 が ない 。 そ の た め 、 た と え ば児 童 委 員 、 人 権 擁 護 委 員 、 あ る い は 調停 委 員 な どへ の 定 住 外 国 人 の就 任 は実 現 され て お らず 、 地 域 な どの 公 的社 会 生 活 へ の積 極 的参 加 が 阻 ま れ て い る 。 こ の よ うな 定 住 外 国 人 に 対 す る地 方 参 政 権 につ い て 地 方 自治 体 は どの よ う な対 応 を迫 られ て い る の で あ ろ うか 。 地 方 自治 法11条 に は 、 「日本 国 民 た る 普 通 地 方公 共 団体 の 住 民 は 、 こ の 法 律 の定 め る と こ ろ に よ り、 そ の 属 す る 普 通 地 方 公 共 団 体 の 選 挙 に 参 与 す る 権 利 を有 す る 。」 とあ り、 同18条 に は 、 「日本 国民 た る 年 齢 満 二 十 年 以 上 の 者 で 引 き続 き三 箇 月 以 上 市 町村 の 区 域 内 に住 所 を 有 す る も の は 、別 に法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り、 そ の 属 す る普 通 地 方公 共 団 体 の議 会 の議 員 及 び長 の 選 挙 権 を有 す る 。」 と規 定 して い る 。 また 、 同19条1項 に は 、 「普 通 地 方 公 共 団 体 の議 会 の 議 員 の 選 挙 権

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を有 す る 者 で 年 齢 満 二 十 五 年 以 上 の もの は 、 別 に法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り、 普 通 地 方 公 共 団 体 の 議 会 の 議 員 の被 選挙 権 を 有 す る 。」 とあ り、 同2項 に は 、 「日本 国 民 で 年 齢 満 三 十 年 以 上 の も の は 、 別 に法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り都 道 府 県 知 事 の 被 選 挙 権 を有 す る 。」、 同3項 に は 、 「日本 国 民 で年 齢 満 二 十 五 年 以 上 の もの は 、 別 に法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り、 市 町 村 長 の被 選 挙 権 を有 す る 。」 と規 定 さ れ て い る 。 こ こ に は、 日本 国 民 即 ち 、 日本 国籍 保 有 者 で な け れ ば 地 方 選 挙 権 を得 る こ とは で き な い 旨 が 規 定 さ れ て い る。 ま た 、 公 職 選 挙 法9条2項 に は、 「日本 国 民 た る 年齢 満 二 十 年 以 上 の 者 で 引 き続 き三 箇 月 以 上 市 町村 の 区 域 内 に住 所 を有 す る者 は 、 そ の属 す る地 方公 共 団 体 の議 会 の 議 員 及 び 長 の 選 挙 権 を有 す る 。」、 同10条1条 に は 、 「日本 国 民 は 、 左 の各 号 の 区 分 に従 い 、 そ れ ぞ れ 当該 議 員 又 は 長 の被 選 挙 権 を有 す る。 … 三.都 道 府 県 の議 会 の 議 員 につ い て は そ の 選挙 権 を有 す る 者 で 年 齢 満 二 十 五 年 以 上 の もの 四.都 道 府 県 知 事 に つ い て は年 齢 満 三 十 年 以 上 の 者 五.市 町 村 の 議 会 の 議 員 に つ い て はそ の選 挙 権 を有 す る 者 で 年 齢 満 二 十 五 年 以 上 の もの 六.市 町村 長 につ い て は 年 齢 満 二 十 五 年 以 上 の者 」 と あ り、 こ こ に も、 日本 国民 とい う 限定 が あ る。 定 住 外 国人 に地 方 参 政 権 を認 め る か認 め な い か の 論 争 は 大 き く3つ の 学 説 に分 か れ て激 論 が 戦 わ され て い る 。 定 住 外 国 人 の 選 挙 権 に つ い て の 学 説 の1つ 目は 、 定 住 外 国 人 へ の 選 挙 権 の付 与 は 憲 法 上 禁 止 され て お り、 選 挙 権 の 付 与 は即 違 憲 とな る とす る 禁 止 説 で あ り、2つ 目は 、 定 住 外 国 人 へ の 選 挙 権 の付 与 は憲 法 上 要 請 さ れ て お り、現 行 の 公 職 選 挙 法 等 の規 定 は 違 憲 で あ る とす る要 請 説 、3つ 目は 、 定 住 外 国 人 へ の 選 挙 権 の 付 与 を認 め る こ とは 憲 法 上 許 容 され て い る とす る許 容 説 で あ る(濁 。 従 来 の 通 説 は 禁 止 説 で あ るが 、 近 年 、 「地 方 自 治体 の レ ヴ ェ ル 、 と りわ け 元 来 住 民 の 日常 生 活. に密 着 す る市 町 村 の レ ヴ ェ ル にあ っ て 、 団 体 な い しそ の機 関 の 行 使 す る権 能 の 種 類 や性 質 如 何 に よ っ て は 、 法 律 に よ り定 住 外 国 人 に選 挙 権 を認 め る こ と ま で を排 除 す る もの で は な い と解 さ れ る 。」 とい う許 容 説 な い しこ れ に近 い 見 解 が 支 持 さ れ る 状 況 に あ る(注2)。 これ らの論 争 に関 して は 数 多 くの先 行 論 文 に よ る詳 細 な 内 容 が あ る の で 、 そ れ は そ ち ら に譲 る こ と にす る が 、 こ こ で は 、 憲 法 ・法 律 上 最 も根 本 的 な 問題 で あ る 国民 と住 民 との 関係 、 さ らに 自 由権 規 約 で い う市 民 との 関係 か ら定 住 外 国 人 の 地 位 に つ い て 、 裁 判 で の原 告 の 主 張 、被 告 の主 張 、 判 決 を踏 ま えて 考 察 す る(注3)。 1.定 住 外 国 人 と 日本 国 民 あ る い は 市 民 と の 関 係 (1)日 本 国 民 と定 住 外 国 人 との 関係 原 告 た る定 住 外 国人 側 は 、 日本 国 民 た る 住 民 に 定住 外 国 人 が 含 ま れ るか 否 か に つ い て 、 「憲 法 上 の 国 民 」 とい う概 念 を提 起 し、 そ れ と憲 法15条 及 び93条2項 との 関 連 で 次 の よ う に主 張 す る 。 地 方 自治 法 及 び公 職 選 挙 法 の 条 文 は 、 地 方 自治 体 選 挙 の 選 挙 権 者 を 「日本 国民 」 に限 定 して い るが 、 「日本 国 民 」 が 「現 行 国 籍 法 上 の 日本 国籍 を有 す る者 」 に当 た る か ど うか につ い て は、 「現 行 国籍 法 上 の 国 民 」 と 厂憲 法 上 の 国 民 」(憲 法15条 等 にい う国 民)の 範 囲 は 必 ず し も一 致 して い ない の で 、 「現 行 国籍 上 の 国 民 」 は 「憲 法 上 の 国 民 」 の部 分 集 合 と して捉 え られ る と言 う(Tf4)。 そ の 理 由 と して 、 まず 、現 行 憲 法 で は 国 民 の 要件 は法 律 で 決 め る と して い る が(注5)、法 律 は 立 法 府 で あ る 国会 に よ って 制 定 され る 。 国 会 で の立 法 者 は主 権 者 と して の 国 民 の委 任 に基 づ い て 法 律 を制 定 す る の で あ るか ら、 受 任 者 た る 立 法 者 が委 任 者 た る 主権 者=国 民 の範 囲 を 自 由 に 決 定 で きる こ とは 、 た と えて 言 うな ら、 子 ど もが 親 を産 ん だ に等 しい 背 理 で あ る の で 、 「国 民 」 の 範 囲

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は 国 籍 法 で 決 ま る の で は な く、 「憲 法 上 の 国民 」 と して 憲 法 解 釈 上 客 観 的 に 決 ま る とす る(注6)。 次 に 、憲 法 解 釈 上 、 主 権 者 な い し制 憲 権 者 と して の 「国 民 」 の概 念 及 び範 囲 に論 を進 め る 。 こ の 点 に つ い て は 国 家 形 成 的 条 約 と して 憲 法 の 上 位 に位 置 す る ポ ツ ダム 宣 言 や 国 連 憲 章 の趣 旨 が 、 制 憲 権 者 に よ って 憲 法 の 各 条 項 、 と りわ け そ の 前 文 に 取 り入 れ ら れ た結 果(注7)、日本 は全 人 類 的 な 民 主 主 義 及 び人 権 ・平 和 を保 障 す る た め 日本 国 の領 域(憲 法 が 実 効 性 を有 す る領 域 内)で そ れ を確 保 し な け れ ば な らず 、 そ の 思 想 を基 礎 とす る と、 「地 球 上 にい る人 は 、 ど こか 一 箇 所 で 、 自 分 の 属 す る 地 域 の 政 治 に 参 加 す べ き で あ る 」 と い う原 則 が 導 き 出 さ れ る とす る(注8)。そ し て 、 「ど こか 一 箇 所 」 と は、 参 政 権 とい う もの の 性 質 上 、 そ の 人 が 最 も重 大 な 利 害 関係 を有 し、 ま た そ の 事 情 に精 通 して い る地 域 、 す な わ ち そ の 人 が 定 住 して い る地 域(生 活 の 本 拠 地 が 属 す る 国) で な け れ ば 、 上 記 思 想 ない し原 理 を貫 徹 す る こ と は で きな い と して 、 ポ ツ ダ ム宣 言(特 に そ の 十 二)に 言 う 「日本 国 国 民 」 とは 、 日本 国 に お け る定 住 者 を 指 称 して い る とす る(脇 。 したが っ て 、 憲 法15条 で い う 「国 民 」 に は 、 「日本 国 内 にお け る 定 住 者 」 が 含 ま れ る と解 す る の で あ る 。 そ の こ とか ら、 地 方 自治 法11条 、18条 、 公 職 選 挙 法9条2項 に い う 「日本 国 民 」 と は 「憲 法 上 の 国 民 」 と同 義 と解 釈 され るべ きで あ る か ら 「日本 国 民 」 に は定 住 者 が 含 ま れ る とす る の で あ る(注1・)。 次 に 、 憲 法93条2項 の 「国 民 」 の概 念 及 び 範 囲 に つ い て言 及 す る 。 地 方 参 政 権 は 、 「限 定 され た 地 域 住 民 共 同 体(コ ミ ュニ テ ィ)に お い て 、 共 同 生 活 上 の利 害 関 係 に つ い て共 同 決 定 す る」 権 利 で あ る とい う本 来 的趣 旨 か ら して 、 当 該 地 域 の 住 民 、 す な わ ち 、 「居 住 者 」 が 行 使 す べ き こ と とな るの で 、 憲 法93条2項 所 定 の 「住 民 」 とは 「定 住 者 」 で は な く と も 「居 住 者 」 で あ れ ば これ に 該 当 す る と解 さ れ る と言 う(注ll)。 国 民 の 範 囲 を定 め て い る国 籍 法 は 、 歴 史 的 に観 て 、 広 域 的 か つ 迅 速 ・容 易 な移 動 や 情 報 通 信 手 段 等 が 存 在 し なか っ た 、 ない し未 発 達 で あ っ た 時代 にお い て は 、 ほ とん どの 場 合 「定 住 場 所(生 活 の 本 拠 地)=国 籍 」 の 等 式 が 成 立 して お り、 「国 籍 保 持 者 」 を 「国 民 」 とみ て も大 過 は な か っ た の で あ り、 逆 に言 え ば 国 籍 は定 住 場 所(生 活 の本 拠 地)を 判 断 す る標 準 的 な基 準 で あ っ た(注'2)。 と こ ろ が 、 交 通 運 輸 、 情 報 通 信 手 段 が 発 達 し、 現 代 の よ うな ボ ー ダ レス の 時 代 に な る と、 「定 住 者=国 籍 保 持 者=国 民 」 の 等 式 は成 立 しな くな って い る の で あ る か ら、 少 な く と も参 政 権 につ い て は 「国 籍 基 準 」 で は な く 「定 住 基準 」 に依 拠 し な け れ ば 、 憲 法 が 採 用 して い る 民 主 主 義 の 本 来 的機 能 を果 す こ とは で き な い と述 べ る(注13)。 そ して 、 国籍 法 は 憲 法10条 の 授 権 に基 づ く もの で あ る か ら 、 憲 法 も前 記 趣 旨 を 踏 ま え 、 定 住 者 に も当 然 に 日本 国籍 を付 与 す べ きで あ っ た(今 か らで も速 や か に改 正 され るべ きで あ る)と 主 張 す る。 そ の よ う に考 え る と、 「憲 法 上 の 国 民 」 を 全 面 的 に カバ ー して い な い 国籍 法 は不 十 分 な い し瑕 疵 あ る法 律 と言 うべ きで あ る と述 べ る(注'4)。 国側 の 主 張 は 、 国民 主権 の 原 理 に基 づ い て住 民 と は国 民 を 意 味 す る と して い る 。 憲 法 の 国民 主 権 の 原 理 に お け る 国 民 と は 、 日本 国 民 す な わ ち わ が 国 の 国 籍 を有 す る 者 を意 味 す る の で 、 憲 法 15条1項 の 国民 に は わ が 国 に在 留 す る外 国 人 は 含 ま れ な い 。 ま た 、 憲 法93条2項 の規 定 も、 国 民 主 権 原 則 を定 め て い る 憲 法 前 文 及 び1条 並 び に公 務 員 を選 定 す る こ と を国 民 固 有 の権 利 とす る 憲 法15条1項 か ら直 接 派 生 した 条 項 で あ っ て 、 国民 主権 の 枠 組 み の 中で 国民 に対 し、 そ の 居 住 す る 区域 の 地 方 公 共 団 体 の公 共 的 事 務 を 自 ら処 理 す る こ と を保 障 した もの と解 す る の が相 当 で あ るか ら、 同 項 が 地 方 公 共 団体 の 長 、 そ の議 会 の 議 員 等 の 選 挙 権 を保 障 した 「住 民 」 とは 、 地 方 公 共 団 体 の 区 域 内 に住 所 を有 す る 日本 国民 を 意 味 す る もの と解 す べ きで あ っ て 、 憲 法15条1項 に お け る

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「国 民 」 とは 全 体 と部 分 の 関係 に あ り、 両 者 は質 的 に 等 しい とい う(注'5)。 裁 判 所 の判 断 は ど うか 。 日本 国 憲 法 前 文 は、 国民 主 権 、 平 和 主 義 及 び 国 際 協 調 主 義 等 の 憲 法 の 基 本 原 理 を明 らか に して い るが 、 そ の こ とか ら、 直 ち に、 地 球 上 に い る人 は 、 ど こか 一 箇 所 で 自分 の属 す る地 域 の 政 治 に 参 加 す べ きで あ り、 右 の 「ど こ か 一箇 所 」 と は、 そ の 人 が 定 住 して い る地 域 で な け れ ば な ら ない との 原 則 が 導 き出 さ れ る もの と は い え な い 。 憲 法15条1項 に よ り参 政 権 を保 障 され て い る の は 、 「国民 」、 す な わ ち 「日本 国 籍 を有 す る 者 」 に限 られ る の で あ り、 右 以 外 の 者 、例 え ば定 住 外 国 人 に は、 憲 法 上 、 公 務 員 を選 定 、 罷 免 す る権 利 、 す な わ ち参 政権 は認 め られ て い な い と判 示 す る(注 16) 0 次 に、 憲 法93条2項 所 定 の 「住 民 」 は憲 法15条1項 の 「国民 」 と は別 個 の概 念 と して と ら え る の は適 切 で は な く、統 一 的 に理 解 す べ きで あ り、結 局 、 憲 法93条1項 が 「住 民 」 の 文 言 を使 用 し てい る の は、 地 方 公 共 団 体 の公 務 員 につ い て は 、特 にそ の地 域 に居 住 す る 国 民 に よ り直 接 選 出 さ れ る もの で あ る こ と を明 らか に す る た め で あ る と解 す る のが 相 当 で あ っ て 、 憲 法93条2項 の 「住 民 」 は 、 「日本 国 民 」 で あ る こ とが そ の 前 提 と な っ て い る とい うべ きで あ る と述 べ る(注17)。 (2)市 民 と定 住 外 国 人 との 関係 次 に、 自 由権 規 約25条 にい う 「市 民 」 に 定 住 外 国 人 が 含 ま れ る か ど う か 。 含 ま れ る と し た ら、 同規 約 は 、 憲 法98条2項 に よ り、 法 律 よ り上 位 に位 置 し、 国 内 的効 力 を もつ とい わ れ る が 故 に 、 地 方 参 政 権 を有 す る者 は市 民 と して の 定 住 外 国 人 も 「日本 国 民 」 で あ る とい う こ と に な る。 そ れ に よっ て 、 定 住 外 国 人 に参 政 権 へ の道 を 開 く可 能 性 が 出 て くる。 原 告 は 次 の よ う に主 張 す る。 自 由権 規 約25条 は 、 「す べ て の 市 民 は 、 第2条 に規 定 す る い か な る差 別 もな く、 か つ 、 不 合 理 な 制 限 な しに 、 次 の こ と を行 う権 利 及 び 機 会 を有 す る 。」 と して 、 そ のaは 「直 接 に、 又 は 自 由 に 選 ん だ 代 表 者 を 通 じて 、 政 治 に参 与 す る こ と。」 を規 定 し、bは 「普 通 か つ 平 等 の 選 挙 権 に基 づ き秘 密 投 票 に よ り行 わ れ 、 選 挙 人 の 意 思 の 自 由 な表 明 を保 障 す る真 正 な定 期 的 選 挙 に お い て 、 投 票 し及 び 選 挙 さ れ る こ と。」 を規 定 して い る 。 こ こで は、25条 以外 の条 文 で は使 わ れ て い な い 「す べ て の 市 民(everycitizen)」 とい う概 念 が 使 用 され て お り、 選 挙 権 を持 つ 権 利 主 体 を 「国 籍 を有 す る 国 民 」 とは して い な い 。 こ の よ う に 、 参 政 権 の 主 体 を 国民 と はせ ず わ ざ わ ざ 「市 民 」 と して い る こ と、 定 住 外 国 人 は、 日本 社 会 の 住 民 と して定 住 し、労 働 と納 税 を通 じて 当該 社 会 の維 持 ・発 展 に寄 与 し、 地 方 自治 体 の政 治 的 決 定 に 従 わ ざ る を得 な い 者 で あ る以 上 、 自由 権 規 約25条 の 「市 民 」 に 該 当 す る こ と は明 らか で あ る と 主 張 す る(注'8)。 国側 は 、市 民 と定 住 外 国 人 と の 関係 を次 の よ う に述 べ て 、市 民 に は定 住 外 国 人 は含 まな い と主 張 す る 。 自由 権 規 約25条 は 、 規 約 成 文(英 文)で は 「everycitizen」とあ り、 日本 文 翻 訳 で は 「す べ て の市 民 」 と され て い る。 市 民(citizen)と い う用 語 は 、 人 民(peoples)、 者(one)な ど と異 な り、 一 般 に、 公 民 権 を有 す る者 とい う意 味 で 用 い られ て お り、 ま た 、 同規 約25条 の 「す べ て の市 民 」

は 、 明 ら か に参 政 権 を念 頭 に置 い て お り、 民 主 的 社 会 の 運 営 に参 加 す る当 該 国 の 国 民 、 換 言 す れ ば 、 国 政 に参 加 す る資 格 を有 す る す べ て の 国 民 とい う概 念 で と らえ て い る 。 ま た 、 市 民 と い う用 語 は、 法 律 用 語 と して 必 ず し も熟 成 して い る と は い え な い が 、 歴 史 的 に み れ ば 、 市 民 と は 国民 で

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あ る こ と を前 提 と して い た の で あ っ て 、 同 規 約 に使 用 され る用 語 も、 歴 史 的 な 背 景 を無 視 して使 用 さ れ て い る とは 考 え ら れ な い 。 さ ら に、 自 由権 規 約25条 は 、 世 界 人 権 宣 言21条 に対 応 して 設 け られ た規 定 で あ る と こ ろ 、 同 条1項 は 、 「自国 の統 治 に参 与 す る権 利 を有 す る 。」 と規 定 し、 選 挙 権 の行 使 が 自国 民=国 民 の 手 に よ る もの で あ る こ と を 明言 して い る。 この よ う に世 界 人 権 宣 言 は 、 選 挙 権 の行 使 権 者 が 国 民 で あ る こ とを 明 言 して お り、 同規 約 が 国 民 とい う用 語 を使 用 す る代 わ りに市 民 とい う用 語 を使 用 し た の は、 前 記 の よ う に実 際 に選 挙 権 を有 す る の は、 す べ て の 国 民 で は な く、 国 政 に参 加 す る 資 格 を有 す る者 に限 定 され る趣 旨 か らで あ る と解 され る(注'9)とい う。 裁 判 所 は 、 自 由権 規 約 に言 う 「市 民 」 を ど う考 え る の か につ い て 、 同 規 約 は 世界 人 権 宣 言 を前 提 と し、 こ れ に法 的拘 束 力 を具 備 させ た もの で あ り、 同 規 約25条 は 世 界 人 権 宣 言21条 に対 応 し て 設 け られ た 規 定 で あ り、 同条1項 に規 定 さ れ て い る 、 「自 国 の 統 治 に参 与 す る権 利 を有 す る 。」 の 意 味 は、 選 挙 権 の行 使 が 自 国民 の 手 に よ る もの で あ る こ と を明 言 して い る の で あ っ て 、 同規 約 25条 が 国 籍 を条 件 とす る こ と を否 定 す る 趣 旨 で 「す べ て の 市 民 」 と い う用 語 を使 用 した も の で な い こ と は 明 らか で あ る とす る(注2°)。

市 民(citizen)と い う用 語 は、 人 民(peoples)、 者(one)な ど と異 な り、 一 般 に、 公 民 権 を有 す る もの と い う意 味 で用 い られ て い る こ と、 自 由権 規 約 で 「す べ て の市 民 」 の 用 語 が使 用 さ れ て い る の は 、 参 政 権 に 関 す る25条 の み で あ る か ら、 参 政 権 とい う権 利 の特 性 を 考 慮 して 「す べ て の 市 民 」 と規 定 され た と解 釈 す る の が相 当 で あ り、 実 際 に選 挙 権 を有 す る の は、 す べ て の 国 民 で は な く、 国 政 に参 加 す る資 格 を有 す る者 に限 定 され る と の趣 旨 か ら 「す べ て の 市 民 」 と規 定 され た もの と解 す る の が 相 当 で あ る と判 示 す る(注21)。 2.最 高 裁 の 判 決 と地 方 自治 体 の 対 応 (1)最 高 裁 の 判 決(注22)によ る住 民 の と ら え方 最 高 裁 は 、 国民 主権 の 原 理 か ら住 民 は 日本 国 民 を意 味 す る と して 定 住 外 国 人 の 地 方 参 政 権 を否 認 す るが 、 地 方 公 共 団 体 と特 段 に緊 密 な 関係 を持 つ 永 住 者 等 は法 律 に よ っ て 選 挙 権 を付 与 す る こ と は憲 法 上 禁 止 され て い な い と して 、 特 に 緊 密 な 関係 を有 す る定 住 外 国 人 に 地 方 参 政 権 の 道 を 開 く判 決 を 出 した。 まず 、 最 高 裁 は 、 憲 法15条1項 の 規 定 が 国民 主 権 の原 理 に基 づ き、 公 務 員 の 終 局 的任 免 権 が 国 民 に存 す る こ とを表 明 し た もの に ほ か な らな い の で 、 主 権 が 「日本 国 民 」 に存 す る もの とす る憲 法 前 文 及 び1条 の規 定 に照 らせ ば、 憲 法 の 国民 主 権 の原 理 にお け る国 民 とは 、 日本 国 民 す な わ ち 我 が 国 の 国籍 を有 す る者 を意 味 す る こ と は 明 らか で あ る の で 、 公 務 員 を選 定 罷 免 す る権 利 を保 障 した 憲 法15条1項 の規 定 は、 権 利 の 性 質 上 日本 国 民 の み をそ の 対 象 と し、 右 規 定 に よ る権 利 の 保 障 は 、 我 が 国 に在 留 す る外 国人 に は 及 ぼ な い もの と解 す る の が 相 当 で あ る と述 べ る(注23)。 次 に、 憲 法93条2項 は 、 国民 主 権 の 原 理 及 び これ に基 づ く憲 法15条1項 の規 定 の 趣 旨 と、 地 方 公 共 団体 が 我 が 国 の統 治 機 構 の不 可 欠 の 要 素 を 成 す もの で あ る こ と を併 せ 考 え る と、 同項 にい う 「住 民 」 と は 、 地 方 公 共 団体 の 区域 内 に住 所 を有 す る 日本 国 民 を 意 味 す る もの と解 す る の が 相 当 で あ り、 同 規 定 は、 我 が 国 に在 留 す る外 国 人 に対 して 、 地 方 公 共 団体 の 長 、 そ の議 会 の 議 員 等 の 選 挙 の権 利 を保 障 した もの とい う こ とは で きな い とす る(注24)。 しか し、 最 高 裁 は、 「憲 法 第 八 章 の 地 方 自治 に 関 す る規 定 は、 民 主 主 義 社 会 に お け る 地 方 自治 の 重 要 性 に鑑 み 、 住 民 の 日常 生 活 に密 接 な関 連 を有 す る公 共 的事 務 は 、 そ の 地 方 の住 民 の意 思 に

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基 づ きそ の 区域 の 地 方 公 共 団 体 が 処 理 す る と い う政 治 形 態 を憲 法 上 の制 度 と して保 障 し よ う とす る趣 旨 に 出 た もの と解 さ れ る か ら、 我 が 国 に在 留 す る外 国 人 の う ち で も永 住 者 等 で あ って そ の居 住 す る区 域 の 地 方 公 共 団体 と特 段 に 緊密 な関 係 を持 つ に至 った と認 め られ る もの に つ い て 、 そ の 意 思 を 日常 生 活 に密 接 な 関 連 を有 す る地 方公 共 団 体 の 公 共 的事 務 の 処 理 に 反 映 させ るべ く法 律 を も っ て 、 地 方 公 共 団 体 の 長 、 そ の議 会 の議 員 等 に対 す る 選 挙 権 を付 与 す る 措 置 を講 ず る こ と は 、 憲 法 上 禁 止 さ れ て い る も の で は な い と解 す る の が 相 当 で あ る 。」(注25)と述 べ て 、 立 法 政 策 上 定住 外 国 人 に地 方 参 政 権 の道 を開 く判 決 を言 い 渡 した の で あ る 。 (2)地 方 参 政権 に対 す る 地 方 自治 体 の対 応 上 記 最 高 裁 判 決 の前 か ら既 に在 日韓 国 人 に対 して 地 方 参 政 権 を求 め る動 きは あ っ たが(注26)、こ の 最 高 裁 判 決 後 、 本 格 的 な 論 争 が 始 ま った 。 国 会 に お い て 、 早 く も最 高 裁 判 決 が 出 され た1995年2月28日 の す ぐ後 の3月7日 、 参 議 院 予 算 委 員 会 で 当 時 の 村 山首 相 は 、 最 高 裁 判 決 につ い て 前 向 き に議 論 して い く必 要 が あ る との 認 識 を示 し、 同年3月17日 、 野 中 自治 相 は 、 閣議 後 の 記 者 会 見 で 、 「永 住 の 範 囲 を ど こ ま で とす る か そ れ に よ っ て ど うい う 問題 が 生 じるか な ど 自治 省 と して も独 自の検 討 を しな け れ ば な らな い と」 と表 明 した く注27)。 そ の 後 、 定住 外 国人 に対 す る地 方 参 政 権 付 与 に 関す る 法律 案 が 議 員 立 法 とい う形 で 国 会 に 出 さ れ る よ う に な っ た(注28)。 地 方 議 会 で も要 望 ・意 見 書 の 採 択 が盛 ん に行 わ れ 、 総 務 省 に よ る と2001年2月 末 で 、 反 対 意 見 書 を5つ の議 会 が 採 択(香 川 県 、 熊 本 県 荒 尾 市 、 北 海 道 釧 路 市 、 今 金 町 、 埼 玉 県 栗 橋 市)し て い るが 、1119の 地 方 議 会 が 地 方 参 政 権 を求 め る 意 見 書 ・要 望 書 を採 択 して い る(注29)。 石 川 県 、 長 野 県 、 神 奈 川 県 、 大 阪府 、 奈 良 県 で は 、2003年12月 現 在 で 県 下 の全 自治 体 が 地 方 参 政 権 の意 見 書 を採 択 して い る(注3°)。 1999年3月 に行 わ れ た 読 売 新 聞 全 国 世 論 調 査 で は、 定 住 外 国 人 の 地 方 参 政 権 に賛 成65.6%、 反 対24.5%と な っ て お り、2000年10月 の 毎 日新 聞 全 国 世 論 調 査 で は、 賛 成58%、 反 対32%、 同 年11月 の朝 日新 聞全 国 世 論 調 査 で は、 賛 成64%、 反 対28%と 、 い ず れ も賛 成 が 多 数 を 占 め て い る(注31)。 地 方 自 治 体 の 中 に は 市 町 村 合 併 問題 を契 機 に、 既 に永 住 外 国 人 に対 す る住 民 投 票権 を付 与 して い る とこ ろが2003年12月31日 まで の2年 間 で84自 治体(12市 、1特 別 区 、54町 、17村)に 及 ん で い る(注32)。総 務 省 も、 「住 民 投 票 は あ くま で 賛 成 ・反 対 の 意 思 表 示 。 投 票 権 は 地 域 住 民 に与 え ら れ る もの 。 永 住 外 国 人 に投 票 権 を認 め る の は 問題 な い 」 との見 解 を出 して い る(注33)。 ま た 、 憲 法 学 会 をは じめ と して各 種 団体 ・個 人 な どの 間で も定 住 外 国 人 に地 方 参 政 権 を付 与 す る か ど うか の 議 論 が 盛 ん とな っ て い る(注34)。 1990年2月28日 の 最 高 裁 判 決 で も、 「憲 法 第 三 章 の諸 規 定 に よる 基 本 的 人 権 の保 障 は、 権 利 の 性 質 上 日本 国民 の み を そ の対 象 と して い る と解 され る も の を 除 き、 わ が 国 に在 留 す る外 国 人 に対 して も等 し く及 ぶ もの と解 す べ きで あ り、 政 治 活 動 の 自 由 に つ い て も、 わが 国 の 政 治 的意 思 決 定 又 は そ の 実 施 に 影 響 を及 ぼ す 活動 等 外 国 人 の 地 位 にか んが み こ れ を認 め る こ とが 相 当 で な い と解 さ れ る も の を 除 き、 そ の 保 障 が 及 ぶ もの と解 す る の が 、 相 当 で あ る。」(注35)とす る 「権 利 性 質 説 」 の立 場 が と られ て い る の で 、今 後 、 権 利 の 性 質上 在 留 外 国 人 に認 め られ て い なか っ た人 権 の 範 囲 が 徐 々 に 拡 大 され て い く可 能性 は、 た と え ば 、指 紋 押 なつ は裁 判 上 合 憲 とい う判 断 が な さ れ てい

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た が 、 国会 に よ る 法律 改 正 に よ って 廃 止 され た とい う現 実 が 物 語 っ て い る よ う に、 定 住 外 国 人 に 地 方 参 政 権 を付 与 す る動 きが 国 会 や 地 方 議 会 で 盛 ん に な っ て い る現 状 か ら、 この 分 野 に お い て も 外 国 人 の 人 権 を制 限 して い た 「権 利 の性 質 上 」 とい う壁 が 少 な く と も地 方 参 政 権(選 挙 権)に 対 して は取 り払 わ れ て い くの で は な い か と思 わ れ る。 1)判 例 時 報1523号50頁 2)佐 藤 幸 治 『憲 法(三 版)』420頁 、 判 例 時 報1523号51頁 、 判 例 時 報1535号78頁 、 手 塚 、 同 書205∼ 207頁 3)裁 判 で 原 告 が 提 起 して い る の は 選 挙 権 に 関 して で あ り、 被 選 挙 権 を 求 め る裁 判 で は な い の で 、 こ こ で は選 挙 権 に つ い て の 考 察 に な る 。 4)定 住 外 国 人 選 挙 権 訴 訟 上 告 審 判 決 最 高 裁 三 小 法 廷 平7.2.28判 決 、 判 例 時 報1523号54∼55頁 5)憲 法10条 「国 民 た る 要 件 は 、 法 律 で これ を 定 め る」 6)判 例 時 報1523号55頁 7)憲 法 前 文 に は 、 国 民 主 権 主 義 は 「人 類 普 遍 の 原 理 」 で あ り、 制 憲 権 者 た る 日本 国 民 は 「平 和 を 維 持 し、 専 制 と隷 従 、 圧 迫 と偏 狭 を 地 上 か ら永 遠 に 除 去 し よ う と努 め て い る 国 際 社 会 に お い て 名 誉 あ る 地 位 を 占 め た い と思 う 。」、 ま た 、 「政 治 道 徳 の 法 則 は 、 普 遍 的 な も の で あ り、 こ の法 則 に従 う こ と は(中 略) 各 国 の 責 務 で あ る と信 ず る」 と書 か れ て い る 。 8)判 例 時 報1523号66頁 9)同55頁 10)同 上 11)同55∼56頁 12)同56頁 13)同 上 14)同 上 15)定 住 外 国 人 地 方 参 政 権 訴 訟 大 阪 地 裁 平9.5.28判 決 、 判 例 タ イ ム ズNO.956p.168 16)大 阪 地 裁 平5.6.29判 決 、 判 例 タ イ ム ズNO.825pp.137∼138 17)同p.138 18)判 例 時 報1535号83頁 、 判 例 タ イ ム ズNO.956p.166 19)選 挙 人 名 簿 不:登録 違 法 確 認 等 請 求 事 件 、 福 井 地 裁 平6.10.5判 決 、 判 例 時 報1535号85頁 20)判 例 タ イ ム ズNO.956p.170、 判 例 時 報1535号81頁 21)同 上 22)定 住 外 国 人 選 挙 権 訴 訟 上 告 審 判 決 最 高 裁 三 小 法 廷 平7.2.28判 決 23)判 例 時 報1523号52頁 24)同 上 25)同 上 26)た と え ば 、1993年 に は 大 阪 府 岸 和 田市 議 会 は 政 府 あ て の 「定 住 外 国 人 に 対 す る 地 方 選 挙 へ の 参 政 権 な ど人 権 保 障 の 確 立 に 関 す る 要 望 決 議 」 を全 会 一 致 で 可 決 27)年 表 ・定 住 外 国 人 の 地 方 参 政 権 問 題 に 関 す る 経 緯 http://www.denizenship.net/shiryoshitu/nenpyo _sanseukenmondai.html 28)た と え ば 自民 党 を 除 く、 公 明 党 、 民 主 党 、 共 産 党 な ど ち な み に 、 民 主 党 の 「永 住 外 国 人 に対 す る 地 方 公 共 団 体 の 議 会 の 議 員 及 び 長 の 選 挙 権 等 の 付 与 に 関 す る法 律 案 」(2000年10月6日)で は 、2条 で 永 住 外 国 人 の 定 義 が 規 定 さ れ て い る が 、 そ れ に よ る と、 永 住 外 国 人 と は 、1.出 入 国 管 理 及 び 難 民 認 定 法(昭 和 二 十 六 年 政 令 第 三 百 十 九 号)別 表 第 二 の 上 欄 の 永 住 者 の 在 留 資 格 を もっ て在 留 す る 者 、2.日 本 国 と の 平 和 条 約 に 基 づ き 日本 の 国 籍 を離 脱 した 者 等 の

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出 入 国 管 理 に 関 す る特 例 法(平 成 三 年 法 律 第 七 十 一 号)に 定 め る特 別 永 住 者 を指 し て い る 。 永 住 外 国 人 選 挙 人 名 簿 の 登 録 に つ い て は 、 第6条 に 規 定 が あ り、 年 齢 満 二 十 年 以 上 の 永 住 外 国 人 で あ っ て 、 当 該 市 町 村 の 区 域 内 に引 き続 き 三箇 月 以 上 住 所 を有 す る も の につ い て 行 う と して い る 。 http://www.dpj.or.jp/seisaku/gyosei/BOX _GYOO17.htm1 29)民 団 に よ る と、 地 方 参 政 権 付 与 に 賛 同 す る 全 国 自治 体 の 意 見 書 等 の 採 択 率 は 、 全 国 約3300自 治 体 中 1518自 治 体 で あ り、 採 択 率 は45.94%に な る 。 外 国 人 住 民 不 在 の 町 村 約600自 治 体 を 除 外 す る とす で に 過 半 数 以 上 の56%の 採 択 率 に な る と い う。 民 団 新 聞2004.1.1 30)民 団 新 聞2004.1.1 31)同 上 32)同 上 33)民 団 新 聞2004.9.29 34)た と え ば 、 「特 集 外 国 人 の 市 政 参 加 」 都 市 問 題 第83巻 第6号(1992年6号)、 「特 集 永 住 外 国 人 の 地 方 参 政 権 」 都 市 問 題 第92巻 第4号(2001年4月 号)、 甲 斐 素 直 「定 住 外 国 人 の 参 政 権 一 あ る い は 国 籍 法 の 改 正 に つ い て 一 」 日本 法 学 第66巻 第2号(2000年4月)、 江 橋 崇 「外 国 人 市 民 の 地 方 参 政 権 」 自 由 と正 義1996年3月 号 、 近 藤 敦 「永 住 市 民 権 を め ぐ る立 法 政 策 上 の 課 題 一 「外 国 人 」 参 政 権 の 具 体 化 一 」 九 大 法 学 第71巻(1995年)、 同 「人 権 と外 国 人 の 参 政 権 」 商 経 論 叢 第36巻 第1号(1995年)、 徐 龍 達 「在 日韓 朝 鮮 人 の 地 方 参 政 権 一 定 住 外 国 人 の 市 民 的 権 利 の 獲 得 と今 後 の展 望 一 」 桃 山 学 院 大 学 総 合 研 究 所 紀 要Vol.25No.3(2000年3月)、 同 「日本 国 憲 法 に お け る外 国 人 の 参 政 権 論 」 阪 大 法 学 第51巻 第5号 (2002年1月)、 網 中 政 機 「外 国 人 の 地 方 参 政 権 一 い ま な ぜ 外 国 人 へ の 地 方 参 政 権 か 一 」 名 城 法 学 第45 巻 第2号(1995年)、 百 地 章 「在 日外 国 人 へ の 参 政 権 付 与 は 違 憲 」 月 刊 自 由民 主 平 成11年7月 号 、 渡 辺 久 丸 「「外 国 人 の 人 権 」 と 日本 国 憲 法 一 特 に定 住 外 国 人 の 参 政 権 に 限 定 して一 」 島 大 法 学 第36巻 第4号 (1993年3月)な ど参 照 。 35)最 大 判 昭53.10.4、 判 例 時 報903号31頁

第2章

外国籍地方公務員に対する地方 自治体 の対応

日本 国 籍 を有 しな い定 住 外 国 人 も 日本 国 民 と同 じよ うに 一般 地 方 公 務 員 あ るい は教 員 と して採 用 され る の か 、 そ れ と も依 然 と して受 験 ・任 用 に 制 限 が あ るの か 、 地 方 自治 体 は そ れ に ど の よ う な対 応 を して い る の か 。 以 下 、 一 般 公 務 員 と教 員 と に分 け て 考 察 す る 。 1.一 般 職 地 方 公 務 員 に対 す る地 方 自治 体 の 対 応 (1)地 方 公 務 員 法 に い う 「国 民 」 と定住 外 国 人 地 方 公 務 員 法13条 に は 「す べ て 国 民 は 、 こ の 法 律 の 適 用 に つ い て 、 平 等 に取 り扱 わ れ な け れ ば な らず 、 人 種 、信 条 、 性 別 、 社 会 的 身分 若 し くは 門 地 に よ っ て 、 又 は第16条 第5号 に規 定 す る 場 合 を 除 く外 、 政 治 的 意 見 若 し くは 政 治 的所 属 関 係 に よ っ て差 別 され て は な らな い」 と あ り、19 条1項 に は 「競 争 試 験 は 、 人 事 委 員 会 の 定 め る受 験 の 資 格 を有 す るす べ て の 国 民 に対 して 平 等 の 条 件 で公 開 され な け れ ば な らな い 。」 と規 定 され て い る よ うに 、 い ず れ も、 そ の対 象 は 、 「国 民 」 と な っ て い る 。 この 「国 民 」 の 中 に外 国 人 が 含 ま れ る の か 否 か 。 も し外 国人 が含 まれ な い の な ら ば 、 定 住 外 国 人 に は地 方 公 務 員 を受 験 す る 資 格 が な い こ と に な る。 この こ とに つ い て 、 裁 判(注') で の議 論 を通 して 考 察 す る。 原 告 側 は、 まず 、地 方 公 務 員 法13条 の 「す べ て 国 民 」 に は地 方 公 務 員 と して採 用 され た外 国 人 も含 ま れ る と主 張 す る。 そ の根 拠 は 、 憲 法14条1項 の 「すべ て 国 民 は 、法 の 下 に平 等 で あ っ て、

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人 種 、 信 条 、 性 別 、 社 会 的 身分 又 は 門地 に よ り、 政 治 的 、 経 済 的又 は 社 会 的 関係 にお い て 、 差 別 され な い 。」 とい う規 定 は 外 国人 に も適 用 さ れ る の で 、 「す べ て 国民 」 に は外 国 人 も含 ま れ 、 そ の 条 項 に 由 来 す る地 方公 務 員 法13条 の 「す べ て 国民 」 に も同様 に外 国 人 は含 まれ る とす る(注2)。 ま た 、 地 方 公 務 員 法19条1項 に つ い て も、 憲 法14条 、 地 方 公 務 員 法13条 を具 現 化 した もの で あ るか ら外 国 人 に も適 用 さ れ 、 「す べ て の 国民 」 に は外 国人 も含 まれ る と主 張 す る(注3)。 被 告 で あ る東 京 都 は 、 地 方 公 務 員 法13条 に い う 「す べ て 国 民 」 の 中 に は 外 国 人 は含 まれ な い の で 、 同 条 は外 国 人 の 任 用 及 び任 用 後 の 身分 の取 扱 い につ い て は 、 直 接 適 用 さ れ な い と述 べ る。 また 、仮 に 同 規 定 の 趣 旨 が 外 国 人 に も適 用 され るべ きで あ る と して も、 憲 法14条 の 平 等 原 則 に 基 づ く もの で あ る か ら、 合 理 的 理 由 に よる差 別 は許 さ れ る とす る(注4)。 さ ら に 、 地 方 公 務 員 法19条1項 の 公 務 へ の就 任 す る機 会付 与 の公 平 ・公 開 の原 則 の 適 用 を受 け る対 象 者 は 、 「す べ て の 国 民 」 で あ り、 この 原 則 は 、 国 民 の 法 の下 の 平 等 を定 め た憲 法14条 及 び 地 方 公 務 員 法13条 を 受 け た もの で あ っ て 、 日本 国 籍 を有 しな い 者 は 同 条 の 適 用 を受 け な い と 、 原 告 の 主 張 に真 っ 向 か ら反 対 す る(注5)。 そ れ に対 して 、 東 京 地 裁 は 、 地 方 公 務 員 法13条 にお け る 「す べ て 国 民 」 と 同法19条1項 にお け る 「す べ て の 国 民 」 は、 わ が 国 の 国 籍 を有 す る者 を対 象 とす る こ と を 明示 して い るが 、 「憲 法 第3章 に定 め る基 本 的 人 権 の保 障 は、 権 利 の性 質 上 日本 国 民 の み をそ の 対 象 と して い る もの を除 き、 わ が 国 に在 留 す る外 国 人 に対 して も等 し く及 ぶ もの で あ り、 憲 法22条1項 の 職 業 の 自 由 につ い て は、 権 利 の 性 質 上 日本 国民 の み をそ の対 象 と して い る もの を 除 き、 わ が 国 に在 留 す る外 国 人 に対 し て もそ の 保 障 が 及 ぶ もの とい うべ きで あ り、 ま た 、 憲 法14条1項 の 法 の 下 の 平 等 の規 定 も、 そ の 保 障 の 対 象 とな る権 利 等 の性 質 上 、 特 段 の事 情 が 認 め られ な い 限 り、 わが 国 に在 留 す る外 国 人 に も適 用 され るべ き」(注6)だとす る 。 そ れ で は 、 こ こ に言 う権 利 の性 質 上 日本 国民 に与 え られ た 権 利 とは何 か 。 東 京 地 裁 は、 国 民 主 権 の 原 理 か らそ れ を導 き出 し、 公 権 力 の 行 使 あ る い は公 の 意 思 の形 成 に参 画 す る こ と に よ っ て 直 接 ま た は 間接 的 に わが 国 の 統 治 作 用 に関 わ る権 利 が そ れ で あ り、 外 国 人 は こ の権 利 を行 使 す る職 務 に は 就 け な い と述 べ る 。(注7) 逆 に、 同 地 裁 は、 そ れ 以 外 の職 務 、 す な わ ち上 司 の 命 を受 け て行 う補 佐 的 ・補 助 的 な事 務 、 も っ ぱ ら専 門分 野 の 学 術 的 ・技 術 的 な事 務 等 に従 事 す る地 方公 務 員 に就 任 す る こ とは 許 容 さ れ て い る と解 す る(注8)。 し たが っ て 、 東 京 地 裁 の 判 断 か ら、13条 、19条 にい う国 民 は わが 国 の 国 籍 を有 す る者 を対 象 とす る 旨 を規 定 して い る の で 、 外 国 人 は 権 利 の性 質 上 日本 国 民 の み に与 え ら れ た公 権 力 の行 使 あ る い は公 の 意 思 の 形 成 に参 画 す る以 外 の 職 務 に は就 任 す る こ と はで きる とい うこ と に な る。 そ こで 、 東 京 地 裁 は 、東 京 都 の管 理 職 選 考 は課 長 級 の職 へ の 選 考 を 目的 と して お り、 管 理 職 の 職 種 に よ る人 事 管 理 は行 わ れ て い な い の で 、 公 権 力 の 行 使 あ るい は公 の 意 思 の形 成 に参 画 す る道 を拓 く管 理 職 選 考 は受 験 で き な い と して 、 管 理 職 全 般 に つ い て 受 験 を否 定 す る(醐 。 と ころ が 、 東 京 高 裁 は 、 以 上 の議 論 を一 歩 進 め て 、 管 理 職 す べ てが 公 権 力 の行 使 あ るい は公 の 意 思 の 形 成 に参 画 す る こ と に な る の で は な く、 管 理 職 の 中 に は そ うで な い も の もあ る と して 、 次 の よ う に判 示 す る 。 地 方公 務 員 の 担 当 す る職 務 は、 地 方 自治 全 般 に わ た り広 範 多 岐 で あ る の で 、 管 理 職 の 職 務 も広 範 多 岐 に及 び 、公 の 意 思 の 形 成 に参 画 す る とい っ て も、 そ の 関 わ り方 及 び そ の程 度 は 広 狭 ・強 弱 様 々 な もの が あ り得 る の で あ っ て、 中 に は 、 管 理 職 で あ っ て も、 専 ら専 門 的 ・技 術 的 な分 野 にお

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い て ス タ ッ フ と して の職 務 に従 事 す る に と ど ま る な ど、 公 権 力 を行 使 す る こ とな く、 ま た、 公 の 意 思 の 形 成 に参 画 す る蓋 然 性 が 少 な く、 地 方 公 共 団 体 の行 う統 治 作 用 に関 わ る程 度 の 弱 い 管 理 職 も存 在 す る(注1°)と述 べ て 、 「公 権 力 を行 使 す る こ と な く、 公 の 意 思 の形 成 に参 画 す る蓋 然 性 も少 な い 管 理 職 を含 め てす べ て の 管 理 職 につ い て 、 国 民 主 権 の原 理 に よ って外 国 人 を これ に任 用 す る こ と は一 切 禁 じ ら れ て い る と解 す る こ と は相 当 で な く、 こ こで も、 職務 の 内 容 、権 限 と統 治 作 用 との 関 わ り方 及 び そ の程 度 に よ っ て 、 外 国人 を任 用 す る こ とが 許 され ない 管 理 職 とそ れ が 許 され る 管 理 職 と を分 別 して考 え る必 要 が あ る。 そ して 、 後 者 の 管 理 職 に つ い て は 、我 が 国 に在 住 す る 外 国 人 を これ に任 用 す る こ と は 、 さ き に公 務 員 就 任 に つ い て 検 討 した と こ ろ と同様 、 国 民 主 権 の 原 理 に反 す る もの で は な く、 した が っ て、 憲 法 第21条 第1項 、 第14条 第1項 の規 定 に よ る保 障 が 及 ぶ もの と解 す る の が相 当 で あ る 。」 と述 べ る(注n)。 そ して 、 「被 控 訴 人 の 管 理 職 と し て は 、 前 記 の とお り、 東 京 都 事 案 決 定 規 程 に よ り知 事 の権 限 に属 す る事 務 に係 る事 案 の 決 定 権 限 を有 す る 知 事 又 は 出納 長 若 し くは局 長 、部 長 若 し くは課 長 の ほ か に、 直 接 に は 事 案 の 決 定 権 限 を有 しな い が 、 事 案 の 決 定 過 程 に 関 与 す る 次 長 、 技 監 、 理 事 (局 長 級)、 参 事(部 長 級)、 副 参 事(課 長 級)等 、 さ ら に は 、 計 画 の 企 画 や 専 門 分 野 の 研 究 を行 う な どの ス タ ッフ と して 職 務 を行 い 事 案 の 決 定 権 限 を 有 せ ず 、 事 案 の 決 定 過 程 に関 わ る蓋 然 性 も 少 ない 管 理 職 も若 干 存 在 して い る 。」 と判 示 す る(注12)。 こ の よ う に 、 「被 控 訴 人 の 管 理 職 に も、 事 案 の 決 定 権 限 を有 しな い 管 理 職 が 一 割 強存 在 し、 し か もこ の 者 た ちが 事 案 の 決 定 過 程 に 関与 す る とい っ て も、 そ の 関 わ り方 及 び 関 わ りの 程 度 は 、 広 狭 ・強 弱 様 々 で あ る か ら、 外 国 人 の 管 理 職任 用 に つ い て 前 述 した よ う に 、被 控 訴 人 の 管 理 職 につ い て も、 一律 にす べ て 外 国 人 の 管 理 職 へ の任 用(昇 任)を 認 め な い とす る の は 相 当 で な く、 そ の 職 務 の 内 容 、 権 限 と事 案 の 決 定 との 関 わ り方 及 び そ の 程 度 に よ って 、 外 国 人 を任 用 す る こ とが 許 され な い 管 理 職 とそ れ が 許 さ れ る管 理 職 と を 区別 して 任 用 管 理 を行 う必 要 が あ る とい うべ きで あ る。」 と した(注13)。 と こ ろ が 、2005年1月26日 最 高 裁 判 所(注14)は、 重 要 な決 定 権 を持 つ管 理 職 へ の 外 国 人 の就 任 は 日本 の 法 体 系 の 下 で 想 定 さ れ て お らず 、 憲 法 に 反 しない と して 高 裁 の判 決 を破 棄 した 。 多 数 意 見 は ま ず 、 地 方 公 務 員 法 は 、 一 般 職 の 地 方公 務 員 に在 留 外 国 人 を任 命 で きる か ど うか の 明 文 規 定 は な い が 、 地 方 公 共 団 体 が 、法 に よ る 制 限 の 下 で 、 条 例 、 人 事 委 員 会 規 則 等 の 定 め る と こ ろ に よ り職 員 に在 留 外 国 人 を任 命 す る こ と を禁 止 す る もの で は な い と述 べ た あ と、 同公 共 団体 は、 職 員 に採 用 した 外 国 人 に 国 籍 を理 由 と して 勤 務 条 件 で差 別 を して は な ら ない が 、合 理 的 な理 由 に基 づ く もの で あ る 限 り、 日本 人 と異 な る扱 い を して も憲 法14条1項 に は違 反 しな い と判 示 し た。 今 回 の 受 験 拒 否 の ケ ー ス が 合 理 的 か ど うか を判 断 す る うえ で 多 数 意 見 は 、 地 方 公 務 員 の 中 で も 住 民 の権 利 義務 を決 め た り、 重 要 な政 策 に 関 す る決 定 を した りす る よ うな 仕 事 をす る 幹 部 職 員 を 「公 権 力 行 使 等 地 方 公 務 員 」 と分 類 して 、 こ れ に つ い て 「国 民 主 権 の原 理 に基 づ き、 国及 び 地 方 公 共 団 体 に よ る統 治 の あ り方 に つ い て は 国 民 が 最 終 的 な責 任 を負 うべ き もの で あ る こ と(憲 法1 条 、15条1項)に 照 ら し、 原 則 と して 日本 の 国籍 を有 す る者 が 公 権 力 行 使 等 地 方 公 務 員 に就 任 す る こ とが 想 定 され て い る とみ るべ きで あ り、 我 が 国以 外 の 国 家 に帰 属 し、 そ の 国家 との 間 で そ の 国民 と して の 権 利 義 務 を有 す る外 国 人 が 公 権 力 行 使 等 地 方公 務 員 に就 任 す る こ とは 、 本 来 我 が 国 の法 体 系 の 想 定 す る と こ ろで は な い 」 とい う判 断 を示 した 。 そ の う えで 、 こ う した 幹 部 職 員 に な る た め に必 要 な経 験 を積 ませ る こ とを 目的 と し た管 理 職 の

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任 用 制 度 を 自治 体 が 採 用 して い る 場 合 、 日本 国 民 で あ る 職 員 に 限 っ て 管 理 職 に 昇 任 で きる こ と と す る の は 、 合 理 的 な 理 由 に よる 区 別 で あ り、 憲 法14条1項 が 保 障 した 法 の 下 の平 等 に は違 反 しな い 、 と結 論 づ け た。 た だ し、個 別 的意 見(上 田豊 三 裁 判 官)と して、 憲 法 は 在 留 外 国 人 に対 して は公 務 員 就 任 権 を 保 障 す る もの で は な く、 憲 法 上 の 制 限 の範 囲 内 で 在 留 外 国 人 が 公 務 員 に就 任 で きる か ど うか の 決 定 を立 法 府 の 裁 量 に ゆ だ ね て お り、 各 地 方 公 共 団 体 は在 留 外 国 人 の地 方公 務 員 へ の 就 任 の 問 題 を 定 め る に あ た り、 い か な る職 種 へ の 就 任 を認 め る か に つ い て の み な らず 、 ど の程 度 ・レベ ル の 級 (職務 の 内 容 と責 任 に応 じ て定 め られ る)ま で の 就 任(昇 任)を 認 め る か につ い て も裁 量 を持 つ と して、 行 政 に幅 広 い 裁 量 権 を認 め る。 反 対 意 見 と して、 滝 井 繁 男 裁 判 官 は、 我 が 国 の 地 方 公 共 団 体 の執 行 機 関 の うち 首 長 な ど機 関 責 任 者 は 国民 主 権 の 見 地 か ら 日本 国籍 を持 つ 者 に限 り就 任 で き るが 、 そ の他 の 地 方公 務 員 へ の 就 任 につ い て は 憲 法 上 の制 約 は な く、性 質 上 当然 の こ と と して 日本 国籍 を持 つ 者 に 制 限 され る と解 す べ き根 拠 は な く、 制 限 され る に して も合 理 的 な 理 由が 必 要 で 、 多 様 な 職務 の あ る 東 京 都 で 管 理 職 に就 く者 が そ の 職 務 の性 質 の か か わ らず 、 す べ て 日本 国籍 を有 す る者 とす る こ と に合 理 的根 拠 を 見 出 す こ とは で きな い と述 べ た 。 泉 徳 治 裁 判 官 は、 特 別 永 住 者 は 、 憲 法 が 保 障 す る法 の 下 の 平 等 原 則 や 職 業 選 択 の 自 由 を 享 受 し、 職 業 を通 じて 自己 実 現 を図 る とい う人 格 権 的利 益 を有 し、 地 方 公 共 団体 の 自治 の 担 い 手 の 一 人 で 、 地 方 公 共 団 体 と強 い 結 び つ き を持 つ の で あ る か ら、 具 体 的 な 制 限 の 目的 が 自治 事 務 の 処 理 ・執 行 の 上 で 重 要 で 、 か つ 目的 と手 段 た る 制 限 との 間 に実 質 的 な 関 連 性 が 存 す る こ とを 地 方 公 共 団体 が 論 証 した と き に限 っ て 、 制 限 の合 理 性 が 認 め られ る と述 べ 、 特 別 永 住 者 は他 の在 留外 国 人 よ りも 権 利 制 限 に は厳 格 性 が 要 求 さ れ る と主 張 した 。 (2)厂 公 務 員 に 関 す る当 然 の 法 理 」 に よる任 用 の 制 限 原 告 は、 「公 務 員 に関 す る 当 然 の 法 理 」 と して 、 「公 権 力 の 行 使 又 は公 の 意 思 の 形 成 へ の参 画 に た ず さ わ る公 務 員 とな る た め に は 日本 国 籍 を必 要 とす る」 とい う漠 然 と した曖 昧 な 基 準 で外 国 人 の公 務 員 就 任 あ るい は管 理 職 へ の就 任 を制 約 す る こ とは法 治 主 義(法 律 に よ る行 政)の 原 則 に反 す る と主 張 す る(注'5)。 「現 在 行 わ れ て い る外 国 人 の公 務 員 就 任 に 関 す る基 準 は 、 法 律 に よ って で は な く行 政 機 関 相 互 に 交 わ さ れ た 「照 会 」、 厂回答 」(行 政 実 例 、 行 政 事 例 、 通 達 、 法 制 意 見 等)に よ っ て形 成 され た もの で あ る 。 この よ うな行 政 機 関 内 部 の 「照 会 」 と 「回答 」 に よ り、 国 会 に よる論 議 と批 判 を経 る こ と な く、 「公 の権 力 の 行 使 を相 当 す る 官 吏 とな る権 利 につ い て は 国 民 の み の 専 有 す る権 利 と して い るの が各 国 の 通 例 で あ る」 とか 「公 務 員 に関 す る 当 然 の 法 理 」 とい っ た 空 漠 た る理 屈 で 前 述 の よ う な制 約 基 準 を形 成 し、 外 国 人 の 公 務 員 職 へ の就 任 を大 幅 に制 限 す る こ とは 、 そ の 制 限 が 立 法 機 関 に よっ て つ く られ た法 律 に よ っ て で は な く、 行 政 当 局 の 一 方 的 意 思 に よ りな さ れ て き た 点 で 、 法 律 に よ る行 政 とい う憲 法 の 基 本 に抵 触 し て い る」 と述 べ る(注'6)。 被 告 東 京 都 は 、 こ れ に つ い て は直 接 の 言 及 は せ ず 、 そ の 前 提 と して 「外 国人 の 公 務 就 任 権 は憲 法 上保 障 さ れ て お らず 、 職 業 選 択 の 自 由の 保 障 も公 務 就 任 権 に は及 ば な い 」 と して 原 告 の論 理 を 退 け る。 こ れ に 対 す る言 及 は、 東 京 地 裁 は して い な い 。 しか し、 行 政 実 例 は法 律 を補 完 す る もの と して 実 際 に は広 く利 用 され て い る 。 で は、 そ の 行 政 実 例 で は 定 住 外 国 人 に対 して 地 方 公 務 員 就 任 は どの よ うに され てい る の で あ ろ うか 。

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誰 が 見 て も当 た り前 の法 律 の 原 理 原 則 と し て の 「当 然 の 法 理 」 は1953年3月25日 付 け で 出 さ れ た 国家 公 務 員 に 関す る 法 制 局 回 答 、 い わ ゆ る高 辻 回答(注17)の中 で述 べ られ て い る 。 す な わ ち 「一 般 に わ が 国 籍 の保 有 が わ が 国 の 公 務 員 の 就 任 に 必 要 とさ れ る能 力 要 件 で あ る 旨 の 法 の 明文 の 規 定 が 存 在 す る わ け で は な い が 、 公 務 員 に 関 す る 当 然 の 法 理 と して 、公 権 力 の 行 使 又 は 国 家 意 思 の 形 成 へ の参 画 に た ず さ わ る公 務 員 とな る た め に は 日本 国 籍 を必 要 とす る もの と解 す べ き で あ り、 他 方 に お い て そ れ 以 外 の公 務 員 とな る た め に は 日本 国 籍 を必 要 と し な い もの と解 せ られ る」(注18)とす る 内容 で あ る 。 公 務 員 に な る の に は 日本 国籍 が 必 要 で あ る とい う法 律 は な い が 、 公 権 力 を行 使 した り国 家 意 思 の 形 成 に 参 画 す る公 務 員 に な る に は、 日本 国 籍 が 必 要 だ と解 せ られ 、 そ れ は 「当 然 の法 理 」 だ と い う の で あ る(注19)。 地 方 公 務 員 に 関 して は、1973年5月28日 付 け の 自治 省 公 務 員 第1課 長 回答(注2°)があ る。 「日本 国籍 を有 し ない 者 の 職 員 の 任 用 につ い て 」 に 関 す る次 の 「一 、 地 方 公 務 員 法 上 、 日本 の 国 籍 を有 し ない もの を 地 方 公 務 員 と して任 用 す る こ と につ い て 直接 の 禁 止 規 定 は存 在 しな い が 、 公 務 員 の 当 然 の 法 理 に 照 ら して 、 地 方 公 務 員 の 職 の うち 公 権 力 の 行 使 又 は地 方 公 共 団 体 の 意 志 の形 成 へ の 参 画 に たず さわ る もの につ い て は 、 日本 の 国籍 を有 しな い 者 を任 用 す る こ と は で き な い と 解 す べ きか ど うか 。 二 、 前 間 と関 連 して公 権 力 の行 使 又 は地 方公 共 団 体 の意 志 の 形 成 へ の 参 画 に た ず さ わ る職 に つ く こ とが 将 来 予 測 さ れ る職 員(本 市 にお い て は 一 般 事 務 職 員 、一 般 技 術 職 員 等) の 採 用 試 験 にお い て 、 日本 の 国 籍 を有 し ない 者 に も一 般 的 に 受 験 資 格 を認 め る こ と の適 否 は ど う か 。」 とい う照 会 に対 して、 「一 、 で き な い もの と解 す る 。 二 、 適 当 で ない 。」 と回 答 して い る(X21)。 これ は 、 前 述 の高 辻 回 答 の趣 旨が 地 方 公 務 員 に も該 当 す る こ と を認 め た もの で あ る(注22)。 ま た 、1979年4月13日 の 内 閣 総 理 大 臣 大 平 正 芳 答 弁(注23)があ る 。 そ こ で 、 大 平 総 理 大 臣 は 「日本 国 籍 を有 しない 者 の 職 員 の任 用 に つ い て 」 の 回答 と して 、 「公 権 力 行 使 や公 の意 思 形 成 へ の 参 画 に携 わ る職 種 以 外 に は 、 国 籍 は 問 わ ない 。 何 が公 権 力 行 使 等 に当 た る か 一律 に画 定 す る こ と は 困難 な の で、 地 方 自治 体 が 個 別 に判 断 す る よ う に」 と述 べ た 。 1991年1月10日 の 「在 日韓 国 人 の 法 的 地 位 ・待 遇 の 日韓 覚 書 」 で は 、 韓 国側 が 日本 政 府 の 説 明 に 理 解 を示 す 形 で 、 地 方 公 務 員 の 採 用 につ い て は 、 「公 務 員 任 用 に関 す る 国 籍 に よ る合 理 的 な 差 異 を ふ ま え た 日本 国 政 府 の 法 的見 解 を前 提 と しつ つ 、 採 用 の 機 会 の拡 大 が 図 ら れ る よ う地 方 自 治 体 を 指 導 して い く」 とい う内 容 に な っ た。 結 局 、 こ れ ら一連 の 行 政 実 例 に よっ て 現 在 で は 、 具 体 的 に ど ん な職 種 が 「当 然 の法 理 」 に触 れ る の か とい う判 断 は、 そ れ ぞ れ の 自治体 が 個 別 に行 う よ う にな っ て い る 。 (3)地 方 公 務 員 就 任 権 に対 す る地 方 自治 体 の 対 応 現 在 で は 、 一般 事 務 職 に つ い て 「当 然 の法 理 」 を理 由 に任 用 に制 限 を設 けて 国籍 条 項 を受 験 資 格 か ら撤 廃 す る 自治 体 が 増 え て い る 。 さ らに 一 般 事 務 職 全 般 につ い て 国籍 条 項 を撤 廃 して い る 自 治 体 も出 て きて い る。 川 崎 市 は全 国 の都 道 府 県 ・政 令 指 定 都 市 の 中 で 初 め て 、1996年5月13日 、 消 防 職 を 除 く一 般 事 務 職 の 受 験 資 格 か ら国 籍 条 項 を撤 廃 す る こ と を 正 式 に決 定 した 。 決 定 内容 は、 「日本 国 籍 を持 た な い 人 は 、公 権 力 の行 使 ま た は公 の 意 思 形 成 に参 画 させ ない 条 件 で 、 消 防 士 を 除 く全 区 分 で受 験 資 格 に 国籍 条 項 を設 け な い 」 とい う もの で あ る。 職 員 の 配 属 、 昇 任 、 転 任 な ど任 用 に当 た っ て は 、 この 条 件 に基 づ い て 人 事 管 理 を行 う と して い る。 決 定 の 理 由 に つ い て は① 公 権 力 の 行 使 ・公

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の 意 思 形 成 に参 画 す る 職 員 数 は20%に す ぎず 人事 管 理 で公 正 、 妥 当 な運 用 が で き る、② 地 方 公 務 員 は 国 家 公 務 員 と異 な り地 域 に密 着 した職 務 が 主 で 、 国籍 に と らわ れ る 必 要 性 は 薄 い 、 ③ 「共 生 の 街 づ く り」 の 実 現 に は 、 日本 国 籍 に な い 人 も職 員 に な る道 を 開 く こ と に意 義 が あ る、 と して い る 。 そ して 、庁 内 約3500の 職 務 の う ち 、税 金 徴 収 員 や 食 品 衛 生 監 視 員 な ど約180の 職 務 で 「公 権 力 の行 使 」 に抵 触 す る が 、 残 りは抵 触 しな い と判 断 して 、 専 門 ス タ ッ フの 課 長 級 まで は外 国 人 の 登 用 が 可 能 と し た(注24)。 そ の 直 後 の1996年11月22日 に は 、 当 時 の 白 川 勝 彦 自治 大 臣が 国籍 条 項 に つ い て 、 そ れ 以 前 の 自治省 見 解 を修 正 して 「公 権 力 の行 使 に 関 わ る か 否 か を一律 に画 定 す る こ とは 困 難 で あ り、 当 該 の 地 方 公 共 団体 が 自主 的 に職 務 内 容 を検 討 し、 具 体 的 に判 断 す べ きで あ る。 一 般 事 務 職 な ど につ い て も、 一 定 の 制 約 の 下 に外 国 人 を採 用 す る こ と は、 各 地 方 公 共 団体 が 判 断 す べ き人 事 行 政 上 の 問 題 で あ る」 と して外 国 人 の 採 用 にお け る 国籍 条 項 の撤 廃 を事 実 上 容 認 す る に至 っ た(注25)。 川 崎 市 の 試 み 、 白 川 自治 大 臣 の発 言 な どに よ り、 さ ら に一 般 事 務 職 の 受 験 資 格 か ら 国籍 条 項 を 撤 廃 す る 自 治体 が 増 え る こ とに な った 。 1997年1月 に は、 神 奈 川 県 の 岡 崎 洋 知 事 は、 記 者 会 見 で 「公 務 員 の多 くの 職 種 で外 国 人 へ の 門 戸 が 開 か れ つ つ あ る 中 で 、 一 般 職 だ けが 聖 域 とい う の は お か しい 。公 権 力 の行 使 に当 た る 仕 事 以 外 は採 用 して もい い の で は な い か」 と指 摘 し、 さ らに 、 厂(外国人 が)管 理 職 に就 い て も一 向 に差 し支 え ない 職 もあ る」 と述 べ て 、徴 税 な ど強 制 力 を伴 う一 部 の職 場 を除 き一 般 事 務 職 の 国 籍 条 項 を廃 止 し、 決 裁 権 の な い 部 長 級 まで の ポ ス トの 昇 任 を認 め る方 針 を 明 らか に した(注26)。 横 浜 市 は1997年 度 か ら 「衛 生 監 視 員 」 と 「消 防 士 」 を 除 く職 種 で外 国籍 者 の採 用 が 可 能 に な っ て 、 昇 任 試 験 も受 け られ る よ う に な り、 最 高 で 理 事(局 長 級)ま で 昇 任 で きる 。 た だ 、 決 裁 権 限 を持 つ 「ライ ン」 と言 わ れ る課 長 以 上 の職 と基 本 政 策 の 決 定 に携 わ る 係 長 以 上 の 職 に は 就 任 で き ない 。 現 在(2004年)は 、 外 国 籍 を持 つ 職 員 は19人 で 、8人 は 大 学 教 員 、11人 は事 務 職 員 や 技 能 職 員 、 看 護 師 と して 働 い て い るが 、 「ラ イ ン」 職 はい な い 。 ま た 、在 日本 大 韓 民 国民 団 愛 知 県 地 方 本 部 国 際 部 が2000年5月25日 実 施 した 定 住 外 国 人 に 関 す る各 種 実 態 調 査 に よ る と、 愛 知 県 下 全 自治 体(89カ 所)中31市 全 て が 国 籍 条 項 を撤 廃 して い た 。 職種 につ い て は、 一般 事 務 職 を始 め 保 育 ・学 芸 ・医事 ・看 護 ・清 掃 ・水 道 ・技 能 ・労 務 ・教 員 な どの 各 職 種 で 国籍 条 項 が 撤 廃 され て い る 。 ま た 、 名 古 屋 市 ・豊 橋 市 ・一 宮 市 ・春 日井 市 ・豊 川 市 な ど14市 は 、 消 防 職 に 国 籍 条 項 を 付 し て い る が 、 岡 崎 市 ・常 滑 市 ・江 南 市 ・豊 明市 な ど17市 は全 職 種 で 国 籍 条 項 を撤 廃 して い る 。 こ の よ う に愛 知 県 で は 「消 防職 を除 く職 種 で 撒 廃 」 とい う市 と、 「全 職 種 で 撤 廃 」 とい う市 で お お よそ見 解 が 二分 さ れ て い るが 、全 国 的 に は前 者 の 自治 体 の 対 応 が 多 い よ うで あ る。 愛 知 県 もこ の 調 査 実 施 の 年 に は 、2001年 か ら国 籍 条 項 撤 廃 を表 明 した 。 この よ う に、 愛 知 県 内 の 市 を見 て も行 政 職 か ら採 用 に際 して 国籍 条 項 を無 くす とい う流 れ は全 国 的 で あ る こ とが 分 か る 。 全 国 の 自 治体 が 採 用 に際 して 国 籍 条 項 撤 廃 に傾 く理 由 と して 、① 日本 の経 済 大 国化 に伴 な う定 住 外 国 人 の増 加 と多 様 化 に対 応 す る行 政 サ ー ビス の確 保 と 向上 の 必 要 性 、 ② 定住 外 国 人 の 人 権 や 生 活権 の 保 証 と平 等 化 、 ③ 都 市 間 競 争 に対 応 す る地 域 人 材 の多 様 化 ・高 度 化 へ の 要 求 、④ 自治 体 行 政 事 務 の拡 大 ・高 度 化 に伴 な う非 権 力 的行 政 分 野 の拡 大 、 ⑤ 地 方 参 政 権 を許 容 す る 最 高 裁 判 決 、 ⑥ 自治 行 政 の 国 家 行 政 か らの相 対 的 自立 、 な ど を 島根 大 学 の富 野 暉 一 郎 教 授 は挙 げ て い る(注27)。

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しか し、 一 般 事 務 職 の受 験 資 格 か ら国 籍 条 項 を撤 廃 し て も、 「公 権 力 の行 使 」 と 「公 の意 思 形 成 へ の 参 画」 に 関 わ る職 に対 す る任 用 に対 して は、 「当 然 の 法 理 」 に よ る制 限 を す る 自治 体 が 現 状 と して は大 多 数 を 占 め て い る 。 た と え ば 、 前 記 川 崎 市 で は、 「外 国 籍 職 員 の 任 用 に 関す る運 用 規 定 」 の概 要 と して 、 次 の よ う な説 明 を して外 国 籍 職 員 の任 用 を制 限 し てい る 。 「外 国籍 の 職 員 は 、 「公 権 力 の 行 使 」 に該 当 しな い 職 務 又 は 「公 の 意 思 形 成 へ の 参 画 」 に該 当 し な い 職(ラ イ ンの 課 長 級 以 上 の 職 を 除 くす べ て の 職)に 任 用 さ れ 、 こ れ ら に 関 わ る 職 員 数 は 、 概 ね8割 に 当 た る もの で あ り、 この 中 で 、 国 籍 に 関 わ りの ない 職 員 の 配 置 、 異 動 、 昇 任 等 を行 っ て い く旨 の規 定 が な さ れ て い ます 。」 とい う内 容 で あ る。 そ して 、行 政 事 務 の 中 で 「公 権 力 の行 使 」 に該 当 しな い 職 務 の例 と して 、 情 報 化 の推 進 、 産 業 の 振 興 、 区 政 推 進 ・区民 相 談 、 水 道 ・交 通 な ど の公 営 事 業 、 市 民 文 化 ・ス ポ ー ッ の振 興 を挙 げ 、 「公 権 力 の行 使 」 に 関 わ る 職 務 の例 と して 、 市 税 等 の 賦 課 ・滞 納 処 分 、 生 活 保 護 の 決 定 を挙 げ て い る。 全 国 的 な 国 籍 条 項 撤 廃 の傾 向 に よっ て 、 た と え ば 、 兵 庫 県 川 西 市 で2000年4月1日 、建 築 課 主 査 で 在 日韓 国 人2世 の 孫 敏 男 さ んが 一 般 行 政 職 の 管 理 職 に あ た る課 長 補 佐 級 の 副 主 幹 に登 用 さ れ た よ う に 、公 権 力 の行 使 ・公 の意 思 形 成 へ の 参 画 を要 し ない 管 理 職 に就 く者 が 出 て きた 。 さ ら に 、神 奈 川 県 逗 子 市 の よ う に、公 権 力 の 行 使 ま た は公 の意 思 形 成 へ の 参 画 に関 わ る の は市 長 だ け で 、 あ と の職 員 は そ の補 助 機 関 と して 機 能 して い る ので 何 ら問題 は ない と して 国 籍 条 項 の 全 面 撤 廃 に 踏 み 切 っ た市 も出 て きて い る 。 確 か に 、公 権 力 の行 使 ま た は公 の 意 思 形 成 へ の 参 画 とい う 「当然 の 法 理 」 を狭 く解 釈 して 、 地 方 自治 法 に基 づ く地 方公 共 団体 の 長 の 権 限 か ら そ の責 任 を負 う の は 当 該 地 方 公 共 団体 の 長 で あ る と考 え る こ と も可 能 で あ ろ う(注・・)。 た とえ ば 、1999年4月 、福 井 県 武 生 市 で は 、 同 市 の 設 置 した 「職 員 採 用 要 件 見 直 し研 究 会 」 は 、 「外 国 人 の公 務 就 任 を拒 否 す る根 拠 が な い 。 地 方 自治 体 で は公 権 力 は首 長 に 限 られ る」 と した報 告 を ま とめ たが 、 そ の理 由 を 「地 方 自治 体 第147条 に お い て 、 普 通 地 方 公 共 団 体 の 長 は、 当該 普 通 地 方 公 共 団 体 を統 轄 し、 これ を代 表 す る と あ り、 一 般 地 方 公 務 員 につ い て は 、 市 民 全 体 の 奉仕 者 と して の 責 務 を 自覚 し、法 令 、 条 例 、 規 則 等 及 び 上 司 の職 務 上 の命 令 に従 い 、 誠 実 公 正 か つ 能 率 的 に職 務 を遂 行 しな け れ ば な ら な いが 、 あ くま で 普 通 地 方 公 共 団 体 の 長 を補 佐 、 補 助 す る もの で あ る。 公 権 力 の 行 使 、 公 の 意 思 の 形 成 へ の 参 画 に つ い て 、 研 究 を重 ね て き た が 、 最 終 的 に は 、 上 記 の こ と を根 拠 とす る な らば 、 一 般 職 地 方 公 務 員 へ の外 国 人 の 採 用 につ い て は、 開放 す る こ と に つ い て 問 題 とな る もの は見 つ か らな か った 。」(注29)として い る。 こ れ らの こ とか ら、 公 務 員 はあ くま で 、 地 方 公 共 団 体 の 長 を補 佐 、 補 助 す る も と位 置 づ け る こ と も可 能 で あ る。 そ う だ とす れ ば 、 「当 然 の 法 理 」 に よ り国 籍 条 項 が付 与 され る公 務 員 は地 方公 共 団体 の 長 の み とい う こ と に な り、 すべ て の一 般 職 か ら任 用 に関 す る制 限 は 取 り除 か れ 、外 国 籍 職 員 を排 除す る 理 由 は な くな る。 この よ うに 全 国 的 に地 方 自治 体 に は外 国 人 の 管 理 職 登用 に 門戸 を開 く傾 向 にあ るが 、2005年1 月26日 の 最 高 裁 の 判 決 は こ の 流 れ に若 干 の 歯 止 め を か け る結 果 に な っ た 。 しか し、 最 高 裁 は 、 自治体 に よる外 国 人 公 務 員 採 用 自体 は 禁 止 され て お らず 、 国 籍 で 合 理 的 な 理 由 な しに差 別 さ れ る の も許 さ れ な い と判 断 し てお り、 また 、 行 政 裁 量 を広 く認 定 して い る の で 、 地 方 自治体 の 判 断 が 今 後 は よ り重 要 に な っ て くる。

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