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国語科における音読授業づくり : 子どもたちのこだわりの音読を通して

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Academic year: 2021

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国語科における音読授業づくり

∼子どもたちのこだわりの音読を通して∼

中 村 正 雄

国語科の学習において声に出して読む活動は機会も多く,特に低学年では楽しみながら取り組むことができる。 子どもたちが「自分だったらこういう風に音読する」 「もっと音読したい」と思う気持ちを大切にしていくことが 重要である。本研究では,2学年国語科「お手紙」を3つのこだわりを通して取り組んでいく。子どもたちが物語 を読んで感じたことにこだわりをもって音読していくことで,考えを深めていくことや楽しみながらより多くの 物語に触れることが出来るのではないかと考え研究した。 キーワード:音読,お手紙,アーノルド=ローベル,並行読書,単元を貫く言語活動,こだわり

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研究目的

本校の研究主題 「問い続け学び続ける子どもたち」 に迫っていけるように子どもたち一人一人をみとりな がら学習を進めていく。子どもたちが学習課題に興味 をもち,友だちと意見を交流する中で新しい見方や国 語科教材のおもしろさに気付いていけるように単元を 貫く言語活動を位置付けることにした。本研究では, 物語の「こだわり」(本学級では選りすぐりをこだわり と呼ぶ)を交流し合うことにより,アーノルド=ローベ ル作品を十分に味わえるようにした。子どもたちが物 語を読んで選りすぐったところを声に出すことで物語 のおもしろさを表現し,音読の楽しさにも触れ,多読に もつながると考えた。 2

研究方法

本研究では, 2学年国語科 「お手紙」の実践について 記述する。 「お手紙」とは手紙がきっとこないだろうと悲観 的になっているがまくん,友達であるがまくんのため にお手紙を出して励まそうとするかえるくんの温かい 物語である。低学年の子にとっては登場人物が身近な 生き物であり,物語を通して友達について思いを巡ら すことが出来る教材である。子どもたちがこだわって 音読したいところを 「こだわりポイント」として授業 の中で交流する。①物語の中でなぜそこを選んだのか ②選んだこだわりポイントをどう音読するのかという ことに焦点を当てながら授業を進めていく。 2. 1.付けたい力の明確化 学習指導要領の指導事項に沿いながら子どもたちを みとり,発達段階に応じた指導を設定した。自分のクラ スでは,毎日の取り組みもあり音読への興味が高い。 「お手紙」の学習を通して自分が1番好きなアーノル ド=ローベル作品を自分なりにこだわって音読するた めに単元の学習目標として次のように設定した。 ◎「がまくんとかえるくん」シリーズからお気に 入りの物語を選び,場面の様子や登場人物の様 子が表れるようにこだわりをもって音読する ことができる。

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「がまくんとかえるくん」の物語の様子につい て豊かに想像を広げながら読むことができる。 2. 2.単元を貫く言語活動 単元目標を達成するため言語活動として「こだわり のお話を音読する」という活動を位置付け学習してい くことにしt~ そのために「お手紙」を通してがまく んやかえるくんの心情に焦点を当てながら音読してい くようにした。 2. 3.単元計画 付けたい力を軸にしながら言語活動を考え,「お手紙」 の単元計画として以下のように設定した。 第1次単元の見通しをもつ。 ① 教師が「お手紙」を音読し,音読への興味をもたせ る。感想を交流し合う。 ② 学習課題を設定し,学習の見通しを立てる。 第2次 「お手紙」のこだわりポイントを交流する。 ③ 「お手紙」クイズを通しておおまかな内容をつかむ。 ④ 登場人物の気持ちが伝わるようなこだわりポイン トを探す。 ⑤ がまくんが不幸せな気持ちで待っている場面のこ だわりポイントを交流する。 ⑥ かえるくんがかたつむりくんにお手紙を出す場面 のこだわりポイントを交流する。 ⑦ がまくんとかえるくんがお手紙について会話のや り取りをしている場面のこだわりポイントを交流

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-12-する。 ⑧ 2人が幸せな気持ちで座っている場面のこだわり ポイントを交流する。 第 3次 音 読 劇 を す る。 ⑨ 自分が選んでいる音読をしたい作品について登場 人物の気持ちが伝わるようなこだわりポイントを 探す。 ⑩ァでこだわりポイントを話し,音読の練習をす る。 ⑫ グループ同士で音読を発表し,アドバイスする。 ⑬ 音読を発表し,振り返りをする。 自分が物語の中でこだわって音読したいところ(登 場人物の気持ちがよく表れているところ)を交流する。 子どもたちの「ここを大切に音読したい」「自分だった らこんな風に読むよ」といった子どもたちの考えをも とに音読することで子どもたちの工夫あふれる音読が 出来るのではないかと考えた。 2. 4. 教材との出合い 単元学習に入る前にアーノルド=ローベル作「ふた りは」シリーズを読み聞かせした。読み聞かせたのは 「クッキー」「アイスクリーム」「なくしたボタン」の 3つ の話である。3話読み聞かせした時点で1番好きな作 品を子どもたちに選ばせた。子どもたちは悩みながら も選んだ作品に自分の名札をつけた。「こだわり掲示 板」と名づけた掲示板にお気に入りの作品を視覚化さ せ,子どもたちの作品に対する興味•関心を高めた。 ま た,子どもたちには好きな作品が変わったら名札を貼 りかえても良いと伝え,教室に読書コーナーを作った。 (2 0作品から選りすぐった作品をこだわりのお話と 名付けることにしt-=.,,)そして,全 20話の話を掲示す ると朝の読書で「ふたりは」シリーズを読んだ子が早速 名札を変えに来た。毎日,写真を撮って記録をしながら かわった子には理由を聞いたり,みんなの前で紹介し たりするなどの活動をした。

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(図 1 好きな物語の視覚化) こだわりのお話が変わった子は「親友って言葉が心 に残ったから」「がまくんが面白いから」などと自分で 作品を読み味わいながらお気に入りの話を決めていた。 また,図書ボランティアの方々にも読み聞かせをして いただいた。中にはどんどん好きな作品に出合って名 札の位置が変わったり,好きな作品がいくつもあって 選ぶのに迷ったり,「やはりこの話が1番だ」となかな か変わらなかったりした子どももいた。どの子どもも 楽しそうにお話を選んでいる姿を見ることが出来た。 教室の一角には読書コーナーを作り朝の読書や休憩時 間に手にとって作品を読めるようにした。休憩時間に は絵本を手にとって友達と楽しそうに音読をする姿も 見られた。 3 学習の実態 3. 1.単元のはじめ 単元の始めには「お手紙」という作品に興味をもち, 音読を意識して学習に取り組むことが出来るように教 師 2人でがまくん,かえるくん役に分かれて音読を行 った。音読の後には,心に残ったところや感想を交流し た。がまくんとかえるくんの関係や物語の面白さに着 目した子どもや最後の幸せになったというところが心 に残ったと書いた子どももいた。1番多かったのはお 手紙の内容がとても心に残ったという意見である。 3. 2.こだわりポイント 「お手紙」の第2時では何人かが音読した後に,「ど うしたらもっと上手に音読できるか」と訊いてみた。子 どもたちからは「がまくんやかえるくんになりきって」 「お話の世界に入って」「すらすらと」「声の大きさを考 えて」などの意見が出た。子どもたちから「もっと上手 に読みたい」という想いが感じられた。すると一人の女 の子が「こだわり音読をしてみては?」とつぶやいたの でみんなの前で紹介してもらった。すると違う子ども から「それやったらこだわって読むところを見つけた らいい」という発言が出た。そして,今度はまた違う子 どもが「こだわりのところを工夫したらいい」と言った。 一人のつぶやきから思考がつながった瞬間であった。 よって課題を「こだわったお話(お気に入り)でこだわ ったところをこだわって音読する」という「2 Aこだわ り音読たい」として音読をしていくことにした。(3つ のこだわり)そして,授業では「お手紙」の中で自分が こだわって音読したいところをこだわりポイントとし て交流していくことを確認した。

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(図 2 3つのこだわり)

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本学級では本読みを毎日の宿題として習慣づけてい る。主に△ (もう少し) .

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(だいたいよい) ・◎ (た いへんよい)の三段階で保護者に聞いて頂き評価して もらうのだが,回数を重ねるごとに評価が上がり,一生 懸命音読している姿が見られた。今回は, 「2 Aこだわ り音読たい」という題で新しい音読カードを作った。 音読やがまくん,かえるくんの心「青を意識できるよう に項目を 「声の大きさ」「すらすら」「がまくんになり きって」「はやさ・間のとり方」「こだわったところ」 とした。保護者にも呼びかけ,本番として1回お家の人 に聞いてもらうこととした。最初は△が多かったが, 「◎をとりたい」「もう少し速さに気を付けて読むよう にするよ」と子どもたちからももっと上手に読みたい という気持ちが感じられた。また,保護者のコメントか らも「∼ところがかえるくんにそっくりでした。」「が まくんになりきって読めていました」などと工夫して 音読する姿も増えていった。 保設尊

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のコメントや成長 したところは絶えず子どもたちに声をかけていくよう に心がけた。 3. 3 こだわりポイントの交流 子どもから出たこだわりが抽象的であったので子ど もたちと一緒に定義付けをした。子どもたちからは「心 に残ったところやがまくん,かえるくんの気持ちがよ くわかるところ」として「こだわりポイント」と名前を 付けた。そして,「お手紙」の中でこだわりポイントにな りそうな候補に線を引いた。そのあと,自分が最も大事 にしたい(こだわりたい)ところを選び,理由を書いて場 面ごとに交流していった。以下,子どもたちが考えたこ だわりポイントである。 ・「今,一日のうちのかなしい時なんだ。つまり,お手紙 をもつ時間なんだ。そうなるといつもぽく,とてもふ しあわせな気もちになるんだよ」 ・「だって,ぼく,お手紙もらったことないんだもの」 •かえるくんは大いそぎで家へ帰りました。 えんぴつ と紙を見つけました。紙に何か書きました。紙をふ うとうに入れましだ。ふうとうにこう書きましこ ・「今まで,だれも,お手紙くれなかっだんだぜ。きょう だって同じだろうよ」 ・「ばから

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ハこと言うなよ」 ・「だって,ぽくが,きみにお手紙だしたんだもの」 •そしてかえるくんからのお手紙を,がまくんにわたし ましだ。お手紙をもらって,がまくんはとてもよろこ びました。 ・『親愛なるがまがえるくん。ぽくはきみがぼくの親 友であることを,うれしく思っています。きみの親友, かえる』 •お手紙をもらって,がまくんはとてもよろこひました。 第7時では,がまくんとかえるくんがお手紙につい て会話のやり取りをしている場面について学習した。 教師: こだわりポイントを紹介しましょう。 けんと:「だって,ぼくが,きみにお手紙出したんだも の」のところです。(音読する) 教師:じゃあ同じ所を書いた子読んでみようか。 みか: (3人音読する)「出したんだもの」を強めに 読みます。 教師:なぜかえるくんはがまくんにバラしてしまっ たのかな。 さとる:内緒だと (がまくんが) かなしいままだか ら。 ゆうと:でも渡した方力刻喜以\よ。 さくら:今まですっとかえるくんは(お手紙を出し たことを)秘密にしている。がまくんを喜 ばせたい。だからちょっと強く読んでみる。 こだわったところについて「

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だからわたしは∼ 読む」というようにがまくんやかえるくんの立場にな って考え,音読することが出来ていた。理由と共に交流 し,何人かに音読してもらう活動を入れた。友達のこだ わりポイントについても自分から「読みたい」と進ん で音読する姿もあった。読み方が違ったり理由が違っ たりする場合は子どもたちにその理由を訊いて本文に 戻って考えた。 授業の最後には場面を音読し,友達同士で音読レベ ル(まちがえずに,声の強弱,なりきって)を星 3段階 で詔価し合った。友達に評価してもらった後には「星 3 つもらっ t~ 」「00 くんのなりきり度がすごかった よ」という声があがった。

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-(図3 ペアで音読する) 4授業の考察 第7時では「お手紙」の中でがまくんの心情が大き く変化した「だって,ぼくが,きみにお手紙出したんだ もの」のところを中心として授業を行った。子どもた ちのこだわりポイントを事前にみとり,授業の半ばで 考えるつもりが始めの方で意見を出させてしまった。 しかし,中心部分を始めに考えることで本文の前の部 分から登場人物の心情を考え,音読することが出来て いた。かえるくんが何回も窓からかたつむりくんが来 るのを待っていることに着目することが出来たのであ る。よって今まで秘密にしていたけど,がまくんの言動 に耐えきれなくなって言ってしまったという意見が授 業をより深めることに繋がった。その反面始めにこだ わりポイントを前に貼って視覚化したのだが,子ども たちの意見を発表し,全て共有化することが出来なか った。教師がしつかり考えさせたいところとそうでな いところの軽重をつけることができれば良かったと思 う。また,こだわりポイントを紹介した後に子どもたち に音読してもらうのは,違いや自分が選んでいなくて も友だちの意見を聞いて音読する姿があったのでとて も良かったと感じる。しかし,授業の中でもっと多くの 子どもたちに音読させることが出来れば良かった感じ た。そうすることによって友達のこだわりポイントが 自分の音読を向上させる1つの要素になりうるからで ある。どんどん音読させることによって「自分だった

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思ったから△△読んでみる」という部分をもっと 交流させたかった。 5 成果と課題 本研究の成果としては以下の点がある。まず自分が 大事に音読したいところを明確にすることで子どもた ちの意欲に繋げることが出来たことである。「自分だっ たらこのように音読する」ということについて根拠を しっかり伝え合う活動がこだわりの音読に結びついた) 次に,子どもたちの音読への取り組みや工夫である。 低学年の読むことの目標は 「語のまとまりや言葉の響 きなどに気を付けて音読すること」であるが,登場人物 のことを考えて音読の表現を工夫する姿が目立った。 根拠をもつことが音読の工夫へと繋がったことは大き な成果であると考える。また,授業中,何人かに音読さ せることで,友達との音読を比べたり,本文に戻ってが まくんやかえるくんの心

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青をおさえたりすることが出 来た。この活動は並行読書を活用することで「お手紙」 以外のアーノルド=ローベル作品にも目を向け,進ん で読書をしたり,音読したりする姿を見ることが出来、 多読にもつながった。 課題としては,子どもたちが考えたこだわりポイン トを授業の中で交流しきれなかったところにある。子 どもたちが音読するために大事だと思ったところを授 業の冒頭で前に視覚化したのだが,登場人物の心

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青面 の読み取りに時間がかかりすぎて取り上げることがで きなかったところもあった。子どもたちの意見を視覚 化したところまでは良かったのだが,その後に共有化 ができず,深めることが出来なかったのは大きな反省 である。せっかく自分のこだわりに根拠をもって選ん だからこそ,もっと授業の中で紹介させてあげたかっ た。また途中何人かにこだわりポイントを音読しても らったが,もっと多くの子どもたちに音読をしてもら うことが重要だと感じた。それは,友達のこだわりポイ ントが音読上達のポイントになるからである。自分が 選んでいないこだわりポイントでも自ら声に出して読 むことで音読上達に繋がるという切実堀名をもっともた せることが出来たのではないかと思う。個人の意見が クラス全体の学習に繋がるよう指導が必要だと感じた。 授業を振り返ってみてやはり個人の考えを全体で共有 していくことの難しさを感じた。しかし,今回「2 Aこ だわり音読たい」として音読の上達を目指すのであれ ば 「いただきポイント」として友だちのこだわりポイ ントが自分自身の音読上達にも繋がるというようにし ていけばよいと思った。 参 考 文 献 文部科学省 (2008)小学校学習指導要領解説 国語編 東洋間館出版社 水戸部修冶 (2014)小学校国語科学習指導案パーフェ クトガイド1・2年 明 冶 図書 水戸部修治・ 浮田真弓•細川太輔 (2015) 単元を貫く 学習課題と言語 活 動 東 洋 出 版社

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参照

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