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ヒメアカカツオブシムシに対するフェロモントラップ2 種の捕獲性能の比較

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Academic year: 2021

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(1)Urban Pest Management vol.9 (2019) 37-41. 【短報】 ヒメアカカツオブシムシに対するフェロモントラップ 2 種の捕獲性能の比較 今村太郎 *,古井 聡,宮ノ下明大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 〒 305-8642 茨城県つくば市観音台 2-1-12. Comparison of the trapping efficiencies of two types of pheromone traps for Trogoderma granarium Taro IMAMURA*, Satoshi FURUI and Akihiro MIYANOSHITA Food Research Institute, NARO, 2-1-12 Kannondai, Tsukuba, Ibaraki 305-8642, Japan. 摘 要 2012 年に国内で開発されたヒメアカカツオブシムシ用のフェロモントラップ「ヒメアカカツオ ブシムシ用 TRIOS®」(富士フレーバー株式会社製,以下トリオスと記す)と海外製のフェロモン トラップ「ヒメアカカツオブシムシ・キマダラカツオブシムシ(KB/WB)用 DOME ™ Trap」 (Trécé Inc. 製,以下ドームトラップと記す)のヒメアカカツオブシムシ雄成虫に対する捕獲性能を比較し た.プラスチック製容器(内寸:幅 55.0 ×奥行 38.4 ×高さ 4.1 cm)にトラップを設置後,50 頭の ヒメアカカツオブシムシ雄成虫を放し,48 時間後に捕獲数を数えた.トリオスとドームトラップ の捕獲率はそれぞれ 88.8% と 58.6% であり,トリオスの方がドームトラップより有意に捕獲率が 高かった. Abstract We compared the trapping efficiencies of a pheromone trap developed in 2012 in Japan (TRIOS® for Trogoderma granarium, Fuji Flavor Co., Ltd.) and a foreign-made pheromone trap (DOME ™ Trap for T. granarium and T. variabile, Trécé Inc.) for T. granarium adult males. The trap was placed in a plastic container (W55.0 x D38.4 x H4.1 cm inner dimensions) and 50 T. granarium adult males were released. After 48 h the captured adults were counted. The capture rates were 88.8% for the TRIOS® and 58.6% for the DOME ™ Trap, thus revealing a significantly higher trapping efficiency with the TRIOS® than with the DOME ™ Trap. Key words: ヒメアカカツオブシムシ(Trogoderma granarium),フェロモントラップ(pheromone trap) ,性フェロモン(sex pheromone),貯蔵食品害虫(stored-product insect). はじめに ヒメアカカツオブシムシ Trogoderma granarium Everts(コウチュウ目:カツオブシムシ科 ) は貯蔵穀物の大害虫であり,国際自然保護連合 (IUCN)の種の保全委員会(SSC)が 2000 年 に 発 表 し た「 世 界 の 侵 略 的 外 来 種 ワ ー ス ト 100」に挙げられている唯一の貯蔵食品害虫で 受付:2018 年 12 月 5 日(Received:5 December, 2018) 受理:2019 年 7 月 16 日(Accepted:16 July, 2019) *Corresponding author: [email protected]. ある(村上・鷲谷,2002).本邦においては, 1923 年に鳥取県の米穀倉庫で発見されたもの のそれらは自然消滅し(中山,1932),1960 年 代に全国各地の醸造所,麦芽貯蔵所で発見され て駆除事業が行われたが(Sonda, 1968),その 後の定着は確認されていない.しかし,本来は 本邦に生息していなかった同属のヒメマダラカ ツオブシムシ T. inclusum LeConte,キマダラカ ツオブシムシ T. variabile Ballion は 1990 年代以 降,本邦の一般家屋や食品原料関連施設で採集. 37.

(2) 38. Urban Pest Management vol.9 (2019) 37-41. されており,既に定着している可能性があり(平 尾・ 杉 本,1992; 平 尾,1994; 富 岡 ら, 2002),本種についても侵入・定着を最大限警 戒する必要がある. 本邦では,本種の発生をモニタリングするた めに性フェロモンを誘引剤に用いた 2 種類の フェロモントラップが発売されている.一つは 海外生産品のトラップであり,オイルが用いら れているために,そのオイルが設置期間中に乾 燥したり,設置・交換の際に不注意によりこぼ れたりするので取り扱いが難しい.もう一つは 2012 年から販売されている国産のヒメアカカ ツオブシムシ用のトラップである.このトラッ プではオイルではなく粘着紙が用いられてお り,前記のような問題は発生しないために取り 扱いの面でのメリットがあるが,実際の捕獲性 能に関して両トラップを比較した報告はない. そこで,ヒメアカカツオブシムシを供試虫とし て捕獲性能を比較したのでここに報告する. 材料および方法 試験に用いたヒメアカカツオブシムシは, 2006 年に農林水産大臣による輸入許可を得て 農林水産省横浜植物防疫所がイスラエルから輸 入し,2008 年に同様に農林水産大臣による移 動許可を得て横浜植物防疫所から国立研究開発 法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品研 究部門に一部を移動後,同部門で飼育している ものである.ヒメアカカツオブシムシは 5% の 乾燥酵母を加えた小麦全粒粉を餌として 30℃,65%RH,16L8D の恒温恒湿室内で飼育. し,試験には羽化後 1 週間以内の雄成虫を用い た.雌雄は体サイズと鞘翅の斑紋により識別し た(Harris, 2018). 試験したトラップは「ヒメアカカツオブシム シ用 TRIOS®」(富士フレーバー株式会社製, 以下トリオスと記す)と「ヒメアカカツオブシ ムシ・キマダラカツオブシムシ(KB/WB)用 DOME ™ Trap」 (Trécé Inc. 製,以下ドームトラッ プと記す)である(図 1) .どちらも徘徊性昆 虫用に設計された床置き型トラップである.ト リオスは本体内に粘着紙を設置し,その中央部 に誘引剤を置くタイプである.短辺側 2 方向に 開口部があり,そこから侵入した昆虫は紙製の スロープを登ったあと,粘着紙に落下して捕獲 される.ドームトラップはドーム型の本体の内 部が落とし穴になっており,そこに数滴のオイ ル(食物性カイロモン)をしみこませた紙を入 れ,ドーム内天井部に性フェロモン剤を取り付 けるタイプであり,オイルと性フェロモン剤の 両方が誘引剤である.周囲全方向が開口部であ り,そこから侵入した昆虫は本体のスロープを 登ったあと,オイルをしみこませた紙に落下 し,オイルの粘性とオイルが気管をふさぐこと による窒息効果によって捕獲される. 試験には,各トラップの本体と誘引剤を組み 合わせ,以下の 6 種類のトラップを用いた.略 称の T と D はトリオスとドームトラップの本 体,TA と DA はトリオスとドームトラップの 誘引剤をそれぞれ表している. ・トリオス本体にトリオス誘引剤を設置したも の(T+TA). 図 1 試験に用いたフェロモントラップ本体(左上:上面,左下:側面,右:開いた場合). それぞれの写真で左側がトリオス,右側がドームトラップである.A:昆虫が侵入する開口部,B: 性フェロモン剤を装着する突起,C:粘着紙設置部,D:オイルをしみこませた紙を入れる部分..

(3) Urban Pest Management vol.9 (2019) 37-41. ・ドームトラップ本体にドームトラップ誘引剤 を設置したもの(D+DA) ・トリオス本体にドームトラップ誘引剤を設置 したもの(T+DA) ・ドームトラップ本体にトリオス誘引剤を設置 したもの(D+TA) ・誘引剤なしのトリオス本体(T) ・誘引剤なしのドームトラップ本体(D) T+TA,D+DA がそれぞれトリオス,ドーム トラップそのものである.T+DA では数滴の ドームトラップ用オイルをしみこませた紙を入 れたプラスチックトレイ(外寸 5.0 × 5.0 × 1.0. cm)とドームトラップ用性フェロモン剤をト リオス用の粘着紙上に設置し,D+TA ではドー ムトラップの落とし穴のサイズに切ったトリオ ス用粘着紙(直径 3.5 cm)を落とし穴の底に入 れ,そこにトリオス用誘引剤を設置した.T で はトリオス用の粘着紙だけ,D では落とし穴の サイズに切ったトリオス用の粘着紙だけを設置 した.図 2 は実際に捕獲試験に用いたトラッ プ内部の一例である. 実験装置の模式図を図 3 に示した.放虫す るアリーナとして,蓋付きのプラスチック製容 器(内寸:幅 55.0 ×奥行 38.4 ×高さ 4.1 cm). 図 2 試験に使用したトラップの内部. ヒメアカカツオブシムシ雄成虫が捕獲されている.. 図 3 実験装置の模式図. A:プラスチック製容器(内寸 55.0 × 38.4 × 4.1 cm),B:トラップ設置場所,C:ヒメアカカツオ ブシムシ雄成虫投入地点,D:シリコンチューブ(内径 8 mm),E:真空ポンプ(DA-60S,ULVAC 製, 流量 60 L/min),F:フェロモン吸着用の活性炭を入れた容器(内径 7.0 cm ×高さ 20 .0 cm).. 39.

(4) 40. Urban Pest Management vol.9 (2019) 37-41. を用いた.供試虫の転倒防止のため,容器の底 面には大型ろ紙を容器底面のサイズに切り,ろ 紙の下に供試虫が潜り込まないように粘着テー プでろ紙下面と容器底面を固定した.容器の側 面に 2 ヵ所穴をあけ,シリコンチューブ(内径 8 mm)を接続し,それを真空ポンプ(DA-60S, ULVAC 製,流量 60 L/min)の吸気側につなげ た.シリコンチューブは 4 段階にそれぞれ二股 に分岐させたので,各容器当りの流量は,理論 上はポンプの流量の 16 分の 1 の 3.75 L/min で ある.真空ポンプの排気側にシリコンチューブ を接続し,活性炭を入れた容器(内径 7.0 cm ×高さ 20.0 cm)につなげ,排気を活性炭にく ぐらせてから放出するようにした.容器の蓋部 には 2 ヵ所に開閉できる投入口を設け,容器の 奥から 3 cm 離した位置に前記の 6 種類のトラッ プのいずれかを設置し,容器の手前から約 8 cm 離した地点にヒメアカカツオブシムシ雄成 虫 を 50 頭 放 し た. 試 験 は 28 ℃,70%RH, 16L8D の条件下で行い,成虫を放してから 48 時間後にトラップを取り出して,捕獲数を数え た.各試験区当りそれぞれ 10 反復行った(各 試験区当り合計 500 頭). 結果及び考察 表 1 に結果を示す.ヒメアカカツオブシム シ成虫は狭い隙間に潜り込む性質があるため (French and Venette, 2005),トラップ本体だけ でも T 区で 64.6%,D 区で 40.0% が捕獲できた. D より T の方が有意に入りやすいと言える. ドームトラップ本体に異なる誘引剤を設置した D+DA 区と D+TA 区では,D+TA 区の方で有意 に捕獲数が多かったので,DA より TA の方が 誘 引 効 果 が 高 い と 考 え ら れ る.T+TA 区, D+TA 区,T+DA 区 の 間 に は 有 意 差 が な く, 75% 以上が捕獲できた.これら 3 試験区中 2. 試験区が TA を用いたものであり,DA を用い たものでも本体が T であれば捕獲効果が高い ことを示している.本体,誘引剤ともにトリオ スの方が効果的であるため,T+TA 区と D+DA 区の捕獲率はそれぞれ 88.8% と 58.6% であり, 本試験においてはトリオスの方がドームトラッ プよりも有意に捕獲効果が高かった.本試験は 面積 2112 cm2,試験期間 2 日の小規模実験であ るため,実際の倉庫などでの効果の確認が課題 として残されている.また,Trogoderma 属は 性フェロモンが共通しているので(Greenblatt et al., 1977),同属他種に対する効果も確認する 必要がある. 謝 辞 実験装置の一部を提供していただき,また, 試験にあたりご助言をいただいた富士フレー バー株式会社に厚くお礼申し上げる. 引用文献 1) French, S. and Venette, R.C. (2005) Mini Risk Assessment, Khapra beetle, Trogoderma granarium (Everts) [Coleoptera: Dermestidae]. USDA–APHIS–PPQ–Cooperative Agriculture Pest Survey–Pest Risk Assessment (PRA). [accessed December 3, 2018]. Available from: https://extension.entm.purdue.edu/CAPS/pdf/ datasheets/KhapraBeetle.pdf 2) Greenblatt, R.E., Burkholder, W.E., Cross, J.H., Cassidy, R.F., Silverstein, R.M., Levinson, A.R. and Levinson, H.Z. (1977) Chemical basis for interspecific responses to sex pheromones of Trogoderma species (Coleoptera: Dermestidae). J. Chem. Ecol. 3: 337-347. 3) Harris, D.L. (2018) Khapra beetle, Trogoderma granarium Evert (Insecta: Coleoptera: Dermes-. 表 1 各試験区における 48 時間後のヒメアカカツオブシムシ雄成虫の捕獲数 (mean ± SE,n=10) . .

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(6) . . .      .  . . .      .  . . .       .  . .      . . . 

(7)      . . .      .  .    .  ­€‚ƒ„ †             .

(8) Urban Pest Management vol.9 (2019) 37-41. tidae). University of Florida, IFAS Extension. EENY-372. [accessed December 3, 2018]. Available from:https://edis.ifas.ufl.edu/in667 4) 平尾素一・杉本可能(1992)フェロモント ラップによるマダラカツオブシムシ類 (Trogoderma 属)の捕獲成績.ペストロ ジー学会誌 7:4-8. 5) 平尾素一(1994)食品原料関連施設におけ る性フェロモントラップによるマダラカツ オブシムシ類(Trogoderma 属)の捕獲成 績.環動昆 6: 182-186. 6) 中山昌之介(1932)ヒメアカカツヲブシム シの研究.朝鮮總督府農事試驗場研究報告. 18: 1-24. 7) 村上興正・鷲谷いづみ(2002)世界の侵略 的外来種ワースト 100.外来種ハンドブッ ク(日本生態学会編)pp. 364-365. 地人書 館,東京. 8) Sonda, M. (1968) The status of Trogoderma granarium Everts and T. varium (Matsumura and Yokoyama) (Col., Dermestidae) as pests of stored products in Japan. J. Stored Prod. Res. 4: 23-30. 9) 富岡康浩・吉垣 茂・柴山 淳(2002)キ マダラカツオブシムシの日本での発生事 例.家屋害虫 23: 85-87.. 41.

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表 1  各試験区における 48 時間後のヒメアカカツオブシムシ雄成虫の捕獲数 ( mean ± SE , n=10 )                                                                                                ­€‚ƒ„…†            

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