114 (44) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ワニ フチ ヒロシ鰐 渕 博(昭和3
博士(医学) 乙第1208号平成3年10月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
成人ウイリス動脈輪閉塞症(モヤモヤ病)の外科治療について (主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 小林 愼雄,相川 英三論 文 内 容 の 要 旨
目的 成人発症例のモヤモヤ病に対し,術前にDynamic CT, Xenon CT, SPECTによる脳循環動態を検討後, 各種の血行再建術を施行し,外科的治療の有効性を検 討した. 対象ならびに方法 当科で経験した成人発症例のモヤモヤ病65野中,経 過を観察し得た59例(保存的治療群38例,外科的治療 群21例)を対象とした. 外科的治療群においては,各種血行再建術の効果を 比較検討した.さらに長期追跡が可能であった保存的 治療群と外科的治療群の下間比較を行い,成人モヤモ ヤ病の外科的手術の適応と意義を検討した. 結果ならびに考察 1.脳循環動態については,(1)Xenon CTによる検 討で,出血発症群は虚血発症群に比べcorona radiata における局所脳血流量の有意な増加を認め,.基底核部 モヤモヤ血管への圧負荷のあることが示唆された.(2) Dynamic CTによる検討でもcortexにおいては出血 発症群,虚血発症群ともにcontrol群に比べ,血流の有 意な低下を認め皮質の乏血状態を反映していた.(3) SPECTによる検討ではearly image, delayed image 共にperfusion defectを認める症例では新生血管の発 達は認められなかった. 2.外科的治療群21例中,術後脳血管撮影が行われた 21側中19側(90.5%)には外野動脈系からの側副血行 路の発達を認め,21側中10側(47.6%)に基底核部モ ヤモヤ血管の退縮を認めた. 外科的治療群のmorbidity rateは19.0%, mortaL ity rateは0%であったが,保存的治療群のmorbidity rateは44.7%, mortality rateは21.1%で,外科的治 療の優位性が示された. 各種の血行再建術のうち,synangio・duralplasty (SDP)は既存の側副血行路を犠牲にすることが少な く,外頸動脈系からの新生血管の発達と基底核部モヤ モヤ血管の退縮が良好であった. 結論 成人発症例のモヤモヤ病に対する外科的治療は,内 科的治療と比較してmorbidity rate, mortality rate ともに優れており,有効な治療手段である.出血発症 例に対しても,基底核部にモヤモヤ血管に対する圧負 荷を軽減し得ることから,再出血の予防効果が示唆さ れた. 一718一115