• 検索結果がありません。

中脳背側症候群の眼症状の発現機序と病巣に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "中脳背側症候群の眼症状の発現機序と病巣に関する研究"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

原 著

〔書略善、6第鞭元鵜〕

中脳背側症候群の眼症状の発現機序と病巣に関する研究

東京女子医科大学 神経内科学教室(主任 ナカ ジ アイ 中 地 愛 丸山勝一教授) (受付 平成元年2月3日)

AStudy on the Mechanism and the Lesion of the Ocular Symptoms of Dorsal Midbrain Syndrome

Ai NAKAJI

Department of Neurology(Director:Prof. Shoichi MARUYAMA), Tokyo Women’s Medical College

The mechanism and the lesion of the ocular symptoms of twelve patients with dorsal midbrain

syndrome were analized by ciinical and oculo−motor findings−electrophisiological, radiographicai and

pathological methods. There were eight patients with basilar artery infarction, one with multiple brainstem hemorrhage, two with thalamic hemorrhage and two with the pineal tumor.

All except one patient who had bilateral complete III nerve palsy presented limited vertical voluntary gaze(particulary upward gaze). Skew deviation and anisocoria were recognized in ten

patients, respectively. Seven patients presented midbrain corectopia and four out of twelve patients

had convergence and/or retraction nystagmus. Seven patients were thought to have supranuclear III

nerve deficits. Partial III nerve palsy was recognized in three patients, and complete III nerve palsy was recognized in two.

Magnetic resonance imaging examination revealed the lesion in the tegmentum of the midbrain in

all sublects. On the other hand, CT scan detected the abnormalities in the midbrain in four out of twelve patients. ABR and SEP were positive in more than 60%of the subjects.

The causative lesions of the convergence and/or retraction nystagmus were thought to be the limited regions of the mesensephalon which include the r−iMLF(rostral interstitial nucleus of the Medial Longitudinal Fasciculus).

緒 対 方 結 言 象 法 果 目 輻湊眼振が認められた症例 中脳背側部障害を免れた脳幹梗塞の1剖検例 考 察 結 語 緒 言 中脳被蓋および中脳水道付近の灰白質を含む障 害で垂直方向の注視麻痺,瞳孔異常,輻湊眼振な どの多彩な眼症状が出現することが知られてお り,中脳背側症候群と称せられている.臨床の場 で本症候群に遭遇することは比較的まれであり, また,その報告も少数にとどまる1)∼8).1987年相川 ら4)は10例におよぶ中脳背側症候群を呈した症例 について瞳孔異常,ことにcorectopiaを中心に検 討している.本研究では中脳背側症候群を呈した 12症例について,臨床症状,眼球運動検査,体性 感覚誘発電位(somatosensory evoked poten− tial:以下SEP)聴性脳幹反応(auditory brain− stem response:以下ABR)などの電気生理学的 検査,画像診断を総合して病巣と眼症状の特徴に 一705一

(2)

表1 原因疾患と病期 脳血栓 急性期 4例 慢性期 i多発性 1例P例) 5例 脳塞栓 急性期 i多発性 2例Q例) 2例 脳出血 急性期 i多発性 攝ォ期 1例 P例) Q例 3例 松果体腫瘍 急性期 2例 計 12例 ついて検討した.また,輻湊眼振を認めた症例に ついては症例呈示し,病巣とその発現機序を検討 した,さらに脳幹部の梗塞を生じ異常眼球運動を 認めた1剖検例の臨床症状,病理所見を記載し, 中脳背側症候群の特異性について考察した. 対 象 対象は東京女子医科大学脳神経センター神経内 科に昭和55年から昭和63年までの8年間に入院し た12例である.全例に中脳背側症候群の症候であ る垂直注視障害,眼球運動障害,輻湊障害,輻湊 眼振,後退性眼振,瞳孔異常の全てあるいはその 一部が認められた.年齢は33歳から75歳まで平均 53歳±14。5歳であり,性別は男性7例,女性5例 であった.病型および病期の内訳は,発症1週間 以内を急性期,1週間以上1ヵ月以内を亜急性期, 1ヵ月以上を慢性期とすると急性期脳血栓が4 例,慢性期多発性脳血栓が1例,急性期脳塞栓が 2例,急性期多発性脳出血が1例,慢性期脳出血 が2例に松果体腫瘍が2例であった(表1). 方 法 眼症状は裸眼およびFrenzel鏡下での肉眼的観 察に加えて瞳孔については赤外線瞳孔撮影,眼球 運動については全身状態が悪く検査が不可能で あった例(症例2,6,7)を除いて電気眼球運 動検査(electrooculogram:EOG)を施行して検 討した.赤外線瞳孔撮影は瞳孔径が最も安定する 午後2時頃,患者を座位とし,41uxの暗所で暗順 応させた後,正面遠方視,長光反射,近見反射に ついて行った.Wilsonら5)の方法に従って,瞳孔 の位置が虹彩の中心から偏位し,円型でないもの をcorectopiaとして記載した.対光反射,近見反 射においては,前後の瞳孔径を比較し,反射の有 無を判定した.EOGの記録には日本光電社製の8 チャンネルポリグラフRM6200を使用しアンプは AD−610,速度計は, ED−600Gを用い,時定数は3 秒(原波形)および0.03秒(微分波形)とした. 水平誘導では関電極は両側外眼角に,不関電極は 前頭部に設置した.垂直誘導では関電極を眉上部 と血眼険部に設置した.視標は水平方向は10.間隔 で左右それぞれ400まで,垂直方向も10.間隔で上 下それぞれ20.までの壁上に固定された赤色ラン プとし,これを随時点灯し,患者に盗視させて記 録した. その他,!1例に脳波,7例にSEP,8例にABR を施行した.また全例に頭部CT撮影を行い,な

お症例4,10,12については核磁気共鳴画像

(magnetic resonance imaging:以下MRI)検査 を施行し病巣部位を検討した. 結 果 1.瞳孔(表2,4) 正面遠方視時に瞳孔が左右同大で大きさが正常 であったのは症例10,11の2例で,症例8では両 側とも縮瞳,また症例3では両側とも散瞳してい

た.症例1,2,4,5,6,7,9,12の8例

においては左右不同があり,症例4,12にはHor一 表2 瞳孔 ①瞳孔の大きさ ②形状 ③対光反射 正常 2例 正常 5例 両側迅速 4例 左右不同 8例 corectopia 7例 一年遅延 2例 (Horner徴候 2例) 一側遅延一側消失 2例 両側散瞳 1例 両側遅延 1例 両側縮瞳 1例 両側消失 3例

(3)

表3 眼球運動 ①眼位(正面遠方視時) 正中位 偏位 skew deviation ②動眼神経麻痺 完全な動眼神経麻痺(核性) 特上性麻痺 部分的な動眼神経麻痺(核∼末梢性) ③輻藤障害 ④眼振 中開眼振 水平注視方向性眼振 下眼瞼向ぎ眼振 上方向性眼振 ⑤MLF症候群 一側性 両側性 ⑥眼球ミオク・一ヌス 3例 9例 10例 2例 7例 3例 11例 9例 6例 4例 1例 2例 5例 4例 1例 1例 ner徴候がみられた.対光反射は,症例6,7,9 の3例において直接および間接反応が両眼とも消 失,症例2,4では片眼で消失,片眼で遅延,症 例12では両側とも遅延していた.corectopiaは7

例(症例1,2,3,4,5,6,8)にみられ

た. 2.眼球運動(表3,4) 眼位が正常であったのは3例(症例5,8,9) で他の9例では偏位していた.skew deviationは 10イ 口(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 10, 11) にみられた.10例中5例が一側性の障害例であっ たが,病巣側の眼球が上方に位置していたのはそ の内2例で,残りの3例では健側の眼球が上方に 位置しており,病巣と眼球の上下に有意な相関関 係はな:かった.眼険下垂,対光反射消失,および 全方向への眼球運動が不可能であるという完全な 両側動眼神経麻痺を1例(症例7)に,片側動眼 神経麻痺を1例(症例2)に認めた.部分的な動 眼神経核性あるいは末梢性障害が3例(症例3,

5,6)に認められ,症例1,4,8,9,10,

11,12の7例は人形の目試験が陽性であることよ り核上峰動眼神経麻痺であると判断された.垂直 方向注視麻痺は両側動眼神経麻痺を認めた1例を のぞき全例に認められた.上方注視麻痺は10例に

認められた.症例1,2,3,4,6,9,10,

11,12の9例に上方注視麻痺に加えて下方注視麻 痺を認めた.また症例5では上方注視麻痺のみを 認め,症例8では下方注視麻痺のみを認めた.輻 湊害は症例7を除く11例にみられ,その内症例2, 4,8,9,!0,12に輻湊眼振が認められた.水

平方向の眼振が症例1,3,4,9の4例に認め

られ,症例2では下眼瞼向き眼振が認められ,症 例8,11の2例に上方向性眼振が認められた.ま た症例12では正面視および全方向への眼球運動に 際し,反時計方向の回旋性眼振がみられた.その

他の眼症状としては症例1,3,8,9の4例に

片側性内側縦束症候群(medial longitudinal fas・

clculus syndrome:以下MLF症候群)が認めら れ,両側性MLF症候群と眼球ミオクローヌスが 症例11にみられた. 3.電気生理学検査 1)脳波 全般性の徐磁化が3例(症例3,6,8)にみ られ片側半球優位の徐磁化が2例(症例2,11) に,局在性の徐波化が2例(症例5,9)にみら れ,また全般性のα波が1例(症例12)に認めら れた.

2)ABR

検査を施行した6例(症例4,5,6,9,10, 11)の内,1例(症例5)は正常,1例(症例10) は両側末梢性障害を呈し,脳幹障害の有無につい ては言及し得ないが,他の4例ではIII∼V波間の 潜時の延長がみられ脳幹内伝導障害が認められ た.

3)SEP

検査を施行した7例(症例1,4,5,6,9, !0,11)の内,1例(症例11)は波形の分離が不 良で判定が困難であったが,5例(1,4,5, 6,10)に脳幹内伝導障害を示唆する潜時の延長 が認められ,1例(症例9)に片側脳幹から片側 大脳半球にかけての障害を示唆する潜時の延長が 認められた. 4.画像診断

1)頭部CT

全例に施行したが,大脳半球および小脳・脳幹 部に異常所見を認めなかったものが4例(症例1, 一707一

(4)

表4 12症例の眼症状と検査結果 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 年齢 性別 51・女 70・女 33・男 64・男 49・女 65・男 49・男 52・男 44・女 75・男 26・女 58・男 診 断 i病期) 脳梗塞 }性期 多発性]塞栓 }性期 脳梗塞 }性期 多発性]塞栓 }性期 脳梗塞 }性期 多発性 ]梗塞 攝ォ期 脳梗塞 }性期 ㈲}性期松果体腫 松果体腫㈲}性期 脳出血 攝ォ期 ]出血多発性 }性期 脳出血 攝ォ期 眼 位 右外転位 右外転位 右外転位 左内下方 正 中 両内下方 右内方位 正 中 正 中 左内下方 右外転位 両内方位 両側下方 位 位 左内上方 位 位 位 skew 右/左 右/左 右/左 右/左 右/左 右/左 右/左 左/右 右/左 右/左 deviation 眼瞼下垂 (右)什(左)+ ヨ十 十 一 十 ± 一 十 十 十 一 十 十 十 一 瞳孔不同 +(右く左) +(右〉 +(右〉 十(右〉 +(右〉 +(右〉 +(右〉 +(右く +(右く 一 一 +(右く 左) 左) 左) 左) 左) 左) 左) 左) 左) 両側散瞳 両側縮瞳

対光反射 右1左 AA, SS SS, PP SS, AA PP, PP AA, AA AA, AA PP, PP AA, AA PP, PP PP, PP SS, SS

直間[直間 PPiSS 上方注視障害 十 十 十 十 十 十 一 十 十 十 十 下方 〃 十 十 十 十 一 十 十 十 十 十 十 眼 振 水平方向性 下眼瞼向 水平方向 水平方向 一 一 上方向性 水平方向 一 上方向性 自発性,回 き 性 性 性 旋性 輻藤障害 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 輻軽眼振 一 十 一 十 一 一 一 十 十 十 一 十 人形の眼試験 十 一 一 十 一 一 一 十 一 一 一 一 corectopia 十 十 十 十 十 一 十 } 一 一 一

他の眼症状 左MLF 右III麻痺 右MLF 左Ho㎜ 両側m麻 右MLF 左MLF 両側MLF 右Honer

痺 眼球ミオ ク ρ一ヌ X 脳 波 正 常 右半球優 全般性徐 全体に低 左側頭 全般性徐 右半球優 左前頭 正 常 左半球に 全般性α 位に徐波 波化 振幅沙量 ∼頭頂部 波化 位の全般 一頭頂部 徐波化 波 化 の徐波の に強い徐 性徐波化 に低振幅 混入 波化 徐波 CT 異常なし 中脳被蓋 異常なし 左島低部 異常なし 中脳被蓋 異常なし 視床に低 左中脳背 右視床に 中脳,橋, 右視床に に多発性 ∼放線冠 に多発性 吸収域 側に小低 低吸収域 左被殻,内 低吸収域 低吸収域 に低吸収 低吸収域 吸収域,中 包前脚に 域 脳,橋に 低吸収 masseffect MRI T2強調画 Tl強調画 T2強調画 像で中脳 像で右視 像で右視 水道周囲, 床∼中脳 床∼中脳 中脳被蓋 に低信号 に高信号 に多発性 j或 高信号域 ABR 両側脳幹 正 常 左脳幹障 両側末梢 両側末梢 右脳幹内 障害 害 性障害 伝導障害 口 SEP 左脳幹障害 左脳幹内 左末梢 左脳幹障 左末梢 右脳幹 判定不能 伝導障害 ∼右脳幹 瘧Q 害 ∼右脳幹 瘧Q ?瘧Q∼大脳半

P:prompt S:sluggish A:absent MLF;Medial longitudinal fasciculus syndrome

3,5,7)あり,症例2,6,9,11の4例に

おいて中脳被蓋部に小吸収域を認めた.また症例 8,10,12の3例において視床に低吸収域を認め た.

2)MRI

施行した3例(症例4,10,12)のうち1例(症 例4)に中脳水道周辺および被蓋部にT2強調画 像で多発性高信号域を認め,1例(症例12)に右 視床,放線冠および右中脳に同じくT2強調画像 で高信号域を,また他の1例(症例10)において T1強調画像で右視床および右中脳に低信号域を 認めた. 輻湊眼振が認められた症例 症例2:70歳女性.主訴は意識障害.高血圧お

(5)

よび発作性心房細動の既往があった.現病歴:昭 和54年より発作性心房細動の診断のもとに当院心 血でfollow upされていた.昭和55年1月25日, 精査のため心研に第2回目入院中に,突然意識消 失し,脳血管障害が考えられたため,当科に転科 した.神経学的所見:意識は1−10/Japan Coma Scale(以下JCS:3−3−9度式).眼症状は,眼位は 右眼が外転位でやや下方に位置し,skew devia− tionを呈していた.噛癖反射は右眼で迅速,左眼 で消失していた.またcorectopiaを認めた.両眼 とも垂直方向の眼球運動は不能であったが,人形 の目試験は陽性であった.また下意険向き眼振お よび輻湊眼振を認めた.その他,右上下肢の不全 麻痺を認めた.検査結果:脳波では右半球優位の 血痕がみられた.ABR, SEPは施行されなかっ た.頭部CTで右中脳背側部および右視床に低吸 収域が認められた.経過:6ヵ月後,新たな塞栓 を生じ,右上下肢の完全麻痺出現.その後,肺炎, さらにDICを併発し,8ヵ月後に死亡した.意識 レベルの低下のため,眼球運動,輻湊眼振の転帰 は不明であるが,眼球の偏位,skew deviation, corectopiaは終始認められた.(小括)多発性脳塞 栓により中脳背側症候群をきたした1例. 症例4:64歳男性.主訴は意識障害および左軸’ 麻痺であった.糖尿病,心房細動および高血圧の 既往があった.現病歴:昭和58年1月21日入浴後, 左片麻痺に続いて意識障害が出現し当科に入院し た.神経学的所見:意識はII−20/JCSで,眼症状で は爵位は左眼が内下方に偏位しskew deviation を呈していた.蛍光反射は左眼で消失,右眼で遅 延していた.上方注視麻痺を認めたが人形の目試 験は陽性であった.また輻湊障害および輻湊眼振 を認めた.その他に直面麻痺および左小脳症状を 認めた.検査結果:脳波では全般的に不規則な藤 波がみられ,ABRでは両側脳幹部障害を,また SEPでは左脳幹内の伝導障害を示す潜時の延長 が認められた.頭部CTで左千船部と左放線冠に 小吸収域を認めたが,脳幹部の病変は明確でな かった.MRIではT2強調画像で中脳被蓋および 中脳水道周囲の灰白質に多数の小高信号域を認め た.経過:意識障害は第3訪日に改善した.輻湊 障害は1ヵ月で消失した.他の症状は改善はみら れたが,後遺症として残った.(小括)多発性脳塞 栓により中脳背側症候群をきたした1例.MRIが 診断に有用であった.急性期に輻湊眼振がみられ たが1ヵ月で消失した. 症例10:75歳男性.主訴は左片麻痺および左半 身の異常知覚と心痛.肺気腫と心筋梗塞の既往が あった.昭和60年3月26日,食事中に脱力,意識 障害が出現し近医に入院し,右視床出血の診断の もとに治療を受け,同年6,月12日,当院に転院し た.神経学的所見:意識は清明で抑欝傾向を認め た.眼症状では,眼位は左が内転下方位で,skew deviationを呈していた.瞳孔は左右同大で,対乱 反射は両側とも迅速であった.眼球運動では,右 眼に外転障害と上方および下方注視障害を認め た.また輻湊障害および輻湊眼振を認めた(図1). 人形の目試験は陽性であった.その他,顔面を含 む左舞麻痺および知覚障害と自発痛を認めた.検 査結果:脳波では全般性の徐波化がみられ,SEP では右大脳半球の障害を示す潜時の延長がみられ

たが,ABRでは両側末梢性障害の所見のみで

あった.画像診断では,CTでは右視床に低吸収域 を認めるのみであったが,MRIで右視床に加えて 右中脳背側部にT1強調画像で低信号域が得られ た.経過:自発痛は鎮痛剤,抗うつ剤の投与で軽 快し,左片麻痺も多少の改善を認めたが眼症状は 残存した.(倉皇)視床出血の中脳への進展により 中脳背側症候群をきたしたと考えられた1例.輻

.、,,_一

》el。sity一一一’

upward gaze midposition 叩ward gaze

H(L)一く

甲elosity 1Rヒ_」10[圏 しし【1洗. 図1 症例10のelectronystagmogram.上方視時に内 方に向かう眼振がみられる. 一7⑪9一

(6)

H㈹Yvr/へ「β一

Ve1㏄ity ll:

H(L}《ノー

Volocity 」・。’ D C 図2 症例12のelectronystagmogram.常時内方に向 かう眼振がみられる. 湊眼振の転帰は不良であった.MRIが病巣診断に 有用であった. 症例12:58歳男性.主訴は複視,めまいおよび しびれ感.高血圧,脳血管障害の濃厚な家族歴を 有し,胆石,肝機能障害および高血圧の既往があっ た.昭和61年3月,電車の中で意識消失したため, 近医に入院した.左視床出血と診断され急性期の 治療を受け,その後当院脳神経センター外科へ転 科し加療の後62年2月に退院したが,後遺症とし て,左片麻痺,左半身感覚障害,複視が残り,精 査加療を目的に昭和63年3月25日,当科に入院し た.神経学的所見:意識は清明で,気分は抑欝傾 向であったが高次脳機能は正常であった.眼症状 では,眼位は両側右下方位で自発性の反時計方向 の回旋性眼振を認めた.瞳孔は右眼が縮瞳,左眼 は正常大で両側とも円形で,四光反応は両眼とも 遅延していた.また右Homer徴候を認めた.眼球 運動では,上方および下方注視麻痺と右眼の外転 制限を認めた.人形の目試験は陽性であった.輻 湊障害および輻湊眼振を認め(図2),垂直および 水平方向への眼球運動時に反時計方向の回旋性眼 振を認めた.その他,左不全片麻痺と,顔面を含 む左半身の感覚障害および自発痛を認めた.検査 結果:脳波では全般的な徐波化が認められた.頭 部CTでは左視床と左中脳背側部に低吸収域を認 めた.MRIでは左視床,左方線冠および左中脳被 蓋から腹側にかけてT2強調画像で高信号域(T1 強調画像で同部に低信号域)を認めた(写真1, 2,3,4).経過:左不全片麻痺は多少の改善を 示したが左半身の感覚障害,眼症状はすべて後遺 症として残った.(小括)視床出血の中脳への進展 写真1 症例12のMRI(T1強調画像).右視床に低信 号域が認められる. 写真2 症例12のMRI(T2強調画像).右視床に高信 号域が認められる. 写真3 症例12のMRI(T1強調画像).中脳被蓋から 腹側にかかる低信号域が認められる. 一710一

(7)

写真4 症例12のMRI(T2強調画像).図5で低信号 域を認めた部位に一致して高信号域を認める. により中脳背側症候群をきたした1例.輻湊眼振 の転帰は不良であった. 中脳背側部障害を免れた 脳幹部梗塞の1剖検例 [症例]52歳男性.主訴は四肢麻痺.家族歴に脳 血管障害,既往歴に10年来の高血圧があった.現 病歴:昭和62年5月頃より度々めまい,耳鳴りを 訴えていた.昭和62年9月初旬頭痛,ロ筋気出現. 9月11日午前4時頃突然口区吐し,左片麻痺に引き 続き意識障害が出現したため,ルクセンブルク某 院に入院した.入院時左半身優位の四肢麻痺,垂 直性眼振を認め無呼吸状態であった.脳血管造影 を施行された結果,左椎骨脳底動脈血栓症による 脳幹梗塞と診断された.急性期の治療を受けた後 帰国し,近医を経て12月15日当科に入院した.神 経学的所見:意識は清明で,発語は不能.脳神経 では角膜反射は左で減弱,右で消失,右側により 強い両側顔面神経麻痺を認めた.眼症状では,眼 位は左眼が外転下方位に位置し,skew deviation を呈しており両眼の側方視制限を認めたが,垂直 方向の眼球運動制限は認めなかった.また,辱振幅 の小さい1Hzから2Hzの頻度で急速相と緩徐相 が明確でない垂直性,水平性,時に回旋性の両眼 共同性の自発性振子様眼球運動が覚醒時に常時認 められた.瞳孔は正円形で正中に位置し,対光反 射は両側とも迅速であった.人形の目試験は左方 向へのみ陽性であった.運動系では,四肢麻痺を 認めた.深部腱反射は,上肢で正常,下肢で消失 しており,病的反射は認めなかった.検査結果: 脳波では全般性徐波化を認め,ABRでは左側脳 幹内伝導障害および右末梢性障害を示す潜時の延

雨.

.ハ.oら・、

=廃曲

’ 鶴 年 説 轟 雫.澱、. 写真5 椎骨脳底動脈血栓症のため広範な脳幹部梗塞を来した症例のCT.中脳背側 の障害を免れている. 一711一

(8)

写真6 脳幹梗塞剖検例の中脳上丘レベルの光顕標本 (Masson染色). 長を認め,SEPで脳幹死伝導障害を示す潜時の延 長が認められた.CTでは中脳腹側に低吸収域,橋 腹側に左側優位で両側にかかる大きな低吸収域, 延髄外側に低吸収域を認めた(写真5).脳血管造 影では,右椎骨動脈撮影で後下小脳動脈より遠位 に99%の狭窄,左椎骨動脈撮影で椎骨動脈の起始 部に完全閉塞所見を認めた.経過:昭和63年3月 12日,意識が300/JCSとなり,この日から下肢の 深部腱反射の尤進を認める様になったが眼球運動 に変化は認められなかった.昭和63年5月30日, 肺炎の増悪および敗血症のため死亡した.中枢神 経系剖検所見:脳重1,460g.肉眼所見は,大脳半 球に著変なく,小脳半球に約4cm径の梗塞巣を認 めた.脳底動脈には著明な動脈硬化性病変を認め, 脳幹部では,橋下部腹側を中心に広範囲な梗塞巣 を認めた.光顕所見では,大脳半球には虚血性変

ψ

’7^9■ 写真7 図8と同一症例の中脳下灘レベルの光顕標本 (Masson染色).中脳水道付近の灰白質の一部に破 損がみられる. 化を認め,基底核に著変なく内包後脚に梗塞を認 め,視床にもヘモジデリソを貧食したマクロ ファージの出現をみ,比較的新しい梗塞の所見を 得た.中脳上野レベルでは後交連に異常なく,動 眼神経核は比較的保たれており(写真6),中脳下 丘レベルでは,中脳水道周囲の灰白質の一部に破 壊があり(写真7),橋下部腹側に右側優位に両側 におよぶ広範囲の梗塞巣を認め,多数のマクロ ファージの出現を認めた.延髄上部左背外側にも 梗塞巣を認め,左側下オリーブ核の仮性肥大と右 側下オリーブ核背側の軽度の細胞脱落とグリオー シスがみられ,両側錐体路の淡明化を認めた.脊 髄では,両側側索(錐体路)の変性が認められた. 脳底動脈の内膜は高度に肥厚しアテローム硬化像 を呈し,内腔はほとんど閉塞していた.病理診断: 多発性脳梗塞一主病変は橋腹側部,左延髄上部背 外側部,中脳下部腹側部,小脳.(一括)椎骨脳底 動脈閉塞により同動脈の潅流域に多発性脳梗塞を きたした症例で,“locked・in state”,橋腹側症候 群を呈し,橋中心被蓋路を含む橋および延髄の障

害に基づくと考えられるaquired pendular

nystagmus様異常眼球運動を呈した症例.中脳水 道付近の灰白質の一部に破損を認めたが中脳背側 症候群を示さなかった. 考 察 1946年,Kastenbaum6)は垂直注視麻痺,上方視 に際しての輻湊癌李,後退性眼振,外眼筋麻痺, 瞳孔異常などの症候をsylvian aqueduct syn・

dromeと称し,これらの症候は中脳水道周囲の灰 白質が障害された時にみられると記載した.その 後Pasikら7)は後交連や視蓋前野の障害によって も同様の症候がみられることを動物実験で証明 し,これらの症候をpretectral syndromeと称し た.また,Balohら8}は同一の症候をdorsal mid・ brain syndromeと称しており,現在,これらのい ずれもが同一の症候群に対して用いられている. 原因疾患として,従来,中脳水道近傍の腫瘍, ことに松果体腫瘍が最も多く,脳血管障害,感染 がこれに次ぐとする報告9》∼12)が多かったが,逆に 閉塞性脳血管障害を重視する報告13)14}も散見され る.また重森ら15)は脳出血に続発するものは極め 一712一

(9)

て少ないとしているが,検索してみると視床出血 に中脳背側症候群を併発したという報告が最近相 継いでみられている16>17).本研究では閉塞性脳血 管障害が7例と最多であり,ついで脳出血(視床 出血2例,多発性脳出血1例)脳腫瘍(松果体腫 瘍)の順であった、 眼球運動では,完全な動眼神経麻痺は2例に認 められたが,残りの10例においては外眼筋障害お よび眼険挙筋の障害がさまざまな組みあわせでみ られ,また程度の差がみられた.瞳孔についても, 左右同大であったものは1例のみで,11例で左右 不同であり,これらの結果を合わせて考えると, 完全な動眼神経核の障害は少なく,部分的な動眼 神経核の障害あるいは部分的な末梢性動眼神経麻 痺,または核上智の障害が多いと考えられた.こ れは動眼神経核には中間核,正中核,腹内側核, 腹外側核,および内臓性核の5核があり,それぞ れ血管支配が異なり,障害された場合の側副血行 にも個人差があること,また中脳における動眼神 経の走行域は想像以上に範囲が広く部分的な障害 が多いことが原因であると考えられた(図3). 瞳孔の異常で,corectopiaが12例中7例にみら れた.corectopiaは意識障害が強い時に多く認め られ,意識状態の改善に伴ってみられなくなる傾 向があり,全例にskew deviationを認め,瞳孔は 散瞳傾向で左右不同であり,瞳孔の中心からの偏 位は左右不対称で症例毎に異なった.瞳孔の大き さと形状は,瞳孔括約筋と散大筋,すなわち副交 感神経系と交感神経系のバランスにより決定さ 竹丘 中脳水道周囲灰白質 中脳水道 動眼神経核 内側縦東 内側毛帯 黒質 大脳脚 動眼神経髄内束 赤核 図3 中脳における動眼神経の走行.(Carpenter: Human Neuroanatomy,1976より改変) れ,副交感神経系が優位であるという18). Warwick/9>は猿の実験で動眼神経核内のtopog− raphyを明らかにし,副交感神経系の起始核とし て動眼神経内の中央吻側部に位置するEdinger・ Westphal核(E−W核)や正中核が重要であるとし た.さらに,E−W核の核上性の興奮系として対光 反射求心路である網膜中脳系,近見反射の経路で ある後頭葉中脳系があり,抑制系に皮質中脳系, 上行網様体系があるとしている.これに対して交 感神経系の起始核は視床下部にあり,中脳では赤 核の吻側の背外側を通って下行するとされてい る.Selhorst20)はcorectopiaを伴った症例の剖検 例で,E−W核および他の動眼神経核は正常であっ たことより,corectopiaの責任病巣はE−W核よ り上位にある,すなわち,E−W核の核上性の抑制 系が解除されたためcorectopiaが出現したと推 論している.本研究でも眼球運動異常や人形の目 試験などの所見との組合せからE−W核より上位 に責任病巣があることが示唆された.相川ら21)は 意識障害の強い時期に出現する傾向がみられたこ とから,上記の上行網様体賦活系の解除がcor− ectopiaの出現に関与している可能性があると述 べている. skew deviationは左右眼の問で生じる眼球の 上下偏位すなわち垂直性開散をいい,垂直方向の 協同性眼球運動の核上身障害により起こるとされ ている22)∼24>.従来,橋の中小脳脚,前庭神経外側 核,MLFが責任病巣として想定されていたが, Goldsteinら25)によると,中脳上丘,後交連,中脳 水道周囲灰白質,視蓋前域が中脳性skew devia− tion(mesencephalic skew deviation)の責任病 巣であり,延髄では前庭神経核やその連絡路が病 巣として考えられ,また小脳の障害でも起こすの で,脳幹の局所徴候としての意義はむしろ少ない としている.本研究ではskew deviatlonは12例中 10例に認められ,輻湊障害に次いで頻度の高い眼 症状であった.Goldsteinら25)の言うmesence− phalic skew deviationの責任病巣は中脳背側症 候群の病巣に合致しており,本研究で高頻度にみ

られたことは彼らの推論を支持する.

輻湊眼振は,両眼のゆっくりした外転運動に急 一713一

(10)

速な内転運動が引き続いて起こる律動的な運動で ある26}.輻湊眼振の発現機序についてGayら27)は 外眼筋の筋電図検査の結果から,正常人の垂直眼 球運動に伴ってみられる内外直筋の活動が強く出 現したものであるとし,Ochsら28)はまず,一眼が 輻湊し,続いて他眼が開散するという.共働性の 運動で始まり,ついで開始眼のみが“dynamic overshoot”の修正メカニズムにより内転ずると いう説をたてている.また,大平ら10)は,眼球運動 に関与する神経細胞群の興奮性を抑制する神経系 の障害を推定している.すなわち.垂直:方向の衝 動性運動に際して,抑制系が障害されていると, 水平眼球運動に関与している神経細胞群の興奮性 が抑制できず,それらの神経細胞群の固有のリズ ムで運動を始めるものが輻湊眼振であると説明し ている. 一方,後退性眼振については,Hatcherら13)は脳 幹への池下性の抑制線維の障害を重視し,4つの 眼筋が同時に収縮するとし,Gayら27)も同様に考 え,ことに垂直注視の経路が障害された時に,垂 直注視しようと努力する際に正常でも存在する両 側のhorizontal−rotatorの活動が増強して眼球の 陥没を生じるとしている. 輻湊眼振は後退眼振を伴うことが多く両者は同 じ機序で生じている可能性があるという報告も多 い9)29)30).寺田ら16)は上方注視麻痺の存在により, 上方注視時,上向きの注視眼振が生じ,このため 上直筋が律動的に収縮する.これに抑制系の障害 により,下直筋の収縮の抑制が効かないため,下 直筋の同時収縮が加わり眼球は後退し,後退性眼 振が生じるという.さらに,上直筋と下直筋の内 転作用により輻湊機序が働き,輻湊後退性眼振が 生じると推論している.本研究ではV章の症例4 のみに輻湊眼振と後退性眼振が同時にみられたが 他の3例では,輻湊眼振のみであった.宇佐美ら31) は,輻湊眼振のみが認められた症例に,内外直筋 の同時筋電図検査を施行し内外直筋の同時収縮を 認め,Duan症候群の眼球後退時に見られる所見 と同様であったため,やはり輻湊眼振と後退性眼 振の発現機序は同一で,いずれの表現形をとるか は内外直筋の張力といった,末梢のメカニズムの h t.R lpci rostal IMしF

ご ∠ 坪 9 iC m

一∼∼

NN t:視床 nD:Darkschewitsch核 h:手綱 ic:Cajal間質核 SC:上丘 田:動眼神経核 PCl後交連 Wl滑車神経核 1’R:反屈束 Nm:動眼神経 mb:乳頭体 NW:滑車神経

rostal iMLF:rostal inte「stitial

neucleus of MLF (MしFの吻側問質核) 図4 r・iMLFの所在(文献32より改変) 問題であるとするGay27)の説を肯定している.し かし本研究では,外眼筋の筋電図検査をEOG施 行時に同時に記録できなかったので発現機序につ いてはHatcher13), Gay27),寺田ら16)の推論の正否 について論述し得なかった. 輻湊眼振の責任病巣について,本研究において は,6例中3例が視床病変(出血2例,塞栓1例) に合併して生じ,ついで松果体腫瘍が2例で中脳 被蓋の単独病変で生じた例は1例のみであった. この結果は寺田ら16)による,輻湊眼振は視床から 下方に進展する病変に際して出現するという報告 を支持している.寺田らはこの事実より盛儀眼振 の責任病巣をrostal interstitial nucleus of medial longitudinal fasciculus(以下r−iMLF)を 含むごく限局した部位であるとしている(図4). 中脳背側部障害を免れた脳幹梗塞の章に述べた垂 直方向への眼球運動制限,輻湊眼振を認めなかっ た症例の剖検では,従来輻湊眼振の責任病巣とさ れていた中脳水道周囲の灰白質の一部に障害を認 めたものの,r・iMLF,後交連,視蓋前域に異常所 見を認めなかった.輻湊眼振の責任病巣は中脳水 道周囲の灰白質ではなくr−iMLFを含む中脳被蓋 の限られた一部分である可能性があることが示唆 された. 画像診断では,CTでは12例中4例に中脳被蓋 部に低吸収域を認めたのみであったが,MRIでは 検査を施行した3例の全例に被蓋を含む中脳に病 一714一

(11)

巣を検出し得,MRI検査が脳幹部のしかも小病変 の検出に有用であることを実証した.

電気生理学的検査ではABRで実施した8例中

5例に,SEPで実施した7例中5例において脳幹 部障害を示唆する結果が得られ,各々63%,71% と診断率はかなり高かった.ABRはbed sideで も施行可能であり,状態の悪い患者における補助 診断法として有用であると言える. 以上を総合すると,瞳孔の左右不同,skew devi− ation, corectopia,垂直方向への眼球運動障害, 輻湊障害,輻湊眼振が中脳背側症候群の三徴候と して重要であり,MRI検査が病巣診断として優れ ているといえる.しかし患者の状態によりMRI 検査の施行が不可能であることも多く,その場合 にはABRが補助診断の手段として有用であると 考えられた. 中脳背側症候群の眼症状の予後については,松 果体腫瘍が原因で中脳背側症候群を呈したという 場合には,手術で腫瘍を除去,あるいは放射線治 療後に症状が消失した例があるとの報告10)がある が,本研究では検:嬉し得なかった。脳血管障害に より中脳背側症候群をぎたした10例については

corectopia, skew deviation,外眼筋麻痺は改善 する例もみられたが,垂直方向の眼球運動麻痺, 輻湊眼振は改善が認められなかった例がほとんど であった.非改善例は出血あるいは梗塞による中 脳背側部の破壊性病変によるもので,このことか ら圧迫性病変により本症候群を来した場合は可逆 的であるが,破壊性病変による場合は非可逆的で あることが示唆された17). 結 語 !.中脳背側症候群を呈した12症例について臨 床症状,各種補助検査の結果を輻湊眼振を中心に 検討した.また中脳背側部を免れた脳幹部の広範 な梗塞例の眼症状および剖検結果より輻湊眼振の 病巣部位を検討した. 2。病因は閉塞性脳血管障害が多く,脳出血,脳 腫瘍がこれに続いた. 3.眼症状では垂直注視障害,ことに上方注視障 害,輻湊障害,skew deviation,瞳孔の左右不同, corectopia,輻湊眼振が認められることが多く,診 一715 断上本症候群の重要な徴候と考えられた. 4.補助診断には頭部MRIが最も有用であっ た.またABR, SEPも脳幹部障害の検出に有用で あると考えられた. 5.中脳被蓋においてr−iMLFを含む限られた 一部分が輻湊眼振の病巣部位であると考えられ た. 6.脳血管障害により本症候群をきたした場合, その予後はおおむね不良であった. 稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を賜りました 丸山勝一教授に深甚なる謝意を捧げます.また直接御 指導を賜りました小林逸郎助教授,相川隆司博士, 佐々木彰一博士に深謝いたします. 文 献

1)Seggara J]M= Cerebral vascular disease:The

syndrome of the mesencephalic artery. Arch

Neuro122:408−418,1970

2)Growdon JH, Winkler GI, Wray SH:Mid・

brain ptosis。 Arch Neurol 30:179−181,1974

3)Keane JR:Alternating skew deviation,47

patients. Neurology 35:725−728,1985 4)Aikawa T, Maruyama S, Kobayashi I et a1:

Dosal midbrain syndrome, Oculomotor and

pupil movements in ten patients. Highlights in

Proceedings of the Sixth Meeting of the Inter・ national Neuro−Opthalmology Society(INOS), 189−196,1986

5)Wilson SA:Ectopia pupillae in certain mesensephalic lesions, Brain 29:524−536,1906

6)Kastenbaum A:Clinical methods of neuro・

opthalmologic examination. pp214−254, Grune

&Stratton, New York(1947)

7)Pas孟k P, Pasik T, Bender MB et aL The pretectral syndrome in monkeys. Brain 92:

521−534, 1969

8)Baloh RW, Furman JM, Yee RD:Dorsal

midbrain syndrome. Clinical and oculographic 負ndings. Neurol 35:54−60,1985

9) Seggara J]M【, Ojeman RJ: Convergence

nystaglnus. Neurol 11:883−893, 196】. 10)大平明彦,後藤公子,小澤哲磨:輻蔭眼振.日眼 会誌 89:773−779,1986 11)春田龍駕,服部昌幸,三村 治ほか:松果体腫瘍 の神経眼科的徴候。日眼紀 35:1119−1123,1984 12)三村 治:輻湊眼振症例,Neuro・ophthalmol Jpn I:107−108, 1984

(12)

aqueduct syndrome. A clinicopathological study. Arch Neurol i5:215−222,1966

14)広瀬源二郎,山本悌二,小副川寛ほか:脳血管障

害によるKoeber−Salus−Elschnig Sylvian aque.

duct syndrome(中脳水道症候群)の1例。臨床 宇申経 2ユ :714−720, .1981 15)重森 稔,白浜盛久,原 邦忠ほか:高血圧性視 床出血に続発した中脳水症候群の1例,臨床神経 21 :721−727, 1981 16)寺田久雄,鈴木利根,西田幸子ほか:視床穿通動 脈梗塞および出血ににより出現した輻湊後退眼 振. ネ申眼 3 :194−198, 1986 17)森 宏,辻之英,池田幸穂ほか:時を異にし て発症し,特.異な眼症状を呈した両側性視床出血 の1例.神眼3:190−193,1986 18)Glaser JS:Neuro−ophthalmology,(Hagers.

town ed.)pp171, Harper&Row, New York

(1978)

19)Warwick R:The ocular parasympathetic

nerve supPly and its nlesencephalic sources. J

Anat 88:71−93,1954

20)Selhorst JB, Holy WB, Metal F et al=Mid−

brain corectopia. Arch Neurol 33:193−195, 1976

21)相川隆司,太田宏平,小林逸郎ほか:Midbrain corectopiaを伴った中脳背側症候群の7症例.臨

床神経 25:424−431,1985

22)Keane JR: Ocular skew deviation. Analysis

of 100 cases. Arch Neurol 32:185−190,1975 23)山尾 哲,亀山正邦:Skew deviation.神経内科

10:107−115, 1979

24)松崎 浩:眼球運動(その2).神眼 1:402−405,

1984

25)Goldstein JE, Cogan DG: Lateralizing value

of ocular motor dysmetria and skew deviation.

Arch Ophthalmol 66:517−518,1961

26)Cogan DG:Convergence nystagmus. Arch

Ophthalmo162:295−299,1959

27)Gay AJ, Brodkey JB, Miller JE: Conver− gence retraction nystagmus, Arch Ophthalmol 70 :62−67, 1963

28)Ochs AL, Stark L, Hoyt WF:Opposed ad− ducting saccades in convergence retraction nystagmus. A patient with sylvian aqueduct

syndrome. Brain 102:49卜508, 1979

29)Hoyt WF, Daro促RB:Supranuclear disorder

of ocular control system in man.加The Con−

trol of Eye Movements.(Bach−y−rita P, Collins CC, Hyde JE eds.)Academic Press, New York

(!971)

30)Bereinin GM:Electromyography−A tool in ocular and neurologic diagnosis. Arch Ophthal−

mo157:.165−167,1959

31)宇佐美啓子,内薗忠夫,村瀬忠夫ほか:Sylvian aqueduct syndrome.眼臨 72:12374240,1978

32)BUttner・Ennever JA, BUtter U, Cohen B et al: Vertical gaze paralysis and the rostral

interstitial nucleus of the medial longitudinal fasciculus. Brain 105:125−149,1982

参照

関連したドキュメント

F1+2 やTATが上昇する病態としては,DIC および肺塞栓症,深部静脈血栓症などの血栓症 がある.

 単一の検査項目では血清CK値と血清乳酸値に

〈びまん性脱毛、円形脱毛症、尋常性疣贅:2%スクアレン酸アセトン液で感作後、病巣部に軽度

が作成したものである。ICDが病気や外傷を詳しく分類するものであるのに対し、ICFはそうした病 気等 の 状 態 に あ る人 の精 神機 能や 運動 機能 、歩 行や 家事 等の

低Ca血症を改善し,それに伴うテタニー等の症 状が出現しない程度に維持することである.目 標としては,血清Caを 7.8~8.5 mg/ml程度 2) , 尿 中Ca/尿 中Cr比 を 0.3 以 下 1,8)

・患者毎のリネン交換の検討 検討済み(基準を設けて、リネンを交換している) 改善 [微生物検査]. 未実施

例えば、EPA・DHA

(3)各医療機関においては、検査結果を踏まえて診療を行う際、ALP 又は LD の測定 結果が JSCC 法と