182 (58) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ハラ ダ マサ ヒロ原田昌弘(昭和2
医学博士 乙第984号平成元年1月20日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 肝内結石症の成因についての臨床的検討 一主として,胆管像と臨床像より一 (主査)教授 羽生富士夫 (副査)教授 小幡 裕,教授 内田 幸男論 文 内 容 の 要 旨
目的 肝内結石症の成因については胆石生成に直接関与す る因子として胆汁うっ滞と胆道感染,胆汁の組成異常 などがあげられるが,結石生成の背景因子として,肝 内胆管の複雑な狭窄や拡張,あるいは肝外胆道に起因 するものが考えられるが,この様な狭窄や拡張といっ た胆管形態の異常を成因の面から論じた報告はない. そこで本研究では,胆管形態と臨床所見から成因を解 析し,成因が先天性であるか,後天性であるかを探る ことで,今後の肝内結石症に対する根治的外科治療の 指標とすることを目的とした. 対象および方法 1968年1月から1986年12月までに経験した肝内結石 症症例174例を対象とし,胆管直接造影での胆管形態を 詳細に観察し,さらに発症年齢や臨床症状を加味して 肝内結石症の成因を検討した. 結果 1)成因として先天性成因と後天性成因に分類が可 能であり,前者はさらに「先天性胆管拡張症」と「先 天性成因を強く疑うもの」に,後者は「肝外胆石に起 因するもの」と,「手術に起因するもの」とに分類でき た. 2) 「先天性胆管拡張症」による肝内結石症は10例 (5.8%)であり,膵胆管合流異常を伴うものが8例, 伴わない先天性多発性末梢血肝内胆管拡張症いわゆる Calori氏病であったもの2例であった.胆管像からは 両者共に肝内胆管の嚢腫状拡張を呈し,発症年齢は前 者が平均12.3歳,後者も7歳と24歳の発症であった. 3)「先天性を強く疑うもの」は34例(20%)であっ た.胆管像の特徴としては肝内胆管は嚢腫状拡張を呈 すが限局性であり,拡張部より末梢側の胆管は急激に 細くなるもので,29歳までの発症が53%を占めた. 4)「山外胆石に起因するもの」は119例(68%)で 「移入例」「陸封型」「重積型」の型分類が可能であり, 発症年齢は20歳より77歳までで平均49歳であった, 5)「手術に起因するもの」はU例(6.2%)であり, 術中胆道損傷やTチューブトラブルによる胆管狭窄 および胆道消化管吻合部の狭窄によるものであった. 考察 肝内結石症の外科的治療は結石の可及的除去と胆汁 うっ滞の解除であり,臨床像ならびに胆管像よりの著 者の成因分類はこのような観点から,術式選択の指針 となりうるものであり,成因と外科治療を結びつけて 論じた報告はこの論文が初めてである. 結語 肝内結石症の成因を直接胆道造影と臨床所見から検 討した著老の分類は,外科治療の良い指針となり得る と考える. 一1072一183