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中学校家庭科住居領域における教材開発
住まいの安全性を中心に
教科・領域教育専攻 生活・健康系コース(家庭) 山 手 峻 1. 研究の背景と目的 住まいに備えるべき4つの機能には、安全性、 保健性、f
知直性、利便性がある。中でも住まい の安全性は人の命と身の安全に関わる最も重要 で基本的な機能である。しかし、現状はどうで あろうt)'o 年齢別に見た事故の発生場所(平成27年度版 高齢者白書)は、年齢を問わず住宅での事故が 最も多川なお、家庭内事故の発生場所は高齢 者の居室での事故が多く、ついで階段と台所で・ の事故となっている(図1)。また、家庭内事故 の死亡者数は65歳以上が最も多いことがわか る(表1、平成25年度厚生労働者人口動態統計 年報基に作成)。 以上のことから、高齢者の住宅における家庭 内事故の発生率が高く、住まいは決して安全な 場所とは言えなし、。 住まし、は、私たちの身の安全を守る役割を持 つもので、住宅内でけがをする、死亡するとい うことがあってはならない。安全な生活を送る ために、住環境を整え、日常の事故を未然に防 ぐことや災害時の被害を最小限に抑える「減災j の意識や実践が必要である。そのために、家庭 科での住教育が重要であるが、被服や食物等の 領域に比べると、授業数も少なく印象も弱し、 のが現状である。 そこで本研究では、住まいの安全性の意義や 目的を多角的に考察し、安全性に関する実態調 査を通して、分かった現状や課題をもとに学校 現場で扱える実践的な耕寸の開発を行し、たし、4
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・ ,y-!(f>V' φ~ ,- ~て v1(." _20歳以上65歳未満 65歳以上 図1年麟リに見た家庭内事故の発生場所 指 導 教 員 金 貞 均 表1
年齢別に見た家庭内事抑こよる死亡者数 平草25年 合計 制91 10陶64165華民よ 若Rト電車 2645 455 2180 平屋由君主制覇本 5156 33m
4665 そ自信仰重自室息 制l 92 494 3415 ~.版以東ヘ暗雲 1131 325 788 結び耕輔と自除 95 89 有害舗による植田中毒E時書物質への毒重 402 284 1182
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研究方法 本研究を行うにあたり、住まいの安全性につ いて文献研究を通して多角的な考察を行い、そ の必要性と課題について考究する。次に高歯緒 の住まう住宅を対象に実態調査を行い、各空間 ごとの日常・非日常的安全をめぐる現状と課題、 日常・非日常的安全に対する居住者の意識を確 認する。 以上の文献研究と実態調査から分かった住ま いの危険要素の考察と写真資料を活用し、中学 校家庭科住居領域における実践耕オを開発し、 授業案を構想する。 3. 教科書分析及U
寝業実践例の考察 中学校家庭科の教科書3社を比較結果、住ま いの安全に関する内容において、家庭内事故と 災害対策で、どちらを重視するか出版社によって 違いが見られた。 本荷f
究では、日常的安全性と非日常的安全性 の両面に視点を置いて授業構想を行うため、東 京書籍のように両面のバランスを考える。 関連する授業実践例では、授業の初めに家庭 内事故や日本における災害の現状を伝え、グル ープワークを通して伺演の考察や対策を考える 授業複数見られた。本研究では、あらかじめ用 意された桝書等の写真耕寸やイラストではな く、実感が持てるように調査で確認された、実 際の住宅の写真を用いて、危険な場所を見つけ 出し、安全対策につながる耕摘発を目指す。4
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住まいの安全に関する実態調査 住まいの安全に関する実態調査では、全体的 にハード面、ソフト面においてバリアフリー化− 412 − が進んでいて、建設したときからバリアフリー 化されている住宅と、もともとは意識されてい なし呼主宅だったが、不便に思う箇所の改修工事 をしたり、段差を無くすような工夫、転ばない ように工夫された住宅が見られた。住宅そのも のを安全を意識して建てるハード面のバリアフ リー化と、住まい手が自分たちなりに工夫し、 安全に住まおうとするソフト面の安全意識が見 られた。しかし、全く安全を意識していない住 宅もあり、車線上に常に物を置し、てる、また危 険であることに気付きつつもまだ転調jの経験が ないため、階段に手すりをつけないとしづ住宅 もあった。階段の寸法におし、て、平均値では現 行建築基準法の数値に収まっているが、数値を 超えるまたは、基準に満たなし、住宅もあり、年 齢に伴う利用上の不便が予想される(図2)。 1000 以上 500 O 階段幅 踏 菌 蹴上 蹴込 783.7聞 237.4園田 215訓 圃 27.9闘 ・ 圃実態調査での平均 』骨四建築基準法 図