Title
Integrated backscatter and intima-media thickness of the thoracic
aorta evaluated by transesophageal echocardiography in
hypercholesterolemic patients: Effect of pitavastatin therapy( 内
容と審査の要旨(Summary) )
Author(s)
小野, 浩司
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学) 乙第1462号
Issue Date
2012-12-19
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/48075
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与要件 学位論文題目 審 査 委 員 小 野 浩 司(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1462 号 平成 24 年 12 月 19 日 学位規則第4条第2項該当
Integrated backscatter and intima-media thickness of the thoracic aorta evaluated by transesophageal echocardiography in
hypercholesterolemic patients: Effect of pitavastatin therapy (主査)教授 森 田 啓 之
(副査)教授 竹 村 博 文 教授 星 博 昭
論 文 内 容 の 要 旨
我々はこれまで,超音波の後方散乱波を解析して得られる integrated backscatter (IBS)値を用 いて冠動脈・頚動脈の動脈硬化病変の組織性状を評価できることを報告してきた。一方,LDL コレ ステロール低下薬であるスタチンの冠動脈・頚動脈プラークに対する効果に関する報告はあるが, 胸部大動脈に対する効果を評価した報告はない。我々は,スタチンの中でも強力な LDL コレステロ ール低下作用を有するピタバスタチンは胸部大動脈の動脈硬化改善作用が強く,経食道心エコーを 用いて IBS 値と内膜中膜厚(intima-media thickness: IMT)を測定すれば,その動脈硬化改善作用を 評価することができると仮説を立てた。本研究の目的は,①経食道心エコーを用いて IBS 値の測定 で質的な変化を,IMT の測定で量的な変化を評価し,ピタバスタチンの胸部大動脈に対する動脈硬 化改善作用を明らかにすること,②経食道心エコーを用いた IBS 値と IMT の測定が,胸部大動脈の 動脈硬化を評価するために有用であることを明らかにすることである。 【対象と方法】 心房細動や心臓弁膜症の評価目的で経食道心エコーを施行した患者で高脂血症を合併した 32 名 の患者を,ピタバスタチン(1~2mg)内服群(P群:n=16)と食事療法のみの(D群:n=16) の 2 群に無作為に分けた。試験開始時と7ヶ月後に,血液検査にて総コレステロール(TC)・中性脂 肪(TG)・HDL コレステロール(HDL-C),経食道心エコーにて胸部大動脈の特徴的なプラーク部位 2 箇 所と正常部位の中膜 2 箇所,合計 4 箇所で,IMT と IBS 値を計測した。IBS 値は外膜の IBS 値を減じ て補正した corrected IBS (cIBS)値を用いた。LDL コレステロール(LDL-C)は,TC,TG,HDL-C の値 から Friedewald の式を用いて計算した。また,経食道心エコーの施行が必要な,スタチンを内服し ていない患者 168 人において,正常部位の中膜の cIBS 値を測定し,年齢との相関を調べた。 【結果】 ① LDL-C は,P群で 150±22 mg/dl から 103±21 mg/dl へ有意に減少したが,D群では有意な減少 は見られなかった(150±14 mg/dl から 141±23 mg/dl)。 ② 胸部大動脈中膜の cIBS 値はP群で-17.8±2.4 dB から-20.1±3.7 dB へ有意に低下したが,D 群では-18.3±2.0 dB から-16.7±2.1 dB と有意に上昇した。 ③ プラーク部位の IMT は,P群で 3.7±0.4 mm から 3.3±0.4 mm と有意に低下したが,D群では [ ]
3.6±0.3 mm から 3.9±0.3 mm と有意に上昇した。cIBS 値はP群で-10.2±2.2 dB から-6.9±1.7 dB へ有意に上昇し,D群でも-10.0±1.6 dB から-8.1±1.7 dB へ有意に上昇した。
④ スタチンを内服していない患者 168 人の中膜の cIBS 値は年齢と正の相関を認めた,(r=0.84, p<0.001)。
【考察】
① 中膜の cIBS 値の増加は動脈の加齢性変化の指標となり,in vitro の検討では病理学的に collagen fibers の増加や elastic fibers の断片化を反映しているとの報告がある。本検討で ピタバスタチン投与にて中膜の cIBS 値が有意に低下しており,ピタバスタチンが collagen fiber の増殖抑制効果あるいは elastic fibers の断片化抑制効果を介して,胸部大動脈中膜の 加齢性変化を抑制している可能性が示唆された。 ② 頚動脈プラークの組織性状と cIBS 値との関連についてはいくつか報告されており,cIBS 値は脂 質成分<線維成分<石灰化成分の順に高値を示す。本検討にてD群と比較しP群では有意に cIBS 値が上昇し,かつ IMT が減少したことは,ピタバスタチンがプラークの脂質成分を減少さ せたか,線維成分を増加させたことを反映していると考えられた。 ③ 経食道心エコーは胸部大動脈を優れた解像度で表示する装置でありながら,これまで胸部大動 脈の動脈硬化を評価した検討はほとんどなかった。本検討は,経食道心エコーがその評価に有 用であることを明らかにした。 ④ 本検討の限界として,胸部大動脈中膜の cIBS 値や IMT は動脈硬化の程度を反映する代用マーカ ーであり,これらのマーカーと動脈硬化性疾患の発症やそれらによる死亡との関連を将来的に 明らかにする必要があることが挙げられる。 【結論】 経食道心エコーによる cIBS 値と IMT の測定は,胸部大動脈の動脈硬化を評価するのに有用な方法 である。強力な LDL コレステロール低下作用を有するピタバスタチンには胸部大動脈中膜において 硬化を抑制するように働き,プラーク部位においてプラークの退縮や安定化を促す働きがある。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 申請者 小野浩司は,超音波の後方散乱波を解析して得られる IBS 値を経食道心エコー法に応用 し,胸部大動脈の動脈硬化を評価することを可能とした。さらに,LDL-C 低下薬であるピタバスタ チンが胸部大動脈硬化の進展を抑制することを明らかにした。本知見は胸部大動脈における動脈硬 化進展・抑制の動態の解明と,ピタバスタチンの動脈硬化進展抑制効果の解明という点で循環器学 に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌]
Koji Ono, Masanori Kawasaki, Ryuhei Tanaka, Tomonori Segawa, Hitoshi Matsuo, Sachiro Watanabe, Genzou Takemura, and Shinya Minatoguchi
Integrated Backscatter and intima-media thickness of the thoracic aorta evaluated by transesophageal echocardiography in hypercholesterolemic patients:Effect of pitavastatin therapy