Title
ラット肝虚血再灌流障害時の血漿アミノ酸値に関する実験
的検討 -- Liposomal encapsulated superoxide dismutase投与の
意義について --( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
千賀, 省始
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第995号
Issue Date
1995-09-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15278
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 千 賀 省 始(愛知県) 博 士(医学) 乙第 995 号 平成 7
年
9月13
日学位規則第4条第2項該当
ラット肝虚血再濯流障害時の血葬アミノ酸値に関する実験的検討
-Liposomar encapsuJated superoxide
dismutase投与の意義について-(主査)教授 広 瀬 (副査)教授 武 藤 泰 敏 教授 佐 治 重 豊 論 文 内 容 の 要 旨 ショックや外科手術時の一時的血流遮断,さらには肝臓移植の際に虚血および再湾流に伴う肝障害が問題となっ ている○その原因として活性酸素の生成による生体膜障害が考えられている。そこで従来より種々のフリーラジ カルスカヴュンジャーや膜安定化剤などの投与がなされ,虚血再潜流障害に対する効果が報告されている。一方, 肝硬変末期や劇症肝炎などの重症肝障害時には血祭遊離アミノ酸が特異な変化を示し,そのパターンにより重症 嵐肝予備能や予後などの推測が可能とされている○血焚遊離アミノ酸と移植肝のviabilityに関する報告も見ら れる。また肝濯流実験や肝移植実験において胆汁流量は肝のviabilityの適切な指標とされている。そこで今臥 ラットを用いた肝虚血実験において血祭遊離アミノ酸値と胆汁流量の回復率の関係を求め,虚血再濯流障害時の 肝のviabilityの指標としての血祭遊離アミノ酸分析の有用性を検討し,さらに肝虚血再潜流障害時におけるL_ SOD(Liposomalencapsulatedsuperoxidedismutase)投与の意義を同分析の面より検討した。 実験方法 1)実験群 Wistar系雄性ラット(n=78)を用い,1群(n=20)‥虚血時間90分間,L-SOD非投与群,2群(n=20)‥虚 血時間90分間,しSOD投与群,3群(n=19):虚血時間120分間,L-SOD非投与群,4群(n=19):虚血時間120 分間,L-SOD投与群の4群に分けた。 2)しSOD ウシ赤血球由来のCu,Zn-SODにレシチン,コレステロール,ステアリールアミンなどよりなるリボゾ,ムをe ncapsulateしマルチメラ膜構造としたもので,SOD活性は3,500U/mgである。直径は200-300nm,半減期は3 時間以上でfreeのSODに比し著しく長い。リポゾーム中のステアリールアミンによりプラスに帯電し,マイナス に帯電した細胞表面への付着を改善し,組織への卿口性を高めている。しSOD投与群は虚血開始および血流再開 それぞれ5分前の2匝l,L-SOD3mg/kgを,L-SOD非投与群は溶解液のみを陰茎静脈より全身的に投与した。 3)肝虚血 肝虚血は,ヘパリン200単位を陰茎静脈より投与後,肝門部で肝動脈及び門脈を血管用クリップにて遮断する 事により行ない,全肝虚血とした。肝虚血実験4週間前に被膜を剥離した脾臓を有茎で皮下に固着することによ り,門脈体静脈短絡が形成され,肝虚血時の門脈系の鬱血を防止した。加温マットを用いて体温を37±10cに保 持した。 以下の2実験を行ない,それぞれの項目を求めた。 実験1‥虚血再湾流後の胆汁流量の回復率と一週間の生存率 実験2‥虚血再濯流後の胆汁流量の回復率と再漕流6時間後の血祭アミノ酸分析 アミノ酸分析は高速クロマトグラフを用いて測定した。血祭アミノ酸は,バリン(Val),ロイシン(Le。),イ ソロイシン(Ile),チロシン(Tyr),フユニールアラニン(Phe),メチオニン(Met),グリシン(Gly),アラニ ン(Ala)の8種について検討した。また・Val,Leu,Ileの和を分枝鎖アミノ酸(BCAA),PheとTyrの和を芳 香族アミノ酸(AAA)とし,前者を後者で除してモル比(MR)を求めた。総遊離アミノ酸量(TPFAA)は上 記の8種のアミノ酸の和とした。 71
結果および結論 1)虚血後一週間の生存率 1群,2群でそれぞれ,33.3%,83.3%,3群,4群でそれぞれ,0%,33・3%と,90分間虚血においてL-SOD 投与群がL-SOD非投与群に比して,有意(P<0.05)に良好で,120分間虚血ではL-SOD投与群とL-SOD非投与群 の間に有意差はないものの∴しSOD投与群の方が良好な傾向であった。 2)胆汁流量の回復率 胆汁流量の回復率は1群,2群でそれぞれ20.7±9.0%,40.8±11.6%,3群,4群でそれぞれ12・5±4・9%,27・ 4±18.1%と,90分間虚血,120分間虚血ともにL,SOD投与群がL-SOD非投与群に比して有意(P<0・01, P<0.05)に良好であった。 3)血祭アミノ酸分析 90分間虚血では2群がl群に比してAla,Metは有意(P<0.05)に低かった。120分間虚血では4群が3群に 比して,Ala,AAAは有意(P<0.05)に低かった。 4)生死と胆汁流量の回復率の関係 胆汁流量の回復率は生存群,死亡群でそれぞれ42.4±9.1%,15.2±6.7%と生存群が死亡群に比し有意 (P<0.01)に良好であった。次に胆汁流量の回復率の面より生存率を検討すると,胆汁流量の回復率が30%以上 の17匹の生存率は94.1%と,30%未満の31匹の生存率,6.5%に比し有意(P<0.001)に良好であった。 5)胆汁流量の回復率と血菜アミノ酸との関係 90分間虚血においては,Ala,Gly,Met,AAA,TPFAAと胆汁流量の回復率との間に有意(P<0・0001, P<0.0001,P<0.0002,P<0.0027,P<0.0003)な負の相関があった。120分間虚血では,Ala,Gly,Met, AAA,TPFAAと胆汁流量の回復率との間に有意(P<0.0002,P<0.0007,P<0・0001,P<0・0032,P<0・0002) な負の相関が認められた。90分間,120分間の虚血とも胆汁流量の回復率とBCAA,MRとは有意な相関を認めな かった。 以上の結果より次の結論を得た。 1)胆汁流量の回復率は虚血後の生存率に密接な関係があり,虚血再潜流障害肝のviabilityの良い指標であった。 また血策遊離アミノ酸の内でAla,Gly,Met,AAA,TPFAAは胆汁流量の回復率との間に有意な負の相関関係 が認められた。したがって,Ala,Gly,Met,AAA,TPFAAは虚血再潜流障害肝のviabilityの指標として有用 であることが示唆された。 2)L-SODの投与により,90分間の全肝虚血において胆汁流量の回復率,生存率が有意に良好となった。120分 間の全肝虚血においては胆汁流量の回復率が有意に良好で,生存率は良好な傾向となった。血渠遊離アミノ酸分 析においては,L-SOD投与により,90分間の全肝虚血ではAla,Metは有意に低値となり,120分間の全肝虚血で はAla,AAAは有意に低値となった。 以上の結果より,L-SODは虚血再潜流障害時における肝のviabilityの保持に有用な効果を有することが示唆さ れた。
論文審査の結果の要旨
申請者 千賀省始は,ラットを用いた肝虚血再濯流実験を行ない,胆汁流量の回復率,血祭アミノ酸分析が虚 血再潜流障害肝のviabilityの指標として有用であること,さらに1iposomalencapsulated superoxide dismutaseが虚血再潜流障害時における肝のviabilityの保持に有用であることを明らかにした。 この研究は外科学,肝臓学ならびに移植学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] ラット肝虚血再濯流障害時の血祭アミノ酸値に関する実験的検討-Liposomalencapsulated superoxide dismutase投与の意義について一
移植 29(2):166∼173,1994