Title
Temporal modulation transfer function in normal-tension
glaucoma patients( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
西村, 幸三九
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1231号
Issue Date
2000-01-19
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15041
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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 西 村 幸三九(岐阜県) 博 士(医学) 乙第1231号 平成12 年 1 月19 日
学位規則第4条第2項該当
TemporalmoduJation transfer functionin normal-tenSion glaucoma Patients (主査) (副査) 明一 克謙 澤波 北松 授 授 教 教 教授 犬 塚 論 文 内 容 の 要 旨 緑内障眼の病理組織学的研究により,Y cellがⅩcellに比較して早期より障害を受けることが知られており, そのY cell系の機能障害を早期に検出することにより,緑内障の早期診断が可能と考えられはじめている。近年, 緑内障早期に視野障害に先行して起こる網膜神経線維層欠損が存在することが知られるようになり,さまぎまな 視機能障害の検討から,緑内障早期診断の可能性が検討されてきた。今回,我々は,新たに開発された時間周波 数特性の測定装置である"FlickerSystem"を使用し,正常眼圧緑内障,特に初期正常眼圧緑内障患者の時間 周波数特性を検討した。 対象と方法 本装置では,輝度が時間により正弦波様に変化する光が発生する。この光の平均の輝度は→定であり,振幅と 周波数は可変である。振幅の大きさをmodulationという指標で定義し,単位は(%)とする。mOdulationlOO %では,最大輝度と最小輝度の光を含み,mOdulationO%の彼の輝度は一定である。したがって,mOdulation の値が大きいほど明暗の差が大きく,光をちらつきとして感じやすくなる。周波数は2Hzから65Hzの範囲のあら かじめ決められた17箇所で変化する。各周波数において,最初にmodulationlOO%の光が呈示され,それがちら つきと感じられれば次にmodulationO.1%の光が呈示される。この光は通常ちらつきとは感じられず,次にその 間のmodulation値を有する光が順に呈示される。次第にmodl11ationの範囲を狭く し,各周波数における
modulationの閉値を求める。Ⅹ軸を周波数,Y軸をmodulationとしたmodulation閥値の曲線を"De Lange cur
ve,と称する。 正常有志者と正常眼圧緑内障患者を対象とした。正常者群は,65例65眼,22∼79歳,平均43.2±16.5歳であっ た。正常眼圧緑内障群は,平成5年1月から平成6年5月までに岐阜大学付属病院眼科に検査入院し,正常眼圧緑内 障と診断された,64例64眼,29∼80歳,平均49.8±16.3歳であった。 正常眼圧緑内障群はハンフリp視野計Program30-2により測定した視野から,Aulhorn分類Greve変法にした がい,0期から1期までの35眼,2∼3期の17眼と,4∼5期の12眼に分類した。さらに,0∼1期を6dB未満の比較暗 点しか認めないA期,15眼。6∼10dBの比較時点を認めるB期,9眼。10dBを超える比較暗点を認めるC期,11眼 とした。A期は視神経乳頭萎縮を認め,その他眼に6dB以上の比較暗点を認める眼とした。また2∼3期もOctopus 視野計program Glより得られた59ポイントの欠損を程度順に並べ変え,そのスケールをプロットしたBebie curve modelに基づき,そのカーブがnormalrangeよりどのように低下するかにより,全体的に感度の低下す
るdiffuse type5R鼠 局所的な変化の強いlocalized type8眼,その両方の混合したmiⅩed type4眼に分類した。
正常眼圧緑内障患者群と正常者群とで,Age matchingをして10歳ごとの年齢分布が等しくなるようにした後, Mann-Whitney-U検定を用いて比較した。 結 果 正常者を45歳末満と45歳以上の2群に分けて,各々のDeLange curveを比較すると,全周波数において年齢に よる有意な感度の低下が認められた。 正常眼圧緑内障のうち,0∼1期の群では,周波数20∼45Hzの範囲で正常者群に比べ,有意なmodulation値の 低下を認めた。病期の進んだ2∼3期,4∼5期では,周波数14∼55Hzの広い範囲で正常者群に比べ,有意な modulation値の低下を認めた。 A期,B期,C期と正常者群の比較により,A期ではどの周波数の範囲でも有意な低下は認めなかったが,B期 では25∼45Hzの範囲で有意なmodulation値の低下を認めた。C期ではさらに広い範囲で有意なmodulation値の -117一
低下を認めた。2∼3期の症例の視野欠損のdiffuse type,localized type,miⅩed typeと,正常者群の比較によ
り,diffuse typeでは25∼45Hzの範囲で有意なmodulation値の低下を認めたが,localized type,mixed typeで
はどの周波数の範囲でも有意なmodulation値の低下を認めなかった。 考 察 緑内障性視神経障害が発症早期から選択的な神経線維束障害として現われることは明らかである。一一方,緑内 障の発症早期から広範囲にわたるびまん性の網膜神経線維欠損が生ずるか否かについては,依然として意見の-一 致をみていない。この意見の不一致の大きな理由は,正確な網膜神経線維の定量的測定法が存在しないこと,代 表的な緑内障性視機能障害検出法である視野検査では,びまん性の神経線維層の消失を反映するはずのびまん性 の感度低下が,真に網膜神経線維のびまん性の消失を正確に反映しているか明らかでないことである。一方,以 前から,比較的早期に緑内障の視機能変化を発見する検査法であると考えられてきたHumphreyFieldAnalyzer などの自動視野計が,緑内障眼の剖検で,生前に中心30度の視野において5dBの感度低下がみられた部位では20 %の神経細胞が,10dBでは40%が消失していたとの報告が示すように,自動視野計が極早期の緑内障患者の検 出には決して十分であるとはいえない。緑内障眼の病理組織学的研究により,網膜神経節細胞のうち細胞径の大 きいM
cell系細胞が細胞径の小さいP cell系細胞に比較して早期より障害を受けることが知られている。M ceil
系細胞は生理学的に証明されるY cell系細胞にはば相当すると考えられており,このY cell系細胞は,P cell系
細胞に相応するⅩcell系よりも,受容野が広い,光刺激の変化に対して反応する,などの特性を有している。し
たがって,その特性に合った光刺激を与えることによりY cell系の機能障害を選択的に早期から検出し得る可能
性が指摘されている。すなわち,異なった光刺激に対する反応特性を検討することにより緑内障の早期診断を行 う目的で,Pattern ERG(erectroretinogram),VECP(visually evoked corticalpotential),時間周波数特 性検査などを行った成績が既に報告されているが,病期の進行した患者では異常が検出されるが初期の患者では 検出されない,周辺視野が欠損していても中心視野の感度低下がないと検出されない,など臨床的な有用性は未 だ明確ではない。Vo VaIIToiらは,フリッカーシステムを用い,フリッカー感度と眼圧の相関を指摘した。彼 らによれば,眼瞼上から眼球を圧迫し,10人の正常者の眼圧を人工的に変化させmodulation値を測定したとこ ろ,眼圧27.2±2,1mmHgで有意な低下を認めた。また,そのDe Lange CurVeを求めることにより,高眼圧によ り生じた心理物理学的な反応の低下をより鋭敏に検出でき,フリッカー感度は,眼圧やフリッカー周波数に依存 することを証明した。時間周波数特性検査はアマクリン細胞や神経節細胞などの,網膜内層の機能を反映すると されており,視野検査で異常が認められる以前の極初期の緑内障変化を検出できる可能性がある。 今回の結果では周波数の遠いにより,mOdulation値の低下も異なり,病期が早い段階では,狭い周波数の範 囲でのみ有意な低 Fを認め,病期が進むに従ってその範囲が広くなることが判明した。すなわち,2∼3,55∼65
Hzのように正常者においても閥値の低い範囲では有意な低下は認めにくく,20∼45HzのDe Lange Curveのは
ば中央部の範囲がmodulation値の低下を検出しやすいことが明らかとなった。また,視野変化の型別にみると,
localized,mixed typeではいずれの周波数でも有意な低■ Fを認めなかったのに対し,diffuse typeでmodtllation
値の低下した周波数の領域を認めた。このことは,本検査が視野全体を対象としており,視野検査において健常 な部分が多く残る局所的な視野欠損を認めるtypeよりも,全体の網膜神経線継がびまん性に欠損しているtypeを 検出しやすいことを示唆するものと考えられる。すなわち,本検査では0∼1期のような初期においてもmodulation 値の低下を検出し,その中でもびまん性の神経線維の消失を主に捉えている可能性が考えられる。したがって, 今回の我々の成績は,その存在について議論のあった,緑内障眼におけるびまん性の視機能障害の存在を支持す るものと考えられる。また,従来の視野計より短時間に検査を終了できるFlicker Systemにより,Aulhorn分類 Greve変法0∼1期のような早期の緑内障患者に異常を認めたことは意義あることと思われた。 論文審査の結果の要旨 申請者 西村幸三九は,時間周波数特性の測定装置である"Flicker System"を使用し,正常眼圧緑内障t 特に初期正常眼圧緑内障患者の時間周波数特性を検討した。その結果,Aulhorn分類Greve変法0∼1期のような 早期の緑内障患者においてもmodulation値の低下を検出し,その中でもびまん性の神経線維の消失を主に捉え ている可能性が示唆された。 本研究の成果は,眼科学とくに緑内障診断学の進歩に寄与するところが大であると認められる。 [主論文公表誌]
Temporalmodulation transfer functionin normaトtension glaucoma patients 1998年JpnJOphthalm0142:146∼151