Title
Skeletal muscle depletion is an independent prognostic factor for
hepatocellular carcinoma( 要約版(Digest) )
Author(s)
入谷, 壮一
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学) 甲第1033号
Issue Date
2017-03-25
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/56153
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Repository(Form4)学位論文要約
Extended Summary in Lieu of the Full Text of a Doctoral Thesis
氏 名:
Full Name入谷 壮一
学位論文題目:
Thesis TitleSkeletal muscle depletion is an independent prognostic factor for hepatocellular carcinoma
学位論文要約:
Summary of Thesis 【はじめに】 肝細胞癌は世界的に頻度が高く、毎年 75 万人が罹患し、約 70 万人が死亡する悪性疾患である。肝細胞癌 の長期予後は極めて不良であり、症例毎に最善の治療法を決定する上で、有効な予後予測因子を特定するこ とが重要である。サルコペニアは、加齢に伴って起こる骨格筋の減少と定義されるが、近年、栄養障害や臓 器不全、さらには炎症性疾患をはじめとする様々な病態の発症・進展に、深く関与していることが明らかに なってきている。またサルコペニアは、肺癌や各種消化管癌をはじめとする悪性腫瘍の予後不良因子として 知られているが、同病態が肝細胞癌に及ぼす影響に関しては明らかにされていない。今回我々は、肝細胞癌 患者におけるサルコペニアの発生率を明らかにし、骨格筋の減少が肝細胞癌の重要な予後規定因子となりう るかどうか検討した。 【対象と方法】 2006 年から 2012 年の間、岐阜大学医学部附属病院で初回治療を行った肝細胞癌患者全例 217 例を対象と した。骨格筋量の測定は、肝細胞癌診断時に撮影した CT の腰椎 L3 レベルの横断画像を用いて行った。L3 レ ベルの筋肉量(cm2)を身長×身長(m2)で標準化し、L3 skeletal muscle index(L3 SMI、cm2/m2)を算出 した。体組成[除脂肪体重(FFM)と脂肪体重(FM)]は、FFM(kg)=0.3×[skeletal muscle at L3(cm2)] +6.06、FM(kg)=0.042×[total adipose tissue at L3(cm2)]+11.2 の計算式で算出し、FFM は骨格筋 量の指標として用いた。全生存期間(OS)は、Kaplan-Meier 法を用いて評価した。予後(OS および無再発生 存期間)規定因子の探索として、性別、年齢、BMI、FFM、HBs 抗原および HCV 抗体の有無、Child-Pugh 分類、 アルブミン(Alb)、血小板数、空腹時血糖、AFP、PIVKA-Ⅱ、stage 分類、初回治療の根治性の 14 項目につ いて検討した。単変量解析で有意と判断された因子については、Cox 比例ハザードモデルを用いて多変量解 析の対象とした。肝細胞癌患者の予後を最も反映する FFM の cut off 値は ROC 曲線によって決定し、L3 SMI の cut off 値については既報に従った。【結果】
217 例(男性 146 例、女性 71 例、平均年齢 72 歳)の観察期間の中央値は 637 日(2-2219 日)であり、う ち 120 例(55.3 %)は手術後、またはラジオ波焼灼術後に根治と判断された。FFM と L3 SMI の中央値は、 それぞれ 37.9 kg(17.2-62.9 kg)および 41.7 cm2/m2(15.0-74.7 cm2/m2)であった。単変量解析で明らか になった因子[FFM(P=0.0422)、Child-Pugh 分類(P=0.0058)、Alb(P<0.0001)、AFP(P<0.0001) 、PIVKA-Ⅱ(P<0.0001)、stage 分類(P<0.0001)、初回治療の根治性(P<0.0001)]のうち、多変量解析では FFM(P=0.0499)、 Alb(P=0.0398)、初回治療の根治性(P=0.0008)が、OS に影響を与える独立因子として挙げられた。 Kaplan-Meier 法では、FFM が低値群(<37 kg)で有意に OS が短かった(P=0.04)。FFM 低値群と高値群(FFM>37 kg)の比較では、FFM(P<0.0001)、性別(P<0.0001)、年齢(P<0.0001)、BMI(P=0.0058)、L3 SMI(P<0.0001) で相関を認めたものの、肝予備能や stage 分類、死因とは関連性を認めなかった。L3 SMI(女性:29.0 cm2/m2
以下、男性:36.0 cm2/m2以下)でサルコペニアを定義したところ、24 例(11.1%)がサルコペニアを合併し ていた。非サルコペニア肝細胞癌患者と比較し、サルコペニア肝細胞癌患者は有意に OS が短く(P=0.0043)、 特に過体重(BMI>22)の群において、サルコペニア合併患者は非サルコペニア合併患者と比較し有意に OS が低かった(P=0.0129)。Child-Pugh 分類や stage 分類とサルコペニアは、有意な相関を認めなかった。肝 細胞癌根治後の 120 例について解析したところ、stage 分類のみが肝細胞癌再発の危険因子と考えられた (P=0.0452)。肝細胞癌の再発と、FFM(P=0.7428)およびサルコペニア(P=0.8007)との間に、明らかな関 連性は認められなかった。 【考察】 従来、肝細胞癌の予後規定因子としては肝予備能(Child-Pugh 分類)、stage 分類、肝細胞癌再発が報告さ れていたが、我々は本研究において、FFM の低下やサルコペニアの合併(L3 SMI の低下)が、これらの既報 因子とは独立した肝細胞癌患者の予後不良因子であることを明らかにした。特に、過体重(BMI>22)のサル コペニア合併肝細胞癌患者はより予後不良であるため、更なる注意が必要であると考えられた。肝細胞癌を はじめとする慢性肝疾患患者においては、潜在的にサルコペニアが存在する可能性が高いため、CT 画像で骨 格筋の減少を客観的に評価することでサルコペニアのスクリーニングを行い、同病態を癌関連背景因子とは 独立した予後因子として評価することは、慢性肝疾患患者の予後改善をめざす上で重要な strategy であると 考えられた。具体的には、適切な栄養療法や運動療法により筋量の低下を予防すれば、肝細胞癌患者の予後 を改善できる可能性があるため、前向き研究によって検討を進める必要があると考えられた。さらに、骨格 筋量の減少のみならず、骨格筋力の低下を評価項目に加えたサルコペニアの診断基準に基づく解析や、骨格 筋の減少が肝細胞癌患者の予後を悪化させる機序について、詳細な検討を行っていく必要があると考えられ た。 【結論】 骨格筋の減少は肝細胞癌患者の独立した予後規定因子であり、骨格筋減少の予防は同患者の予後を改善す る可能性がある。