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携帯ワンセグ放送と地上波テレビ放送の代替・補完の可能性--携帯電話による視聴状況・評価からの考察 利用統計を見る

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携帯ワンセグ放送と地上波テレビ放送の代替・補完

の可能性--携帯電話による視聴状況・評価からの考

著者

川上 孝之

雑誌名

白山社会学研究

17

ページ

73-84

発行年

2010

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00003466/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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白LI」社会学研究 第17号 2010 携帯ワンセグ放送と地上波テレビ放送の代替・補完の可能性    一携帯電話による視聴状況・評価からの考察一 川上孝之★ 1,研究の目的と方法  地上波デジタル放送は、2003年に放送を開始してから2009年12月に丸6年が経過し た。地上波デジタル放送の開始当初は、東京・名古屋・大阪の3大都市圏から実施され2011 年7月の完全実施に向け地上波デジタル放送のサービスエリアは順次拡大・整備され続け ている。  地上波デジタル放送のメリソトとして、高画質・高音質、データ放送、ワンセグテレビ 放送などがあげられる。中でもワンセグテレビ放送は、これまでのテレビ視聴の形態を大 きく変容させたと言えよう。ワンセグテレビ放送が開始される以前のテレビ放送は、受信 アンテナやブラウン管または液晶の受像機などの受信装置一式を設置し、それらがケーブ ルによって接続されなければならず、比較的受信装置自体が大きくなり、家屋など決めら れた場所に固定される必要があった。  ところが、技術革新により携帯電話にワンセグテレビ放送の受信装置が搭載されると、 携帯電話の端末自体が通信メディアであると同時に地上波テレビ放送の受信装置としても 機能することになった。この結果、地上波のテレビ視聴は、固定された受像機が設置され た場所という空間的制限から解放されることになった。言い換えれば、ワンセグテレビ放 送の受信装置が搭載された携帯電話を所有し、かつワンセグテレビ放送波を受信できる場 所であれば、地上波テレビ放送を視聴できるようになったのである。この携帯電話による ワンセグテレビ放送(以下、「携帯ワンセグ放送」とする)を視聴するというメディア・コ ミュニケーションは、これまでのテレビ視聴にない移動しながらテレビ視聴ができるとい う新しい形態であると言えよう。  ところで、現在の放送メディアを取り巻くメディア環境は、地上波デジタル放送に代表 されるようにメディアのデジタル化や放送と通信の融合などが進行しつっある。このメデ ィア環境の変容は、メディアを利用する人びとのメディア・コミュニケーションも同じよ うに変容させていると言える。携帯電話によるワンセグテレビ放送の視聴は、その一例と して捉えることができよう。  新しいメディアの誕生に伴い、新しいメディアを含んだメディア全体の利用形態が変容 しっつある今日、その利用実態の把握に関し、利用時間からの量的なアプローチによる調 査研究は盛んに行われる一方で、利用内容からの質的なアプローチによる調査研究は必ず しも十分に行われているとは言い難い。  そこで本論は、次第に認知され、利用(視聴)されつつある携帯ワンセグ放送が、現在 t東洋大学大学院社会学研究科社会学専攻博士後期課程

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どのように利用(視聴)されているのかを明らかにした上で、携帯ワンセグ放送が地上波 デジタル放送(以下、「据え置き型テレビ」と同意とする)の代替・補完的なメディアにな る可能性があるかを明らかにすることを目的とする。  なお、分析に際し、新潟県長岡市で実施した量的調査の一部を利用した。 2.地上波テレビ放送を取り巻く現況 2ユ 地上波テレビ局を取り巻く環境の変容  現在、地上波テレビ局は、大きな岐路に直面していると言える。鈴木祐司(2009)は、 地上波テレビ局が抱えている問題を①デジタル化への設備投資、②広告収入の減少、③広 告市場の構造的な課題に分類している(鈴木:2009,2)。  デジタル化への設備投資とは、これまで局内や中継局に設置されていたアナログ用放送 出力装置をデジタル用に更新する費用のことである。この費用は、例えばサービスエリア が広く多くの中継局が必要な北海道では1つのテレビ局で100億円、人口の集中する都市 部でも数十億円必要と試算され、地上波テレビ各社は、デジタル化に関わる費用の捻出が 大きな負担となっている。  民間テレビ局にとって、主たる収入源は広告収入である。広告主である一般企業は、イ ンターネットの登場以後、次第に放送をはじめとするマス広告からインターネットへと転 換しているようである。これは、マス・メディアへの広告費が一貫して右肩下がりである のに対し、インターネットに関する広告費は、一時期の伸長は見られなくなってきたが着 実に増加し続けていることから考えられよう。  さらに、地上波テレビ放送局は、このような経営上の諸問題以外に放送産業の制度的枠 組みを見直そうとする問題にも直面している。それは、放送のデジタル化に伴う「放送と 通信の融合」という新たなメディア環境から生じてきた問題である。これまでテレビ局は、 マス・メディア集中排除原則により、新規参入がほとんどみられなかった。ところが、集 中排除原則の緩和や放送と通信に関する法体系の見直しなどが情報通信委員会により提言 されており、放送というメディアの根幹に激震が走ろうとしている。  このように現在の地上波テレビ局は、デジタル化や広告費の減少、さらには情報通信メ ディアとの連携など複雑な状況に対応しなければならなくなっている。 2.2 地上波テレビ放送の現況  これまでテレビ放送は、地上波や衛星波を視聴者が直接するか、ケーブルテレビ局から の再送信によって視聴する手段しかなかった。この手段では、テレビ番組を見たい時間に テレビ受像機の前にいるか、番組を録画しない限り再度同じ番組を視聴することができな かった。しかし、録画機器の高度化や動画配信サービスおよび動画共有サイトの誕生によ ってその様相は大きく変化し、それぞれの視聴者が個々の時間で見たいテレビ番組を編成 し視聴する「タイムシフト視聴」が次第に強化されていく。  2003年に電気通信役務利用放送法の第1号適用を受け映像配信を行った「BBTV」は、 テレビ番組の再送信ができないことや技術的な問題により利用者を拡大させることができ

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白U」社会学研究 第17号 2010 ず、テレビ局には大きな影響を及ぼさなかった。しかし、2005年にUSENがVOD方式 でサービスを開始した「GyaO1)」や同年に誕生した動画共有サイトのYouTube2)は、配 信番組の多くがすでに放送したテレビ番組の2次利用であるために、多くの利用者(視聴 者)を獲得した。このインターネット配信によるテレビ番組の提供は、利用者(視聴者) のタイムシフト視聴という視聴習慣を飛躍的に増加させることになった。  この新しい視聴習慣の広まりを受け、地上波テレビ局は、在京のキー局を中心にして、 例えばNHKは「NHKオンデマンド」、日本テレビは「第2日テレ」、フジテレビは「フ ジテレビOn Demand」などと、放送波ではなくインターネット配信という新たな番組提 供を実施している。 2.3 ワンセグテレビ放送の現況  携帯電話が登場した当初は、その名の通り「携帯」する電話端末だった。その後、技術 革新が進み携帯電話によるインターネット接続が可能になり、次第に「携帯電話」ではな く「携帯情報端末」へと携帯電話の機能が拡張していく3)。この機能拡張は、通信回線を 音声とデータ通信で利用する複合的利用や携帯端末自体の多機能化であり、「通信」の領域 を脱していなかった。  通信分野での機能拡張にとどまっていた携帯電話に放送のデジタル化は、大きな影響を 与えた。地上波デジタル放送を普及させるためには、不都合なく視聴できるアナログ放送 からデジタル対応テレビを視聴者に購入させることが必須要件である。この要件を満たす ためには、視聴者にできるだけ多くのメリットを提供することが必要であった。そこで普 及途上にあった携帯電話や自動車のナビゲーション・システムなどの移動体での受信にも 強くし新たなサービスを提供しようという背景があった4)(高橋孝輝:2006,6)。この背 景からワンセグテレビ放送を含む放送のデジタル化が進展したのである。  実際に地上波がデジタル化されると、移動体受信以外に高画質・高音質な動画の提供や 放送波にテキストデータを付加させるデータ放送の同時送信が可能になった。このデータ 放送は、据え置き型テレビ向けだけでなく、携帯端末向けにも送信された。すでに携帯電 話は、機能を拡張する過程でテキストデータの送受信が可能になっており、ワンセグテレ ビ放送の開始は、放送と携帯電話の融合、言い換えれば「放送と通信の融合」の一端を開 花させることになった。  こうして地上波デジタル放送と同時にサービスが開始したワンセグテレビ放送は、テレ ビ放送を場所や時間に制限されることなく、「移動中でも鮮明な画像を受信することができ る」(総合研究本部ニューメディア取材班:2006,29)まさにテレビを携帯することので きる「新しいテレビ」となった。  放送波のデジタル化が進展する一方で、ワンセグテレビ放送の受信が可能な携帯電話も 着実に増加していく。放送開始直前の2006年12月の段階で、携帯電話へのワンセグテレ ビ放送受信装置の搭載率は15.1%ほどしかなかった。ところが、直近である2009年12月 には78.0%まで達し、月間による差はあるが概ね8割程度の搭載率となっており、現在で は携帯電話保有者の多くがワンセグテレビ放送を視聴できるようになっている5)。

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 ワンセグテレビ放送で放送される番組は、放送開始当初は据え置き型テレビと同一の内 容を放送するサイマル放送であった。その後2008年の放送法改正により、ワンセグテレ ビ放送独自の放送が可能になった。ワンセグテレビ放送独自の番組編成は、同年8月にテ レビ東京が「それいけ!7ちゃん(仮)」6)を深夜時間帯にトライアル番組として放送した ことを契機とする。この後、民放キー局の一部で独自編成のワンセグ放送番組を放送した が、そのほとんどがトライアル程度であり積極的な独自編成を行っていない。これに対し てNHKでは、2009年に「ワンセグ2」というサービス名で正午を中心に放送時間が5分 程度の13番組と1時間の1番組の計14番組を教育テレビのチャンネルで放送している。  NHKを除く民放各社は、ワンセグテレビ放送独自の編成が可能になったにも関わらず 積極的な展開をみせないのは、「独自の番組・営業開発、独自CMの送出設備の整備、12 セグ本体番組のスポンサーとの調整など多くの課題」(日本民間放送連盟:2009,15)が あり、独自編成が可能なビジネスモデルが確立していないためと考えられる。現段階にお いてテレビ局は、大きな可能性は認めながらも著作権の処理方法や事業としての採算性の 課題があり、積極的に展開できずに据え置き型テレビと同じ内容の番組を放送している。  ところで、実際に携帯電話の画面に映し出されるワンセグテレビ放送は、どのように表 示されているのであろうか。  ワンセグテレビ放送は、映像や音声の番組本体とデータ放送を同時に送信しており、映 像部分は一部を除いて据え置き型テレビと同じ番組が放送されている。その一方でデータ 放送部分は、地上波テレビ放送の番組と連動する「番組連動型データ放送」と連動しない 「非番組連動型データ放送」に区分することができる。前者は、放送番組と連動し、番組 のウェブサイトをデータ放送部分に表示し番組関連情報にアクセスできるようになってい る。後者は、テレビの映像とは関係なく、例えばニュースや天気予報、交通情報、災害情 報などを表示したり、これらに関連したウェブサイトにアクセスすることが可能になって いる。 3.携帯ワンセグ放送の視聴の実際  人びとは、新しいメディアとしての携帯電話で視聴する携帯ワンセグ放送をどのように 視聴しているのであろうか。人びとの携帯ワンセグ放送の視聴実態を知るために、新潟県 長岡市にて量的調査7)を実施した。この調査結果から携帯ワンセグ放送がどのように視 聴・評価されているのか、据え置き型テレビと比較しながら見てみることにする, 3.1携帯ワンセグ放送の利用者・非利用者の基本属性  ワンセグテレビ放送が視聴可能な携帯電話の保有者は、全回答者の28.0%(59人)で あり、およそ4人に1人が携帯ワンセグ放送を視聴することができる程度にとどまってい る。これは、据え置き型テレビの保有者(98.1%)に比べ、非常に低い。  この携帯ワンセグ放送の視聴可能な人びととデモグラフィック属性をクロス集計した 結果が、表1∼表6である。

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白山社会学研究 第17号 2010 表1携帯電話でのワンセグ放送の視聴可能状況×性別 n 視聴できる 視聴できない 男性 乱ォ 81 P21 33.3%       66.7 Q4.8%      75.2 注)γ2検定:有意差なし 表3携帯電話でのワンセグ放送の視聴可能状況×婚姻状況 n 視聴できる 視聴できない 未婚 婚 婚 i離死別) 45 P50 V 37.8% Q5.3% Q8.6% 62.2 V4.7 V1.4 注)X2検定:セルに度数5以下があるため検定を除外 表5携帯電話でのワンセグ放送の視聴可能状況x学歴 表2携帯電話でのワンセグ放送の視聴可能状況x年齢 n 視聴できる  視聴できない 10歳代 13 46.2% 53.8 20歳代 22 409% 59.1 30歳代 34 294% 70.6 40歳代 39 33.3% 66.7 50歳代 68 23.5% 76.5 60歳代 26 1t5% 88.5 注)X2検定:セルに度数5以下があるため検定を除外 表4携帯電話でのワンセグ放送の視聴可能状況x職業 n 視聴できる  視聴できない 専門的・技術的職業 30 30.0%      70.0 管理的職業 11 45.5%      545 事務的職業 30 267%       73.3 自営商工業者 3 66.7%      33.3 産業労働者 29 41.4%      58.6 商業労働者 15 6.7%      93.3 農林・牧畜業 3 33.3%      66.7 主婦(専業) 27 11.↑%      88.9 主婦(’“一ト・アルハ’イト) 30 26,7%      73.3 学生 15 40.0%      60.0 無職 4 0.0%      100,0 その他 3 33.3%      66.7 注)X2検定:セルに度数5以下があるため検定を除外 表6携帯電話でのワンセグ放送の視聴可能状況x年収 n 視聴できる 視聴できない n 視聴できる  視聴できない 中学父 22 27.3% 72.7 300万円未満 98 26.5% 73.5 高校 98 32.7% 67.3 600万円未満 55 32.7% 67.3 短大・高専・ e種学校・専門学校 47 23.4% 76.6 900万円未満 X00万円以上 19 T 3t6% Q0.0% 68.4 W0.0 大学・大学院 34 23.5% 76.5 収入なし 22 3t8% 68.2 注)x2検定1有意差なし 注)X2検定:セルに度数5以下があるため検定を除外  携帯ワンセグ放送が視聴可能な状況にあるのは、性別では有意差は認められないものの 「男性」、年齢では20歳代までの「若年層」、婚姻状況では「未婚」、職業では「管理的職 業」「自営商工業者」、学歴では「高校」、年収では「300万円以上900万円未満」という 属性の人びとである。  他方、携帯ワンセグ放送が視聴可能でない状況にあるのは、性別では有意差は認められ ないが「女性」、年齢では「60歳代」、婚姻状況では離死別を含む「既婚」、職業では「無 職」や「商業労働者」「主婦」、学歴では「短大・高専・各種学校・専門学校」や「大学・ 大学院」、年収では「300万円未満」といった属性の人びとである。  このことから、現時点での携帯ワンセグ放送の利用者は、一部の携帯電話利用者に限定 されていると言えそうである。 3.2 携帯ワンセグ放送の視聴の特徴  まず、携帯ワンセグ放送がどの程度視聴されているかを見てみる。携帯ワンセグ放送の 利用者の平均視聴時間は、平日が8.71分、休日が7.93分であるのに対し、据え置き型テ

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レビの利用者の平均視聴時間は、平日が163.5分、休日が216.3分であり、携帯ワンセグ 放送の視聴時間は、据え置き型テレビに比べ非常に短い。  次に、視聴番組であるが、ワンセグテレビ放送の独自編成はほぼ行われておらず、据え 置き型テレビ向けの放送と同じ番組編成を行っている。この番組編成の中で、携帯ワンセ グ放送での視聴番組は、据え置き型テレビの視聴番組と違いが見られるのであろうか。言 い換えれば、携帯ワンセグ放送で視聴される番組には、何らかの特徴があるのだろうか。  携帯ワンセグ放送と据え置き型テレビで視聴される番組を比較するために同じ番組項 目を用いて、どのような番組が視聴される傾向にあるのかをまとめた結果が、図1および 図2である。  携帯ワンセグ放送、据え置き型テレビいずれも「ニュース・報道番組」がもっとも視聴 される番組であり、報道番組は、受信端末に関わりなくよく視聴される傾向がある、この ように受信端末による違いは見られないのは、「天気予報」「バラエティー番組」「ホーム・ 都会派ドラマ」であり、これらは、どちらも上位10位以内に位置している。  他方、受信端末による違いが見られるのは、スポーツに関する番組である。携帯ワンセ グ放送では、「スポーツ中継」が第2位に、「スポーツニュース」が第6位に位置している。 ニュース・報道番組   スポーツ中継    天気予報  バラエティー番組 ホーム・都会派ドラマ  スポーツニュース    青春ドラマ マンガ・アニメーション   映画(洋画) 昼間のワイドショー     その他       O.O 図1携帯ワンセグ放送の視聴番組(上位10位、n=5g) ︼ 2 15.9 1 127 11.1 1 7.9 6.3 =10■■■■3.2トー⋮−a2 、8

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5.0 10.0 15,0 20.0 25.0 25.4 30.0 i%) 図2据え置き型テレビでの視聴番組(上位10位、n=211) ニュース・報道番組    天気予報  バラエティー番組 時代劇・大河ドラマ   クイズ・ゲーム   スポーッ中継   映画(洋画)  ドキュメンタリー ホーム・都会派ドラマ  報道関係の特集 | 39.3 W.4 D5 l  l  「 @       1  3 @      32.7 85 α0    10.0   20.0   30.0   40.0   50,0   60,0   70.0   80.0   90,0   100.0        (%)

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白山社会学研究 第17号 2010  ところが、据え置き型テレビでも「スポーツ中継」は第6位に位置しているものの、「ス ポーツニュース」は上位10位以内に位置していない。  このことから、携帯ワンセグ放送で視聴される傾向に番組は、据え置き型テレビの視聴 番組の一部とスポーツに関する番組という特徴があると言えよう。 3.3 携帯ワンセグ放送の評価  では、携帯ワンセグ放送を視聴している人びとは、新しく登場した携帯ワンセグ放送を どのように評価しているのであろうか。 3.3.1携帯ワンセグ放送と据え置き型テレビの相対的評価  携帯ワンセグ放送のメディア評価は低く、他方、据え置き型テレビのメディア評価は高 いという仮説から、携帯ワンセグ放送と据え置き型テレビへの評価について、同一の19 項目を提示し「1.とてもそう思う」から「5.まったくそう思わない」の5件法で回答し てもらい、それぞれのメディアに対する評価を比較した。  携帯ワンセグ放送と据え置き型テレビそれぞれの相対的評価を行うために、個々のメデ ィア評価項目について「とてもそう思う」を2点、「ややそう思う」を1点、「どちらでも ない」を0点、「ややそう思わない」を一1、「まったくそう思わない」を一2点としてそれ ぞれの評価の平均値を求めた(図3)。  携帯ワンセグ放送の評価は、「ひまつぶし」が2.00近くあり、その他の評価項目より平 均値が高いものの、すべての項目で1.00以上であり、評価の高低に大きな違いは見られな い。 図3据え置き型テレビと携帯ワンセグ放送の評価 他人との会話での情報源 テレビの印象:情報が記憶に残る 仲間意識や帰属意識を感じる    \1ぺ ひまつぶい・ /\ 伝統文化や風習を知る\        日常生活に役立つ  \    ノr/  ’楽しい気分になる  \イ・’\/ −7K /順や贈を得られる

  ▽

f.s・・””” ャ行やファッションを知る 学習に便利    ■■■●据え置き型テレビ    ー一携帯ワンセグ

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 他方、据え置き型テレビの評価は、「社会の出来事を知るための情報源」「社会に対する 影響力(がある)」が1.50近くある一方で、「学習に便利」「仲間意識や帰属意識を感じる」 という評価項目では0.00以下となっており、評価している項目と評価していない項目の高 低が大きくなっている。 3.3.2 携帯ワンセグ放送と据え置き型テレビの因子分析  さらに、これらのメディア評価について、詳細な分析を行うために因子分析を行った。 携帯ワンセグ放送の評価を因子分析した結果(表7)、3つの因子を確認することができた。 第1因子は、「教養を高める」「地域や地元が分かる」「社会の出来事を知るための情報源」 「政治や社会の問題のヒントが得られる」「学習に便利」「他人との会話での情報源」「伝統 文化や風習を知る」「社会に対する影響力」「日常生活に役立つ」といった評価項目であり、 これらは、「日常生活を営む上で必要な情報」に関する因子、第2因子は、「楽しい気分に なる」「ひまつぶし」「刺激や興奮を得られる」「流行やファッションを知る」「情報量が多 い」といった評価項目であり、これらは「娯楽的情報」に関する因子、第3因子は、「専 門的」「情報が整理されている」「情報が正確」「情報が記憶に残る」「仲間意識や帰属意識 を感じる」といった評価項9であり、「取得情報の評価」に関する因子とそれぞれ解釈する ことが可能であろう。 表7携帯ワンセグ放送の因子分析結果 第1因子 第2因子 第3因子   固有値 因子寄与率(%) 6.688 35.2 4.229 22.3 3.929 20.7 教養を高める 地域や地元が分かる 社会の出来事を知るための情報源 政治や社会の問題のヒントが得られる 学習に便利 他人との会話での情報源 伝統文化や風習を知る 社会に対する影響力 日常生活に役立つ 楽しい気分になる ひまつぶし 刺激や興奮を得られる 流行やファッションを知る 情報量が多い 専門的 情報が整理されている 情報が正確 情報が記憶に残る 仲間意識や帰属意識を感じる 主因子法、パリマックス回転.

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    .514     、553     .552     .596     .415    ,269       .331

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白山社会学研究 第17号 20ユ0 表8据え置き型テレビの因子分析結果 第1因子  第2因子  第3因子  第4因子  第5因子  第6因子   固有値 因子寄与率(%) 1941 10,2 1 632     1,321 8,6    7.0 1.311 6.9 1.075 5.7 1.012 5.3

騨箋・れてい・  華羅

社会の出来事を知るための情報源      .212. 他人との会話での情報源      、070i 教養を高める       .228 学習に便利      、268 伝統文化や風習を知る       .119 政治や社会の問題のヒントが得られる    .161 剰激や興奮を得られる      .008 楽しい気分になる       ・・.Ol2 流行やファッションを知る         .101 ひまつぶし       =025 情報が記憶に残る       .204 地域や地元が分かる       .157 仲間意識や帰属意識を感じる        .160 情報量が多い      、155 日常生活に役立つ       .118 社会に対する影響カ      ー,112 .069 .156 .177 .232’ .042「 .006 .225 ,167 ,173 .159 ,077 、189 、173 −.006 ,191 ,295 .424 .076 .229 .370 .122 .069 .騨 .109 .062 ,261 ,076 .126 −,020 .113 .181 .159 ,170 。294 .095  .081     −.099  .156     、124  .136     .101  .161     .018 −、006     .165  .017     .167  .215     .123 .、三75蓼      .071  .62・8      .192 ・129 刀・?04  .219』 パ類犯  .156     .198  ,052      .201  .055      .097  。220     .084  .025     .075  .161     .068  135   .180  .187      .137 .0戊9 −,081 .247 .042  130 .076 ,153 .148 .054 .394 ,038 ゴ臼 ,071 ,084 ,011 .096 .203 ,243 ,079 主因子法、バリマックス回転。  他方、据え置き型テレビの評価を因子分析した結果(表8)では、6つの因子を確認す ることができた。第1因子は、「情報が正確」「情報が整理されている」「専門的」といっ た評価項目であり、「取得した情報の評価」に関する因子、第2因子は、「社会の出来事を 知るための情報源」「他人との会話での情報源」といった因子であり、「日常生活の情報源」 に関する因子、第3因子は、「教養を高める」「学習に便利」といった評価項目であり、「教 養・学習」に関する因子、第4因子は、「伝統文化や風習を知る」「政治や社会のヒントが 得られる」といった評価項目であり、「社会生活で必要な情報」に関する因子、第5因子 は、「刺激や興奮を得られる」「楽しい気分になる」といった評価項目であり、「娯楽的情報」 に関する因子、第6因子は「流行やファッションを知る」といった評価項目であり、「流 行」に関する因子とそれぞれ解釈することが可能であろう。 3.4 分析のまとめ  携帯ワンセグ放送と据え置き型テレビは、ほぼ同一の番組内容がしかも同時刻に放送さ れている。しかしながら、それぞれの利用(視聴)時間には大きな差があり、携帯ワンセ グ放送の視聴時間は、据え置き型テレビのそれに比べ、平日では約20分の1、休日では約 25分の1以下であった。視聴番組では、どちらの放送も、報道番組がよく視聴されるもの の、携帯ワンセグ放送では、スポーツに関する番組は視聴される傾向にあり、若干の違い が見られる。これは、携帯ワンセグ放送の利用者が「男性」や「若者層」が多くなってお り、これらの基本属性を反映しているようである。  また、それぞれのメディアに対する評価は、相対的評価では携帯ワンセグ放送はおおむ

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ねどの評価も一様であったが、据え置き型テレビは評価項目により高低に差が見られた。 評価項目で見ると、携帯ワンセグ放送、据え置き型テレビのいずれも「社会の出来事を知 るための情報源」「社会に対する影響力(がある)」では高い評価がされている一方で、「学 習に便利」「仲間意識や帰属意識を感じる」では評価に差があり、同一内容が放送されてい るサイマル放送であっても視聴するメディアにより評価が異なっている。  因子分析結果では、携帯ワンセグ放送と据え置き型テレビでほぼ共通な因子と異なる因 子が確認された。携帯ワンセグ放送と据え置き型テレビのいずれでも「日常生活で必要な 情報」や「取得情報の評価」、「娯楽的情報」といった因子で共通性が認められた。その一 方で「社会生活で必要な情報」や「流行」といった因子は、据え置き型テレビのみで認め られた因子であり、相対的評価と同様に、サイマル放送であっても視聴するメディアによ り印象に違いが見られる。 4.携帯ワンセグ放送による地上波テレビ放送の代替・補完の可能性 4.1携帯ワンセグ放送の代替・補完の可能性  人びとが社会生活を営む上で、テレビから取得される情報は非常に重要なものである。 これまでテレビ放送は、受像器が設置してある場所でのみ視聴が可能であった。技術革新 によって誕生したワンセグテレビ放送は、例えば通話機能しかもたない携帯電話に通信機 能、インターネット接続機能が付加されたことによりテキスト情報の携帯性という新たな 特性がもたらされたように、携帯ワンセグ放送は、テレビを携帯することが可能になり、 地理的制約を受けていた映像や音声情報の携帯性をもたらすことになった。  新たに携帯性が付加されたことは、空間的制約が解消されたことを意味しており、この 点においては携帯ワンセグ放送が、据え置き型テレビの代替・補完をしていると言えるで あろう。しかし、携帯ワンセグ放送は、視聴時間で見ると、据え置き型テレビのそれに比 べ非常に短く、1日の利用者平均の視聴時間は、平日・休日とも10分に満たない程度であ り、代替・補完があるとは言えない。ただ、平均視聴時間が短いからといって、携帯ワン セグ放送が据え置き型テレビ補完をしていないとは言えないだろう。  視聴番組では、報道番組がいずれの放送もよく視聴される傾向にあり、据え置き型テレ ビが視聴できない場所で、その代替・補完になっている可能性はあると言える。  また、メディア評価でも、携帯ワンセグ放送では「日常生活を営む上で必要な情報」と いう因子が確認できた。これは、据え置き型テレビでの「日常生活での情報源」や「社会 生活で必要な情報」に類似する評価であると言えよう。  このことから、携帯ワンセグ放送は、①空間的制約を解消した点で、地上波デジタル放 送の代替・補完をする可能性がある、②視聴時間では、極端に短いために代替・補完をし ているとは言い難い、③視聴番組では、一部の番組でいずれの放送でも視聴されており代 替・補完の可能性がある、④メディア評価の点では、類似評価があり代替・補完の可能性 があると言えるだろう。

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白山社会学研究 第17号 2010 4.2 今後の課題  本論は、携帯ワンセグ放送による地上波テレビ放送の代替・補完の可能性について新潟 県長岡市で実施した調査結果をもとに論じた。既述したように、携帯ワンセグ放送はメデ ィア評価やメディアに対する印象という面から考察すると、同一評価や印象があり地上波 テレビ放送を代替・補完する可能性がある。  しかしながら、実際に携帯ワンセグ放送を視聴している人びとは、地上波テレビ放送の ように多数になっているわけではない。さらなる視聴者の増加が予想され、これによるメ ディア評価や印象は、本論で論じたものと異なってくるであろう。また、本調査地である 長岡市は山間部を多く抱えているため、都市部のような良好な電波状況で視聴可能である とは言い難い。さらに、テレビ各局は、携帯ワンセグ放送独自の番組を制作する動きが見 られ、今後携帯ワンセグ放送は、その視聴者だけでなく、メディア自体も大きく変容して いくと考えられる。  これらのことから今後は、視聴者の増加、都市部での視聴状況、メディア環境の変化を 考慮に入れながら考察していく必要がある。 1) @「GyaO」は、サービス開始当初は有線放送のUSENによる動画配信サービスであったが、 USEN  の経営不振により、2008年10月にUSENから独立し株式会社GyaOとしてYahoo!Japanの傘下に  入りサービスを継続している。放送形態は、多くがテレビ局が制作したテレビ番組のVOD方式に   よる二次利用である、、 2)YouTubeは、利用者による自作の動画を共有する目的の動画共有サイトである。しかし、実際の利  用の多くは、テレビ番組や音楽クリップなど著作権に違反したものが多い。このため、日本の著作  権管理団体である日本音楽著作権協会(JASRAC)を正式な著作権管理者と認め、著作権に違反す   る映像がサイト内で発見された場合、申告に基づいて随時削除している。 3)この拡張は、単に端末の多機能化だけでなく、通信回線のデジタル化も大きな影響を及ぼしているこ   とに留意する必要がある。 4)ワンセグ放送は、移動端末向けのサービスであるため、携帯電話以外でも、例えば携帯ゲーム機や自  動車のナビゲーション・システムなどでも視聴可能である。なお、本論では、特段のことわりがな  い限り、携帯電話による視聴を「携帯ワンセグ視聴」としている。 5)社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)による移動電話国内出荷台数実績を参考にした。  http:〃www.jeita.or.jp/japanese/stat/cellular/2009/index.htm(2010年2月参照)  また、2009年12月末現在の累計出荷台数は、7,432万台に達している。  http:〃www.jeita.or.jp/japanese/stat/cellular/2009!12.html(2010年2月参照) 6)この番組は、試験的な番組であり継続的に放送しているわけではない。 7)調査名:「コミュニケーション・メディアの利用に関するアンケート調査」  標本抽出:新潟県長岡市の住民基本台帳を基にして、同市に居住する15歳∼64歳の男女600人を       確率比例2段階法を用いて抽出。  調査方法:郵送調査法。 調査時期:平成21年1月8日∼平成21年2月10日。 有効回収票数:211票(35.1%)。 なお、本調査は、2008年度東洋大学井上円了研究助成金(研究代表者:川上孝之、研究題目 ユニケーション・メディアの棲み分けに関する実証研究」)の助成を受けて行った。 「コミ 回答者全体の属性は、以下の通りである。 1,性別  男性:39,3%、女性:57.9%、不明:2.8%。 2,年齢  15∼19歳:6.2%、 20∼24歳:5.2%、 30∼34歳:7.6%、 35∼39歳:8.5%、40∼44歳:11.4%、 45∼49歳:7、1%、50∼54歳、14,2%、55∼59歳:18.5%、60∼64歳:13.3%、不明’2.8%。 3,未既婚 未婚12L8%、既婚:72ユ%、既婚(離死別)3.3%、不明12.8%。

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4,家族構成  1人暮らし:3.3%、夫婦:IL8°/o、夫婦と未婚の子供:322%、2世代家族:26.1%、3世代家族:  17.1%、その他:3.8%、不明:5.7%。 5,職業  専門的・技術的職業1147%、管理的職業:5.2%、事務的職業:14.2%、自営商工業者:1.9%、 産業労働者:13.7%、商業労働者:7.1%、農林・牧畜業ll.9%、主婦(専業)12.8%、主婦(パ ート・アルバイト)14.2%、学生:7.1%、無職:1.9%、その他:1.4%、不明13.8%。 6,学歴  中学校:10.9%、高校146.9%、短大・高専・各種学校・専門学校:22.7%、大学・大学院;16.1%、 不明:3ユ%。 7.年収 100万円未満115,2%、100万円以上200万円未満117.5%、200万円以上300万円未満:14、7%、 300万円以上400万円未満:14.2%、400万円以上500万円未満:8.5%、500万円以上600万円未 満:4.3%、600万円以上700万円未満;2.4%、700万円以上800万円未満:33%、800万円以上 900万円未満:3.3%、900万円以上1,000万円未満:1.4%、1,000万円以上1,500万円未満:0.9%、 収入なし:10.4%、不明13.8%。 【参考・引用文献】 朝日新聞社総合研究本部ニュ・一一メディア取材班(2006)「ワンセグサービス開始」『朝日総研リポート』  No.192, pp.29・41。 荒牧央,平田明裕,石橋亜理(2007)「人々の情報観とメディアへの評価」『放送研究と調査』57(8),  pp.14・23。 音好彦(2007)『放送メディアの現代的展開』ニューメディア 木村幹夫(2008)「デジタル&ネット時代の地上波テレビ局の経営と広告費」『ジャーナリズム』No.222,  pp.10”21。 鈴木裕司(2009)「“通信放送融合”の現在・過去・未来」『NHK放送文化研究所年報2009』No.53, pp.7・46。 高橋孝輝(2006)「今さら聞けないワンセグ」『放送文化』(10),pp.6・10。 長岡市(2009)『長岡市勢要覧』。 日本民間放送連盟編(2009)『日本民間放送年鑑2009』 日本民間放送連盟編(2008)「特集・ワンセグの独立利用」『月刊民放』38(9),pp.12・21。 マクウェール,D.,竹内郁郎ほか訳(1983=1985)『マス・コミ・・ニケーションの理論』。 【参考ウェブサイト】 日本放送協会:http:〃www.nhk.or.jp/1seg・start/onesegノ(2010年2月)

参照

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