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ウクライナ国際私法の法典化について 利用統計を見る

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(1)

ウクライナ国際私法の法典化について

著者名(日)

笠原 俊宏

雑誌名

東洋法学

55

3

ページ

131-172

発行年

2012-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000853/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

(2)

  目次 一   前書き 二   立法化の経緯   ( 1 )一九九〇年代初期における法典化作業   ( 2 )独立国家共同体のモデル法   ( 3 )一九九〇年代後半における法典化作業   ( 4 )二〇〇〇年代における議会草案 三   法典の全体的特徴 四   総則規定の内容 五   各論規定の内容   ( 1 )自然人及び法人   ( 2 )法律行為   ( 3 )契約   ( 4 )契約外債権   ( 5 )物権   ( 6 )知的財産権   ( 7 )相続   ( 8 )家族 六   国際民事手続規定の内容 七   後書き (参考資料)ウクライナ国際私法 《 研究ノート 》

ウクライナ国際私法の法典化について

 

  

 

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前書き

  旧 ソ ビ エ ト 連 邦 の 崩 壊 後、 そ れ を 構 成 し て い た 多 く の 共 和 国 が 辿 っ た 道 は、 大 き く 二 つ に 分 か れ て い る。 一 つ は、ロシア連邦を中心とした独立国家共同体の構成国として、政治的、経済的に新たに同盟を組むとともに、法制 度 の 整 備 に お い て も、 歩 調 を 合 わ せ よ う と す る 諸 国 と、 も う 一 つ は、 そ れ か ら の 完 全 な 訣 別 を 果 た し た 諸 国 で あ る。ウクライナの場合には、前者と見られがちであるが、国際私法から見る限り、ロシア民法典第三部中の国際私 法規定ないし独立国家共同体モデル法とも、又、後者に属するエストニア国際私法などとも異なる独自の内容を有 す る も の と な っ て い る (例 え ば、 拙 稿「ロ シ ア 連 邦 民 法 典 第 三 部 中 の 国 際 私 法 規 定 に つ い て」 東 洋 法 学 四 六 巻 一 号 六 九 頁 以 下、 拙 稿「外 国 国 際 私 法 立 法 に 関 す る 研 究 ノ ー ト( 6 )―― エ ス ト ニ ア の 国 際 私 法 規 定(一 九 九 四 年) ――」 大 阪 国 際 大 学 国際研究論叢一一巻四号八七頁以下等参照) 。   二 〇 〇 五 年 六 月 三 日、 単 独 立 法 の 形 式 の 下 に お け る ウ ク ラ イ ナ の 新 し い 国 際 私 法「国 際 私 法 に 関 す る 法 律 第 二 七 〇 九 -Ⅳ 号」 が 採 択 さ れ、 そ し て、 同 年 九 月 一 日 か ら 施 行 さ れ て い る (以 下、 「新 法」 と す る) 。 尚、 そ の 後、 二〇一〇年一月二一日法律第一八三七 -Ⅵ号及び二〇一一年五月一九日法律第三三九〇 -Ⅵ号によって改正されて いる。従前、ウクライナ国際私法の主要な法源を構成していたのは、旧ソビエト連邦構成諸国と同様、民法典、民 事 訴 訟 法 典、 及 び、 家 族 法 典 中 の 国 際 私 法 規 定 で あ っ た ( Anatoliy Dovgert, Codification of private international law in Ukraine, Yearbook of private international law 2005, p.131 et seq. ) 。この小稿においては、新法に導入された新しい 規 則 を 中 心 と し て 紹 介 す る こ と と し た い。 そ れ に 先 立 ち、 現 行 法 の 成 立 に 至 る ま で の 立 法 化 作 業 の 経 緯 に つ い て も、若干、言及しておきたい。

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立法化の経緯

  ( 1 )一九九〇年代初期における法典化作業   ウ ク ラ イ ナ に お け る 国 際 私 法 の 法 典 化 作 業 は、 ゴ ル バ チ ョ フ ( Gorbachev ) の ペ レ ス ト ロ イ カ ( perestroika ) の 時 期 (一 九 八 六 年 な い し 一 九 九 一 年) に 遡 る も の で あ り、 そ こ か ら 継 続 し て 行 な わ れ て き た。 そ の 時 期 に お い て、 国 際 私法規定の体系化をも伴った新しい民法の制定の構想が生まれた。一九九一年、先に採択されていた一九六三年の 「ソ ビ エ ト 連 邦 共 和 国 民 事 立 法 の 基 礎」 よ り も 入 念 に 練 ら れ た 国 際 私 法 規 定 を 含 む「民 事 立 法 の 基 礎」 (以 下、 一九九一年「基礎」とする) が採択された。尚、一九八〇年代後半には、独立立法として国際私法を制定することを 巡って議論が重ねられ、そして、一九九一年には、国際私法草案も起草されており、それが一九九一年「基礎」へ 統合されている (

Dovgert, op. cit., p.132.

) 。   ( 2 )独立国家共同体のモデル法   その後、一九九五年七月、独立国家共同体加盟諸国の専門家がオランダに参集して、モデル民法典 (以下、 「モデ ル 法」 と す る) に 関 す る 共 同 作 業 を 推 進 し た。 こ の 期 間 に 起 草 さ れ た の は、 相 続 法、 知 的 財 産 権 法、 及 び、 国 際 私 法 に 関 す る 部 分 で あ る。 国 際 私 法 の 部 分 の 起 草 の た め、 キ エ フ 国 立 大 学 国 際 関 係 研 究 所 ア ナ ト リ イ・ ド フ ゲ ル ト ( Anatoliy Dovgert ) 教 授 を 委 員 長 と す る 委 員 会 が 組 織 さ れ、 ウ ク ラ イ ナ、 グ ル ジ ア、 カ ザ フ ス タ ン、 キ ル ギ ス タ ン、モルドヴァ、ベラルーシ、ロシア、ウズベキスタンからの専門家が参加し、ウクライナ、グルジア、カザフス タ ン、 ベ ラ ル ー シ、 ロ シ ア が そ れ ぞ れ 持 ち 寄 っ た 草 案 が 検 討 さ れ、 そ し て、 そ れ ら の 草 案 が 統 合 さ れ た ( Dovgert, op. cit., p.132. ) 。

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  ( 3 )一九九〇年代後半における法典化作業   一九九六年一月から三月の間、作業班は民法典草案に関する作業を継続したが、その時、別の作業班によって起 草された家族法典を民法典に含めることが決定され、一九九六年三月二〇日、新しい民法典草案が完成された。国 際私法に関するその第八部には、モデル法、家族法及び労働法に関する抵触規則、更に、国際手続法に関する諸規 定が含まれていた。しかし、一九九六年夏、右民法典草案中の国際私法に関する部分は、ウクライナの新憲法規定 に 従 い、 か な り 修 正 さ れ て い る。 民 法 典 草 案 第 八 部 の 国 際 的 評 価 事 業 が、 国 際 的 立 法 共 助 の た め の ド イ ツ 基 金 に よって組織され、ハンス・デェレ ( Hans Dölle ) 教授によって実施された (

Dovgert, op. cit., p.141.

) 。   ( 4 )二〇〇〇年代における議会草案   二 〇 〇 〇 年 に お け る 第 三 回 読 会 の た め に 準 備 さ れ た 民 法 典 草 案 は、 国 会 に お け る 審 議 を 通 過 す る こ と が で き な かったため、二〇〇一年、臨時委員会は、家族法の部分を削除する等、第二回読会の内容と比べて大幅に草案を修 正 し た ( Dovgert, op. cit., p.143. ) 。 そ し て、 家 族 法 部 分 の 削 除 は、 民 法 典 草 案 の 構 造 に 影 響 を 与 え た ば か り で は な く、家族関係の抵触規則の章を含む国際私法に関する第八部にも影響することとなった。そのため、民法典中に完 結 し た 国 際 私 法 規 定 を 置 く と い う 当 初 の 構 想 は 放 棄 す る こ と を 余 儀 な く さ れ る 情 況 と な っ た。 そ の よ う な 事 情 か ら、国際私法に関する部分の全体が民法典草案から削除されることとなった。かくして、二〇〇一年末、民法典最 終草案は六部をもって構成される内容のものとして採択され、二〇〇三年一月一六日には、その最終草案が成立し て、二〇〇四年一月一日から施行されるに至っている (

Dovgert, op. cit., p.143.

 

その後、二〇〇二年一〇月、国会に国際私法関連草案が提出されたが、二〇〇三年一一月一八日の第一回読会を

(6)

定によって構成されているものであり、結局、一九九七年から二〇〇〇年に架けて加えられた改良は、徒労に帰す 結 果 と な っ た ( Dovgert, op. cit., p.143. ) 。 国 際 私 法 草 案 は、 二 年 半 以 上 に 亘 っ て 国 会 の 法 政 策 委 員 会 の 手 許 に 置 か れ たが、十分に検討されることもなく、第二回読会を経たのみで採択されている。従って、最終草案は、国会に公開 さ れ る こ と も な く、 前 述 の よ う に、 二 〇 〇 五 年 六 月 二 三 日、 「国 際 私 法 に 関 す る 法 律」 と し て 成 立 し た が、 当 然 の こ と な が ら、 多 く の 間 違 い、 法 文 上 の 不 正 確、 規 則 と し て の 後 退 が 目 立 つ 内 容 の も の で あ る と 酷 評 さ れ て い る (

Dovgert, op. cit., p.144.

) 。

 

法典の全体的特徴

  新法は、一四箇章に分けられた八二箇条及び最終規定をもって構成されている。第一章の総則規定に続いて、第 二章ないし第一〇章が各個法律関係に関する抵触規定であり、それに続いて、第一一章から第一三章が国際民事手 続に関する諸規定である。   新法は、明らかに、その大部分が二〇〇三年の民法典中の実質規定に対応するものであり、又、その一方、多く の諸国立法例に倣っている。更に、その構造は、ウクライナ及び諸国の学説が支持する国際私法理論を踏襲するも のであるが、その内容は、一九九〇年代当時に、ウクライナ国際私法規則の立法化に際して普及していたものであ る。そのため、新法には、二〇世紀後半における国際私法の理論及び実践の発展の成果を取り入れることを可能と している (

Dovgert, op. cit., p.144.

) 。   しかし、その一方、幾つかの不正確な点が散見されるのも、新法の特徴の一つとなっている。例えば、新法第六 章 は、 「債 務 法 に 関 す る 抵 触 法 規 則」 と 題 さ れ て い る が、 そ れ が 含 ん で い る 規 定 は 契 約 に 関 す る も の の み に 限 ら れ

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ている。又、知的財産権法に関する章は、民法典の構造からは、物権の後に続くべきところ、新法の指針に従い、 相 続 法 の 後 に 置 か れ て い る。 こ れ ら 各 章 の 構 成 自 体 も ま た、 新 法 に 対 す る 批 判 の 原 因 と さ れ て い る ( Dovgert, op. cit., p.144. ) 。

 

総則規定の内容

  新 法 の 導 入 規 定 と し て の 役 割 を 担 っ て い る 第 一 条 に お け る 用 語 の 定 義 は、 総 則 規 定 に お け る 特 徴 で あ る と と も に、新法全体の特徴を表象するものでもある。同条は、その目的のため、次のような用語について、特別な定義を 定めている。すなわち、⑴私法関係、⑵渉外的要素、⑶抵触法規、⑷法選択、⑸意思自治、⑹法的性質決定、⑺狭 義の反致、⑻第三国法への反致、⑼法律回避、⑽外国裁判所の裁判の承認、⑾ウクライナの国際条約がそれらであ る。このような用語の定義との関わりにおいて、新法の基本原則として指摘されているのは、次に掲げる五つの点 である。すなわち、第一に、準拠法所属国は、国際民事関係において決定されなければならない。第二に、民事関 係は、それが外国人と内国人、又は、外国人間におけるときは、渉外的要素を含むものと性質決定される。民事関 係は、それが他の渉外的要素、特に、その対象が外国に所在するか、又は、法律行為が外国において行なわれると き、 国 際 的 分 類 に 入 る。 民 事 関 係 は、 同 時 に、 幾 つ か の 渉 外 的 要 素 を を 有 す る こ と が で き る。 第 三 に、 民 事 関 係 が、 渉 外 的 要 素 を 含 み、 国 際 的 に 単 一 化 さ れ た 実 質 法 規 則 が な い と き は、 「抵 触 法」 と 呼 ば れ る 方 法 に よ っ て 支 配 さ れ る。 第 四 に、 抵 触 法 は、 抵 触 法 規 則 及 び 他 の 諸 規 定 (原 則、 法 的 性 質 決 定、 公 序 等) の 整 列 で あ る。 そ し て、 第 五に、国際私法の法源は、ウクライナ法、国際的合意、及び、慣習である。更に、一般法律原則、最密接関連性の 原則、当事者による準拠法の合意、自然法の原則等も含まれる。これらの法源は、客観的抵触規則、すなわち、法

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選択、又は、法選択規則がないときの特別な関係の準拠法の決定のそれである。これらの抵触法上の基本原則が法

律に含まれるのは、ウクライナ国内立法上において初めてのことである

Dovgert, op. cit., p.145.

) 。   それらの中、特に、当事者自治については、更に言及しておく必要があるであろう。ウクライナの法典化におい て、モデル法よりも、より完全な当事者自治が導入されている。先ず、その適用範囲が広汎である。一般契約につ いてのみならず、物権の保護(新法第四二条) 、消費者契約(新法第四五条) 、不法行為(新法第四九条及び第五〇 条) 、不当利得(新法第五二条) 、多くの家族法分野、そして、遺言(新法第七〇条)に至っている。新法第五条の 解釈において、制限が加えられていない限り、当事者はいずれの法も選択することが許されており、新法には規定 は置かれていないが、最密接関連法でない国の法を選択することもできると定める規定がかつての草案中には置か れていた (

Dovgert, op. cit., p.145 et seq.

) 。   国際的民事関係の何れかの国との最も密接な関連性は、客観的抵触法の構造において、基本的原則として認めら れ て い る。 新 法 第 四 条 第 二 項 は、 客 観 的 連 結 が 不 可 能 で あ る 場 合 に は、 最 密 接 関 連 性 を も っ て、 そ れ を 補 っ て い る。密接関連性の原則は、時として、保護主義政策、国際的民事関係の特定の内外国法への従属を拒絶している と 言 う こ と も で き る が、 そ れ が 現 代 国 際 私 法 に お け る 柔 軟 な 規 則 と し て の 役 割 を 担 っ て い る こ と は 否 定 で き な い (

Dovgert, op. cit., p.147 et seq.

) 。   又、新法のかなりの部分が、ウクライナにおける完全かつ緻密な外国法の適用を目指している。例えば、新法第 六条は、適用される外国法の範囲を拡大し、公法であることを理由としてその適用を斥けることをせず、又、新法 第九条は、外国法の指定を実質法に対するものとしながら、身分関係については狭義の反致を認めている。外国法 の規定の内容の確定について、かなり詳細な新法第八条の規定が置かれている (

Dovgert, op. cit., p.148 et seq.

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更に、新法第一四条は、いわゆる強行規定の適用を要求している。この規則は、ある程度、外国法の適用を狭め

るものである。しかし、同条は、それとともに、本来の準拠法よりも密接関連性を有する外国法上の強行規定の適

用についても定めており、しかも、それを適用する際の判断基準にも言及している

Dovgert, op. cit., p.149.

) 。

 

各論規定の内容

  ( 1 )自然人及び法人   ウクライナ国際私法における改革は、自然人及び法人に関する抵触規則から始まる。すなわち、自然人の属人法 と い う 概 念 が 採 用 さ れ る に 至 っ た と い う こ と で あ る (新 法 第 一 六 条) 。 一 般 的 な 規 則 に 依 れ ば、 自 然 人 の 能 力 は、 伝 統的にその本国法に依って決定される。人が複数の市民権を有するときは、その者の属人法は、その者が最も密接 な関係を有する国の法であり、いかなる市民権も有しないときは、その者の「住居地」 ( place of residence ) がある 国 の 法 が 考 慮 さ れ る こ と と な る。 又、 「住 居 地」 が 全 く な い と き は、 そ の 者 が 滞 在 す る 地 の 法 が そ れ と な る。 こ の ような基準は、避難民の属人法の考慮においても適用されている。一九九六年の民法典草案中においては、国際的 に採用されている「常居所」 ( habitual residence ) が使用されていた。これらの用語について、新法第一条において その定義が行なわれ て い る の は 、 国 際 私 法 上 の 概 念 と 実 質 法 上 の そ れ と が 異 な る も の で あ る た め で あ る ( D ov ge rt, op . cit ., p .14 9 e t s eq . )   ( 2 )法律行為   まず、法律行為の方式について、新法は、広い範囲の法からの択一的連結の立場を採用している。それについて は、法律に依る別段の規定がない限り、法律行為の実質的成立要件の準拠法、行為地法、当事者の少なくとも一方

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の 住 所 地 法 上 の 要 件 を 充 足 す る こ と を も っ て 足 り る (新 法 第 三 一 条) 。 し か し、 ウ ク ラ イ ナ の 市 民 及 び 法 人 が 当 事 者 となる国際契約についての法律行為に関しては、厳格な要件が要求されている。不動産を対象とする法律行為につ いても、その所在地法に限られており、又、ウクライナにおいて登録されている動産については、ウクライナ法が 適用される (

Dovgert, op. cit., p.152.

) 。   ( 3 )契約   契約について基準とされているのは当事者意思であり、そして、意思自治の原則である。抵触法の基本原則とし て、意思自治及び最密接関連性は、法律行為の内容、すなわち、当事者の権利及び義務 (新法第三二条、第四三条、 第 四 四 条) に お い て 繰 り 返 さ れ て お り、 又、 法 律 行 為 の 有 効 性 (新 法 第 三 三 条) 及 び 出 訴 期 限 (新 法 第 三 五 条) に つ い て も 同 様 で あ る。 か く し て、 当 事 者 に よ る 準 拠 法 の 選 択 が な い と き は、 決 定 的 意 義 を 有 す る 履 行 (特 徴 的 給 付) を行なう一方当事者の住居地又は本拠地が所在する国の法が準拠法とされる。その他、契約の準拠法の事項的適用 範 囲 に は、 契 約 の 有 効 性、 契 約 の 解 釈、 当 事 者 の 権 利 及 び 義 務、 契 約 の 履 行、 契 約 の 不 履 行 又 は 不 完 全 履 行 の 効 果、 契 約 の 終 了、 契 約 の 無 効 の 効 果、 契 約 に 従 う 請 求 権 の 譲 渡 及 び 債 務 の 移 転 が 含 ま れ る (新 法 第 四 七 条) 。 尚、 出 訴期限については、民法総則上の制度であり、民事法関係の全体に及ぶものであると指摘されている ( Dovgert, op. cit., p.152. ) 。 消 費 者 契 約 に つ い て は、 特 別 規 定 (新 法 第 四 五 条) が 置 か れ、 又、 労 働 契 約 に つ い て は、 特 別 に 一 箇 章 (新法第五二条ないし第五四条) が設けられて、消費者及び労働者の保護が顧慮されている。   ( 4 )契約外債権   新 法 は、 幾 つ か の 契 約 外 債 務 に つ い て 規 定 し て い る。 無 権 代 理 の よ う な 一 方 的 行 為 か ら 派 生 す る 債 務 に つ い て は、 か よ う な 行 為 が 行 な わ れ た 地 の 法 に 依 る (新 法 第 四 八 条) 。 そ れ に 対 し て、 不 法 行 為 に 基 づ く 権 利 及 び 義 務 は、

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損害賠償の請求の原因となる行為又は情況が発生した地の法に従って決定される。しかし、当事者は、債務の発生 後、いつでも、法廷地法を選択することができる。当事者が同一の住居地又は本拠地を有するときは、不法行為か ら 生 じ る 権 利 及 び 義 務 は、 そ れ ら の 地 の 法 に よ っ て 決 定 さ れ る (新 法 第 四 九 条) 。 又、 不 法 行 為 の 当 事 者 は、 債 務 が 発 生 し た 後、 い つ で も、 法 廷 地 法 を 選 択 す る こ と が で き る (新 法 第 四 九 条 第 四 項) 。 そ れ に 対 し て、 商 品、 作 業 又 は サービスの欠陥の結果としての加害の賠償請求権については、消費者がその住居地又は営業地を有する国の法、商 品生産者又はサービス提供者がその住居地又は本拠地を有する国の法、消費者が商品を取得したか、又は、サービ ス を 給 付 さ れ た 国 の 法 が 適 用 さ れ る (新 法 第 五 〇 条) 。 こ れ ら の 規 則 は、 い ず れ も 被 害 者 保 護 の 観 点 に 立 つ も の で あ る (

Dovgert, op. cit., p.154 et seq.

) 。   ( 5 )物権   原則として、不動産及び動産の所有権及び他の物権は、法律によって別段に規定されていない限り、その財産が 所在する国の法によって決定され、又、財産が不動産か動産かの認定、及び、財産の他の分類も、その財産が所在 す る 国 の 法 に よ っ て 決 定 さ れ る (新 法 第 三 八 条) 。 所 有 権 及 び 他 の 物 権 の 発 生 及 び 終 了 に つ い て も、 基 本 的 に、 そ れ ぞれの財産が、所有権及び他の物権の発生又は終了の原因となった行動又は他の情況が生起した当時所在していた 国の法によって決定され、また、法律行為の対象である所有権及び他の物権の発生及び終了の前の準拠法は、当事 者の合意によって別段に定められていない限り、同一の規則によって決定され、更に、取得時効の結果としての所 有権の発生は、財産が取得時効の期間満了の当時所在した国の法によって決定される (

Dovgert, op. cit., p.154.

) 。   輸送手段に対する物権は、国家登録簿に含まれるものとして、その財産が登録されている国の法によって決定さ れ る (新 法 第 四 〇 条) 。 運 送 中 の 動 産 に 対 す る 所 有 権 及 び 他 の 物 権 は、 当 事 者 の 合 意 に よ っ て 別 段 に 定 め ら れ て い な

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い限り、その物の発送地法 (荷送地法) に依って決定される (新法第四一条) 。   当事者自治の導入は、運送中の物に対する物権についてのみならず、第三者の権利を侵害しない範囲において、 法 律 行 為 の 対 象 で あ る 所 有 権 及 び 他 の 物 権 の 発 生 及 び 終 了 に つ い て も 認 め ら れ る (新 法 第 三 九 条 第 二 項) 。 ま た、 所 有権及び他の物権の保護についても、申立人が財産所在地法又は裁判所所在法のいずれかを選択することが認めら れている (新法第四二条第一項) 。   ( 6 )知的財産権   知 的 所 有 権 法 の 分 野 に お い て は、 ス イ ス 国 際 私 法 に 倣 い、 二 つ の 規 則 が 規 定 さ れ て い る ( Dovgert, op. cit., p.155 et seq. ) 。 そ の 一 つ は、 原 則 と し て 確 立 し て い る 保 護 国 法、 す な わ ち、 知 的 所 有 権 の 保 護 が 要 求 さ れ て い る 国 の 法 に 依 る と す る 立 場 で あ る (新 法 第 三 七 条) 。 い ま 一 つ の 規 則 は、 知 的 財 産 権 を 対 象 と す る 法 律 行 為 に つ い て、 当 該 法 律 行 為 の 準 拠 法、 す な わ ち、 契 約 債 務 の 準 拠 法 選 定 規 則 に 従 っ て 決 定 さ れ る 法 が 適 用 さ れ る (新 法 第 三 六 条) 。 知 的 財産権の保護の範囲における法律関係へは、かような権利の保護が要求される国の法が適用される。   ( 7 )相続   渉外相続関係については、制限的当事者自治が導入されている。すなわち、本則として、被相続人が遺言をもっ て そ の 本 国 法 を 選 択 し な い 限 り、 そ の 最 後 の 住 居 地 法 に 依 る (新 法 第 七 〇 条 第 一 文) 。 但 し、 被 相 続 人 に よ る 法 選 択 は、その者が遺言作成後にその国籍を変更したときは無効となる (同条第二文) 。但し、不動産の相続については、 不動産所在地法に依るとして、準拠法の実効性が顧慮されている (

Dovgert, op. cit., p.156.

 

遺言能力、及び、遺言の方式については、遺言者の遺言作成当時又は死亡当時の恒常的な住居地法に依るが、遺

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常 居 所 地 法 の い ず れ か の 要 件 を 充 足 す る と き、 方 式 の 面 か ら 無 効 と し て は な ら な い と 定 め ら れ て い る (新 法 第 七 二 条) 。遺言保護のための選択的連結の規則であり、 「遺言の方式の準拠法に関するハーグ条約」の影響が見られる。   ( 8 )家族   先ず、婚姻の成立については、当事者の属人法が配分的に適用される。但し、婚姻がウクライナにおいて締結さ れ る と き は、 ウ ク ラ イ ナ 家 族 法 典 上 の 婚 姻 障 碍 の 事 由 が 適 用 さ れ る (新 法 第 五 五 条) 。 婚 姻 の 方 式 に つ い て は、 ウ ク ラ イ ナ 法、 す な わ ち、 婚 姻 挙 行 地 法 主 義 が 採 ら れ て い る (新 法 第 五 六 条 参 照) 。 ウ ク ラ イ ナ 人 間 の 婚 姻 に つ い て は、 そ の 一 方 が ウ ク ラ イ ナ の 領 域 外 に 居 住 す る こ と を 条 件 と し て、 在 外 公 館 に お け る 婚 姻 締 結 (い わ ゆ る 外 交 婚) が 認 め ら れ る (新 法 第 五 七 条 第 一 項) 。 ウ ク ラ イ ナ に お け る 外 交 婚 の 可 否 に つ い て は、 派 遣 国 法、 す な わ ち、 婚 姻 当 事 者 の本国法によって規律される (同条第二項) 。   外国法に依って有効に締結された婚姻については、それがウクライナ人を当事者としない場合、原則として、有 効 な も の と し て 承 認 さ れ る が (新 法 第 五 八 条 第 二 項 参 照) 、 ウ ク ラ イ ナ 人 が 当 事 者 で あ る 場 合 に は、 ウ ク ラ イ ナ 家 族 法 典 上 の 要 件 の 遵 守 が 条 件 と さ れ る (同 条 第 一 項 参 照) 。 因 み に、 ウ ク ラ イ ナ 又 は そ の 領 域 外 に お い て 締 結 さ れ た 婚 姻 の 無 効 の 承 認 に つ い て は、 新 法 第 五 五 条 及 び 第 五 七 条 に 従 っ て 適 用 さ れ た 法 に 依 る (新 法 第 六 四 条) 。 婚 姻 契 約 に ついて、制限的当事者自治が認められているが、選択の範囲については、夫婦財産制に関する新法第六一条第一項 に 従 う こ と に な る (新 法 第 五 九 条) 。 す な わ ち、 夫 婦 の 一 方 の 属 人 法、 又 は、 そ の 一 方 の 常 居 所 地 法、 更 に、 不 動 産 に関しては、その所在地法からの選択である (新法第六一条第一項参照) 。   婚姻の身分的関係については、夫婦の共通属人法、それがないときは、夫婦の一方がなおも最後の共同住居地に 住居地を有することを条件として、その最後の共同住居地法、更に、それもないときは、夫婦の最密接関連法に依

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る と す る 段 階 的 連 結 の 規 則 が 採 用 さ れ て い る (新 法 第 六 〇 条 第 一 項 参 照) 。 共 通 属 人 法 を 有 し な い 夫 婦 が 共 同 住 居 地 を有しないか、又は、そのいずれの属人法もその共同住居地国法と一致しないときは、夫婦は準拠法を選択するこ と が で き る (同 条 第 二 項 参 照) 。 そ の 選 択 の 範 囲 は、 夫 婦 の 何 れ か 一 方 の 属 人 法 で あ る (同 条 第 三 項 第 一 文 参 照) 。 し かし、その後、夫婦の属人法が共通になったときは、共通属人法でない法が基準とされていた場合には、それは終 了 す る も の と さ れ る (同 条 第 三 項 第 二 文 参 照) 。 何 れ に せ よ、 最 密 接 関 連 法 の 探 求 に 拘 る こ と な く、 当 事 者 自 治 が 認 められている点は注目されるべきであろう。   一方、夫婦財産制については、本則として、夫婦は、その一方の属人法、又は、その一方の常居所地法、又、不 動産に関しては、その所在地法からを選択することができることは、婚姻契約との関連において言及したところで ある。準拠法の選択がないときは、婚姻婚姻の身分的効力の準拠法に依ることとなる (同条第三項) 。   婚 姻 の 解 消 及 び そ の 効 力 に つ い て は、 解 消 当 時 の 婚 姻 の 身 分 的 効 力 の 準 拠 法 に よ っ て 決 定 さ れ る (新 法 第 六 三 条) 。 従 っ て、 一 定 の 場 合 に は、 夫 婦 に よ る 準 拠 法 の 選 択 も 認 め ら れ る こ と と な る。 か く し て、 婚 姻 関 係 に つ い て は、その成立の準拠法を除いて、当事者自治が導入されていることとなる。   親子関係に関して言えば、先ず、その実親子関係の確定については、子の出生当時のその属人法に依って決定さ れ (新 法 第 六 五 条) 、 子 の 利 益 保 護 が 顧 慮 さ れ て い る。 養 親 子 関 係 の 成 立 に つ い て は、 子 の 属 人 法 及 び 養 親 の 属 人 法 に依って規律される。すなわち、それらの法の累積的連結の立場がとられている。夫婦による共同養子縁組の場合 に、養親が共通属人法を有しないときは、婚姻の身分的効力の準拠法選定規則が準用される。親子間の法律関係、 すなわち、それらの者の権利及び義務については、子の属人法と各個の関係と最も密接な関係を有する法との中、 子にとってより有利である法に依って規律される。ここにおいては、実質法の次元における利益考慮として、子の

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利益保護が徹底されている。   扶 養 義 務 の 準 拠 法 に つ い て は、 「扶 養 義 務 の 準 拠 法 に 関 す る ハ ー グ 条 約」 に 倣 っ て い る と 見 ら れ る 規 則 が 定 め ら れている。すなわち、扶養権利者の実質的権利の確保を目して、扶養権利者の住居地法、扶養権利者と扶養義務者 と の 共 通 属 人 法、 扶 養 義 務 者 の 住 居 地 法 の 段 階 的 連 結 の 規 則 が 採 用 さ れ て い る (新 法 第 六 七 条) 。 右 条 約 と 異 な る 点 は、最後に、法廷地法に依ることなく、扶養義務者の常居所地法に依るべきものと定めている点である。傍系親族 及び他の家族構成員の扶養に関する請求権について、扶養義務者の住居地法に従い、扶養義務がないときは、履行 されないことができるという立場も、右条約と同様である (新法第六八条参照) 。

 

国際民事手続規定の内容

  前記の通り、新法の第一一章ないし第一三章 (第七三条ないし第八二条) の一〇箇条が国際民事手続に充てられて いる。しかし、これらの諸規定については、国際民事手続のための規則として不完全であるということが指摘され ている。蓋し、ウクライナの現行実定法においては、国際民事手続法は三つの法律に分割して規定されているから で あ る。 そ れ ら は、 本 法 の 他、 二 〇 〇 四 年 の 民 事 訴 訟 法 典、 及 び、 経 済 手 続 法 典 で あ る。 こ れ ら の 法 律 に お い て は、 表現の異なる重複した規定が置かれているため、 それらが抵触することも考えられる (

Dovgert, op. cit., p.158.

) 。   新法における国際民事手続法規定の特徴として、次の三つの点を挙げることができるであろう。先ず、第一に、 国 内 裁 判 所 の 一 般 的 裁 判 管 轄 権 及 び 専 属 的 裁 判 管 轄 権 の た め の 原 因 が 規 定 さ れ て い る こ と で あ る (新 法 第 七 六 条 及 び 第 七 七 条) 。 第 二 に、 外 国 外 交 使 節 に 対 す る 司 法 手 続 の 免 責 に 関 す る か な り 詳 細 な 諸 規 定 が 置 か れ て い る こ と で あ る (新 法 第 七 九 条) 。 そ し て、 第 三 に、 外 国 裁 判 の 承 認 及 び 執 行 に 関 し、 そ の 可 能 性 を 認 め な が ら (新 法 第 八 一

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条) 、 新 法 に お い て 定 め ら れ た 裁 判 の 承 認 及 び 執 行 は ウ ク ラ イ ナ 法 に 依 っ て 定 め ら れ た 手 続 を も っ て 行 な わ れ る と 規 定 す る に 止 ま り、 そ の た め の 明 確 な 判 断 基 準 が 全 く 規 定 さ れ て い な い こ と で あ る (新 法 第 八 二 条) 。 前 述 の よ う に、新法が国際民事手続のための規則として不完全であるという指摘が意味するところは、この点にも存すると見 られる (

Dovgert, op. cit., p.159.

) 。

 

後書き

  新法には、上記のような不十分な点も少なくないが、諸国国際私法の趨勢に従い、現代の国際私法立法へ向けて か な り 前 進 し て い る と も 評 さ れ て い る ( Dovgert, op. cit., p.159. ) 。 総 括 的 に 言 え ば、 例 え ば、 当 事 者 自 治 の 拡 大、 弱 者利益の保護、密接関連性の原則、外国法の適正な適用、広範な国際管轄規定等、現代国際私法における基本を備 えている点は、やはり、看過されてはならないであろう。又、総則規定も各論規定も、広範に亘っており、明文に よる規律が配慮されている。そして、何よりも、法文が比較的に簡明であり、明解な法典の制定が目指されている ことは、本法律の第一条における「用語の定義」の規定からも推知されるところである。   次 に 掲 げ る の は、 二 〇 〇 五 年 六 月 二 三 日 の ウ ク ラ イ ナ の「国 際 私 法 に 関 す る 法 律」 (二 〇 一 〇 年 一 月 二 一 日 改 正、 二 〇 一 一 年 五 月 一 九 日 改 正) の 邦 訳 で あ る。 訳 出 に 際 し て は、 William E. Butler, Civil Code of Ukraine and law of

Ukraine on private international law, 2011, p.353 et seq.

に掲載された英訳に拠った。又、同法律の明確な独訳が、 早くから、 Das Standesamtswegen 2006, S.116ff. に掲載されているが、財産法関連の諸規定が省略されており、法 律の全容を把握し難いため、一貫して右英訳に依拠することとした。

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(参考資料)ウクライナ国際私法

国際私法に関する二〇〇五年六月二三日法律



(第二七〇九― Ⅳ号、ウクライナ共和国官報(二〇〇五年)第三二号第四二二項) 二〇一〇年一月二一日法律第一八三七― Ⅵ号改正     二〇一一年五月一九日法律第三三九〇― Ⅵ号改正     本法は、構成要素の何れかにより、ウクライナ法秩序以外の何れか又は幾つかの法秩序と関連している私法関係の規律の ための手続を定めるものである。 第一章   総則規定 第一条   用語の定義 一   本法の目的のため、用語は、次に掲げる意味において使用される。   ⑴   私法関係――法的平等、意思表明の自由、及び、所有権自治の諸原則に基づく関係で、その主体が自然人及び法人で ある関係   ⑵   渉外的要素――本法によって規律され、かつ、次に掲げる何れか又は幾つかの形式の下に示される私法関係を特徴付 ける指標     法律関係の当事者の一方が、ウクライナの領域外に居住するウクライナ市民、外国人、無国籍者又は外国法人である こと(二〇一〇年一月二一日改正)     法律関係の対象物が、外国の領域上に所在すること

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    法 律 関 係 を 創 設、 変 更 又 は 終 了 さ せ る 法 的 事 実 が、 外 国 の 領 域 上 に お い て 発 生 し た か、 又 は、 発 生 し て い る こ と (二〇一〇年一月二一日改正)   ⑶   抵触法規――何れの国の法律が渉外的要素を有する法律関係へ適用されるかを決定する法規(二〇一〇年一月二一日 改正)   ⑷   法選択――法律関係の当事者の何れの国の法律が渉外的要素を有する法律関係へ適用されるかを決定する権利   ⑸   意思自治――渉外的要素を有する法律関係の当事者が、各個法律関係へ適用される法選択を行なうことができる原則   ⑹   法的性質決定――渉外的要素を有する法律関係へ適用される法の決定   ⑺   狭義の反致――外国法秩序を援用した抵触規定が属する国の法秩序への当該外国法上の抵触規定の第二次送致   ⑻   第三国法への反致――本法に従って決定された外国法上の抵触規定の第三国への送致   ⑼   法律回避――渉外的要素を有する法律関係への各個立法によって定められた法以外の法の適用   ⑽   外国裁判所の裁判の承認――外国裁判所の裁判の法的効力の法定手続におけるウクライナの領域への拡大   ⑾   ウクライナの国際条約――ウクライナ最高裁判所によって拘束力に対する同意が付与されたウクライナの有効な国際 条約 第二条   本法の適用範囲 一   本法は、渉外的要素を有する私法関係の範囲において生ずる次に掲げる諸問題へ適用されるものとする。   ⑴   準拠法の決定   ⑵   外国人、無国籍者及び外国法人の手続法上の能力及び実体法上の能力   ⑶   渉外的要素を有する事件に対するウクライナ裁判所の裁判管轄権   ⑷   司法共助要請の遂行   ⑸   外国裁判所の裁判のウクライナにおける承認及び執行

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第三条   ウクライナの国際条約 一   本法によって定められた以外に、他の規則がウクライナの国際条約によって規定されているときは、その国際条約の規 則が適用されるものとする。 第四条   渉外的要素を有する私法関係へ適用される法の決定 一   渉外的要素を有する私法関係へ適用される法は、本法、他の法律、及び、ウクライナの国際条約の抵触規定及び他の抵 触法上の諸規定に従って決定される。 (二〇一〇年一月二一日改正) 二   本条第一項に従い、適用される法を決定することができないときは、私法関係と最も密接な関係を有する法が適用され るものとする。 三   本条第一項に従って決定された法は、全体的状況の下に、法律関係が決定された法と重要な関係を有せず、かつ、他の 法とより密接な関係を有するとき、例外として適用されないものとする。当事者が本条第一項と関連する法選択を行なっ たとき、本規定は適用されないものとする。 四   裁判所によって適用される法の決定に関する本法の規則は、適用される法の問題を決定する権限を有する他の機関へ拡 大されるものとする。 五   抵触規定に基づく私法関係へ適用される法の決定は、各個関係への実質法規の適用がウクライナの国際条約によって規 定されているときは行なわれないものとする。 第五条   意思自治 一   法律によって規定された事件において、法律関係の当事者は法律関係の内容へ適用される法の選択を自律して行なうこ とができる。 二   法の選択は、法律によって別段に定められていない限り、本条第一項に従って明示されるか、又は、法律行為の当事者 の行為、法律行為の条件、若しくは、その全体において考慮される事件の状況から直接的に派生しなければならない。

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三   法の選択は、法律行為の全体又は個々の部分について行なわれることができる。 四   法律行為の個々の部分に関する法の選択は明示されなければならない。 五   法の選択、又は、前に選択された法の変更は、特に、法律行為を締結するとき、その履行の様々な段階等において、い つでも、法律関係の当事者によって行なわれることができる。法律行為の締結後に為された法の選択、又は、前に選択さ れ た 法 の 変 更 は、 遡 及 的 作 用 を 有 す る も の と し、 か つ、 法 律 行 為 の 締 結 時 か ら 有 効 と す る が、 次 に 掲 げ る こ と は で き な い。   ⑴   法律行為が、その方式の遵守の不存在との関わりにおいて、無効であると見做すための根拠とすること   ⑵   法の選択時、又は、前に選択された法の変更時の前に第三者によって取得された権利を制限又は侵害すること 六   渉外的要素が法律関係に存在しないとき、法の選択は行なわれないものとする。 第六条   外国法の適用の拡大 一   外国法の適用は、各個の法律関係を規律するその諸規定の全てを含むものとする。 二   外国法の規定の適用は、その規定が公法に属することのみを理由として制限されてなならない。 第七条   法的性質決定 一   適 用 さ れ る 法 を 決 定 す る と き、 裁 判 所 又 は 他 の 機 関 は、 法 律 に よ っ て 別 段 に 規 定 さ れ て い な い 限 り、 ウ ク ラ イ ナ 法 に 従った規定及び概念の解釈に服するものとする。 二   法的性質決定を必要とする規定及び概念がウクライナ法に知られていないか、又は、他の名の下にか、若しくは、他の 内容をもって知られており、かつ、ウクライナ法の解釈をもって決定されることができないときは、外国法もその法的性 質決定の際に考慮されるものとする。 第八条   外国法の規定の内容の確定 一   外国法を適用するとき、裁判所又は他の機関は、それぞれの外国におけるその公的な解釈、適用の実践、及び、理論に

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従い、その諸規定の内容を確定するものとする。 二   外 国 法 の 諸 規 定 の 内 容 を 確 定 す る 目 的 の た め、 裁 判 所 又 は 他 の 機 関 は、 法 定 手 続 に よ り、 ウ ク ラ イ ナ 法 務 省、 若 し く は、他の権限を有する機関、及び、ウクライナ若しくは外国における公共団体に照会するか、又は、専門家に依頼するこ とができる。 三   事件に参加する者は、その者がその請求又は抗弁の立証において援用する外国法の諸規定の内容を確認する文書を提出 する権利を有し、かつ、それらの諸規定の内容の確定において、別の方法をもって、裁判所又は他の機関を補助するもの とする。 四   外国法の諸規定の内容が、本条に従って執られた手段に拘わらず、然るべき期間内に確定されないときは、ウクライナ 法が適用されるものとする。 第九条   反対の送致及び第三国法への送致 一   法律が別段に定めない限り、外国法への如何なる送致も、その抵触規定の適用を除く個々の法律関係を規律する実質法 規定への送致と見做されなければならない。 二   自然人の個人的及び家族的な身分に関する事件においては、ウクライナ法への反対の送致が適用されるものとする。 第一〇条   法律回避の効果 一   私法関係の従属に関し、本法の諸規定を回避して、それに従って決定される法以外の法へ向けられたその関係の当事者 の法律行為及び他の行為は無効とする。その際には、本法の諸規定に従って適用される法が適用されるものとする。 第一一条   相互性 一   裁判所又は他の機関は、ウクライナ法又はウクライナの国際条約により、相互性の原則に基づく外国法の適用が規定さ れている場合を除き、ウクライナ法がそれぞれの外国において同様の法律関係へ適用されるか否かに拘わらず、外国法を 適用するものとする。

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二   外国法の適用が相互性に懸かるとき 、それが存在しないと証明されない限り 、それは存在するものと考えられるものと す る 。 第一二条   公序条項 一   外国法の規定は、その適用が明らかにウクライナの法的秩序(公序)の基本原則と相容れない結果を伴う場合には、適 用されないものとする。かような場合には、法律関係と最も密接な関係を有する法が適用されるものとし、又、かような 法を決定若しくは適用することができないときは、ウクライナ法が適用されるものとする。 (二〇一〇年一月二一日改正) 二   外国法を適用することの拒否は、単に、それぞれの外国の法的、政治的又は経済的制度のウクライナの法的、政治的又 は経済的制度との相違に基づいてはならない。 第一三条   外国機関によって発行された文書の承認 一   外国の権限を有する機関によって確立された様式の下に発行された文書は、その認証に際し、ウクライナの法律又は国 際条約によって別段に規定されていない限り、ウクライナにおいて有効と認められるものとする。 第一四条   強行規定の適用 一   本 法 の 規 則 は 、 適 用 さ れ る 法 に 拘 わ ら ず 、 個 々 の 関 係 を 規 律 す る ウ ク ラ イ ナ 法 の 強 行 規 定 の 作 用 を 制 限 し な い も の と す る 。 二   裁判所は、本条第一項に定められたところを除き、本法に従って適用される法に拘わらず、個々の法律関係と密接な関 係を有する他国法の強行規定を適用することができる。かように行なうには、裁判所は、かような規定の指示及び性質、 並びに、その適用又は不適用の結果をも考慮しなければならない。 第一五条   多数法制度国法の適用 一   法が幾つかの領域的又は他の法的制度が作用する国の適用に服するとき、適正な法制度は、その国の法律に従って決定 されるものとする。個別の法規がないときは、法律関係と最も密接な関係を有するその法制度の規定が適用されるものと する。

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第二章   自然人及び法人の法的地位に関する抵触規定 第一六条   自然人の属人法 一   自然人の属人法は、その者が市民である国の法と考えられるものとする。 二   自然人が二つ又はより多くの国々の市民であるとき、その者の属人法は、その者が最も密接な関係を有する国の法、特 に、住居地を有するか、又は、主要な活動に従事する国の法と考えられるものとする。 三   無国籍者の属人法は、その者が住居地を有する国の法、又、それがないときは、居所を有する国の法と考えられるもの とする。 四   避難民の属人法は、その者が居所を有する国の法と考えられるものとする。 五   本条第二項及び第三項に従って属人法を決定するときは、実体法上の能力を欠く者がその法定代理人の同意なくその住 居地を変更したとしても、かような変更はその者の属人法の変更をもたらさないものと考えられるものとする。 第一七条   自然人の民事法的能力 一   自然人の民事法的能力の発生及び消滅は、その属人法によって決定されるものとする。 二   外国人及び無国籍者は、ウクライナの法律又は国際条約によって規定された場合を除き、ウクライナにおいて、ウクラ イナ市民と同様に民事法的能力を有するものとする。 第一八条   自然人の民事実体法上の能力 一   自然人の民事実体法上の能力は、その属人法によって決定されるものとする。法律行為、及び、損害惹起の結果として 生ずる債務に関する自然人の民事実体法上の能力は、法律によって別段に規定されていない限り、法律行為の締結地、又 は、損害惹起と関連する債務の発生地国の法によっても決定されることができる。 二   自然人を実体法上の能力を欠くものと見做す事由及び法的効力、又は、自然人の民事実体法上の能力の制限は、その者

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の属人法によって規律されるものとする。 第一九条   自然人の企業活動を行なう権利 一   自然人の企業活動を行なう権利は、自然人が企業家として登録されている国の法によって決定されるものとする。義務 的登録に関する要件の国にいないときは、企業活動の主たる実行地国の法が適用されるものとする。 第二〇条   自然人の行方不明の見做し又はその者の死亡宣告 一   自然人を行方不明であると見做す事由及び法的効力、又は、その者が死亡したとする宣告は、その者の知られた最後の 属人法によって規律されるものとする。 第二一条   自然人の名 一   自然人の名に対する権利、並びに、その者の使用及び保護は、法律によって別段に定められていない限り、その属人法 によって決定されるものとする。 第二二条   個人的無体財産権 一   個人的無体財産権の保護に関する請求の原因となった行為又は情況が発生した国の法は、法律によって別段に規定され ていない限り、かような権利へ適用されるものとする。 第二三条   ウクライナの領域外のウクライナ市民の民事的地位の証書の登録 一   ウクライナの領域外に居住するウクライナ市民の民事的地位の証書の登録は、ウクライナの領事館又は外交代表者にお いて行なわれることができる。それを行なう際には、ウクライナ法が適用されるものとする。 第二四条   信託及び後見 一   青少年、未成年者、実体法上の能力を欠く者、及び、民事的実体法上の能力が制限されている者に対する信託及び後見 の設定及び取消は、被保護者の属人法によって規律されるものとする。 二   受託者(又は後見人)の信託(又は後見)を引き受ける義務は、受託者(又は後見人)として任命された者の属人法に

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よって決定されるものとする。 三   受託者(又は後見人)と信託(又は後見)に付される者との間の関係は、受託者(又は後見人)を任命した機関が帰属 する国の法によって決定されるものとする。信託(又は後見)に付される者がウクライナに居住するときは、ウクライナ 法がその者にとってより有利であるとき、それが適用されるものとする。 四   ウクライナの領域外に居住するウクライナ市民に対して設定された信託(若しくは後見)は、ウクライナのそれぞれの 領事館又は外交代表者の信託(若しくは後見)の設定、又は、その承認に対する法的異議がないとき、ウクライナにおい て有効と見做されるものとする。 五   ウクライナにいるウクライナ市民でない者か、又は、ウクライナの領域上に所在するその者の財産に関し、ウクライナ 法に従って権利を保護し、かつ、財産を保護することが必要であるとき、信託又は後見のため、措置が講じられることが できる。それぞれの者が市民である国の外交代表者又は領事館は、それにつき、遅滞なく通知されるものとする。 第二五条   法人の属人法 一   法人の本拠の国の法を法人の属人法とするものとする。 二   本法のため、法人の本拠とは、法人が登録されているか、又は、さもなければ、その国の法に従って設立されている国 とするものとする。 三   かような状況でないか、又は、それを確証することができないときは、法人の業務執行機関が所在する国の法が適用さ れるものとする。 第二六条   法人の民事法的能力及び民事実体法上の能力 一   法人の民事法的能力及び民事実体法上の能力は、法人の属人法によって決定されるものとする。 第二七条   外国法に依れば法人でない外国機関の属人法 一   外国機関が設立されている国の法に依れば法人でないかような機関の属人法は、その国の法と考えられるものとする。

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かような機関がウクライナの領域上において活動するときは、立法上の必要性、又は、法律関係の本質から別段のことが ない限り、法人の活動を規律するウクライナの立法がその活動へ適用されるものとする。 第二八条   法人の機関又は代表者の権限の制限 一   法人は、その機関又は代表者の法律行為を締結する権限の制限につき、他方当事者が知っていたか、又は、状況の全体 から知り損なうはずがなかった場合を除き、他方当事者が居所又は本拠を有する国の法に知られていないかような制限を 援用してはならない。 第二九条   ウクライナにおける外国法人の活動の国内制度 一   ウクライナにおける外国法人の企業家活動及び他の活動は、法律によって別段に定められていない限り、ウクライナ法 人に関するウクライナ立法によって規律されるものとする。 第三〇条   渉外的要素を有する私法関係への国家及び公法法人の参加 一   国家及び公法法人の参加を伴う渉外的要素を有する私法関係へは、法律によって別段に規定されていない限り、一般原 則に基づき、本法の規則が適用されるものとする。 第三章   法律行為、代理人の権限、出訴期限に関する抵触規定 第三一条   法律行為の方式 一   法律によって別段に規定されていない限り、法律行為の方式は、法律行為の内容の準拠法上の要件と符合しなければな らないが、その締結地法上の要件に適合することをもって足りるものとし、又、法律行為の当事者が異なる国に在るとき は、契約によって別段に定められていない限り、申込みを行なった当事者の住居地法上の要件に適合することをもって足 りるものとする。 二   不動産に関する法律行為の方式は、その不動産が所在する国の法に従って決定されるものとし、又、不動産に関し、そ

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の権利がウクライナの領域において登録されているときは、ウクライナ法に従って決定されるものとする。 三   渉 外 経 済 的 契 約 は、 一 方 当 事 者 が ウ ク ラ イ ナ 市 民 又 は ウ ク ラ イ ナ 法 人 で あ る と き、 ウ ク ラ イ ナ の 法 律 又 は 国 際 条 約 に よって別段に定められていない限り、その締結地に拘わらず、書面によって締結されるものとする。 第三二条   法律行為の内容 一   法律行為の内容は、法律によって別段に規定されていない限り、当事者によって選択された法によって規律されること ができる。 二   法の選択がないときは、法律行為と最も密接な関係を有する法が、法律行為の内容へ適用されるものとする。 三   別段に規定されていないか、又は、法律行為の状況若しくは本質、又は、事件の全体的状況から派生しない限り、法律 行為は、法律行為の内容にとって決定的な意義を有する履行を行なうべき当事者がその住居地若しくは本拠地を有する国 の法と最も密接な関係を有するものとする。 第三三条   法律行為の準拠法の作用範囲 一   法律行為の有効性、その解釈、及び、法律行為の無効の法的効果は、法律行為の内容の準拠法によって決定されるもの とする。 第三四条   代理人の権限の準拠法 一   代理人の権限の発生、行動期間、終了、及び、終了の法的効果についての手続は、代理人の権限が発せられた国の法に よって決定されるものとする。 第三五条   出訴期限 一   出訴期限は、個々の関係の関係者の権利及び義務を決定する準拠法によって決定されるものとする。 二   出訴期限が及ばない請求権は、個々の関係の関係者の一人がウクライナ市民又はウクライナ法人であるとき、ウクライ ナ法によって決定されるものとする。

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第四章   知的財産権に関する抵触規定 第三六条   知的財産権 一   対象が知的財産権である法律行為へは、本法のそれぞれの規則に従って決定される法が適用されるものとする。 第三七条   知的財産権の保護 一   知的財産権の保護の範囲における法律関係へは、かような権利の保護が要求される国の法が適用されるものとする。 第五章   物権の抵触規定 第三八条   所有権及び他の物権へ適用される権利に関する一般規定 一   不 動 産 及 び 動 産 の 所 有 権 及 び 他 の 物 権 は、 法 律 に よ っ て 別 段 に 規 定 さ れ て い な い 限 り、 そ の 財 産 が 所 在 す る 国 の 法 に よって決定されるものとする。 二   財産の不動産又は動産の認定、及び、財産の他の分類も、その財産が所在する国の法によって決定されるものとする。 第三九条   所有権及び他の物権の発生及び終了 一   所有権及び他の物権の発生及び終了は、ウクライナの法律又は国際条約によって別段に規定されていない限り、それぞ れの財産が、所有権及び他の物権の発生又は終了の原因となった行動又は他の状況が生起した当時所在していた国の法に よって決定されるものとする。 二   法律行為の対象である所有権及び他の物権の発生及び終了の前の準拠法は、当事者の合意によって別段に定められてい ない限り、本条第一項に従って決定されるものとする。法律行為の当事者による法の選択は、第三者の権利に影響を与え ないものとする。 三   取得時効の結果としての所有権の発生は、財産が取得時効の期間満了の当時所在した国の法によって決定されるものと

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する。 第四〇条   所有権及び他の物権、国家登録簿に含まれるものに関する情報 一   所有権及び他の物権、国家登録簿に含まれるものに関する情報は、その財産が登録されている国の法によって決定され るものとする。 第四一条   運送中の動産に対する所有権及び他の物権 一   運送中の動産に対する所有権及び他の物権は、当事者の合意によって別段に定められていない限り、その財産が発送さ れている国の法によって決定されるものとする。 第四二条   所有権及び他の物権の保護 一   所有権及び他の物権の保護は、申立人の選択により、財産が所在している国の法に従うか、又は、裁判所所在国の法に 従って行なわれるものとする。 二   不動産に対する所有権及び他の物権の保護は、その財産が所在している国の法に従って行なわれるものとする。 三   ウクライナにおける国家登録簿に服する所有権及び他の物権の保護は、ウクライナ法に従って行なわれるものとする。 第六章   契約債務に関する抵触規定 (二〇一〇年一月二一日改正) 第四三条   契約当事者による法の選択 一   本法第五条及び第一〇条に従う契約当事者は、法の選択が明らかにウクライナ法によって禁止されている場合を除き、 契約の準拠法を選択することができる。 第四四条   法の選択に関する当事者の合意がないときの契約の準拠法 一   契約当事者のその契約へ適用される法の選択に関する同意がないとき、契約の内容にとって決定的な意義を有する履行 を行なうべき当事者は、次に掲げる契約における次に掲げる者であるとして、本法第三二条第二項及び第三項に従った法

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が適用されるものとする。   ⑴   売買契約における売り主   ⑵   贈与契約における贈与者   ⑶   年金契約における年金受取人   ⑷   終身扶養(又は監護)契約における扶養者   ⑸   賃貸借(又はリース)契約における賃貸人   ⑹   貸借契約における貸し主   ⑺   自由業契約における自由業者   ⑻   サービス提供契約における提供者   ⑼   旅客運送契約における運送人   ⑽   貨物運送契約における運送人   ⑾   寄託契約における受寄者   ⑿   保険契約における保険者   ⒀   委任契約における代理人   ⒁   代理店契約における代理商   ⒂   財産管理契約における管理者   ⒃   貸付契約における貸し主   ⒄   信用貸付契約における貸し主   ⒅   銀行預金契約、当座勘定契約における銀行   ⒆   問屋契約における仲買人

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  ⒇   特許契約における許可者      商事免許契約における権利保有者      質屋契約における質入主      保証契約における保証人 二   但し、契約が最も密接に関係している法は、次に掲げる法であると考えられるものとする。   ⑴   不動産に関する契約については、その財産が所在している国の法、又、かような財産が登録に服するときは、登録が 行なわれる国の法   ⑵   共同活動又は作業の履行に関する契約については、かような活動が行なわれるか、又は、契約によって規定された成 果が創出される国の法   ⑶   競売、競争又は証券取引場において締結された契約については、競売若しくは競争が開催されるか、又は、証券取引 場が所在する国の法 第四五条   消費者契約の準拠法 一   人(消費者)による企業家活動のためでない商品の取得及びサービスの受領に関する契約は、消費者契約に属するもの とする。 二   消費者契約の当事者による法の選択は、次に掲げるとき、消費者がその住居地、滞在地又は本拠地を有する国の法の強 行規定によって認められているその者の権利の保護を制限してはならない。   ⑴   契約の締結がその国における申込み若しくは公告によって先行されており、かつ、消費者がその国において契約の締 結のために必要な全てのことを行なっているとき、又は、   ⑵   消費者からの注文がその国において受けられているとき、又は、   ⑶   消費者が、他方当事者の主導により、商品取得の契約を締結するために外国旅行を行なったとき

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三   方式を含め、消費者契約に関し、当事者による法の選択がないときは、消費者が住居地又は本拠地を有する国の法が適 用されるものとする。 四   本条第二項及び第三項の諸規定は、旅客運送契約及びサービス提供契約(旅客運送及び宿泊の組合わせを給付する観光 旅行の範囲における契約を除く)の締結地及び履行地が消費者の住居地又は本拠地の国以外の国であるとき、かような諸 契約へ適用されないものとする。 第四六条   外国の参加を伴う法人の設立契約の準拠法 一   外国の参加を伴う法人の設立文書である設立契約へは、法人が設立されることになる国の法が適用されるものとする。 第四七条   契約の準拠法の効力の範囲 一   本章の諸規定に従う契約の準拠法は、次に掲げる事項を含むものとする。   ⑴   契約の有効性   ⑵   契約の解釈   ⑶   当事者の権利及び義務   ⑷   契約の履行   ⑸   契約の不履行又は不完全履行の効果   ⑹   契約の終了   ⑺   契約の無効の効果   ⑻   契約に従う請求権の譲渡及び債務の移転 二   契約の履行の方法及び手続、並びに、契約の不履行又は不完全履行の際に講じられなければならない措置を決定すると きに、本条第一項に明記された法の適用ができないときは、契約の履行が行なわれる国の法が適用されることができる。 三   契約の方式の準拠法は、本法第三一条に従って決定されるものとする。

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第七章   契約外債務に関する抵触規定 (二〇一〇年一月二一日改正) 第四八条   契約外債務の準拠法 一   一方当事者の行動から発生する債務へは、本法第四九条ないし第五一条の諸規定を顧慮しながら、かような行動が生起 した国の法が適用されるものとする。 第四九条   損害賠償債務の準拠法 一   損害の惹起の結果として発生する債務に関する権利及び義務は、損害賠償に関する請求権の原因となった行動又は他の 情況が生起した国の法によって決定されるものとする。 二   外国における損害の惹起の結果として発生する債務に関する権利及び義務は、当事者が一つの国に住居地又は本拠地を 有するとき、その国の法によって決定されるものとする。 三   損害賠償に関する請求権の原因となった行動又は他の情況が、ウクライナの立法の下に違法であるとき、外国法はウク ライナにおいて適用されないものとする。 四   損害の惹起の結果として発生した債務の当事者は、それの発生後、いつでも、裁判所所在国の法を選択することができ る。 第五〇条   商品、作業(又はサービス)の欠陥の結果として惹起された損害賠償の準拠法 一   損害賠償に関する請求権へは、被害者の選択により、次に掲げる法が適用されるものとする。   ⑴   被害者の住居地、本拠地、又は、活動の中心地が所在する国の法(二〇一一年五月一九日改正)   ⑵   商 品 の 製 造 者 又 は 作 業 ( 又 は サ ー ビ ス ) の 実 行 者 の 住 居 地 又 は 本 拠 地 が 所 在 す る 国 の 法 ( 二 〇 一 一 年 五 月 一 九 日 改 正 )   ⑶   被害者が商品を取得したか、 又は、 その者に対し、 作業が実行 (若しくは、 サービスが給付) された国の法 (二〇一一 年五月一九日改正)

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第五一条   十分な法的根拠のない財産の取得及び占有への準拠法 一   十分な法的根拠のない財産の取得及び占有の結果として発生した債務へは、かような行為が生起した国の法が適用され るものとする。 二   債務の当事者は、それの発生後、いつでも、それへの裁判所所在国法の適用を合意することができる。 第八章   労働関係に関する抵触規定 第五二条   労働関係の準拠法 一   労働関係へは、ウクライナの法律又は国際条約が別段に規定していない限り、労務が遂行される国の法が適用される。 第五三条   外国において労働するウクライナ市民の労働関係 一   外国において労働するウクライナ市民の労働関係は、次に掲げるとき、ウクライナ法に依って規律されるものとする。   ⑴   ウクライナ市民がウクライナの外国外交施設において労働するとき   ⑵   ウ ク ラ イ ナ 市 民 が、 ウ ク ラ イ ナ の 自 然 人 又 は 法 人 で あ る 使 用 者 の 遠 隔 の 支 所 を 含 め、 外 国 に お け る 労 務 の 遂 行 に 関 し、それらの者と労働契約を締結したとき   ⑶   このことが、ウクライナの法律又は国際条約によって規定されているとき 第五四条   外国人及び無国籍者の労働関係の規律の特例 一   ウクライナにおいて労働する外国人及び無国籍者の労働関係は、次に掲げるとき、ウクライナ法によって規律されるも のとする。   ⑴   ウクライナの国際条約が別段に規定していない限り、外国人及び無国籍者が、ウクライナにおける外国の外交代表者 又は国際機関の代表者の下において労働するとき   ⑵   契約又はウクライナの国際条約によって別段に規定されていない限り、ウクライナの領域外における外国人及び無国

参照

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