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HER2チロシンキナーゼシグナル経路を阻害するHER2標的化ハイブリッドペプチドは癌細胞膜を崩壊させ、in vivoにおいて抗腫瘍効果を示す

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Academic year: 2021

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Title HER2-targeted hybrid peptide that blocks HER2 tyrosinekinase disintegrates cancer cell membrane and inhibits tumor growth in vivo( Abstract_要旨 )

Author(s) Kawamoto, Megumi

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2013-07-23

URL http://hdl.handle.net/2433/180345

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion none

(2)

京都大学 博士( 医 学) 氏 名 川本 恵

論文題目

HER2-targeted hybrid peptide that blocks HER2 tyrosine kinase disintegrates cancer cell membrane and inhibits tumor growth in vivo (HER2 チロシンキナーゼシグナル経路を阻害するHER2 標的化ハイブリッ ドペプチドは癌細胞膜を崩壊させ、in vivo において抗腫瘍効果を示す) (論文内容の要旨) 従来から抗癌化学療法においては癌細胞の薬剤耐性獲得等の問題を抱えてお り、近年盛んに臨床現場で用いられ開発が進んでいるチロシンキナーゼ阻害型 分子標的抗癌剤(TKI)においても、治療抵抗性・獲得耐性の問題は解決され ていない。そこで、TKI 耐性、難治性癌治療の問題を克服するために、シグナ ル伝達阻害剤に代えて、新世代の分子標的薬として直接癌細胞を殺傷する革新 的な次世代型分子標的抗癌剤候補である、ハイブリッドペプチドを見出した。 ハイブリッドペプチドは、化学合成が可能であり、タンパク質製剤に比べ、格 段に低い分子量であるため安価で大量に高純度の試験物を生成することが可能 となっている。さらに、標的結合配列を代えて容易に合成でき個別化医療にも 対応できると期待される。ハイブリッドペプチドは標的抗原に結合するペプチ ドと膜溶解型ペプチドから成る。膜溶解型ペプチドは、正電荷アミノ酸を多く 含み、癌細胞を選択的に破壊し細胞死に至らしめるペプチドである。2つのペ プチドの異なる作用をハイブリッド化することにより、特異性や選択性の向上 を可能にしたものがハイブリッドペプチドである。

乳癌患者数は、近年増加の一途をたどっている。ヒトepidermal growth factor receptor 2 (Her2; ErbB2/neu)は、HER2/ neu 遺伝子によってコードされる膜 貫通型腫瘍性タンパク質 であり、乳癌の 20%から 30%において高発現してい ることが明らかとなっている。このため、Her2 を標的とした、モノクローナル 抗体やTKI が開発されてきたが、これら抗癌剤に対しても、治療抵抗性・薬剤 耐性の問題は解決されていない。そこで、本研究では、Her2 高発現癌に対して 選択的に細胞膜を崩壊させるハイブリッドペプチド(以下、HER2-lytic とする) を設計し、薬効プロファイルを明らかにして、薬剤耐性のおこりにくい、新規 分子標的化学合成ペプチドの有用性を検討した。 HER2-lytic は使用したすべての卵巣癌、乳癌細胞株に対し高い殺細胞効果を 示し、また、Trastuzumab や Lapatinib 耐性細胞株においても同様の効果を示 したが、正常細胞には示さなかった。抗 HER2 抗体を用いた拮抗実験と siRNA による Her2 ノックダウンの実験により HER2-lytic の特異性を確認した。さら に、HER2-lytic は Her2 高発現乳癌株 SK-BR-3 の細胞膜をわずか 5 分で崩壊 さ せ た が 、 正 常 細 胞 で は 同 条 件 で 顕 著 な 変 化 は 観 察 さ れ な か っ た 。 ま た 、 HER2-lytic は Her2 シグナル経路を阻害した。HER2 高発現株である BT474 (Trastuzumab、Lapatinib 感受性細胞株)と MDA-MB-453 (Trastuzumab、 Lapatinib 耐性細胞株)を移植したマウスモデルにおいて、HER2-lytic の静脈 投与(3mg/kg、週3回、3週間)を行ったところ、十分な抗腫瘍効果を示し た。 以上の結果から、HER2-lytic ハイブリッドペプチドは、乳癌治療において、薬 剤耐性克服の観点からも、新たな有用な治療法となる可能性が考えられる。 (論文審査の結果の要旨) 申請者は、次世代型の新規抗癌分子標的薬候補であるハイブリッドペプチドに関する 研究を実施した。Human Epidermal Growth Factor Receptor 2(HER2)を標的としたハイブ リッドペプチド(HER2-lytic)の評価を、(i) HER2-lytic の殺細胞効果の正常細胞と癌細胞の 選択性評価、(ii) HER2-lytic の殺細胞効果の特異性評価、(iii) 細胞死のメカニズムの解明、 (iv) in vivo での抗腫瘍効果の評価、という 4 つの項目に対して実施した。実験結果から、 HER2-lytic は HER2 特異的に結合し、Lytic ペプチドの正常細胞との選択性と相乗して、 トラスツズマブやラパチニブ耐性の細胞株を含む HER2 高発現乳癌・卵巣癌細胞を選択 的に殺傷すること、また、HER2-lytic は癌細胞膜を溶解し、ネクローシス様の迅速な細 胞死を誘導し、さらに HER2 シグナリングも抑制することを明らかにした。また、BT474 とトラスツズマブ及びラパチニブ耐性株である MDA-MB-453 移植マウスモデルにおい ても、HER2-lytic の静脈投与により、顕著な毒性は確認されず、十分な抗腫瘍効果を示 した。以上の結果から、HER2-lytic は乳癌患者において、薬剤耐性克服の観点からも新 たな治療法の一つとして期待できるという結論を提示している。本研究は、HER2-lytic ハイブリッドペプチドの薬効プロファイルの解明に貢献し薬剤耐性難治性乳癌に対する 有効な治療に寄与するところが多い。 したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成 25 年 6 月 6 日実施の論文内容とそれ に関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日: 年 月 日 以降

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