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生活科学リテラシーの育成を目指した授業開発 食をとりまく環境を考える -飲み物つくりを通して-

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Academic year: 2021

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Title

生活科学リテラシーの育成を目指した授業開発 食をとりまく環境

を考える −飲み物つくりを通して−

Author(s)

永曽, 義子

Citation

永曽義子: 研究紀要(奈良女子大学附属中等教育学校), 2010, 第51集,

pp. 37-52

Issue Date

2011-03-31

Description

URL

http://hdl.handle.net/10935/2679

Textversion

publisher

Nara Women's University Digital Information Repository

(2)

奈 良女子 大 学 附属 中等 教育 学校 研 究 紀要 第51集(2011年3月)

生活科学リテラシーの育成を目指した授業開発

食 をとりま く環 境 を考 える

一 飲 み 物 つ くりを通 して一

永 曽義子

1.は じめ に 「生 活 科 学 」は 主 と して 保 健 体 育 科 、創 作 科 、理 科 の 教 員 が担 当 し、2007年 度 よ りス ター トした本 校 独 自の総 合 教 科 で あ る。本 校 は2005年 度 よ りス ー パ ー サ イ エ ン スハ イ ス クール(以 下SSH)の 指 定 を受 け 、 学校 全 体 の カ リキ ュ ラ ム 開発 を行 な っ て きた 。5学 年(高 校2年 生 に あた る)で は それ ま で の総 合 教 科 「健 康 」(1単 位)を 発 展 させ 、 「生 活 学 」 や 創 作 科(家 庭)の 内容 か ら科 学 的 な部 分 を 取 り込 ん だ形 で 「生 活 科 学 」 の構 想 がす す め られ た 。 「生 活 科 学 」 は 、 よ り生 活 に密 着 した現 象 を科 学 の 目を通 して見 つ め理 解 し判 断 す る こ とが で き る とい う生 活 科 学 リテ ラシ ー の 育 成 を 目標 と し、 これ はSSHの 基 本 理 念 で あ る 自然 科 学 リテ ラ シー の 育 成 に も大 き な 後 押 しとな る と考 え られ 、SSHの 枠 組 み の 中で 「特 別 枠 」 と して位 置 づ け られ た 。 授 業 展 開 の 中 心 は 担 当者 の 専 門性 を 生 か した 出 店授 業 で あ り、実 施 初 年 度 よ り試 行錯 誤 を繰 り返 し て き た。そ う して今 年 度 は 『食 を と りま く環 境 を考 え る一 飲 み物 つ く りを通 して一 』にた ど り着 い た。 2009年 度 の公 開研 究会 で は、この 出 店 授 業 の最 後 の1時 間 を公 開 授 業 と した が 、こ こで は授 業 全 体 の概 要 を示 し、公 開授 業 の 時 間へ と繋 が る全 体像 を報 告 す る。 2.授 業の 流 れ (1)官 能 検 査 ・糖 度 測 定 授 業 の導 入 と して 、 教 師 側 が準 備 した既 成 の飲 み 物 等 を使 用 して 、検 査 や 測 定 をお こ な っ た。 [実験1]及 び[実 験2]と して 記 述 す る。 [実験1] ① 方 法 意 図 的 に作 っ た3種 類 の飲 み 物(サ ン プ ルA・B・C)を 生 徒 自身 が 自分 の 舌 で 味 わ い 、 どの よ うに感 じた の か 、 どの よ うな 違 い が あ る か を 比較 す る官 能 検 査 を行 う。 そ の後 、糖 度 計 を 用 い て糖 度 測 定 しそ の 比 較 をす る。 こ の時 、必 ずABCの 順 に試 飲 す る こ と と、 特 にABの 違 い を 自分 な りに 区別 して か らCを 試 飲 す る こ と をル ー ル とす る。最 後 にA・B・Cの 実 態 を 明 かす 。 ② 生 徒 の 様 子 サ ン プルA・Bを 試 飲 した際 、「どち ら も甘 い 」「Aの 方 が 甘 い 」「Bの 方 が甘 い 」「A の方 が さっ ぱ り した 甘 さ」 「Bの方 が す っ き り した 甘 さ」 「Aの 方 がべ た べ た した 甘 さ」 「Bは 綿 菓 子 の 味 がす る」 な どな ど、 それ ぞ れ に感 じた こ とを 出 し合 っ て 記 録 して お い た。 そ してサ ン プ ルCを 試 飲 す る と、 「さわ や か で お い しい 」 「さ っ ぱ り して 甘 さ を感 じな い 」 「す っ き り した 酸 味 が あ る」 とい うよ うな感 想 に変 わ っ た。 ③ 糖 度 測 定 結 果 いず れ の 班 も多 少 の誤 差 は あ る もの の 、 サ ン プルAとCが 約10%の 糖 度 を示 し、 サ ン プルBは そ の1/3程 度 の 糖 度 を示 した。 ④ サ ンプ ル の 実 態 サ ンプルAは10%砂 糖 水 で あ る。サ ン プルBは 人 工 甘 味 料 を使 用 して甘 さをA と同 じに な る よ うに 作 った も の 、サ ンプ ルCは サ ン プルAと 同 時 に10%砂 糖 水 を作 り、そ れ を2 等 分 してCに の み クエ ン酸 を0.2%程 度加 えた も の で あ る。 ⑤ 生 徒 の 反 応 ・感 想 サ ンプ ルA・Bに っ い て は 「何 か が違 うが そ れ が何 で あ る か は わ か らな か っ

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た 」 「Aが 好 み の人 やBが 好 み の 人 な ど、 個 人 個 人 で好 み は分 かれ て い た 」 「Aに はか な りの量 の 糖 分 が含 まれ るが 、Bは そ の1/3の 糖 分 で す む とい う違 い が わ か っ た 」「人 工 甘 味 料 で も結 構 お い し くで き て い るの で 、 これ を利 用 す る と糖 分 を減 らす こ とが で き る」 な ど、 天 然 甘 味 料 で あ る砂 糖 と人 工甘 味料 との違 い を知 る こ と とな っ た。 けれ ども何 よ りシ ョ ッ クだ っ た の はサ ン プルCの 実 態 で あ っ た 。 「Cは 口 当 た りが さわ や か で 、AやBの よ うな 甘 っ た る さは 感 じな か った の に 、 砂 糖 はAと 全 く同 量含 ま れ て い た」 「人 の 味覚 とは これ ほ ど あて に な らな い も の な の か 」 「クエ ン 酸 が極 少 量加 え られ る こ とに よっ て 、 これ ほ ど甘 さ が抑 え られ て しま うもの な の か 」 「Cは ほ と ん ど甘 さを気 にす る こ とな く飲 め た」 の で あ っ た。 [実験2] ① 方 法 市 販 の飲 み物 を3つ の グル ー プ に分 け て 準備 す る。 「ス ポ ー ツ ドリン ク系 統 」 「炭 酸 飲 料 系 統 」 「スイ ー ツ飲 料 系 統 」 の3グ ル ー プ それ ぞれ に3種 類 の市 販 飲 料 を準備 して 、 生 徒 た ち も3 つ の グル ー プ に分 か れ 、 実 験1と 同様 に、 官 能 検 査 、糖 度 測 定 の順 に行 い 、糖 度 結 果 は前 の ホ ワ イ トボー ドに も記 録 す る。 最 後 に 、1本 分 飲 ん だ と き の砂 糖 の量 も計 算 す る。 ② 授 業 の 実 際 「ス ポ ー ツ ドリン ク系 統 」で は ポ カ リス エ ッ ト・ア クエ リア ス ・ア クエ リア スZERO を 「炭 酸 飲 料 系 統 」で は三 ツ矢 サイ ダ ー ・コカ コー ラ ・コカ コー ラZEROを 「ス イ ー ツ飲 料 系統 」 で は カル ピス ウ ォー タ ー ・午 後 の紅 茶(REMONTEA)・ コー ヒー 飲 料 の3種 類 を準 備 して比 較 して 、官 能 検 査 と糖 度 測 定 を行 った 。 各 班 か ら官 能 検 査 及 び糖 度 測 定 値 を 出 し合 い 、意 見 交 換 を した。 ③ 生 徒 の 反 応 「炭 酸 飲 料 は さわや か で す っ き り した イ メー ジ が あ った け ど、 大 量 の 砂 糖 が含 まれ て い た。 実験1の 時 の よ うに 、酸 味料 が加 わ る と甘 さが 麻 痺 す る こ とが わ か った 」 「実 験1の た だ の砂 糖 水 は 甘 い だ けだ った け ど、それ 以 上 の 砂 糖 が 入 っ て い る 市販 の飲 み 物 が た く さん あ っ た の は シ ョ ック 」 「ZEROは 同 じ よ うに 甘 い の に 本 当 に糖 度 計 が ゼ ロ だ っ た の で ビ ック リ した 」 「ZEROの 甘 さは人 工 的 な 甘 さだ と感 じた 」 「酸 味料 や 香 料 ・着 色 料 な どに ごま か され て甘 さを 感 じな くな っ て い る こ とが わ か っ た」 な ど と生 徒 た ち の反 応 は 複 雑 で あ っ た。 ま た 官 能 検 査 の感 想 と糖 度 測 定 の結 果 が ほぼ 一 致 した とい う生徒 もい れ ば、 全 く予 想 と違 っ た生 徒 もい るな ど、飲 み 物 の種 類 の違 い とそ の 中身 の実 態 を改 め て 考 え直 す こ と とな っ た。 ④ ま とめ そ れ ぞ れ 市 販 の飲 料1本 分 に含 ま れ る砂 糖 の 量 を計 算 した 。 「そ の 量 っ て これ だ け です よ」 と、前 もっ て 準備 してお い た それ ぞれ の 市販 飲 料 の空 のペ ッ トボ トル に 計 算 した 量 の砂 糖 の み を入 れ た もの を 見せ る と、 生徒 た ち の動 揺 が ピー ク とな っ た 。 こん な に 大 量 の 砂 糖 を知 らず 知 らず に飲 ん で い た とは ・… とい う動 揺 で あ っ た。 しか し、人 工 甘 味 料 を使 用 して砂 糖ZEROの 飲 料 も売 り出 され て い る。このペ ッ トボ トル の砂 糖 はOgな の で 中身 は空 っ ぽ の ま ま で あ る。さて 、 今 後 、あ な た は どの よ うな飲 み 物 を選 び た い と思 い ます か?そ れ は なぜ で す か?と い う ワー ク シ ー トの質 問 に答 え て この 実 験 は終 わ っ た。 ⑤ ワー クシー ト(生徒 の 感 想)か ら 「ペ ッ トボ トル に入 っ て い る砂 糖 を見 る と、 も う市 販 の ジ ュー ス は飲 め な い な あ と思 っ た 。や っ ぱ りお 茶 が 一 番 い い。」 「これ か らは あ の砂 糖 の 量 を思 い 出 しな が ら飲 み 物 を選 ぼ うと思 う。」 「や っ ぱ りお い しい もの が 一 番!砂 糖 が入 っ て い て もお い しい も の ・ 好 き な もの を選 び ま す。」 「い く ら砂 糖 が ゼ ロ で も人 工 甘 味 料 は 体 にい い の か不 安 が あ る。 天 然 甘 味 料 の砂 糖 の ほ うが 体 に は よ さそ うな の で 、表 示 を よ く見 て 選 び た い。」 (2)食 品 の 原材 料 比 較 ・甘 味 料 につ いて 一38一

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前 回 の授 業 で扱 っ た 市販 飲 料 の表 示 を比 較 ・確 認 した 。 まず 、 「ゼ ロカ ロ リー 」 「ノ ンカ ロ リー 」 「カ ロ リー オ フ 」 な どの 表 示 が で き る の は どの よ うな飲 料 な のか を解 説 し、 どの飲 料 にそ の表 示 が あ っ た の か を再 確 認 した。 ま た そ れ らの栄 養 成 分 表 示 の エ ネ ル ギー 量 の数 値 とを対 比 させ た 。 次 に 、原 材 料 名 の 一 覧 表 を見 な が ら、特 に 甘 味 料 につ い て の解 説 を した。 天 然 甘 味料 に は代 表 的 な 砂 糖 以 外 に果 糖 や ぶ ど う糖 、 は ちみ つ や 水 あ め な どが あ る。 市 販 飲 料 の原 材 料 名 の表 示 に は 、 糖 類 と して 「果 糖 ぶ ど う糖 液 糖 」 と 「ぶ ど う糖 果 糖 液 糖 」 とが あ るが 、何 が ど う 違 うの か 、 どの よ うに使 い 分 け られ る の か を説 明 した 。 人 工 甘 味料 に は ア ス パ ル テ ー ム ・L・フ ェ ニ ル ア ラニ ン化 合 物 、アセ スル フ ァムK、 ス ク ラ ロー ス等 が使 用 され て い る。 これ らは砂 糖 の甘 さの約200倍 の ものや 、 多 い も ので は約600倍 の も の が あ り、 さ らに組 み 合 わせ る と甘 さの 相 乗 効 果 が得 られ る もの も あ る。 つ ま り、 これ らの 人 工 甘 味 料 は極 少 量 使 用 す る だ け で も相 当な 甘 さを得 る こ とが で き る とい うこ とが わ か る。 ま た 、 これ らの人 工甘 味料 は 工 業 的 に大 量 に製 造 され る こ とに よ っ て 、砂 糖 よ りもか な りの コ ス トダ ウ ンに な る。 い や コ ス トだ け で な くカ ロ リー ダ ウ ン に も繋 が る こ とが わ か る。 (3)新 商 品 開 発 の 企 画 会 議 各 班 が飲 料 メ ー カ ー とな り、 飲 み 物 の新 商 品 開発 ス ター トで あ る。 各 班 の メ ンバ ー が 、 新 商 品 開発 の た め の プ ロジ ェ ク トチ ー ム とな り、 そ の プ ロジ ェ ク トに した が っ て試 作試 飲 を繰 り返 し、 で き あ が っ た商 品 にネ ー ミン グ をつ け、 パ ッケ ー ジ を 作 り、 コマ ー シ ャル を して 売 り出 す とい う計 画 で あ る。 見 た 目に お い しそ うで 、 思 わず 手 に 取 り買 い た くな る よ うな飲 み 物 の新 商 品 開発 を 目指 して 、 まず は企 画 会 議 が始 ま っ た 。 どの よ うな コンセ プ トで 、 どの よ うな人 を ター ゲ ッ トに して どの よ うな新 商 品 を売 り出す と よい か 、 そ の た め に は どん な 中 身 の飲 料 をつ くる と よい か 、 イ メ ー ジや 見 た 目は?材 料 は?色 や 香 りは?容 器 は?容 量 は?と 様 々 な こ と を考 え てい か な けれ ば な らな い 。 各 班 が考 え た新 商 品 が よ く似 た も の に重 な っ た り偏 った りす る こ とを懸 念 して 、1案 ・2案 と各 班 で2通 りの案 を 出 させ る こ とに し、企 画 会 議 の結 果 を前 の ホ ワイ トボー ドに 書 き 出 して 一 覧 表 に して み た。 幸 い な こ と に、 重 な る よ うな企 画 は な く、 どの 班 も独 創 性 の あ る企 画 を出 して い た 。 しか し、 企 画 通 りに 商 品 開発 が うま く進 む とは 限 らな い。 試 作 試 飲 を繰 り返 す うち に 、 企 画 とは違 っ た商 品 が 生 み 出 され る 可 能性 も十 分 考 え られ る。 と りあ えず は各 班 の新 商 品 開発 の コ ンセ プ ト ・ター ゲ ッ ト ・ 使 用 した い材 料 等 が 決 定 した 。 (4)新 商 品 の飲 み 物 つ くり 企 画 会 議 に した が っ て 、 新 商 品 の試 作 に と りか か った 。 まず 甘 味料 と して何 を使 用 す る の か 、 どの く らい の甘 さに す るの か か ら材 料 の調 合 が始 ま る。天 然 甘 味 料 に こだ わ っ て 、砂 糖 や 果 糖 、ぶ ど う糖 、 は ちみ つ 、 オ リゴ糖 な どで 甘 さをつ くる班 と、低 カ ロ リー を売 りに して 人 工 甘 味 料 で 甘 さを 出す 班 と に分 かれ る こ と とな る。 何 種 類 か の甘 味料 を組 み 合 わ せ て 思 い 通 りの 甘 さ を追 及 しよ う とす る班 や 、 思 い通 りの 甘 さが 作 り出 せ ず 何 度 も何 度 も調 合 をや り直 す 班 も多 くみ られ た。 甘 さひ とつ に して も よ く味 わ っ て み る と、 い ろい ろ な甘 さの種 類 が あ る こ と に気 づ くこ と とな っ た。 さ らに、 色 や 香 りは着 色 料 や 香 料 を使 用 して 、 これ も ま た思 い通 りの 商 品 を 目指 し、 何 度 も調 合 をや り直 す こ と とな る。 酸 味 料 と して ク エ ン酸 や レモ ン果 汁 を加 え る班 や 炭 酸 水 を使 用 す る班 な ど、 そ れ ぞ れ の 班 ご とに徐 々 に 新 商 品 が で き 上 が っ て い った 。 こ の試 作 を繰 り返 す こ とに よ り、生 徒 た ち は これ ま で 考 え た こ と もな か っ た作 る側 の 苦 労 や 工 夫 の1コ マ が体 験 で き た よ うで あ った 。

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次 に 、 で き 上 が っ た 新 商 品 につ け るネ ー ミ ン グ を考 え ラベ ル を作 る こ と も、 商 品 と して 売 り出す た め の大 切 な仕 事 で あ る。 思 わ ず 手 に とっ て み た くな る商 品 に は 、そ れ な りの ネ ー ミン グや ラベ ル のデ ザ イ ン が 工夫 され て い る とい うこ と も改 め て感 じな が ら、 生 徒 た ち も一 生懸 命 知 恵 を 出 し合 い商 品名 が決 ま っ て い っ た。 ラベ ル に は、 商 品名 の ほ か原 材 料名 、 内容 量 、賞 味期 限 、保 存 方 法 、 販 売 者 な ど の表 示 が あ る。 さ ら に栄養 成 分 表 示 も示 して ほ しい。 班 の メ ンバ ー で分 担 を決 め 、 ラベ ル のデ ザイ ン を工 夫 す る者 と使 用 した 原 料 を再 度 確 認 し ラベ ル の 表 示 を作 る者 とに別 れ て 商 品 の 仕 上 げ に か か っ た。 さ らに 、 この 取 り組 み に よ っ て商 品 に か か る コス トに も注 目 して ほ しい。 自動販 売機 で は通 常150 円 でペ ッ トボ トル1本 買 うこ とが で き るが 、 この 価 格 は何 に対 す る価 格 な の だ ろ うか。 自分 た ち が作 っ た商 品 も、1本150円 で売 り出す こ とに す る。 この150円 の 内 訳 は ど うな っ て い る の か。 商 品 に か か る価 格 の 内訳 に つ い て も班 ご とに考 え た 内訳 を提 示 す る こ と と した。 商 品 が で き 上 が っ て しま え ば材 料 費 は微 々 た る もの で あ り、 む しろ それ を決 定 す る まで の商 品 開発 費 が何 倍 もか か っ て い る。つ ま り1つ の 商 品 を仕 上 げ るま で に無 駄 に した材 料 は 相 当 な も の で あ っ た。 ま た、 買 っ て も ら うた めの 広 告 宣 伝 費 にデ ザ イ ン料 、 そ の他 、 光 熱 費 、輸 送 費 、 人 件 費 な ど、様 々 な 必 要 経 費 が 商 品 の価 格 に は含 まれ て い る。そ して利 益 も上 げた い と ころ で あ る。ペ ッ トボ トル1本150 円 は高 い の か安 い の か?こ の 価 格 の 内訳 を考 え る こ と に よ って も 、生 徒 た ち は これ ま で 考 え た こ との な か っ た製 造 者 側 の 立 場 の1コ マ が ま た 少 し見 え た よ うで あ っ た 。 (5)発 表 準備 ・試 飲 に よる評価 新 商 品 が で き 上 が り、 最 後 はそ の商 品 の説 明 と コマ ー シ ャル で あ る。 今 回 は 、公 開 授 業 に 向 けパ ワ ー ポイ ン トを活 用 して 説 明 す る こ と と した。 生徒 た ち は今 一 度 、使 用 した材 料 の 化 学 構 造 や 働 き な ど につ い て 、詳 し く調 べ て説 明 で き る よ う準 備 した。 各 班5分 程 度 の短 い発 表 で は あ る が、 さす が に生 徒 た ち は 、 これ ま で に体 験 して き た総 合 学 習 で の発 表 体 験 が 生 き て い る。5年 生 の 生 活 科 学 は 、3年 生 ・4年 生 で の総 合 学 習 の 集 大 成 と して 、生 徒 発 表 の 場 を設 け る こ とに よ り、 これ ま で に培 っ て き た 生 徒 の プ レゼ ン能 力(情 報 収 集 能 力 も含 め て)が 発 揮 で き る大 変 意 義 深 い場 で あ る と実 感 させ られ た。 発 表 す る に 当 た り、 各 商 品 に は ラベ ル がつ い て い るが 、 そ の 内容 が 聞 い て い る者 に はわ か りに くい の で、 ラベ ル に表 示 され た 項 目及 び 各 班 が考 え た 商 品 価 格 の 内訳 を別 紙 に示 して 手 元 資 料 と した。 本 来 の授 業 で あれ ば 、 商 品 の説 明及 び コマ ー シ ャル の あ と、 相 互 に試 飲 に よ る商 品 評 価 を行 うの だ が、 今 回 の み試 飲 に よ る評 価 を前 日に済 ませ て お い て 、 当 日の公 開授 業 で は 、 生徒 に よ る商 品発 表 を 重 視 す る こ と と した 。 (6)新 商 品 発 表 と商 品 選 択(本 時)生 活 科 学 い組 オ リジ ナル ドリン ク完 成 品

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ー40一

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ま ず 、 各 班 の プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン の 概 要 を 示 す 。 1班 『三 段 返 し!!!』 こ の 商 品 は ス ポ ー ツ ド リ ン ク と し て 開 発 し た 。 エ ネ め.ち・安・・ ル ギ ー 源 と な る糖 質 を3種 類 使 用 して 、 即 効 力 と 持 久 め獅 肌 いo カ の 両 方 を 可 能 と し た 。 ま ず 、 ぶ ど う糖 は 即 エ ネ ル ギ ー と し て 消 費 され る 即 効 力 が あ る。 次 に 、 果 糖 が ぶ ど う糖 に 転 換 され て エ ネ ル ギ ー と な る 。 最 後 に 砂 糖 が ぶ ど う糖 と果 糖 に 分 解 さ れ て 徐 々 に 働 く エ ネ ル ギ ー と な ど7 る 。 こ の3種 類 の 糖 質 が エ ネ ル ギ ー と し て 働 く ま で の め.ち。効、 速 度 に 差 が あ り、 レ シ ー ブ ・ トス ・ア タ ッ ク の よ う に 三 段 階 で 働 い て い く こ と か ら 「三 段 返 し!!!」の 商 品 名 が っ い た 。 ま た 、 さ わ や か さ を 与 え る 酸 味 料 と し て ク 評LI,軌1、 砂糖(シヨ糖) エ ン 酸 を 使 用 臨 ク エ ン 酸 も エ ネ ル ギ ー が 作 り出 さ 惜II'"1・ ・ れ る とき の ク エ ン酸 回 路 を 円滑 にす る の に働 き 、疲 労 回 復 効 果 が あ る。 ♪ \ \ 2班 『VAlTALチ ャー ジ3000Cプ ラ ス オ レ ン ジ 風 味 』 よ り健 康 を追 及 す る人 の た め の飲 料 で す 。1本 飲 め ば ビ 近 日発 売?タ ミ ンCを3000mgと る こ とが で き ます 。ビ タ ミンCは 体 に よい イ メ ー ジ が あ り風 邪 予 防 に効 果 が あ りま す 。 穏 や か のどの痛みを抑え・スポーツ後の栄養補給も な 甘 さは 、果 糖 ・オ リゴ糖 ・甘 味料 ・ぶ ど う糖 を配 合 して 仕 上 げ て い ま す 。 果 糖 は 虫歯 の原 因 デ キ ス トラ ン に な らな 能 ドリン ク い糖 、 オ リゴ糖 は腸 内細 菌 を活 発 に働 か せ て 便 通 を よ くす る効 果 が あ りま す 。 ぶ ど う糖 と果 糖 は 素 早 い 栄 養 補 給 に最 ぜ 一度お試しあれH適 の糖 。 の どの痛み を抑 えスポーツ後の栄養 補給 にぴ った りの 万 能 ドリン クで す 。 3班 『恋 す る は ち み つ レモ ン ∼ 甘 ず っぱ い き み へ ∼ 』 は ちみ つ レモ ン を飲 む とい い こ とが た く さん!は ちみ つ

1欝 霧1辮lll灘

はちみっ 繍

に 優 し い 癒 し を!ビ タ ミ ンCた っ ぷ りで 美 肌 効 果 が … は ち み つ の 保 湿 効 果 ・抗 菌 抗 炎 症 作 用 で 肌 荒 れ や ニ キ ビ 対 〉 策!は ち み つ 漬 け レモ ン を 使 っ て 夢 の 低 カ ロ リー を 現 実)『 競=L序 沖 に!こ ん な に い い こ と た く さ ん で 、 は ち み つ × レモ ン ー(は ち み つ と レ モ ン の 相 乗 効 果)あ な た の 恋

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》?欝

粛 幣 糠 灘 鰍 言

卿!に

これを飲んであなたも… 。 ち な み に 、 この班 が使 用 した は ちみ つ は奈 良 県 産 の あ き はちみつのように甘く ひ め と い うい ち ご か ら と れ る は ち み つ で 、 レ モ ン も 奈 良

蕪1鞠

驚 徽1鑓灘 翻

4班 『スパ ー ク リ ング ロー ズ ∼ 桃 色 の衝 撃 を あ な た に ∼ 』 『セ レブ の朝 の飲 み 物 』 を コ ンセ プ トに 、 セ レブ な あ 尋

1灘 欝1縫鑛1磯

驚隙 瓢 鍔1馨

鋤 覇趨蓼

ル は 後 を 引 か な い あ っ さ り と し た 甘 さ。 あ ざや か な ピ ン ク 色 は ふ た を 開 け た 瞬 間 魅 惑 の バ ラ が あ な た を 包 む 。 た だ し ア ス パ ル テ ー ム は 、 フ ェ ニ ル ケ トン 尿 症 と い う病 気 の 人 は と っ て は い け な い の で 注 意 し て く だ さい 。 5班 『ビ タ ミ ン ウ ォ ー タ ー 甘 い の 』 レモ ン の 香 りに ほ ん の り し た 甘 さ で 勉 強 や ス ポ ー ツ 後 の 気 分 転 換 に ピ ッ タ リ。 カ ロ リー ゼ ロ で 血 糖 値 や 体 重 が 気 に な る 人 も ゴ ク ゴ ク い け る!!が キ ャ ッ チ コ ピ ー の 清 涼 飲 料 。 コ ン セ プ トは ま ず 値 段 が 安 く て 量 が 多 い 。何 と 同 じ値 段 で3倍 あ る1500ml入 り!1本 買 え ば3人 分!糖 質 ゼ ロ 、カ ロ リー ゼ ロ で 安 心 し て ゴ ク ゴ ク飲 め る 。 砂 糖 を 使 っ て な い の で 虫 歯 の 心 配 も な し。 金 欠 、 だ け どた く さ ん 飲 み た い!と い う小 学 生 に も ピ ッ タ リ の 飲 み 物 で す 。 使 用 した 甘 味 料 は サ ッ カ リ ン 。 こ れ は 砂 糖 の500倍 の 甘 さ が あ り、 そ の た め 糖 質 も カ ロ リ ー もゼ ロ が 実 現 で き た 。 以 前 、 動 物 実 験 で 弱 い 発 癌 性 が あ る と 考 え られ 一 度 は 使 用 禁 止 に な っ た こ と が あ りマ イ ナ ス イ メ ー ジ が あ る が 、 動 物 実 験(雄 ラ ッ トの 膀 胱 癌)の あ り方 が 異 常 で あ っ た た め 、 後 に 様 々 な 動 物 で 実 験 が 行 わ れ 発 癌 性 は 示 さ れ な か っ た た め 、 現 在 で は 人 体 に 影 響 な し と い う こ と で 使 用 され て い る 。 6班 『SaytoC-1000」 さ わ や か な 炭 酸 入 りの レモ ン テ ィ ー 。SaytoC-1000ノ ン カ ロ リ ー 。 そ の 秘 密 は 、 甘 さ が 砂 糖 の 3倍 の エ リ ス リム 。 エ リス リ ム に 使 用 され て い る 甘 味 料 は エ リ ス リ トー ル と ス ク ラ ロ ー ス の2つ 。 エ リ ス リ トー ル は 糖 ア ル コ ー ル の 一 種 で 天 然 の 糖 質 だ か ら安 全!!血 糖 値 を 上 昇 させ な い 、 虫 歯 の 原 因 に な る 糖 を 作 ら な いOkcalの 甘 味 料 。 ス ク ラ ロ ー ス は 高 甘 味 度 甘 味 料 の 一 種 で 甘 さ が 砂 糖 の600 倍!!砂 糖 か ら 作 ら れ て い て 安 心 。 だ か ら、糖 尿 病 の 方 、 ダ イ エ ッ ト中 の 方 、虫 歯 に な りや す い 方 な ど な ど、健 康 に 気 を 使 っ て い る 方!!君 た ち はSayToC-1000を 買 うべ き だ っ 。 -42一

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そ れ ぞれ の班 か らの発 表 後 、 一 番 手 に とっ て み た い と思 う商 品 を選 ぶ 。 どの班 の商 品 に も買 い 手 が つ い た が 、第 一 位 の 人 気 商 品 は、3班 の 『恋 す るは ち み つ れ も ん』 で あ っ た。理 由 を 聞 く と、 「一 番 健 康 に よ さそ う」 「自然 の素 材 が使 用 され て い て 安 心 して飲 め る 」 「少 な い と こ ろ に 高級 感 を感 じる」 「レモ ン の果 肉 が ツ ブ ツ ブ で 入 って い て よ か っ た 」 「奈 良 県 産 で 地 産 地 消 な と こ ろ が い い 」な ど多 くの意 見 が あ っ た。 そ の他 、毎 日部 活 をす る生 徒 の 中 に は 、1班 の 『三段 返 し!!!』 を飲 ん でみ た い。 「部 活 の後 の疲 労 回 復 効 果 が あ りそ う」 とい う意 見 や 、5班 の 『ビ タ ミン ウォー ター 』 は 「た っ ぷ りあ る の で得 」、6班 の 『SaytoC・1000』 は 「炭 酸 と紅 茶 の組 み 合 わせ が気 に入 っ て お い しか っ た 」 とい う意 見 な ども あ っ た。 生 徒 た ち の質 疑 応 答 の 中 に は、 健 康 志 向 か ら ビタ ミンCを 多 く含 ん で い る こ と を売 りにす る班 に対 して、 「そ の ビタ ミンCの 量 は適 切 な の か レモ ンの 何 個 分 に相 当す る の か。」 とい う質 問 が あ っ た。 製 造 した班 は 「レモ ン何 個 分 に な る か は わ か らな い が 、 ビタ ミンCは 健 康 に よい イ メー ジが3000と い う数 字 と結 びっ い た 。」 と答 え てい た。 教 師 か らの コ メ ン トと して 、 「日本 人 の食 事 摂 取 基 準 が 定 め ら れ てい て 、一 日に必 要 な ビ タ ミンCの 摂 取 基 準 量 は 高 校 生 で100mgで あ る。な ので3000mgと い う の は多 す ぎ る 量 で あ る。 しか も一 度 に大 量 に摂 取 して も長 く体 内 に蓄 積 す る こ と はで き な い。 使 い切 れ な か っ た ビタ ミンCは 尿 か ら排 出 され て しま う。 ドリン クで 一 度 に大 量 に と る よ りも少 量 ず つ で も こ ま め に摂 取す る方 が 望 ま しい で あ ろ う。 た だ し普 段 の 食 事 で野 菜 や 果 物 をほ とん ど と らな い とい う ビタ ミンC不 足 の 人 に と って は、こ の よ うな飲 み 物 で 摂 取 す る必 要 が あ るか も しれ な い 。」と補 足 す る。 「3班の材 料 で 、い ち ご の は ちみ つ を使 っ た とい うこ とにつ い て 、他 の は ち み つ と は ど う違 うの か。」 とい う質 問 に 、「は ちみ つ はれ ん げ や あか しや が一 般 的 で あ るが独 特 の 香 りや クセ が あ り、い ち ごの は ちみ っ は あ っ さ りと して ほ とん どクセ もな く飲 み 物 の 材 料 に は最 適 だ。」 との応 答 で あ った 。 「この は ちみ つ は 、3班 の メ ンバ ー が 商 品 開発 に熱 心 で 、 放 課 後 に も残 っ て何 度 も試 作 を繰 り返 して い た とき に、 非 常 勤 講 師 の 先 生 が こん な は ちみ つ が あ るの で使 って み た ら … と教 えて くだ さ っ た こ とが き っ か け で使 用 した。 ど こ にで も安 くで は売 られ て い な い ので 材 料 費 が 高 くな っ て い る けれ ど、産 地 の 人 と提 携 して 商 品 開発 す れ ば も っ と安 く作 る こ とが で き るか も しれ ませ ん。」 と補 足 す る。 そ の他 、 教 師 か らの助 言 と して い くつ か指 摘 した 。 「甘 味 料 の ア スパ ル テ ー ム に つ い て 、 フ ェニ ル ケ トン尿 症 とい うの は 遺伝 病 で8万 人 に1人 の確 率 で 発 症 す る とい われ て い る。 生 ま れ た とき に必 ず 行 われ る検 査 で簡 単 に判 定 で き る の で 、 そ の病 気 が わ か っ た らア スパ ル テ ー ム は と らない よ うに 生活 してい る の で 、 普 通 の 人 は ほ ぼ心 配 す る こ とは な い 。 こ のア スパ ル テー ム は長 期 間 炭 酸 水 に溶 か して お く と甘 み が抑 制 され て しま うた め に 、 この組 み 合 わ せ は長 期 保 存 で き な い。 す ぐ に甘 さが な くな っ て しま うとい うこ とで は な い けれ ど、 市場 に 出 回 っ て い る商 品 に もア ス パル テ ー ム 入 りの炭 酸 飲 料 が あ り、 賞 味期 限 が 近 づ く と早 め に 回収 され て い る とい うこ とだ 。 ま た 、 は ち み つ も健 康 に よ い とい う イ メー ジ が あ るが 、1歳 未 満 の乳 児 に は 与 え て は い けな い 。 乳 児 ボ ツ リヌ ス性 食 中毒 とい う疾 患 が あ り、そ の原 因 の25%は は ちみ つ に よ る とい われ て い る。は ちみ つ は 高温 で 処 理 す る よ うな こ とは され ない の で ボ ツ リヌ ス 菌 が 少 し存 在 す る 可能 性が あ る。 大 人 に とっ て は微 々 た る量 な の で 全 く心 配 は な い が、1歳 未 満 の 乳 児 に は は ちみ つ は 与 え な い よ うに とい うこ と も知 っ て お い て ほ しい 。 さて 、今 回 の授 業 で は6種 類 の オ リジナ ル ドリン ク が で き あが った が 、 ち ょ う ど前 半3つ の 班 の 商 品 は主 に天 然 甘 味 料 を使 用 し、 後 半3つ の 班 が主 に低 カ ロ リー の 人 口甘 味 料 を使 用 して い た。 ど ち らが よ い の か 、 カ ロ リー は あ る方 が よい の か ない 方 が よい の か は 選 ぶ 人 のそ の とき の状 況 に よっ て 変 わ っ て くる。 ス ポー ツ の後 エネ ル ギ ー 補 給 が 必 要 な の にゼ ロカ ロ リー の も の を飲 ん で も補 給 に は な らない 。 た だ の ど

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が渇 い て ち ょっ と甘 い 味 の 飲 み 物 が欲 しい だ け な らばエ ネ ル ギー を と る必 要 が な い か も しれ な い。 身 の回 りに あ る い ろ い ろな 商 品 に も 、 同 じ よ うに 見 えて も 中身 が 全 く異 な る もの も あ り、 今 どの よ うな 商 品 が必 要 な の か が わ か った 上 で 、 それ を 見極 め る 目を養 って い っ て ほ しい。」 最 後 に 、 生活 科 学 を共 に担 当 して い る他 の教 師 か らも、 こ の授 業 につ い て の コ メ ン トを頂 い た。 普 段 の授 業 で は 、 同 時 に出 店 授 業 を行 っ て い るた め不 可 能 で あ る が 、公 開授 業 とい う特 典 を生 か して化 学 的 側 面(越 野 先 生)か ら と保 健 体 育 的側 面(中 川 先 生)か らみ て の コメ ン トで あ る。 化 学 的 側 面 か らは、「い ろ い ろ と化 学 の 中 に も応 用 で き そ うな題 材 で 興 味 深 か っ た。食 品成 分 に は4つ の成 分 が あ り、 水 ・エ ネ ル ギ ー源 ・体 を作 る成 分 ・代 謝 機 能 で あ る。 今 回 は こ の うち体 を 作 る成 分 が 使 わ れ て い な い とい うこ と も知 っ て お い て ほ しい 。 甘 味料 の 中 で サ ッカ リンが 使 用 され 説 明 も され て い た が 、 サ ッカ リン の安 全 性 に つ い て は 、コー ヒー に サ ッカ リン を入 れ て 飲 ん だ と して10000杯 飲 む とち ょっ と体 に 影 響 が あ る か も しれ な い とい う程 度 で あ る。 それ よ りも コー ヒー 自体 に含 ま れ るカ フ ェイ ン の方 が致 死 量 とい っ て影 響 が あ り、コー ヒー30∼90杯 で 体 に影 響 が あ る とい わ れ て い る。天 然 の も の が よ くて 人 工 的 な もの は よ くな い の か とい うと天 然 か 人 工 か が 問 題 で は な い。 一 度 に どれ く らい とっ た か 量 が 問題 で あ る。」保 健 体 育 的 側 面 か らは 、 「ス ポ ー ツ 生 理 学 とい う分 野 で研 究 して い た の で1班 の 『三段 返 し』 が とて も興 味 深 か った 。 ぶ ど う糖 は確 か にす ぐ にエ ネ ル ギー 源 に な る けれ ど も、 ス ポー ツ をす る前 にエ ネ ル ギ ー補 給 しよ う と して大 量 に ぶ ど う糖 を とる と、 せ っ か くの パ フォ ー マ ン ス を発 揮 で き な くな る。 それ は 大 量 の ぶ ど う糖 摂 取 に よ りイ ンシ ュ リン とい う酵 素 が働 い て 、 か え って 低 血 糖 を起 こ して しま うか らで あ る。 集 中力 が切 れ て しびれ が 起 こ っ た り最 悪 は め ま い が 起 こ った りす る こ と も あ る。 ス ポ ー ツ 前 に と るの が よい と され て い るの は 果 糖 で あ る。 果 糖 は血 糖 値 を ゆ るや か に上 げ る の で急 激 な血 糖 値 の 変 化 が な くエ ネ ル ギ ー補 給 に効 果 的 で あ る とい うこ と も知 っ て お く とい い。」それ ぞ れ 専 門的 な 立場 の 先 生 か らの 意 見 を 聞 く こ とが で きて 、理 解 も よ り深 ま っ た の で はな い か と思 われ る。 最 後 に 、生 徒 た ち は プ リン トに こ の授 業 につ い て の 意 見 や 感 想 を記 入 して授 業 は 終 了 とな っ た。 生 徒 た ち の意 見や 感 想 を あげ て お く。 ◎1っ の商 品 が で き あが るま で に は い ろ い ろ な段 階 が あ る こ とが わ か っ た。1つ の 飲 み 物 をつ くる に は何 回 も試 作 を繰 り返 した り、 宣 伝 した りして 大 変 で した。 研 究 開発 に は膨 大 な 努 力 が い る こ とが わ か っ た。 宣伝 一 つ で 売 り上 げ が変 わ りそ うだ 。 ◎ 甘 味料 に も い ろ い ろ あ っ て 、エ ネ ル ギー や 温 度 に よ る甘 さの違 いや そ れ ぞ れ の利 点 に よ っ て使 い 分 け られ て い る こ と を知 った 。 同 じ量 の 甘 味料 で も酸 味 料 が 加 わ る と味 が 変 化 す る。 材 料 の配 合 が少 しで も違 うと味 が か な り変 わ っ た。 ◎ 材 料 費 自体 は 安 い けれ ど、 そ れ ま で の 開発 費や 人 件 費 を考 え る と思 っ た よ り利 益 は 出 な い もの な ん だ と初 め て知 っ て 驚 い た 。 ◎1っ の飲 料 を 作 るだ けで も試 行 錯 誤 が必 要 な ん だ と知 っ た。 実 際 、今 売 っ て い る飲 料 を作 り、 ヒ ッ トを飛 ば して い る 人 は す ご い と思 っ た。 ま た 、人 に ア ピー ル す る 目 を引 く記 憶 に 残 るCM・ 広 告 ・ キ ャ ッチ コ ピー を作 っ て い る人 は本 当 にす ごい と思 っ た。 ◎"お い しい"は 簡 単 じゃな か っ た。 どれ だ け 売 れ るの か を考 え る よ りも、 ま ず 自分 た ち がや りた い こ とをや れ ば成 功 す る。 ◎ 市 販 され て い る飲 料 に は とっ て も い ろ い ろ な もの が 入 って い て 、糖 分 を意 識 す る と どれ も甘 す ぎ る し多 す ぎ る こ と に気 づ い た 。 こ の実 験 を行 っ て か ら商 品 を買 う前 に含 まれ る原 材 料 を見 る よ うに な っ た。 -44一

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3.研 究 協 議 の概 要 (1)教 科 「生活 科 学 」 の 概 要 説 明(大 内先 生 よ り) パ ワー ポイ ン ト使 用 2005年 度 の構 想 か ら教 育 課 程 委 員 会 と会 議 を重 ね て き た経 緯 につ い て 2007年 度 よ りス ター ト 構 成 メ ンバ ー カ リキ ュ ラ ム概 要 授 業 形 態 年 間 計 画 な ど (2)授 業 者 よ り 今 回 の授 業 は 出 店授 業 の1つ で 「い組 」 の授 業 だ った 。 い 組 は10,月30日 ス ター トで ま だ1ヶ,月 経 っ て い な い段 階 で の授 業 だ っ た。 しか も研 究会 直 前 にイ ン フル エ ン ザ の た め 学 年 閉 鎖 とな り、慌 し い 中 で の授 業 で何 とか で き あ が っ た の は 生徒 の 力 が 大 きか った 。 今 回 は研 究 会 を意 識 して か 、 どち ら か とい うと優 等 生 っ ぽ い飲 み 物 が で き た よ うに 思 う。 健 康 志 向的 な よ く似 た ドリン ク に収 ま っ て い た よ うに思 う。 他 の組 で は 、 い たず らっ ぽ い ものや ち ょ っ と受 けね らい の ユ ニ ー クな 商 品 な ど もで き上 が っ て い て さま ざま で 面 白い も の も あ っ た。 発 表 も、 パ ワー ポイ ン トで は な く寸劇 タイ プ の ものや 独 自に考 え た コマ ー シ ャル ソ ン グ を作 っ て 歌 を 歌 う班 な ども あ っ た。 この授 業 で は 、 飲 み 物 つ く りを体 験 す る こ とに よっ て 身 の 回 りに あ る商 品 を どの よ うに して見 極 め るべ き か を考 え させ よ う と思 っ て行 っ た。 生 徒 た ち の 科 学 的 知 識 との兼 ね 合 い で ど こま で 科 学 的 な も の が持 ち 込 め るの か が 難 しか っ た。 が、生 徒 た ち は意 欲 的 に取 り組 ん で そ の成 果 が 現 れ て い て よか っ た と思 う。後 ろに 置 い て あ る生 徒 た ち がつ くっ た オ リジ ナ ル ドリン ク も是 非 試 飲 して み て くだ さい 。 (3)質 疑 応 答 Q.製 作 者 側 の視 点 に立 って の商 品 の提 示 の仕 方 な ど は指 導 を して い た の か。 A.時 間不 足 もあ り、 生 徒 た ち に十 分 伝 わ っ て い な い か も しれ な い が 、材 料 費 な ど を考 え る と ころ か ら、広 告 料 や 光熱 費 な どを考 え させ て 、 全 体 を仕 上 げ る ま で に掴 め て い けた か と思 う。 Q.材 料 費 な どの 計 算 意 図 は?例 え ば 、安 く しな けれ ばい け な い とか い っ た の か? A.そ うい うこ とは 言 っ て い ない 。 1本150円 で 売 り出 す こ とは共 通 と して 、使 用 した 材 料 か ら1本 分 の材 料 費 を計 算 し、残 りの費 用 は何 に使 われ た の か を考 え させ た。 班 に よ っ て は 、材 料 費 が 安価 で あ っ た た め1本1500mlの 商 品 に した 班 や 、材 料 費 が か さむ の で 同 じ価 格 で も350mlに した班 な どが あ り、 これ らは 生徒 た ち が 考 えた 。 Q.時 間 の制 約 が あ る 中で 、 最 後 ま で プ レゼ ンま で よ くお さめ られ た と思 う。 環 境 学 的 な視 点(ユ ー ザ ー 視 点)は ど うか? 実 際 に売 られ て い る場 所 な ど、 フ ィー ル ドワー クな どを取 り入 れ て み るの も よい の で は な い か。 細 か い科 学 的 な もの も よい が 、 大 き な視 点 で や るの も よい の で は。 生徒 も専 門 的 す ぎ て面 白 くな い とい う声 が あ るの で は ない か。 A.い ろ い ろや りた か っ た の だ が 、商 品 を作 っ て マ ー ケ テ ィ ン グ もフ ィール ドワー ク も と行 うに は 、 時 間的 な制 約 も あ り、不 十 分 にな った か も しれ な い。時 間 が あれ ば 、飲 料 メ ー カ ー へ の フ ィー ル ド ワー ク も取 り入 れ る とお も しろ い な とは 思 っ て い た が 。 Q.生 徒 の プ レゼ ンは 楽 しそ うだ っ た。 A.あ りが と うご ざい ま す 。 Q.感 想 です が 、子 ど もた ち は結 構 、健 康 を意 識 した ドリン ク を た く さん 作 っ て い て 、 「健 康 」 を意 識 した もの に な っ て い た あ た りが面 白か っ た と思 う。 現 代 の社 会 を反 映 して い る と思 う。 市 販 の ドリン ク を飲 む とい うこ とは こ うい うこ とだ とい うこ とを考 え な が ら行 うと、 一 層 面 白い

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も の に な っ た か も しれ な い 。 A.特 に健 康 に関 す る ドリン ク を と指 定 させ た(意 識 させ た)と い うこ とは な い が 、生 徒 た ち が話 し合 い をす る 中 で 、 この よ うな ドリン ク が で き あが った 。 Q.う ち の学 校 の 生 徒 た ち よ り しっ か りして るな あ と感 じた。 市 販 の ドリン クに 対 す る批 判 的 な視 点 もい るの か な あ。 自作 す る とい うこ とか ら、 普 段 飲 ん で い る も の を考 え て い く とい うの も面 白い の で は な い か 。 ス ポ ー ツ ドリン クな ど も糖 質 が 多 い よ うに 感 じ られ る。 価 格 面 や 安 心 に 関 して も考 え て い け る よ うな展 開 も面 白い よ うに思 う。 A.市 販 の ド リン ク を使 用 した官 能 検 査 や 糖 度 測 定 な ども授 業 中 に行 っ た。 含 ま れ る砂 糖 の量 の 多 さ に 、生 徒 た ち は 驚 き を も っ て受 け とめ て い た 。 市 販 の も の を使 っ た 実験 な どの 授 業 を して か ら新 商 品つ く りを した の で 、 そ の授 業 の影 響 で砂 糖 控 え め な どの ド リンク が 多 くみ られ た の か も しれ な い。 Q.化 学 と体 育 の教 師 か らの コ メ ン トな ど もあ り(良 い 意 味 で)贅 沢 だ な あ と感 じた 。 今 回 の授 業 以 外 で も連 携 な どは あ るの か? A.週 一 回 の会 議 は して い る が、2007年 度 は 、 教 材 な どを持 ち寄 っ て 学 習 内容 を吟 味 す る こ とが で き た が 、最 近 は 行 わ れ てい な い。 Q.生 物 専 門 だ が 、 今 回 は生 物 が な い の で この授 業 をみ た。 現 在 本 校 で は 水 をテ ー マ に授 業 を展 開 して い るが 、 本 校 の家 庭 科 の教 師 に ア ドバ イ ス で き る材 料 が な い か と思 っ て きた 。 大 変 面 白か っ た。 (4)高 村 仁 知 先 生 よ り指 導 助 言 高 校 の授 業 をみ た の は 初 め て だ っ た。AGの 授 業 な どを して い る が 、 そ の と きの こ とも含 め 、 生 徒 は生 活 して い く と き にサ イ エ ン ス の こ とが わ か って い ない こ とが 多 い。 こ うい う授 業 をや る と、生 活 をす る とき に科 学 的 な視 点 が必 要 だ とい うこ とが わ か っ た の で は な い か と思 う。 教 え る 教 師 につ い て も、 科 学 的 な視 点 を も っ と十 分 意識 して 指 導 して ほ しい。 砂 糖 とサ ッカ リン な ど、 一 元 的 に人 工 的 か 天 然 の も の か で も の を考 え る とい うの は 間違 っ て い るの だ とい うこ とを 、せ っ か くな の で この授 業 が な くな っ て も 、ぜ ひ行 っ て い って ほ しい。 飲 料 メー カ ー の飲 み 物 の原 材 料 は 、私 が 聞 い た とこ ろ に よ る と1円 ほ ど。 メ ー カ ー 側 は企 業 秘 密 で教 え て くれ な い だ ろ うが 。 我 々 が何 を食 べ て 生 きて い る の か原 材 料 な ど をみ て 、 意 識 して生 活 して い く とい うこ とが 大 切 で あ る。 そ この と こ ろ を これ か らも もっ と上 手 く指 導 してい っ て ほ しい。 (5)参 加 者 の感 想 ◎ 生 活 科 学 の飲 み物 つ く りを通 して は 生徒 の 身 近 に あ るモ ノ を題 材 と し、原 材 料 の 成 分 を考 え させ 、 理 科 的 な知 的好 奇 心 を刺 激 す る た いへ ん 素 晴 ら しい 授 業 で した。 他 教 科 との 関連 を考 え る と、社 会 でマ ー ケ テ ィ ン グ につ い て 考 えた り、 美 術 で ラベ ル や 容 器 のデ ザ イ ン、 広 告 宣 伝etc、 デ ザ イ ン学 習 に生 かせ る と思 い ま す 。 ◎ 生 活 科 学 の授 業 を拝 見 させ て頂 き ま した。 本 校 で も生 活 科 学 が学 校 設 定科 目に な って い ます が 、保 健 体 育 と家 庭 科 の み の 合 同 な の で 、化 学 との3科 協 同 とい うこ とで 興 味 深 か っ た です 。 最 後 に 、化 学 、 体 育 の先 生 か ら異 な る視 点 の コメ ン トが あ りま した が、 あれ を事 前 な い しは、 生 徒 の発 言(授 業)中 に か らめ て ゆ けた ら尚、 素 晴 ら しい と感 じま した。 大 変 参 考 に な りま した 。 あ りが と う ご ざ い ま した。 -46一

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5.お わ りに(成 果 と課 題) 今 年 度 の 生活 科 学 の授 業 で は 、身 近 な食 品 を多 角 的 に見 つ め る こ とに よ り、我 々 の食 を と りま く 環 境 を科 学 の 目で 分 析 し、 食 と健 康 との 関連 にっ い て 考 え、 将 来 の健 全 な食 生 活 に生 か して い け る 実 践 力 を 育成 す る こ と を 目標 と した。 身 近 な食 品 と して飲 み 物 に焦 点 を絞 り、 ま ず は市 場 に 出 回 る 飲 み 物 の 実態 に つ い て 分 析 し、 そ の後 、 自分 た ち で飲 み 物 の新 商 品 開発 とマ ー ケ テ ィ ン グへ と展 開 した。 生 徒 た ち は 、 これ ま で何 気 な く選 ん で い た飲 み 物 へ の見 方 が変 わ り、砂 糖 の 量 が 気 に な る よ うに な っ た とか表 示 を気 にす る よ うに な っ た とい った 感 想 も あ る一 方 、や は り自分 の 好 き な も のや お い しい と感 じ る もの を選 び た い とい っ た感 想 も あ っ た。 飲 み 物 つ く りを終 えて か らは 、原 材 料 費 の安 さを考 え る と買 う気 が しな くな っ た とい う意 見 が あ る一 方 、 お い しい飲 み物 をつ く り出 して ヒ ッ トを飛 ば して い る飲 料 メー カ ー はす ごい とい う意 見 も あ る な ど様 々 で あ っ た。 消 費 者 の立 場 と製 造 者 の立 場 とは 、 全 く逆 の 立 場 で あ る が 、 生徒 た ち は これ ま で に体 験 した こ との な い 製 造 者 側 の立 場 に も 立つ こ と に よっ て 、 単 に原 材 料 だ け で な い い ろい ろ な角 度 か ら食 品 を と ら え る とい う視 点 を 持 つ こ とが で き た よ うで あ る。 今 後 、 この よ うな視 点 を実 生 活 に どれ だ け 生 か して い け る の か が 問 われ る と ころ で あ るが 、 消 費 者 と して 商 品 を 手 に した とき、 こ の体 験 が何 らか の 影 響 を与 え る こ と を期 待 した い。 そ して 、 指 導 助 言 い た だ い た よ うに、 日常 生 活 の 中 で サ イ エ ンス の観 点 が生 か され る こ とを期 待 した い 。 反 省 点 と して 、 この授 業 を展 開す る に 当 た り、 生 徒 た ち の科 学 の知 識 が ど こま で あ る の か が把 握 で き て い な か っ た 。 甘 味 料 と して使 用 す る糖 質 に は単 糖 類 や 二 糖 類 、 多糖 類 な どの 種 類 が あ り、 そ れ ぞ れ 性 質 や 構 造 、使 用 目的 も異 な る こ とや 、 糖 質 か らエ ネ ル ギー 産 出 へ の 過 程 な ど とい っ た 内容 は、5年 生 の化 学 選 択者 で も ま だ学 習 して い な い とい うこ とを 、授 業 をや り始 めて か ら知 っ た の で あ る。 コンセ プ トに合 った 新 商 品 を 開発 す るた め に、 どの甘 味料 を どん な 目的 で 使 用 す る とよ い か を考 え させ るの にそ の 説 明 が必 要 で あ っ た。 しか し生 徒 た ち は 、 ま だ 学 習 して い な い 内容 で あ る に も か か わ らず 、 自分 た ちで 性 質 や 構 造 を調 べ た り、 人 工 甘 味 料 の歴 史 を振 り返 り是 非 につ い て も考 え た り と、科 学 へ の 知識 欲 が大 変 旺 盛 で あ り、 調 べ た こ とを説 明 で き るま で に な れ た こ とは 、 生徒 た ち に も 自信 とな っ た よ うに思 う。 ま た今 回 の授 業 で は、 公 開研 究 会 の特 別 企 画 と して 、 普 段 は 同時 に授 業 を行 う生 活 科 学 の授 業 担 当者 か ら、化 学 的側 面 と保 健 体 育 的 側 面 か ら コメ ン トをい た だ く こ とが で き た。 普 段 の 出店 授 業 で は、 担 当者 それ ぞ れ が 自分 の専 門性 を 生 か した授 業 を展 開 して い る が 、 同 じテ ー マ の授 業 を別 の角 度 か ら見 っ め る視 点 を示 してい た だ き 、生 徒 た ち も授 業 全 体 が有 機 的 に機 能 して い る と実 感 で き た の で は な い だ ろ うか 。 参加 者 か らの意 見 の 中 に あ った よ うに 、社 会 科 と連 携 して マ ー ケ テ ィ ン グ に つ い て考 え させ た り、 美 術 と関連 させ て 、容 器 や ラベ ル のデ ザ イ ンや コマ ー シ ャル 作 りな ど宣伝 広 告 を考 え させ るな ど、 他 教 科 との連 携 も可 能1生が あ る と考 え られ る。 今 後 も よ り有機 的 に総 合 的 に 機 能 す る よ うな授 業 内 容 を工 夫 して い けれ ば と考 え る。

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資 料1 2009年 度 公 開 研 究 会 公 開 授 業 生 活 科 学 学 習 指 導 案 日時2009年11,月21日(土) 第1限(9:30∼10:20) 学 級 第5学 年 い組 男 子15名 女 子15名 計30名 場 所 被 服 教 室 な が そ の り こ 指 導 者 創 作 科(家 庭)永 曽義 子 1.題 材 食 を と りま く環 境 を考 え る 一飲 み 物 つ く りを通 して 一 2.題 材 設 定理 由 生活 科 学 とは 、 日常 生 活 にお け る諸 現 象 を科 学 的 な 視 点 で と らえ判 断 す る力 を 育 成 す る こ とを 目標 と して 、4人 の担 当者 が 専 門 性 を生 か した 出 店 授 業 を 中 心 に 展 開 して い る本 校 独 自の 総 合 学 習 で あ る。 この授 業 は、 そ の うち の1コ マ で あ る。 近 年 、 社 会 の変 化 と と も に生 活 ス タイ ル も猛 ス ピー ドで 変 化 を 遂 げ 、 どの よ うな 生 活 を構 築 す る か が個 人 判 断 に委 ね られ る現 代 にお い て 、5年 生 とい う時 期 に 生 活 を科 学 的 に 見 っ め る視 点 を 持 っ 機 会 は 大 変 意 義 あ る こ とで あ る。 生活 科 学 が ス ター トした3年 前 は 、 メ タ ボ リッ ク シ ン ドロー ム とい うこ と ばが 流 行 語 に な る な ど、食 生 活 と健 康 との 関連 性 に 関心 が高 ま り、 「食 と健 康 」 をテ ー マ に授 業 展 開 した。 現 在 にお い て も食 と健 康 に 関す る情 報 や 健 康 食 品 と うた われ た 商 品 が 氾 濫 し見極 め が難 しい状 況 で あ る。 そ の後 、食 の安 全 性 を揺 るがす 事 件 が 頻 発 し、食 を と りま く環 境 は い っ そ う複 雑 にな って き て い る。 ま た 市 場 で は常 に若 者 を ター ゲ ッ トに した 新 商 品 が 次 々 と登 場 し、 消 費 者 は見 た 目や イ メー ジ に 左 右 され や す い。 この よ うな 中 で 、 正 しい 知 識 を持 ち、 将 来 に わ た って 健 康 な食 生 活 を営 み 、 自 己 の能 力 が 最 大 限 に発 揮 され る よ う食 につ い て の認 識 を持 つ こ とは 非 常 に重 要 に な っ て きて い る。 そ こで 、 今 年 度 の 取 り組 み は 、身 近 な 食 品 を多 角 的 に見 つ め る こ と に よ っ て 、 これ ま で 気 づ か な か っ た側 面 に も着 目 し、 今 後 の 商 品選 択 の 目に科 学 の光 を 当 て て ほ しい と考 えた 。 生徒 た ち は、 食 品選 択 に際 し食 品表 示 に留 意 す る よ う学 習 して は い るが 、 欲 求 に任 せ て ほ しい もの を好 き な だ け選 ぶ こ とも 中 高 生 に は あ りが ち な こ とで あ る。 授 業 で は 、生 徒 た ち の身 近 な食 品 と して 飲 み 物 に 焦 点 を絞 り、 味 覚 に よ る官 能 検 査 と原 材 料 との 比 較 や 糖 度 測 定 を通 して 、身 の 回 りに 流 通 して い る飲 み 物 の現 実 を 知 る こ とを導 入 と した。 次 に 、 思 わ ず 手 に とっ て み た くな る の は どん な 商 品 か を考 え なが ら新 商 品 を開 発 し売 り出 して み る。 この 体 験 を通 して 、食 品 に使 わ れ る材 料 の 科 学 的側 面 を知 り、 よ く似 た 食 品 で も全 く異 な る特 徴 を 持 ち 目的 に応 じた 選 択 が必 要 で あ る こ とや 、 商 品 が ど の よ うに して 生 まれ 売 り出 され てい る の か 、 商 品 の価 格 は 何 につ け られ た もの な の か等 を考 えて み て ほ しい。 そ して 、 市場 に出 回 る商 品 の本 質 を見 る 目 を養 い 、 今 後 の 生 活 に役 立 て て ほ しい と考 え る。 3.題 材 の 目標 ① 食 品 の原 材 料 を科 学 的 な 視 点 か ら見 つ め る こ とに よ り、 そ の食 品 の本 質 に つ い て 考 え る。 -48一

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② 市 場 に出 回 る食 品 は ど の よ うに して 作 られ 流 通 す るの か を飲 み 物 つ く りを 通 して 体 験 す る こ とに よ り、身 近 な食 品 を多 角 的 に 見つ め る態 度 を養 う。 ③ 身 の回 りに氾 濫 す る食 品 に対 して、今 後 どの よ うな観 点 で真 価 を 見 極 め選 択 して い くの か考 え る。 4.生 徒 の 実 態 生活 科 学 は 学 年 を4分 割 して 、 い ・ろ ・は ・に組 の4講 座 編 成 と し、各 講座 約30名 ず つ で構 成 して い る。各 ク ラ ス約10名 ず つ 、名 列 順 に編 成 した メ ンバ ー で あ る。本 時 はそ の 「い組 」で あ る。 班 編 成 も、 い組 を名 列 順 に機 械 的 に 決 めた メ ンバ ー で あ る。 授 業 テ ー マ に沿 っ て 、 同 じ 目的意 識 を持 っ た メ ンバ ー で 班 編 成 を考 え て も よい か も しれ な い 。 尚 、本 時 の み 物 理 と重 な って い る生 徒 が数 名 抜 け て い る。 社 会 的 な 健 康 志 向 の 高 ま りか ら、 生 徒 た ち も身 近 な食 品 に は 関 心 を も ち 、 それ ぞ れ の考 え で食 品選 択 を して い る が 、 そ の食 品 の本 質 に ま で迫 る こ とは ない 。 この授 業 を受 け るま で は、 甘 味料 の 実態 を 知 る こ と も な く、飲 み 物 につ い て もそ れ ほ ど深 く考 え て選 ぶ こ とは な か った よ うで あ る。 5.指 導 計 画(全9時 間) (1)官 能 検 査 ・糖 度 測 定 ・・…2時 間 (2)食 品 の原 材 料 比 較 ・甘 味 料 につ い て ・・…1時 間 (3)新 商 品 開発 の 企 画 会 議 ・・…1時 間 (4)新 商 品 の飲 み 物 つ く り ・・…2時 間 (5)発 表 準備 ・試 飲 に よ る評 価 ・・…2時 間 (6)新 商 品発 表 と商 品 の選 択 ・・…1時 間(本 時) 6.本 時 の 題 材 「新 商 品発 表 と商 品 の選 択 」 前 時 ま で に 、 各 班 で 飲 み 物 の新 商 品 開発 に取 り組 み 、 新 商 品 が で き 上 が っ て い る。 本 時 は 、 そ れ らの 商 品 を 各 班 ご と に説 明 を して ア ピール し、 お 互 い に評 価 しあ う時 間 で あ る。 7.本 時 の 目標 ① 新 商 品発 表 に 際 し、そ の商 品 の コ ンセ プ トと使 用 した 原 材 料 の 特徴 との 関 連 をわ か りや す く 説 明 で き る。 ② プ レゼ ンテ ー シ ョン につ い て は、 班 員 で協 力 し簡 潔 にま とめ る こ とが で き る。 ③ 各 班 の発 表 を 見 て 、適 切 な商 品 選 択 を して 、 そ の選 択 理 由 が 目的 に合 致 して い る。 ④ 新 商 品 開発 の 企 業 側 の 立 場 と、 消 費 者 の 立 場 と を理 解 し、今 後 の 商 品選 択 につ い て 考 え る。 8.本 時 の 展 開 学 習 活 動 指 導 上 の 留 意 点 教 材 導 各 班 で 、 新 商 品 発 表 の た め の 準備 発 表 準 備 及 び 順 番 等 の 確 認 を す 各 班 の オ リジ ナ ル ド リ 入 をす る。 る。 ン ク プ レゼ ン の た め の機 器

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9.評 価 ① 商 品 開発 に は コ ンセ プ トが あ り、 そ の 目的 に応 じた材 料 が あ る こ とを理 解 で きた か 。 ② 食 品 の原 材 料(こ こ で は飲 み物 に使 用 され て い る甘 味料)に つ い て、 そ の 種 類 や 特 徴 が理 解 で き た か。 ③ 消 費 者 の 立場 と して 、 商 品 に は 目的 に応 じた選 択 の 仕 方 が あ る こ とを理 解 で きた か 。 参 考 文 献 「N・SATOの 生 活 科 学 実 験 講 座 ① 食 と健 康 」 佐 藤 典 子 著 教 育 図 書 「N・SATOの 生 活 科 学 実 験 講 座 ② 食 生 活 と食 文 化 」 同上 「食 べ 物 と健 康1食 品 の 科 学 と技 術 」 菅 野道 廣 上 野 川 修 一 山 田和 彦 編 集 南 江 堂 「食 べ 物 と健 康 皿 食 品 の 安 全 性 」 同 上 一50一

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公開授業 「生活科学」資料(授 業用 プリン ト)1,輩 生緋,飲 み 物の新 商 品を作 。てみ よ う,」Il④,ベ ル作,._.商 品の,べ,レに はどんな脚 書 蜘 い 、か?・ 。 実際の表 示を見て調べてみ よ う! 、('〕'5年(嘲 氏名()商 品に 「原酬 名嘘 示」をするときの決まり

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1∫ どうすれば よいのかを考えま しょう。 翻原材料; ….瀞 また ,ふ だん何 気なく飲ん でいる飲み物の 「味」 や 「さわやかさ」の秘' 密も,実 習 をとお して学んでみ ましょう。 ① 新 商 品 の企 画会 議(ど の よ うな コ ンセ プ トで飲 み 物 をつ くるの か?そ の た め には ど んな 材料 を使 う 幽内容量:翻 賞味期娘: の か?ど ん な容 器 を使 うの か?容 量 は?な ど) 動保存方法=㊥ 販売者= ⑤ 商 品 を 売 るた め に は他 に どの よ う な こ と が 必 要 か? ② 原 材 料 の種 類 ・分 量 を決 め る。 原 材 料例 水ml I甘 味 糊 砂 糖'は ちみ つ 國果糖 エ リ刈 トー ・レ れ ゴ糖 な ど) (アス パル テ ー ム ・L・フ ェニ ル ア ラニ ン化 合物 ・アセ スル ファ ムK・ サ ッカ リンな ど) ㎝ ト ・ 酸 味料(ク エ ン 酸)9 1香 艶料料i ・'⑥ 商 品 あ 価 格 とそ の 内 訳 を 考 え よ う。 そ の他(V.C・ レモ ン果 汁 ・ア ミ ノ酸 ・) ③ 材 料 を混ぜ 含 わせ る。(例) 順 序1,水 に 目『味 料 を溶 かす ・ … 味 を確 か め る 1:欝 諜 る::::鷺 欝1な 。たか ⑦ 二齢 てみ踊 品は・ ・… 一 班のr,』1 4,着 色料を加える..._見 た 目はどうなったか それはなぜです か? ◎ 混ぜ合わせる過程での考察ポイン トI I ユ.水 に砂 糖 を溶 かす の と液 糖 を 混ぜ るの とで は どん な違 いが あ るか?… 2.水 に甘 味料 を混ぜ 味 を確 か め る と? ◎ 飲 み 物 商 品 を っ くっ て み て 考 えた こ と ・感 想 3.そ こ に酸 味料 を加 え味 を確 か め る と? 4,香 料 や 着 色料 を加 えて み て感 じた こ とは? 5.そ の他 気 づ いた こ と 嫡 繍 謁1咽 虞 違 へ い b而 機 肺 た飲み騰 計で測定する…'1%1難

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生活科学い組 オ リジ ナル ドリ ンク 資 料 1班2班3班 鳶 三段返 し1!!VAITALチ ャージ1恋 するはちみつ レモン スパークll呈 グ。一ズ ビタ ミ考 オーターS・yt・6毯 一1… 名'3000Cプ ラス ∼甘ず っぱいきみへ∼'i オレンジ風昧 ∼桃色の衝撃 をあなたに∼ 甘いの … ラ ㊤品名 清鰍 琳 。品名 清涼飲料水 。品名 清涼鋼 水 綿 名 灘 酬 水 綿 劉 青涼騨 水 ●品名 炭酸酬 水 旨 べO原 材料名 高果糖液糖 砂糖、 ●原材料名 高粟糖液糖 オリゴ ●原材料名 はちみつ(奈良県 ●原材料名 炭酸水・バラ水・甘 ●原材料名 ビタミンC・甘味料 ●原材料名 炭酸水・甘味料(工 … ル ぶ どう糖、酬 着鰍 酸 糖、甘味料 α1」スリトール)、 産あきひめはちみつr。 。%)、!味 糊 エ リス リ トー1レ・アスパ(サ ・カリンN・)蔭 色料・ レモ1」 スリ トール ・スクラロー ス)、 …

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●賞味期限 ボ トル上部に記載 ●内容豊500m1● 賞味期限 ボ トル上部に記載 はちみつ・酸味料(ク エン酸)・O賞 味 期限 ボ トル上部 に記載 ●賞 味期限 ボ トル 上部に記載 ●保存方法 直射 日光 をさけて ●賞味期限 ボ トル上部に記載 ●保存方法 直射 日光 をさけて 香料・番色料 ◎ 保存 方 法25℃ 以 下の 日 陰 ●保存応 法 直射 日光 をさ けて 保存 して ください。 ●保存 方法 直射 日光をさ けて 保存してください。 ●内容量500mlで 保管 して くださ い、 保 存 して くださ い、 ●販売者(萄)い くた 保存してください。0販 売蓄 ●賞味期限 ボ トル上部 に記載 ●販売 者 とりいさん ●販売 者 ㈱ よ しけん。 ● 販売者NAG-ASQ株 式会社 ●保存 方法25℃ 以下 の 日陰 で1 ㈱DAIS。NCOMP酬,保 管 して くださ い。 良li● 販売者CanOan(株) __} 1轍 鷲1階 たり)室 鞭 お諭1当 たり)難 妻示(]:躍 1当たり)・i_示(1。 。m1当たり)栄 養成_。Qm1当 たり)_示(r。 。m劇) たんぱく質 ・・ たんぱく質 。・ たんぱく質 ・・}エ ネルギー88kca1エ ネルギ ー ・k・alエ ネル ギー1k・ ・1… 1旨質0・ 脂質0・ 脂質 ・・}た んぱく質 。9 1た ん ぱく質0・ たん ぱく質 α1・

炭水化物8.4g炭 水化物8g炭 水化物4g脂 質Og脂 質Og脂 質Og

'ナトリウム0 .01mgナ トリウムOmgナ トリウム04mg炭 水 化物249炭 水化物09炭 水化物269 カルシウムO・01mgビ タミンC600mgビ タ ミンC25mglナ トリウムQ2mgナ トリウム5mgナ トリウム1m9 ビタ ミンC66mg 「 材料費2円 材料費6円 材料費13円 本 試作料40円 商 品開発費24円 商品開発費50円 材 料費3円 材料費 「.「円 材料費7円 1ラ ベル料'容 器料20円 人 件費25円 入件費 ・利益87円 研 究費90円 広告料5円 研究費30円

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