アhe/aPanese ∫ournal oゾPsychonomic Science ]990
,
Vol.
8,
No.
2,
83−
94視
的
対 象
の
位 置 検 出 機 構
一一一
副 尺 視
力
を中
心 に し て舟
川
政
美
D 北星学 園 大 学Mechanisms
for
discriminating
relativeposition
of visual objects
and
their
relevanceto
vernier acuityMasami
FuNAKAwA
Hokusei
GafeZten
こiniversitJ・
In this review so皿 e τecent
psychophysical
studies concerning mechanismsfor
spatiailocalization
of
visual
objects
,
especial 星ythose
that
relate
to
verDier hyper
・
acuity 量nboth
static and dynamic situations were surveyed a1コd cliscussed.
The viewpoint adopted was tQ regard the function of tlle early visual process孟ng tobe
theloca
艮analysis of spat 孟al frequency with Ioca且ized fiiters,
Three approaches werc in
.
troduced and commented upon to explain vernier aculty,
aDd theplaug
.
ibilities of the respective approach were evaluated.
Thus,
verllier acuity 皿aybe
understood by supPosing a process of localizing visual edges,
orie 口tation selectiv 重ty and 〆orphase sensitivity of visual channels
.
Moreover it was poillted oLlt that the spati侃 emporal averaging of vlsual positions was essentialin
the case ofdynamic
vernier acuity,
especiallyfor
detectiQn
Qf the temporal offset,
Key
words : spatial vision,
vernier acuity,
spatial localization,
Gabor
f
しmctien,
motion per.
ception 1
.
は じ め に 本 論 文に お い て,
我々は,
運 勤 対 象 を含 む 視 的 対 象の 位置 検出とい う主題の下で,
心理物理 学 的 研 究を概 観し,
人 間の視 覚 系に おける時 間と空 間の情 報 処理の仕 組み に っ い て考 察し たい,Marr
(1982
)は,
視覚に と一
)ての中 心 的 課 題を,
画 像 (網躑 象)か ら事物の形 状と位 置の内 的表 象を作 り上げること と見 なし,
まず 初め に,
強 度 変 化な ど画 像から直 接 得られる 2次 元 画1
象の特 質が表 象 さ れ る と述べ た.
こ こで扱う位 置 検 出とい う問 題も,2
次 元 画 像の特 質 として の位 置の検 出である.
視 的 対 象の位 置 検 出とい う観 点か ら, 網 膜像を基 本的 に は次の よ うに認 識で きる,
網膜 廉が表現してい るのは,
輝 度 分 布であり,
時 空 間 的な強 度 変 化,
あるい は, 時空1
) 本 論 文の作 成にあた り御 指 導 を 頂 きま し た北海道大 学 相 場 覚 教授に深 く感 謝い た し ます.
間 的 に さ ま ざ ま な位 相 閼 係にある空 間 周 波数成分 であ る.
強 度変化の検 出に は,
その振 幅や空 間的な広が りの 他,
位 置に関 する情 報の 符 号 化が伴っ てい な け ればなら ない.
空 間 周 波 数の分 析に お い て は, 位置検 出は, 位 相 の検 出で ある.
ま た,運 動対 象の位置 検 出とい う問題は,
視 覚 系の時 空 間 特 性 と密 接な関 係に ある.
ある瞬間の位 置を正 確に検 出 する た め に は,
時間分解 能が高い 方が有 利であるが,
ノ イズ の影 響を受け易くな る.
これを避 け る ため に は,
空 間 的 な 加 重 範 囲を大 きくすればよいが,
これは,
空 間 的解像度の 低下を意 味してい る.
本 論 文で は, 主に, 静止場 面及び運 動 場 面に お い て,
2つ の対 象 間の相対 的な位 置の検 出が,
驚 くべ き精 度で なされ るこ と, 即ち,
副 尺 視 力 (vernier acuity )に 関 す る研究を概 観 する.
さらに,
その媒 介 機 構と して, エ ッ ジ倹 出過程,
傾 き (orientation )に選 択 的な機 構,
位 相に感度 を もつ 機 構の 3つ を 挙 げ,
各々に関 する主要な84 基 礎 心 理 学 研 究 第
8
巻 第 2号 研 究を概観 し,
その妥 当 性につ いて考察 する.
まず
,
視 的 対 象の位置検 出と い う観 点か ら,
視 覚系の 初 期 過 程を簡 潔に素 描し て お こ う,
解剖学 的に,
視 覚 系 の初 期 過 程と は 眼 か ら有線 皮 質 まで を 指 す.
この間に視 覚 清 報 処理機構と して,
大ま か に,
眼の 光 学系・
網 膜・
外 側 膝 状 体 (LGN
)・
有線 皮 質がある.
眼の光学系は
,
情 報 処 理とい うよ り も網 膜構造と一
体 と なっ て入 力の S/N 比を向 上さ せる働ぎを してい る.
照 明レ ベ ル に応 じて瞳 孔の大 き さを変 化さ せ,
球 面 収 差 や 色 収 差の影響を小さくする こと や,Stiles
−Crawford
効 果 とし て知られる錐 体の方向 性, 水晶 体や黄 斑の色素 に よ る短 波 長 光の 吸収,
受容 器 に より吸 収され なか っ た 光の 大 部 分を 色 素 上 皮 が 吸収する こ とな どで ある.
中・
長 波長に高い感度を有 するM,L
錐 体 が錐休 全体の 90−
95%を占め るこ と,
短 波 長に感 度 を 有 するS
錐体が強度 変 化の検 出機 構に 入力し て いない らしい こ と も,
色 収 差 の影 響の軽 減に大い に役 立っ てい る.
神経系に よ る 情 報 処 理 が初め て行な われるの が, 網 膜 で あ る
.
網 膜で は,
中心 窩の存 在,
離心率に伴う錐 体 と 杆 体の分布の変 化が,
その機 能 的 構 造の 大 ぎな特 徴であ る.
光受容器に よる網 膜 像に対 する空 間的なサ ン プ リン グにつ い て は,
後 述 する.
位 置 検 出に関して 決 定 的な情 報処 理 が,
光 受 容 器・
水 平 細 胞・
双極 細 胞 間の シ ナ プス 結 合と,
双極 細胞・
ア マ ク リン細 胞・
神 経 節 細 胞 間の シ ナプス結 合とい う2つ の水 準の複雑な神 経回路に おい て 行 なわれる.
双極 細胞は受容 野を持っ 最 初の細 胞であ り,
受 容 器か ら直 接入 力 を得る ほ かに,
水 平 細 胞か ら間 接 的 な 入力を得る.
神経 節 細 胞 も,
双極 細 胞か ら直 接入 力 を 得る ほ かに,
ア マ ク リン細 胞か ら間 接 入 力を得る.
即 ち,
双極細胞や神経節細胞は,
ある領 域にわた る情 報を統 合 して お り,
必 然 的に網 膜 上に存 在 する位 置 情 報は あ る 程 度 失われて し ま う.
有 線皮質には
,
Ilubel& Wiesel (1959,
1968)に よ り 発見された単 純 細 胞がある,
単 純 細 胞は,
網 膜 神 経 節 細胞 及 び外側 膝 状 体の X 細 胞 (Enroth
−
Cugell &Robson,
1966)か らの入力を受 けて い る と考え られる (Kaplan & Shapley, 1982)
.
単 純 細 胞やX
細 胞は,
その受 容 野内の 空 間 加 重 特 性の線 形 性に よっ て特 徴 付け ら れ る.
時間 加 重 特 性は,
線 形 的 (sustained )な ものか ら そ うでない も の (transient )まで,
ま んべ ん な く存在し ている.
Ca皿 P・
berl
&Robson
(1968
)以来,
視覚系の初期過程を,
複 数の空 間 周 波 数チ ャネル の集 合 と見 なす とい う仮 説は,
多 くの生 理 学 的・
心 理 物 理 学 的 研 究に よっ て支 持 さ れて お り,
そのよ うなチ ャネルに よる“
勧 所 的な空 間周波 数 分 析”
の 合 理 性 も 指 摘 さ れ て いる (DeValois
& De Valois,
1988
).
そ れぞれの空 間 周 波 数チ ャネルは,
感 度 が ピー
クと な る 空 間 周波 数,
帯 域幅, 時間空間 的 加 重 特 性な どで異なっ て い る,
こ の空 間 周 波数フ ィ ル タを 具 体 化し てい る神経単位 が単 純 細胞で あ り, その受 容 野 構 造 は,
空間 周 波数と その振 幅のほ か位 相 情報を符 号 化で きる と考 え られる (Field &
Tolhurst,
1986;De
Valois
& DeValo
{s,1988
).
本 論に お い ても,“
視覚 系の初期 過程は,
局 在 する空 問周波数フ ィ ル タ に よる局所的な周 波 数 分 析で あ る”
とい う立 場か ら,
視 的 対 象の位 置検出 と い う問 題を考 察し たい.
2.
副 尺 視 力 (vernier acuity ) 副 尺視 力とは, 典 型 的に は,
2本の線 分が整 列し てい るか,
ずれ てい るか を検 出 する知 覚 精 度で あ る (図1 参 照)、
副 尺 視 力は,
非常に高 く,
SVurfing (1892)に ょ り 初め て記 述 され,
超 視 力 (hyperacuity
)の 1っ に数 え られてい る.
そ して,
視的 対 象の位 置 検 出 (正確には相 対 的な位置の 検出)機構の重要な性 質を反 映 する もの と し て, 近年注目 さ れ てい る.
副 尺閾 (verzi
.
ier
thresholcl )の最 適 値は, 視角で 2
〜
5s で あ る(Westheimer & McKee,1977a
).
これに対して
,
網 膜にお け る錐 体 細 胞の直径が 約30s,
網 膜 神 経 節 細 胞の直 径に し ても 錐体と 同 程 度,
その 受容 野の中心 の直 径は 1min 以 上である.
即 ち, 錐体の 直径の範 囲 内 の 2本の線 分の相 対 位 置を,
人間の視覚系は弁 別できる の である.
副 尺 視 力 が,
網 膜上の光 受 容 器モ ザイ ク に基 づいて 単純に説明で きないの は,
明らか で ある,
ま た, 人 間の 眼の 光 学 系は,
小さ な瞳 孔,
正 確な調 節とい う最 適 条 件 下であっ て も, 角膜や レ ンズ の球 面 収 差 や 色 収 差 などに よ る結像の不完全さ に よ り,
約 60c/deg 以上の 成分を 削除 してし ま う低 帯 域 通 過フ ィル タ (low−
pass filter)的 な特 性 を持っ て い る (Campbell & Green ,1965
;Campbell
&Gubisch,
1966).
即ち,
網 膜 像の空 圈闇
鬪旧
闥 国 国 國 圏 ■ 国 團 圃隅
国 圏 闥 齒 団 囲 鬮 圉 圏 圏 ■ 囮 ■ 圏 鬮 ■ ■ ■ 闇 圏 國 擺 醐 囲 圜 鬮 図 1 中 央の上下 1対の線 分を除い て,
他は相 対 的 に左か 右にず れて い る.
最 適 条 件 下で人 間の視 覚 系は,
視 角で 2〜
5s のず れを,
検 出できる.
舟川 :視 的 対 象の位置 検 出 機 構 85 間 的 解 像 度は
,60c
/deg 程 度である.
こ の よ うに,
副 尺 視 力は, 網膜像の空 間 的 解 像 度 や,
ラン ドル ト環な ど に よっ て測 定さ れ, 検 出 可 能 な 最 も高い空 間 周 波 数に関 連 し た視 力 (resolutiori acuity )と4・
X.,
区 別し て考え な け れば な ら ない.
副尺 視 力は,
位 置に関 するもの で あ る.
2−
1.
標 本 化 定理 (sampling theorem ) 副 尺 視 力に関 する 研究を概 観 する前に,
視 覚 系が 画像 の複雑 な情 報 処理 を行な う上で の前 提となっ てい る網 膜 と網 膜 像との関 係につ い て述べ て おこ う,
中心窩に おける錐 体の直 径は
,
約30s
で あ る が,
こ れ は,
主に眼の光 学 系の MTF (modulation transfer function)の結 果である網 膜像の物理的解像 度に符 合し て いる.
1
青報 理 論に おけるWhitta
}二cr・
Shannon
の標 本 化 定 理 (sampling theOrem )に よれぽ,
信 号がWC
〆 deg までの 成 分で構 成 されてい るな らば,1deg
当り等 間 隔で2W
個以上のサ ンブル に よっ てその信 号は完 全に 保存さ れ る.
2W
とい う値は Nyquist Rate と呼ばれ,
これ 以 下の サ ンプル数で は情報の損 失が生じ る.
人 間の 眼の 光 学 系の場 合,
その像の空 間 的 解像 度は,
約 60c/deg である か ら,
Nyquist
Rate は 120 (個 /deg> と なる
.
中心窩に おける錐 体の中心 問の平 均 距 離は 2・
5μm であり, 視 角 1deg は網 膜 上で は 約 300μm に相当す る から,
300/’
2.
5=
120 個となり,
完 全 に一
致してい る (Polyak,
1957
).
こ の よ うに,
標 本 化 定理は,
網 膜 像の物理 的解像度が,
中心窩に おける光 受 容 器に よ る空 間的なサ ン プVン グ に よっ て,
完 全に保 存されることを 保 証して いる.
即ち,
抽 出された情 報に基づ い て,
視 覚 経 路の どこ か の よ り緻 密な細 胞 層に像が再 搆 成さ れる こ と を仮 定 すれ ば,
少な くとも網 膜上に存 在 する相 対 位 置に関 する情 報は,
視 覚 系に とっ て利 用 可能なの である(Barlow,
1979).
2−
2.
静止場 面 にお け る副 尺 視 力 副尺視力は,
典型的に は線分を刺激と し て測定され る が,
Westhei 皿 er & McKee (1977a) は,
副 尺 刺 激(vemier target)が
,
ドッ トや 逆V
字 型 やエ
ッ ジで あ っ て も,
超 視 力が保 持される ことを報 告し た.
ま た,
彼 ら は,
副尺刺激 と して の線分の 長さ や 2つ の副 尺刺激 間 の距 離の効 果を調べ た.
線 分の長さの副尺視 力へ の影 響 は,
ほ とん どなか っ た が,
副 尺 刺 激 閔の距 離の関 数とし て副 尺 閾を表わすと,U
字 型となっ た (2〜
4 min が最 適 ).
即ち,
超 視 力が保持さ れ る た めには,
2 っ の対 象 が知 覚される必 要があり,
超 視 力は,
絶 対 的 な 位 置で は な くあ くま で相 対 位 置に関 する もの である.
さら に,
“Eorgat〕 &Watt
(1982)は, あらか じめ空 間 的にサ ン プ リン グ を施し た正 弦 格 子にっ い て,
副 尺 視 力を測 定し,
サ ン ブリソ グ間 隔150〜
200s まで 超 視 力 が保 持される ことを 示した,
即ち, 人 間 の 視 覚系 は, Nyquist Rate 以 上に不 連 続なサ ン プルに対し て も,
効 果 的に補 間 (iiiterpolation)を行な うことが で きるの で ある、
こ の よ う に,
静 止 場 面に おげる副尺 視 力の 研 究は, 超 視 力の基 礎 として空 間 的 な 情 報 収 集過 程の存 在を,
示 唆 し て い る.
次 節で述べ る運 動 場 面にお け る 副 尺視力研究 は,
さら に,
時 空 問 的な情報収集過 程の存在を, 鮮 明に し て いる.
2−
3.
運動場面 に お け る 副 尺 視 力 剽尺刺 激 が 運 動し ている 場合,
副 尺視力 は損な わ れ る だ ろ うか ? Westhei エner & McKec (1975)は,
4deg / S の速 度ま で損 なわれ ない こ とを 報 告し た.
こ の時,
副 尺刺激は,
畢 示時 間 150 n:s の 間に約 70個の錐 体上 を 横 切る ことに なる.
そ して,
さ らに 興 味 深 い こ とに,
Burr (1979)とM 。rgar ] (1976)は,一
定 速 窒の運 動 感 覚を引 き起こす な ら ば,
副尺 刺 激が仮 現 運 動 とし て呈示 さ れ ても,
副 尺 視 力が保 持される こ とを 報 告した.
こ こ で も,
視 覚系は,
離 散 的 なサ ン プルか ら連 続 的な空 間 的 パ タ ン を再 構 成 する こ とに よっ て,
非 常に正確な時 空 間 的 補 間を行なっ て いるよ うに見え る.
Burr (1979)は,一
定 速 度で仮 現 運 動 す る 副 尺刺激 を 呈 示 し,2
っ の副 尺刺激問の空 間 的 ずれ (spatial offset,
SO
)と時間 的 ずれ (temp eral offset,
TO
)に対する検 出 閾を測 定し た (図2
(A
),
(B)参照).
こ の 場 合,
副 尺刺激 は,
等しい距離隔たっ た複 数の位置に継時的に ご く短 時 間 呈 示さ れ,
運 動し て見え る.
同期し て 呈 示 さ れ る 2っ の副 尺刺激 間の位 置のず れ (SO)に対し て,
2人の観 察 者の 測定結 果は,
それ ぞ れ6、
6s とIO.
3s で あっ た.
これに 対し,
同位 置に呈示される 2つ の副 尺 刺 激 間の 時 間 的 ず れ (TO )に対 する閾は,
そ れぞれ空 間 的なずれに換算し て 11、
Os と 12.
8s で あっ た.
TO が存 在 する場 合,
2 つ の副 尺 刺 激は,
空 間 的には同 位 置に,L
か し僅か に一
方が他方よ り時 間的に遅 れて呈 示 され,
それが観 察 者に は現 象 的に空 間 的 な ず れとし て見える.
TO に対 する閾 は,SO
に 対 する閾に較べ 高い が,
前 者で は網 膜 上に は ずれの情報が ない こと を考える と1驚 くべ き精度で あ る,
Morgan (1979,
1980)もまた,
Burr (1979)と同 様 の仮 現 運 動す る餡lj尺刺激を使っ て,
継 時 的に異なる位 置 に呈 示 される各 副尺 刺 激の呈 示時 間 (:ヱti)の効 果 を 調べ た (図2(A),
(B)参 照 ),
そ して,T
が 30〜
40 ms 以 下な86 基 礎 心 理 学 研 究 第
8
巻 第2
号 (,x
) (B
) (C
) ] O く 」 の 則 O く 二 の ] Q く 乱 のTI
「》
1E
TI 鬥E
TI
鬥 E 図 2 @,
(揃は,
それ ぞれ 仮 現 運 動をする 副 尺刺 激 に おける空 間 的 ずれ (spatial offset)と時 間 的 ずれ (temporal offset)を,
模 式 的に示し てい る.
コ1
は,
継時的に呈 示 さ れ る静 止 刺 激の呈示時間,
S
は, その よ う な静止刺 激 間の距離であ る.
で は,
副 尺 刺 激は連 続 運 動をする が, 周 期 的に空 間 的 ず れが生じ,
周 期 的に ずれの方 向 が逆 転 する.
ら ば,Hlj
ち,
フ レー
ム 周 波 数が 25〜
3 Hz 以上 な らば,
SO とTO は相互に置 き換 え 可 能であり,
この範囲にお い て仮 現 運 動と連 続 運 動は 区 別 され ない と 主張し た.
さ らに,Morgal1
&VC
「att (1983
)1,m , 異な る 位置に継日寺 的に呈 示 さ れ る 各 副 尺刺 激間の 距離 (S)の 効 果 を調べ た (図2,
(B>参 照 ).
S の大 きさ}こよ りSO の検 出 閾は影 響 を受けないが,
TO の検出 闘はS
が大き くなる ほ ど上 昇し た,
ま た,
TO と SO は,
S が 3min 以 下の時の み相互 に置 き換え可 能であっ た.
Westheimer & Mc−
Kee
(1977b
)も, 位 置 情 幸艮が4min
程 度の範囲にわた り収 集さ れ,
ず れの 方 向が評 価さ れ ると 主 張し た.
FahIe & Poggio (1981)は ,S
の効果にっ い て,
同様の結 果 を得た ほ か,
速 度 (V
)は,
SO の検 出とは 比 較 的 独立 であ り,
TO の検 出に 関し て は S の大きさ に よっ て最適 なV
の範囲 が存在し,S
が大 きい ほ どその範 囲 が高く なる こと を報 告した.
仮現運動する副 尺 刺 激 を 用いたこれらの 研 究は,SO
の検 出とTO
の検出の違いを明確に示し てい る.
TO
の 検 出は,
時 空 間 的 補 問に よっ て初め て達 成され るが,SO
の検出に は, 網 膜上にず れの情 報が存 在してお り,
時 空 間 的 補 間は必ずしも必要で は な い,
し か し,
ある時 空間 的に限 定された範 囲 内におい て, 位 置 情 報 が統合さ れ る とい うことは,
視 覚 系の基 本 的特性であり,
両者に関与 し て い る と考え ら れる.
事 実,
Funakawa (1990a)は,
網 膜上に存 在して い る SO が時 空 間 的 統 合に よっ て失わ れ て し ま う場 合 を報 告してい る.
また,T
が30〜
40 ms 以下,
S が 3m 童n 以 下の時,
完 全な補 間が達 成さ れ る が,
P7に よっ てその 範囲 が変 化 する 可能性 が認め ら れ た.
副 尺視 力の測 定に お い て,
副尺 刺 激の運動速 度は, 普 通,一
定に保たれ,
超 視 力に この条 件は不 可 欠で あると み な さ れて きた.
Funakawa (1990a)は,
副 尺 刺 激の運 動に速 度の周期 的な変 化を導入 し,
速 農 変 化につ れて 2 つ の副 尺 刺 激 間に生じる空 間 的 な ず れ (SO )の大 ぎ さや 力 向 を 変 化させ た(図2〔C)参 照).
2つ の 副尺刺激の速 度 を互いに逆 位 相 〔ceunter−
phase )の 正弦 波に従っ て変 化 させ る と,
SO の 大 ぎ さは正 弦波に従っ て周期 的に変 化し,
その方 向 も周 期 的に反 転 する(即ち,一
方の 副 尺刺 激が 周期 的に他 方を追い越し た り迫い越され た りする).
二 の時,
速 度 変 化の 周 波 数 が 約25Hz
以 上であ る と,SO
はその大ぎさ に か かわ ら ず 検 出 さ れ ない.
これ は, 網膜 上に存A
し てい るSO
が時空 間的統合に よっ て失 わ れて し ま うこ と を 意昧 し て い る、
25Hz 以上 とい う値は,
Morga・
1 (1979.
19・
80)の,
SO と TO が 相互に 置 ぎ換 え 可能な,
補 間の時 間 的 臨 界 値と一
致し てい る,
さ ら に.
Funakawa
(1990a
)は,
仮 現 運 動で は な く連 続 運動する 副 尺刺 激の 速度変 化に よっ て,一
定方 向に正 弦波に 従っ て その大 きさ が変 化 する SO を導 入し,
約 25 Hz 以 上 の周 波 数で は,一
定の大 きさのずれ とし て知 覚さ れる こ と な 示 し,
ま た,
副 尺刺 激の速 度が一
定であること よ り,
SO
が 生じ る位 置 が一
定 速 度で運 動 するこ と が,
SO
の 時空間 的統 合 に 必要で あ るこ と を 示唆す る実 験を報 告し た.
仮 現運 動す る 副 尺刺 激にお け るSO
と TO の検出に関 する研 究 (Burr
,
1979;Morgan,
1979,
19 80;Fahle舟川 :視 的 対 象の 位 置 検 出機 構 87
SO
の検 出に関 する研 究 (Funakawa .
1990a)な ど.
視 覚系は,
ある範 囲 内の位置情 報の時空間 分 布に基づ い て, 平 均 化 した位 置に視 的 対 象を位置づけてい るこ と (その 意 味で補 間とい う用 語は,
仮現運 動の場 合に しか適 用で きない)を 示 し てい る.
2−4.
副 尺 視 力とコ ン トラス ト,
空 間周波 数 仮 現運動刺激 問の SO と TO の検 出を調べ たFahle
& Poggio (1981)の研 究は,
副 尺 刺 激の blur (ぼか し) の効 果につい て も調べた.
blur は,
SO
の検 出を損な わ せ たが,TO
の検出を速度が高い時 (5 deg/s 以 上 ) 改 善した.
他に も,
ぼか しを施され た副尺刺 激を用い て, 運 動 場 面におい て も超視力が保持されるこ と(Wcsthei一
皿 er & McKee , 1975;Morgan
,
Watt , & McKec,
1983)
,
静 止 場 面におい て副尺視 力を損な うこ と (Watt
& Morgan
,
1983
)が報 告されてい る.
ところで,
blurの効 果は
,
= ン ト ラス トの低 下か,
高空 間 周 波数成 分の減 少のため と考 え られる
.
コ ン bラ ス ト の低 下 が副尺視力 を 損 な うこ と は
,Foley−
Fischer (1977),
Watt &Morgan (
1983
),Bradley
&Freeman
(1985),
Wilson(1987>な どに よっ て報告さ れて い る
.
Bradley
& Skottun (1987)は,
静 止 場 面に おける副 尺 視 力に対 するコ ン・
ト ラス トと空 間 周 波 数の 効 果 を,
体 系的に調べた,
空 間 周 波数 0,
5〜
10.
Oc /deg の範囲の正 弦格子を 副 尺刺激と し, コ ン トラス トの効 果を調べ た結 果で は,
副 尺 閾は コ ン ト ラス ト低 下と と もIC上 昇し,
コ ン ト ラス ト閾の レ ベ ル で位 相 差180deg に近 似し た.
た 葦し,
高 空 間 周波数 領 域で は,
正 弦 格 子は検 出で きる が !80 dg9 の 位相差は検出で きない領域 (vemier・
blind
) が存在し た.
傾きや空 間周波数の弁別 (Regan ,
Bartol
, Murray,
& Beverley,
1982;Regan & Beverley,
1985),
速 度 弁 別 (McKee
,
1981;McKee,
Si!verman,
& Naka.
yama
,
1986)な ど,
閾上 (閾の 2〜
3倍 )の コ ン ト ラス ト変化の影響を受け ない と報告さ れてい る もの と対 照 的 に, 副尺視力 が 直 接的に網 膜豫に よっ て規 定さ れ てい る こ と は,
その基 礎過程を推 定 する上で重 要な性質であ ろ う,
空 間 周 波 数の効 果に っ い て も,
Bradley & Skottun (1987
)は,
副 尺 刺 激 で ある正 弦 格 子の コ ン ト ラス トが50
%の時,
空 間 周 波 数 O.
25−・
4.
Oc!deg で副 尺 闕は最 も 低 く(9〜
13s),
そ れよ り高 くて も低 くて も閾は上 昇 する こと を報 告し た.
Funakawa (1990b
)は, コ ン ト ラ ス b 閾の10倍の コ ソ ト ラ ス トを 用い,
異なる空 間 周 波 数 閭の 視認性を等し くすることに よっ て, 副 尺視 力に対す る 空 間 周 波 数 と時 間 周波数 及び速 度の効 果 を 調べ た.
また,
普 通の正 弦波を副 尺刺激とした 場 合,
位 相 差 180deg 以 上の空 間的ずれ は,
呈示で き ないが,1.5
波 長分の正弦 格 子に ガ ウス を乗じ たものを 副 尺 刺 激とすることに よっ て,
よ り伝 統 的な 測定場 面に近い条 件で,
副 尺 閾 を 測 定 し た.
静 止 条 件の時,
副 尺 閾を位 相で表記する と,
空間 周波 数 1.
67〜
10.
Oc!deg の 範 囲でほぼ一
定であっ た(約2Gdeg
)が,
運 動 条 件で は,
空間 周波 数と共に高 く なっ た.
ま た,
速 度 2.
Odeg /s よ り4.
0
deg
/s の方が , 全 体的に副 尺 閾は高 くなっ た.
し か し,
速 度で は な く時間 周波 数 毎に副尺閾を見る と,
時 間周波 数が一
定 なら ば,
空 間刑 波 数にかかわ らず 位相衷 記の副 尺 閾は ほ ぼ一
定 と な り,
時 間周波数が 上昇 する につ れ閾は高く なっ た.
た だし,
空 間周波数 5c/deg を超える と時 間 周 波 数に よる 閾の上 昇は, 幾分あい まい になっ た.
これ らの結 果は,
静止 場 面で も運 動 場 面で も,
副 尺刺 激の 位 置のずれ検出 は,
位 相差の 検 出で あり,
その媒 介 機 構は比 較 的時間分 解能の低 い (sustained )反 応 特 性 を 持っ こ と を示 唆し て い る.
2−5.
副 尺視力 の た め の機構 これ まで概 観し た副 尺 視 力に関 連し た心 理物理学的 研 究か ら,
副尺 視 力 及び視 的 対 象の位 置 検 出の基 礎に ある 過 程に関して,
幾つか の予 測を立て ることがで きる、
こ れま で の知 見は,
以 下の よ うに整理で ぎる,
m
副尺 視 力は,
超視力で ある.
即ち,
網 膜の光 受 容器 モザ イ クや 眼の光 学 系の MTF に よっ て説 明で きない、
囲 副尺 視 力の高い精.
窒は,
相 対 位 置に関 する もので あ る.
また,
副尺刺激の向 きとず れの 方 向が直 交し てい る 必要が あ る.
(3
) (副 尺 刺 激 が 線 分で ある場 合) 副 尺 視 力は,
約4
deg/sec ま で 副 尺 刺 激の運 動の影 響を受け ない.
四 視 的 対 象は,
位 置 情 報の時 空 間 的 統 合に よっ て, 平 均 化された位 置に位 置 付 けられ る.
その時間的臨 界値は 約 40r−
50 ms,
空 間 的 臨 界 値は 約 3〜
4 mln で あ る.
仮 現運 動刺激間の TO の検出に は, こ の時 空 間 的 統 合 過 程 が不 可欠である.
同 副 尺視力は,
コ ン ト ラス トの低下に よっ て損な わ れ る、
[6) (副尺刺激が 正 弦格子 である場 合 ) 副 尺 閾は,
時 間 周波数 及び視認 性が一
定な ら ば, 空 間 周 波 数の広い範 囲 にわ たっ て,一
定の位 相 差で表わ される.
(7
) (副 尺刺 激が正弦 格 子であ る 揚合〉 時 間 周波 数の上 昇は, 副 尺閾を上 昇さ せ る.
以 上の知 見に基づい て, 副 尺視 力を含め た, 視的対象 の位 置 検 出の墓 礎 過 程につ い て考 えてみ る.
88 基 礎 心 理 学 研 究 第 8巻 第 2号
副尺 視 力の性 質 は, 傾 き (orientation )の弁別 が 手
がか りになり得る こ とを 示唆し ている
.
実際, 副 尺 視 力を傾 きの 弁別に よっ て説 明し ようとい う試みがあり
,
部分的に は成功し てい る (AndreWS , BUtCher
,
& BUCkley.
1973;Westheimer
&McKee ,
1977a;Watt &An −
drews
,
1982;Watt ,
Morgan ,
&Ward ,
1983),
ゆ,
〔51は
,
副尺視力の媒介 機 構へ の 入力は,
符 号 化された も の で はなく,
時 空 間的な輝度分 布とい っ た比 較 的 未 処 理 の もの である可能性 を 示唆し て いる.
[6
)からは, 視覚の 初 期 過 程に仮 定 されて い る空 間 周 波 数チ ャネルが, 副尺 視 力に おいて も主 要な構 成 要 素である と,
予 想で きる.
(3
)と 〔7
)は,一
見互い に矛 盾してお り,
副 尺 視 力を説明 し よ う とするモ デルは,
これ を解 決しな け れぽ ならない.
以 下に,
視 的 対 象の位 置 検 出 機 構に対する 3つ の アブ P一
チ に つ い て概 観 する,
これ らは,
相互 に排 除し合う もので はない し, 同列に扱え るもの で もない,
位 相差を 検出で き る機 構 が あれ ぽ,
当然エ
ッ ジの 位 置付 けに貢献 してい る だ ろ うし,
傾 きに対 する選 択 性を備え てい る は ずで ある.
3.
エ ッジ の検 出視覚は
,
網 膜 像の 強 度 変 化か ら外 界の 3次 元構 造を復 元 する ため1こ合 理 的に作 ら れ て い る とい う認識 か ら,
Marr
(1982
)は,
まず 強 度変 化が検出さ れ な け ればな ら ない と述べ てい る,
Marr のモ デル ば,
副尺視力 を 必 ず し も考慮に 入 れ てい る わ けでは ない が,
視 覚の初 期過 程 を考え る 上で有益 な枠組み を与える ものである.
Marr (
1982
), Marr &Hlldreth
(1980
〕は, 画 像の強 度変化
,
即ち,
エ ッ ジの検 出を,
画 像を 2階 微 分して 得られるゼ ロ交 差の検 出で あ る と定式 化し,
その た めの 効 果 的なフ ィ ル タと し て, 厂 2G フ ィ ル タ (艀 は ラ プ ラス 演 算 子,
Gは 2次 元ガ ウス分布)を提 案した.
e’
,G フ ィ ル タ は,
「大 きさ が 調節可能な, 画像の 1次 もし くは 2 次の空 間 的 微 分 演 算 子」 とい うゼ 卩 交 差検出 に 必要な資 格を備え た,
空 間周波数に選択 的なフ ィ ル タ である.
そ の感度プ ロ フ ァ イルは, 中心の興 奮 性 領 域と その周辺の 抑 制 性 領 域 (あるいは その逆 )か ら な る同心円 型で,
空 間 定 数が1:1,
6の DOG (difference of twoGaussian
>に よっ て近 似で きる
.
いわ ば, 艀G フ ィル タ は,
X細 胞 (Enroth−Cugell
&Robson
,t966
)のモ デル と見 な すこ と がで きる、
演算子
72G
を用い 画 像に フ ィ ル タを かけて得ら れ た ゼ ロ交差 は,
あるス ケー
ル の ガ ウス関 数を通し て見た 強 度 変 化の位 置を 示 し, その勾配ば強 度変化の コ ン ト ラス ト を間接的に示し てい る.
反 射 率,
輝 度, 奥 行,
表 面の 向 きの変 化な ど 画像に強 度 変 化を引き起こす要因 は, さ ま ざ ま な大 き さで空 間 的に局在してい るか ら, 大 きさが 近い独立 し たチ ャ ネ ル か らの ゼ 卩交 差が一
致し た な ら ば,
そ れ らは 単一
の物 理 現 象に よ り生 じた もの であり,
物理的に意 味があるエ ヅ ジで ある と考え ら れ る.
Marr & Hildreth (1980
)は,
オ ン 中心型 X 細胞とオ フ中 心 型 X細 胞をAND
ゲー
トで結 合し たよ うな機構に よっ て ゼ ロ交差 が検出で きる と提 案し た,
Watt
& Morgan (1985) も, MIRAGE と名 付 けら れ た 同 様の フ ィ ル タ リング・
モ デル を 提 案し て い る,
Marr
の モ デル と異なる特 徴は,
網 膜 像の 2次 導 関数に 現わ れ るIll(正 位 相 ),
ゼ ロ 交 差 , 谷 (負位 相 )か らエ ッ ジの 位 置 を,
山 と谷の重心 (centroid )間の距 離 とフ ィ ルタの空 間定 数か ら強度変 化の空 間 的 広が りを,
山と谷 の体積 (maSS >か らエ ヅ ジに おける輝 度変化の大 きさを 評 定 すること,
大 きなフ ィ ル タ に よ る群 化 を 利 用し計 算 過 程へ の入 力 数を制 限 することで ある.
フ ィ ル タ の出 力 に ノイズが 含まれてい る とい う実際的な仮定の下で,
重 心 や体 積などの測 嚢は,
最も信頼性 が 高い.
ま た,
大 き さ が異なる復 数の フ ィル タが 独 立に存 在 する点は,
2つ のモ デルで同じであるが,
MIRAGE で は, エ ッ ジの位 置 検 出の正確さ と空 間 的 解 像 度との間の trade・
off を解 決 する た め, 即 ち, 前 者に関して は比 較 的 大 きなフ ィル タが優 れてい る が,
後 者に 関して は小さ なフ ィル タが優 れて い る とい う事 実の ためで ある.
複数の フ ィル タ か ら 0)出 力は,
解 像 度を 低 下 さ せ ない ように,
正 負に分 離 され た (half
・
wave rectification ) 後 S/N 比 を 上げる た めに平 均化 され, 分析 された.
MIRAGE は,
連 続 的な 輝 度分 布を入 力とし,
空 間 的に秩 序 付 け られ た 表現素 (pri皿 itive)の リス ト を 出 力 する.
こ の よ うに,
MI −
RAGE は,
Marr のモ デル を 基 礎 としている が, 複数の フ ィ ル タ か ら得られる出 力 を ど う扱 うか とい う点でも異 なっ てい る、
Marr の モ デルで は ゼ ロ 交 差 間の比較・
対 応が取ら れ,
平 均 化さ れ るこ と は ない.
こ こ で, 仮 現 運 動 場面に おける副尺視力の研究 な どで 明らか に された補 間が,
フ ィ ル タ リン グ に よっ て,
どの よ うに説 明 される か考 えて み よう,
仮 現運 動は,
実際運 動 に対し空 間的なサ ンプリン グを施し たもの と見なせる,
サ ン プ リン グは, 周波数領 域に おい て 元の 実 際 運 動が持 っ てい なか っ た周 波数成分を,
副産 物とし て生み出す.
フ ィ ル タ リン グとは,
その よう な 入力に対し, 適切な 周 波数帯 域 を持っ関 数に よっ て,
た た みこみ積 分(convolU・
tion)を行な うことである.
その結 果,
サ ン プリン グが 原因で生 じ た周 波 数 成 分が取り除かれたな らぽ,
サ ンプ リン グ前の元の状 態が復 元されたこ とになる.
こ の よ う舟川 :視的対 象の位置検 出機構 89 に , 視覚系の低帯域 通 過フ ィ ル タ的 な 性 質に よっ て
,
余 分に付 加さ れ た 周波数成 分が排 除される な ら,
視 覚 系に とっ て実 際 運 動と仮現運動は等価であり,
仮 現 運 動の離 散的な位置情 報は, 視覚系に よっ て効 果 的に補 間された と み な すこ と が できる(Fallle& Poggio,
1981)、
ところで,
あ る 時 空 間 的分 布の位置情 報を もっ対 象が ある時 刻に どこに見え るか とい う観 点か ら, 周 波数領 域 で はな く,
時 間・
空 間 領 域1こおい て補 間を考えてみ よ う.
周 波数領 域に おける分 析は, 位 置に関しては何 も教 えて くれ ない,
仮 現 運 動の場 合, 実際に は呈 示 されて い ない 位 置に お い て も運動し て い る対 象が見え る と い うの が,
補間の現 象 的 な現 れで ある (もちろん,
補 間と呼 ば れる 広 範な現 象の中に は, 見え ない補間も存在す る),Mor −
gan & Watt (1983)は,
視 覚系に お い てある時 刻の活 動の空 間 的 分 布は,
{サ ン プ ル の 配 列×時 間フ ィル タ(temporal impulse function)
1
で あ り, これに 空間フィル タを適 用し, その 2次導関数の ゼ 戸交 差か らエ ッ ジ の位置を評定し た
.
こ の時,
時間・
空 間フ ィル タ か らの 出 力 は,
位 置 情報の時 空 間 的 平 均である.
即ち,
サ ン プ リン グがもた らす 余 分の周 波 数 成 分が視 覚 系に よっ て検 出される か否か とい う問題,
あるい は,
補 間が 正確で あ る か否か とい う問 題とは別に, 運動対 象の 知 覚さ れ る位 置と は, 位置情 報の時空 間的分布に基づ い て’
lz
均化され た位 置で ある.
サ ン プリン グが も た らす 余分な周 波数 成 分が, 運 動の見えに影 響を与え る か否か にか か わ らず,
位 置 情 報の時 空 間 分 布が異な れ ば,
その違い は,
時 空 間 的 統 合 過 程を通し て,
知 覚さ れる位 置に反 映され るの で ある.
し たがっ て,
運 動 知 覚に関 するモ デル (Adelson
&
Bergeli
,1985
;Watsen &Ahumada ,
1985;vanSalユten & Sperling
,
1985 )がそ うで ある よ うに, 視的対 象の位置検出 を考え る際には, 空 間フ ィ ルタ と時 間フ ィル タ の両 方を想 定 する必 要が あ る
.
4.
傾 き に対 する選 択 性 副 尺 視 力の高い精度は,
相 対位置に関 する もの である と述べ た,
ま た,
副 尺 刺 激の晦 きとず れの方 向が直 交し て いる必 要があるな ど,
刺 激 布 置が副尺 視 力に与 える影 響を示し た多 くの研 究 (Westhelmer & McKee,1977a
;Welch & McKee
,
1985)は,
少な くと も部分的に, 傾 きの 弁 別が,
ず れの検 出の手がか りに な り得る こ と を,
示唆してい る.
即ち, 傾きに対す る選 択 性は,
相 対 位 相 に感度を有する.
ま た, 傾 ぎに対する選択 性は, 有線 皮 質の細 胞に広 く認め ら れ る特 徴で あ る(Ilube1
&Wiesel,
1959, 1962).
NIV iison (1987)
,
“厂ilson& Regan (1984) 1’
t’
,
傾 きに対 する選 択 性な どを 利 用し
,
副 尺 視 力 を 含め た空 間 的 パ タン 弁別のモデルを提案し た.
モ デル は,
空 間 周 波 数 と傾 きに選 択 的な並 列に 働 く6
っ の 機搆で構成さ れ, 各 機 構は,
2次 元で線 形 的な空 間フ ィル タ と そ れに続く非 線 形的 な コ ン ト ラ ス 1・
伝達 関 数 (contrast transfer functi〔〕n)か ら成る.
2
次 元フ ィ ル タは興 奮 領 域 とそ れ を挾む抑 制 領 域,
さ らに外 側の弱い興 奮 領 域をもっ て い る,
フ ィル タの 帯域 幅は 1.
3〜
2.
50ctaves の範 囲,
傾 きの選 択 性の半 値 幅は,15・
− 30deg
の範 囲で,
空 間 周 波 数が上 昇 するにつれ減 少した.
反 応は,
異な る 空 間 周波 数,
異な る傾 きに選 択 性を持ち, ある領 域に局在する全 ての機 構につ い て,
2つ の 副 尺 刺 激に対 する出 力 差の合 計を計 算す るこ とに よっ て 成 さ れ た,
このモ デル に お い て副 尺 刺 激 間のず れの検 出は 以下の ようにな さ れる.
もし副尺 刺 激 と同じ傾 きを持ち,
副 尺 刺激をその中央の 興奮領 域に捕ら えて い る機 構がある な らぽ,
同 時に,
傾 きが僅か にずれて い る機構,
傾 ぎは一
致し ても位置が僅かに ず れ てい る機 構も存在 する はずで ある.
副 尺 刺 激 間にず れが生 じた時,
その反 応が大 き く 変 化 するの は最 適に刺 激された機 構で はな く,
位 置や傾 ぎが少しず れた機 構で ある.
位 置や傾 ぎが少しず れた機 構では,
僅か なずれの 存在に よっ て副 尺刺 激は も は や興 奮 領 域だ けで はな く,
抑 制 領 域まで も刺 激 するこ とに な る,
ずれの有無に よっ て差 異のあ る反 応を生み出すこれ らの機構の 出 力は,
ず れの検出の 有効な基礎と な る.
実 際,
このモデル が,
副尺 刺 激の長 さ や 副 尺刺激の距 離の効 果 (Westhelmer & McKee
,
1977a),
正 弦 格 子の場合の副尺視力 (Morgan & Watt
,
1984; Bradley &Freeman
,
1985),
亡hree
Iine bisection acuity (Klein & Levi,
1985), コ ン トラ ス トの効 果 等を予 測で きるこ と が 示 さ れ てい る.
こ のモ デル は,
受 容 野の構 造などか ら皮 質の単 純 細 胞 を 想 定し て お り,
傾 きに対 する選 択 性だけで な く,
受 容 野の位 相 選 択 的な構 造に基づいてい る.
ま た,
空 間 周 波 数 弁別 な ど, 広 く空間的パ タ ン の 弁別に適用 で きる (Wilson
&Gelb,1984
;Wilson
&Regan ,1984
).
5.
位 相 の 検 出 日常 場il
にお け る どんな複 雑な光 景で も, 様 々 な位相 関 係の様々 な 大 きさの正 弦 波か ら構 成 されて い る.
我々 が実験 場 面で使 用 する刺 激パ タン につ い て も,
同 じで あ る.
矩 形波が,
同じ究 間周波 数で位相 差 0,
振 幅4ノπ倍 の正 弦 波 を基 本 波 とする一
連の正 弦 波に分 解で きる こと は,
よく知 られて い る.
即ち,
空 間 周 波 数f
,
振 幅 1の 矩形 波は,
4/π{sin (ノ)+ 9.
in (1f)/3+ sin (5f )/5 +…
」90 基 礎 心 理 学 研 究 第
8
巻 第 2号 十 sin (nf )/n}に等しい.
ち な みに, 矩形波とE一
角 波と は, 空 間 周 波 数 成 分は等しく, それ らの位 相 関 係の みが 異なっ ている.
我々 が両 者を区別で きる ことは,
明らか で ある.
まず
,
視 覚 系が位相を どの程 度検 出で きるの かに関す る心 理 物 理 学 的 研究を,
紹介し よう.
Burr (1980
)は,
空 間 周 波数 ∫と 3f, コ ン トラス ト比3
:1
の2
つ のjE
弦 格 子を成 分とする複合 格子を刺 激 とし,
f
と3f
との 相 対 位相につ い て弁 別 閾を測 定した,
2つ の 複合 格 子 が 継時的に呈示され,
被 験 者は ど ち らが矩 形 波に よ り似て い る か を判 断し た.
結 果は,
平 均 輝 度 及びコ ン トラ ス ト が十分であれば,
空 間周波数 1・
−
10 c/deg の 範囲 で 約30deg
で あっ た.
そし て,
位 相 差 180 deg の検出に必 要なコ ン ト ラス トは, 複 合 格 子の3f
成 分に対 する コ ン ト ラス ト閾と同じであっ た.
位 相 差の検 出がコ ン ト ラス トに依 存 すること は, Nachmias
&Weber
(1975
),
Badcock (1984a
,
b) も 報 告 し て い る.
ま た, Holt &Ross
(1980
),
Ross&
Johnst
ne(1980)
,
Sagi
&Hochstein (
1983
)は,
高 空 間 周 波数よ り低空 間周波数領 域におい て, 位相に対す る感度が優 れて い る ことを示
した
.
その 他,Stro
皿 eyer,
Lal
ユge.
&Ganz
(1973)はマ ッ カ ロ ウ効 果 ,
De
Va
ヱQis (1977
)は,
順 応に よっ て 見か け の 空 間 周 波 数 が 変 化 する現 象 (Blakemore &Sutton,
1969)が,
位 相 選 択 的で ある こ と を示した.
で は, 視 覚系は どの よ うに位 相 情 報 を処 理して いるの だ ろ うか ? 異な る空 間周波 数 成 分 聞の コ ン ト ラス ト閾 に対 する 加算 性に 関 する研 究 (Sachs,
Nachmias,
&Robson
,
1971; Kulikowski & King−
S皿 ith,
1973;Quick
& Reichert,
1974;Lange,
Sige1,
& Stecher,
1973
;Graham
& Nachmias,
1971;Graham ,
1977;Graham ,
Robson,
&Nachmias ,1978
)や見か けの コン トラス トに 関す る研 究 (Arend & Lange
,
1979),
空 間周波数 選択 的 な 順 応に 関 する研 究 (Blakemore &Campbel
],
1969;Tolhurst,
1972)か ら,
比 較 的 帯域 幅 の狭い (10ctave 以 下)相互に独立 した空 間 周 波 数チ ャ ネル の存在が,
示唆さ れ てい る,
しか し,
比 較 的 隔た っ た空 間周波 数間の抑 制的な相互作 用の存在を 示唆する研究は 多い (
Nachmias
&Weber ,1975
;Nachmias ,
Sansbury,
Vassilev,
&Weber ,
1973
;Tolhurst,
1972;Stecher
,
Sigel,
& Lange,
1973;Klein & Stro皿 eyer,
1980
).
Atkinson &Campl 〕ell (1974
)は,
Burr (1980
>と同 様の複合 格 子 (基本波 1c/deg )を用い
,
位 相 差が 75〜
135deg,
235〜
300 deg の範囲で,
2っ の成 分 間に 単眼 性視 野 闘 争 が 頻 繁に起 きる が,
位 相 差が約 Odeg の 時は, ほ とん ど視野闘争は起 きず, 正 弦波的な見えと な り, 約 180deg の時は少し し か起 きず,
三 角 波 的な見え と な ること を 報告し た,
こ の よ う な視野 闘 争は,
約 】5 deg 以 上 向きが異 な り,
同 じ空 間 周 波 数で同じ振 幅の正 弦 格 子を重ね た とぎに も生 じる (Campbell &Howell,
1972)
,
Sansbury,
Diste工horst,
& Moore (1978)も
,
同 様の複合格 子 (基 本 波 3c/deg)を刺 激と し , 〆の コ ン ト ラス トを閾上 レ ベ ル に固 定し
,
正弦 格 子と三 角波 格 子に対する順 応が,
3fの コ ン ト ラス ト閾に 与 える効 果を 測 定し た.
前 者へ の順 応は,f
と 3f の位 相 差がOdeg
の刺 激に対し,
後 者へ の順応は,
位 相 差 180deg の刺 激 に対し,
順 応 効果 を持つ こと,
即ち,
3fの コ ン トラス ト 閾の上 昇 が 認め ら れ た.
これ らの結 果は,
比 較 的 隔たっ た空 間 周 波 数 成分間で抑 制的な相互作 用が起こり,
か つ,
そ れ ら が竝 相 関 係に 特 異なものである こと を示してい る.
以 上の研 究を総 合す る と, 帯 域 幅の広い チ ャネル と 狭い チ ャネルが並 列的に存 在し(Arend &Lange.
1979),
位 相 選 択 性 を有 するの は前 者であ る と推測で きる (Law−
den,
1983
).
De Vaiois & DeValois
(1986,
1988)は,
もし視 覚 系が位 相に感 受 性を持つ 神経 要 素に よっ て局 所 的な周 波 数 分 析を行なっ て い る ならば 位置 情 報を得る方 法が 2つ 考え ら れ る と述べ てい る.
局 所領 域に おける様々 な周 波 数 成 分の位相を解譱する位相 検 出 機 構 と,
局 所 領 域の ど れが興 奮 し た か を分 析する位 置 検 出機搆で ある.
位相検 出 機 構は、
感度プロ フ ァ ィルが Gabor 関数によっ て記 述 され (Daugman .
1980),
か つ,
位 相が 互い 1・
こ90
deg
ずれてい る2つ の受 容 野の対 (quadrature pair)を仮 定 するこ とに よ り実 現 で ぎる (Adelson
& Bergen,
1985; 、Vatson & Ahumada
,
1985; van Santen &Sperling,1985)
,
この2
っ の型の受容 野が正 確に重な り 合っ てい るな ら ば,
その相 対 的な興奮の割合に基づ い て.
位 相の符 号 化が 可能で あ る.
このよ う な 受容 野の存 在を 示唆する もの と し て,Hubel
&Wiesel
(1962)は,
単 純 細 胞に関し て対称な構 造を持つ 受容 野と非 対 称な搆 造 を もつ 受容 野 を 報告して い る、
ま た,
Pollen &Ronner (1981
)は,
cat の視 覚 皮 質で こ の よ うな対を成 す 細 胞を 発見し,
これ らの細胞が運 動 格 子に対し 90deg 位 相が ずれ た反 応を す ること を 示 し た.
6。
む す び これまで述べ て きた視 的 対 象の位 置 検出に 関するモ デ ル は,
必ずし も相互に排除し合う もの で はない.
最 後に,
これ らの ア プロー
チ に つい て,
今 後の可 能 性や視 覚 系の 他の側 面に関 する研 究との整 合 性な ど を評 価し,
ま た,
今後に期 待さ れる心 理物理学 的 研 究な どに っ い て, 述べ舟川 視 的 対 象の位 置 検 出機 構 91
よ う
.
Wilson (1987)
,
Wilson
& Regan (1984)のモデル は,
パ タン 弁別の モ デル であり, その適 用 範 囲 も副尺 視 力に 限 定 され ない もので あ る.
モ デル を構成 する機 構 も,
生理学 的・
心 理物理 学的な 妥当 性を備えている.
現 在 明 ら かにさ れ てい る単純 細胞の受容 野 構 造に基づい て,
超 視 力 を含 むパ タン弁別能力が,
あ る 程度 説明で きるこ と を 示 し た功 績は大 きい が,
視 的 対象の位置づ け とい う聞 題に は踏み 込 ん でいない.
エ ッ ジの位置検 出か位 相 検 出か とい う問 題は,
すで に 位 相 選 択 性に関 する研 究が示唆し てい るよ うに,
明確で は ない,
視覚系の初期 過程 を,
局 在 する空 間 周 波 数フ ィ ル タに よ る 局所 的な周 波 数 分 析 で ある と見な す立場か ら,
位 相 検 出 機 構の考え が最も良く調 和し てい る と考え られる し,
X 細 胞一
鼡純細胞とい う視覚経路は,
位相に 感 度を持つ と見な す こ と がで きる.
他方,
外 界の様々な 要 因に よっ て網 膜 像に生 じ る“
意味のある”
エ ッ ジに対 し,
位 相 差が持つ外 界に おけ る意 味は,
定か で はない.
そし て,
心理物理学的研究は, 低 空 間周 波 数 領 域におい ての み位 相に感度を持っ機構の存 在を,
示 唆し てい る に す ぎ ない (Westheimer,
1978; Holt & Ross,
1980;Ross &
Johnstone
,
1980; DeValois
& DeVaiois
,
1986
).
これは,
位 相に感 度を有 する単純 細 胞よ り も,
複 雑 細 胞の方がよ り高い空 間 周 波 数に感 度の ピー
クを示 す 傾 向があり,
8c/deg 以 上の高い周 波 数に選 択 的な細 胞の大 部 分が複 雜 細 胞であっ た とい うDeVa /f)i,s
,
Albrecht
,& Thorell (1982)の macaque mQnkey の有線皮質の
研 究に
,
対 応し てい る.
複雑 細 胞は,
その 受容 野 内に お け る空間 加 重に線 形 性が認め られ ず,
絶 対 位 相に対 する 選 択 {生がない と考 え られてい る.
ところで,
エ ヅ ジの位 置 検 出 と位相差検 出は,
その神 経 機 構に関し て,
かけ 雑 れたもの で はない,
“ 局 所 的 な 空 間 周波数分 析”
及び“
視 的 対 象の位 置検 出”
の観 点か ら,
有 線皮質の単純 細 胞の受容 野は,
2次 元の Gabor 関 数に よっ て記述できるこ と が望ま しい.
なぜ な ら,
局 在 す る空間 周波数フ ィ ル タ と してGabor
閧 数は,
入 力の 空 間周波 数を特 定する こ と と位 置を特 定 する こと を最も 良 く両 立で きる か らである.
さ らに,
傾 きと空 間 周 波 数 に対しあるffEE
独立に反応で ぎ,
複雑な波 形を完 全に記 述 で ぎる、
そ し て,
皮 質 細 胞の受容 野が,
実 際 Gabor 関 数に 近 似 す る こ と を 示 す 研 究 も報 告 され てい る(Marcelja
,
198
;Webster
& DeValois.
1985;Field &Tolhurst,
1986).
Marr の モ デル では 等方性演 算子 で あ る 厂2G が 用い られ,
MIRAGE では1
次元で あっ た が,Gabor
関数の感 度プロ フ ァ イル をもつ フ ィル タ に よ っ てエ ッ ジの位 置を検 出 するこ とは可能である.
また,
90deg 位 相のずれ たGabor
関数型の 受容 野を同 じ位 置 に もつ細 胞 対に よっ て,
位相を検 出し,
位 柑 関 係からエ ッ ジや線 分を特 定 するこ と も可能 で ある (MorrOiie &Burr
,
1988).
位 相 差が Odeg や180
deg を基準と し て存 在 する場 合の方が, 他の 範 囲で存在 する場合よ り感度 が高 い こと を 示唆する研究 (Atkh 三SQn &
Campbell,
1974
;Burr,1980
iBadcock,198・
la
,b
)も, こ の よ う な 問 題と関 連があるか も し れ ない.
先に,
空 間 的 解 像 度と時 間 的 分 解能に つ いて述べ た.
そ して,一
般に , 時 間 加 重 は 前者に有 利に後 者に不利に 働き,
運 動 知覚は時間加重の臨 界持続 時 間 (Tc)の短い (transient)機構に よ り媒 介さ れ ると考 え られてい る.
し か し,
L3 urr (1981)は,
高 速 度 条 件に おい て は,
低 空 間周波数 領 域に おい て閾下 加 重 特 性が優 れて い る こと を 見い だ し た.
静止格 子の場 合,
Tc は,
空 間開波数が高い (16c/deg) 時 200 ms
,
i
氏い 〔3 0r O.
5c/deg) 時50ms であっ た
.
空 間 周 波 数が高いほ どTc が長 くなることは
,
Tolhurst (1975),
Breitmeyer & Gantz (1977),
Marx & May (1983) も報 告し て い る