二
重
課
題
の神 経基 盤
越
野
英 哉
*カ リフ ォ ル ニ ア州立大学*
Neural
basis
of
dual
−
tasking
Hideya
KosHINo
*Catifornia
StateUniversity
*The neural
basis
ofdual−
tasking,
including si皿 ultaneous,
overlapPing,
and successivedu.
al・
tasking,
isdiscussed.
There are three main points.
The
first
is
concerned with the neural correlatesof executive functions
,
such as resource albcation and task management in dual・
tasking.
Theroles of the prefrontal regions are discussed
,
as well asthe
possibilitythat
theexecutlve
functions
might emerge as
interactions
of the posteriorbrain
regions.
Second,
mu !tiplefunctions
of the inferior frontal regions are discussed in terms of temporal order coordination,
working memory,
and Ianguage、
The poss正bility that they mightbe
related to a centralbott
上e−
neckin
informat
正onprocess 圭ng
is
alsodiscussed.
The
third pointis
related to the reduction of activationin
the posteriorbrain
regionsduring
dua
上一
tasking,
as well asits
implication
in
resourcelirnitation
in
hum .
an cogniti 匸)n and dual−
taskinterference
.
Ke
アwords :dual−tasking,
executivefunctions
,
brain
imaging,
resourcelimitation
,
prefrontal cor−
tex
L
は じ め に 我々 はU
常生活に おい て,
複数の課題 を同 時に遂行 し な くて はな ら ない機 会に は事 欠かな い。
例え ば.
講 義を 聴きな が らノー
トを取る こ と も, 車を運転し な が ら携帯 電 話で話 すこと も二重課 題で ある。.
二重 課 題に関 する最 も基 木 的な観 察の1
っ は, r一
重 課 題を行っ た場合は単独 課 題に比較してパ フ ォー
マ ン ス が低一
ドするとい う こ とで あろ う。
これは 二重 課 題 干 渉と して知 ら れて いる。 例え ば,
車の運転 時に お け る携 帯 電 話の使 用は さ ま ざ ま な論 議を呼んで い るが(e.
g,
,
Horrey & Wickens,
2006 ),
そ れは一
っ に は運 転時の携帯電話の使用に起因する事故が 増 加 して きた か らで ある。 この よ うに,
現代の よ う な多 忙な社 会におい て は人々 は複 数の こと を並 行して行わ な くて は な ら ない機 会が増えて お り,
そ れ が 二重 課 題に対 す る関心 の高ま りの一
因に な っ て い る。
従 来の認 知 心 理 学におい て は二重 課 題はワー
キ ングメ*
Department
ofPsychoLogy,
California
State
University,
5500
University
Parkway ,
San.
Bernardino
,
CA 92407,
USA モ リ,
選 択 的 注 意,
タス クスイ ッ チ ングな ど別々 の文 脈 で研究さ れて きて い る:,
ワー
キ ン グメモ リ は基本的に は 高 次認知 活 動の際に必要な情 報を一
時 的に保 持し,
ま た 処理す る メ カ ニ ズム を含む シス テ ム で ある とさ れ る (ワー
キングメモ リ に関して は,Baddeley,1986
;Bad −
deley
,
2000 ; Conway,
Jarrold,
Kane,
Miyake,
&Towse ,
2007
:Miyake
&Shah ,1999
な ど を参 照)。 し たがっ て
,
多 くの ワー
キ ン グメモ 「J
課 題は,
情 報の操 作と保持 を 同時に行う二重課題と なっ て い る。
Baddeley
らの研 究 (e
,
g.
,
Baddeley,
1966;Baddeley & Hitch,
1974; Baddeley,
Chincotta,
& Adlam,
2001 ; Baddeley,
E
血s廴ie,
Kolodny ,
&Duncan ,1998
)や そ れ に続く一
連の研究で は
,
記憶負荷,
構音抑制,
ランダム生 成 等が推 論,
文 章理解、
記 憶 再 生 等に与え る影 響が 検 討されて い る。 ま た,
リー
デ ィ ン グスパ ン 課 題 (Daneman & Car−
penter,
1980 )で は,
文 章を読み な が ら同 時に単 語を 記 憶 する とい っ た情 報 処理 が求め ら れ る し,
オペ レー
シ ョ ン スパ ン課題 (Turner
&Engle,1989
)で は計算を し な が ら単語 を 記 憶 す るこ と が要求 さ れ る。 ま た,
その他の ワー
キングメモ リ課 題, ブレインイメー
ジングで よく使 わ れ る N−
back 課 題な ども,
例え ば2−
back 条 件で あれ Copyright 2 09.
The japanoscPsychQnomic Soc,
11.
,
60 基 礎心 理学研究 第
28
巻 第1
号 ば,
2っ の項 目 を 常に保 持 し,
その最 初の ものを 新たに 呈示さ れ た刺 激と 照合し,
必要な ら ば 反 応 を し,
さ らに 記 憶 内 容を更 新す る とい う処理 が必 要で あり,
し た が っ て 情 報の操 作と保 持とい う2つ の構 成 要 素 を 含む (N.
back
課 題の レビュー
と して はQwen
et al.
,
2005
な ど を 参 照 )。
選択的 注 意の 分 野で は, 二 重課題 は心理的不 応期(
Psychological
Refractory
Period:PRP
}の文 脈で研 究さ れて きて い る (心理的不応 期に関す るレ ビ
ュー
と しては,
Pashler,1998
;Pashlcr,
Johnston
,
&Ruthru
『f,
200 ⊥ な どを参 照 )
。
PRP の手 続きにおいて は,
幕 本 的には第
一
課 題を 遂行 中に第二 課 題が始まっ た場 合,
第一
課題 と第二 課 題 の 時 闇 間 隔(
Stimulus
Onset Asyn−
chrony ; SOA )が短い場合は第二課題の成績が 低下 する が
,
こ の第二課 題の成績が低 ドする期 間を心理的 不応期 と呼ぶ。
し た が っ て,
PRP の パ ラ ダイ ム は,
2つ の課 題 が時間 的に 更複す る, いわ ゆ る重 複 的二 重課題 と なっ
て い る。
PRP の 中 心 的な テー
マ は情 報 処理過 程にお ける セ ン トラル ボ トル ネ ッ クの 位 置で あ る が, これ は伝統 的 な注 意の フ ィ ル ター
モ デル に基づ い て い る。
そ こ におけ る基本 的な概念は, 初期段階に お け る情報処理 は焦 点 的 注 意な しで並 列に行わ れ る (前注意 段 階 )が,
これ は人 間の情 報 処 理 シ ス テ ム に おける処理容 量 制 限の た め にあ る時点で焦点 的注 意を必要とする 逐次 処理 に変わ り, こ の変更 点がセ ン ト ラル ボ トル ネ ッ ク と呼ば れ る。 セ ン ト ラル ボ ト ルネッ ク が刺 激 選 択の段 階にあ る とするの が初 期選択 説 (e.
g.
,
Broadbent,1958
;Treisman,1960
)で あ り,
反 応 選 択の段 階にあ る とす る のが後期選 択説(e.
g.
,
Deutsch
&Deutsch,1963
〕で あ るv 心 琿的不 応期に関 する多くσ)研 究は ボ ト ル ネッ クが反 応 選 択 段 階に存 在 す る こ と を支 持し てい る (e.
g.
,
Pashler,1998
;Pashler,
Johnston
& Ruthruff,
2001 )。
さ ら に近 年で は タ スク スイ ッ チ ン グの研 究が盛ん に なっ て きて い る (e.
g.
,
AUport ,
Styles,
&Hsieh,1994
; Allport,
& NX,’
ylie,
.
2000 ;iX(onsell,2003
;Vandieren−
donck
,
Christiaens
,
&Liefooghie,2008
)。 タスクス イ ッ チ ン グ は2っ の課題の うち1っ ずっ を交彑に行う もの で あ り,
そ の 意 味で は継 時 的な 二重 課題 と見な せ る。
通 常,
タス クス イ ッ チ ン グ を 含む ブロ ッ ク の成 績は 単 独 課 題に よる ブロ ッ クに比べ て 低 下 し,
これは混 在コ ス ト(Mixing
eest )と呼ば れ る。 ま たス イ ッ チ試 行の成 績は タス クス イッ チの な い繰り 返 し試 行に比べ て 低下 し,
これは スイ ッ チ コ ス ト(Switch cost )と呼ば れ るe タス クス イッ チ ングに影 響する要 因はい くっ か あ る が,
その1
っ は2
っ の課 題の ス ケ ジュー
リン グで あ る、,2
つ の 課 題の実 行 回 数 〔η)が あ らかじめ決め られて い て,
ス イッ チ 試行と 反復 試行 を n 回 ずっ 繰 り 返 すの が連 続試 彳」:交 代(Alternating
runs )と呼ば れ るパ ラダ イム で あ る(e.
g.
,
Rogers &Monsell,
1995 )。
ま た,
手が か りパ ラ ダ イム (e.
g.
,
Meiran,1996
)に おいて は,2
っ の課題 はラ ン ダム に提 示さ れ,
それ ぞ れの試 行と同 時かまた は直 前 に, ど ち らの課題 を行う か が手が か り(Cue
)に よっ て示 さ れ る。 2 っ の課 題をラ ン ダム 順 序で行 う場 合の方が,
固 定 順序で行 う場合 に比べ て成績 は低下 す る。
さ らに,
ラ ンダム順 序の場 合は成 績は準 備 期 間によっ て も左 右 さ れ る。
通 常,
手が か りと刺 激の間のSOA
が短い 方が,
長 い場 合に比べ て被 験 者の成績は低 下する。 こ のよ うに従 来の認 知 心 理 学に おい て は,
二 重 課 題は 主に上 記の 3っ の 分野におい て研 究さ れて きてお り,
そ れ ら を統一
的な観 点か ら比 較,
検 討し た論 文は見 当た ら ない。
その理 由と して はい くっ か考え ら れ る が,
1
つ に は,2
っ の課題 を組 合せ れ ば 二重 課 題にな るの だ か ら そ の組 合せ は非 常に多 岐にわた り,
したがっ て二重課 題に 関 与して い る要 因の数も多く複 雑で あ るこ と が挙げ ら れ よ う。
二重 課 題の研 究に は比 較 的 基 礎 過 程の知 覚 課 題,
例え ば, 数の 奇遇判断 母音子 爵弁別,
大文 字小文字の 弁 別,
位 置 同 定 課 題,
音 程 弁 別 等か ら,
問 題 解 決,
文 章 理解 等,
比 較 的 高 次過程に対 応した課題ま で が 使 わ れて き た。 そ して, 異なっ た課題 を組合せ た場 合, そ れ を コ ン トロー
ル して い る認 知 機能も異な る こ とは十 分に考え ら れ る。
また今ま で,
認 知 心理学・
認 知神経科学の分野 で 二 重課題に関 与す る 主 な要 因と して取 り上 げ ら れて き た ものだ けで も, 情報の 入 力系の モダリ ティ (例えば視 覚情報と聴 覚情 報)と出力系の モダ リテ ィ (言語,
運 動 等 )の関 係,
課 題の複 雑さ,
難 易 度,
自動 化 (オー
トマ タ イゼー
シ ョ ン)の 程度等さ ま ざ まで あ る。 し か し,
前述の よ うに,
異なっ た文 脈で取り扱わ れて きた 二重 課 題は,
実は 2っ の課 題 間の時 間 的 順 序 関 係だ けの違い であ る ため,
同 時 的,
重複的,
お よ び継時 的二 重 課 題 と して統一
的に比 較 す るこ とが 可能であ る と 思 わ れ る。2
つ の 課題 を同 時に始め る同 時 的二 重課題 〔Si−
multaneous
dual−
tasking >,
典 型 的な1
)RP
パ ラダ イム に見 ら れる ように一
方 を実 行 して い る最 中に他 方が呈 示される重 複 的二重 課 題 〔Overlapping dua !
・
tasklng),
また タス クス イ ッ チ ングの よ うに 2っ の課 題を 1つ ずっ 順 番に 遂行す る継 時 的二 重 課 題 (Successive dual
−
tasking)とい う分類で あ る。
し た がっ て,
本 稿におい ては時 間 的 順序関係に某つ い て 二 重 課 題 を分 類し
,
その 神経 基 盤に関す るブ レイ ンイメ
ー
ジ ン グ (.
主にfMRI
:fun・
ctionalMagnetic
Resonance
Imaging
)の研 究を慨 觀する
。
その際,
次の3
点 を 主 な 考 察の対 象 とする。 第一
は,
実 行 系 機 能に対応 し た神 経基 盤 は何で あ る か とい う問 題で ある。 本 研 究で述べ る実 行 系 機 能は,
これ まで ブ レイ ンイメー
ジ ングの文 脈で 取り上げ ら れて い る,
課 題セ ッ ト間の 調 整,
処理資 源の分 配,
課題遂 行の プ ラ ンニ ン グ やモ ニ ター
リング等 を 含む。
そ こ におい て,
実 行 系機能は前頭 前 野 (Prefrontai
Cortex
:PFC
)に 局 在 し,
主に トッ プ ダウ ン に遂 行されるのか (機 能 局 在 論 ),
そ れ と も後 頭 部 知 覚 領 域およ び 運動 制 御 領 域間の 競 合 また は協 調に よ る ボ トムア ッ プ な処理 と,
トッ プ ダ ウ ンな処 理の相 互 作用に よ っ て達 成さ れる,
また は創 発 す る(Emergence
)可能性も あ るの か とい う問 題であ る。 「創 発 」と は元々 は複 雑 系の分 野に おい て提 案さ れ た用 語で あ る が, 複雑な 階層構 造を持っ た組 織に おい て, 上 位 階 層の機 能が ド位階 層の機 能の複雑な相 互 作 用から生 成さ れ,
下 位 階 層の局所 的 機 能には 還元で き ない性 質を 指す。 換言すれ ば, 「全体は部分の総 和以 上 の もの で あ る」,
とい うこ とで ある (e,
g,
,
Kaufman,
1995)。
そ の観 点 か ら す ると脳は極めて 創 発 的な シ ス テム で あ ると見 なせ る。 脳は二=
・一
ロ ンか ら な る が,
個々の ニ ュー
ロ ン の構 造や機能を理 解 する こ とは実 行 系機 能の よ うな高 次 認 知 過程を 理解す る う え に おい て, 必要で あ る が, 十分で は な い。
実 行 系 機 能な ど の高 次 認 知 過 程は脳の特 定の部 位 に局在す るので は な く, さ ま ざ ま な領 域の相互 作 用に よっ て発 現する と考え ら れる(e
.
g.
,
Courtney,
2004 ; D’
Esposito,
2007 :Gruber & Goschke,
2004 ;PQstle,
2006
)。第二 は や は り二重課題に お け るPFC の機 能に関 係す
るが
,
PFC
が 複 数の機 能 を担っ て い ることが,
二重 課 題の際に どの よ う な問題と して現れ る かにつ い て考察す る
〔Cabeza & Nyberg
,
2002 )。 PFC,
特に背 側 前 頭 前 野(
Dorsolateral
Prefrontal
Cortex
;DLPFC
)に関して はワ
ー
キ ングメ モ リの観点か ら は情 報の保 持と操 作に関 係して い る こと が知 られて い る
.
一
方,
課 題 間の調 整や処 理資 源の分配 とい っ た実 行 系機能を指 摘す る もの も あ る
(ワ
ー
キ ン グメ モ リ と脳の 関 係 にっ い て は,
Jonides,
Lacey
,
& Nee,
2005 ;Logie
&D ’
EspositQ,
2007
;Osaka ,
Logie,& D
’
Esposito,
2007 ;苧阪,
2008 ;Owen ,
Stern,
Look , Tracey , Rosen , &
Petrides,1998
;Smith
&Jonides,
1999 な どを 参 照 )。
も し,
これ らの機 能がすべて DLPFC に関係す る と す れ ば,
DLPFC
は どの よ うに して, 個々 の刺 激情報を 保持し, そ れ らに対 して操 作を行 う と同 時に
,
注 意資 源を分配 し,
課題間の調整 を行って い るの だろ うか? 同 様の疑 問は下 部 前 頭 領 域 (lnfe
−
rior Frontal Regions )や前 部 帯 状 回 (AnteriorCingu一
late
Cortex
:ACC >に関 して も考 え られる。
下 部 前 頭 領域は下 前 頭 回(lnferior Frontal
Gyrus
;IFG},
下 前 頭 溝(lnferior Frontal
Sulcus
:IFS>を含み,
言 語 情 報 処 理に関係す るの は も ち ろ んの こと
,
被験 者 が 課 題 間の調 整,
遂 行 方 略 等を内 言 化して い る可 能 性 も十 分 考え ら れる。 したがっ て,
こ の よ うなPFC
の領 域に お け る複 数の機 能はブ レ イ ンイ メー
ジ ングの 際に どの よ うに現れ るの か,
また課 題を実 行 する際に複 数の機 能は同 時に遂 行さ れ ること が 可能なのか ど う か とい う 問題にっ い て考 察す る。 第三 は,
二重 課 題にお け る後 頭 部 知 覚 領 域 (後 部 頭 頂 葉, 側 頭葉,
後 頭 葉 )の 役 割に関 する問 題であ る。 これ に関 して は主 要な問 題が 2点あるが,
1っ は前 述の よ う に実行系 機能が後頭部領 域問の協調や競合に よっ て創 発 する可 能 性,
も う1つ は 二重 課 題にお ける後 頭 部 知 覚 領 域の活 性 化の低.
ドと そ れ が 脳 の処理資源に対 して示 唆 す る問 題 (Just
,
Carpenter,
Keller,
Emery,
Zajac,
&Thul−
born 2001 ;Koshino,
Keller,
&Just,
2006 ;Newrnan,
KeLler,
&Just
,
2007
)であ る。 処理資 源の プー
ルが,
例 え ば視 覚,
聴 覚といっ たモ ダ リテ ィご とに存 在し,
し た が っ て 複数存 在するこ とを仮 定す れ ば (複数 資源モ デ ル, e.
g.
,
Wickens ,2002
),
個々の課 題に対 応し た後 頭 部 領 域の活 性 化は比 較 的 独 立 して お り,
し た が っ て単 独課 題の場合も二 重課 題の場 合も同 様の活 性 化を示 すと考え ら れる。 一
方,
脳 全 体の処理資 源が一
定で個々の 課題は その 資源を共有して い る と す れ ば (単一
資 源モ デ ル,
e
.
g.
Norman
& Bobrow,
1975:Raichle & Gusnard,
2002 )
,
二 重 課 題の際に は単 独 課 題に比べ て, 脳 全体の 活性化の程 度は同等だ が, 限界の あ る処理資源に対する 競 合が起こ るた め,
後頭 部の個々 の課 題に対 応し た領 域 におい ては活 性 化の低 下が予 測さ れ る。
しか し, この低 下の程度は,
例えば当該課 題に対する処理の 自動 化の程 度といっ
た要 因に よ っ て も左 右さ れると思わ れ る。 本稿 で は,
これ らの視点に基づ い て,
同時 的二重 課題,
重複 的 二 重課題,
継 時 的二 重課 題の順に検討する。
2.
同時
的二 重課題 に おける実 行 系 機 能とPFC
の 役 割 ブレ イン イメー
ジ ン グにおい て実 行 系 機 能の神 経 基 盤 を探 求して き た多くの研 究で は同 時 的二 重 課 題が使われ て きて い る。 し か し,
それ らは2
っ の操 作 課 題 を 対 象と し た ものが多い。 これは伝 統 的な認 知 心理学 的にお け る ワー
キ ン グメ モ リ研 究で使わ れ るt重 課題の多 く が 操作 と保 持の2
っの要 素を含むの と異なっ て い る点で あ る。 もち ろ ん,
ブレ イ ン イメー
ジン グの研 究で もワー
キ ング62
基 礎 心 理 学研究 第28
巻 第1
号メモ リスパ ン課 題 が使用さ れ た場 合は情 報の操作 と保 持
の 要 素が含ま れ る。
2っ の 操 作 課 題 を用 い た
fMRI
の 研 究 は ま ず.
D
’
Esposito,
Detre,
Alsop,
Shin,
At]as,
& Grossman(
1995
)によっ
てな さ れ た。 彼らは意 味 分 類 判 定 課 題とメ ソタル ロー
テー
シ ョ ン課 題 を用い た が,
意味分類 判定 課 題は,
あ る 単 語 が あ る カテ ゴ ll一
に属 するか (e,
g.
,
「バ ナ ナ は果 物に属 するか 」)の判 定 を下 すこ とを 必要と し, ま たメ ンタル ロー
テー
シ ョ ン課題におい て は,
小11
]と二重 線を含む 四角 形を刺 激とし,
2
っ の 四角形で二重線に対 する小 円の 位 置 が同じで あ る か ど う か を判定す る こと が 要 求さ れ た。 被 験 者は意 味 分 類 判 定とメ ンタル 囗一
テー
シ ョ ンを単 独 〔単 独 条 件 )お よ び同 時C
二 重 課 題条件 ) に行っ たu 結果 は,DLPFC
にお ける活 性 化が二 重 課 題 において より高かっ
た た め,
彼ら はDLPFC が二 重課題 におけ る処 理資源の分 配 等 を含む課題管理に関 係して い る と し た。 それに続 く研 究で は,
D’
Espostto et al.
(1995
)の 結果 を支 持 し,
PFC
に お け る活 性 化が 二 重課 題 条 件に おい て高かっ た と報 告 する もの もあ れ ば (e.
g,
,
Dreher,
&Grafmar1,2003
;Koechlin,
Basso,
Pietrini
,
Panzer,&
Grafman ,
1999;Loose , Kaufmann ,Auer ,
&Lange ,
2003
;Ramsey ,
Jansrna,
Jager
,
Van
Raalten,
& Kahn,
2004 ;
Szameitat,
Schubert,
Muller,
& von Cramon,
2002 ;
Thomsen ,
RimoL Ersland,
& Hugdahl,
2004
),
二重 課 題に特 有な PFC の活 性 化は 見 ら れ な か
っ
た と する もの も あ る(e
.
g.
,
Adcock,
Constable,
Gorc,
& Gold−
man−
Rakic,
2000 ;Bunge,
Klingberg,
Jacobson,
&Gabrie
!i,
2000
;Just
et al.
200
工;Klingberg,
ユ998
;New −
man et al
.
,
2007
)。
例え ば,
Klingbcrg (1998)は聴 覚 的 音程 弁別課 題と, 視 覚 的輝度弁 別 課題 を1−
back で行 う 二 重課 題を使 用 し た が.
単 独 課 題お よ び 二重 課 題の すべ て の条 件で両 側の 中 前 頭回 (MFG ),
お よ びACC
の 活性 化が 認 め ら れ, 単独課 題 と二 重課題の間に は差が な かっ た。
こ の 結 果に関 して,
Klingberg (1998}は D’
Esposito et al.
(1995
)の報告 し たPFC の 活 性 化は 二重課題の 調 整に対 応し た もの で は な く,
そ こ で使 用さ れ た課 題が比 較 的 高 次 過 程の もの である た め,
ワー
キ ン グ メモ リへ の 必 要 度に対 応し たもの である可 能 性を 示唆 して い る。
ま た,
AdCock et al.
〔2000 )は聴 覚 言 語 的 分 類課題と,
視 覚 的メ ンタル ロー
テー
シ ョ ンま た は 顔の 同一
性 判 断課 題 を 用いた が, 二重課 題におい て 活 性 化さ れ た領 域はすべ て 単 独 課 題に おい て も活 性 化さ れ た。
し た が っ て,
二重 課 題に特 有な脳の活 性 化は見 ら れ な かっ た。 これに文・
1
し て も同 様に,
比 較 的 高 次の 課 題 を 使用する と,
単 独 課 題に おいて もワー
キングメ モ リが関与する た め,
二重 課 題に 特有の活性 化が検 出しに くく なる可 能 性が指 摘されて い る (Szameitat
et aL,
2002 ) 。 また二重 課 題に特 有な活 性 化を見い だ せ な かっ たい くつ か の研究では行 動 指 標に お い て も二 重課題に 由来するパ フ ォー
マ ン ス の低F
が見ら れ な かっ たこ とも指 摘さ れて い る(Szameitat
et a1.
,
2002 )。 ワー
キ ングメ モ リスパ ン課 題は,
情 報の 保持と操 作を 念ん だ 二重課 題 と な る が,
ワー
キングメモ リスパ ン課題 を 二 重課 題と して その構 成 課 題の単 独 条 件 と 比 較 した研 究 の 結 果は一
致 して い な い。 例 え ば,Bunge
et al.
(2000
>は リー
デ ィ ン グスパ ン課 題 〔Daneman & Car−
penter,
1980)を用い て,
二 重 課 題 条 件と構 成 課 題 (文章 の正誤判断と記憶)の単独条件と を比 較 し た。 その結 果,
二重 課 題 に特有の 活 性 化は得 られな か っt
,
,Smith,
Gcva
,
Jonidcs,
Miller,
Reuter−Lorenz,
& Koeppe(
2001
)は オペ レー
シ ョ ン スパ ン課 題 (Turner
&Engle,
1989)を使 用し,
そ の構 成 課 題 (単 純 計 算:と単語 記憶 )を単 独 で 行 っ た場 合 と比較 し た。 低ス パ ン 群は左
DLPFC
の活 性 化が 二 重 課 題 条 件に おい て 高かっ たが,
高ス パ ン群の PFC の活性 化は二重 課 題と単独条件で差
が な か っ た。
一
方,Kondo ,
Osaka ,
&Osaka,
(2004 )は空 間 的スパ ン課 題 {Shah &Miyake
,
1996 )を使用 し た。
そ こ に おいて は文 字と矢 印が順番に提 示さ れ, 被 験 者は 矢EIJ
の指し示す方 向を保 持し な が ら,
文 字が正 立か鏡 映 かの判 断を求め ら れた。 彼らは 二 重 課 題 条 件において,
高ス パ ン群は右 半 球のDLPFC
とACC
の活性化が低ス パ ン群よ り も高か っ た と報 告 して い る。 こ の ように二 重 課 題にお け る実 行系 機 能に関するPFC
の 役 割に関して の結 果は一
致して いないが,
そ の 理 由として は,
少なくとも3っ の可 能 性が考え られ る、,
1っ はPFC
の機能の 多 様性,
もう1
っ は,
調 節機 能に関 す る活 性 化が閾 値に達 し ない可 能 性,
最 後に,
実 行 系 機 能が創 発 する 口J
能 性である。
ま ず PFC の機 能の多 様 性に関して である が,
PFC は 課題間の調 節,
処理資 源の配 分とい っ た実 行系 機能の み な らず,
情 報の操 作,
保 持,
ま た課 題セ ッ トの 表象に も 関 係 して い る。
単 独 課 題 の場 合,
課 題 その もの が単純 な 場 合は 課 題内容の 表 象お よ び刺 激一
反応の マ ッ ピ ン グの 表 象 な ど を そ れ ほ ど 必要と は せず,
し た がっ
て,PFC
の 活 性 化も少ない と 思 わ れ る。 また自 動 化の 程 度 が 上 がる にっ れ て,PFC
の活 性 化 が低 ドすること も知られて い る。
例えば,
Ranlsey
et al.
〔2004 )は,
新奇な課題を 遂行する場合は多くの ニュー
ロ ンが関与する が,
課題が自動化す るにつ れて 限ら れ た数の二
=
・
一
ロ ン で.
卜分と な り, 初 期に使われた 二;
・一
ロ ン の何 割か は不 必 要になっ
て課 題の遂行か ら除外さ れ る よ う に な る。
したが っ て,
自動化の程度が進むにつ れて活 性 化が低 下 する と してい る。
さらに そ の よ うな場 合は,
調 節機 能に関 す る活性化が閾 値に達 し ない可 能 性で あ る。 つ ま りPFC は課題管理 の機 能を 担 っ て い るの だ が,
それ が,
活 性 化 と して現 れるのはある程 度 以 上の課 題の 負荷が か かっ た場 合に限 ら れ る とい う 可能性であ る。
反 対に課 題が複 雑なもの,
また は難 易 度の高い もので あっ た り,
刺激一
反 応の マ ッ ピン グが 新 奇なもの で あっ た りする と,
課 題の表 象や刺 激一
反 応マ ッ ピ ングの表 象 が ワー
キ ングメ モ リ に保 持さ れる こ と が,
二重 課 題の ス ムー
ズな 遂行には 必要にな るであ ろ う。
し た が っ て,
こ の場 合は PFC の活 性 化は二重 課 題の コ ン トロー
ル に対 応し てい る もの も あ れ ば,
課題の表 象に関 係し てい る場 合も あ る と思わ れ る。 こ の 問 題に関 して は例え ば, 単 独 課 題と 二重 課 題の間で の課 題の難 易 度を等しくし た場 合 は二 重課題に特有な前 頭葉の活動は認め ら れ なか っ た とい う報 告が あ る (Nebel
,
Wiese,
Stude,
de
Greiff
,
Diener,
& Keide1
,
2005 )o こ のよ うにPFC
の機能の多 様性が, 二重 課 題の コ ン トロー
ル に特 有な PFC の 活 性 化の検 出を難 しくして い る可能 性が考え ら れ る。 した が っ て,
課 題セ ッ ト の表象 と認知コ ン トロー
ル の表 象を どのよ う に区別す る か とい う問 題は今 後の課 題の 1っ である と思わ れる。
課 題 内 容 の表象を必要と し ないよ う な単純な課 題 を組み合わ せ る とい うの は 1っ の 可 能 性で あるか も し れ ない 。 た だ,
単 純 な課 題 を 組み合わ せ た場合の調節 機 能 と,
よ り高 次 過 程に対応し た複 雑な課 題を組み合わ せ た場 合の調節 機能 が同じで あ る とい う保 障はなく,
む し ろ,
複 雑な課題に 対 応 した調 節機能は違っ てい る可 能性 が あると思わ れ る(Friston
,
Price,
Fletcher,
Moore,
Francowlak,
& Do−
lan
,
1996 )。
も う1
つ,
実 行 系 機能は後 頭部領 域 間の相 互 作 用に よっ
て創 発 する可 能 性がある。 も し,
前 述の Klingbe ]rg et al.
(1998>やSza
皿 eitat et a!,
(2002
)が指 摘 するよ う に二重 課 題 に お け るPFC
の活 性 化 は例え ば 情 報の 保 持 の よ う な ワー
キン グメ モ リの 機 能に関係 して い るの で あっ て,
処理資源の分配や そ の他の課題管理による もの で は ない と す る と,
課題間の調 節や処 理資 源の 分 配と い っ た機 能は どの ように して実 現さ れて い る の だろ う か? 脳はニ ュー
ロ ン の ネ ッ トワー
クか ら な る が,
情 報 処理 におい て は基 本 的に は感 覚 入 力か ら運 動 出 力へ と い う方 向 を 持っ (e.
g.
,
Fuster,1997
)。 そこに おい て,
感 覚 野 や 運動野に関 して は 比 較 的機 能が 局 在 してい る と考え られる が,
実 行 系 機 能な どの高 次 認 知 過 程は脳の特 定の 部 位に局在す るので は な く, さ まざま な領 域の相互作用 に よ って発 現す る と考え ら れる (e.
g.
Courtney,
2004 ; D’
Esposito,
2007 :Gruber & Goschke,
2004 ;Postle,
2006
)。
こ の観 点に立て ば,
例えば,
課 題の 遂 行にお け る 処 殫資源の 分配に関 して は,
後 頭部領 域間の 競合と PFC か らの トッ プ ダウ ンなフ ィー
ドバ ッ ク の 間の相 互 作 用に よっ て必要な 情報 処理 が な さ れてい く と 考 え ら れ る。 そ して これ らの相 互 作 用の 性 質が認 知 機 能の性 質 を 決 定 すると思わ れ る。
3.
重 複 的二 重課題におけ る 時間順 序の調整と 下
部
前頭領 域の 役割 二重 課 題におい て 1っ の課 題が先 行 し,
そ の途 中で も う1
っ の課 題 が提示 さ れ るこ と も あ る。
これ は先述 し たPRP
のパ ラ ダ イム で あ る 。 こ の よ うに2
っ の課 題が時 間 的に 重 複 する場 合は2つ の課 題 間の 時 間 順 序 調 整(
Temporal
Order
Coordination
)が重要にな る。 ブ レイン イメ
ー
ジン グの 多 くの研 究は,
課 題 間の時 間 的 関 係を操 作した場 合にお ける下 部 前 頭 領 域 (IFG
,
IFS を含む)の関 与を報告 して い る(e
.
g.
,
Herath,
Klingberg,
Young ,
Amunts,
& Ro!and,
200】;Jiang,
2004 ;Szameitat,
Lepsien,
vonCramon .
Sterr,
&Schubert,
2005
;Szameita
et aL.2002
)。 例え ば,
Szameitat
et al,
(2002 ) は聴 覚 的 音 程 弁別 課題と視 覚 的 位 置 同 定課題を用い て, 単 独課題と二重課題条件を比較し た。 二 重課題 にお け る 先 行 剰 激と後 行 刺 激の SOA が操 作 された。
行 動 指 標に おいて は, 二重課題は単 独課 題よ り も成績が低か っ た。 ま た,
脳の活 性 化に関 して は,
二 重 課 題は単 独 課 題に比 べ て左 IFS,
両 側 中 前 頭 回 (MFG ),
両 側 上前頭溝(SFS ) の活性 化が高か っ た。 これ らの結 果に基づ い て,
彼ら は 下 前 頭 溝は 二 重 課 題にお ける時 間 順 序の調 整に関 与 してい る とする時間的順序調 整 仮 説 (
Temporal
Order
Coor−
dination
Hypothesis )を提案して い る。 し か し,
重複 的二重 課 題において
SOA
の効 果 を 見いだせ なかっ た研 究も存 在 する(
Marois,
Larson,
Chun ,
&Shima ,2006
)。重 複 的 二 重 課 題にお け る 下部 前頭領域の役 割に関して は, 時 間 順 序 調 整 以 外の機 能も提 案さ れて い る。 」iang
,
Saxe,
& Kanwisher (2004 )は視 覚 弁 別 課 題に お ける巾 心視 野と周 辺 視 野の反 応 競 合に伴う下 部 前 頭 領 域の 活 性 化が短い SOA におい て見ら れた た め,
この領 域 は知 覚 段 階の 注 意の 配 分に関 与 して い る と し た。
ま たStetze1
,
Schumacher
,
Schubert,
&D’
Esposito (2006
}は感 覚 運動マ ッ ピン グに対応 し た下 部前頭領 域の活 性 化がモダ リ
64 基 礎心 理学研究 第
28
巻 第1
号 た た め,
この 領 域は 感覚一
運動マ ッ ピン グの調整に ある と して い る。 ま た,
IFG,
特に左 半 球は元 来ブロー
カ領 と して言 語 処 理に重 要で あるとさ れて きたが,
言 語は認 知 活 動の調 整機能を担っ て い る た め,
課 題の遂 行の際に内 言化が行 われる ことも多い と考えら れる。
した が っ て,
下 部 前 頭 領 域は言語処理 を 必要と し ない 課 題で あっ て も 被 験 者が内 言 化に よる課 題の調 節 を 行 う場 合に活 性 化さ れ るこ と が.
考え ら れ る。
さ ら に 近 年,
下 部 前頭 領域 は 逐 次 情 報 処 理に関 わっ
て い る とい う提 案が な されてい る が(e
,
g.
,
Fuster,
2001 ;Knutson,
Wood ,
&Grafman ,2004
;Zacks,
Braver,
Sheridan,
Donaldson,
Snyder ,
Ollinger,
Buckner,
& Raichle,
2001 ),
言 語 処 理は極めて逐 次 的な 処理で あ るこ と を考え ると,
こ の 提 案は言語情報処理 を より一
般化し たもの であ る と思わ れ る。 今まで 見て き たデー
タは下 部 前 頭 領 域が 逐 次 情 報 処 理, 時 間 処理, さ らに知覚段 階の 注意の配 分, そ して感 覚一
運 動マ ッ ピン グ な どの複 数の機 能に関 係 して い る こ とを示 して い る。 そ れに関して vonCramon
らの グル
ー
プ (e,
g.
,
Brass,
Derfuss,
Forstmann,
& vQnCra−
mon
,
2005 ; Derfuss,
Brass,
Neumann,
&vonCramon ,
2005
>は認知コ ン トロー
ル に お け るlnferior
FrQntal
Junction
(IFJ)の役 割を強 刮刮し て い る。
こ の領 域は運 動前野 (Premotor Area
,
BA6 ), 中背 側 前頭前 野(Mid・
DLPFC ,
BA
9
),
お よ びIFG
の交わ る点に存 在す る た め,
反 応の プ ロ グラ ミング や ワー
キ ングメ モ リ,
そ して,
言語 処理 お よ び時間順序調 整の すべ て に おい て重要な役 割を持っ と さ れて い る。 これ らの結 果か ら,
下 部 前 頭 領 域は複 数の機 能に関 係して お り, した が っ て, 二重課題 の 際の こ の領域にお ける活性 化もこれ らの機 能の間の相 互作 用に よ る可 能 性が ある。 それで はこ の ような下 部 前 頭 領 域に お け る複 数の機能 は さ ま ざ ま な 認知 課題の 際に どのよ うに遂行さ れて い る の で あ ろうか? これらの機 能は同 時に遂 行 するこ と が 可 能なの で あろ うか ? これ は例えば,
言 語 情 報 処理 を 必要と す る 課 題 を含む重複 的 重 課 題の 場 合, 言語処理 と課題間の時間 順序調 節を同時に遂行す るこ と は可能か とい う問 題であるc こ の点に閧 して,
も し2 っの異なっ た課 題が 同じ領 域に よる処 理に関 係して い る とすれ ば,
これ らの 2つ の 課 題は同 時に遂 行 さ れるこ と は ない と い う仮 説が提 案さ れて い る (Roland & Zilles,
1998)。
そ して,2
っ の 課 題 が も し同 時に 遂行さ れ ない と す る と,
次の 問 題は そ れ らが どの よ う な順 序で 遂行さ れ るの か と い うことにな る。
換 言 す れ ば その 遂 行 順 序 は どのよ う な 要 因によっ て決 定さ れ る か とい う疑問で あ る。 さ らに こ の ことは,
従 来,
選択 的 注 意の分 野で議 論さ れて き た情 報 処理に お ける ボ ト ル ネ ッ ク に相 当 する可 能 性が ある が,
これらに関して は今 後の研 究 を待た ねばな ら ない。
4.
継 時 的二 重課 題 (タスクスイ ッ チ ング) 継 時 的二重 課 題 (タスクス イッ チン グ)におい て は,
被 験 者はそれ ぞ れの課題 の セ ッ トを構 成 し,
それ ら を ワー
キ ングメ モ リに保 持 する (課 題セ ッ トとタス クス イ ッ チン グに 関 して は例 え ばSakai
(2008
)な ど を参 照 )。 そ して,
課 題の ス イ ッ チ の要 求に従っ て 反 応 するこ と が要求されるu 例えば,
ス イッ チ があるの か,
ま た は ス イッ チ はなく単 独 課 題の反 復なのか等の違いで あ る。 ス イ ッ チがある場 合は,
ス イ ッ チ仕 方は どの よ うに指 示 さ れ るのか が 問 題 と な る。
例え ば,
あ ら か じめ教示と し て与え ら れた固 定さ れ た順 序に従っ て ス イ ッ チ するの か,
そ れ と も課 題は ラン ダムに呈示さ れ,
そ の都 度 与え ら れ た手が かりに従っ て スイ ッ チするのか等の違い で あ る。
さらに ラ ンダムにス イッ チす る場 合は,
手が か りが 与え ら れて か ら課 題を実行す る まで の 準備期間も重要な 要 因と なる。 し た が っ て,
タス ク スイ ッ チ ン グにおい て は課 題セ ッ ト の準 備,
保 持,
ス イ ッ チ の仕 方 等に対 応 し た神 経基盤は何か とい うこと が問 題に な る。 タス クスイ ッ チ ン グの ある課 題 を単 独 課 題と比 較した 場 合, 単独課 題で は単一
の課 題 表象に基づい て課 題を遂 行す る が,
タス クス イッ チ ング が あ る場 合は2
種類の課 題セ ッ ト の表 象を形 成し,
それ を保 持し切 り替え な け れ ば な ら ない ため,
DLPFC
を中 心と し たPFC
の負荷が高 くなる と思わ れる,
,
ス イ ッ チ の有無を 比較し た研 究で は, ス イッ チ の ある試行は両側PFC ,
帯 状回,
運動前野,
後 部頭頂葉な ど を 主 に活姓化する こと が報告さ れて い る(e
.
g.
,
Braver et aL,
20D3 ;Dove,
Pollmann,
Schubert,
Wiggins,
& vonCramon ,
2000 ;Schubert
&Szame −
itat
,
2003 )。 例え ば,
Dove et aL,
(2000 >はス イッ チ有 条 件とスイ ッ チ無 条 件を比 較 し た が,
ス イ ッ チ無 条 件で は 被 験 者は+ と一
の 弁 別 を求め ら れk 。
スイ ッ チ有 条 件で は刺 激が緑色で 提示さ れ た 場 合は+ に対 し て は左 の キー
,一
は右のキー
で反応し,
刺激が赤で提示さ れ た場 合は左右 逆に反 応する こと が求め ら れ た。 し た が っ て こ の条 件で は被 験 者は個々 の刺 激の色に対して刺 激一
反応 α) マ ッ ピング をスイ ッ チする ことになる。 結 果はス イッ チ有 条 件に お い て は両 側 PFCCBA9
),
前 運 動 野 (BA6 ),
前 部 島 皮 質 (BA44
/45
),
左 頭 頂 溝,
補 足 運 動 野,
後 部 帯 状回,
な どが活 性 化さ れ た。
ス イ ッ チ試行 におい て は固 定順序と ラ ン ダム順序の違 いが あ る。 固定順序の場 合はス イッ チの ス ケジ ュー
ル は 教 示な どで与え ら れ,
あ ら か じ め順序が決まっ て い る。これに対して ラン ダム 順序の試行で は ど ち らの課題を行
うか が直 前まで わか らな い た め
,
ラ ンダム順 序の ほ うが課 題順序の ス ケジ
=
・
一
リン グ に関する負 荷が高く な る。こ の 2つ を比 較し た研 究におい て は
,
ラ ン ダム順 序の試行に おい て
.
ヒ部頭 頂 葉 (Ki
エnberg,
Aguirre,
&D ’
Espo−
sito
,
2000 ),
PFC (Szameitat
et a1.
,
2002 ;Szameitat
eta1
、
,
2005
),
およ び上 部 PFC (BA8 )と後 部 頭 頂 葉 (Sohn ,
Ursu,
Anderson ,
Stenger,
&Carter,2000
)な どの活性化が高い こと が報 告さ れて い る。 課 題 がラ ン ダム に スイ ッ チする場 合に関 して
,
手 が か りパ ラダ イムを用い て手が か り と刺 激の 間の準 備 時 間 (SQA
)を 操 作 した研 究の多 くは,
SOA が短い場 合に ス イッ チ条件にお け るPFC
の活性 化が反復 条件と比 較し て高いが,SOA
が 長い場 合はス イ ッ チ条 件 と反 復 条 件 の間に は差が ない とい う報告をして い る(e.
g.
,
Brass
&von Cameron
,
2002 ;Braver et al.
,
2003 ;Ruge,
Brass,
Koch,
Rubin,
Meiran,
& von Cramon,
2005 )。 例え ば,
Ruge
et al.
(2005
)はMeiran
〔1996
)によっ て開 発 さ れ た位 置 弁 別 課 題を用いて,
スイッ チ条 件と反 復 条 件を比 較 した。
被 験 者は 夕一
ゲッ トが 2×2 の配 列の上.
.
ドまた は左 右の ど ち らに現れ た か を判 断 するこ と が求め ら れ た。 ど ち らの 弁 別 を 行 うか は刺 激の 100ms また は2000ms
前 に 提 示 さ れ る 矢 印 手 が か り に よっ
て指 示 さ れ た。 行 動デー
タ はスイ ッ チ コ ス トが 100msSOA
条 件 の ほ う が高い こ と を示 し た。
脳の 活 性 化に関 して は左IFJ(lnferior Frontal
Junction
),
左中前 頭 回,
右 下 前 頭溝
,
両 側 島 皮 質 およ び ACC における活 性 化がスイ ッ チ条 件で 100msSOA
に おい て高か っ た が,2000
msSOA
におい て は差が な かっ た。 以上 見て きた よ うに,
タス クスイ ッ チ ン グにおいて はPFC
の活性 化を報 告 し てい る研 究が ほ と ん どで あ る が, PFC の 中で の機 能 分担を検 討 する た め,
MacDonald,
Cohen
,
Stenger,
& Carter,
(2000}はス トルー
プ刺激を用い た タス クス イッ チン グ課題 を使
っ
て,
DLPFC
と ACC の機 能の違いを分 離しよ うと試み た。 そ の結 果,
左DLPFC
は準 備 期闇におい て, スイ ッ チ条件の活性 化が 高く,
ス イ ッ チ の準 備に関 係 して い る とされた。
ACC は 反 応 段 階に お い て活 性 化を示 し,
不一
致 条 件の ほ う が一
致 条 件より も活 性 化が高か っ た た め,
コ ン フ リク トモ ニ タ リン グに関 係 する と さ れ た。
ス イ ッ チ コ ス ト に影 響 する要 因と し て は前 述の よ う に,
課 題セ ッ トを切 り替え,
次の試 行の準 備に か か る認 知 的 負 荷と,
直 前の 試 行か らの干 渉 が考え ら れ,
これ ら はス イッ チの仕 方に よっ て , 異なっ た影響を与え る と 思 わ れ る。 連続交 代 試行の よ うにあ ら か じ めス イ ッ チ の ス ケジ ニー
ルが教 示と して与え ら れて い る場合は,
課題 セ ッ ト の表 象の更 新 もそれに則っ て行 うこ とに な る た め,
課 題 を遂行し な が らス イッ チ に備え ること (e.
g.
,
あ と何 試 行で交 代 するか を数えてお く等 ) も可 能か と 思 わ れ る。
そ して,
これ らの課 題セ ッ ト の表 象 等の機 能に関 して はDLPFC
の関与が大きい (e.
g.
,
Braver
et a1.
,
2003 ;Dove et al.
,
2000 ;MacDonald et a 玉.
,
2000 ;Schu−
bert
&Szameitat,
2003
)。 こ れに対して,
手が かり試 行 のよ うに試行 毎に ど ち ら を行う か が指示 さ れる場 合は,
手 が か りが与 え られて か ら課 題セ ッ ト の更 新 を しな くて は な ら ない ため に手が か り と刺 激の間の期 間が課題の遂 行に影 響 を 及ぼす。
そ して課 題セ ッ ト の更 新のた めに与 え ら れ た時問が短い場 合は,
認知 的な負 荷は大き な もの と なり,
それ がIFJ等の活 性 化に っ な がると 思 わ れる(e
.
g.
,
Brass
&vonCramon ,2002
;Braver
et al.
,
2003
; Ruge et al.
,
2005 ) 。 与え ら れ た時 間が長け れ ば,
認 知的 な負 荷はそれほ ど大 き くはな く,
した が っ て活 性 化 も閾 値に達 し ない 口∫能性も あ る 。5.
同 時 的二 重 課 題と継 時 的二 重課
題の比 較 今まで レヴュー
して き た研 究の うち,
同 時 的二重 課 題 の 場.
合,
2つ の課 題 を どの よ うに実 行 するかは被 験 者に 任 さ れて い る た め,
被 験 者の認 知方 略が 介 入 す る 余 地 が ある。 例え ば,
被 験 者は 2つ の課 題 を全 く同等に同 時 的 に実 行して い るのか,
そ れ と もいわ ゆ る タ イム シ ェ ア リ ン グの よ うに継 時 的に実 行して い るか,
といっ
た疑 問が 生じ る。
も し,
前 述の よ うに,
同 じ領 域に よる処理に関 係して い る2
つ の課 題は同 時に遂 行さ れ るこ と はで き ない (Roland &ZMcs,
1998)な らば,
タ イム シ ェ ア リン グ が非 常に有 効な方 略と 思 わ れ る。
その場含,一
方の刺 激の 情 報を ワー
キングメモ リに保 持 して おい て,
も う一
方の課 題を先に実 行 する とい っ た処理が考え ら れ る。
同時的二 重課 題 と継 時的二 重 課題 を直接比較し たの は Dreher &Grafman (2003 )が最 初で あるが,
そ の実 験に おい て は, 各試行の最初に同時 的条件か継 時的条 件かの 教示が与え ら れ た後,
緑か赤の ア ル フ ァベ ッ ト文 字 (大 文 字また は小 文 字 )が 1っずっ 順 番に呈 示さ れ た。
課題 は母 音子音 弁 別と大 文 字 小 文 字 弁別 で あっ た。
し た が っ て,
被 験 者は同 時 的 条 件の 場 合は2っ の 弁 別 課 題 を 同 時 に行い,
また継 時 的 条 件の場 合は文 字が赤の 場合 は 母 音 子 音 弁 別を,
ま た緑の場合は大 文 字小 文字弁 別を行 っ た。
結 果は,
同 時 的 条 件で はACC
が活 性 化さ れ た が,
こ れ は2
つ の 課 題 を 同時に行う際に 2種 類の刺激一
反 応 連 合の コ ン フ リクトを解 消 するの に関 係 して い る とさ れ た。
そ れ に対 し て継 時 的 条 件で はfii
IFG と両 側の 頭 頂66
基 礎 心理学 研 究 第28
巻 第1
号 溝が活 性 化さ れ た が,
彼らは左 IFG は タ ス ク スイ ッ チ ングの際に そ れ ぞ れの課 題に対 応し た神 経ネ ッ ト ワー
ク の選 択に関係し てい る と し た。 ま た Koshinoet al,
(2006 )は聴 覚 的 文 章理解 (一
般 知 識に関 する正 誤 判 断 ) とShepard
&Metzler
(197
】〕の メ ン タル ロー
テー
シ ョ ンを用いて1
司時条件と継時 条件を 比 較 し た。 同 時 条 件におい ては,2
っ の刺 激は同 時に提 示さ れ,
被験者は6
秒間に2
っ ともに反応 すること が要 求さ れ た。
継 時 条 件におい て は,一
方の刺 激が最 初に提 示され,3
秒 後か ら他 方の刺 激が提示さ れ る。2
っ の刺 激は こ の ように して交互に繰り返 して提 示さ れる ため,
これ は某 本 的には固 定 順序の タス クス イッ チング と同じ ことにな る。 た だ,
6 秒間に一
度ずっ 文 章理解とメ ン タ ル ロー
テー
シ ョ ン を 遂行
しなけ れ ば なら ない点で,
両 条 件は統 制されて い た。
結果は,
単 独課 題と二重課題 を比 較 し た場 合は,
二重 課 題 におい て後頭部知 覚野にお ける 活 性 化σ)低 下が見 られたが,
こ の活 件 化の低 下は文 章 理 解に対応 す る 領 域 (特に左上 部お よ び中 部側頭 葉 )にお い て よ り大きく,
メ ン タル ロー
テー
シ ョ ンに対 応 する領 域 (両 側 後 頭 葉およ び右 頭 頂 葉)におい て小さ かっ た。
後 頭 部 知 覚 野の活 性 化の低 下の 程 度に関 して は,
二種 類 の二 重 課 題で差は なかっ た。
2
っ の 二重 課 題条佇の 直接 比 較 に よっ
て 得 ら れ た結果 は,
同 時 条 件に お い て DLPFC およ び言 語 関 係 領 域 (上 部 側 頭 回 )の活 性 化が よ り高 く,
継時条 件に おいてACC
お よ び視 空 問 情 報処 環関 係 領 域 (後 頭 葉 と後 部 頭 頂 葉 )の活 性 化が より高 か っ た。
この結 果は,
被 験 者は同 時 条 件に おいて は文 章 を一
時 的に ワー
キン グメ モ リに保持し な が ら, メ ンタル ロー
テー
t ヨ ンを 先に行 うとい う方 略 を取 っ たこ とに関 係 して い る。
継時条 件に おい て は,3
秒間 あ れ ば 文章理 解 は余 裕を持 っ て 行 うこ と がで きる が,
メ ンタル ロー
テー
シ ョ ン は実 行 することは で きて も余 裕は あ ま りな い (ち な みに被 験 者の メ ン タル ロー
テー
シ ョ ン に対す る平 均 反 応 時 閙は約 2.
2秒で あっ た)。
し た が っ て短 時 間に 集 中し て メ ン タル U一
テー
シ ョ ン を行 う こ と が要 求さ れ,
タイム プ レ ッ シ ャー
が 非 常に高 くな る。
ACC およ び 視 空 間 情 報 関 連 領 域の活 性 化は,
おそ ら くこ の こ とと関 係して い ると考え ら れ た。 上記の2
っ の研究に おいて,
DLPFC
お よ びACC
の 活性 化の パ ター
ン が違 っ て い 九、
こ れ は1
っ に は,
DLPFC,
ACC
といっ
た領 域は複 数の 機 能に関 係 する た め,
課 題の性 質に よっ て は活 性 化のパ ター
ンが異なっ て くる と考え ら れ る。
DLPFC の活 性 化に関して は第 2節 の後 半で 議 論し たので あ る が,ACC
の活 性 化は どの よ うな認 知 機 能 に関 係 して い るので あろ う か?ACC
の 役 割に関して も近 年さ まざ まな議 論がな さ れて きて い る。ACC
も二重課題やワー
キ ン グメモ リ以外に も さ ま ざ ま な課題にお いて活性 化が 見 ら れ る。 例え ばス トルー
プ課 題 (e
,
g.
,
Barch,
Braver,
Sabb.
& Noll,
2000 ;MacLeod
&MacDonald ,2000
>,
フ ラ ンカー
課 題 (e.
g.
,
Botvinick
,
Nystrom,
Fissell,
Carter,
& Cohen,
1999;Bunge
et aL,
2002
;Durston,
Davidson,
Thomas ,
Wor −
den,
Tottenham,
Martinez,
Watts,
Ulug,
& Casey,
2003 ),
そ し て ゴー。
ノー
ゴー
課 題 (e.
g.
,
Bravcr et aL ,20011
;Durston
et a】,
,2003
;de
Zubicaray
et al.
,
2000
)な どで あるが
,
これ らの課 題は反 応の抑 制を必 要 とする。 ま た
ACC
の 活性化 はい くっ か の 同 等の 選 択肢のセ ッ トを持
っ
た課 題 例え ば,
勤 詞生成 課題 (Barch etal
.
,
2000
),
また誤 反 応の検 出 (Bush,
Luu,
& Posner,
2000
)な どにおいて も 見られ る。 これ まで の とこ ろ,
ACC の機 能に関する仮 説は主 に 二通りに分 け ら れる ように思 わ れる。
1っ はコ ン フ リク トモ ニ ター
リン グ を強 調す る もの で あ り(e.
g.
,
Botvin−
ick et al.
,
2004 ;MacDonald et a1.
,
2000 ),
そ れらはACC
は課 題の 遂 行に必 要な反 応 と,
反 応 傾 向の 強い反 応の コ ン フ リク ト の レベ ル を 評価 するこ とで,
どの 程 度 の処 理 資 源が必要かをモニ ター
し,
ま た その た め に必 要 な 認 知 活動に関係 し た 脳の領域 と 連携す るこ とに関 係す る と して い る。 も う1つ の立 場 (e,
g.
,
Posner & DiGiro−
la
皿o,1998
;Peterson,
Skud
!arski,
Gatenby ,
Zhang ,
Anderson,
&Gorc,
1999)は,
注 意 機 能を強 調す るが,
それに よれ ば,
ACC は注 意 資 源の分 配に関 わる ことで,
認 知機 能の コ ン トロー
ルを トッ プ ダウ ンに直接 的に行う とさ れる。 し か し,ACC
に損 傷のあ る患 者が認 知 的コ ン トロー
ルを必 要と す る課題におい てあ まり成 績の低 下を示さ な か一
〕たた め,
ACC は認 知 的コ ン トロー
ル に は必 ずしも 必 要で は な い と い う主 張 も あ る (Fellows
&Farah,
2005 )。 ま た情 報に コ ン フ リク トが あ る場 合にACC
の 活 性 化が.
高い は ど行 動の 修正 が 良 い し,
ま たその際には 次の試 行における DLPFC の活性 化が ヒ昇 する傾 向が ある とい う報 告 もある (Kcrns
,
Cohen .
MacDonald,
Cho,
Stenger、
& Carter,
2004 }。
こ れ ら の結 果は ACC の コ ンフ リ ク ト モニ タ