• 検索結果がありません。

⑶エコビレッジという共同体

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "⑶エコビレッジという共同体"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)1.住まい手が参加する住まいと暮らし. ⑶エコビレッジという共同体 Community as an Ecovillage 中林由行. NAKABAYASHI Yoshiyuki. NPO 法人コーポラティブハウス全国推進協議会. NPO Japan Co-operative Association. もうひとつの住まい方推進協議会. Alternative Housing & Living Association. 1.エコビレッジとは. では環境にやさしい暮らしをめざす運動体であるが、発展途上. エコビレッジは先進国、発展途上国を含めて世界中に様々な. 国では住民が協同して生存をしてゆくための有力な手法として. 実践例があり、簡単に定義することは難しい。簡略にいえば. 注目されている(グラフは各国のエコビレッジの登録件数を示. 「それぞれの地域の自然や風土・気候・社会と調和して、地球. す。データはやや古いが世界的な傾向を読み取ることが出来. 環境になるべく負荷を与えないで暮らすことめざす自立的な住. る)。. 共同体」である。都市部にも田園部にもつくられているが、田 園型はエコな戸建住宅団地を中心に農園を持ち、家畜を飼い、. 3.エコビレッジを構成する要素. 自給自足をめざすような形態が多い。都市型は共同住宅を中心. エコビレッジを構成する大きな要素は右図のように6つあ. に省エネ、自然エネルギー利用、自主管理、住民の相互扶助な. り、それを協同化とエコロジーの精神でつなげていると考えら. どを重視するのが特徴である。これからの「もうひとつの住ま. れる。立地や環境によって重視する要素が変わるのでそれぞれ. い方」として大きな魅力と可能性を持つ共同体である。. のビレッジが特徴を持っている。 6つの要素は以下の通りである。. 2.グローバル エコビレッジ ネットワーク(GEN). 1.居住性は基本である。2.管理性では、自主建設、エコ. 現在、世界中のエコビレッジのネットワークとして GEN と. マネーの採用に特徴がある。3.アメニティ性では生活と密着. いう組織があり、情報交換や交流を行っている。各国の登録ビ. した芸術活動を重視する。例えば、彫刻、絵画、ダンス、コー. レッジ数は以下のグラフのようになっている。米国が最も多く. ラスなどである。4.環境性では種の多様性と循環性を重視す. 次はオーストラリアである。日本では「アズワンコミュニティ. る。5.食の生産性では農園、家畜等での自給自足をめざす。. 鈴鹿」と「木の花ファミリー」が登録されている。もちろん、. 6.精神性はいくつかのビレッジでは中心テーマになってい. 実際には GEN に登録されていない実例も多くあり、発展途上. る。生活の中に瞑想を取り入れる、自然や地球との精神的交流. 国では貧しい人たちが力を合わせて自力で住まいを建設し、農. をはかる事例などである。. 園をつくり食物の自給を目指している。エコビレッジは先進国 50 45 40 35. 件数. 30 25. 系列. 20 15 10. 48. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.23-4 No.92 2016. インド. ニュージーランド. オーストラリア. トルコ. 南アフリカ. イスラエル. ハンガリー. ルーマニア. ポーランド. ロシア. ノルウェー. スウェーデン. デンマーク. フィンランド. スペイン. 国名. オーストリア. スイス. イギリス. スコットランド. オランダ. ドイツ. 世界のエコビレッジ. イタリー. フランス. ベネゼラ. ブラジル. メキシコ. 米国(西). カナダ. 0. 米国(東). 5.

(2) ビレッジホームズの果樹などに囲まれた住宅の環境. 4.日本の現状と事例 日本にもエコビレッジと称するプロジェクトはかなり多いが 海外のような本格的な事例は少ない。本書でも取り上げた「木 の花ファミリー」の他、「アズワンコミュニティ鈴鹿」、近江八 幡市の「小舟木エコ村」、いくつかある「ミレニアムシティ」 プロジェクト、熊本県宇城市の「三角エコビレッジサイハテ」 など。コープ住宅系では「経堂の杜」「欅ハウス」「さくらガー デン」「きなりの家」「きのかの家」などがある。 未来に向けて持続的な住まいと暮らしを共同体として実現し てゆこうとするエコビレッジの試みは、もうひとつの住まい方 として今後ますます重要になると考えられる。. ビレッジホームズの配置図 海外の有名なエコビレッジの事例 名称. 立地. 1. 弓場農場. 伯サンパウロ北西部. 2. フィンドホン. スコットランド北東部. 3. オーロビル. 印マドラス郊外. 4. ビレッジホームズ. 米カリフォルニア州. 5. ダマヌール. 6. 広さ 60ha. 設立. 戸数. 1924 1962. 2,000ha. 1968. 27ha. 1970. 伊トリノ郊外. 600ha. 1975. クリスタルウォーターズ. 豪クイーンズランド州. 260ha. 1988. 7. エコビレッジイサ力. 米ニューヨーク州. 71ha. 8. コブ・ヒル. 米バーモント州. 55棟. 人数. 備考. 60人. 移民4家族でスタート、耕す祈 る踊る、共産的暮らし. 320人. EV の盟主的存在、世界の本部あ り、スピリチュアル. 1,700人. 世界最大の国際多文化コミュニ ティ、自然エネルギーなど 25% が緑地、農園で果樹多い、 ソーラーエネルギ一利用. 240戸 600人. 大き<自治都市的、エコマネー あり、芸術的神殿あり. 83戸. 200人. パーマカルチャーデザインの最 初の事例. 1997. 90戸. 160人. パーマカルチャーデザインによ る農園中心. 2003. 22戸. ローマクラブの「成長の限界」 執筆のドネラ・メドウズ主宰. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.23-4 No.92 2016. 49.

(3) 1−⑶エコビレッジという共同体. 農園付きコープ住宅―生態系と調和した長屋型住まい. 里山長屋. 所在地:神奈川県相模原市藤野 事業主:住宅建設組合 企画コーディネイト:ビオフォルム環境デザイン室(山田貴宏) 竣工年:2011 敷地 面積:約800㎡ 住戸数:4戸+コモンハウス 構造:木質在来工法2階建て. 環境意識の高い地域と連携して計画. な暮らしを目指そうということになった。もう一世帯を募集. 4戸という小規模なコープ方式によるエコビレッジである が、参加者たちの思いのこもった、中身の濃いプロジェクト. し、山田氏も参加することになって4戸の長屋型の計画が決 まった。(文責 中林由行). で、ハード、ソフト共に注目すべき事例である。旧藤野町(現 在は相模原市)は相模湖に接した自然豊かな町で「森と湖と芸 術の町」といわれる。住環境への意識も高く「トランジショ ン・タウン(持続的なライフスタイルによるまちづくり)」の 活動があり、パーマカルチャー・センター・ジャパンの本部も ある。里山長屋はそれらと連携しながら計画され、竣工後はコ モンハウスを中心に様々なオープンな活動をし、情報発信を続 けている。. 戸建てを合わせて長屋に きっかけは企画コーディネートしたビオフォルムの山田氏が 隣り合った2軒の住宅の設計を頼まれたことから始まったと言 う。いろいろ話し合っているうちにパーマカルチャー(生態系 と調和したデザイン手法)を基本にした共同住宅による共生的. 外観. 北斜面桧林. コンポストトイレ (設置予定) 納戸 納戸. 書斎. 納戸. 台所. 台所 台所. 台所. リビング. 台所. リビング. 土間 土間. 池. 屋外水場 (雨水貯留). ピザ釜(将来設置). 1階平面図. 50. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.23-4 No.92 2016. リビング. 土間. リビング 土間.

(4) 1−⑶エコビレッジという共同体. 自給自足の大家族的暮らし―農業が結ぶコミュニティ. 木の花ファミリー. 所在地:静岡県富士宮市 事業主:農事組合法人木の花ファミリー 竣工年:1994 活動開始 敷地面積:5,420㎡ 建築面積:6棟の共用建物 居住者数:約90人(2016年現在). 世界からも注目されるビレッジ. り、世界的にも注目されている。個人が集まって(現時点で. 日本にもエコビレッジと称するプロジェクトはかなりある. 83人)一つの大きな家族的共同体を形成しているが、閉鎖的. が、共同性と精神性の追求という面では最も先駆的な事例であ. ではなく非常にオープンで、年間の一時滞在者、訪問者の延べ 人数は2,800人という。農作、養鶏など を中心にほとんどを自給自足しており、 収入や住宅や備品は全て共有で必要に 応じて使用し分配される。 2016年度からの蓮池の取り組みも、 地元の観光スポットとなっている。(文 責 中林由行). メンバー達. 蓮池. 農作業風景. 平飼の鶏 . 本部建物. 養蜂. 写真は全て木の花ファミリーの提供. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.23-4 No.92 2016. 51.

(5)

参照

関連したドキュメント

[r]

This study proposes a method of generating the optimized trajectory, which determines change of the displacement of a robot with respect to time, to reduce electrical energy or

雑誌名 金沢大学日本史学研究室紀要: Bulletin of the Department of Japanese History Faculty of Letters Kanazawa University.

特に、その応用として、 Donaldson不変量とSeiberg-Witten不変量が等しいというWittenの予想を代数

Working memory capacity related to reading: Measurement with the Japanese version of reading span test Mariko Osaka Department of Psychology, Osaka University of Foreign

TOSHIKATSU KAKIMOTO Yonezawa Women's College The main purpose of this article is to give an overview of the social identity research: one of the principal approaches to the study

[r]

名称 施設数 施設場所 コンセプト