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システムズエンジニアリングの実践事例と特徴

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Academic year: 2021

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(1)

システムズエンジニアリングの実践事例と特徴

2016年9月27日

独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)

技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(SEC)

(2)

論点2

システムズエンジニアリングの適用パターンの討議

論点2-1 事例の特性からシステムズエンジニアリングの適用域を

考察するというアプローチでよいか。

(3)

システムズエンジニアリングで効果が得られたと

考えられる事例

実現した システム 状況 解決策/SE手法 効果 事 例 1 次世代静脈 注入ポンプ ①操作上の複雑さによる安全性の低下 ②多様な要求、多様なスキルレベルのユー ザへの対応 ③不確定要素、リスク対応の繰り返し ④事業的成功、多岐に渡る考慮事項と調整 (マネジメント、財務、購入者、最終顧客、 開発者、サービス担当者、品質担当、医療 界) ⑤短期開発・リリースによるシェアの拡大 [マーケティング] ⑥製品寿命全体を見越したメンテナンスと 故障診断機能[メンテナンス] ・ユーザーセンタードデザインアプローチ ・リスクマネジメント(SEBoK 第3章)、 FMEA ・シミュレーション ・プロトタイピング →系統・関係性を配慮した推進(非常に多 くのステークホールダー間の統制のために JPO(Joint Project Office)設置)

統合論、全体論、動的行動、適応性、シス テムアプローチ、累進的エントロピー低減、 および累進的な利害関係者の満足(SEBok のパート2)) →進化的かつ同時進行なシステムズエンジ ニアリングプロセス 最低限の教育を受けた初体験のナースに関 しては、99.66%が問題なく使用できた。 全面生産、操業、サポートへ問題が継続す ることは最小に抑えられた 顧客満足、売上げ、利益は、強固であり、 マネジメント、財務、購入者、最終顧客、 開発者、サービス担当者、品質担当、医療 界の利害関係者からの満足度は、非常に高 くなった。 事業としても成功を収め、2006年の Human Factors and Ergonomics Society’s User-Centered Design Award および2007年のMedical Design Excellence Award を受賞

※赤字はシステムズエンジニアリング的な特徴を表すと想定されるポイントを示す。

青色のマークは 後述(6~7頁)の特徴の識別を表す。

(ただし、技法等の詳細が不明で具体性に乏しい場合がしばしばある。)

X2 X3 Y2 Y3 表中、各事例の記載は下記それぞれの出典を参考としている。

■事例1、事例2、事例3: SEBoK(Guide to the Systems Engineering Body of Knowledge) ■事例4: Systems Engineering Society of Australia (SESA) のSE Workshop 2015 発表資料 ■事例5: INCOSE SYSTEMS ENGINEERING HANDBOOK Fourth Edition

(4)

システムズエンジニアリングで効果が得られたと

考えられる事例(続き)

実現した システム 状況 解決策/SE手法 効果 事 例 2 GPS: 24のGPS衛星 が6つの軌道で 12時間で地球 を一周し、世 界中の軍用及 び民間のナビ ゲーション及 びタイミング 情報を提供し、 人により運ば れる機器ある いはプラット フォームに接 続され、船、 車、航空機で 使用。 GPSは、以下のような多くの分野の系 統・関係性を考慮した開発が必要であっ た。 ユーザーは、一時期に最低でも4衛星か ら信号を受ける。3次元データを扱うが、 高さは他の二次元情報より精度が低い。 様々な課題 ー位置決め及びトラッキング ー時間の同期化 ー多種多様な対象(車、航空機、船、農 業、等) ー妨害に強い通信 ー多岐に渡る用途(例:軍用と商用で異 なる分野の要求) ー状況把握が困難な宇宙空間での保守な ど多岐にわたる課題が多く、要求を最初 に固めることが現実的でなく、修正され るごとに、スケジュール、コスト及び要 求一式の再バランスを行う開発プロセス を導入 ー初期の段階でシステムアーキテクチャ を決めるが、その時に、モデル化とシ ミュレーションを用いる ー複雑なシステム、サブシステムの管理 における、インターフェースの管理 ー技術解決策が計画・分析・構築される 時に、それぞれの段階で要求を満足して いることを検証。

ーJPO(Joint Program Office)が設置され、 ステークホルダー間のコミュニケーショ ン、システムズエンジニアリング実施の 支援が行われた。 (例:ユーザー装置メーカーの一つは技 術的に優れていたが効率的管理に問題が あり、JPOはシステムズエンジニアリング の導入を促した。) ーGPSは、協調型SoSの一例。 ーGPS開発の全期間を通して、ステーク ホルダー間のコミュニケーションが重要 視された。 ー組織間協力があるところでは、緊急性 の高いトラブルは起こっていない 事 例 3 乳児保育器: 発展途上国の ための乳児保 育器 ネオナー チャーNeo Nurture より信頼性が 高く安価な保 育器 複雑な医用機器である保育器。 発展途上国とアメリカやヨーロッパと いった国で使用年数がまったく異なる。 電力サージ、熱帯気候の湿気、英語の修 理マニュアルなどが原因 発展途上国へ支援された医療機器は5年以 内に95%が故障。 保育器の問題→複雑かつ高価、故障修理 の専門知識と交換部品が必要。実績とは 異なる環境での使用容易性と保守容易性 の実現が課題。 保守性を考えた設計 ①ただ動くものを作ればよいということ ではなく、故障の際にそれが修理可能な 故障でなければならない ②構想段階の始めに、保守性と生産可能 性、サポータビリティといった問題を考 慮。発展途上国にすでに多く存在する車 の部品から保育器を作る施策。 (製造段階でこれらの問題に対処しよう としても遅すぎるのである。) 修理の際、医療技術者である必要もマ ニュアルを読む必要もなくなった。 地元の自動車パーツと自動車修理技術を 利用できるようになった。 X3 Y1 X2 Y3 X2

(5)

システムズエンジニアリングで効果が得られたと

考えられる事例(続き)

実現した システム 状況 解決策/SE手法 効果 事 例 4 TfNSW フレームワー ク: オーストラリ アNSW地域の 交通機関を統 括する公共機 関(TfNSW)と 同地域におけ る各種交通事 業者(航空、海 運、鉄道、バ ス、タクシー 等)との連携シ ステム(トラ フィック情報 集約等)の進化 を効率化する ためのフレー ムワーク 本システムはSoS ハブ的な位置付けのシ ステムである。このため、連携先は次第に 追加変更されるし、それらの路線や運行パ ターン等も変化していく。加えて各連携先 は個別に自社システムを構築しておりイン ターフェース仕様等がまちまちであるため、 連携システムの適応保守(仕様変更追加等 への対応)には多大な努力が必要である。 ・複数交通手段に渡るエンドツーエンドの ナビ、発券代行を行う複雑な要求 ・航空、海運、鉄道、バス、タクシー等を 含む総合交通をサポートする多岐に渡る要 求を含む ・特定交通分野、例えば鉄道、に限っても 複数の業者があり、独自のシステムや拡張 計画を持つため多様な要求を受ける MBSEを活用して連携システム全体をライ フサイクルに渡って俯瞰するモデルを構築 し、効果的なフレームワーク開発を進めた。 ①MODAF, TRAK 等の既存フレームワー ク標準を参考にしている。最終的には SysML版フレームワークUPDMをベースと し、他フレームワーク情報や独自情報等を 追加した。 ②モデルが複雑化したため、ステークホル ダ毎の目的に応じたビューを用意した。 特徴:分野非依存のモデリング言 語:SysML、ステークホルダ毎のビューの 提供 フレームワークは完成したばかりのため、 詳細な評価はこれから 事 例 5 オーレスン橋: デンマーク・ スウェーデン 国境をまたぐ 車道と鉄道を 備えた世界最 大の斜張橋の 設計 (更に橋の下は 国際航路) ①多岐に渡る専門領域: 各種構築技術 (例:橋梁土木、道路交通、鉄道、船舶通 行、環境保全など…) ②両国の規制、基準の違い ③両国の鉄道方式の違い (右側・左側通行、 電力供給方式の違い) ④環境問題(生物多様性)を含む込み入っ た要求(例:海流・土砂等と生物多様性と の関係等) ①関連専門家との検討、合意形成活動の積 重ね (例:環境関係者の巻き込み、専門家を 集めて綿密に構想・設計) ②規制・基準を満たす水準の見極め→最新 技法活用を含む詳細なリスク分析 ③技術検討を重ねた解決機構の実現 ④環境団体有力者を開発統括合弁会社役員 として招聘し、緻密な環境対策を実施 先例の無い大規模開発構想から設計完了ま で7年吟味したが、開発・運用段階では、 厄介な意見対立や大きな物理トラブルは発 生していない。 (マネジメントチームが顧客第一主義にと らわれて未成熟のまま開発段階に進むこと をせず、構想段階において綿密に計画した ことによる成果) X1 X3 Y1 X1 X3 X3 Y1 X2 X2

(6)

要求に関する特徴(案)と適合事例

複雑

多岐

多様

・ある要求項目の内訳が込み入って

いる。

・要求項目間の関係が込み入ってい

る。

・要求項目がいろいろある。

(例えば、工学系、経営系、法律系…、或い

は利用者、運用者、保守者…、など分野の

違う関係者が様々な要求項目を提示)

・ある要求項目について、異なる関係

者が異なる要求を出す。

(例えば、利用者の嗜好の違い、国毎の規

制・商習慣の違い、異種の専門家が同一項

目について異なる要求を出すこともある)

事例4 TfNSWフレームワーク(複数交通手段 に渡るエンドツーエンドのナビ、発券代 行) 事例5 オーレスン橋(環境条件の内訳:海 流・土砂等と生物多様性との関係等) 事例1 次世代静脈注入ポンプ(マネジメント、 財務、購入者、最終顧客、開発者、サービ ス担当者、品質担当、医療界) 事例2 GPS(軍用、民間用(個人、組織・企 業)による要求の異なり) 事例3 乳児保育器(異なる環境での使用容易 性、保守容易性の実現) 事例4 TfNSWフレームワーク(航空、海運、 鉄道、バス、タクシー等を含む総合交通モ デル) 事例5 オーレスン橋(多岐に渡る専門領域: 橋梁土木、道路交通、鉄道、船舶通行、環 境保全…) 事例1 次世代静脈注入ポンプ(多様なスキル を持ったユーザ、ユーザーセンタードデザ インアプローチ) 事例2 GPS(車、航空機、船、農業など対象 が様々) 事例4 TfNSWフレームワーク(特定交通分野、 例えば鉄道、に限っても複数の業者があり、 独自のシステムや拡張計画を持つ) 事例5 オーレスン橋(両国の基準・規制遵守、 両国鉄道方式の違い)

・もし○○なら△△、

そうでなければ□□

・ただし××の場合は

◎◎も加味

・いずれの場合も常に

◇◇を満たすべし

・・・・・・

・項目Aは○○

・項目Bは△△

・項目Cは□□

・色は白がよい

・色は赤がよい

・色はシルバーがよい

分野A

分野B

分野C

X1

X2

X3

(7)

実装(要求の実現法)に関する特徴(案)と適合事例

系統・関係性付け

(コミュニケーション)

効率的な開発

(妥当性確認・検証,工期短縮)

想定外リスク対応

関係者(特に異種関係者)間のコ

ミュニケーション円滑化

事項間の関係性(相互作用)考察

技法等の例:

・SysML等の分野横断的な記法

・ソフトシステム方法論等による多種関係者

間の合意形成促進

・システムダイナミクス等による全体的な相

互作用分析

試験項目の増大への対策

手戻り増大への対策

試験環境のコスト削減対策

技法等の例:

・直交表を用いたテストケース設計

・モデルシミュレーションによるV&Vのフロン

トローディング

想定外リスクを軽減するためのリ

スク分析の繰り返し

技法等の例:

・リスクマネジメント(SEBoK 第3章)

・FMEA

・STAMP/STPA

事例1 次世代静脈注入ポンプ(累進的な利害 関係者の満足) 事例2 GPS(非常に多くのステークホール ダー間の統制のためにJPO(Joint Project Office)設置) 事例4 TfNSWフレームワーク(分野非依存の モデリング言語:SysML、ステークホルダ 毎のビュー) 事例5 オーレスン橋(環境関係者の巻き込み、 専門家を集めて綿密に構想・設計) 事例1 次世代静脈注入ポンプ(シミュレー ション、プロトタイピング) 事例1 次世代静脈注入ポンプ(開発プロセス 全体を通して、リスク解析、評価、確認が 繰り返し実行された) 事例2 GPS(衛星が宇宙空間にあることによ り、状況把握・保守に困難)

Y1

Y2

Y3

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