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1. はじめに 流水洗浄とは 槽の一方から他方へ一様な流れを形成する構造の浸漬洗浄方式である 洗浄ワークから剥がれた汚れは下流に流される為 汚れの再付着が少なくなる その結果短い洗浄プロセスでも目的の洗浄品質が得られ 洗浄装置をコンパクトに構成出来る可能性がある 流水洗浄を従来洗浄方法と比較し ハー

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Academic year: 2021

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1.はじめに

流水洗浄とは、槽の一方から他方へ一様な流れを形成する構造の浸漬洗浄方式である。洗浄ワークから剥がれた汚れ は下流に流される為、汚れの再付着が少なくなる。その結果短い洗浄プロセスでも目的の洗浄品質が得られ、洗浄装 置をコンパクトに構成出来る可能性がある。流水洗浄を従来洗浄方法と比較し、ハードディスク部品洗浄への適用に ついて紹介する。

2.従来洗浄方法

一般に工業用洗浄装置の基本形態は、(1)最初に汚れを落とす為の薬液処理槽があり、(2)次にその薬液と共に汚 れを洗い落とすリンス工程を配し、(3)乾燥させる、3工程からなる。 その代表的なプロセス例を以下に2つ示す。 〔1〕多槽式洗浄プロセス例

〔2〕クイックダンプ式洗浄プロセス例

3.多槽式洗浄プロセスのリンス効果

〔1〕多槽式洗浄プロセス例では、(1)薬液処理後、(2)リンス工程として①シャワーリンスと、②2槽の浸漬リ ンスが設けられている。 多槽式洗浄は、このようにリンスを複数プロセスに分けて行う事を特徴としている。 多 槽式洗浄の複数のリンス槽はどのような働きをしているのか、この例に示した①シャワーリンスと、②浸漬リンスに ついて、検討してみた。 ①シャワーリンス 図1に硝子板に付着した水酸化ナトリウムのシャワーリンスによる除去率を示す。 図1 シャワーによる硝子板に付着した NaOH(水酸化ナトリウム)の除去率 200×300×1.2t ホウケイ酸硝子板 15 枚を 5%NaOH に浸透し、引き上げ後 30 秒間放置した後シャワーリンスした時の Na+イオン除去率

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薬液処理槽

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浸漬リンス槽1

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浸漬リンス槽2

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乾燥槽

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シャワーリンス槽

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薬液処理槽

(3)

乾燥槽

(2)

クイックダンプ槽

● ● 底栓

(3)

50 50 400mm Resistivity meter 70mm 130 80kHz 900w US Drain 410 510(width280) Fresh DI supply 35 L/min. この実験で判る様に、シャワーリンスは少ない処理時間でも90%余りの薬液を除去出来る高いリンス効果がある。 しかし、長くシャワーを当て続けてもリンス効果は向上しない。その理由は、流れの早い川でも岸辺では淀んでいる ように、洗浄ワークの表面近傍の薬液が、摩擦抵抗により容易にはシャワー液に伴って流れ落ちない為と考えられる。 洗浄ワーク形状に凹凸が有れば、表面近傍の液は更に流れ難くなり、場合によってはシャワーの掛かり難い部分が出 来る可能性もある。 このようにシャワーリンスは、洗浄ワークに付着する薬液濃度が著しく高い、初段のリンスに は劇的な効果が得られるが、シャワーリンスのみで付着薬液を完全に除去する事は困難である。 ②浸漬リンス 図2(a)に示される至極一般的な4面オーバーフロー槽に、水酸化ナトリウムを付着させた 3.5 インチデイスクと 純水を供給し、その槽水の伝導度をモニターした結果を図3に示す。 図2(a)リンス実験実施状況図:4面オーバーフロー槽(容積 48 ㍑) 図2(b)リンス実験実施状況図:流水槽(容積 68 ㍑) Resistivity meter Flow speed 61.4cm/min.

Depth190mm(width300mm) 100 300 500 300 70mm 80kHz 900w 1200 80kHz 900w US Drain Plate Laminar Flow Unit

Drain Fresh DI supply

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槽水の伝導度がディスクを入れる前の状態に戻った時がリンス終了と仮定すれば、超音波を使用した場合9分で初期 伝導度に戻るが、使用しないと13分かかり、リンスにおいては超音波併用が有効である事が判る。しかし、いずれ にせよ一般的な超音波洗浄でのプロセス時間である 2~5 分では、槽水の伝導度は元に戻らず、次々と洗浄ワークが 投入されるので、槽水は汚染物質を蓄積していく。洗浄ワークはその汚れた槽水で濡れたまま次のリンス槽に浸かる ので、次のリンス槽も前の槽程ではないが、同様に汚れが蓄積していく。この状況を 3 つの浸漬リンス槽でシュミレ ーションしたのが図4である。 プロセス時間内で槽一杯分の純水を供給しても、槽水の汚染蓄積は続く。むしろリンス槽数を増やすほうが、純水供 給量を増やすよりも効果的である事が判る。それ故限られたリンス水量で洗浄する手段として、多槽式洗浄が普及し ている。

4.クイックダンプ式洗浄プロセスのリンス効果

多槽式洗浄の浸漬リンス槽を並べるプロセスを、コンパクトに改良したのがクイックダンプリンスである。即ち洗浄 ワークが持ち込んだ汚れで汚染された槽水を捨ててしまい、直ぐに新しいリンス液で槽を満たし、又捨てる事を繰り 返せば、1つのリンス槽で多槽式洗浄のリンスプロセスが実行出来る。しかしながら、その為には 2~5 分のプロセ 図3:図2の槽でのNaOHのリンス状況 0.1 1 10 100 1000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 Time (min.) R es is ti vi ty   (μ S / cm )

Stream Type US OFF Stream Type US ON Over Flow Type US OFF Over Flow Type US ON

図3:図2の槽でのNaOHのリンス状況 図 4: 3組 の 浸 漬 槽 に よ る 槽 水 汚 染 の シ ュ ミレ ー シ ョン 図3の実験条件で洗浄タクト内に槽容積に対して供給され た純水量(C/B)を変えた場合の各槽の汚染量平衡値。 0.000 1 0.00 1 0 .0 1 0.1 1 1 0 10 0 100 0 1 000 0 1槽目 2槽目 3槽目 Time (min.) C o nt a m in a ti o n (p pm ) C/B=0.25 C/B=0.5 C/B=1 図4:3組の浸漬槽による槽水汚染のシミュレーション 図3の実験条件で洗浄タクト内に槽容積に対して供給された 純水量(C/B)を変えた場合の各槽の汚染量平衡値。

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ス時間内に、槽何杯分もの新しいリンス液を供給しなければならない。そのような大量のリンス液供給排液能力を備 える事は設備面、コスト面で容易ではない。また、廃液の際に、槽壁や洗浄ワークに残らないようにシャワーを併用 するが、シャワーは空中の塵を巻き込んでしまうので、それにより洗浄ワークが二次的に汚れてしまうこともある。

5.流水洗浄のリンス効果

流水洗浄とは、冒頭に述べたように、槽の一方から他方へ一様な流れを形成する構造の浸漬洗浄方式である。リンス 実験に使用した流水槽を図2(b)に示す。槽液は流水槽の左側面から均等な流速で供給され、右側面から排出され るので、流水槽内では丁度川の流れを切り取ったように、リンス水が左から右へ一様な流速で流れている。浸漬リン スの実験と同じように、この流水槽に水酸化ナトリウムを付着させた 3.5 インチディスクを入れ、純水を浸漬リンス の実験と同じ35㍑/分供給し、その槽水の伝導度をモニターした結果を図3に示す。流水槽でも浸漬槽の場合と同 じく超音波の効果は絶大で、超音波を使わないと初期伝導度に戻るのに12分かかった。しかし、超音波を使用した 場合、同じ純水新液供給量であるにもかかわらず流水リンスでは6分で初期伝導度に戻り、浸漬リンスの場合の9分 より早くリンスが終了した。この結果を槽の容積が同じである場合に換算すると、流水槽のリンス速度は 4 面オーバ ーフロー槽よりも 2 倍早いことになる。 汚れを超音波洗浄する場合はどうであるか、水酸化ナトリウムの代わりにディスクに1μm標準粒子を付着させ、図 2(a)(b)に示す 4 面オーバーフロー槽と流水槽の槽内微粒子数を計測した結果を図5に示す。 汚染ディスクを槽に入れてから、槽内微粒子数が元に戻る時間が 4 面オーバーフロー槽では8分余りかかるのに対し、 流水槽では4分であった。この結果を槽の容積が同じである場合に換算すると、流水槽の微粒子リンス速度は 4 面オ ーバーフロー槽よりも3倍速いことになる。

6.汚れの再付着を少なくする流水洗浄

水酸化ナトリウムと、標準微粒子を使った2つのリンス実験で、流水槽のリンス速度が 4 面オーバーフロー槽に優る 理由は、槽内の液の流れ方に起因する。図2で推察されるように、4 面オーバーフロー槽では洗浄ワークから剥離し た汚れは、一旦槽液に拡散してから順次希釈されていく。一方流水槽では、洗浄ワークから剥離した汚れは、リンス 図5:図2の槽での1μm標準粒子のリンス状況 超音波を使用して、35㍑/分の純水で濯いだ。 1 10 100 1000 10000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 Time (min.) n u m be r o f pa rt ic le / 1 0 c c ( 1 μ m ≦ Y ≦ 2 μ m ) Stream type Over flow type

図5:図2の槽での1μm 標準粒子のリンス状況 超音波を使用して、35㍑/分の純水で濯いだ。

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液の流れに乗ってそのまま下流に流されて、洗浄ワークの周辺は常時新鮮なリンス液に置き換えられていく。このよ うに流水槽では洗浄ワークへの汚れの再付着が起こり難く、故に早くリンスが終了する。

7.まとめ

流水洗浄は、従来の浸漬洗浄よりも汚れの再付着が少ない上、80kHz 強調波超音波の働きや、超音波洗浄とスク ラブ洗浄を同時に行う事で、洗浄プロセスを短くしても洗浄品質を確保出来、その結果洗浄装置をコンパクト安価に 製造し得る。 流水洗浄装置では、プロセス毎にモジュール化されており、モジュールの追加・削除・入れ替えで、 年々厳しくなる洗浄品質要求に対応する事が出来、装置配置の自由度が大きい特徴もある。 流水洗浄の優れた面が 評価され、少しずつ普及する事を期待したい。

参照

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