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短 報 A narrative analysis of nurses uncomfortable feelings and dilemmas experienced in teamwork 1 1 Megumi TAGUCHI Michio MIYASAKA キーワード : 違和感 ジレンマ チーム

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Academic year: 2021

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■ 短   報

看護師がチームワークの中で経験する違和感・

ジレンマについてのナラティヴ分析

A narrative analysis of nurses uncomfortable feelings

and dilemmas experienced in teamwork

田口めぐみ

1

 宮坂 道夫

1

Megumi TAGUCHI Michio MIYASAKA

キーワード :違和感、ジレンマ、チームワーク、看護経験、規範、ナラティヴ

Key words :uncomfortable feelings, dilemma, teamwork, nursing experience, norm, narrative

看護師が看護実践の中でどのような違和感・ジレンマを経験し、その状況にどのように対応しているのか、また、 その対応に対する看護チームの反応を明らかにするために看護師10名にインタビューを行い、テーマ分析と構造分析 を組み合わせたナラティヴ分析を行った。構造分析から、1)違和感・ジレンマを経験したが対応できなかったという ナラティヴ19例、2)違和感・ジレンマに対応したが効果が得られなかったというナラティヴ10例、3)違和感・ジレ ンマに対応し効果が得られたというナラティヴ2例が見いだされた。効果が得られた2例は、成功体験や良いモデルに 出会った経験があるケースだった。テーマ分析の結果、違和感・ジレンマは、X.看護チームの習慣・ルール・看護シ ステムに対するもの、Y.看護経験の多少に基づくもの、Z.看護師‒医師の関係に基づくもの、に分類された。倫理 的ジレンマへの対応・行動のあり方を組織的に検討し、看護師が倫理的実践能力を発揮しやすいチーム・集団の環境 を整えることが不可欠であることが示唆された。

This study’s objective is to examine the uncomfortable feelings and dilemmas experienced by nurses in their teamwork, as well as to clarify their common structures. An interview survey was conducted with 10 nurses, and a narrative analysis was performed in regard to the structures of the nurses’stories of incongruities. As a result, the findings of the structural narrative analysis suggested three structural patterns in the reported episodes: 1)the nurse did not take any action(19 episodes); 2)the nurse took some actions, but they had no effect(10 episodes); and 3)the nurse took some actions and they had some effect(2 episodes). Regarding the latter two episodes, one nurse noted that her colleagues were a “good model” while another referred to her previous successful experiences when dealing with the current incongruity. In addition, the reported causes for such incongruities were categorized into three themes: (X)owing to the conventional habits in their nursing teams, (Y)owing to the length of clinical experience, and(Z)owing to nurse‒doctor relationships.

Ⅰ.はじめに

チーム医療の時代と言われる今日、看護師の役割は 拡大しつつあり、厚生労働省の「チーム医療の推進に 関する検討会報告書」1においても、看護師が自律的 に判断できる機会や、実施しうる行為の範囲を拡大す るための環境整備が打ち出されている。看護師は他の 医療職と比較すると、チームワークによる業務の遂行 が日常的であり、チーム医療の重要性が認識される以 前から、チームの一員として患者へのケアを実践して きた。その一方で、病院で働く看護師が直面するチー ムワーク上の問題として、意思決定のプロセスで経験

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する倫理的ジレンマの存在も報告されている。人々の 医療に対するニーズが多様化している現在において は、患者の権利を十分に認識し、個別的ニーズを尊重 した対応が求められ、場合によっては従来から行われ てきた看護チームの規範やケアの方法を再検討するこ とが不可欠である。看護師個人がそうした認識を抱い た場合に、周囲の同僚や上司に対してその認識を開示 し、改善策を話し合うなどの対応をとることが求めら れるが、先行研究からは、そういった対応が十分にと られていない可能性が示唆される。看護師が医師や同 僚に対して、その反応を気にするあまり意見が言えな いこと2、個人の価値観と専門職としての理想や他者 の期待との間で緊張を経験していること3等が報告さ れている。さらには、臨床経験年数の多い看護師で あっても、同僚の判断やケアが適切ではないと感じた 際に、その事実を指摘できなかったり黙認したりする こと4も報告されている。看護師が経験する倫理的ジ レンマの報告の多くが、倫理的ジレンマの認識と内 容、頻度等についての報告5‒7であり、看護師個人と 看護チーム・同僚との間に生じた違和感・ジレンマを 捉えたものはほとんど見受けられない。 本研究では、個々の看護師がどのような違和感・ジ レンマを経験し、それに対してどのように対応したの かを、一連の事象として分析するために適した分析方 法として、ナラティヴ分析、とりわけ、構造分析(ス トーリーがどのような構造を持って語られるか)およ びテーマ分析(ストーリーの中で何が語られている か)を用いることとした。

Ⅱ.研究目的

本研究の目的は、看護師が看護実践の中でどのよう な違和感・ジレンマを経験し、それにどのように対応 しているのか、および、その対応に対してチームや同 僚がどのように反応しているのかを、ナラティヴ分析 を用いて明らかにすることである。これにより、看護 師の倫理的実践能力をチームワークの中で捉え直し、 看護実践の改善に資するための示唆を得たいと考えた。

Ⅲ.対象・方法

1.研究参加者 東日本の大学病院、総合病院などに所属する看護師 で、これまでの看護経験の中で違和感・ジレンマを経 験し、なおかつそれに対して何らかの行動をとった経 験を持つことが期待される臨床経験3年目から10年 目の者。管理職という立場による影響および性差によ る影響を排除するために、看護師長、看護部長等の管 理職に就いていない女性に限定した。後述するよう に、違和感・ジレンマの経験についての語りの構造を すべて持つエピソード記述が少なくとも、2例得られ るまでデータ収集を続けることとした。 2.研究デザイン インタビュー調査(ナラティヴ生成インタビュー) による質的記述的研究。 3.データ収集期間 平成25年6月から平成25年9月。 4.用語の定義 本研究では、違和感・ジレンマを以下のように定義 する。 違和感: ある事柄に対する考え方や感じ方に隔たり やズレを感じること。 ジレンマ:2つの相反する価値の板挟みになること。 5.データ収集方法  研究参加者への協力依頼は、スノーボールサンプリ ング法によって行った。まず研究者の知人の中から上 述の研究参加者の条件を満たす者を選定し、同意を得 て研究参加者とした。次に、研究参加者の知人の中か ら研究参加者の条件を満たす者を順次紹介してもらっ た。研究参加者の同意を得た後に面接日程を調整し、 研究者が作成した半構成的質問用紙を用いてインタ ビューを1回、約1時間実施した。インタビューは、 ①患者への看護実践をめぐる違和感・ジレンマの経 験、②違和感・ジレンマを経験した時に実際にとった 態度や行動と、看護師としてとるべき態度・行動との ギャップ、の主に2点について語るよう促すナラティ ヴ生成質問を最初に行い、その後は研究参加者の語り の文脈を遮らないように留意して語りが終息するまで 聞き続けた。その後に、適宜語りの内容を確認する落 ち穂拾い質問を行った。インタビュー内容は、参加者 の同意を得て録音した。 6.データ分析方法と分析手順 録音した音声データより逐語録を作成し、匿名化 (個人情報、および個人を特定しうる組織・団体、地 名等の削除)を行った。匿名化されたテクストデータ を分析の対象とした。分析結果の信頼性を確保するた めに、ナラティヴ分析および質的研究法を専門とする 研究者の指導を受けた。本研究の分析には、リースマ ンの定義する構造とテーマを焦点化するためのナラ ティヴ分析(構造分析およびテーマ分析)8を用いた。 構造分析とは、ストーリーがどのような構造を持って 語られるかに着目する分析法であり、小説などに見い だされる「起承転結」のような語りの枠組みを、経験 についての語りに見いだそうという手法である。本研 究では、ラボフとウォレツキーの手法9を参考に、違 和感・ジレンマの経験が語られる際の共通の構造上の 要素を見いだすことを試みた。テーマ分析とは、ス トーリーの中で何が語られているかに着目する分析法

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である。グラウンデッド・セオリー・アプローチ等と 異なり、複数事例を混合してデータ化せず、個々の事 例の全体性を保持したまま構造とテーマを発見するた め、1つのエピソードについての語りの全体性を保ち ながら分析を行うことができる。 7.倫理的配慮 本研究は、新潟大学大学院保健学研究科研究倫理審 査委員会の承認を得て実施した。研究参加者に研究の 目的、方法、プライバシーの保護について文書を用い て説明し、同意を得た。また、研究参加者は、看護 チームや同僚に対する違和感・ジレンマについて語る ため、インタビューによる不快感、怒りなどの感情を 抱くことが考えられた。そのため、話したくないこと は話さなくてよいこと、いつでも面接を取りやめられ ることを伝え、感情の動きに留意し、インタビューの 場所は、研究参加者が希望する場所で、なおかつプラ イバシーを保てる、人の出入りのない個室で行った。

Ⅳ.結果

1.研究参加者の背景 後述するように、研究参加者は10名となった。臨 床経験年数は、3年目2名、4年目1名、5年目1名、6 年目1名、7年目2名、8年目1名、10年目2名であっ た。病院・病棟異動の有無については、病院異動あり 5名、病棟異動あり1名、病院・病棟異動経験なし4 名であった(表1)。 2.研究参加者が経験した違和感・ジレンマのナラ ティヴ分析 テクストデータの構造分析により、研究参加者が看 護チームや同僚に対して経験した違和感・ジレンマと その時の態度や行動について語ったストーリーがどの ような構造を持っているかを分析した。その結果、違 和感・ジレンマについてのエピソード記述には、以下 の3種類の構造上の要素が見いだされた。 〈状況〉: 看護師が、看護チームの規範に対して、違和 感・ジレンマを経験した状況についての語 り。 〈対応〉: 看護師が、看護チームの規範に変化をもたら そうという行動をとった状況についての語 り。 〈効果〉: 看護師のとった行動によって、看護チームの 規範が、その看護師が望ましいと考えるよう に変化した状況についての語り。 これらの構造をすべて兼ね備えたエピソード記述が 2例以上得られた時点で、データ収集を終了した。そ の結果、本研究における研究参加者は10名となった。 研究参加者によるエピソード記述は、1)〈状況〉のみ の語り(看護チームの規範に違和感・ジレンマを経験 した状況を述べるにとどまったもの)、2)〈状況〉と 〈対応〉という2つの要素からなる構造を持つ語り(違 和感・ジレンマを経験し、さらに看護チームの規範を 変化させようという行動をとった状況について述べた もの)、3)〈状況〉と〈対応〉と〈効果〉のすべての要 素を備えた語り(違和感・ジレンマを経験した状況、 看護チームの規範を変化させようという行動をとった 状況、およびその結果として看護チームの規範が変化 したという状況について述べられたもの)という3類 型に分類された。本研究では3つの構造上の要素を少 なくとも1つ以上持つエピソード記述を「違和感・ジ レンマ対応のナラティヴ」と定義した。 違和感・ジレンマ対応のナラティヴのテーマは、 X.看護チームの習慣・ルール・看護システムに対す るもの、Y.看護経験の多少に基づくもの、Z.看護 師‒医師の関係に基づくものの、3つに分類された。 紙幅の制約から、以下にこれらのナラティヴについ て、典型的な例を抜粋しながら提示する。抜粋は原則 として語られたテクストをそのまま示したが、理解さ れにくいと思われる箇所は研究者が適宜言葉を追加し た。 抜粋中、以下の記号を用いた。 〈 〉:構造上の分類。 [ ]:研究者が言葉を補足した箇所。 ( ): 語られたテクストを省略した箇所。必要に応 じて、どのような語りを省略したかを示し た。 「 」:引用表現と思われる箇所。 1)  違和感・ジレンマを経験したが対応できなかっ た、というナラティヴ 〈状況〉のみが語られたナラティヴが19例抽出され た。上で説明したX、Y、Zの3つのテーマごとに、そ の概要を述べていく。 X.チームの習慣・ルール・看護システムに対する違 表1 研究参加者の背景 研究参加者 年齢 看護経験年数 病院・病棟 異動経験の有無 看護師A 20歳代 3年目 なし 看護師B 20歳代 3年目 病院移動経験有り 看護師C 20歳代 4年目 なし 看護師D 20歳代 5年目 病棟移動経験有り 看護師E 20歳代 6年目 なし 看護師F 20歳代 7年目 なし 看護師G 20歳代 7年目 病院移動経験有り 看護師H 20歳代 8年目 病院移動経験有り 看護師I 30歳代 10年目 病院移動経験有り 看護師J 30歳代 10年目 病院移動経験有り

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和感・ジレンマ このテーマのナラティヴは、19例中9例であった。 これらは、病棟に導入されている機能別システムや退 院計画など、患者の状況より業務の効率化を優先しか ねない看護システムや、患者のケアに対してチームや 同僚との間に生じる、意見や看護観の相違に対する違 和感・ジレンマの語りであった。このような状況に対 して、看護師たちは、様々な意見を出し合って検討す ることが必要であると考えているが、折り合いをつけ たり、自己の意見を抑制したりすることで、チームの 規範を維持していた。以下に代表的なナラティヴを例 示する。 看護師Aは、患者の退院計画を一様に進めることが チームの規範になっていることに違和感を覚えてい た。退院計画に沿った対応をすることで、病床管理の 効率化が図られ、看護師の経験年数に関わらず患者へ のケアがスタッフ間で統一できるという利点を認めて いた。しかし、退院が決まった患者への対応が画一的 なものとなり、患者の意向よりも病棟の都合や業務を 優先することになりかねないことを懸念していた。看 護師Aは、この状況に対して、特別な対応を行っては おらず、退院計画を進めるというチームの規範に従っ ていた。 〈状況〉病床を回転させるために、こういう時には すぐケースワーカーを出して転院させる、自宅に帰 すっていうのが、チーム内の一定のルールになって います。(中略)誰がやっても同じようにできるし、 サービス受けて退院できるから、(中略)そういう 考え方は私、誰でも統一っていうのは良いなと思う んですけど、行きすぎちゃった場合、何かこっちは 病床回転のためにケースワーカー出して、(中略) 家に帰ることがこの患者さんにとっては一番大事み たいな。それが先行しすぎた時に患者さんはどう 思っているのかっていう。(中略)違和感があって も馴染んでいる感じですね。 看護師Cは、眠剤の服用時間を決めることによって 患者の転倒を予防することができる一方で、それが患 者の睡眠に対する意向や欲求を妨げるのではないかと いうジレンマを覚えていたが、ケアの方針が決まりか けているところで、それに疑問を呈するような発言は できなかった。患者に良いケアを提供するためには チームでの意見交換が必要だが、経験のある先輩看護 師の意見を優先していた。 〈状況〉患者さんは[何時であっても]ぐっすり眠り たいっていう気持ちがあるのに、[眠剤の服用時間 を]看護師の一存で決めていいのかなっていうのが あって、それで違和感があったんですね。(中略) チームで話し合った時に、先生からも患者さんに 言ってもらって、そういうふうにしましょうって話 になって、そこで納得せざるを得ないというか、納 得したというか、そういう方向になったというか、 型にはまったというか。(中略)私の考えとしては 明け方くらいじゃなかったら[もう少し早い時間帯 だったら]別に[眠剤を]飲んでもらっても構わな いんじゃないかなって思うんですけどっていう意見 を、私はその場ではなかなか言えなかったです。 (中略)やっぱり流れができていたので遠慮はあり ました。答えが出始めていたのでもう言えなかった です。(自己が考えるカンファレンスのあり方につ いての語りの後に)[カンファレンスで発言できる ほど、患者の情報を把握しているか]わからないの で、[普段から]先輩にどう思いますかって聞い ちゃって、そう思うんですねってなって、そっちの 方が良いのかなって。なので、自分が主体的にこう だって思ったことを提供できてない気がしますね。 Y.看護経験の多少に基づく違和感・ジレンマ このテーマは、〈状況〉のみが語られたナラティヴ 19例中の9例で見いだされた。これらは、経験年数の 少ない看護師が何らかの問題意識を抱いたとしても、 カンファレンス等で発言しにくいという語りである。 彼女たちは、先輩看護師の発言に対して意見を言うこ とは「出すぎた行為である」と考え、自分の発言に よって関係が壊れないように配慮していた。こういっ たエピソードを語った看護師たちは、カンファレンス で発言するか否かには、経験年数によるチーム内の立 場が影響していると述べ、経験年数の多い先輩看護師 の意見を優先するという規範に従っていることがうか がえた。 看護師Gは、患者の接し方についてのカンファレン スにおいて、患者の意向についての検討が不十分であ るにも関わらず、経験年数が多い看護師の意見が採用 されたことに対して違和感を覚えていた。しかし、そ れに対して自らの意見を発言することはできなかっ た。 〈状況〉[経験年数の多い一人の看護師が]「患者の 話を聞くのはいいけど、振り回されてはいけな い」って[言った]。そういうふうなのはいけない んだよって[言った]。そういう見方もあるなとか、 [看護師の経験が今より少ない]前だったら、「そう なんだ」って経験の多い人のことを聞いたけど、 [患者の状況に合わせて]いろいろな対応があって いいし、自分はそんなに[患者に振り回されると か、振り回されないとか]考えなくていいんじゃな

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いかなって思ったり。(中略)患者さんがある看護 師に何か言ってきて、その後に[他の看護師たちに 対して]「患者さんにこうしてください」って言って。 でもその看護師がいない時[カンファレンスの途中 で他の患者の用事で席を外した時]に、[経験年数 の多い別の看護師が]そういうのは[患者に]流さ れすぎだからって[言った]。(中略)周りも「うん うん」って[頷いていた]。話し合いが活発になっ たわけでもなく、話し合いにならなかった。 看護師Bは、自己の新人看護師時代を振り返り、新 人看護師には、「先輩看護師の看護観が入りやすい」、 「先輩看護師から教えてもらったことは間違っていな い」と考えがちだと語り、先輩看護師からの影響を受 けやすい立場にあると述べた。また、看護師Bは、病 院異動の経験があり、新しい環境における人間関係 や、自己の看護師としての価値観とチームの規範にズ レが生じた場合の態度・行動についての難しさを語っ ていた。そして、新人看護師時代の経験と病院異動の 経験を重ね、自己に自信が持てない状況では、他者の 意見に影響を受けやすいと語っていた。しかし、一方 では先輩看護師の意見を鵜呑みすることに対して疑問 を抱いているが、自らの意見を発言することによっ て、先輩看護師との関係に支障をきたすことを懸念し ていた。 〈状況〉新人さんたちとか下の人[つまり経験年数の 少ない看護師たち]は、先輩の言ったことを「ああ そうなんですか」って言って受け入れて。(中略) 先輩の意見を正しいと思って、自分の意見[という ほどもの]じゃないですけど、「私はこうしたいと 思います」って言う人もいなかったですよね。(中 略)流されている自分もいるような気がして。でも 先輩との関係も壊したくないし。新人さんって、教 えてもらった人の看護観が入りやすいですよね。 Z.看護師‒医師の関係に基づく違和感・ジレンマ このテーマのナラティヴは、19例中1例のみであっ た。看護師Dは、患者のケアを実施する際の自己の看 護観についての語りの後に、チームには医師の指示に 従うという隠れた決まりがあり、その規範を守りなが ら業務を遂行していると語った。そのチームの規範に 対してどう思うか問うと、看護チームの暗黙のルール の一つであるが、個人としては看護師が医師の業務を 代行している状況に納得がいかないと語っていた。彼 女にとって、それは医師だけの問題ではなく、そのよ うなルールを作り、維持しているのは看護師たちであ り、そのことを認識した上で、暗黙のルールに従うこ とは看護師として当然であると捉えていた。そして、 医師の業務を代行している状況を看護チームの暗黙の ルールと捉えることで、一方では医師への不満を語り ながら、他方では看護師のルールとして受け入れてい た。 〈状況〉(医師の指示に従うことの違和感についての 語りの後)暗黙のルールじゃないですか。病棟なら 絶対ある。看護師たちのルールがあると思う。薬の 依頼は全部紙に書き出して依頼するとか、検査出す 時期とか、回数とかを、こっちから確認するとか、 すごいありますよ。(医師の検査の出し方について の不満の語りが続く)こっちアクション[つまり、 看護師が働きかけないと医師が指示を出さないとい う状況]ですよ。ミスが起こった時に看護師のせい にされるというか、だったら最初から[医師が]自 分でやればいいと思う。退院処方出してないとか、 自分で[薬の量を]計算すればって思うけど、看護 師として育った環境がそうだから、当たり前に思っ てたし、違和感はないかな。[そういう暗黙のルー ルが]あるんだろうって思ってたし。(看護師とし てルールを受け入れている語りが続く)当たり前、 違和感ない。 2)  違和感・ジレンマに対応したが効果が得られな かった、というナラティヴ 日常的に行われている処置やケアに対して違和感・ ジレンマを経験し、改善策を提案するという対応をし たが、効果が得られなかったというナラティヴが10 例見いだされた。 これらのナラティヴでは、X、Y、Zの3つのテーマ のうち、Zは見いだされなかった。 X.看護チームの習慣・ルール・看護システムに対す る違和感・ジレンマ このテーマのナラティヴは10例中7例であった。 看護師Aは、痛み止めの使用にあたり、従来通りの看 護チームの考え方で使用することにより、患者の意向 と対立するというジレンマを経験した。先輩看護師 は、痛み止めの使用は看護チームの考え方に則って対 応するべきという考え方であるが、患者を一人の生活 者としてケアをしたい、という看護師A自身の看護観 を看護チームに伝えたことによって、痛み止めの使用 方法に対する考え方の違いが明らかになった。 〈状況〉全然頑張って生きてきたのに、こんな痛み に耐えられない、痛み止めを使うなんて、どうして も抵抗があるみたいな。(中略)私がその患者さん に聞いた時は、ただ単に痛み止めを使いたくないと は聞かなくて[患者が痛み止めを使用したくない理 由があって]、(中略)闇雲にチーム全体としてレス キュー[疼痛管理に使用する頓用薬]を勧めるのは なんかちょっと違和感があって。その患者さんの生 活者、生活のフィールドがあって、そこに基づいて の今[つまり患者の状況があるはず]で、だから今

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レスキューを使いたがってないんだから、その断片 的なところしか関わってなくて、それを押し付けた りするのは何か違うんじゃないかなーっていう。私 はレスキューを勧めなかったんです、個人的に。 〈対応〉自分の中でそれが一番疑問だったから、 やっぱり先輩に返したんですよね。[患者がレス キューを使いたくないと]言ってるんだけど、レス キュー使うの何ででしょうか、みたいな。そしたら 「何言ってんの」みたいな。「そんなの痛いんだから、 レスキュー使って家に帰るのが普通じゃん。当たり 前でしょ」みたいな。「はい」って感じでしたね。 納得はしてないけど、「はい」って感じで、私は何 もできなかったです。 看護師Iは、患者にかかる負担を軽減するために、 看護師が実施する処置の範囲を拡大する提案をした が、受け入れられなかった。その理由は、看護チーム に対する医師からの期待が高まることが予想されるの で、看護師にかかる負担が増大するのではないかとい う意見によるものであった。このような状況から、自 己の提案がチームの規範から逸脱していることを意識 し、患者にかかる負担と看護師にかかる負担のどちら を優先するべきかというジレンマを経験していた。 〈状況〉検査目的で胃液採取をするって、そうする とその間、患者さんはご飯をずっと待っていなけれ ばならない。 〈対応〉胃液採取を私がして普段通りご飯を食べて もらえばいいと思って提案したけど。次回から医師 から「みんな看護師なんだからできるんだからや れ」という風潮になると困るというので。(中略)確 かに自分はできると思ってやっているけど、他のス タッフの負担になるのであれば自分はやるべきでは ないと思って。(中略)私がやることで他のスタッ フもやらなきゃいけなくなると、あんまり出しゃば るべきではないのかなと思って。 Y.看護経験の多少に基づく違和感・ジレンマ このテーマのナラティヴは10例中3例であった。 看護師Eは、文献のデータを基にしたケアの根拠を示 し、以前から行われてきたケアへの改善策を提案した が、受け入れられなかった。そして、経験年数やキャ リアは「力」であると語り、看護経験が少ない自己の 立場を不利に感じていた。また、経験があることは重 要であるが、それだけでは不十分であり、根拠に基づ いたケアを実施すべきだと考えていた。そして、看護 チームや同僚に対して自己の提案を通すために、資格 を取ったり、研修に参加したりするなどの戦略を考 え、行動していた。 〈状況〉根拠を持ってやることがつねになっている のに、新しくなって変わらないことにがっかりした けど、一組織に所属している人間としてやり方を変 える、どんどん新しいものを取り入れることが良い と思っていたけど、そこで自分だけ違う行動をする のもいけない気がしてジレンマを感じました。(中 略)力がないと、交渉がどうのこうのっていう次元 ではなく、[組織として]動かないってことってた くさんあるなと思ってきたので。[力とは]経験年 数とかキャリアのことなのかなと思うんですけど。 (中略)発言力とかは長年やってきたという、その 人の立ち位置によってかなり影響力があるなってい うのは感じていて。 〈対応〉勉強して新しいものを取り入れていきたい ですし、資格をとったりすることで説得力が増すか なと思っていろいろ資格を取ったし、何か学んで新 しいことを情報提供できたりしたらいいなと思って いるので。(中略)何か疑問があると私が調べる係 になって調べてきても、そこからは[チームの]ア クションにつながらないことが多かったので。今も 状況としては[根拠のあるケアを実施するより、 チームの習慣をもとにしてケアを実施していて]あ まり変わっていません。 3)  違和感やジレンマに対応し効果が得られた、と いうナラティヴ 日常的に行われている処置やケアに対して違和感や ジレンマを経験し、改善策を提案するという対応を し、その効果が得られたというナラティヴが2例抽出 された。X、Y、Zの3つのテーマのうち、2例ともX のテーマのナラティヴであった。看護師Jは、安静を 保持するために抑制を行うという従来の考え方に疑問 を抱いた。また、彼女は以前勤務していた病院で、患 者の状況に合わせ抑制を外したという経験があった。 〈状況〉抑制をしていて、病状もあって騒がれると 困るから、動ける患者さんを動かさなかったり。 (中略)私の経験から抑制服着せるにも、患者さん が動けるようにしたり、周りに聞きながらこういう 方法がいいんじゃないのってやってた。みんなが抑 制、抑制って言ってた中で、[それは]違うかなっ て思って。自分が受け持ちになった時にいろんな方 法を試してたかなっていうのはあります。(中略) 抑制をした方が患者さんが興奮して騒いでいるとか そういうのを見て、少し自由にした方が[いいの に、患者は]動けないから興奮して安静にできてな いなって感じたことはあります。 〈対応〉縛っちゃえばいいねっていう話だったから、

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「こうしてみない」って提案してみて。[抑制を外す ことについて]カンファレンスとかで意見を言いな がら、こうしていきたいということは伝えました。 〈効果〉[抑制を外せたのは]やっぱり効果があった からだと思います。自分が受け持ちだったから、 「こうしてください」、「こうしてみたい」って伝え て。

Ⅴ.考察

1.違和感・ジレンマへの対応 看護師が看護チームや同僚に対して経験した違和 感・ジレンマとその時の態度・行動について、ナラ ティヴ分析を行った。構造分析の結果からは、〈違和 感・ジレンマを経験した〉という〈状況〉のみのナラ ティヴが31例中19例と最も多く見いだされ、違和 感・ジレンマを認識しても、それに対して看護師が何 の対応もできずにいる場合が多々あるという実態がう かがわれた。 その一方で、〈違和感・ジレンマに対応した〉が〈効 果〉が得られなかったというナラティヴが10例、〈一 定の効果が得られた〉というナラティヴが2例語られ ており、違和感・ジレンマに対して看護師が何らかの 行動を起こしている場合も少なからずあることも示さ れた。これらに共通しているのは、患者の意向やニー ズを考えて、それに応えたいという動機に基づく行動 を起こしているという点であった。彼女たちの提案が つねに「正解」とは限らないにしても、国際看護師協 会による「看護師の倫理綱領」に「看護師は、看護を 提供するに際し、個人、家族および地域社会の人権、 価値観、習慣および信仰が優先されるような環境の実 現を促す(p.xi‒xii)」10とあるように、患者の意向や ニーズを尊重するという態度は、看護師の倫理におい てきわめて重要なものである。 しかしながら、〈違和感・ジレンマに対応した結果 として、一定の効果が得られた〉というナラティヴが 2例のみであったことからは、看護師個人として、違 和感・ジレンマに気づき、患者への対応に必要性を感 じ対応したとしても、周囲がそれを受け入れようとし ない場合が多いことが示唆された。つまり、患者の意 向やニーズを尊重しようという動機から看護師が提案 を行ったとしても、それをチームが受け入れない場合 にどうすべきかが、大きな課題であると考えられる。 これについて、テーマ分析の結果を用いてさらに検討 する。 2.個人とチーム 研究参加者が経験した違和感・ジレンマの中で、看 護チームの習慣・ルール・看護システムに対するもの が多かった。研究参加者たちは、患者や家族に行われ ているケアについて改善点を見いだした場合に、看護 チームや同僚に対して、その根拠や理由も含めて提案 をしていた。しかし、看護チームや同僚は、それらの 提案が以前から行われてきた処置やケアの方法を大き く変えるものである場合には、容易に受け入れようと しなかった。つまり、患者の状況を中心とした検討よ りも、従来の習慣・ルールや看護システムを変えない ことの方が重視されている様子がうかがわれた。 そのように、自らの提案が受け入れない場合に、研 究参加者たちの多くが、従来の習慣・ルールや看護師 システムの「良い面」を見ようとしたり、個人で可能 な範囲で患者のニーズに個別的に対応したりすること で、折り合いをつけていた。このように、個人として の対応とチームの一員としての対応の切り替えは、看 護師個人の価値観に基づいた対応と看護チームの規範 から逸脱しない対応の二つを両立させ、違和感・ジレ ンマの緩和を図るための戦略と言えるかもしれない。 社会心理学では、集団において、認知と判断、行 動、価値観を共有することにより集団規範が形成され ると言われている。チームワークが日常的である看護 師は、他の職種に比べて集団規範を形成しやすいこと や、その規範を内面化し、周囲に同調する傾向を持ち やすいことが考えられる。研究参加者の語りからは、 チームワークは患者に利点のみをもたらすのではな く、チームワークによって患者のニーズに対応できな い場合があることが示唆された。看護師が自らの価値 観や倫理観に基づいて、患者のニーズに個別的に対応 したいと考えたとしても、それをチームの中で開示し ない場合や、開示してもチームに受け入れられなかっ た場合には、患者の個別的ニーズよりもチームの規範 に則った対応が優先される状況が生じかねない。そし て、患者や家族が医療・看護に求めるニーズが多様化 している現実においては、患者にとって何が良いケア と言えるのかは一様に判断することが難しい。 患者の個別的ニーズへの対応が看護チームの規範か ら逸脱する場合に起こりうる、患者と看護チーム・看 護師への影響や看護チームの規範に沿ったケアを提供 することが、個々の患者の利益にかなっているかどう かをつねに顧みるような、柔軟な対応が必要と思われ る。 3.看護経験の影響 看護経験3・4年目の研究参加者たちは、新人看護 師が発言しないことを、自己の新人看護師時代の経験 と重ね、経験不足・知識不足を理由にして、自己の意 見を抑え、先輩看護師の意見を優先する傾向があり、 意見を言えるようになるためには経験が必要であると も考えていた。そして、看護経験5年目以上の研究参 加者からでさえ、「経験のある先輩に向かって発言で

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きない」、「カンファレンスでは、参加メンバーを見て 発言回数やタイミングを調節する」という語りがあっ た。しかし、一方では、経験年数に関わらず、多様な 意見の中から患者にとっての「良いケア」を選択すべ きだとも考えており、実際の状況とのギャップが明ら かになった。 新人看護師と看護チームとの関係についての先行研 究では、入職後に感じる苦痛と離職の関連を調査した 結果、看護技術等に関する苦痛は、徐々に減少する傾 向にあったが、職場の人間関係の苦痛が占める割合は 変化がなく11、入職後、同僚や先輩看護師から期待す る支援が得られていない12という報告がある。本研究 の看護師の語りから、看護チームや先輩看護師との関 係を考慮した結果、自己の意見を抑えている状況がう かがえた。これらの状況から、新人看護師に限らず、 ある程度の看護経験を有する看護師にとっても患者の ケアの実践の際に、自己と他者との価値観・倫理観の 相違に基づいた違和感・ジレンマを経験することが考 えられる。 また、研究参加者にとって、「看護経験」という言 葉は、看護師としての経験年数のみではなく、所属病 棟・看護チームに在籍した年数をも意味していた。つ まり、単純にトータルの看護経験の多少だけが問題な のではなく、それぞれの勤務先である病棟や看護チー ムの習慣・ルールを把握し、チームに固有の規範に 則った態度・行動がとれることを「経験がある」と捉 えているのではないかと考えられた。 ケアを実践する過程において、看護経験が少ない看 護師がほとんど発言せず、看護経験の長い看護師の意 見がつねに採用されるというような状況は、チーム ワークのあり方として望ましいものではなく、経験年 数によって、チーム内の役割・立場が固定されること になりかねない。そして、新しい意見を採り入れにく くし、患者に対するケアの選択肢を限定することが懸 念される。経験年数にとらわれずに、多様な意見を発 言できるようにチームの環境を整えることが必要であ る。 4.成功体験と良いモデル 〈違和感・ジレンマに対応した結果として、一定の 効果が得られた〉という2例のナラティヴを語った研 究参加者たちは、自己の経験を看護チームのカンファ レンスに提案し、チームの規範を変化させるという行 動をとっており、看護チームや先輩看護師の意見を優 先した対応ではなく、患者を中心とした対応をしよう としていた。上述の看護師Jによるナラティヴは、抑 制を外そうという提案であった。結果に示していない もう一例のナラティヴ(看護師Hの、他の看護師によ る告知を受けた患者・家族への対応がモデルになって いるという語り)では、がんの告知でショックを受け た患者・家族が看護師を寄せつけようとしない態度を とった際に、チームの方針として〈コミュニケーショ ンを控えめにする〉ことになったのに対して、〈普段 通りに関わることで、ニーズを把握すべきだ〉と提案 して、受け入れられたという内容であった。 これらの2例は、看護実践における成功体験がある もの(看護師Jによるもの)、および患者への関わり方 の良いモデルに出会った経験があるもの(看護師Hに よるもの)であった。周囲から信頼されている同僚の 態度や行動を観察したり、それを模範にしたりするこ とが、看護師の実践能力の向上につながるとする報 告13がある。また、新人看護師は、患者との関わりの 中でケアや技術をうまく成し遂げられたり、患者との 関係に手ごたえを感じたりする等の主体的な成功体験 によって、自己を看護師として認めることができると の報告14もある。これらと同様に、違和感・ジレンマ の対応においても、主体的な成功体験や良いモデルの 存在が、看護師の実践能力を促進させている可能性が ある。 5.看護師のチームワークのあり方への示唆 本研究の結果からは、個々の看護師が、チームとい う集団の中で違和感・ジレンマを経験し、それを改善 することが患者の利益にかなうと気づいた場合であっ ても、行動を起こすことができない場合や、行動を起 こしてもそれをチームに受け入れてもらえない場合が あることが示唆された。日本を含む4か国において、 看護師が患者のケアに対して倫理的ジレンマを感じた 時の対応を比較した研究では、いずれの国においても その対応を決定する際の指針として、患者のwell-beingよりも習慣を優先して採用する傾向があるとい う15。このように、看護師が患者のニーズよりもチー ムの習慣・規範を優先する傾向は、日本のみならず、 諸外国においても共通の倫理的課題であることが示唆 された。 倫理的実践能力の要素は、「倫理的に知ること」、「倫 理的に見ること」、「倫理的に振り返ること」、「倫理的 に行うこと」、「倫理的にあること」であり、これらは 時間の経過とともに発達すると言われている16。これ らの倫理的要素を看護チームで発達させるための方策 として、看護師はチームワークにより、ケアの方法や 看護の方向性について共通認識が形成され、患者に均 一的なケアを提供できるという利点がある一方で、 チームの規範に沿った対応は、患者の多様なニーズに 対応できない場合があることを認識することである。 そして、看護チームの規範についての違和感・ジレン マの経験について語る機会を設けることにより、看護 師が個人の裁量の範囲で対応していた規範についての 検討ができると考えられる。こういった機会を設ける ことは、患者に良いケアを提供したいという看護師の

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動機を損なわず、以前から習慣的に行われている看護 チームの規範について、そのあり方を問う機会になり うる。こうした方策により、看護師がチームワークに おいて、患者の多様なニーズに対応しやすく、なおか つ看護師個人の実践能力が発揮できるチーム環境を整 えることが必要である。 謝 辞 本研究の実施にあたり、ご協力いただいた研究参加 者の皆様、分析の方向性などについてご助言いただい た新潟大学大学院保健学研究科看護学分野の齋藤君枝 先生、坂井さゆり先生、関井愛紀子先生、および宮坂 ゼミの大学院生の皆様に深謝いたします。 助 成 本研究は、科学研究費補助金「理論的基盤と臨床実 践とを統合する新しい医療倫理学の方法論についての 研究」(研究代表者:宮坂道夫、課題番号:22242001) の助成を受けて行われた。 利益相反 本研究における利益相反は存在しない。 文 献 1. 厚生労働省.チーム医療の推進に関する検討会報 告書[インターネット].2010.[検索日2014年 8月14日]http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/ s0319‒9.html 2. 村田尚恵.日常の看護実践で遭遇する倫理的問題 に対する看護師の行動の背景にある思い.日本看 護倫理学会誌.2012;4(1):9‒14.

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参照

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