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公的・非営利組織の人的資源マネジメント戦略:

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Ⅰ.はじめに

公的・非営利組織、すなわち行政組織や広義の非営利 組織1)の人的資源マネジメント戦略において、ボランテ ィアをどう位置づけるかは重要な課題である2)。これは 有り体にいえば、ボランティアをどのような事業に配置し、 どのような成果を求めるかということである。吉田・桜 井(2004)が指摘するように、ボランティアは自由性を 強く持った存在であるために、NPO のサービスに柔軟 性や先駆性や公益性といった競争優位を生み出す源泉と なりうる人的資源と考えられる。このため、ボランティ アのマネジメントは非営利組織のマネジメントの要諦で あると指摘されることも多い(Drucker, 1990; Hobson et al., 1996; 桜井, 2003)。本稿の目的は、このような公 的・非営利組織の重要な人的資源であるボランティアの 導入と活用が、どのような要因によって促されるかとい う、規定因を探索することにある。以下、本稿ではまず、 公的・非営利組織のボランティアマネジメント戦略につ いて考察し、課題の背景を整理する。また、本稿では典 型的な公的・非営利組織である病院組織を具体的に取り 上げるため、病院組織の公的・非営利組織としての特質、 および病院組織におけるボランティア導入の現状につい ても考察する。続いて、公的・非営利組織のボランティ アマネジメント戦略を明らかにするために、実証調査を 行い、その結果を分析する。最後に、調査分析結果に基 づき、公的・非営利組織におけるボランティアマネジメ ント戦略の特徴について考察する。

Ⅱ.背景と課題

1.人的資源としてのボランティアの特徴およびその導 入の戦略的意義 Pearce(1993)は7つの組織で働く有給スタッフとボ ランティアの職務態度について比較検討している。その 結果、その職務態度には、組織による違いよりも、有給 スタッフかボランティアかの違いの方がより強くみられ たとしている。一般的に、ボランティアは、有給で働く 従業員に比べ、次のような特徴を備えているとされてい る(桜井, 2004)。 第1に、ボランティアは金銭的に動機づけられないこ とである(Cnaan & Cascio, 1999; Pearce, 1993; 田尾, 1999)。このため、田尾(1999)は内的動機による動機 づけの重要性を述べている。 第2に、ボランティアその人が、自発的、自律的にそ の活動に参加していることを前提としていることであ る。Pearce(1993)によれば、ボランティアは組織から 「予想以上の成果を生む存在」という積極的な評価と、 「不安定で十分に期待できない存在」という消極的な評 価の二通りの評価を受けることがあるが、これは両方と もボランティアの持つ「相当な程度の自由性」から起因 しているという。自発性は高いモチベーションの源泉と なるが、逆に言えば、気に入らないことはやらないとい うことにもつながる。ボランティアには、仕事を無理に させることは難しく、十分に納得を得てからでないと、 動いてもらえないという側面がある(田尾, 1999)。

病院組織におけるボランティア導入戦略の分析

桜 井 政 成

論文要旨 公的・非営利組織、すなわち行政組織や広義の非営利組織の人的資源マネジメント戦略において、ボランティアをどう位置 づけるかは重要な課題である。本稿では、公的・非営利組織におけるボランティアのマネジメント戦略を明らかにする目的か ら、病院組織におけるボランティア導入の戦略的意図について実証調査を行い、その結果を分析した。本研究の結果からは、 公的・非営利組織のボランティア導入には、積極的な理由と消極的な理由の二つの側面が存在していることが明らかとなった。 また、本研究の重要な結論として、公的・非営利組織においては、サービス受給者であり資金提供者でもあるステイクホルダ ーの意向を強く意識している組織であるほど、ボランティアという人的資源を積極的かつ有効的に活用している、と述べるこ とができよう。

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第3に、多くの場合、ボランティアにとってボランテ ィア受け入れ組織は「第2の居場所」であるということ で あ る ( Cnaan & Cascio, 1999; Lansley, 1996)。 Brichacek(1988)のホスピスでの調査によれば、ボラ ンティア活動を止めてしまった人のうち、74.3 %はマネ ジメント上の理由とは関係ない理由(転居や、学校・仕 事の都合など)で止めていたという。ボランティアは収 入をその組織に依存せず、家族などの、より重要な集団 を持ちながらボランティア活動に参加している。このた め、ボランティアの多くは週に数時間という部分的な組 織参加であり、組織コミットメントは高くない。 このような特徴を持つボランティアは、有給スタッフ と異なった固有のメリットを公的・非営利組織にもたら す。Ellis(1996)はそうしたメリットについて、次の 9 つをあげている。それは(1)無報酬であるからこその 信頼性があること。(2)インサイダーであり、アウトサ イダーでもあることから、ひと味違った組織へのインプ ットが期待できること。(3)組織の評判やネットワーク を広げるさざ波効果があること。(4)客観的な政策立案 者としての価値があること。(5)特定のクライアントや サービスに焦点をあてることができること。(6)組織の 外にいるため、自由な組織批判ができること。(7)生活 の糧を組織に依存していないため、課題遂行にあたって プレッシャーやストレスが少ないこと。(8)「私人とし ての市民」として、議員やマスコミと自由に接触できる こと。(9)新しい発想、新しいサービスを創造すること である。このような有給スタッフとは異なった組織的成 果への可能性によって、ボランティアをどのように位置 づけるかという戦略性が、公的・非営利組織には求めら れることになる。 戦略の設定は組織的に行われねばならない。Brudney (1994)はボランティアマネジメントを8段階のフェー ズに分け、それぞれの段階での具体的な課題を説明して いるが、その第1段階の課題は、組織的に、「ボランテ ィアの参加のための基本理念をつくる」ことであるとし ている。しかしながら、こうしてつくられたボランティ ア受け入れの基本理念が、そのままボランティアマネジ メ ン ト の 戦 略 と し て 実 行 さ れ る わ け で は な い 。 Mintzberg(1973)が指摘するように、経営戦略とは意 識的・明示的に策定されるものではなく、一連の意思決 定の結果として形成されるものであると理解すべきであ る。そのため、公的・非営利組織におけるボランティア マネジメント戦略を理解するためには、いかなる要因の 影響によってその決定がなされているのかを実証的に分 析する必要があると考える。 2.公的・非営利組織としての病院組織 本稿では公的・非営利組織がボランティアをどのよう な人的資源として戦略的に位置づけているのかを明らか にするために、典型的な公的・非営利組織である病院組 織を具体的な調査対象として取り上げる。このため、病 院組織と病院ボランティアの現状について、簡単に概観 しておきたい。 日本においては現在のところ、病院開設者として最も 割合が高いのは医療法人である3)。日本の医療法人制度 を規定している法律は医療法である。その第 39 条にお いて、病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療 所又は介護老人保健施設を開設しようとする社団又は財 団は、医療法人とすることができるとしている。しかし ながら周知の通り、日本で病院を所有・経営する主体は 医療法人(医療法人社団・医療法人財団)以外にも、国、 地方自治体、個人、一人医師医療法人4)、社会保険関係 団体、その他特別法に基づく民法 34 条以外の広義の公 益法人(日赤、済生会、学校法人など)、そして医療法 が制定される前の名残である会社法人などが存在してい る。ただしこのため日本においては病院組織の多くが公 的・非営利組織であるものの、そのすべてが公的・非営 利組織であるとはいえないのが現状となっている。 しかしながら、2003 年3月に厚生労働省に提出され た「これからの医業経営の在り方に関する検討会」の最 終報告書では、医療法人を中心とする医業経営改革の具 体的方向として、非営利性・公益性の徹底による国民の 信頼の確保がうたわれている。このため、今後は病院全 体において公的・非営利組織の性格が色濃くなっていく ことが予想される。 3.病院でのボランティア導入の広がり わが国での病院ボランティアの始まりは 1960 年代に さかのぼる。1962 年に淀川キリスト教病院が3人の美 容師をボランティアとして導入したことがその端緒であ ったとされている(日本病院ボランティア協会, 2001; 中山, 1998)。 わが国の病院でのボランティア導入は、近年急激に広 がっている。中山(1998)が 1996 年に 333 の大学病院及

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び臨床研修指定病院を対象に行った調査によれば、ボラ ンティアの導入状況は、導入済み 43 %、導入検討中 23 %、未導入・未検討 34 %と、実に 63 %もの調査対象 病院がボランティアを既に導入しているか、導入を考え ていた。特に、大学病院、国立病院に比べ、地方自治体 立病院、その他の病院での導入率が有意に高いことが認 められた。また、病院ボランティア協会に加盟するボラ ンティアグループの数は、1980 年度から 1995 年度まで の 15 年間では 11 グループの増加であったが、1995 年度 から 2001 年度の5年間での増加は 59 グループと飛躍的 な増加を見せているという(斉藤, 2004)5) このような近年の病院ボランティアの急激な広がりに は、次の2つの背景が存在していると中山(1998)は指 摘する。1つには、1995 年の阪神・淡路大震災による ボランティア活動に対する社会的認識の高まりである。 その後の 1998 年の特定非営利活動促進法の成立なども その認識の高まりに拍車をかけていると言えるだろう。 2つ目は、患者が医療へ求めるものの変化である。近年 患者は、医療に対してより高度な医療技術のみならず、 よりよいアメニティを求めるようになってきている。す なわち、病院は現在、地域住民がボランティア活動をし たいというニーズへ対応することが求められており、さ らにはそのボランティアを活用することで、患者サービ スを向上させることも求められているのである6)

Ⅲ.調査の概要と分析

1.調査の概要 以下、公的・非営利組織のボランティアマネジメント 戦略を明らかにするために、実証調査を行い、その結果 を分析することにする。分析内容は、次の2つである。 第 1 に、公的・非営利組織がボランティアを導入する要 因を明らかにすることである。そのために、病院組織が 導入しているボランティアの人数を従属変数とした重回 帰分析を行う。第2に、ボランティア導入に影響を与え る要因と、ボランティアの活用度合いとの関係について、 明らかにすることである。これについては、第1の分析 で明らかにするボランティア人数に影響を与える要因 と、ボランティアの活動内容類型との相関を、F 検定 (一元配置分散分析)を用いて分析することにする。 分析において用いるデータは、名古屋大学医学部医療 情報部が 2003 年1月に行った調査データを、許可を得 て利用している。同調査は日本病院会加入病院 2621 施 設に対して、各病院の院長宛に1通ずつの調査票を送付 している。なお有効回答は593件である(回答率22.6%)7) 2.ボランティア普及状況と平均人数 初めに、調査対象病院におけるボランティア導入の状 況を把握するために、ボランティア導入の有無と受け入 れているボランティアの平均人数8)について、病院母体 および許可病床数による違いからみておきたい。 まず、病院母体によるボランティア導入状況の差異に ついてである(表1、2参照)。調査結果によれば、概 してボランティアを積極的に導入している病院母体は、 日 本 赤 十 字 ( 8 6 . 4 % )、 国 ( 8 2 . 4 % )、 地 方 自 治 体 (58.9 %)であった。逆にボランティア導入に消極的な 病院母体としては、特別医療法人(0 %)、個人(8.3 %)、 特定医療法人(18.5 %)、医療法人(21.8 %)が目立っ ている(ただし、特別医療法人についてはサンプル数が 少ないことに注意する必要がある)。 病院母体別の導入ボランティア人数については表2の 通りである。それぞれの病院母体における病院数が表1 の「ボランティアを導入している」病院数と一致しない が、それは無回答の病院があったためである。表2より、 病院母体の違いに関わりなく、多くの病院では導入して いるボランティアの人数は 10 人から 49 人の間であるこ とが理解できる。 表1 病院母体によるボランティア受け入れの有無 ボランティアの受け入れ 病院母体 している していない 計 国 28 6 34 地方自治体 83 58 141 日本赤十字 19 3 22 済生会 9 17 26 厚生連 11 10 21 社会保険団 10 10 20 公益法人 14 12 26 医療法人 37 133 170 学校法人 4 3 7 会社立 4 8 12 持ち分がない医療法人 5 5 10 財団法人 7 17 24 特定医療法人 5 22 27 特別医療法人 0 2 2 個人 1 11 12 計 237 317 554

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続いて許可病床数によるボランティアの導入状況の差 異についてみてみたい(表3)。本調査のサンプルにお いては最も病院数が多い区分帯は許可病床数 101 から 250 のところであった。しかしそれとは関係なく、ボラ ンティア導入については、概して許可病床数が増えるほ ど、受け入れている病院が増える状況にあることが分か った。 しかし、では許可病床数が増えれば増えるほど、受け 入れているボランティアの人数も増えるのかというと、 単純にそうだとはいい難い。許可病床数別のボランティ ア受入数については表4の通りである。また、許可病床 数別のボランティア受入数の差異について、F 検定(一 元配置分散分析)によって分析した。その結果、P<0.05 の有意水準を満たす結果は得られず、従って許可病床数 によっては、受け入れているボランティアの人数には違 いがみられないことが分かった。 3.ボランティア導入人数に影響を与える要因 病院がボランティアを導入する要因を明らかにするた めに、病院が導入しているボランティアの人数を従属変 数とした重回帰分析(強制投入法)を行った。独立変数 として用いた項目は、一般的に非営利組織の戦略策定に 強い影響を与えているとされている、外的環境要因とし ての「ステイクホルダー(利害関係者)」と、内的環境 要因としての「組織の規模と業績」の2種類である。 小島(1998)や小柳(2001)が明らかにしているよう に、非営利組織は、ステイクホルダーからの影響を、経 営戦略の設定や実行に色濃く受ける組織である。すなわ ち、他の組織類型に比べ、非常に環境依存度の高い、オ ープン・システムズの組織であるといえる(Herman &

Heimovics, 1991; Heimovics et al., 1993; 田尾, 1999)。ま

た、小柳(2001)は、その非営利組織のサービス受給者 と資金提供者とが重複している場合、戦略の設定や実行 にそのサービス受給者の意向が強く影響することを、そ の調査結果の分析より言及している。このため、第一の 仮説として、「病院のボランティア導入戦略はステイク ホルダーの意向が強く影響している」ことが想定される。 この第1の仮説を実証するために、次の6項目の質問 を用意した。まず、「ステイクホルダーという概念を知 表2 病院母体によるボランティア受け入れ人数 受け入れているボランティアの人数 病院母体 1 人∼ 9 人 10 人∼ 49 人 50 人∼ 99 人 100 人以上 計 国立 4 8 4 4 20 地方自治体立 13 35 10 4 62 日本赤十字 3 7 2 3 15 済生会 3 3 0 0 6 厚生連 0 7 0 0 7 社会保険団 2 6 1 0 9 公益法人 2 5 0 2 9 医療法人 7 11 1 2 21 学校法人 0 1 1 0 2 会社立 0 1 1 0 2 持ち分がない医療法人 2 2 1 0 5 財団法人 1 2 0 0 3 特定医療法人 0 3 1 0 4 特別医療法人 0 0 0 0 0 個人 0 0 0 0 0 計 37 91 22 15 165 表3 許可病床数によるボランティア受け入れの有無 ボランティアの受け入れ 許可病床数 している していない 計 -100 11 84 95 101-250 75 153 228 251-500 111 79 190 501-1000 52 10 62 1000- 9 1 10 計 258 327 585

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っているか」という質問を用意した。これは組織の、ス テイクホルダーへの総合的な配慮を測定する意図を持っ た質問である。次に直接のサービス受給者であり資金提 供者でもある「患者」からの影響を測定するために「患 者への診療情報公開の重視」という質問を用意した。ま た、より広い概念でのステイクホルダーとして考えられ る「地域コミュニティ」の影響を測定するために、「地 域への健康教育の重視」及び「地域への自院情報公開の 重視」という質問を用意した。さらに、公益性の重要性 認知を測定する観点から、「不特定多数への健康教育の 重視」及び「不特定多数への自院情報公開の重視」とい う質問を用意した。それぞれの質問項目の回答は1から 5までの5段階で、得点が「低い」ほど、組織がそれぞ れの項目を重視していることを表している(すなわち逆 転項目となっている)。 また、組織の戦略策定を左右するもうひとつの重要な 要因として、組織の規模と構造が考えられる。Hasenfeld & Schimd (1989)が指摘するように、ヒューマンサービ ス組織においては、そのライフサイクルに応じて組織戦 略を革新させ、環境適応を図っていくことが重要となる。 この仮説に基づいて、組織の規模と構造の段階を図るた めのいくつかの質問項目を用意した。それは「許可病床 数」、「療養型病床数」、「平均在院日数」、「病床利用率」、 「入院病棟数」、「外来診療科目数」、「入院診療科目数」、 「1日平均外来数」、「MRI 数」、「CT 数」、の 10 項目であ る。これらはすべて、単純得点数を分析に用いている。 分析に用いた変数の平均及び標準偏差を表5に示して おく。また、変数間の相関関係は表6に示す通りである。 重回帰分析の結果は表7に示す通りである。重回帰分 析の結果、「患者への診療情報公開の重視」(P >.005) と「病床利用率」(P >.05)の2項目に有意な関係性がみ られた。また2つの項目とも正の影響であった。 それぞれの独立変数の影響力については、以下のよう に解釈できよう。まず、「患者への診療情報公開の重視」 の値が高いほど導入しているボランティアの人数が多い ことについてであるが、これは、ステイクホルダーとし ての患者へのアカウンタビリティを重視している病院、 すなわち患者へのサービス意識が高い病院ほど、ボラン ティアの導入に積極的であると理解することができる。 また、「病床利用率」の値が高いほど導入しているボラ ンティアの人数が多いことについては、入院患者が多く、 忙しい病院であるほど、ボランティアの導入に積極的で あると理解することができる9)。これは、ボランティア を、スタッフをフォローする安価な労働力と考え導入し ているとみなすこともできるだろう。 4.ボランティア活動内容の分類 次に、各病院で取り組まれている具体的なボランティ アの活動内容について分析したい。まず、調査において 表4 許可病床数によるボランティア受け入れ人数 受け入れているボランティアの人数 許可病床数 1 人∼ 9 人 10 人∼ 49 人 50 人∼ 99 人 100 人以上 計 -100 3 4 2 0 9 101-250 16 23 5 3 47 251-500 20 41 10 8 79 501-1000 3 24 8 5 40 1000- 0 5 1 0 6 計 42 97 26 16 181 表5 各変数の平均値および標準偏差 平均値 標準偏差 受け入れボランティア人数 42.28 66.51 ステイクホルダー概念の理解 4.29 15.79 地域への健康教育 1.44 4.05 不特定多数への健康教育 2.21 6.96 患者への診療情報公開 1.48 4.05 地域への自院情報公開 1.55 4.06 不特定多数への自院情報公開 2.26 5.72 許可病床数 284.13 213.08 療養型病床数 31.05 51.78 平均在院日数 47.04 118.43 病床利用率 85.49 10.68 入院病棟数 16.94 59.65 外来診療科目数 12.61 15.21 入院診療科目数 10.09 6.50 1日平均外来数 604.73 563.05 MRI数 0.90 0.67 CT数 1.28 0.73

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表6 各変数間の相関関係 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 1.受け入れボラン 1 ティア人数 2.ステイクホルダ -. 042 1 ー概念の理解 3.地域への健康教 .043 -. 004 1 育 4.不特定多数への -. 029 -. 008 .578 ** 1 健康教育 5.患者への診療情 .163 *-.003 .990 ** .574 ** 1 報公開 6.地域への自院情 -. 025 -. 008 .991 ** .574 ** .990 ** 1 報公開 7.不特定多数への -. 029 -. 008 .696 ** .807 ** .696 ** .707 ** 1 自院情報公開 8.許可病床数 .078 -. 079 -. 068 -. 054 -. 063 -. 065 -. 039 1 9.療養型病床数 -. 016 -. 001 -. 015 -. 019 -. 011 -. 021 -. 026 -. 110 * 1 10.平均在院日数 -. 066 -. 032 .014 -. 004 .021 .011 .000 -. 025 .316 ** 1 11.病床利用率 .147 *. 006 -. 023 -. 011 -. 025 -. 028 -. 028 .134 ** .227 ** .177 ** 1 12.入院病棟数 -. 078 -. 035 -. 022 .132 ** -. 017 -. 018 .167 ** .135 ** -. 027 -. 009 -. 031 1 13.外来診療科目数 .010 -. 024 -. 037 -. 016 -. 037 -. 038 -. 006 .305 ** -. 165 ** -. 132 ** .071 .042 1 14.入院診療科目数 .096 -. 058 -. 073 -. 017 -. 069 -. 072 .005 .739 ** -. 290 ** -. 270 ** .110 ** .150 ** .452 ** 1 . 15.1 日平均外来数 .078 -. 047 -. 049 -. 019 -. 046 -. 040 -. 010 .776 ** -. 326 ** -. 230 ** .135 ** .078 .326 ** .762 ** 1 16. MRI 数 .086 -. 060 -. 016 .037 -. 015 -. 015 .033 .607 ** -. 201 ** -. 258 ** .115 ** .072 .261 ** .611 ** .676 ** 1 17. CT 数 .037 -. 078 -. 034 .027 -. 034 -. 032 .042 .701 ** -. 210 ** -. 171 ** .163 ** .093 *. 271 ** .649 ** .743 ** .628 ** 1 ** 相関係数は 5 %水準で有意(両側) * 相関係数は 1 %水準で有意(両側)

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尋ねている「病院で取り組まれているボランティア活動」 に関しての、自由回答によって得られた記述を、同様の 活動内容毎に分類する作業を行った(表8参照)。その 結果、最も多くの病院で行われているボランティア活動 内容は「受付・案内」の活動であることがわかった。こ れは診察申込書の記入の補助や、外来予約機の操作方法 の案内や、外来受診者の院内案内などが含まれる。2番 目に多くの病院で行われている活動は「院内環境の整備」 であった。これには院内の清掃、院外の園芸作業、洗濯 や衛生材料の制作などが含まれている。その他、「送 迎・移動介助」(外来の送迎や車いす介助)や、「専門職 ボランティア」(各種療法の講師、理容ボランティア、 ロビーコンサート等)も比較的多くの病院で取り組まれ ている活動内容であった。また、ユニークな活動内容と して「患者の代弁活動」というところも1ヶ所みられた。 また、これらの病院ボランティアの活動内容について、 病院の有給スタッフの業務との関係性から、次のような 類型化を行った。すなわちそれは「代替活動」、「補助活 動」、「独自活動」という3類型である。 「代替活動」とは、本来病院の有給スタッフが行うべ き業務を、ボランティアが肩代わりしている(させられ ている)活動内容を指す。この類型には「院内環境の整 備」、「看護・介護」のボランティア活動が含まれる。こ うした活動が取り組まれる理由には、病院がボランティ アを戦略的な人員とは捉えておらず、むしろ人員不足を 補うための「無償の労働力」としてボランティアを利用 する意向が強いことが考えられる。 「補助活動」とは、病院の有給スタッフが行っている 業務を、ボランティアがフォローしている活動である。 この類型には「送迎・移動介助」、「受付・案内」、「事務」 (チラシ作り、事務補助など)、「レクリエーションやイ ベントの補助」、「患者サービス・手伝い」(患者の身の 回りの世話など)が含まれる。こうした活動が取り組ま れる理由には、病院が患者へのサービス向上を目指し、 よりきめ細やかな対応をボランティアによって実現しよ うとする意向があるものと考えられる。 「独自活動」とは、病院の有給スタッフが行っている 業務からは独立して、ボランティアが独自の活動を展開 しているものである。この類型には「図書サービス・読 み聞かせ」(外来患者向け移動図書、患者用図書室の管 理、小児病棟での絵本の読み聞かせなど)、「専門職ボラ ンティア」、「交流」(患者の話し相手、小児病棟での勉 強指導や遊び相手など)、「患者の代弁活動」が含まれる。 こうした活動が取り組まれる理由には、病院がボランテ ィアのメリットを理解し、病院の有給スタッフでは行う ことのできないサービスを、ボランティアを通じて患者 に提供するねらいがあるものと考えられる。 以上、本調査の結果からは、病院で取り組まれている ボランティア活動内容は非常に多岐にわたっているが、 表7 重回帰分析結果 標準化係数 有意確率 VIF ステイクホルダー概念 -.045 ns 1.090 の理解 地域への健康教育 .012 ns 1.451 不特定多数への健康教育 -.073 ns 1.888 患者への診療情報公開 .347 *** 1.637 地域への自院情報公開 -.184 ns 1.760 不特定多数への自院 .016 ns 2.048 情報公開 許可病床数 -.018 ns 3.684 療養型病床数 .001 ns 1.818 平均在院日数 -.086 ns 2.080 病床利用率 .232 * 1.245 入院病棟数 -.100 ns 1.067 外来診療科目数 -.025 ns 1.244 入院診療科目数 -.058 ns 3.457 1日平均外来数 .044 ns 3.223 MRI数 .084 ns 3.018 CT数 .044 ns 2.840 F値 1.436 R2 乗 .158 ***P<0.005, **P<0.01, *P<0.05 従属変数:全ボランティア人数 表8 病院ボランティア活動の内容(複数回答) 活動類型 活動内容 病院数 全 V 導入病院 のうちの割合 代替活動 院内環境の整備 71 27.5% 看護・介護 31 12.0% 補助活動 送迎・移動介助 45 17.4% 受付・案内 98 38.0% 事務 7 2.7% レクリエーションや イベントの補助 19 7.4% 患者サービス・手伝い 25 9.7% 独自活動 図書サービス・読み 聞かせ 31 12.0% 専門職ボランティア 36 14.0% 交流 26 10.1% 患者の代弁活動 1 0.4%

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ボランティアの業務をどう位置づけるかによって、その 活動展開を3類型に分類できることが明らかとなった。 5.病院ボランティアの活動内容とボランティア導入人 数に影響を与える要因の関係性の分析 続いて、前段で類型化した病院ボランティアの活動内 容と、重回帰分析で明らかになったボランティア導入人 数に影響を与える要因である「患者への診療情報公開の 重視」及び「病床利用率」とがどのような関係にあるの かを分析する。 前段において、病院ボランティアの活動内容を「代替 活動」、「補助活動」、「独自活動」の3類型に分類した。 しかし実際の現場においては、いくつかの類型に含まれ る複数の活動内容が1つの病院で展開されている場合も ある。このため3類型を手がかりとしながら、各病院に おけるボランティア活動展開のタイプについて次のよう な2つのモデル仮説を構築した。 第 1 のモデルでは、病院のボランティア活動を「代替 活動」型、「補助活動」型、「独自活動」型、「代替活 動+補助活動」型、「補助活動+独自活動」型、「代替活 動+独自活動」型、「代替活動+補助活動+独自活動」 型の7タイプに分類した。これは3つの活動類型は並列 なものであると考えて行われた区分である。このため、 このモデルを便宜上<活動内容並列モデル>と呼ぶこと とする。 第2のモデルでは、病院のボランティア活動を「代替 活動」型、「代替活動を包含した補助活動」型、「代替活 動及び補助活動を包含した独自活動」型の3タイプに分 類した。これは3つの活動類型は、「代替活動」よりも 「補助活動」が上位的であり、「補助活動」よりも「独自 活動」が上位的であると考えて行われた区分である。こ のため、このモデルを便宜上<活動内容段階モデル>と 呼ぶこととする(図1参照)。 このような2つのモデル仮説に基づき、「患者への診 療情報公開の重視」と「病床利用率」を従属変数とする F検定(一元配置分散分析)を行った。表9、表 10 は、 それぞれのモデルにおける F 検定の結果、及びタイプ別 の「患者への診療情報公開の重視」と「病床利用率」の 平均値である。 <活動内容並列モデル>による F 検定の結果は、「患 者への診療情報公開の重視」及び「病床利用率」の双方 ともボランティア導入のタイプによる有意な差異はみら れなかった。一方、<活動内容段階モデル>による F 検 定においては、「患者への診療情報公開の重視」におい て、低い F 値ではあるが、差異が有意に見られた。また、 活動内容段階がより上位のタイプになるほど、「患者へ の診療情報公開の重視」の平均値が高まっている(逆点 項目なので)こともみてとれた。 この結果より、<活動内容段階モデル>が、ボランテ ィア導入人数に影響を与える要因と病院ボランティアの 活動内容の関係を説明する上で、有効なモデルであると 述べることができる。また F 検定の結果より、患者への サービス意識が高い病院であるほど、ボランティア活動 の内容も職員の補助的な活動だけではなく、より多彩な、 患者満足を高める活動を行っている、といえるだろう。

Ⅳ.本研究のまとめと考察

本稿では公的・非営利組織の人的資源マネジメント戦 略の一端を明らかにする意味で、病院組織におけるボラ <活動内容並列モデル> 「代替活動」型 「補助活動」型 「独自活動」型 「代替活動+ 補助活動」型 「補助活動+ 独自活動」型 「代替活動+ 独自活動」型 「代替活動+ 補助活動+ 独自活動」型 <活動内容段階モデル> 「代替活動及び補助活動を包含した独自活動」型 「代替活動を包含した補助活動」型 「代替活動」型 図1 病院ボランティア活動類型のモデル

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ンティア導入の戦略的意図についての実証調査を行い、 その結果を分析した。病院が導入しているボランティア の人数を従属変数とした重回帰分析の結果、病院のボラ ンティア導入には、「患者への診療情報公開の重視」と 「病床利用率」の2つの変数が正の影響を与えているこ とが明らかとなった。 病院において患者とは、重要なステイクホルダーであ る。サービス受給者であり、同時に資金提供者でもある。 このようにサービス受給者と資金提供者が重複する場合 には、そのステイクホルダーによる公的・非営利組織の 組織的意思決定への影響力の強さが、先行研究では指摘 されていた。本研究の結果から、人的資源マネジメント 戦略においても、こうしたステイクホルダーの影響力の 強さがみられることが明らかとなった。 ただし、本研究は先行研究の追認のみにとどまっては いない。病院ボランティアの活動内容と、ボランティア 導入人数に影響を与える要因との関係について、F 検定 による分析を行った結果、「患者への診療情報公開の重 視」変数と、病院ボランティアの活動内容との間には、 ある種の関係性がみられた。その関係性とは、設計され たモデル仮説により、「病院は『患者への診療情報公開』 を重視するほど、ボランティアを有給スタッフの代替や 補助として位置づけるにとどまらず、有給スタッフとは 異なる独自の役割も与えている」ことであると理解する ことができる。すなわち本研究の重要な発見として、公 的・非営利組織においては、サービス受給者でもあり資 金提供者でもあるステイクホルダーの意向を強く意識し ている組織であるほど、ボランティアという人的資源を、 積極的かつ有効的に活用している、と述べることができ よう。 また、ボランティア導入人数には、もうひとつ、「病 床利用率」変数が有意に影響していた。病床利用率の高 い病院とは、すなわち、有給スタッフが忙しい病院であ ると解釈できる。このため、公的・非営利組織がボラン ティアを導入している背景には、人員不足を解消するた めという、人的資源マネジメント戦略の消極的な側面も 存在していることが指摘されよう。しかしながら、この 「病床利用率」変数は、ボランティア活動の質には影響 を与えていないことに注意が必要である。このため、ス タッフの多忙さに根拠を置くボランティアの導入は、あ くまでもスタッフの代用や補助であり、ボランティア独 自の成果を生み出す方向性は持たないと考えられる。 以上、本研究の結果からは、公的・非営利組織のボラ ンティア導入には、積極的理由と消極的理由の二つの側 面が存在していることが明らかとなった。ただし、本研 究はあくまで組織側の戦略的意図のみに注目したもので あったために、こうした二つの導入理由に影響されたマ ネジメントの差異が、ボランティア個々人の職務満足や コミットメントにどのような影響を与えるのかについて は、明らかにはできていない。 いずれにせよ、注意しておかねばならないことは、ボ ランティアは単なる無償の労働力というだけでなく、地 域に住む潜在的な顧客層でもあるということである。そ のため、公的・非営利組織がボランティアの活動内容を 充実させ、ボランティアの満足を高めることに力を入れ ることは、顧客の信頼と支持を得るためには、大きな意 表9 活動内容並列モデル 「代替活動+ 「代替活動」型 「補助活動」型 「独自活動」型 「代替活動+ 「補助活動+ 「代替活動+ 補助活動+ F値 有意 補助活動」型 独自活動」型 独自活動」型 独自活動」型 確率 「患者への診療情報 公開の重視」 4.89 1.28 1.21 1.36 1.22 1.17 1.16 0.96 ns 「病床利用率」 85.77 85.63 85.37 86.26 88.99 78.6 87.78 0.78 ns 表 10 活動内容段階モデル 「代替活動を「代替活動及び 「代替活動」型 包含した 補助活動を F値 有意 補助活動」型 包含した 確率 独自活動」型 「患者への診療情報公開の重視」 4.89 1.31 1.20 3.40 * 「病床利用率」 85.77 85.84 86.88 0.23 ns

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味を持っていると考えられるだろう。 付記 本研究は平成 15 年度厚生労働省科学研究費補助金 「効率的な医療機関の経営母体に関する研究:株式会社 病 院 経 営 、 非 営 利 組 織 経 営 論 の 視 点 で 」( 課 題 番 号 H14-政策-019、研究代表者 山内一信)の成果の一部で ある。 1)ここでの広義の非営利組織の概念は、経済企画庁(2000) の整理を援用しているものである。すなわち、狭義の非営利 組織である特定非営利活動法人や任意団体であるボランティ ア団体や市民活動団体に加え、社団法人、財団法人、社会福 祉法人、学校法人、宗教法人、医療法人、地域団体(町内会 等)、労働団体、経済団体、協同組合等を含んだ概念である。 2)山内(2004)によれば、現在日本で行われているボランテ ィア活動の総時間数は、推計で、8億 7000 時間にのぼると いう。またそれを金額換算すると、8070 億円になるとされて いる。こうしたボランティア活動のほとんどが市場(企業) セクターではなく、公的(政府)セクターと非営利(NPO) セクターで費やされていると考えられるが、正確なデータは 日本では存在していないために不明である。アメリカにおい ては、1999 年に国民が行った総ボランティア時間数は、193 億時間にのぼるとされているが、その活動時間のうち、公的 セクターと非営利セクターで費やされている割合は 94.4 %で ある(Kirsch et al., 2001)。 3)厚生労働省医療施設調査によれば、2000 年 10 月の時点で 9,266 の病院が日本には存在しているが、そのうち医療法人 立が 58.1 %を占めている。ちなみに公的および非営利の組織 ではない設立主体の割合は、個人立が 12.7 %、会社立が 0.7 %となっている。 4)1985 年の医療法の一部改正により、医師又は歯科医師が常 時1人又は2人勤務する診療所についても法人化の途が開か れた。これを一般的に「一人医師医療法人」と呼んでいるが、 医療法上の権利・義務は医療法上何ら区別されるものではな い。 5)日本ボランティア協会は 1974 年に病院ボランティアの健 全な発展と推進のため、ボランティアグループの連合組織と して 34 団体が加盟して発足した(日本病院ボランティア協 会編, 2001)。2003 年 11 月末現在では 168 団体が加盟してい る(斉藤, 2004)。 6)Wymer, Jr.(1999)の調査結果によれば、病院ボランティ アは他の分野で活動するボランティアに比べて、次のような 特徴を有していたという。それは、年齢層が高く、活動する 団体へのコミットメントが高く、宗教心に富み、自尊心が高 いといった特徴である。こうした病院ボランティアの特徴に 関する調査分析は日本ではまだみられない。 7)同調査における全調査内容及び中間報告は真野(2003)に 掲載されている。 8)ここでのボランティアの人数とは、調査において「全ボラ ンティア数」という形で尋ねた回答の値を用いている。 9)この結果については、「療養型病床数」や「平均在院日数」 はボランティア受入数に有意な影響が見られないことから、 回転率に関係なく、入院患者が多い病院であるほど、ボラン ティア受入数に正に影響していることがいえる。 参考文献

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参照

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