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海 外 出 向 者 ( 非 居 住 者 )に 対 する 税 務 1. 所 得 税 法 上 の 居 住 者 非 居 住 者 の 定 義 所 得 税 法 では 個 人 の 日 本 居 住 者 を 納 税 義 務 者 と 定 義 しています 居 住 者 とは 日 本 に 住 所 があるか あるいは 過 去

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 海外出向者(非居住者)に対する税務  海外資産と相続税・贈与税の納税義務者

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海外出向者(非居住者)に対する税務

1.所得税法上の居住者・非居住者の定義 所得税法では、個人の日本居住者を納税義務者と定義しています。居住者とは日本に住所があるか、あるいは過 去 1 年以上にわたり日本に居所のある個人をいいます(所法 2①三)。そして日本居住者は、海外と国内所得につい て所得税の納税義務があります。ここでいう居住者の「住所」の判断基準は、住民登録や住民票の有無によらず実態 で判断されることになります(所基通 2-1)。 逆に、日本の所得税法では居住者以外の人のことを「非居住者」と定義しています。非居住者の所得については、 国内所得のみ所得税がかかります(所法 5)。海外に住民登録を移すことは比較的簡単に出来ますが、課税当局は 職業や家族の状況・国内資産の有無・滞在日数等で「住所」の所在を総合的に判断します。 区分 国内源泉所得 海外源泉所得 居住者 課税 課税 非居住者 課税 非課税 居住者は全世界所得に課税されますが、非居住者(外国人旅行者や駐在員)の海外所得は日本では非課税です。 上記は、海外の税制(香港を除く)でも基本的に同じ考え方です。なお、日本では非永住者制度があり、この点を解 説すれば以下の通りです。 2.個人の所得税の課税関係 区分 日本の所得税法上の定義(所法 2) 課税所得の範囲 ①-1 居住者 ・日本に住所のある個人 or ・過去 1 年以上にわたり日本に居所のある個人 全世界所得 (国内+海外所得、所法 7①一) ①-2 非永住者※ ・日本国籍を持っていない個人 and ・過去 10 年以内に日本で住所のある期間が 5 年以下の個人 同上 (海外所得は国内送金分のみ課税、所令 17) ②非居住者 ・居住者以外の個人 国内所得のみ(海外所得は含まず) ※平成 18 年 4 月 1 日より適用されます 従業員が出向命令を受けて海外赴任した場合は、日本の非居住者となります。また、海外で現地法人の役員とし て勤務中に受ける給与賞与等の報酬は、海外関係会社に勤務することにより支払われるので海外源泉所得となりま

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3.海外出向者が日本に帰国出張する際の課税関係 ただし、海外出向社員が日本に出張で帰国して一時的業務についた場合は、「俸給、給料、賃金、歳費、賞与又 はこれらの性質を有する給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において行う勤務その他の人的役 務の提供に基因するもの」に該当して、国内源泉所得とされます(所法 161 条①八)。このため、海外から日本へ出張 ベースで帰国して勤務している間の海外子会社から支給される給与は、日本で確定申告する必要があります。また、 日本法人が支給する賞与や留守宅手当ては、日本法人に源泉徴収義務が生じます。 しかし、以下に示すように租税条約の短期滞在者免税規定の 3 要件を満たす場合は、例外的に免税とされます。 確定申告の必要はありません。日本法人が支給する賞与等については、非居住者の国内源泉所得に該当し、租税 条約の②を満たさないので課税問題が生じます。日本法人に源泉徴収義務があります。 4.租税条約 海外で働いていても 183 日を越えない場合は、租税条約を締結している場合は短期滞在者の免税規定により相手 国で所得税を課税されません。技術者が 1 ヶ月程度の出張をしても、現地法人から報酬を受けない場合に限り、日本 法人での源泉徴収で課税関係は完結します。租税条約は、日本政府が 50 以上の国・地域と締結しています。この内 容に、給与等の短期滞在者免税の条項があります。 No. 租税条約の 183 日規定で短期滞在者として免税される要件 ① 滞在日数が暦年を通じて 183 日以内であること ② 給与賞与等の報酬が海外現地企業から支払われないこと(例えば日本親会社から支払うこと) ③ 給与等が現地企業の PE(恒久的施設)から負担されるものでないこと、人件費の付替がないこと ただし、香港は中国の特別行政区とされており、日本と中国、中国と香港間では租税条約を締結していますが、日 本と香港は租税条約を締結していません。このため、香港に出張者を派遣する場合は租税条約がない状態のため、 日本法人から支払われる出張期間中の給与は香港で給与所得課税されます。 5.平成 18 年度税制改正までの「非永住者」の定義 外資系金融機関の日本支店に勤務するものが平成 9 年に来日し平成 13 年まで 5 年間は非永住者として所得税 の申告をして、その後平成 14 年の途中に一度米国に帰国して、平成 15 年に再来日、平成 15 年度から再度非永住 者制度の適用を受けていました。このリピーターのような悪用事例によって、法律が改正されました(所法 2①四)。 日本国籍を持つ個人は、非居住者に該当することはあっても、非永住者に該当することはありません。

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区分 平成 18 年度税制改正前 改正後 非永住者 ・国内に永住する意思がないこと、 かつ ・現在まで 5 年以上日本に滞在していないこと ※日本国籍を持たないものは、国内に永住する意思がない と推定する。 ・日本国籍を持っていない個人 かつ ・過去 10 年以内に日本で住所のある期間が 5 年以下の個人 6.「居住者」の定義 所得税法では、居住者とは国内に住所又は 1 年以上居所を有している者と定義されています。ベストセラーの冒険 小説の翻訳家がスイスに住民票を移したため、日本での同族法人S社からの翻訳料について、非居住者として 20% の源泉徴収だけですましていました。しかし、日本での営業活動が頻繁なため日本の居住者と認定されて 35 億円以 上の所得申告漏れを指摘されました。所得税法にも相続税法にも客観的な判断基準が無く、事実認定が重要となる ケースが多く見られます。

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海外資産と相続税・贈与税の納税義務者

1.概要 相続税や贈与税の納税義務は、具体的にはどのように規定されているのでしょうか。例えば海外に在住する子供 に米国債を贈与しても、子供に日本の贈与税が課税されるのでしょうか。海外資産を贈与しても、贈与者か受贈者が 日本に住所があれば、贈与税の納税義務があります。贈与者か受贈者の、いずれかが過去 5 年以内に日本に住所 があれば、海外資産でも相続税や贈与税の課税対象になります。換言すれば、贈与者と受贈者が共に過去 5 年以 内に日本に住んでいない場合は、海外資産を贈与しても贈与税がかかりません。 国内資産か海外資産のどちらに該当するかという財産の所在は、相続税法で定義しています。財産としての株式 の所在は、「法人の本店所在地」で判定します(相法 10①八)。このため、外国企業の株式は、相続税法上海外資産 になります。したがって、外国法人の株式は非居住者に贈与されても日本の贈与税は課税されません。海外資産と は、海外不動産の他、本店が外国にある会社の株式(例えば香港、シンガポール、オランダ、米国法人株式)、海外 支店に預けられている預金が含まれます。相続税法では、相続や遺贈・贈与・死因贈与契約の課税関係を以下のよ うに規定しています(相法 1 条の 3・4)。 相続人 日本国籍有り 日本国籍無し 日本に住所有り 日本に住所無し 被相続人 日本に住所有り 海外居住 5 年以下 海外居住 5 年超 定義 居住無制限納税義務者 非居住無制限納税義務者 制限納税義務者 日本に住所有り 国内資産:課税 海外資産:課税 同左 国内資産:課税 海外資産:非課税 日本に住所無し 海外居住 5 年以下 日本に住所無し 海外居住 5 年超 同右 ※ 贈与税の扱いも、相続税と同じです。 なお、相続等の開始前 5 年以内に相続人等が日本国籍も日本の住所もない場合で、かつ国内資産を相続等で取 得していない場合でも、課税される場合があります。相続時精算課税制度を利用して、生前贈与を受けていたケース です(相法 1 条の 3①四、21 条の 9③、21 条の 16)。これは、特定納税義務者と言います。

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税務での住所とは、住民票の有無や市民権・外国政府の永住許可の有無・183 日基準とは無関係に日本の国税庁 の事実認定によります。海外出張等で一時的に日本を離れていてもいずれ日本に帰る場合は、住所を日本と推定さ れます。相続税法の取扱通達でも、住所の定義は客観的に判断するとしています(相基通 1 の 3・1 の 4 共-5)。こ れらは事実認定の問題となるため、納税者には予測可能性がつかず頻繁に争いになります。例えば、米国で生まれ たばかりの孫を、日本国籍を選ばずに米国籍だけにして制限納税義務者にします。二重国籍は課税されるので、避 ける必要があります(相基通 1 の 3・1 の 4 共-7)。そして日本に住む祖父や父親から、米国へ送金して財務省証券 等の有価証券(海外資産)を贈与すれば課税されないでしょうか。大手出版社の C 社の事例では、課税当局は生活 能力のない孫の住所の事実認定で課税しました。 2.平成 12 年度税制改正 平成 12 年度税制改正までは、相続や贈与で財産を取得した日本人が海外に住んでいた場合、国内資産だけに課 税していました。このため、海外居住の子供に海外資産を贈与するスキームが横行しました。贈与者が海外に財産を 移し、受贈者が一時的に海外に住所変更して「非居住者」となった後に海外で贈与を受けるという租税回避行為が 増加しました。特に東京高裁平成 17 年 9 月 21 日判決の事案は、典型的手口でシンガポール法人株式が贈与され、 課税当局を刺激しました(判例集未搭載)。このため、平成 12 年に租税特別措置法 69 条が改正されました(現状で は 69 条は廃止されて、相法 1 条の 3・4 で規定)。平成 12 年 4 月 1 日改正後は、当事者のいずれかが相続や贈与 前の 5 年以内に国内に居住していれば海外資産も課税対象となりました。相続や贈与の税務上は、「住所主義」では なく「国籍主義」が導入されました。

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本レターに掲載している情報は、一般的なガイダンスに限定されています。この文書は、個別具体的ケースに対する会計・税務のア ドバイスをするものではありません。会計上の判断や税法の適用結果は、事実認定や個別事情によって大幅に異なることがありえます。 また、解説の前提となる会計規則や税制が変更されている可能性もあります。実際に企画・実行される場合は、当事務所の担当者にご 確認ください。

参照

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