硫酸添加によるバルキング汚泥中の糸状性細菌の制御-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 屈33巻 箪1弓 69∼73,1981

硫酸添加によるバルキング汚泥中の糸状性細菌の制御

桑原 正章,山本 智子

CONTROL OF FILAMENTOUS BACTERIAIN BULK工NG SLUDGE

BY TREATMENT WITH SULFURIC ACIn

MasaakiKuwAHARA and Tomoko YAMAMOTO

Addition of sul士uric acid was examinedtocontrol董ilamentous bulking sludgeThe treatmentwith theacid resultedin damage of董ilamentous structure of SphaerotihiS and 董ormation of masses o壬 folded sheaths In the course o土 the treatment,netWOrks between flocs were broken and settle

ability of the sludge wasimproved remarkedly

糸状性バルキング汚泥を改良するため,硫酸の添加を試みた小 酸の添加により 哉摘“れ琉血ざの糸状構造は損傷 を受け,糸状他用皮は塊状となったu処理過程でフロック間のnetworkは崩壊し,汚泥の沈降性は顕著に改良され た. 緒 日 活性湾泥中に動地緋0才女血ざ乃α≠α乃5などの糸状性鞘皮細菌が異常に発生すると,菌体が汚泥フロソク間に networkを形成しく1),汚泥の沈降性を悪化させ,沈殿槽での固液分離を不可能とする.この現象は糸状性バルキン グ(壬ilamentous bulking)〈2)と称される.糸状睦バルキングの原因微生物としては,Si)haeroiilhLSの他, ββggまαねα,丁加扉如・左.%,βαC産地ざ,肋cαγ一成αなどの糸状性細菌,G♂0わ′■左cゐ〟椚やF狛∽れ必用など,糸状に生育 するかびや酵母などが挙げられる(84).バルキングの発生原因は複雑で,個々の事例について原因を推測せざるを得 ない.食品製造廃水を処理しているエアレ・−ションタンク内では,極めて届い頻度で糸状性バルキングが発生し,処 理施設の管理,即ち,バルキングヘの対処と言っても過言ではない. 糸状性バルキングが発生した場合の制御法は極めて経験的なもので,鉄塩,アルミニウム塩,塩素,過酸化水素な どの薬剤をエアレーションタンク内に投与する方法(5〉がとられている.しかし,バルキング発生要因は複合的であ り,また,各エアレーションタンク内の汚泥はそれぞれに特徴的な構成微生物が存在するため,効果的な処理の達成 には経験的要素が重要である. 木実験では糸状性バルキングを起こしている汚泥に硫酸を投与し,汚泥を一崎的に極めて過酷な状態に保ち,速効 的に糸状性細菌を失活させる試みを行なったい 対照実験として,しばしば行なわれている塩素処理法も試みた.ま た,薬剤処理による汚泥中での糸状旺細菌の形態変化については,これまでほとんど注目されていなかったため,本 実験では経略的に汚泥構成微生物の形態変化について追跡した. 実 験 方 法 供託汚泥 糸状牲バルキングを起こしている食品製造工場エアレーションタンクより採取した. 汚泥の培養 液品1Lあたり,ペプトン3g,肉エキス2g,尿素0.5g,Na2HPO40.5g,NaClO.15g,CaC12・ 2H200.07g,KClO.07g,MgSO4・7H200..05gを含むpH7.0の人工廃水培地を用いた.この廃水のBODは 3500ppm,CODは1200ppmであった。酸処理実験の場合,500ml容広口びんに,汚泥一培地混合液300mlを入 れ,小型ポンプにより散気球から通気した.培地の交換はパノチ法によった.すなわち,十分な時間汚泥混合液を放 澤して汚泥を沈降させた後,上澄液60mJを抜き取り,新たな培地60mJと交換した.塩素処理の場合,1000mJ広

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香川大学㍊学部′捌用捨 邦33巷 弟1ゝゴー(1981) 70 =びんに500mJの榊己混f‡液を入れ,通気培養した.培地の交換ほ腋処jさ‡をの場f†とIiご召じくバッチ法により100111Jず つを入れ換えた. 薬剤の投入 酸処既の場合,i2N紬囁を闘針i泥混合液に滴下し,混合液のpHを2.3とした.塩ぷ処Jヨ1もには次亜 塩素酸ナトリウム溶液(Active chlorinelO%)を用い,処理開始鳩服塩裁として最終濃度10ppmとなるように添 加した.第2桓=童】以降の添加では20ppmとなるようにした. 汚泥の性質の観察 下水道試験漆(6)によった. 実 験 結 果 1.酸処理の効果 醸処裡潮間汚泥ではFig.卜Aに/片すように,糸状性細菌ざ神都邦ぬ払sl).はよく仲良し,フロックi用に ileLworkを形成していた.沈降ナ恨ま的津)て不良で,SV:】。ほ媚%であった.糸状性紬帥こほ鞘皮の葎の異る2つの

Fig・1・MorphoIogicalchanges of filamentous bacteriain bulking sludge during the COurSe Of treatment with sulfuljc acid.

A,Ohr(beforetreatment);B,0.5hrafteraddition ofthe acid意C,1hrafLer addition of the acid;D,2hr after addition of the acid;E,5hr after addition

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桑原正章,J_Lr木智子:バルキング汚泥の制御 71 型が認められた.また,藍藻類と考えられる糸状性の微生物も槻察された.さらに,汚泥やスカム巾に〃0(α㌢−dよα と考えられる分岐状の細菌も認められた.このように,供試活性汚泥のバルキングは,糸状性細菌により引き起こさ れたものであるが,他の糸状や分岐状甲微生物によっても沈降件の悪化が助長されているものと推測された・・ この汚泥混合液に硫酸を儲下し,pHを2.3に低下させた後,24時間毎に培地の交換を寺」ないながら,経略的に ∫夕ゐαβ㌢0才よぉ5その他の微牲物の変化を観察した.酸添加値後,汚泥は凝集し,スカムが混合液表面に浮上したが, 数時間後にはほとんど混合液中に分散した.このスカム中に.は肋cαγdよαが多数観察された..処理後30分には,短 く切断された糸状仕組菌が増加し,哨皮の折れ曲がりも多く観察された(Fig卜B).この傾向は1時間(Fig 1−C),2時間(Fig1+D),さらに5時間(FgiトE)と明確になり,相成からの菌体の消失も観察された. さらに,2時間後にほ鞘皮が折れ曲がって塊状となり,糸状性細菌によるnetworkは次雄に肋壊した.これによ り,∼㌧泥の沈降性ほ著しく改良された. 〓∈00〓一∈︶む∈⊃一〇> Pむ〓lむS 0

10

20

30

Time(min)

Fig2.Settling curve of acid−treated sludge

1,Sludgebeforetreatment;2,Non−treated sludge;

3,Treated sludge

Cultureofthesludge waS COntinued a士ter acid treatment usingan

arti壬icialsewage aS a medium with aerationSettling CurVe WaS

measured a壬ter15days of treatment

処現後約50時間にわたる汚泥浪合彼のpH変化をFig2 にホした..恨添加頑後からpHは次斜に⊥罰し,43時 ii1〕以降8.2付近で平衡に達した.このpfiの回復は,汚泥の有する掛、緩衝能を示している.また,アルカリ側で 呼衡に達したことは,人工廃水の組成分に,有機窒ぶが高い判合で存れすることに起凶するものと‥考えられる.. −・方,処矧抑こ多数存在したβodoなどの小型遊泳比べん毛虫や,励Jg加ゐαなどの原±卜動物ふ繍峻添加後姓 死し,汚泥混合液中から消失した..しかし,2日後からは励doが再び出現し始めた.また,2日後からはフロッ クを形成していない遊離の細菌が増加する傾向を示した.さらに,糸状菌(かび)菌糸が仲良し始め,4日後には小 フロノクを形成した.しかし,これらの傾向は培養の経過とともに次第に減少し,汚泥の形状は正一常となった. 処理15日後の汚泥の沈降曲線をFig3 に示した.この曲線(曲線3)ばi[三欄な汚泥混合液の示す,1ag,rapid

subsidence,trarlSitionおよびcompactionの4つの柏(2)を経過し,30分後の沈降汚泥容紬ま汚泥混合液あたり

33%となり,良好な沈降性と圧密排を示した.これに対し,対照の無処理浪合液では,沈降汚泥案租ほ82%に過ぎな

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香川大学農学部学術裡合 邦33巻 第l号(198り 72

0 10 20 30 ム0 50

Ttme(hours)

Fig.3.Change of pH of mixedliquor after addition of sulfuric acid.

かった(曲線2).しかし,長時㈹の通慮常より,処理南新の沈降牲98%(曲線l)よりも良化する傾向を示した. 以上の結果から,糸状性バルキング汚泥を酸で処則した場合,−‖馴勺に汚泥の状態は慾化するが,糸状性紬装iほ損傷 を受け,フロック形成能ならびに沈降牲の回復等の効果が卜分に期待できることが明らかとなった. 2.塩素処理の効果 バルキング汚泥に射し,しばしば月井、られている塩基処刑養,醍処即の効果と比較する目的で供試汚泥に試みた. 供試した汚泥申では糸状牲刺雁がよく仲良し,汚泥の30分における沈降桃は全く認められなかった.塩基処即は次の Fig.4.MorphologlCalchangesoffilamentousbacteriainbulkingsludgeduringtheco一ユrSe

of treatment with chlorine.

A,O hr(before treatment);B,3hr after additionof chlorine;C,15hrafter addition of chlorine;D,5hr after the second addition of chlorine.

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桑原正章,山本智子:バルキング汚泥の制御 7?, ように行なった.まず,欝1匝!目の投入(10ppm)を行なった後,5および15時間後に培地を交換し,ついで19時 間後に第2回目の投入(20ppm),33時間後甚培地交換,34時間後に塩素投入(20ppm)を行なった. 塩素投入直前ではSPhaerotilusがフロック聞にnetworkを形成し,鞘皮申での菌体も明確に観察された(Figl 4−A).また,Voγオよcβ〟α,励Jg(γタカα,A妙通底α等の原生動物,かま〆ogαぶねγ’,尺如沌故清元那須等の環形動物も 認められた.塩素投入1時間後では糸状陸棚薗の変化は認められなかったが,原生動物の運動が異常に活発となっ たル 2時間後にはこれら小動物の苑死が見られた..3時間後には分断したあるいは,折れ曲がった郎ゐαβ7■扉据那が 多数観察された(F痩4−B).4時間後には環形動物は正常な運動を回復した.15時間後には対照の塩莱無処理汚泥 に比較し,処理汚濁中では郎haerotilusのnetworkに変化が認められ,聯皮への細菌の付着が観察された(Fig 4−C)が,汚泥の沈降性に顕著な改良は認められなかった.次いで2回目の投入を行なったが,その5時間後にお いても,糸状性細菌に対する効果はほとんど認められなかった(Fig4−D).さらに,節3回目の投入によっても 沈降性の回復は観察されなかった.塩素処理期間を通じ,助∂♂などの遊泳性原生動物が増殖し,さらほ,フロック を形成しない遊離細菌が増加して汚泥混合液上漁の濁度が上界するなど,汚泥の形状はむしろ怒化した. 考 察 糸状性バルキングの発生原因としては,揺水中の窒素に対する炭水化物の過剰の存在1過剰の活性汚泥負荷,エア レーションタンク内の溶存酸素の不足などが挙げられているが,正櫛に因果関係を示さない場合も多い小 ∫♪ゐα¢rO才一 拍描が長い鞘皮を形成するためには生育環境中に一定の流速が必要とされているほか,異常発生や糸状性の発現に ついての明確な説明は少ない(3) 糸状性細菌の制御のためには,∫少ゐαβ㌢一別払勉ざに寄生する&ね仇融か一之0∂αC才βγ去0が0γα∫(8)や特異的なバクテリオフ ァージSNl(9)の利用などの生物的手段も可能であろうが,現実の利用には多くの検討が必要である.糸状性バルキ ングを起こした汚泥の沈降性の回復饉としては,処理システム自体の改良が望ましいが,対症療法的に.(1)糸状性 徴生物を失宿させるための薬剤の添加,(2)汚泥の沈降促進のための助剤の添加,の化学的方法が現在行なわれて いる.(1)の方法では郎haer−OtiluSなどに特異的に作用する薬剤が望ましいが,adeninearabinoside〈10)以外 は例をみない.多くの薬剤は微生物に対する特異性が低いため,それを投与する場合,糸状性組閣以外の構成微生物 に致死的な作用を与えないように,比較的温和な条件で処理を行なう場合が多い.このため,糸状性細菌に決定的な 損傷を与えることは期待できない.われわれが試みた酸添加法は,敢えて構成微生物への損傷に配慮せず,糸状性 細菌の失活を引き起こそうとしている.硫酸の添加は速効的であり,5争ゐα♂γ扉祓那の凝集と,それに引き続き, networkの崩壊を引き起こし,沈降性は急速に回復した.この間の郎ゐαg7■扉祓舶の変化を詳細に追跡したとこ ろ,鞘皮の切断と屈折,鞘皮からの菌体の脱離,鞘皮への組蘭の吸着等の現象が観察された.これらの形態上の変化 が糸状性細菌の失活をもたらすものと考えられる.また,この実験の過程で,汚泥自身高い緩衝能を看していること が僻察された.フロック内には自由水が保持される広い空間が存在するため,汚泥混合液のpH変化ほフロック構 成微生物にほ大きな影轡をちえず,液との接触面別の大きい糸状性抑菌に損傷をもたらすものと考えられる.この酸 添加法を用いた突槽での予備試験において効果の挙げられた例があるが,実用のためには諸条件堰さらに検討する必 要があろう. 引 用 文 献 (1)Pipes,W0:IWat Po〝.ContFed,51,62 (1979) (2)Pipes,W O:],WaiPoHCont“Fed,41,714 (1969) (3)田口広:水処理技術,17,1(1976). (4)三上栄一:廃水の生物処理(高原義呂編),p132, 地球杜(1980). (5)須藤隆一・:廃水処理の生物学,p313,産業用水 調査会(1977). (6)日本下水道協会:下水試験方法,p377(1974). (7)Foster・,CF:Ⅳα才.見得.,2,763(1968) (8)Venosa,AD∴4抄=肱川城¢/.,29,702(1975) (9)Winston,Ⅴ”andThompson,TりL:AP♪lEn・ び査′’0乃几戯c70∂∠0/り,37,1025(1979) (10)Takiguchi,Y。,Yoshikawa,甘andTerao,M: 月少〆β乃び套γ0乃.几戯cγ0∂套oJリ86,658(1978) (1981年5月30日受だ)

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