103 第12巻第1号(1960)
環境別溜池泥土の研究
Ⅱ 国下地,奥の堂他の微細土粒について
玉置 鷹彦,梅 田 裕
Studies on reservoir deposits
Ⅱ Fine paIticles of mudin Kunishita and Okunod8reservoirs
Takabiko TAMAXIand Yutaka UMEDA
(Laboratory of Soiland Manure)
(ReceivedJuly2,1960)
前報(9)(10)の調査で国下池優艮は宵米寿型に,奥の堂他のそれは貧栄華型に属することをのべたが,本報ではこれ らの泥土23点を供試して−,粒径5−2〝,2/ム以下の泥粒を分別定昂し,また5〝以下の泥二卜の強熱誠昂および鉄鼠を 定訳し,泥」二繹硫考究の辛がかりとしたので以下砿これを報告する… この研究は本学前川忠夫農学部長を主任研究者 とする1959年度文部省科学研究費による研究の劇環である・ 1= 泥土の採取と試料の調製 既報(9)(10)のように国下地より9点,奥の堂他より14点の泥土をEKMAN・・BIRGE dredgeを用いて採取し,風乾後2 mm節で節別して二供試した・ 2..実験方法および実験結果 実験方法に閲し,料径分析は既報(8)の方法により,また強熟減葦および鉄については風乾紳士10−20gより蒸留水 を用いて沈降法濫より分別採取した粒径5〝以下の土粒を秤監後約5000cで強熟して恒畳とし,強熟城見を求めて百 分率で示し,また強熱残物にHNO$(1=1)50mlを加え,砂皿上で酸化鉄の赤褐色が消失するまで加熱し,放冷, 淑過,熱水で洗浄後油液,洗液を合して250miとし,その25mlをとりKSCN法(3)でFe++十を比色定立=ノた1その結果 を粒径5〝以下の土粒絶乾物1gにたいするFemgで示す・ 得られた結果に閲し粒径分析について−,風乾細土百分中粒径5両プ下の二=牲E・な欝1表に,分散液50ml中に含まれ る顆径5−2〃,2〟′以下の各土粒畏を第2表に,そして粒径5丑以下の土粒中の強熟減鼠および鉄鼠を第3表に示 す. 節1表より国下地の凧乾細二L百分中粒径5〃以下の微細泥」二坑は水分散(A,以下同じ)の掛合細緻部分608−・11・ 48%,有機部分0Ⅷ9−0,57%,アンモニヤ水加用分散(B,以下同じ)の場合ほ無機部分16,24−35‖60%,有機部分 1。87−4..74%,またその分散比(B/A)は憮磯部分20ト4ト58,有機部分4巾92一飢・33で,奥の款池のそれはAの場 合佃磯部分2.14−10.60%,有機部分0・00−0・20%,Bの場合無機部分6・20岬・28牒6%,有機部分024仙1い20%,また その分散比は無機部分2‖1ト304,有機部分はNo12−14竜ご除き4・00−12・00である∴す−なわら粒径5〝以下の微細泥 土鼠はふもと池に属する奥の蛍池の鯨磯部分についてみると,野池に属する国下地のそれに比較して大差がないが, 有鵜部分は−戯に少く,殊に水深300m以挽では著しく少い また無依部分の分散比は国下地C3を除いて両地間紅 大差がないが,有磯部分のそれは一定の傾向を見出し稚い っぎに第2衷より分散液50ml中に含まれる粗径5−2〃,2Jん以1この土粒故について5−2Jエフラクレヨンは国下 地でAの場合ブ舵機部分22・0−75−8mg,有機部分03丁−25mg,Bの場合無機部分590−141r・9mg,有機部分88−132 mgで,奥の蛍池のそれはAの場合無機部分1L44−66“6mg,有扱部分0OM21・5mg,Bの場合35・3−L1643mg,有根 分1い0−68mgで,奥の豊池ではNo11−14を除き無機部分の接が国下地のそれよりやや多いが,有機部分が少いつ ぎに2′上以下のプラクジョンにつき国下地でAの場合無機部分27“3−55“2mg,有様部分0・・5−3−8mg,Bの場合塵横OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
香川大学農学部学術報告 104 部分968】221.7mg,有機部分18.0−29.3mgで,奥の堂池のそれはAの場合無機部分12り3−71…7mg,有機部分は微 鼠で秤鼠できず,またBの場合無機部分42.5−194Omg,有磯部分1り5−9.5mgで,Noけ11−14を除いて5−2〃一フラ クレヨン同様水分散無機部分の盗が国下池のそれよりやや多いが,有機部分ほ著しく少く,殊に水のみで分散させる 場合には上述のようにけん濁液50ml中軋存在する微細土粒鼠を化学天秤で秤星し得ぬはど微量である・またその分散 比は5−2〃・プラクジョンで無機部分は両地間に大差はないが,有機部分は奥の蛍池のそれが国下地の場合より小さ いものが多いい しかしNo11−14では2匹以下の鰯磯部分の分散比が比較的大きいことが注目される つぎに第3表より5〃・以下の土糧の強熱波星は国下準1443・一甘・45%,奥の蛍池1251−13・86%で国下地がやや多 く,これは第2表に示した有機部分鼠の差異と同様である.またFe完=ま国下地2…71−5・26%,奥の堂他449−6・26 %で,国下地より奥の堂池の微細土粒はFeに富むことを示しでいる 第1表 風乾細土百分中粒径5Jム以下粒子盈 (註)Aは水分散,Bはアンモニヤ水加用分散 3.考 察 第1表の結果で国下地の微細泥土中の有機部分が奥の蛍池のそれより多いことは既報′9)(10)のように国下池泥土の C,腐植畳が奥の蛍池のそれらに比較して多いこ.とと劇致するり また無機部分分散比は両地の泥土とも大差がない が,有機部分のそれは一題の傾向が見出されぬことは両地問の有機物の給源,あるいは溜地中でのその分解状態が興 ることによるものと考えられるまたこの値の高いことが易分解性腐植の多いことを示すものとすれば(7),有機部 分に富む国下地泥土のはうが,これに乏しい奥の蛍池泥土よりもこれを客土する場合供給される養分殊にNに関し良 好な客土材料であるといえるい つぎに第2表の結果より粒径5−2J上無桟部分が国下地より奥の蛍池に多いことは既 報(10)のように南部の山地あるいは池畔の土砂の崩解によりこれら有機後に乏しい土砂が流水により溜地内へ遊びこ まれた結果によるものであろう.しかし粒径2〟以下の無機部分は殊にアンモニヤ水加用分散の試料ではその崖ある
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
欝12巻第1号(1′960) 第2表 分散液50ml中の微細土粒塩 105 無 機 部 分 mg 有 機 部 分 mg 分 散 比(B/A) 5−2〃. 無機部分 ;二㍍「盲ニ;− 有 機 部 分
5→2〝l2ゆ
A t B A I B l  ̄ ̄ 一 一 ′2 5 .5 0 0 月 .〇 月 D 5 5 0 0 0 1 2 2 イー 2 2 1 1 † 1 0 ハリ O O .b 5 4 5 ′0 4 5 5 2 5・1 1 ィ1 1 5 2、8 9 8 5 ∩︶ 7 5 5 0 0 ∩︶ 5 奥の堂 (註)Aは水分散,Bはアンモニヤ水加用分散 いは分散比が示すように奥の蛍池より国下池に多いことは 後者が野他の関係上溜池への流入水の流速が緩慢でこれに. 含まれる土粒は極微細のものが多く,これが溜池へ般入さ れる場合,そこに.多還存在する有機物殊に微細有機物恐ら くは腐植形態にあるものと結合し,微細粗団をつくって滞 潰しており,これがアンモニヤ水加用により解膠的に分離 分散することによるものではなかろうか.またNo10−14 では2′ん以下の無機部分分散比がやや大きい値な示すこと は,供試泥ニヒは採取後商ちに変事の天日下に風乾したもの である放この有機部分に乏しく,花崗岩,安山岩等の沿岸 山地の岩石風化物微細粒を・多く含むと考えられるこれらの 流入ロに近い試料は,姐季の強力な天日瓶燥で湿潤状態よ り速かに風乾されることにより,その微細粗団の収縮固結 的乾燥をうけて状態に変化を生じることによって,水で持 分敬する場合旧状に復し難い状態にあるものではなかろう か..すなわち浜口(1)が深海底土を300−1050Cで乾燥す る場合粒径1−001ル土粗は低い粒度分布を示すMETEOR の研究結果の理由として,微細粒子が膠結作用により膠 第5衷 5〝以下土粒中の強熱誠嵐とFe鼠OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
香川大学農学部学術報告 106 著し,もとの状態に戻らなくなるとしていることを併せ考えると,本試料は梅花とその生成条件が男るのでこれを同 一胡できないが,夏季の天】ヨ下に風乾した本試料の微細粒子にも若干乾燥海泥と類似の状態変化を推定できるところ であり,これがアンモニヤ加用分散の場合・には水分散の場合はと強く現われ難いことが分散比の他に示されたもので あろ・う.また5−−2〃.プラクジョン有機部分の分散比が国下地より奥の堂池で一般に小さいことは泥土中の有機物 の種頬や組織に.もよるが,さらにそ・の分解の過程が輿ること,すなわら富栄養型泥土の国下地と貧栄養型泥土の奥の 蛍池では泥土中の微生物の粒類,数および活動様相が輿ること,したがつで地底の有機物の分解過程に・これが密接 な諺響をもつことが考えられるから,これらの状態を主とし,その他の生物や無機成分との関係等も加わって上記の ように分散比に差異な生ずることになるものと思惟する. つぎに泥土中の鉄に関連して菅原(さ)は榛名湖中で鉄の著鼠の沈でんは巧び可溶性となり湖水中に還元することを 指摘し,加藤(2)も北海道北西海域における海底士に沈積してくる鉄について同様のことをのべている,さらに菅原 (6)は湖水中の酸素がFe,MIlの移動に.たいして重要な役割をもつことを認め,西条(4)は榛名湖底泥を分析してその Fe2083孟を0−2cm間37%,2−4cm間3.4%と報告している… これらのことから油泥の細硫の場合にも鉄の果す 役割か少なくないことが考えられる… よって本研究では比較的粗大」二粒を被ふくし,あるいはその膠陪作用により安 定な粗団を造成しておるものまたは風化崩解過程にある粗大土粗を構成する比較的可動化し凱、と考えられる鉄の影 響を考慮し,微細泥粒中の鉄鼠を測定した結果を罪3衷紅示したが,本表の粗径5〝以下の微細泥粒中に含まれる熱 硝酸可溶鉄星についでみると,国下池に比較して奥の蛍池に一般的に.多いことは,上記男2衷の粒径5−2J相磯部 分および飢仏以下鮎磯部分微細泥粒の分散比でのべたように,この他の南部に・ある山地あるいは池畔の土砂の崩解匿 より有機物に乏しい花蘭岩系新鮮土粒の沼地への流入水による般入,沈槌に逝くものと考えられる・ 4り 摘 要 国下地(野馳),奥の蛍池(ふもと池)の粒径5−2〃・,2〝以下の微細泥土這および粗径5Jム以下の微細泥土中の 鉄合嵐を測定してつぎの結果を得た (1)奥の堂池泥土(水深3m以深部)の触機微組泥土足は田下他のそれよりやや多いが,有機微細泥土鼠は著しく 少い (2)無機微細泥二Lの分散比は両地間庭・大差なく,有機微細泥土のそれは−・定の傾向を見出し経い. (3)奥の蛍池微細泥土の強熱減故は国下地のそれよりやや少く,鉄含嵐はやや多い・ 引 用 文 献 (1)浜口 博:日化74,411(1953) 34)「日本化学総覧,10,5(1936)軋よる〕 (2)加藤健司:北海道大学水産学部研究彙報,2, (6)SuGAWARA,K:Bull。C.S./,14,375(1939) 134(1951). 〔El本化学総覧,14,798(194U)による〕. (3)京都大学農学部農芸化学教室編:農芸化学実験 (7)玉置鷹彦‥香川大学農学部紀要,6,82(1960). 書,第1憩,109,東京,産業図書(1957) (8)岬− ,星川玄児:本払 9,94(19ち7)・ (4)西条八束:仁りと,77,930(1956ト (9)−Ⅶ】−− ,梅田 裕‥本誌,11,206(1959)山 (5)guGAWARA,Eい:Bull.C.S.J,9,402(19・(10)M ,サ ‥本払12,97(1960) R e s u m畠
Pursujngtheformerstudies,theamount of fineparticles、(5−2p,<2p)andFecontentof Kunishita一, Okunode,−IeSerVOir deposits were determined and thefollowing r−eSults were obtained:
(1)Theinorganic fine particles of Okunodo工eSeZVOir deposits(below3m water depth)are more
abundant than Kunishita’s ones.
(2)The dispeISioncoeficientofinorganicfineparticlesinKunishitareservoir depositsis verymuch the same as okunod6,s ones,but no definite tendency be found on the dispersion coefficient of orgamic fine
particlesin both reservoir deposits
(3)The amount ofloss onignition ofOkunode・reSerVOir fine particles areless abundant than Kuni・ shita,s ones,andiron content of the former richsin than thelatter・