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「データベース・システム」と「セールスフォース・オートメーション」の戦略的導入論--攻撃的経営へ向けた営業戦略の新機軸創造---香川大学学術情報リポジトリ

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第70巻 第2号 1997年 9月 31-62

「データベース・システム」と

「セールスフォース・オートメーション」

の戦略的導入論*

攻撃的経営へ向けた営業戦略の新機軸創造一一

原 田

関 口 真 也 * * 1 ..はじめに いよいよ多くの企業が,パブ1レ後遺症から脱出しつつあり,やっと利益ベー スでの回復が実現することになり,営業力の強化について本格的な取り組みを 始めだしている。このような現象には,売上高の低迷が継続することで,企業 の体力が衰弱傾向に陥って,企業の存続に根本的な危機的状況が現出する懸念 が生じたことが,主な原因になっている。しかしながら,バブル以前のモノ不 足状況下の,ひたすら足を運ぶだけで売上高が確保できた「戦略なき営業」の 時代とは異なって,従来の供給論理に基づいた大量集中型のアプローチのみで は,ほとんど成果があがらないことは明白である。現実には,営業力を量に依 存することによって

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ールススタッフひとり当たりの生産性が低下してしま い,この結果,企業の採算がさらに悪化するなどの危険な状況が生じている。

*

この論文は,原因が'JMAマネージメントレビュー(日本能率協会)Jの1996年8月号 に掲載した「セールスフォースオートメーションによる営業革新の新展開」で展開した論説に データベース・システムへの言及を付加し,同時に,産業全般に適合可能な戦略的導入論に まで発展させた論説である。 **株式会社西武百貨j苫情報システム部チームリーダー ***営業マンという用語が,男性に限定されたイメージがあり,また,ただ販売するだけと

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32 香川大学経済論叢 186 また,価値規範がより顧客サイドにシフトする傾向を強めていることから, 顧客に対して提供すべき商品やサービスの高度化や多様化傾向を強めており, そのために, ただ単にセールススタッフ個人の力では,密度の高い販売活動を 実践するためには限界が生じている。 また同時に,限られた市場をめぐる激し い競争関係についても,ますます蛾烈さを増大している。このような状況下で, 顧客に対して, よりきめ細かなサービスを提供することが強く要請され, その ため些細なミスさえも決して許されない状況を迎えたわけである。 従来のように,変化のスピードが遅かった時代においては,企業経営におい て結果を出す道筋は比較的シンプノレなものであった。また r規模の経済」を追 求するためには,経験に基づく画一的なマスプロダクト型のマーケティング・ アプローチを軸にしながら経験や勘に頼っていれば,容易に競合他社を凌ぐこ とも可能であった。 しかしながら, 需要が低迷して競争が激化している状況に おいては,従来の成功の方程式などは, もはや効果的なものではない。言い換 えれば,未来において企業が良好な結果を出し続けていくためには,進化し続 ける顧客の要求を迅速に発見して, これを充足させうる新たな能力やスキノレの 開発が要請されてくる。 このように,企業間ビジネスの最前線で活動するセールススタップを取り巻 く環境はますます厳しさを増加させており,従来からの営業の仕組みを抜本的 に見直すことによって,時代の要請に応えられる新たな「営業パラダイム」を 構築する必要が生じている。 これへの対応策は,具体的には,顧客満足を指向 するローコスト・ハイリターンの効率的な営業を展開することであって, 具体 的にはチームセリングを強化しながら「科学的な営業スキル」に基づく収益力 の確保を行うことである。そして, これらの課題の実現に向けた,業務レベノレ, 戦術レベノレ,戦略レベルにおけるサポートツールとしての情報技術は, すでに 社会的なインフラとして整備されている。 このような状況下で, これらのサポートツールとしての情報技術を駆使した いうイメージも強いために,セールススタップを意図的に使用した。したがって,ここではラ インースタッフという組織論的な意味あいで使用していないことを記しておく。

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-33-「データベース・システム」と 「セールスブォース・オートメーション」の戦略的導入論 営業活動における生産性の向上策の実践が強く要請されるようになった。 で本稿においては,以上の問題意識に立脚してアウトセールス部門のマーケ そこ 187 そして「セールス・プ これらの戦略の具体 ロセス・リエンジニアリング」の戦略的展開, 的展開事例としての「百貨庖外商事業」の再生へ向けた情報技術の戦略的活用, さらには, という三点についての論述を行う。

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ティング戦略への「データベース・システム」の活用, マーケティング戦略への「データペース・システム」の活用

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によるマーケティング革命 「データベース・システム」

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年代の最後にピークをきわめたパフ、ル経済の終駕は,サプライヤ一指向 のスケーラビリティを追求する「規模の経済」から,顧客ニーズの多様化に立 脚する「範囲の経済」へと,市場の価値規範を大きく転換させた。

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年代の このパラダイム転換は,経済の低成長と価格破壊によるマージンの 低下をもたらし,消費在会そのものの構造的変化と業種・業態を超えた企業間 前半には, におけるハイパー・コンペティションを現出させることになった。 この激しい業態間競争時代に企業として生き抜くためには,従来の に基づく単一的な商 そして, マーケティング概念とは巽なる多数の手法論が登場することになった。つまり, 従来の「製品志向(プロダクトイン・マーケットアウト )J 品提供によって不特定多数の顧客に対してアプローチする「マス・マーケティ ング」から,顧客主導のアプローチ手法である「パーソナノレ・マーケティング」 という劇的ともいえるパラダイム転換なのである。 f ¥

とは,規格大量生産によって生み出された 商品やサービスを不特定多数に向けて提供するというマーケティング形態であ り,短期的な取引や販売中心の発想に基づいた戦略であった。一方,新たなパ ラダイムである「パーソナノレ・マーケティング」においては,個々のニーズを 従来の「マス・マーケテイング」 十分見極めた上での長期的な顧客との聞のリレーション形成を重視することに とは,顧客維持のため この「パーソナル・マーケティング」 の仕掛けと組織づくりを情報技術の活用によって実現しようとする戦略的立場 なる。すなわち,

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-34 香川大学経済論叢 188 と,同時に, 豊かな先進社会でビジネスの成果をあげるには顧客維持戦略こそ が不可欠と主張する立場の,双方に立脚しているわけである。 このように,昨 今マーケティング戦略は, プッシュ型のプロダクトアウトからプル型のマー ケットインへ,短期的な取引や販売中心から長期的な「関係づくり」へ, そし て,顧客獲得から顧客維持へ, と大きな転換を行っている最中である。 また, 「ノ{,-ソナル・マーケティング」は,客観的なデータに基づいた科学的 分析を前提に,個のニーズを捉えたサービスや商品の適切なタイミングにおけ る提供を行っている。そして, これらの手法によって「カスタマー・サティス ブアクション」 と「コンティニュアス・ロイヤルテイ」が追求され,真の優良 顧客を探索できることになる。 こうして, それぞれの顧客から獲得できる「生 涯利益(Life-Time-Value)Jが最大化されてくる。 このような文脈から導き出されるコンセプトとしては rダイレクト・リレー ションシツプJ,rカスタマー・リテンションJ,rコンティニアス・リレイシヨ ンシツプ」などがあげられ,これらが具現化した代表的な法則が

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の法則」 であることは, すでに衆知のことでもある。 この法則は,全体顧客の

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によって売上高の

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が実現すること, この

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の商品やサービスに 満足している顧客が購入や利用を継続することによって,当該企業に対する最 大利益を獲得できること,を科学的に証明したものである。そして,この

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にカテゴライズされる優良顧客を発掘するためには, 最新の情報技術によって 武装化された「データベース・システム」の整備が不可欠なのでトある。 この「デー タベース・システム」の構築においては rいつ, どこで,誰が,何を買ったか」 ということが容易に掌握できる多次元の生データの処理が必須条件になってく る。 また,顧客属性を組み合わせた上で,購買ヒストリーの時系列に基づくク ロス分析を行えることも不可欠な条件になる。 昨今,情報技術の著しい発展によって,大量のデータ処理を迅速, かつ安価 に実現する超並列コンピューターが登場している。 この結果,高度な情報技術 に支えられたマーケティング革命が加速度的に進展し始めたことは,すでに衆 知のとおりである。 きめの細かい「データベース・マーケティング」の実践は,

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189 「セールスフォース・オートメーション」の戦略的導入論 35 顧客にとっては真の意味での満足を実現させられるし,企業にとっては生きた 継続的資産が確保できることなのである。このような「データベース・マーケ ティング」を考察する際には,現状では,

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マー ケティング」と,

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マーケティング」に大別す るのが一般的である。一方の

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Jが,企業が一般の家庭における個人の 消費者をターゲットにするマーケティング活動であり, 他方の

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は, ビジネス市場,すなわち一般企業や団体をターゲットに販売するマーケティン グ活動なのである。 昨今では,とりわけ後者の

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が,話題の「セーノレスフォース・オー トメーション」の登場とあいまって,企業の営業力復権に向けた重要なマーケ ティング戦略のターゲットとして多大な注目を浴びている。かつて,営業はビ ジネスにおげる不可触領域といわれた領域であって,半ばブラックボックス化 しており,また人間の情緒によっても左右される傾向が強いものであった。し かしながら,いよいよ大競争時代を迎えるにあたって,未聞の領域ともいうべ きこの営業の世界においてさえ,情報技術のサポートによるマーケティング・ パラダイムの変革が要請されてきた。

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マーケテイング・パラダイムの転換がもたらす営業力の革新 マーケティング・パラダイムの転換は,とりわけ企業組織の最前線に位置す る営業力のあり方について,多大な変革を要請することになった。日々顧客と 接触して,収益確保に直接貢献しているセールススタッフには,常にスピード と俊敏さが求められている。しかしながら,彼らセールススタップが実際に展 開するマーケティング活動は,単に個々のセールススタッフと顧客との間の営 業プロセスのみならず,資金の問題,商品開発と販売との連携,生産計画との 調整,サプライチェーンの掌握にいたるまで,きわめて広範な領域にわたって いる。 このような状況下,昨今では,セールススタッフに対しては企業活動の多様 な機能を総合的に顧客に提供する「ポイントパーソン」としての役割が,急速

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36~ 香川大学経済論叢 190 に高まりつつある。たとえば,顧客との信頼関係を構築して,顧客のニーズを 明確にするコンサルタントとして機能したり,顧客と一体になってそのニーズ を充足する商品の組み合わせを設計する活動などが求められている。こうして 顧客との接触は,ただ単に売上高を獲得する場合のみならず¥ビフォアセール スにおけるコンサルティングや商品設計のサポート,そしてアフターセールス でのフォローアップやサービスの提供など,継続的な顧客との接点への根本的 な転換が要請されてくる。 したがって,これからの営業の世界におけるマーケティング活動は,そのオ ペレーションの全プロセスがコンカレントで同時並行的に進行するようにな り,これら複雑多岐なマーケティング活動をトータノレにサポートするシステム が不可欠になる。だからこそ rデータベース・マーケティング」を成功させる ためには,これをサポートする営業のリエンジニアリング策としての「セーノレ スフォース・オートメーション」に対する期待が高まるわけである。これは, セールススタップにとって実に有効なシステムであって,日々の営業活動が自 にみえる形のデータとして蓄積できるため,従来では個人的な経験やノウハウ として閉じ込められていた情報を,共通の言葉によって共通の知識への転換を 可能にするため,このことによるメリットは想像以上に大きくなっている。 すなわち,単なる結果の報告のみならず,そこにいたるまでの生の状況を写 すデータを蓄積して分析できることで,問題点の発見と対策の検討も容易に なって,マネジメント層にとっては適確な指導が可能になった。また同時に, 経験の浅いセールススタッフが,とりわげ高いスキルを持つセールススタッフ の行動ノ守ターンや営業テクニックを学習することも可能になった。さらには, セールススタッフの人事異動の際にも,顧客別の精度の高いアプローチ方法や コンタクトの際の特別な留意点を漏れなく引き継げるようにもなる。このよう に rセールスフォース・オートメーション」を導入することでもたらされる効 果は,計りしれないほど大きなものである。 また,昨今の顧客ニーズの多様化対応によって,従来と比較すると,商品も より複雑なものになりつつある。過去においては,限られた数の基本モデルと

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191 「セールスフォース・オートメーション」の戦略的導入論 -37二一 オプションのみで構成されていた商品やサービスのラインナップは,数え切れ ないほどの多様な組み合わせを持っている。このように,基本要素の組み合わ せの増大によって,商品の数も無限大に膨れてしまい,この結果すでに,セー ルススタッフがすべての商品カタログを携行して商談を展開することは,不可 能な時代になっている。したがってこれからは,セールススタップが,顧客ニー ズを適確に捕捉しながら,その場で商品の組み合わせをデザ、インして提案する ことが要請されてくる。このようなことは,後述する「モービノレ・コンビュー ティング」を駆使することで,自社内サーバーの「商品データベース」に対し てリモートでアクセスしたり,インターネットから潤沢な情報を瞬時に引き出 すことによって,容易に対応、できることになる。 他方,顧客サイドにおいても,これからは,商品知識などについても,多様 な情報リソースから容易に入手できるようになり,この結果,商品の複雑さが 増大するにつれて,自分たちが実際何を求めているのかを最も良く知っている のは,実は顧客である自分自身という逆転の事態が生じてくる。このような顧 客に対して的確に対応するためには,セールススタッフは,顧客自身も気がつ かない潜在的なニーズを引き出せる「顧客データベース」や,精度の高いアプ ローチの手法などを,常に手元に持っておくことが不可欠になる。そして,そ のためには,-データベース・システム」と「セールスフォース・オートメーショ ン」を融合したシステム構築が,期待されることになる。こうなると,セール ススタッフが顧客と一体となって商品や企画の提案や設計を行うことも,可能 になるってくる。 このように,-セールスフォース・オートメーション」は,-カスタマー・オ リエンティツド」の営業活動を指向する機敏な営業のためのサポートシステム として,多大な期待が寄せられてくる。そして,-セールスフォース・オートメー ション」は,ただ単に日々の営業活動を効率的に促進するのみならず,個々の セールススタップの情報を「データベースイじ」することによって,チームセリ ングを軸にしながら全社員を巻き込んだ形態のマーケティング活動の実践を促 進させるのである。

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38 香川大学経済論叢 192 3" rB to Bマーケティング」にlおけるハイブリット型接近 パブりレ不況下によって現出されることになった,各企業における経費の絞り 込みがもたらした法人需要の継続的な低迷や,ひとつの注文の獲得に消費され る営業コストの増大,そして事務作業の増加による訪問時間の圧縮現象などか らか,とりわけ

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マーケティング」におけるイノベーションが強く要請 されてきた。この

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マーケテイング」においては,営業にかかわる業務 に複数のアプローチ手法を複合的に組み合わせるハイブリット型のアプローチ が効果的なのである。このようなアプローチ手法においては,まず,顧客を取 引額に応じて大口客と小口答とに分別して,それぞれの顧客に対して,ダイレ クトメール,テレマーケティング,セーノレススタッフによる人的活動などの, 多面的な接近を,複合的に行うことになる。 このハイブリット型のアプローチは,以下のようなプロセスにしたがって進 められる。第

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段階の販売の手掛かりについては,夕、イレクトレスポンス広告 とダイレクトメールで行う。第

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段階の需要の具体化,すなわち購入意志の確 認作業については,大口客についてはテレマーケティングで,小口客について はダイレクトメールでのアプローチとなる。第3段階の売り込みから注文獲得 (商談成立)においては,大口客に対してはセーノレススッタフの直接訪問で, 小口客にはテレマーケティングの対応となる。第 4段階のフォローアップにお いては,大口客に対してはセールススッタフ,テレマーケティング,夕、イレク トメールの組み合わせ,小口客にはテレマーケティング,ダイレクトメール, での対応、を行うようになる。 このように,顧客の受注規模に合わせながら業務ごとに組織の機能を設定し て,その上で,それぞれのプロセス情報や結果情報を「データベース」に投下 していくわけである。もちろん,組織戦略的には,セールススタッフが随時見 込客を抽出して集中的に訪問できる体制も継続させても良いのだが

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マーケティング」におけるハイブリット化の本質は,従来からのただやみくも に活動していた「戦略なき営業」から「機動力集中型営業」への,転換を意味 している。すなわち,科学的データに裏付けされた,精度の高いビジネスチャ

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193 「セールスプオース・オートメーション」の戦略的導入論 39-ー ンスに対して,各アプローチ機能が役割分担を明確にしてセールスパワーを投 入する営業手法が,これからの

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マーケティング」のパラダイムになる わけである。 このような「ハイブリット・マーケティング」を展開する代表的な企業とし ては,米国

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があげられる。この米国

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においては,従来ではセーノレ ススタッフによる販売のみだ、ったが,現在ではグイレクトメールやテレマーケ ティング,ディーラーやリテイラーなど,販売チャネルは,取引先の規模や製 品別に,

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もの多角化チャネノレになっている。もちろん,日本

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において も,当然ながら

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年から,ダイレクト・マーケティング事業部を創設し同様 な対応を行っている。また,テスコにおいても,手掛かりの段階はダイレクト メールとカタログ,売り込みや契約の段階はテレマーケティング,アフターサー ビス,再注文の段階は顧客サービスによるテレマーケティング,というハイブ リット型のアプローチを採用している。 この

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マーケティング」におけるハイブリット化で留意すべき点は, 以下のとおりである。第

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には,戦略を徹底することである。顧客ターゲット のポジショニングをしっかりと設定して,これらに対する社内の役割分担も明 確にし,情報の共有化を図ることが大切である。第

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には,あくまでも顧客視 点、に立脚した発想を買いたビジネス・アプローチを行うことである。すなわち, 「データベース・マーケティング」の原理・原則は顧客起点なのである。だか らこそ,企業の論理に基づいた営業コスト最優先のアプローチのみでは,失敗 を招きやすいのである。 4.. rリード・マネジメントシステム」によるセールススタッフサポート

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マーケテイング」において期待される中核機能は,データベース・ システム」である。見込客を集めて,それらを販売組織に伝えて,かつ活動結 果を記録して,確実に見込客や購買客をフォローするためには,リレーション シップを強化して,リテンションを高められる「データベース・システム」は 不可欠なのである。セールススタッフをサポートするマーケティング手法とし

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40 香川大学経済論叢 194 図1 リードマネジメン卜・システムのモデル概念 セ ー ル ス データベース マーケティング サ イ ク ル

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7ォローアyプ .基本情報テーブル ・企業内個人テープル ・接触情報テーブル ・取引履歴情報テーブル .チャンス情報テーフル ・特殊情報テープル データーベース化 継続的なフォローマップ 荒川圭基「リードマネジメントシステム」より一部改訂 ては,この「データベース・システム」を効果的に構築できるオペレーション モデルとしての「リード・マネジメントシステム」があげられる(図1)。この 「リード・マネージメントシステム」とは,プロスペクト(潜在見込客)を効 率的に顕在化させ rリード(確認見込客)Jとしてセールススタッフに引き渡 すプロセスのシステム化なのである。このプロセスとしては,まず「リード・ ジェネレーション」があって,続いて「リード・クォリフィケーション」の段 階がくる。 最初の「リード・ジェネレーション」の段階においては,新聞や雑誌などの スペース広告,またリストがあればダイレクトメール,あるいはビジネスショー の商談における仕掛けが,おこなわれる。具体的には,これまでの見込客やユー ザーに対して,新製品の案内や技術情報などを提供することで,レスポンスを 入手する仕掛けである。当然ながら,これらの発送物には,必ず問い合わせを

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195 「セールスフォース・オートメーション」の戦略的導入論 -41-想起させるための問い合わせ先のフリーダイヤル番号を大きく告知したり,返 信用のはがきの挿入が必要ではある。そして,これらを実施した後に,反応の あったデータについては,すべてデータベースに入力することになる。 続く「リード・クォリフィケーション」の段階においては,データベースに 登録された見込客の中から有望な見込客の探索を行うことになる。詳しい資料 請求などに対しては,ダイレクトメールで送って必ず注文用はがきも添付する。 また,購入の可能性や時期を探るために,送り先の確認や送付資料確認の際に は,電話さえも活用する。この電話での対話によっ‘て,購入の可能性,時期, その理由などを数値化でき,これらがデータベースに入力されるからである。 このような rリード・ジェネレーション」や「リード・クォリフィケ」ショ ン」を通じて,見込客は次第に絞り込まれていく。ここでの留意点は,見込客 の発見と有望客を絞り込むまでのプロセス処理が,科学的データに基づくデー タベースを軸にした情報技術によって実行されることである。したがってこの ことは,結果として得られた「実ビジネスに繋がる確率の高い見込客」のリス トを,セールススタップがセーノレスプロセスの入口で,はじめて入手できる効 率的な仕組みなのである。すなわち,従来ではセールススタッフが勘に頼って いた見込客の発見までの煩雑で非効率的な業務から解放され,この結果,売り 込みという本来の業務に専念できるわけである。 さらに,新規見込客の発掘のみならず rリテンション・マーケティング」の 視点からも rデータベース・システム」の有効性は多大な効果を発揮している。 たとえば,継続的なフォローアップをきめ細かくサイクlレ化することで,取引 履歴情報,接触情報,訪問履歴をデータベース化することで常に新鮮な顧客ニー ズを捉えられ,既存顧客の流出防止が可能になる。このような「データベース・ マーケティング」の実践によって獲得できるメリットは,以下の

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点に集約す ることができる。第1はセールススタップの人件費の抑制,第2は営業活動に 関わる間接費の抑制,第3は顧客とのコミュニケーション機会の拡大,第4は 既存顧客の維持・強化,ということである。こうして,必要最低限のコストで 最大の収益を確保できるわけである。また,市場ニーズの多様化を捉えた製品

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-42ー 香川大学経済論叢 196 開発に対応した商品情報を「データペースイ七」することによって,顧客に対す る適時,適切な技術や製品のニュースやカタログの提供も可能になってくる。 IIL,-セールスプロセス・リエンジニアリング」の戦略的展開 1, rセールスフォース・オートメーション」による営業革新 もちろん「データペース・マーケテイング」の実践のみでは,真のセールス プロセスのイノベーションは実現することはできない。抜本的なイノベーショ ンを可能にするためには,-データベース・マーケテイング」に加えて,もう一 本の柱として「セールスフォース・オートメーション」の導入が不可欠なので ある(図 2)。たとえ戦略的な「データベース・マーケティング」が実践できて, リード客が発掘されたとしても,それらを活用する営業プロセス活動が,合理 的に,かつ適確に進行しないならば,納期の遅延をまねき,顧客サービスのレ ベルが低下してしまう。場合によっては,最終的な契約にまで到達できず,まっ たく売上高や収益額の確保ができないことにもなる。 図2 セ ー ル ス フ ォ ー ス ・ オ ー ト メ ー シ ョ ン の モ デ ル 概 念 〈営業プロセスにj合ったセールスフォース オートメーンヨン の適用領域とデータベース マーケテイングとの連動 体系〉 携帯端末 携帯端末 携帯端末 携帯端末

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197 「セーノレスフォース・オートメーション」の戦略的導入論 43 ところが一方,現状においては企業の収益を直接支える営業部門は,情報シ ステムによるサポートが最も遅れている部門であること通常である。すなわち, いままでの情報システムが貢献できる範囲は,注文を受けた後の事務処理以降 の業務のみに限定されている。たとえ営業支援システムが構築されていたとし ても,販売管理,契約業務や顧客サポートなど,個々の営業活動については, 個別の営業支援システムがサポートしている状態なのである。このような段階 では,顧客情報の流れは不充分な状態であるといえ,複数機能のスムースな連 携の期待などはまったく困難なのである。そこで,営業活動全体をひとつの連 続したビジネスサイクノレとして捉えながら,情報技術で業務を大幅に効率化し て一気に生産性を向上させる手法として登場したものが,前述した「セールス フォース・オートメーション」なのである。とりわけ,近年のパソコンの低価 格化と性能の向上,グループウェアの本格的な普及,無線通信など「モービノレ・ コンビューテイング」の環境整備などで rセーlレスフォース・オートメーショ ン」の実現への基盤整備は急速に進展している。 「セールスフォース・オートメーション」を導入するための最大の留意点は, 計画立案,見積もり,プレゼンテーションなどのセールス活動を,直線的なプ ロセスで捉えるのではなく,サイクノレとして捉えて,サイクノレの中核に「デー タベース・システム」を据えることである。そして,その「データベース・シ ステム」は,すべて「カスタマー・セントリック(顧客中心型)Jに構築されて, 営業にかかわる業務の起点に必ず顧客を位置づけることが,前提条件になるの である。このような観点に立脚して rモービル・コンピューティング」を駆使 しながら,営業に関わるすべての担当者に対しては,必要十分な情報を,どこ にいてもリアルタイムでの提供が要請されてくる。このように rデータベー ス・システム」では,商談進行のすべての段階において,セールススタッフに 対して「何をするべきかJ,rどの顧客へいくべきか」を,的確にアドバイスす ることができる。 また,組織全体でデータベースを共有化することで,優秀な営業が,日常, 自然に行っている情報収集,実行,分析の業務プロセスについての標準化が可

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-44ー 香川大学経済論叢 198 能になってくる。この結果,多くの標準的なセールススタッフが無理なく業務 の遂行ができ,組織全体としての営業スキルの水準が押し上げられるようにな る。過去,できるセールススタップ」になる要素は, 3 K('勘j,'経験j,'根 性j)といわれ,営業とは,ある意味では,職人気質に依っていた業務なのであっ た。このことは,逆にいうならば,情報不足に起因する不充分な情報のために, あやふやな「勘」に頼らざるを得なかったり,非効率な試行錯誤で経験を積ま ざるをえなかったことなのである。 しかしながら,情報ネットワークが発達した時代においては,職人気質的な 営業では生き残れないし,企業としても,一部の優秀なセールススタップがノ ウハウを自分で固い込んでしまっては,他社との競争に優位に立つことはでき ない。これからは,情報とノウハウのすべてを全セールススタッフが共有して, 組織全体としての生産性の向上を図ることが,大切になってくる。すでに,洗 練された企業においては,経験豊富なセーノレススタッフの過去におけるベスト プラクティスの営業プロセスを電子的に体験することで,業務にかかわる習熟 期間を大幅に短縮することができる。またさらに,先進的な企業においては, セーJレススタッフが担当すべき仕事に不慣れであっても,容易に必要情報を取 り出して高度な知識を持ったプロのように業務をこなせる「ソフトウェア・エー ジェント」などの恩恵も,受けられる段階になっている。そして近い将来には, このような「ソフトウェア・エージェント」は,ただ単に情報を探すのみなら ず,実際にアポイントをとったりスケジコーノレを調整したり,さらにはセール ススタッフの代わりに電話で応答するなど,言わばセ- 1レススタッフの陰の代 理人として機能するようになる。 このような発展的な活用策を前提にするならば,セー1レスフォース・オート メーション」は,これからのセールスのあり方を抜本的に変えるシステムとい うことができる。しかしながら,ここで大切なことは,セールスフォース・オー トメーション」は,ただ単にセールススタップが行うべき業務の自動化を意味 するものでも,ましてやセールススタッフに対しての管理を強化するための ツールでもないということである。この「セーJレスフォース・オートメーショ

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199 「セールスフォース・オートメーション」の戦略的導入論 -45ー ン」が真に意図するところは,競争に生き抜くために必要な知識,ツール技術 をセールススタップに与えることで,営業力の増力化を狙う手法の開発にある からである。したがって,この「セールスフォース・オートメーション」の導 入とは,チームセリングによる総合力を活用した営業展開,リードタイムやサ イクルタイムの短縮,きめ細かく漏れの無い完壁な顧客サービスの提供など, 新しい営業パラダイムの構築に向けて営業プロセス全般をリエンジ、ニアリング するための絶好の機会なのである。 2 情報武装によって醸成される科学的な営業スキル 現在のように,商品やサービスの供給がほとんど行き渡っている中マ,顧客 ニーズはますます多様化し,顧客が高度な選択力を発捧するまでになってきた。 このように,成熟した情報化社会においては,情報の共有化と,これがもたら す意思決定の迅速化を目的とした,部門聞の壁を超えながら機動的で,かつ柔 軟なコラボレーションが行える組織形態が要請されている。つまり,多層的な ピラミッド思組織の段階を可能な限り減少させ,組織の先端とトップマネージ メントの間で,情報がダイレクトに,かつインタラクティブに伝達されるフラッ トな組織構造が必要なのである。 この水平型ネットワーク組織においては,セールススタッフは「セーノレス フォース・オートメーション」と「データベース・システム」を駆使すること によって,常に最新の情報へのアクゼスが容易にできる。一方, トップマネー ジメントサイドも同様の情報を共有化することで,セールススタップに対する 指示も迅速に,かつダイレクトに行われる。このことからも Iセールスフォー ス・オートメーション」とは,セーノレススタップ一人ひとりのワークスタイル を変革させるもので,チームセリングを推進していくための有効な武器と成り 得ることが理解できる。 また昨今,グローパJレな規模を持って競争関係が激化している中において, アジル経営が不可欠な戦略としておおいに注目を浴びている。このアジル経営 の観点からも,限定された経営リソースをコアコンピタンスとして発展させ,

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46 香川大学経済論叢 200 営業をいかに効率的に展開させるかはきわめて重要な課題になってくる。しか しながら,このような段階の営業の効率化の実現のみでは,企業活動における 真の生産性の向上を実現させることは困難である。言うまでもなく,営業活動 とは,企業におけるすべての活動の生産性の向上が収益の増大に直結する唯一 の活動であるため,営業活動を科学することで獲得できるメリットは計り知れ ないと考えるべきなのである。 前述した「リードマネジメント・システム」を導入することによって,セー ノレススタップは,見込み客を売上高に結び付けるためにあらゆる情報を整理し て,かつ情報収集の経緯をトレースすることが可能になる。そして,これらの 共有化されたデータベースの中から商品情報,競合情報,販促ツーノレなどを引 き出して,必要なときには,その見込客にフィットしたカスタムメイドのプレ ゼンテーションを可能にする。たとえば,スマートなコンピューターネットワー ク,シンクロナイズされたデータベース,グループウェアなどは,企業内にお けるチームセリングを加速させる重要な武器になる。また,このような最新技 術の導入によって,セールススタッフと営業以外の各部門とを有機的に連携で き,このことによって,たとえば値引きや提案書の承認を迅速に実行したり, 経理部門,生産部門とのコミットをリアノレタイムで行えることにもなる。 こうした最新技術や全社的な業務支援にサポートされた新たな仕組みを構築 することによって,セーノレススタッフは,本来の顧客維持,活性化のためのマー ケティング業務に完全に専念できる。ここで大切なことは,セールススタップ にとって真に効果的な価値は何なのかを追求して,システム構築を行うことで ある。実際 r売る」という最重要な局面におけるセールススタップへのサポー トシステムとは,単にデータを記録するものでなく,セールススタッフそのも のをサポートすることができて,彼らが,自分にとってそのシステムが価値が あると見なすことができ,かつ実際に有効に活用できるシステムなのである。 効果的な技術活用を積極的に行いながら情報武装化を実現できたセールスス タップは,顧客満足の増大が可能になって,この結果,売上高の増加にも直結 する。すなわち,セールススタップは,従来以上に顧客ニーズをきめ細かく吸

(17)

201 「セールスプォース・オートメーション」の戦略的導入論 -47-い上げることができ,自社に限らず同業他社をも含めた商品やサービスの正確 な情報を提供し,これらの過程の中において,顧客の真に求めているものに フィットした有効なソリューションが提供できる。こうしたセールススタップ は,時聞を最大限に有効活用し,常に学習を重ね顧客へのさらなる理解を深め ることが可能にもなる。この結果,顧客に対して,常に進化する良質のサービ スが提供されることになり,顧客のロイヤリティについては,ますます確固と したものになる。 このように,セールススタップは,創造的価値をもったシステム武装によっ て,多様な局面において,適時・適正な意思決定を迅速に行え,自らの営業ス キルを継続的に,かつ迅速に醸成させることが可能になる。また,このことは 逆に,営業全体に対する展望を持たず,そして,洗練された技術を活用するマ インドとスキルを持っていないセールススタッフは,次第に存在価値を喪失す ることを意味している。 3.. rセールスフォース・オートメーション」の成功条件 実際には rセーノレスフォース・オートメーション」を導入する際に,営業プ ロセス自体の見直しを行わなかったり,既存の仕事の仕組みをそのままにして システム化を実現しようとして,失敗するケースも多く見うけられる。すなわ ちこの「セールスフォース・オートメーション」を成功させるためには,以下 の様ないくつかの前提条件をクリアすることが必要なのである。 第

1

は,あらゆる営業プロセスをシステム化するのでなく,最も成果の期待 できる営業プロセスに絞り込んで「セールスフォース・オートメーション」を 導入することである。つまり,現状の営業プロセスを再定義した上で,その効 果を検証して,まずリエンジニアリングが必要な問題プロセスの抽出を行う作 業である。第

2

は,実際に現場でト使ってもらえるように,設計段階からセーノレ ススタップを参画させて,その意見や要望を「セールスフォース・オートメー ション」に反映させることで,セーlレススタッフにとってメリットの大きな仕 草呂みに仕立てることである。第3は,セーノレススタップ,および、セーノレスマネー

(18)

-48- 香川大学経済論議‘ 202 ジャーの情報リテラシーのレベルを充分に踏まえて,現実的な導入スケジュー ルを設計することである。第4は,-セールスフォース・オートメーション」の 成果がブノレに享受でbきるように,操作教育をしっかりと実施することである。 第

5

は,-セールスフォース・オートメーション」の導入に伴って,モービルオ フィスの環境に対応すべく,勤務体系や評価制度の体系の変更など,社内の仕 組みの整備も同時に行うことである。このような前提条件を充分認識した上で, 「モービノレ・コンピューティング」やグループウェア,そしてマルチメディア・ プレゼンテーションといった先進的な情報技術を装備することで,顧客指向で の「セールスフォース・オートメーション」の実現を成功に結びつけられるこ とになる。 そこで次に,この「セールスフォース・オートメーション」の成功事例を, 何点か紹介することにする。マックスファクターにおいては,発注の際に電話 や伝票を使用していたのを,ハンディターミナノレを支給することによって,発 注時におけるミスを

5%

から

2%

へと大幅ダウンさせ,同時に,発注をすべて 電子化することで,発注リードタイムを7日"-'10日聞から2日間へと短縮でき たそうである。また,ヒューレツト・パッカ一社においては,本社のサーバー から最新の商品,技術,価格にかかわる情報を,セールススタップの携帯端末 へ伝送するシステムを導既に入している。このことによって,セールススタッ プは,自分の携帯端末から最新情報の引き出しが可能になって,商談がスピー ドアップすることで顧客の信頼も向上し,結果として,ひとり当たりの売上高 も増大したそうである。我が国においても,中堅ソフトメーカーのリードレツ クスでは,未経験であった業務ソフトの直販事業に乗り出す際に,営業プロセ スを科学的に分析し,各ステップにおけるセールススタップの役割を明確に提 示している。また,この際に,-データベース・マーケティング」を組み合わせ ることで,セールススタッフ

3

人で年間

5

億円(総売上高の約

3

分の1)を占 めるまでの大きな成果を勝ち得ている。 しかしながら,この「セールスフォース・オートメーション」の真の狙いは, ただ単に,その場限りの売上高の増大やコストの削減ではなく,サービスの質

(19)

49 「データベース・システム」と 「セールスフォース・オートメーション」の戦略的導入論 203 この結果,安定的に顧客から選択され続ける企業 の向上で顧客満足度を高め, に変身することなのである。そのためにも,顧客に対応するすべての部門が, このような状況を, 顧客からダイレクトに情報を受け入れられる対応を行い, 全員で共有することができる「チーム・セリング」の仕組みづくりが必要にな また,当然ながら,商談プロセスの始まりから終了にいたる全情報, には継続取引に必要な情報について,顧客を中心にして一元的に管理できる全 社員マーケティングの実践も,重要な前提条件ではある。 「モービル・コンビューテイング」による「ワークスタイル」の草新 従来の情報武装化においては,企業内, ナ}としてのアライアンス先との情報通信化のみがクローズアップされてき さら る。 もしくは

EDI

に代表されるパート 4 ..

i

l

-グループウェアやイント た。確かに,パソコンの一人

1

台環境が整備されて, ラネットが普及したため,企業内にいる限りにおいては,全社員が情報を共有 しかし して情報活用できるシステム運用を効率よく行える状態になってきた。 一旦社外にも同様の方法を適 この水準の情報武装化段階においては, ながら, 用させようとするならば,あまりの情報非武装状態に耐えられないほどである。 「モービノレ・コンピューティ このような技術事受のアンバランスを背景にして, セールススタッフの行動の大半を占 この結果, という技術が開発され, ング」 インターネットの普 及は,通信プロトコルの標準化をもたらし,従来では特定の相手としかアクセ スできなかったものが,相手がどのようなコンピュ、ータであろうと接続が可能 とりわけ, める企業外の活動に対する情報化が実現した。 にした。 営業活動は,顧客と接する局面に存在する定型化できない業務領域も大きい もので,特定の機能だけを作り込んだシステムのみへのアクセスでは,営業活 グローパル規模での インターネットを経由することによって,分厚い商品カタログなどを携帯せず しかしながら, 動の全体をサポートすることはできない。 このように「モー セールススタッフの「ワークス に,客先で多様な提案書を作成することなども可能になる。 ビル・コンビューティング」の導入によって,

(20)

-50- 香川大学経済論叢 204 タイノレ」は大きく転換できる。すなわち,従来のペーパーベースで営業日報を 作成するのではなく,企業外において携帯端末で日報を入力することによって, 企業外から自社内のサーバへ送信すれば,誰でもがこれらの情報を見ながら同 時進行のアドバイスを送れるようになって,このフィードパック情報の自分の 営業活動への活用が可能になる。 また,セーYレススタッフ自身は,どこにいても様々な情報リソースから最新 の製品情報や顧客情報を確認できる。この結果,セールススタッフがその場で 見積もりを作成するなど,スピーディで機動力ある営業活動の展開が可能にな る。そして,従来では移動に費やされていた時間も効率的に活用できるように なって,営業活動の生産性が飛躍的に向上する。一方,マネジメントにとって も,セールススタッフの行動を随時適確に把握できるため,共に出張先であっ ても決裁が可能になるため,業務を遅延させる心配は生じない。 また,セールススタッフから送信されてくる情報は,自社内の「データベー ス」にダイレクトに蓄積されるため,再入力の手間もなくなり,容易に集計し て販売見込みなどの報告書も作成できるようになる。このような「モービノレ・ コンピューティング」の普及は,企業の外部にいながらにして社内と同様の情 報共有,情報発信が可能な環境が整備され,

'SOHO

J と呼ばれるスモールオ フィスやホームオフィスの情報処理能力を高めている。こうして,従来型オフィ スにおいでさえも,立地条件の制約に囚われることなし地域,顧客に密着し て小規模で,かつ機敏に設置できるようになる。米国においては,テレワーク の普及によって,すでに自動車での通勤が減少しており,またオフィスコスト の削減にも多大な効果がでているが,我が国においても同様に,近い将来には, このような「ワークスタイル」形態の急速な普及が予測される。 5" 'EC (エレクトロニック・コマース)Jによる「バーチャル・セリング」 の展開 インターネットの爆発的な普及に伴って,サイパースペース上で,商品やサー ビスなどを顧客に提供するバーチャルビジネスをも,セールスフォース・オー

(21)

205 「セールスフォース・オートメーション」の戦略的導入論 -51ー トメーション」の一環に組み込もうとするコンセプトが登場しつつある。たと えば,第

1

には,インターネットで企業のホームページにアクセスしてきた顧 客についての名前,連絡先,要望などを,自動的に抽出して見込客情報として 「データベース」に取り込むことである。そして,これらの情報に基づいて「リー ド・マネジメントシステム」のプロセスを通過させることで,有望な見込客に 対して,ダイレクトにセーlレススタップが出向いていくというセーノレス形態が 登場する。 第

2

には,インターネットの特性であるインタラクティブなコミュニケー ションを活用して,顧客ニーズにフィットしたコンテンツをカスタマイズして, 得意先とダイレクトに会話することで商談を進める形態の実現である。またさ らに,これらのコンテンツの提供は個々の得意先に対してネットワークを介し て行われ,すでに,動画,音声など多様な情報を組み合わせる「マルチメディ ア・プレゼ、ンテーション」が可能な段階を迎えている。 第3には,インターネットにおいては,グローパルな情報発信が可能なこと もあって,従来ではセーlレススタッフの地理的,時間的な制約から発掘できな かった潜在客を捉えることが可能になったことである。また,一度捉えた得意 先に対しでも,鮮度の高い商品情報やサービス情報を継続的に提供することに よって,さらにリテンションを高めることができ,この結果,顧客とのリレー ションシップも強化されてくる。 このような方向性の中で,インターネットのアクティブな企業ユーザーの増 加と,最新の情報技術を活用した「セールスフォース・オートメーション」を 背景にして,将来的にはセールススタップが外出せずとも画面を通じて得意先 と直接交流を行って,オフィスに居ながらにして契約まで行う「バーチャル・ セリング」の登場が期待されている。また,携帯端末を活用して「モービル・ コンピューティング」を駆使すれば,活動拠点を,必ずしもオフィスに限らず に,自宅においても,出張先のホテルにおいても,オフィスと同様の営業活動 が可能になる。また,得意先との関係だけでなく,取引先との間も

EDI

でネッ トワークされていれば,受注情報をリアルタイムに取引先に対して引き渡すこ

(22)

52- 香川大学経済論議 206 とで得意先への納品リードタイムの短縮につながり,このため顧客サービスを 向上させることも可台

E

になる。 一方,この「バーチャノレ・セリング」を営業コスト視点から捉えると,ペー ノTーは全く必要としなくなるため,きわめて効率的なオペレーションが可能に なる。従来の発注取引においては,情報伝達にはペーパーペースでの伝票作成 や,これらのコピーなどの業務が必要であって,そこでは同じデータを別の場 所,別の企業で,何度もコンピュータに入力する作業を伴わざるをえなかった。 しかしながら,このことが「バーチャル・セリング」の導入によって,標準に 準拠した通信手順に則って,提案書,見積書,注文書の類のペーパーはすべて 電子化されるため,非効率な業務は大幅な削減が可能になり,経費の押さえ込 みのみならず,これらの業務に費やす時間についても大幅に短縮効果がもたら される。こうして,得意先や取引先を取り込んだ情報の共有化が,急速に促進 さオLる。 このように,

'E CJ

をベースにした「バーチャル・セリング」は,従来のセー ルススタッフのビジネス活動を根本的に変革して,新たなパラダイムの創造を 伴った活動形態を現出させることになる。このことは,また情報の共有化によっ て,得意先や取引先と組織的に一体化することも意味しておれこれからは, より顧客領域に深く踏み込むことで,顧客の期待に応えうる真の満足の提供が 期待されてくる。

I

V

.

.

'百貨庖外商事業」再生へ向けた情報技術の戦略的活用 L 百貨届の法人需要を取り巻く営業環境とシステム対応 パブ、ル後の不況以降,百貨庄は,消費者とのフロントエンドに位置する業種 として,

1

9

9

2

3

月以降ず、っと低迷を続けリテイノレ業界における競争力を急速 に喪失していった。その間,各百貨庖においては,設備投資の凍結であるとか 管理部門のリエンジニアリングによって,間接コストの圧縮を図ってきたわけ である。そして昨今,やっと個人需要の持ち直しを背景にして庖頭営業部門の 強化を模索することで,庖頭売上の前年割れに歯止めがかかりつつある。しか

(23)

207 「セールスフォース・オートメーション」の戦略的導入論 -53ー しながら,百貨庖ビジネスのもうひとつの柱である外商事業部門においては, 未だ法人需要の喚起は不十分であり,依然低空で蛇行をしている。 確かに,インフラ整備も一定程度進展したり,不透明な部分が存在していた 組織体質も,健全でオープンなものへと脱皮しつつはある。また,

1

9

9

6

4

月 からの景品表示法の規制緩和によって,消費財メーカーが,セールス・プロモー ション用の商材の注文を増大するなど,若干ながらも,フォローウインドも起 きつつある。しかしながら,その旧態依然とした営業手法を,科学的な営業ス キルに基づいた確実に利益に結びつくビジネス手法に転換しない限り r百貨店 外商事業」の再生への道程はきわめて厳しいことには変わりはない。 このような状況下において r攻めの経営」への転換に向けた「セールスプロ セス・イノベーション」の実現のためには,前述した「データベース・マーケ テイング」と「セーノレスフォース・オートメーション」が有効的なツールとな るわけで,このツールを充分に織り込んだ、「アウトセールス・インフォメーショ ン・システム」の

f

書築による「セールスプロセス・イノベーション」の確立が 急務なのである。しかしながら,このイノベーションの実現には,何段階かの プロセスを踏みながら,慎重な,かつ速やかな構築が大切なことは言うまでも ない(図3。) 2リ 「第1ステップ」は社内における業務プロセスの最適化と標準化 「第

1

ステップ」としては,まず社内の業務プロセスの最適化と,ビジネス取 引の標準化を目的とした取引単位の「案件管理システム」の構築である(図

4

。) 「百貨庖外商事業」における商談は,概ね r引合・提案・見積・受注・発注・ 納品・計上」というプロセスで進展する。しかしながら現在では,それぞれの プロセス毎で業務が完結しており,全体でひとつの統一したフローにはなって おらず,各プロセスが直線的に進行しており,計上完了までに大幅な時聞を消 費している状況なのである。 また,各ビジネス取引が,セールススタッフ個人のスキルにまったく依存し ているため,個人の職人気質が前面に出たそれぞれ個別の商談対応になってい

(24)

-54- 香川大学経済論叢 図3 外商情報システムによるセールスプロセス・イノベーションの展開方向 図4 〈得意先〉 :1 ¥ 十ユニフォーム 企業関取引 標 準 化 外商事業と案件管理システムの基本構図 注文書 1認 SP(セールスωプロ

i

l

モーション)商品 九 材 / カタログ通販 十¥ノ ギフト商材etc 営 業 の 生産性向上 208

(25)

209 「セールスブオース・オートメーション」の戦略的導入論 -55-ることからも,仕事の仕方についての肢行性が生じている。このような状況下, 「ワークフロー」や「グループウェア」などの情報技術を導入しながら,各プ ロセスをユニークな案件管理番号で串刺しにすることで,引合から計上までの 案件の進捗をひとつの流れで適正に管理するとともに,すべての進行情報を一 元的に管理することで,部門間で情報の共有化が可能になって各プロセスが同 時並行的にコンカレントに進行できるようになる。 またさらに,各業務プロセスに要請されるマネジメント上の決裁についても, ペーパー上で行うのでなく画面から電子的に処理することで,進行速度はさら にスピードアップし,かつ,案件進行状態を随時把握できるようになって,マ ネジメントの密度も飛躍的に高くなる。また,事務サポートの側面から見ると, 引合で登録されたデータはそのまま計上までつながることで,同じデータを再 度登録することなく,適時,見積書や注文書の発行ができるようになる。一方,

EUC

(エンドユーザー・コンビューテイング)視点からでは,月次見込数値 の集計などの正確な情報が随時にアウトプットできることにもなる。また,営 業活動の「データベース化」によって,従来の経験や勘など抽象的に語られて いたノウハウを,できる限り具体的な知識や行為に置き換えて数値化すること で,ノウハウを全社員の共通財産として活用できるようになって,組織全体に 及ぶ営業スキノレの向上が実現する。 3内 「第2ステップ」は情報の共有化によるパートナーシップ形成 「第

2

ステップ」としては,得意先や取引先とのネットワークの形成があげら れる。とりわけ,ユニフォームやセールス・プロモーション用の商品,さらに はギフト関連商品については,取引としての継続性が高いことに特徴があって, 頻繁に受発注業務が行われるビジネスである。ところが,現状においては,得 意先からの受注業務,調達先である取引先に対する発注業務,さらには最終的 な得意先への配送・納品は,各企業聞でまったく分断された取引形態になって おり,きわめて非効率な運用になっている。 したがって,自社内の業務プロセス管理の最適化と,各取引ビジネス形態の

(26)

-56ー 香川大学経済論叢 210 標準化が,ある程度出来上がったならば,例えば「流通

CALS

(コマース・ アット・ライト・スピード )J視点に立脚した得意先,取引先,物流業者のネッ トワーク化を実現し,企業聞におけるデータの共有化を推進することが強く求 められる(図

5

)

。すなわち,

ED

1

(電子データ交換),

FAX-OCR

などの 情報技術の活用によって,社内外の情報交換を電子化して,得意先を起点とし て流れる「注文・発注・配送・納品」にかかわる企業間取引を,ひとつのサイ クルとしてオペレーションする統合システムの構築が要請されることになる。 また,顧客満足を第一義に置くならば,価値の規範の,供給サイドから顧客サ イドへの転換に伴って,顧客ニーズがダイレクトに調達先である取引先に反映 されるシステムの構築も不可欠になる。 4" r第3ステップ」は「モービル・コンビューティング」による機動力向上 最後の「第

3

ステップ」は,携帯端末を利用した「モービル・コンビューティ ング」への取り込みの段階である。セーlレススタップの全員が携帯端末を持ち 図5 流通CALS視点に立った外商事業の情報システムモデル

(27)

211 「セールスフォース・オートメ」ション」の戦略的導入論 -57-ー 歩いて,顧客の詳細な属性情報(定性情報も含む),個別の契約内容,顧客ごと のコンタクト履歴をいつでもどこからでも照会ができて,これら情報に基づい て電子カタログの提示によるプレゼンテーションを行いながら見積書を即時発 行することで,機動力のある営業活動が展開できる。また,社内のLAN(ロー カルユリア・ネットワーク)との電話回線の接続によって,注文データを瞬時 に伝送したり必要な商品情報をサーノてから入手することが可能になり,膨大な 知識量が必要な多数の商品紹介も正確に行えるようになる。あるいは,インター ネットへアクセスすることで,他社の商品動向も取得した上で自社製品との比 較を行って,顧客に対して自社の商品の優位点を説明するようなことも可能に なる。 業務報告としての日報についても移動中に作成できてしまい,外出の多い セールススタップへの社内連絡もリモート電子メールの送受信で対応できるよ うになる。このような営業革新によって現出される効果は,多様な情報がひと つの端末からアクセスできることで,効率化で浮いた時聞を戦略作りや実際の 行動での活用が可能になる。従来までの,思考の源であった情報は,通常ファク シミリや山のような帳票書類,またはメモといった異なった形態でバラバラに 提供されており,これらを集めるだけで,時聞はどんどん過ぎるばかりなので あった。すなわち,情報の収集にほとんどの時聞が害肋〉れてしまい,商談など 肝心な作業がおろそかになる本末転倒の事態が生じていた。 しかしながら,これからはサーバー内で情報が一元化されるため,サーバー から携帯端末ひとつで,営業活動に有効なデータを自由に引き出すことが可能 になって,このため生産性は一気に向上する。またマーケティング視点から見 るならば,携帯端末は情報収集のきわめて有効なツールになっている。すなわ ち携帯端末の活用によって,競合他社の動向や取引先,庖主の生の声に代表さ れる数値には表わせない定性情報を,気が付いた時に,即座にインプットして 蓄積することも容易に実現する。

(28)

t i a r f t F l L r L L ト r b L P I p -z i h -& t h a t c L E t t a E b わ h ι B M m t a u 嘗 R ﹄ & h ド ト t u b -58ー 香川大学経済論叢 212 5, 機動集中による「価値創造型セールス」の醸成 従来の「百貨庖外商事業」の営業活動では,主要な営業領域へ資源を大量に 集中して,競合他社に対するセールススタッフの員数や訪問回数の圧倒的な優 位性を確立することによって売上高が決定するような「大量集中型営業力」は, きわめて有効な方法であった。しかしながらバブル後の不況以降の不透明で成 熟した社会環境においては,この方法は有効には機能しえなくなってきた。す なわち迅速な戦略の執行が小売業の盛衰を左右するような時代においては,従 来の大量集中的な売り込みに固執している限りでは,依然として営業力回復に は向かわないし,生産性向上のためのソリューションを発見することも不可能 なのである。 このような時代には,商品(開発)部門,営業企画(マーケティング)部門 と外商事業の営業部門との機動連携を重視して,市場状況の変化に対応する行 動速度を持ちながら,同時に顧客信頼を基盤にしつつリテンションカを強化し ていくという攻撃的防御営業が重視される。こうして,この防御営業と攻撃営 業の双方の組み合わせが展開できる機動集中型営業が要求されるようになる。 そして,この「機動集中型営業」を導入する際の留意点は,何といってもまず 営業活動を通じた情報収集力なのである。営業活動を通じた情報は,セールス スタッフが,日常の活動で得られる取引相手の状態,得意先のニーズ,競争相 手の動向など,日報や週報に記録される場合もあるし,また,個人のセールス スタッフの頭の中でのみ蓄積されている場合もある。 これらの定型,非定型の情報を,すべて「データベースイ七」して,これに経 験則などを数値化した上で科学的なマーケティングを展開することで,確実に 収益を獲得できるビジネス手法が発見できるわけである。このように,情報シ ステムの仕組みの構築が「機動集中型営業」をサポートすることになるのだが, ただ単に情報技術を装備したのみでは,真のセールス・イノベーションの実現 はきわめて困難で、ある。最も大切なことは,これらの情報技術を武器にしてビ ジネスを展開するセールススタッフ自身の意識改革なのである。 産業構造的に論述するならば,成熟したマーケットにおける新しい競争ノfラ

(29)

213 「セールスフォース・オートメーション」の戦略的導入論 -59-ダイムである「アジル・コンペテイション」に生き残るには,付加価値性の高 い商品やサービスを,迅速に,かつ持続的に市場へ送り出し,顧客の豊かな生 活への誘導を第一義の目的にする必要がある。急速に変化する「顧客機会」を 俊敏に捉え,顧客に対する個別のソリューションや真の顧客価値の提供によっ て,機会主義的に商品やサービスを提供することが,アジルな企業の必須条件 になる。そしてただ単に,顧客を豊かにするのみならず,意義ある方法で豊か にすることも,これからは必要条件になってくる。すなわち,従来では,商品 やサービスを顧客に売った段階で企業と顧客との関係は完結していたのだが, 提供された商品,サービスのアップグレードを通して,企業と顧客との関係を 継続的に維持することなどが重要になる。 顧客価値に基づく競争が現出する状況下で,企業が顧客に提供しなければな らないものは,ただ単なる商品やサービスそれ自体ではなしそれを提供する 側に具体化された知識,専門技能,情報を,個々の顧客のための問題解決型商 品(またはサービス)に変えられる変換能力なのである。現代社会における中 心的な価値は「知識」であり,そのため知の創造を是とする理念を背景にして, 知の獲得,活用,創造,蓄積を迅速に行って,新しい知識を市場に送り出し続 ける夕、イナミックな能力が要請される。 このようなことからも,これから期待されるべきセールススタッフのモデル は r価値創造型セールス」であって,このセールスモデルのあり方がこれから のビジネスにおける決め手になる。すなわちこれからは,

Win-Win

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