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水平2方向同時載荷されたコンクリート充填鋼製橋脚の耐震性能に関するハイブリッド実験

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(1)

愛知工業大学研究報告 第47号 平 成24年

水平

2方向同時載荷されたコンクリート充填鋼製橋脚の而援性能

に関するハイブリッド実験

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especially for case of su血cle凶ler事也ofconαete血led 1.序論 都市内の高架高速道路では トラックなどの車両から の衝突による橋脚の重大な損傷を防止するために,橋脚 基部にコンクリートを充填することが多い.兵庫県南部 地震以降,基部にコンクリ}トを充填した鋼製橋脚は, 基部鋼板の座屈が抑制され,無充填橋脚より損傷が少な く,耐震性能が向上することが確認されている. 過去のコンクリート充填銅製橋脚の耐震性能に関する 研究別)は,水平 1方向独立載荷に基づく実験結果や解 析によるものがほとんどである.これらの研究によると, コンクリート充填橋脚は無充填のものに比べ,強度およ びじん性が上昇することが確認されている.道路橋示方 書めでは,コンクリート充填橋脚は,基本的に,無充填 銅製橋脚と同じように,橋軸方向と橋軸直交方向からの 地震波が,それぞれ独立に作用するとして耐震照査を行 うこととされている. しかしながら,最近の無充填の銅製橋脚に対する水平2 方向ハイブリッド実験の結果1)によると,橋脚は水平2方

T

愛知工業大学大学院建設システム工学専攻

t

t

愛知工業大学都市環境学科土木工学専攻(豊田市)

t

t

t

愛知工業大学都市環境学科土木工学専攻(豊田市) 向からの地震力を同時に受ける場合,その最大荷重および 変形能力が 1方向載荷時に比べ低下していることや,応 答変位が1方向載荷の場合より増大し,倒壊が発生する場 合があり,危険であるなどの結果が得られている. 一方,コンクリート充填銅製橋脚に対して,水平2方 向から地震動が作用する場合の耐震性能や応答特性は今 日まで十分に明らかにされていない. そこで本研究では,コンクリートの充填率を変えた銅 製橋脚と無充填の銅製橋脚の水平2方向ハイブリッド実 験を行い,水平2方向地震動を受けるコンクリート充填 銅製橋脚の応答挙動と耐震性能、充填率の違いによる影 響についての検討を行う.

Z

実験計画 2圃 1 実験供試体 実験で使用した供試体は,鋼種SM490,板幅450mm, 板厚6mmの正方形補剛箱型断面橋脚である.各板パネノレ に縦方向補剛材(リブ)を2本ずつ配置し,基部から鉛 直方向に900mmまでは225mm間隔,それ以降は450mm 間隔でダイアブラムを設置する.供試体基部から載荷点、 までの有効高さはh=2400mmである.無充填供試体の側 面図,および断面図を図口lに示す.橋脚の構成断面の幅

(2)

厚比パラメータは持=0.13,細長比パラメータはえ =0.35 である.供試体の各寸法及びパラメータを表・1に示す. 表

-

1

供試体の各寸法及びパラメータ 鋼種 SM490 供試体有効高さ h(mm) 2400 補剛板幅 b(mm) 450 補剛板厚 t(mm) 6 リブ板幅 bs(mm) 55 リブ板厚 ts(mm) 6 ダイアフラム間隔 a(mm) 225 断面積 A(mm2) l.33x104 全断面降伏軸カ

P

y{凶) 4321 断面2次モーメント I(即n2) 4.06x108 断面2次半径 r(mm) 175 補剛板幅厚比パラメータ RR 0.59 細長比パラメータ λ 0.34 補剛材細長比パラメータ

λ

0.184 補剛材剛比 yly* 10.5 Y方向水平力Hy

民 自 →

i

- V

一 一

(mm) (a) 側面函 (b) 断面図 国一1 実験供試体概要因 道路橋示方書めではコンクリ}トの充填高さは鋼断面と コンクリート充填断面が同時に降伏に達するようなコンク トト高さを最適充填高さとして,内1)で与えられている.

=

h(l - Mq

万九

(1) ここに, hc:コンクリートの充填高さ

h=供試体の 有効高さ

Ms=鋼断面の抵抗モーメント

Mc=コンクリ ート充填部の抵抗モ」メントである. 鋼断面の抵抗モーメント Msとコンクリート充填部の抵抗 モーメント Mcを簡単な設計計算で求めると,比MyslMcは 0.59となる.その場合の充填率は有効高さに対して41%とな る.しかし,今回の実験ではダイアブラム位置までコンクリ }トを充填することとしめ,実際には供試体基部から h1.1=900mmまでコンクリートを充填する.この場合,充填率 は約40%となり,ほぽ王町1)による充填率と同じ値となる. また,現在一般に使用されている銅製橋脚の幅厚比パラ メータ

R

fは0.3以下,軸カ比が0.2以下であり,そのよ うな銅製橋脚に対してコンクリ}トの最適充填率は 15~ 20%であるとした実験的報告2)のがある.このような過去 の研究を本実験で用いる供試体に当てはめると MysIMc=0.80となり,充填高さは約20%となる.よって 供試体基部から九=450mmまでコンクリートを充填した 供試体も作成する.充填コンクリートは早強コンクリー トを用い,圧縮強度は約21N/mm2である. ノ、ィブリッド実験では,相似率S=4を用いる.すなわ ち想定実橋脚が供試体の4倍の大きさとする想定橋脚の 上部工質量mは,試験体の鉛直荷重比

P

olP=0.15から, m=1048tと算出した.また,想定実橋脚の剛性九=64 (日if/mm)と固有周期 T=0.8(秒)は,試験体の剛性か ら相似率を用いて算出し,減衰定数h=0.05,減衰係数 c=0.843(kNs/mm)とする. 2圃2 実験載荷装置 本研究で使用する実験載荷装置の概要を図-2に示す. 実験では水平2方向および鉛直1方向から載荷するため, 載荷点、は 3次元的な動きをする.これに対応する 3軸載 荷装置が本学で開発された.この装置は中心に直径90mm の芯が配置され.その中間部に鉛直軸回りおよび水平軸 回りに回転可能である.これに x方向, y方向のアクチ ュエータの先端をそれぞれ取り付ける.

供試体

水平アクチュエータ 国一2 3次元載荷システム 2・3静的繰り返し実験 ハイブリッド実験に先立ち,基本的な履歴特性を得る ために静的繰り返し載荷実験を行う.載荷方法は上部工 重量を想定した一定の鉛直荷重 Pのもとで,繰り返し水

(3)

水平2方向同時載荷されたコンクリート充填銅製橋脚の耐震'性能に関するハイブリッド実験 平変位8を与えた載荷を行う .0は降伏変位 8。を基準とし, 00の整数倍の変位を 3回,次に 0.500増加した載荷を 1固 というように,載荷変位を漸増させながら載荷する.また, 水平荷重が最大荷重の7割程度に低下した時点で実験を 終了とする. 2・4 ハイブリツド実験 ハイブリッド実験の数値解析部分は一般に Newmark

s

法が用いられる.本研究では以下の手順で実験を進める. 1)入力地震波は 0.01秒間隔の加速度データであり,この 間隔を lステップとして応答計算を行う. 2) N ステップの計算が終了したとし, N+lステップの計 算をするとき,まず初期剛性Koを用いて予測変位Un+1 を計算で求める. 3)予測変位 Un+1を,相似則を用いて縮小し,供試体に与 える. 4)基部回転や2方向加力の影響を考慮しI),変位の補正 計算を行い,供試体に与える変位の修正を行う. 5)計測した反力を用いて再度応答計算を行い,改善した予 測変位

U

n+1,mを求める.この予測変位と最初に求めた予 測変位Un+1が許容範囲に入ったら,次のステップに移行 する.範囲に入らなかったら2)に戻り再度繰り返す. 6)最後のステップまで,上述の 2)~5) を繰り返す. 2.5 相似率および想定橋脚 ハイブリッド実験において,構造全体は実寸法で数値モデ ノレ化し,橋脚は縮小モデル化した供試体を用いるため,相似 率の設定が必要である.ここでは,謝脅造物と縮小モデルに 同じ材料を用いると,両者のひずみと降伏応力が等しくなる. そのことを利用し,相似比を算出すると表・2のようになる. また,実橋梁の固有周期は一般的に 0.2 秒~1. 2 秒が多 い.そこで,今回は 0.8秒になるように供試体と実橋脚の 相似比を S=4 とした.その時の想定橋脚のパラメータを 表・3に示す. 表

-

2

各物理量の相似比 項目 倍率 項目 倍率 項目 倍率 長さ I/S 応力 1 時間 I/S 面積 lfS2 lfS2 速度 1 体積 lfS3 質量 lfS3 加速度 S 2.6 入力地震波 ハイブリッド実験の入力地震波として, 1995年,兵庫 県南部地震で観測された神戸海洋気象台地盤上。種地盤) の地震波(以下, JMAと呼ぶ), JR西日本鷹取構内地盤上(II 種地盤)の地震波(以下, JRTと呼ぶ),およびポートアイ ランド内地盤上(III種地盤)の地震波(以下, PKBと呼ぶ) を用いる.これらを表・4にまとめる.同表の地震波記号は, 地震波名のあとに, NS,E W方向成分の記号を付したもの である.記号 2Dは,実験で NS方向成分と E W方向成分 を同時に入力する場合を示す. 表-3 想定橋脚のパラメータ 実橋脚 供試体 相似率 1 1/4 同さ (mm) 9600 2400 上部工質量 仕) 1060 16.53 剛性 (kN/mm) 67.2 16.80 減主主系数 0.843 0.05 (kN*8/mm) 固有周期 (8) 0.789 0.395 表

-

4

入力地震波 地盤種 入力地震波 最大加速度 平均値 5.j

J

I

(ga

(gal) JMA-NS -812 I JMA-EW 766 816 品1A圃2D 870 JRT・NS 687 E JR下E W -673 690 JRT-2D 711 PKB-NS 閉557 E PKB-EW 619 650 PKB-2D 775 3. 実験結果 3・1 静的繰り返し実験 静的繰り返し実験で得られた水平荷重.水平変位履歴曲練 を図・3に示す.図中の実線はコンクリートを充填した場合を, 無充填は破線を示し,同国の荷重と変位は,降伏荷重凪と 降伏変位 00で無次元化している.また,引張りおよび圧縮側 の履歴曲線は同等の履歴を示すため,正負両側の各サイクノレ の除荷点の平均値を取り,包絡線を求め,図-4に示すロ それぞれの曲線を比較すると,充填率 20%と40%では無 充填に比べ,最大荷重がそれぞれ,約 5%および約 10%上 昇している.また,充填率 20%の場合,コンクリート充填 面直上に座屈が生じ,最大荷重後の低下が著しい.これは コンクリート充填された供試体のコンクリート充填された 基部に座屈が生じることなく充填直上の鋼板部で座屈が生 じたためと思われる.また,充填率 40%の場合では,最大荷 重以降,緩やかに荷重が低下した.これは供試体のコンクリ ートが充填された基部にわずかな座屈変形が生じているこ とから破壊の進行が緩やかであったためと考えられる.

(4)

2 1

e

0 -1 -2 2 1

-1 -2 2.5 2.0 0.5 0.0 -8 ・6 ・4 -2 0 2 4 6 8

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/oo (a)充填率

2

0

目 -8 ・6 -4・2 0 2 4 6 8 (b)充填率40目 図-3 水平荷重一変位曲線 ーひ目無充填 一合一20"10充填 -0-ー初%充填 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 図

-

4

包絡線 3

2 1方向および2方向載荷による橋脚応答の相違 3 • 2・1 水平荷重一変位履歴曲線 図面5にコンクリートを 20%充填した鋼製橋脚を例にハ イブリッド実験で得られた水平荷重ー変位窟歴曲線を示す. 図中の荷重,変位は静的繰り返し実験で得られた降伏荷重 誌 と 降 伏 変 位 Ooで無次元化している. 全ての地震波で, 1方向載荷の荷重の最大値は, 2方向 載荷よりも大きく,鋭角な履歴形状をしている.すなわち, l方向載荷では荷重が増加している途中,最大耐力に達する 前に変位が反転し荷重が低下したと考えられる.一方, 2 方向載荷では,楕円形の曲線を描いており,最大耐力に達し た後,荷重が低下したと考えられる.これは,コンクリート を40%充填した銅製橋脚においても同じ傾向が見られる. 3 3 2 2 坦 出

1

5

01 -1 回1 -2 :.

L

21方方向向 -3 同3 -8・6-4・2 0 2 4 6 8 開8開6・4・2 0 2 4 6 8 o/Oo O/oo (a) 1種 地 盤(JMA-NS) (b)1種 地 盤(JMA-EW) 3 3 2 2 1

~

0 -1 -1 -2 -2 -3 -3 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 同8-6 -4・2 0 2 4 6 8 O/oo O/Oo (c)

n

種 地 盤(JRT-NS) (d)

n

種 地 盤(JRT-EW) 3 ヨ 2 2 1 幽1 -1 明2 -2 -3 -3 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 ~ ~ 4 ~ 0 2 4 6 8 O/Oo 0/00 (e)

m

種 地 盤(PKB-NS) (f)

m

種 地 盤(PKB-EW) 国一

5

水平荷重一水平変位履歴曲線

(

2

0

目充填) 3・2• 2 応答変位時刻歴 図明6にコンクリートを 20%充填した銅製橋脚を例に,応答 変位時刻歴を示す.2方向載荷のNS,E W方向成分を実線で, また, 1方向載荷実験の結果を破線で示す.縦軸の変位はOo で無次元化している.図-6を見ると, 1種地盤では差が見ら れないが, II種地盤とE種地盤において, 予想通り2方向 載荷のほうが応答変位は大きくなった.特に図-6(e), (のの 血種地盤のNS,E W方向では最大応答変位付近でコンクリ ート充填面直上において溶接部にクラックが生じ,その後の 応答変位が大きくなった. 図には示していないが,コンクリートを40%充填した鋼製 橋脚においても, II種

.

r

n

種地盤で, 2方向載荷の変イ立が大 きくなったが,

r

n

種地盤では橋脚基部に座屈が発生し,コン クリートが座屈を有効に抑制されたことによって, 40%充填 の方が20%充填のケ}スよりも応答変位が小さくなった.

(5)

水平2方向同時載荷されたコンクリート充填銅製橋脚の耐震性能に関するハイブリッド実験 10 10

-2I方方向向

I

8 ・-1方向 ...・ 1方向 6

2方向

一一一

2方向 4

2

20 2

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軽羅場り

V州、町内向叩... -2 4 4 -6 ー6 -8 -8 -10 -10 10 20 30

10 20 30 40

10 20 30 40 50 Time(sec) Time(sec) Time(sec) (a)I種地盤(JMA-NS) (c) II種地盤(JRT-NS) (e)

m

種地盤(PKB-NS) 10 10 8 .... 1方向 8 6

-2方向 6 4 4

Z

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m

種地盤(PKB-EW) 図-6 1方向および2方向載荷時の応答変位時刻歴(20拡充填) 10 8 6 4 【 2 ~ 0 -2 4 -6 -8 -10

n u β 8 6 4 2 0 3 ι 4 4 8 旧 : 。 咽 ゐ -8 8 8 6 6 6 4 4 4 2 2 2 EZB O S

-2 -2 幽2 側4 4 4 -6 -6 制6 -8 -8 -8 ~ ~ ~ ~ 0 2 4 6 8 -R-fi -4 -7 n フ 4 ι R ~ ~ ~ ~ 0 2 4 6 8 (a)I種地盤(JMA) (b) II種地盤(JRT) (f)

m

種地盤(PKB) 図

-

7

橋脚上部質点の応答変位軌跡(20拡充填) 3.2・3 水平変位軌跡 図・7はコンクリート充填高さ20%の供試体を例に, NS, E W方向の応答変位をそれぞれ横軸と縦軸にとったもので, 橋脚上部質点の平面上の変位軌跡である.2方向実験を実線 で1方向実験を破線で示す.図-7から 1方向と2方向実験の 応答挙動が異なっていることがわかる.とくに H種地盤と 血種地盤では, 2方向載荷実験で破線の円形でマークした部 分に示されるように,斜め方向にほぼ直線的な応答軌跡が現 れている.これは NS,E W方向の応答変位がほぼ同時に最 大値となったことを示している.このように l方向のみに個 別に載荷するより, 2方向載荷のほうが橋脚の損傷は大きく なると考えられる. 3.2・

4

最大応答変位および残留変位の相違 ハイブリッド実験で得られた各充填率の最大応答変 位Omaxおよび残留変位Orの値を図・8,9に示す.1方向載 荷は NS,E W方向の平均値を, 2方向載荷は式(2)による ベクトノレ合成値である. 1方向の結果を左側の黒色, 2方 向の結果を白色とその上の数値で示している. 豆 一 側主思惑u - (2) 図-8から, 1種地盤ではl方向載荷による最大応答変位が 若干大きく,他の地震波では2方向載荷の結果がかなり大き くなっている.常識的には, 2方向同時載荷の方で応答変位が 大きくなるが, 1種地盤ではどのコンクリート充土真率でも, ほぽ同程度である.この原因は現閣稽では不明である. 図画9は残留変位の結果である.残留変位は地震終了後の 高速道路の使用性に関する重要なパラメータで,現行道路 橋示方喜では限界値は橋脚高さの1%となり,本試験体の oJooでは1.6となる.これを図中に破線で示す.また,

m

種地盤のコンクリート無充填橋脚の残留変位は非常に大

(6)

(I種地盤) (II種地盤) (ill種地盤) 函一10最大応答変位の比較(平均値) 方向載荷

!

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1 1方向載荷 12 10 。 。 p u a n ﹃ o a p k E m d

荷 載 向 。 訪 //J

輔 、 、 、

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方 一 B 7 6 r コ 凋 斗 q 3 0 d b u きく,図のスケール内に表していない. 図・9の残留変位も最大応答変位と同様な傾向があるが,地 震波によって異なり,

n

種地盤とE種地盤では l方向載荷と 2方向載荷の差が最大応答変位よりも大きい.したがって, E種, ill種地盤では, 2方向同時載荷による橋脚への影響が 大きくなり, 1方向載荷に基づいた結果のみによる耐震照査 では,過小な評価結果となる可能性があることに注意が必要 である. 図・10,11はコンクリ}ト無充填, 20%充填, 40%充填の最 大応答変位および残留変位の平均値を地盤種別ごとのにプ ロットしたもので, 0は l方向載荷,口は 2方向載荷による 結果を示している. 図-10,11の実線で示すように, 1方向載荷では最大応 答変位と残留変位ともに地盤種に関係なくあまり大きな 違いは見られないが, 2方向載荷ではI種地盤からE種地 盤になるにつれ,イ直が大きくなった. (I種地盤) (II種地盤) (ill種地盤) 国一11 残留変位の比較(平均値) ヨ 7.2 11.6 7.8 n u o o e o n 崎 、 , h n u o o e o n 崎 司 4 n u

z

-声 弘 前 G

15.8 園1方向載荷 ロZ方向載荷 2 0 日 E 賢 1 無充填 2脱 抑4無充填 2開 制4無充填 2開 制4 (I種地盤) (II種地盤) (ill種地盤) 国一8 最大応答変位の比較 圃1方向載荷 ロ2方向載荷 40% (II種地盤) (盟種地盤) 最大荷重の比較 図-12より, 各地盤種とも,またどのコンクリート充填率 でも 2方向載荷と 1方向 NS,E W方向の最大荷重の差は見 られない.よって, 2方向載荷時の荷重の最大値は I方向載 荷時の NS,E W方向の平均値から推測できると言える. 図一

1

2

4.1 無充填 2脱 40"/0 無充填 20% 40"/0 (I種地盤) 0 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 4 4 @ a ヤ 伺 U 無充填 2脱

7.7 6.5 40"10 40%無党填 20% 40%無充填 20"/0 (II種地盤) (ill種地盤) 残留変位の比較 無充壌 20% ( 1種地盤) 図

-

9

累積エネルギー吸収量の相違 図幽13は累積エネルギー吸収量の NS,E W方向の和を棒グ ラフに示したもので,図・14はこれらの平均値をプロットし たものである.図・13,14より, 1方向載荷と2方向載荷の 実験結果の差は地盤種によりばらつきが見られる.また,累 積エネルギー吸収量はH種地盤で最も大きい値を示してい る.ill種地盤では実験が終了した時の供試体の損傷が著しく, 累積エネルギー吸収量が低下し,低い値になった. 3

2

6 最大荷重における相違 図-12はl方向独立載荷ハイブリッド実験におけるNS, E W方向の最大荷重(黒および灰色棒)と2方向同時載荷にお ける最大荷重(合成値)(白棒)を棒グラフに示したものであ 2方向載荷時の合成値の最大値は式。)より算出した.

-JE3

(31 3・2・5 る.

(7)

水平2方向同時載荷されたコンクリート充填銅製橋脚の耐震性能に関するハイブリッド実験 10 8 - 0 -1方 向 載 荷 --0--2方 向 載 荷 2 山 -r コ nヨ 65 咽 目 晶 、 , ‘

-咽 ム 咽 4

. , , ,

. 1 1 ・ ' E ' ' l l ' E a t -' E E E l -t E t E l l ' 叩 四 一 マ , -3 5 内 S 司 3 q 3 n 斗 ミ d n u 守 司 3 口1方向載荷の和 田2方向載梼の和 140 130 120 110 100 90 80

70 60 50 40 30 20 10 0

40 20 充填率(%) 最大応答変位の比較 国一15 40')。 (I種地盤) (立種地盤) (m種地盤) 図

-

1

3

累積エネルギー吸収量の比較 40%無充填 20% 40%無充填 2脱 無充填 20"10 - 0 -1方 向 載 荷 --0--2方 向 載 荷 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 0 ~ c

120 100 40 20 40 20 充填率(%) 残留変位の比較 圏一

1

6

(I種地盤) (II種地盤) (m種地盤) 国一

1

4

累積エネルギー吸収量の比較(平均値) 最大応答変位及び残留変位 図-15,16はコンクリート無充填, 20%充填, 40%充 填における1方向および2方向載荷ノ、ィブリッド実験で得 られた最大応答変位および残留変位の合成値を I種地盤, H種地盤,血種地盤について平均した図である . 0を l 方向載荷,口を2方向載荷で示す. 図・15に示すように,コンクリート無充填に比ベコンク リートを充填することにより最大応答変位を大幅に低減 させる効果が見られた.特に2方向載荷では無充填時に比 べ,最大応答変位が20%充填では約14%,40%充填では約 38%小さくなった.また1方向載荷と2方向載荷の差も小 さくなり,無知真に対して20%充填では27%,40%充填では, その差はほとんどなくなった. 図-16より,最大応答変位と同様に残留変位もコンクリート を充填することにより残留変位が低減する効果が見られ, 1方 向載荷はコンクリート無充填に対して20%充填では約53%, 40%充填では約72%小さくなった.また, 2方向載荷では コンクリート無充填に対して20%充填では約42%,40%充 填では約88%小さくなった.1方向載荷と2方向載荷の差 も小さくなり,無充填に対して20%知真では27%,40%充 填では,その差はほとんどなくなった. 最大荷重 図ー17は各充填率別の1方向載荷実験で得られたNS, E W方向と 2方向載荷実験で得られた最大荷重の 3つの地 盤穫について平均値したものである. 0は1方向NS,ム は 1方向 E W,口は 2方向載荷の合成値の最大荷重を示す. 図-17より, 1方向載荷と 2方向載荷ではほぼ同じ値を示 すが,コンクリートの充填率が増加すると,若干最大荷重 は増加したが,その変化の程度は最大応答変位や残留変位 に比べて小さい.以上からコンクリート充填の効果は最大 荷重の上昇に対して少なく,応答変位や残留変位に寄与す ることがわかる.最大荷重の変化が少ないことは橋脚下部 の基礎の耐力を向上させなくてよいことから好都合であ る.しかし,コンクリート20%充填ではコンクリートを充 填したことによって,基部鋼板の座屈が抑制されたが,コ ンクリート充填部直上の銅断面で座屈が発生し,コンクリ ート40%充填では,基部鋼板の座屈を有効に抑制でき,最 大荷重が他のものより若干大きくなった. 4・2 コンクリート充填率の影響

4

• 1

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.

エネルギー吸収量 図・18は,コンクリート無充填, 20%充填, 40%充填にお けるI方向載荷および2方向載荷実験から得られたエネルギ ー吸収量の和を平均したものである. 同図から,充填率が上昇しても, 1方向載荷と 2方向載荷の 差に一定の傾向は見られなかった. 4

3

(8)

3.0 2.0 。 岡 常 同 日 出 1.0 0.0 一-0-1方向NS 一 合 一1方向tw P・0--2方向載荷

20 40 充填率(%) 圏一17 最大荷重の比較 80 70I,J= 60 50

40 30 20 10

図-18 -0-1方向載荷 --0-明2方向載荷 20 40 充填率(%) エネルギー吸収量の比較 5凪 結論 本研究では,コンクリートを部分的に充填した橋脚に対 して, 3種類の地震波を用い,水平 1方向と 2方向同時載 荷するハイブリッド実験を行った.実験によって得られた 結論を以下にまとめる. 1方向載荷と2方向載荷の比較 (1)各充填率での最大応答変位及び残留変位は,地震波 によって異なるが, II種地盤と血種地盤では 1方向載荷と 2 方向載荷の結果の差が大きく,最大応答変位では約62%お よび約161%と2方向載荷のほうが大きくなった.また,残 留変位はそれぞれ約344%および約408%と大きくなった このことから,地震波よっては, 2方向同時載荷による橋 脚への影響が大きくなり, 1方向載荷の結果での耐震照査 では,危険側の評価結果となる可能性がある. (2)水平2方向載荷を受ける橋脚の最大荷重は,各I方向の 最大荷重の平均値とほぼ同じである(平均誤差5%).このこと から, 215向載荷時の最大荷重は1方向載荷時のNS,EW方 向の各最大荷重の平均値から推測できるといえる. コンクリート充填による効果 (1)部分的にコンクリートを充填することにより,基部 鋼板の座屈が抑制され,最大応答変位及び残留変位は低減 され, 1方向と 2方向載荷実験の差も小さくなった.特に 40%充填においてはその効果が顕著に表れた.しかし, 20%充填では,コンクリート充填部直上の鋼断面で座屈を 生じたため,コンクリート充填部で確実に破壊が生じるよ うに充填高さを設定することが望ましい. (2)最大荷量はコンクリートを部分的に充填しでも, 1方 向載荷か2方向載荷でほとんど違いが見られず,充填率が 高くなると,最大荷重の値は大きくなったが,大きな上昇 は見られなかった. 参考文献 1)党紀,中村太郎,青木徹彦,鈴木森晶:正方形断面銅製橋 脚の水平2方向載荷ノ、イブリッド実験,構造工学論文集, 土木学会,同1.56,pp.367司380,2010.3 2 幻)宇佐美勉,葛漢彬 填した無補剛箱形鋼柱の繰り返し弾塑性挙動,構造工 学論文集,土木学会,同1.(A),pp.249酬262,1993.3 3)葛漢彬,宇佐美勉,戸谷和彦:繰り返し荷重を受けるコン クリート充填柱の強度と変形能に関する研究,構造工 学論文集,土木学会,Vo1.40(A),pp.163司176,1994.3 4)葛西昭,葛漢彬,宇佐美勉:コンクリート部分充填鋼製橋 脚の耐震性能,橋梁と基礎,pp.23-29,1997.7 5)葛漢彬,宇佐美勉:コンクリートを部分的に充填した鋼 箱形断面柱の終局強度と変形能に関する解析的研究, 土木学会論文集,No. 696/I-58,pp.285・298,2002.1 6)葛漢彬,宇佐美勉,戸谷和彦:繰り返し荷重を受けるコン クリート充填鋼柱の強度と変形性能に関する研究構造 論文集,Vo1.40,App163.-176,1994.3 7) H.B. Ge, K.A.S. Susantha, Y Satake, T. Usarni: Seismic demand predictions of concrete-filled steel box columns, Eng. Strut. , ¥ゐ1.25・pp.337・345,2003

8) 日本道路協会:道路橋示方書・同解説V耐震設計編, 丸善,2002.4.

参照

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