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日本佛教學會年報 第67号 009中條 曉秀「高座説教に見られる日蓮神話」

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Academic year: 2021

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身 延 山 大 学

本 稿 は 、 末 木 文 美 士 著 神 話 と 事 実 ︵ 日 入 門 所 収 、 平 成 十 二 年 ・ 筑 摩 書 房 ︶ 及 び 松 尾 剛 次 著 祖 師 神 話 と 世 僧 僧 団 の 救 済 活 動 ︵ 新 版 鎌 倉 新 仏 教 の 成 立 所 収 、 昭 和 六 十 三 年 ・ 吉 川 弘 文 館 ︶ の 論 稿 に 触 発 さ れ 、 二 〇 〇 〇 一 年 度 学 術 大 会 の 共 同 テ ー マ 仏 教 信 仰 の 種 々 相 と に 鑑 み て 、 日 宗 高 座 説 教 に 見 ら れ る 祖 師 神 話 、 す な わ ち 、 日 神 話 乃 至 日 伝 神 話 に つ い て の 若 干 の 報 告 で あ る 。

ま ず 日 宗 の 高 座 説 教 に つ い て 概 観 す る 。 尚 、 本 来 な ら ば 高 座 説 教 の 変 遷 及 び 繰 り 弁 の 年 序 的 経 過 に つ い て 吟 味 し 、 述 べ る べ き で あ ろ う が 、 口 伝 な る が ゆ え に 資 料 が 存 せ ず 比 較 検 討 出 来 な い と い う の が そ の 実 際 で あ る 。 し た が っ て 、 現 行 の 高 座 説 教 に 関 す る 記 述 の 大 半 は 、 一 、 布 教 院 教 案 ︵ 日 宗 布 教 院 発 行 ︶ 一 一 五 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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二 、 高 座 説 教 に 生 き て ︵ 守 尾 日 裕 上 人 遺 稿 集 刊 行 委 員 会 編 、 平 成 四 年 、 同 委 員 会 発 行 ︶ 三 、 日 宗 事 典 第 四 、 布 教 ・ 社 教 部 門 ︵ 日 宗 事 典 刊 行 委 員 会 編 、 昭 和 五 十 六 年 、 日 宗 々 務 院 発 行 ︶ の 三 点 に 尽 き 、 本 稿 も こ れ ら に よ る と こ ろ 大 で 1 あ る 。 さ て 日 宗 高 座 説 教 と は 、 信 者 大 衆 よ り 一 段 高 く 設 け た 席 で 行 う 説 教 の こ と で 、 高 さ 四 尺 五 寸 、 幅 四 尺 四 寸 、 奥 行 三 尺 五 寸 の 台 を 用 い 、 主 に 繰 り 弁 を 入 れ た 説 教 儀 式 の こ と で あ る 。 説 教 を 行 う 場 合 、 何 ら か の 台 を 用 い る こ と は 古 来 よ り あ る が 、 日 宗 の よ う な 高 い 台 か ら 、 し か も 儀 式 に し た が っ て 行 う 形 式 は 他 に 例 を 見 な い 。 日 宗 に お い て こ の 形 式 が 確 立 し た の は 、 江 戸 時 代 中 期 と い う が 、 確 た る 史 料 は な い 。 た だ 身 延 山 久 遠 寺 を は じ め と す る 霊 跡 諸 本 山 の 出 開 帳 が 盛 ん に 行 な わ れ 、 名 説 教 師 と い わ れ る 人 々 が 多 数 輩 出 し た の と 、 時 を 同 じ う し て い る と 見 て 差 し 支 え な か ろ う 。 周 知 の よ う に 高 座 は 、 木 製 で 、 回 り を 金 襴 な ど で 作 っ た 高 座 掛 け で 覆 い 、 上 部 を 板 で 押 え 、 経 箱 ・ 金 丸 ・ 科 箱 な ど の 用 具 は 、 こ の 板 の 上 に 置 く 。 説 教 師 は 侍 者 ︵ 科 箱 を 持 つ ︶ を 従 え て 入 場 。 ご 本 尊 に 一 拝 、 ま た は 焼 香 し て 後 登 高 座 す る 。 以 降 は 資 料 篇 ︵ 一 ︶ の 登 高 座 儀 相 順 序 ︵ 作 法 ︶ を 参 照 願 い た い 。 次 に 繰 り 弁 に つ い て で あ る 。 繰 り 弁 と は 、 日 と そ の 門 下 の 伝 説 を 語 呂 の よ い 言 葉 、 調 子 の よ い 口 調 、 抑 揚 の あ る 語 り で 構 成 さ れ た 説 教 を い い 、 日 の 一 生 を 誕 生 か ら 入 滅 に 至 る 約 八 十 話 乃 至 七 十 話 に ま と め 、 ま た 、 約 十 話 の 外 伝 ︵ 門 下 ・ 信 徒 が 主 役 の 伝 記 ︶ が あ る 。 こ の 繰 り 弁 の 語 が い つ の 時 代 に 名 づ け ら れ た か は 不 明 で 、 恐 ら く 繰 り 返 し 語 る と こ ろ か ら こ の 語 が 生 ま れ た も の と 思 わ れ る 。 そ し て 、 名 調 子 を 以 て 語 ら れ る 日 伝 及 び 外 伝 は 、 江 戸 時 代 末 期 に は ほ ぼ 出 来 上 が っ て い た 一 一 六 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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模 様 で あ る 。 と こ ろ で 、 繰 り 弁 の 成 立 を え る 場 合 、 繰 り 弁 は 、 祖 伝 及 び 先 師 伝 で あ っ て 釈 尊 伝 で は な い こ と 。 こ れ は 浄 土 真 宗 の 節 談 説 教 と 同 じ で 、 江 戸 時 代 と い う 時 代 の 落 ち つ き と 共 に 固 定 化 し た 祖 師 信 仰 の 高 ま り に よ る こ と 。 幕 藩 体 制 下 、 檀 家 制 度 の 確 立 と と も に 、 自 宗 が い か に 勝 れ て い る か を 説 く よ り も 、 い わ ば 身 内 の 人 々 に 祖 師 上 人 が い か に 有 り 難 い か を 説 い た 方 が 信 仰 効 果 は 高 い 、 と 判 断 し た こ と 。 こ れ ら が そ の 成 立 背 景 に あ る と え ら れ よ う 。 特 に 有 り 難 さ を 主 体 と す る と な る と 、 自 然 口 調 も 淀 み な く 流 れ る よ う 、 抑 揚 よ ろ し き を 得 た 語 り が 、 大 衆 受 け す る こ と は 明 ら か で 、 よ っ て 時 に は 役 者 の 真 似 事 ま で す る 説 者 が い た と さ え い わ れ て い る 。 こ う し た 土 壌 、 流 れ の 中 で 繰 り 弁 は 培 わ れ て い っ た も の と 思 わ れ る 。 そ し て 、 繰 り 弁 の 構 成 で あ る が 、 人 々 に 最 も 親 し ま れ て い る 文 八 の 四 條 訣 別 の 弁 を 例 と し て 紹 介 す る こ と と し よ う 。 資 料 篇 ︵ 二 ︶ を 参 照 願 い た い 。 訣 別 の 弁 の 全 文 を 掲 げ た 。 そ し て 、 繰 り 弁 を 演 じ る 上 に お い て 、 特 に 注 意 を 払 わ ね ば な ら ぬ と こ ろ を 記 す 。 な お 文 八 と は 、 日 の 文 永 八 年 の 法 難 の 略 称 で あ る 。 四 條 訣 別 の 弁 は 、 傍 線 ① で 始 ま る が 、 こ れ は 語 り と い わ れ る 部 分 で 、 繰 り 弁 の 場 合 、 い き な り 語 り か ら 入 る こ と は な い 。 四 條 訣 別 の 弁 の 場 合 も 当 然 そ の 原 因 と な っ た 、 例 え ば 忍 性 と の 祈 雨 論 争 の こ と な ど が 、 ご く 普 通 の 口 調 で 語 ら れ 説 明 さ れ る 。 こ の 説 明 の 部 分 は 繰 り 弁 と は い わ な い 。 傍 線 ② は 対 話 で あ る 。 目 上 の 者 ︵ 日 の 場 合 な ど ︶ の 時 は 、 説 者 の 右 下 に 目 線 を 当 て て 話 し 、 目 下 の 時 は 左 上 に 当 て 、 体 を 少 し つ め て 話 す 。 ま た 、 目 上 の 者 の 口 調 は ゆ っ く り で 、 子 供 は 少 し 早 目 で あ る 。 こ こ で 登 場 の 四 條 金 吾 一 一 七 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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な ど の 若 者 は 声 を 響 か せ る 。 老 人 の 時 は ゆ っ く り 、 低 く 発 声 す る な ど の 心 配 り が 大 切 と な る 。 最 後 の 傍 線 部 の ③ は 道 行 き と い わ れ 、 一 種 の う た で あ る 。 こ の 場 の 情 景 を 如 実 に 現 わ し て い る 。 こ の よ う に 繰 り 弁 は 、 語 り ・ 対 話 ・ 道 行 き の 組 み 合 わ せ か ら 成 る 。 中 で も 語 り と 対 話 が 大 半 で 、 道 行 き は い わ ば 聴 衆 の 感 情 に 訴 え る 役 所 で あ る 。 し た が っ て 、 高 座 説 教 は 繰 り 弁 そ れ だ け で 成 立 せ ず 、 そ の 前 に 法 華 経 の 教 説 を 法 ・ 譬 ・ 因 に よ っ て 説 明 す る 前 説 と 呼 ば れ る 法 話 が 終 わ っ て 、 法 話 の 総 ま と め と し て 繰 り 弁 が 登 場 す る の で あ る 。 繰 り 弁 は 一 座 の 説 教 の 正 し さ の 証 明 と し て の 位 置 づ け で あ る 。

冒 頭 で 紹 介 し た 松 尾 剛 次 氏 は 、 そ の 著 鎌 倉 新 仏 教 の 成 立 で 、 鎌 倉 新 仏 教 の 特 徴 と し て 祖 師 神 話 の 形 成 と い う こ と を 挙 げ て い る 。 松 尾 氏 に よ れ ば 先 学 は ほ か の 史 料 と 突 き 合 わ せ て 、 神 話 的 存 在 と し て の 祖 師 で は な く 歴 史 的 存 在 と し て の 祖 師 に 迫 ろ う と さ れ て き た 。 よ う す る に 、 神 話 の 部 分 は 切 り 捨 て ら れ て き た の で 2 あ る 。 の に 対 し 、 松 尾 氏 は 私 は そ う し た 方 法 を と ら ず 、 ま ず 神 話 自 体 に 注 目 す る 。 ︵ 中 略 ︶ あ る 祖 師 の 有 す る 神 話 が 事 実 で あ る か 否 か は 、 問 題 と せ ず 、 か れ が そ の 神 話 を 有 す る こ と 、 祖 師 に ど う い う 神 話 が 付 会 さ れ て い る か を 問 題 と 3 す る と い う の で あ る 。 松 尾 氏 の い う 先 学 の 方 法 と は 、 末 木 氏 は 前 掲 の 日 入 門 で か か る 点 を 会 通 し て 云 く 歴 史 的 人 物 、 す な わ ち 人 間 と し て の 祖 師 と 、 神 話 的 存 在 と し て の 祖 師 と を 分 け 、 人 間 と し て の 祖 師 を 明 ら か に す る と い う も の で 、 そ れ に よ っ て 近 代 の 合 理 主 義 的 な 立 場 か ら の 祖 師 の 人 間 像 が 明 ら か に さ れ て き た 。 神 話 的 存 在 と し て の 祖 師 は 、 弟 子 た ち の 一 一 八 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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崇 拝 の 結 果 生 ま れ た と え る の で あ る 。 だ か ら 、 そ の よ う な 神 話 は 不 純 で 、 第 二 義 的 な も の と え ら れ た の で あ る 。 そ れ に 対 し て 、 松 尾 氏 は 教 団 史 的 な 立 場 か ら 、 仏 教 の 教 え が ど の よ う に 民 衆 に 受 け 入 れ ら れ て き た か を 明 ら か に す る に は 、 祖 師 自 身 の 教 え よ り も 、 教 団 が ど の よ う な 祖 師 像 を 描 い て 、 民 衆 に 説 い た か が 重 要 だ と す る の で 4 あ る 。 と 。 以 下 、 松 尾 氏 は M ・ エ リ ア ー デ 著 の 永 遠 回 帰 の 神 話 祖 型 と 反 復 ︵ 堀 一 郎 訳 、 一 九 五 三 年 、 未 来 社 ︶ を 援 用 し て 、 そ の 理 由 と さ れ て い る 。 要 す る に 、 教 団 が ど の よ う な 祖 師 像 を 描 い て 大 衆 に 説 い た か 、 ま た 、 大 衆 は ど の よ う な 祖 師 を 望 ん だ か 、 祖 師 は ど う あ っ て 欲 し い の か 、 い わ ば 祖 師 へ の 渇 仰 恋 慕 の 姿 こ そ が 重 要 で あ る と す る の で あ る 。

翻 っ て 、 上 述 の か か る 問 題 を 日 宗 伝 統 の 高 座 説 教 繰 り 弁 を 通 し て 、 特 に 文 永 八 年 の 法 難 召 捕 の 弁 ・ 土 壇 場 の 弁 を 事 例 と し て 察 す る 。 資 料 篇 ︵ 三 ︶ ・ ︵ 四 ︶ の 召 捕 の 弁 及 び 土 壇 場 の 弁 関 連 遺 文 を 参 照 願 い た い 。 召 捕 は 一 〇 点 を 、 土 壇 場 は 一 三 遺 文 が 関 連 す る 。 そ の 中 心 は 種 種 御 振 舞 御 書 で あ る 。 周 知 の よ う に こ の 御 振 舞 抄 は 身 延 曽 存 に も か か わ ら ず 真 偽 未 決 の 論 が あ っ た こ と も 事 実 。 し か し 、 こ の 問 題 は 山 川 智 応 博 士 の 日 聖 人 研 究 二 巻 ︵ 昭 和 六 年 ・ 新 潮 社 ︶ 所 収 の 論 稿 種 種 御 振 舞 御 書 は 偽 書 に 非 ず を 以 て 最 終 と し て 5 い る 。 召 捕 さ て 、 自 ら 神 話 を 紡 ぎ 6 出 す と は 、 末 木 氏 の 前 掲 著 の 言 葉 で あ る が 、 自 ら 神 話 を 紡 ぎ 出 す 人 と し て の 日 は 、 一 一 九 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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文 永 八 年 の 竜 口 法 難 の 自 身 の 記 述 に 最 も 顕 著 で 、 繰 り 弁 に お い て も 同 様 で あ る 。 逆 に い え ば 、 竜 口 法 難 が ド ラ マ テ ィ ッ ク で あ る が ゆ え に 、 繰 り 弁 と な り 得 た 、 と い え よ う 。 例 え ば 資 料 篇 ︵ 三 ︶ の 召 捕 り 関 連 遺 文 を 往 見 願 い た い 。 日 は 文 永 八 年 九 月 十 二 日 、 遂 に 捕 え ら れ る 。 追 手 の 中 心 人 物 は 、 得 宗 被 官 の 平 左 衛 門 尉 頼 綱 で あ る 。 こ の 頼 綱 に 向 っ て 日 は 、 ︵ 一 ︶ の 佐 渡 御 書 で 去 年 九 月 十 二 日 、 御 勘 気 を 蒙 る の 時 、 大 音 声 を 放 っ て よ ば わ り し 事 、 こ れ な る べ し 。 ︵ 四 ︶ の 種 種 御 振 舞 御 書 で は 、 日 大 高 声 を 放 っ て 申 す 、 あ ら を も し ろ や 、 平 左 御 門 が も の に く る う を 見 よ 。 と 、 語 る の で あ る 。 以 下 、 時 ・ 報 恩 の 両 抄 に も 自 ら 記 録 す る と こ ろ で あ る 。 こ れ が 繰 り 弁 に な る と 、 資 料 篇 ︵ 五 ︶ の 召 捕 の 弁 の A を ご 覧 い た だ き た い 。 小 気 味 良 く 、 正 々 堂 々 、 臆 す る こ と の な い 日 が 描 か れ て い る こ と が 、 理 解 願 え よ う か と 思 う 。 ま た 、 こ の 召 捕 の 光 景 で 日 は 、 種 々 御 舞 抄 の 表 現 を 借 る と 、 関 連 遺 文 ︵ 四 ︶ 六 行 目 の 、 さ て 平 左 衛 門 尉 が 一 の 郎 徒 少 輔 房 と 申 す 者 は し り よ り て 、 日 が 懐 中 せ る 法 華 経 の 第 五 巻 を 取 出 し て 、 お も て を 三 度 さ い な み て 、 さ ん ざ ん と う ち ち ら す 、 と 、 こ の 許 し 難 い 所 行 に 対 す る 日 の 憤 劇 は 凄 ま じ く 関 連 遺 文 ︵ 五 ︶ 、 ︵ 六 ︶ 、 ︵ 七 ︶ 、 ︵ 九 ︶ に そ れ ぞ れ 述 べ ら れ 、 ︵ 十 ︶ の 弘 安 二 年 卯 月 二 十 日 系 年 の 上 野 殿 御 返 事 に 至 る と 、 天 台 伝 教 と 自 身 と の 法 難 色 の 濃 淡 を 、 刀 杖 と 杖 木 と の 違 い を 以 て 浮 き 彫 り に し て 後 、 顕 仏 未 来 記 ︵ 定 遺 七 四 一 頁 ︶ 等 に 見 ら れ る 未 来 記 の 術 語 を 、 不 思 議 な 一 二 〇 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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る 未 来 記 の 経 文 也 と い う 。 そ し て 、 日 は い う 凡 夫 な れ ば う た て け る 間 、 つ え を も う ば い 、 力 あ る な ら ば 踏 折 り と 、 憤 懣 や る せ な い 思 い と 、 一 方 未 来 記 の 符 合 と い う 歴 史 的 必 然 に 思 い を 馳 せ る の で あ る 。 こ れ が 繰 り 弁 に な る と 資 料 篇 ︵ 五 ︶ の B を ご 覧 願 い た い 。 力 あ る な ら ば 、 こ の 腕 を も ね じ 折 ら ん ず と し 、 そ し て 、 打 た れ し 第 五 の 巻 は 、 提 婆 ・ 勧 持 の 両 品 が 収 め ら れ て い て 、 特 に 勧 持 品 の 二 十 行 の 文 の 色 読 を 顕 著 に 表 現 す る の で あ る 。 土 壇 場 何 と い っ て も 文 永 八 年 の 法 難 の ク ラ イ マ ッ ク ス は 、 光 り 物 で あ ろ う 。 日 は 大 事 の 難 四 度 な り 。 ・ ・ ・ ・ ・ 今 度 は す で に 我 身 に 及 フ 。 ︵ 開 目 抄 定 遺 五 五 七 頁 ︶ と 述 べ る が 、 こ れ こ そ が 日 伝 を 彩 る 様 々 な 出 来 事 の 中 で の 最 大 の 奇 蹟 、 い わ ゆ る 祖 師 神 話 、 日 神 話 の 中 で も 最 も ド ラ マ テ ィ ッ ク な シ ー ン で あ る 。 日 は 一 期 の 大 事 ︵ 定 遺 五 六 一 頁 ︶ ・ か た み ︵ 同 五 九 〇 頁 ︶ と 語 る 文 永 九 年 二 月 脱 稿 の 開 目 抄 で 、 日 と い ゐ し 者 は 去 年 九 月 十 二 日 子 丑 の 時 頸 は ね ら れ ぬ 。 此 は 魂 魄 佐 土 の 国 に い た り て ︵ 定 遺 五 九 〇 頁 ︶ と あ る に よ っ て 、 こ の 竜 口 法 難 の 九 月 十 二 日 の 出 来 事 は 、 日 に と っ て 最 も 大 き な 転 換 点 と な っ た に 違 い な い 。 と こ ろ で こ の 光 り 物 の こ と で あ る が 、 資 料 篇 ︵ 四 ︶ の 土 壇 場 関 連 遺 文 を 見 て も 明 ら か な よ う に 、 こ の こ と は 、 ︵ 一 ︶ の 四 條 金 吾 殿 御 消 息 、 ︵ 五 ︶ の 種 種 御 振 舞 御 書 、 ︵ 十 ︶ の 妙 法 比 丘 尼 御 返 事 の 三 遺 文 の み の 記 載 で あ る 。 意 地 悪 く い え ば 、 こ の 三 遺 文 は み な 偽 疑 書 の 色 彩 を 持 つ も の ば か り で は な い か 、 と の 批 判 も あ ろ う が 、 そ れ は と も か く 繰 り 弁 に な る と 、 資 料 篇 ︵ 六 ︶ の C を 参 照 願 い た い 。 総 じ て 繰 り 弁 に な る と 、 日 信 徒 の 要 望 に 応 え て か 、 全 て 劇 的 に な る 。 古 来 、 日 伝 に は 竜 口 で 刀 が 三 つ に 折 一 二 一 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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れ て 飛 び 散 っ た こ と を 伝 え る が 、 土 壇 場 関 連 遺 文 ︵ 十 三 ︶ の 法 華 本 門 宗 要 抄 は 、 太 刀 忽 折 親 没 落 と 記 す 。 当 時 の 人 々 は 刑 場 の 不 思 議 な 天 変 を よ り 強 調 し て 刀 尋 段 々 壊 の 妙 法 華 経 観 世 音 菩 普 門 品 の 文 は 、 当 然 日 の 身 に 現 れ て 然 る べ き と え 、 こ れ が 事 実 そ う な っ た 、 と 人 々 に 語 り 伝 え ら れ た も の で あ 7 ろ う 。 身 延 山 十 一 世 の 行 学 日 朝 ︵ 一 四 二 二 ∼ 一 五 〇 〇 ︶ の 元 祖 化 導 記 は 、 種 種 御 振 舞 御 書 の 文 を 8 引 く の み で 、 こ の 刀 尋 段 々 壊 の 文 を 記 録 す る こ と を 許 さ な か っ た が 、 少 し 後 輩 に な る 円 明 日 澄 ︵ 一 四 四 一 ∼ 一 五 一 〇 ︶ の 画 讃 、 資 料 篇 ︵ 写 真 ︶ を ご 覧 頂 き た い 。 9 画 讃 に な る と 、 刀 尋 段 々 壊 を 取 り 上 げ 、 こ れ 以 降 日 伝 の 通 説 と な る の で 10 あ る 。 正 に 日 伝 の 神 話 化 の 象 徴 と い え よ う 。

幕 末 成 立 の 武 江 年 表 に よ る と 、 甲 州 身 延 山 祖 師 開 扉 に 付 き 、 江 戸 到 着 の 日 、 迎 い の 人 数 品 川 よ り 日 本 橋 つ 11 づ く と あ る 。 こ の 出 開 扉 の 折 に は 、 当 然 の ご と く 高 座 説 教 ・ 繰 り 弁 が 展 開 さ れ 、 特 に 竜 口 土 壇 場 の 弁 な ど が 演 じ ら れ た こ と で あ ろ う 。 こ の 繰 り 弁 を 演 じ る こ と 自 体 が 祖 師 神 話 化 、 日 神 話 化 に つ な が る こ と を 申 し 添 え 、 む す び と す る 。 1 こ の 項 は 日 宗 事 典 の 繰 り 弁 ︵ 八 五 五 頁 ︶ の 項 及 び 高 座 説 教 ︵ 八 五 六 頁 ︶ の 項 参 照 。 2 二 六 六 頁 参 照 3 二 六 六 頁 ∼ 二 六 七 頁 参 照 一 二 二 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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4 五 二 頁 ∼ 五 三 頁 参 照 5 日 聖 人 遺 文 辞 典 ︵ 歴 史 篇 ︶ の 種 種 御 振 舞 御 書 ︵ 五 一 四 頁 ∼ 五 一 六 頁 ︶ の 項 参 照 6 五 五 頁 参 照 7 宮 崎 英 修 著 日 と そ の 弟 子 ︵ 八 五 頁 、 平 成 九 年 ・ 平 楽 寺 書 店 ︶ 参 照 8 日 上 人 伝 記 集 ︵ 日 全 所 収 一 九 頁 ∼ 二 〇 頁 ︶ 参 照 9 巻 三 、 第 十 六 竜 口 の 項 参 照 10 宮 崎 英 修 前 掲 著 ︵ 八 五 頁 ∼ 八 六 頁 ︶ 参 照 11 五 五 五 頁 ︵ 東 洋 文 庫 ︶ 参 照 一 昭 和 定 本 日 聖 人 遺 文 は 定 遺 、 日 宗 々 学 全 書 は 宗 全 、 日 宗 全 書 は 日 全 と そ れ ぞ れ 略 称 し た 。 二 繰 り 弁 は 、 い わ ゆ る 繰 り 弁 調 と い わ れ る 独 特 の 口 調 が あ る 。 三 印 は 笏 を 打 つ 場 所 示 す 。

資 料 ︵ 一 ︶ 作 法 一 、 一 拝 | 身 業 説 法 の 気 持 ち で の 一 拝 。 二 、 開 経 | 経 箱 の ふ た を 開 き 、 経 巻 を 目 八 分 の 高 さ で 拝 す る 。 三 、 中 啓 | 中 啓 、 笏 を 定 位 置 に お く 。 四 、 書 物 | 祖 書 中 の 拝 読 個 所 を 確 認 。 五 、 焼 香 | ︵ 1 ︶ 天 魔 波 旬 の 遠 離 、 ︵ 2 ︶ 仏 祖 の 影 現 、 ︵ 3 ︶ 諸 天 善 神 の 影 現 を 念 ず る 。 六 、 散 華 | 仏 を 請 じ 供 養 す る 。 七 、 願 文 | 香 炉 を 持 ち 、 一 拝 、 願 文 を 唱 え る 。 八 、 経 文 | 講 題 に そ っ た 経 文 を 訓 読 す る 。 寿 量 品 の 文 は 後 座 の み 引 用 す る と の 口 伝 あ り 。 九 、 讃 文 。 十 、 唱 題 。 十 一 、 説 前 回 向 。 十 二 、 祖 書 。 十 三 、 讃 歎 文 。 十 四 、 呑 茶 | 談 義 前 に 一 口 し め し 、 同 時 に 心 を 落 ち つ け る 。 十 五 、 談 義 。 十 六 、 祖 伝 | 竜 口 は 後 座 の み の 口 伝 あ り 。 十 七 、 説 後 回 向 。 十 八 、 宝 塔 | 高 座 を 下 り る 。 一 二 三 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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資 料 ︵ 二 ︶ 四 條 訣 別 の 弁 ① 文 永 八 年 九 月 十 二 日 、 我 が 祖 日 大 聖 人 裸 馬 に 召 さ せ 給 い 、 鎌 倉 の 大 町 小 町 雪 の 下 、 大 路 小 路 を 引 廻 し 、 御 霊 の 社 の 前 に か か ら せ 給 う 。 ② お 役 人 、 こ の 馬 暫 し 止 め さ せ 給 え 。 こ こ に 別 れ を 告 ぐ る 者 あ り と 仰 言 る と 御 馬 が シ ャ ン と と ま っ た 。 熊 王 殿 、 御 身 大 儀 な が ら こ の 社 の 後 、 四 条 金 吾 の 館 に 参 り 、 こ の 数 年 が 間 御 帰 依 下 さ れ た る 日 も 今 宵 は 片 瀬 龍 ノ 口 、 最 期 に 御 別 れ な 申 上 げ た し と 、 お 伝 え 下 さ れ か し か し こ ま っ て 御 座 り ま す る と 熊 王 四 郎 、 社 を 通 り 抜 け て 四 条 金 吾 の 館 へ 御 注 進 。 四 条 金 吾 頼 基 ・ 田 中 勘 四 郎 等 兄 弟 四 人 、 ス ワ 大 聖 人 の 御 一 大 事 と 、 取 る 物 も 取 り 敢 え ず 立 ち 出 で 給 う を 奥 方 の 日 眼 女 暫 し 待 た せ 給 え 、 国 の た め 法 華 経 の た め に は 我 が 身 を 思 う な 、 妻 子 を 忘 れ よ と 、 大 聖 人 様 常 々 の 御 教 誡 、 御 身 に か か わ る 一 大 事 、 こ れ な る 御 装 束 を お 召 し 遊 ば し 、 霊 山 浄 土 の 御 伴 下 さ る べ し と 、 差 し 出 だ し た る 袱 紗 包 み 、 金 吾 頼 基 解 い て 御 覧 遊 ば せ ば 死 装 束 の 経 帷 子 ウ ー ン ! よ い 所 へ 気 が 付 い た と 早 速 御 身 に 着 し 、 大 小 お っ 取 り つ か み 差 し 、 後 追 わ せ 給 い た る が 七 里 ヶ 浜 の 取 り つ き 、 見 奉 つ れ ば お 馬 の 真 先 に は 日 法 師 ・ 今 宵 片 瀬 龍 ノ 口 に お い て 斬 罪 に 処 す べ き も の な り と 捨 て 札 一 枚 荒 け づ り 。 右 と 左 に は 警 固 の 役 人 い と 厳 重 に か ま え 、 後 に は 八 宗 九 宗 の 道 俗 ・ 男 女 ・ 人 の 小 山 を な し や ー い 日 、 念 仏 無 間 ・ 禅 天 魔 ・ 真 言 亡 国 ・ 律 国 賊 ・ 諸 宗 無 得 道 の 悪 口 雑 言 、 貴 様 の よ う な 坊 主 が タ タ ミ の 上 で 往 生 し ち ゃ ー 仏 も 法 も あ っ た も の ぢ ゃ ー ね ー と 思 っ た が 、 案 に た が わ ず 、 袈 裟 ・ 衣 を つ け た 坊 主 が 頸 切 ら れ る た ー 、 日 本 国 建 ち 始 ま っ て 今 日 が は じ め て だ ー い 。 ざ ま あ 見 や が れ 、 ざ ま あ を と 悪 口 雑 言 、 後 年 お 祖 師 様 が 御 妙 判 の 中 に 百 千 の イ カ ヅ チ 一 時 に 鳴 る が 如 し と 仰 言 っ た が 、 実 に ワ ー イ ワ イ と い う 大 さ わ ぎ 。 金 吾 頼 基 、 御 尊 顔 を 拝 し 奉 れ ば 打 た れ 叩 か れ し か 、 御 顔 の 色 も 常 と は 変 わ ら せ 給 い 、 召 さ れ た る 御 衣 も 千 切 れ 、 そ の 上 よ り は 縛 め つ よ き 三 寸 縄 い か な れ ば 、 い か な れ ば 法 華 経 の 御 文 は 虚 事 な る か 、 法 華 経 の 行 者 を 守 る 諸 天 善 神 は 此 の 世 に は 在 し ま さ ざ る か 、 事 も し 実 な れ ば 腹 十 文 字 に か っ さ ば き 、 霊 山 浄 土 に 参 り 釈 牟 尼 世 尊 に お 目 に か か り 、 あ な た が お 説 き な さ れ た る 法 華 経 は 虚 事 で 御 座 る 、 法 華 経 の 行 者 を 守 る 諸 天 善 神 ・ 仏 菩 は 日 本 国 に は 一 人 も 在 し ま さ ず と 、 さ し 切 っ て 言 上 仕 つ ら ん と 、 捨 身 決 定 、 双 肌 押 し ぬ ぎ 刀 の 柄 に 手 を か け 大 聖 人 た だ 今 参 上 。 一 二 四 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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お 馬 の 上 の お 祖 師 様 、 き き な れ た る 声 か な と 御 覧 遊 ば せ ば 、 背 中 に 現 わ れ た る 南 無 妙 法 華 経 ・ 死 装 束 の 経 帷 子 、 出 家 の 身 な れ ば と も か く も 、 妻 子 を 帯 せ る 在 俗 の 身 と し て 、 日 と 同 じ 不 借 身 命 の 決 心 、 い と 御 満 足 に 思 し 召 さ し 給 い 会 い た か り し ぞ 兄 弟 四 人 の 方 々 、 こ れ 程 の 喜 び を 見 て 何 嘆 か せ 給 う か 不 覚 の 殿 原 か な 、 笑 い 給 え 、 凡 そ 此 の 娑 婆 世 界 に 生 を 稟 け 一 度 死 す る は 世 の な ら い 、 雉 子 と な っ て は 鷹 に つ か ま れ 、 鼠 と 生 れ て は 猫 に ま る 。 妻 子 財 宝 の た め に 命 を 捨 て た る 者 は 大 地 微 塵 よ り も 数 多 し 、 さ れ ど 国 の た め 、 法 華 経 の 御 た め に 一 命 を 捨 て た る タ メ シ な し 。 故 に か か る あ さ ま し き 凡 夫 と は 生 れ た り 。 今 宵 、 此 の 臭 き 頭 を 法 華 経 に さ さ げ 奉 つ る は 、 砂 を 以 っ て 黄 金 に か え て 石 に 玉 を 商 え る が 如 し 、 こ れ に 過 ぎ た る 喜 び な し 。 日 貧 道 の 身 と 生 れ て 父 母 の 孝 養 心 に 足 ら ず 、 国 の 御 恩 に 報 ず る 力 な し 。 せ め て は 、 一 命 を 法 華 経 に 捧 げ 奉 り 国 の 御 恩 に 報 じ 、 父 と 母 と の 菩 提 を 弔 い 、 そ の 余 を ば 弟 子 檀 方 に は ぐ く べ き も の な り 。 お ん 身 等 兄 弟 四 人 は 日 と 同 心 の 行 者 、 と も に 龍 ノ 口 ま で 来 ら せ 給 え 、 正 法 の 行 者 日 が 頸 打 た る る 程 の 事 あ る な ら ば 、 定 ん で 不 思 議 な る 事 も や あ ら ん ず ら ん 。 最 後 の 様 見 届 け て 末 代 の 弟 子 檀 方 に 語 ら せ 給 え 、 申 し 置 く 事 他 に な し 。 早 や 馬 打 た せ 給 え 諸 役 人 。 ③ 兄 弟 四 人 は つ く づ く と 高 祖 の 顔 を 打 ち 守 り 、 泣 く 泣 く 御 馬 の 口 に と り す が り 、 止 む れ ど 早 き 駒 の 足 、 い つ 歩 む と も な く 七 里 ヶ 浜 、 浜 の 真 砂 の 数 々 よ り も 思 へ ば 多 き 今 宵 の 御 大 難 妙 の 御 法 の 腰 越 や 、 生 死 の 海 の 今 渡 る 磯 打 つ 浪 も か ま び す し く 生 死 離 れ ぬ 女 浪 と 男 浪 死 ん で 生 れ て ま た 死 ん で 生 る る 道 も こ の た び は 再 び 還 ら ぬ 寂 光 浄 土 。 生 死 は な れ し 御 身 に も 縛 つ よ き 三 寸 縄 御 身 に 罪 は ま し ま さ ね ど も か く な り 給 う も 我 れ 等 が た め 恵 ま せ 給 う 大 恩 な 何 時 の 世 に か は 報 じ た て ま つ ら ん 。 げ に 諸 天 昼 夜 の 御 計 ら い ま し ま さ ず ん ば 助 か り が た き 御 身 の 上 所 の 羊 の 一 足 ず つ に 縮 む 我 祖 の お ん 命 急 が ぬ 道 も い つ し か に 片 瀬 に 寄 す る 浪 の 音 。 あ ー ら 恐 ろ し や と 見 渡 せ 給 へ ば 早 や 刑 場 龍 ノ 口 資 料 ︵ 三 ︶ 繰 り 弁 召 捕 り ・ 関 連 遺 文 ︵ 一 ︶ 佐 渡 御 書 ︵ 定 遺 六 一 三 頁 ︶ 文 永 九 年 三 月 二 十 日 日 は 此 関 東 の 御 一 門 の 棟 梁 也 、 日 月 也 、 亀 鏡 也 、 眼 目 也 。 日 捨 去 時 七 難 必 起 べ し と 、 去 年 九 月 十 二 日 蒙 御 勘 気 一 二 五 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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之 時 大 音 聲 を 放 て よ ば は り し 事 こ れ な る べ し 。 ︵ 二 ︶ 神 国 王 御 書 ︵ 定 遺 八 九 二 頁 ︶ 文 永 十 二 年 二 月 京 妙 顕 寺 ︵ 真 ︶ 日 中 に 鎌 倉 の 小 路 を わ た す 事 朝 敵 の ご と し 。 其 外 小 に は 釈 尊 を 本 尊 と し 一 切 経 を 安 置 し た り し 其 室 を 刎 こ ぼ ち て 、 仏 像 経 巻 を 諸 人 に ふ ま す る の み な ら ず 、 糞 泥 に ふ み 入 れ 、 日 が 懐 中 に 法 華 経 を 入 ま い ら せ て 候 し を と り い だ し て 頭 を さ ん に 打 さ い な む 。 此 事 如 何 宿 意 も な し 。 当 座 の 科 も な し 。 た だ 法 華 経 を 弘 通 す る 計 の 大 科 な り 。 ︵ 三 ︶ 法 抄 ︵ 定 遺 九 五 四 ∼ 五 頁 ︶ 建 治 元 年 四 月 ︵ 身 延 曽 存 ︶ 去 文 永 八 年 九 月 十 二 日 の 御 勘 気 の 時 、 重 て 申 て 云 、 予 は 日 本 国 の 棟 梁 な り 。 我 を 失 は 国 を 失 な る べ し と 。 今 は 用 ま じ け れ ど も 後 の た め に と て 出 に き 。 ︵ 四 ︶ 種 種 御 振 舞 御 書 ︵ 定 遺 九 六 三 ∼ 四 頁 ︶ 建 治 元 年 或 二 年 ︵ 身 延 曽 存 ︶ 去 文 永 八 年 太 歳 辛 未 九 月 十 二 日 御 勘 気 を か ほ る 。 其 時 の 御 勘 気 の や う も 常 な ら ず 法 に す ぎ て み ゆ 。 了 行 が 謀 反 を を こ し 、 大 夫 律 師 が 世 を み だ さ ん と せ し を 、 め し と ら れ し に も こ え た り 。 平 左 衛 門 尉 大 将 と し て 数 百 人 の 兵 者 に ど う ま ろ ︵ 胴 丸 ︶ き せ て 、 ゑ ぼ う し ︵ 烏 帽 子 ︶ か け し て 、 眼 を い か ら し 聲 を あ ら う す 。 大 体 事 の 心 を 案 ず る に 、 太 政 入 道 の 世 を と り な が ら 国 を や ぶ ら ん と せ し に に ︵ 似 ︶ た り 。 た だ 事 と も み へ ず 。 日 こ れ を 見 て を も う や う 。 日 ご ろ 月 ご ろ を も ひ ま う け た り つ る 事 は こ れ な り 。 さ い わ ひ な る か な 、 法 華 経 の た め に 身 を す て ん 事 よ 。 く さ き か う べ ︵ 臭 頭 ︶ を は な た れ ば 、 沙 に 金 を か へ 、 石 に 珠 を あ き ︵ 貿 ︶ な へ る が ご と し 。 さ て 平 左 衛 門 尉 が 一 の 郎 徒 少 輔 房 と 申 者 は し り よ り て 、 日 が 懐 中 せ る 法 華 経 の 第 五 巻 を 取 出 し て 、 お も て ︵ 面 ︶ を 三 度 さ い な み て 、 さ ん ざ ん と う ち ち ら す 。 又 九 巻 の 法 華 経 を 兵 者 ど も 打 ち ら し て 、 あ る い は 足 に ふ み 、 あ る い は 身 に ま と ひ 、 あ る い は い た じ き ︵ 板 敷 ︶ た た み ︵ 畳 ︶ 等 家 の 二 三 間 に ち ら さ ぬ 所 も な し 。 日 大 高 聲 を 放 て 申 。 あ ら を も し ろ や 平 左 衛 門 尉 が も の に く る う を 見 よ 。 と の ば ら ︵ 殿 原 ︶ 、 但 今 ぞ 日 本 国 の 柱 を た を す 、 と よ ば は り し か ば 上 下 万 人 あ わ て て 見 し 。 ︵ 五 ︶ 時 抄 ︵ 定 遺 一 〇 五 三 ∼ 五 頁 ︶ 建 治 元 年 六 月 玉 沢 妙 法 華 寺 ︵ 真 ︶ 去 し 文 永 八 年 九 月 十 二 日 申 時 平 左 衛 門 尉 向 云 、 日 は 日 本 国 棟 梁 也 。 予 を 失 は 日 本 国 の 柱 を 倒 な り 。 只 今 に 自 界 一 二 六 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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反 逆 難 と て ど し う ち し て 、 他 国 侵 難 と て 此 の 国 の 人 々 他 国 に 打 殺 る の み な ら ず 、 多 く い け ど り に せ ら る べ し 。 建 長 寺 ・ 寿 福 寺 ・ 極 楽 寺 ・ 大 仏 ・ 長 楽 寺 等 の 一 切 の 念 仏 者 ・ 禅 僧 等 が 寺 塔 を ば や き は ら い て 、 彼 等 が 頸 を ゆ ひ の は ま に て 切 ら ず は 、 日 本 国 必 ほ ろ ぶ べ し と 申 侯 了 。 ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ︵ 中 略 ︶ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ あ ま さ へ ︵ 剰 ︶ 召 し 出 て 法 華 経 の 第 五 の 巻 を 懐 中 せ る を と り い だ し て さ ん と さ い な み 、 ︵ 六 ︶ 妙 密 上 人 御 消 息 ︵ 定 遺 一 一 六 八 ∼ 九 頁 ︶ 建 治 二 年 閏 三 月 五 日 法 華 経 の 第 五 巻 を も て 、 日 が 面 を 数 箇 度 打 た り し は 、 日 は 何 と も 思 は ず 、 う れ し く ぞ 侍 り し 。 不 軽 品 の 如 く 身 を 責 め 、 勧 持 品 の 如 く 身 に 当 て 貴 し 貴 し 。 ︵ 七 ︶ 南 條 殿 御 返 事 ︵ 定 遺 一 一 七 六 頁 ︶ 建 治 二 年 閏 三 月 二 十 四 日 富 士 大 石 寺 ︵ 真 ︶ 法 華 経 の 第 五 巻 を も て 日 が お も て ︵ 面 ︶ を う ち し な り 。 梵 天 帝 釈 是 を 御 覧 あ り き 。 鎌 倉 の 八 幡 大 菩 も 見 さ せ 給 き 。 ︵ 八 ︶ 報 恩 抄 ︵ 定 遺 一 二 二 二 ∼ 三 頁 ︶ 建 治 二 年 七 月 二 十 一 日 池 上 本 門 寺 ︵ 真 ︶ 去 文 永 八 年 九 月 十 二 日 平 左 衛 門 並 数 百 人 に 向 云 、 日 は 日 本 国 の は し ら ︵ 柱 ︶ な り 。 日 失 ほ ど な ら ば 日 本 国 の は し ら を た を す ︵ 倒 ︶ に な り ぬ 等 云 々 。 此 経 文 に 、 智 人 を 国 主 等 者 は 悪 僧 等 が ざ ん げ ん に よ り 、 若 は 諸 人 の 悪 口 に よ て 、 失 に あ つ る な ら ば 、 に は か に い く さ ︵ 軍 ︶ を こ り 、 又 大 風 ふ か せ 、 他 国 よ り せ む べ し 等 云 々 。 ︵ 九 ︶ 下 山 御 消 息 ︵ 定 遺 一 三 四 三 頁 ︶ 建 治 三 年 六 月 小 湊 誕 生 寺 ︵ 真 ︶ 教 主 釈 尊 よ り 大 事 な る 行 者 を 、 法 華 経 の 第 五 巻 を 以 て 日 が 頭 を 打 、 十 巻 共 に 引 散 て 散 々 に 踏 た り し 大 禍 は 、 現 当 二 世 に の が れ が た く こ そ 候 は ん ず ら め 。 ︵ 十 ︶ 上 野 殿 御 返 事 ︵ 定 遺 一 六 三 五 ∼ 六 頁 ︶ 弘 安 二 年 四 月 二 十 日 次 に 勧 持 品 に 八 十 万 億 由 佗 の 菩 の 異 口 同 音 の 二 十 行 の は 日 一 人 よ め り 。 誰 か 出 で て 、 日 本 国 ・ 唐 土 ・ 天 竺 三 国 に し て 、 仏 滅 後 に よ み た る 人 や あ る 。 又 我 よ み た り と な の る べ き 人 な し 。 又 あ る べ し と 覚 へ ず 。 及 加 刀 杖 の 刀 杖 二 字 の 中 に 、 も し 杖 の 字 に あ う 人 は あ る べ し 。 刀 の 字 に あ ひ た る 人 を き か ず 。 不 軽 菩 は 杖 木 瓦 石 と 見 た れ ば 杖 一 二 七 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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の 字 に あ ひ ぬ 。 刀 の 難 は き か ず 。 天 台 ・ 妙 楽 ・ 伝 教 等 は 刀 杖 不 加 と 見 た れ ば 、 是 又 か け た り 。 日 は 刀 杖 の 二 字 と も に あ ひ ぬ 。 剰 へ 刀 の 難 は 前 に 申 が ご と く 東 條 の 松 原 と 龍 口 と な り 。 一 度 も あ う 人 な き な り 。 日 は 二 度 あ ひ ぬ 。 杖 の 難 に は 、 す で に せ う ぼ う ︵ 少 輔 房 ︶ に つ ら を う た れ し か ど も 、 第 五 巻 を も て う つ 。 う つ 杖 も 第 五 巻 、 う た る べ し と 云 経 文 も 五 巻 、 不 思 議 な る 未 来 記 の 経 文 也 。 さ れ ば せ う ば う に 、 日 数 十 人 の 中 に し て う た れ し 時 の 心 中 に は 、 法 華 経 の 故 と は を も へ ど も 、 い ま だ 凡 夫 な れ ば う た て か り け る 間 、 つ え ︵ 杖 ︶ を も う ば ひ 、 ち か ら ︵ 力 ︶ あ る な ら ば ふ み お り ︵ 踏 折 ︶ す つ べ き こ と ぞ か し 。 然 れ ど も つ え は 法 華 経 の 五 巻 に て ま し ま す 。 い ま を も ひ い で た る 事 あ り 。 子 を 思 ふ 故 に や 、 を や ︵ 親 ︶ つ ぎ ︵ 槻 ︶ の 木 の 弓 を も て 、 学 問 せ ざ り し 子 に を し へ ︵ 教 ︶ た り 。 然 間 、 此 子 う た て か り し は 父 、 に く か り し は つ ぎ の 木 の 弓 。 さ れ ど も 終 に は 修 学 増 進 し て 自 身 得 脱 を き わ め 、 又 人 を 利 益 す る 身 と な り 、 立 還 て 見 れ ば 、 つ ぎ の 木 を も て 我 を う ち し 故 也 。 此 子 そ と ば ︵ 卒 婆 ︶ に 此 木 を つ く り 、 父 の 供 養 の た め に た て て む け ︵ 手 向 ︶ り と 見 へ た り 。 日 も 又 か く の 如 く あ る べ き 。 日 仏 果 を え む に 争 か せ う ば う が 恩 を す つ べ き や 。 何 況 法 華 経 の 御 恩 の 杖 を や 。 か く の 如 く 思 ひ つ づ け 候 へ ば 、 感 涙 を さ へ が た し 。 資 料 ︵ 四 ︶ 繰 り 弁 土 壇 場 ・ 関 連 遺 文 ︵ 一 ︶ 四 條 金 吾 殿 御 消 息 ︵ 定 遺 五 〇 五 頁 ︶ 文 永 八 年 九 月 二 十 一 日 月 天 子 は 光 物 と あ ら は れ 、 竜 口 の 頸 を た す け 、 ︵ 二 ︶ 開 目 抄 ︵ 定 遺 五 九 〇 頁 ︶ 文 永 九 年 二 月 ︵ 身 延 曽 存 ︶ 日 と い ゐ し 者 は 去 年 九 月 十 二 日 子 丑 の 時 に 頸 は ね ら れ ぬ 。 此 は 魂 魄 佐 土 の 国 に い た り て 、 返 年 の 二 月 雪 中 に し る し て 、 有 縁 の 弟 子 へ を く れ ば 、 を そ ろ し く て を そ ろ し か ら ず 。 み ん 人 い か に を ぢ ず ら む 。 此 は 釈 ・ 多 宝 ・ 十 方 の 諸 仏 の 未 来 日 本 国 当 世 を う つ し 給 明 鏡 な り 。 か た み と も み る べ し 。 ︵ 三 ︶ 富 木 殿 御 返 事 ︵ 定 遺 六 一 九 頁 ︶ 文 永 九 年 四 月 十 日 中 山 法 華 経 寺 ︵ 真 ︶ 日 臨 終 一 分 無 疑 。 刎 頭 之 時 殊 喜 悦 可 有 候 。 値 大 賊 大 毒 易 宝 珠 可 思 。 一 二 八 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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︵ 四 ︶ 真 言 諸 宗 違 目 ︵ 定 遺 六 四 〇 ∼ 一 頁 ︶ 文 永 九 年 五 月 五 日 中 山 法 華 経 寺 ︵ 真 ︶ 日 月 四 天 明 鏡 也 。 諸 天 定 知 日 。 日 月 十 方 世 界 明 鏡 。 諸 仏 定 知 日 。 一 分 不 可 疑 之 。 但 先 業 未 尽 也 。 日 当 流 罪 者 教 主 釈 尊 以 衣 覆 之 。 去 年 九 月 十 二 日 夜 中 脱 虎 口 。 必 仮 心 固 神 守 即 強 等 是 也 。 ︵ 五 ︶ 種 々 御 振 舞 御 書 ︵ 定 遺 九 六 七 頁 ︶ 建 治 元 年 或 二 年 ︵ 身 延 曽 存 ︶ 左 衛 門 尉 兄 弟 四 人 、 馬 の 口 に と り つ き て 、 こ し ご へ ︵ 腰 越 ︶ た つ ︵ 龍 ︶ の 口 に ゆ き ぬ 。 此 に て ぞ 有 ん ず ら ん と を も う と こ ろ に 、 案 に た が は ず 兵 士 ど も う ち ま は り さ わ ぎ し か ば 、 左 衛 門 尉 申 や う 。 只 今 な り と な ︵ 泣 ︶ く 。 日 申 や う 。 不 か く の と の ば ら か な 。 こ れ ほ ど の 悦 を ば わ ら へ か し 。 い か に や く そ く ︵ 約 束 ︶ を ば た が へ ら る る ぞ 、 と 申 せ し 時 、 江 の し ま ︵ 島 ︶ の か た よ り 月 の ご と く ひ か り た る 物 、 ま り ︵ 鞠 ︶ の や う に て 辰 巳 の か た よ り 戌 亥 の か た へ ひ か り わ た る 。 十 二 日 の 夜 の あ け ぐ れ ︵ 昧 爽 ︶ 、 人 の 面 も み へ ざ り し が 、 物 の ひ か り 月 よ ︵ 夜 ︶ の や う に て 、 人 々 の 面 も み な み ゆ 。 太 刀 取 目 く ら み た ふ れ 臥 し 、 兵 共 お ぢ 怖 れ 、 け う さ め ︵ 興 醒 ︶ て 一 町 計 は せ の き 、 或 は 馬 よ り を り て か し こ ま り 、 或 は 馬 上 に て う ず く ま れ る も あ り 。 日 申 や う 。 い か に と の ば ら 、 か ゝ る 大 に 禍 な る 召 人 に は と を ︵ 遠 ︶ の く ぞ 。 近 打 よ れ や 、 打 よ れ や 、 と た か だ か と よ ば わ れ ど も 、 い そ ぎ よ る 人 も な し 。 さ て よ ︵ 夜 ︶ あ け ば い か に 。 頸 切 べ く わ い そ ぎ 切 べ し 。 夜 明 な ば み ぐ る し ︵ 見 苦 ︶ か り な ん 、 と す ゝ す め ︵ 勧 ︶ し か ど も 、 と か く の へ ん じ も な し 。 ︵ 六 ︶ 一 谷 入 道 御 書 ︵ 定 遺 九 八 九 頁 ︶ 建 治 元 年 五 月 四 日 上 総 鷲 山 寺 ︵ 真 ︶ 文 永 八 年 太 歳 辛 未 九 月 十 二 日 重 て 御 勘 気 を 蒙 り し が 、 忽 に 頸 を 刎 ら る べ き に て あ り け る が 、 子 細 あ り け る か の 故 に し ば ら く の び て 、 北 国 佐 渡 の 嶋 ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ︵ 中 略 ︶ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ 日 本 国 の 主 と し て 少 も 道 理 を 知 ぬ べ き 相 模 殿 だ に も 、 国 を た す け ん と 云 者 を 子 細 も 聞 ほ ど か ず 、 理 不 尽 に 死 罪 に あ て が う 事 な れ ば 、 ︵ 七 ︶ 報 恩 抄 ︵ 定 遺 一 二 三 八 頁 ︶ 建 治 二 年 七 月 二 十 一 日 池 上 本 門 寺 ︵ 真 ︶ 去 文 永 八 年 辛 未 九 月 十 二 日 の 夜 は 相 模 国 た つ の 口 に て 切 る べ か り し が 、 い か に し て や あ り け ん 、 其 夜 は の び て 依 智 と い う と こ ろ へ つ き ぬ 。 一 二 九 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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︵ 八 ︶ 下 山 御 消 息 ︵ 定 遺 一 三 三 二 ∼ 三 頁 ︶ 建 治 三 年 六 月 小 湊 誕 生 寺 ︵ 真 ︶ 案 に た が は す 、 去 文 永 八 年 九 月 十 二 日 に 都 て 一 分 の 科 も な く し て 佐 土 国 へ 流 罪 せ ら る 。 外 に は 遠 流 と 聞 し か ど も 、 内 に は 頸 を 切 と 定 ぬ 。 ⋮ ︵ 中 略 ︶ ⋮ 抑 日 本 国 の 主 と な り て 、 万 事 を 心 に 任 給 へ り 。 何 事 も 両 方 を 召 合 て こ そ 勝 負 を 決 し 御 成 敗 を な す 人 の 、 い か な れ ば 日 一 人 に 限 て 諸 僧 等 に 召 合 せ ず し て 大 科 に 行 る ゝ ら ん 。 是 偏 に た だ 事 に あ ら ず 。 た と ひ 日 は 大 科 の 者 な り と も 国 は 安 穏 な る べ か ら ず 。 御 式 目 を 見 に 、 五 十 一 箇 条 を 立 て て 、 終 に 起 請 文 を 書 載 た り 。 第 一 第 二 は 神 事 仏 事 乃 至 五 十 一 等 云 々 。 神 事 仏 事 の 肝 要 た る 法 華 経 を 手 に に ぎ れ る 者 を 、 讒 人 等 に 召 合 ら れ ず し て 、 彼 等 が 申 ま ゝ に 頸 に 及 ぶ 。 然 ば 他 事 の 中 に も 此 起 請 文 に 相 違 す る 政 道 は 有 ら め ど も 此 は 第 一 大 事 也 。 日 が に く さ に 国 を か へ 、 身 を 失 は ん と せ ら る ゝ 。 ︵ 九 ︶ 頼 基 陳 状 ︵ 定 遺 一 三 五 一 頁 ︶ 建 治 二 年 六 月 二 十 五 日 北 山 本 門 寺 ︵ 興 師 古 写 本 ︶ 三 位 も 文 永 八 年 九 月 十 二 日 の 勘 気 の 時 は 共 奉 の 一 行 に て 有 し か ば 、 同 罪 に 被 行 て 頸 を は ね ら る べ き に て あ り し は 、 身 命 を 惜 も の に て 候 か と 申 さ れ し か ば 、 ︵ 十 ︶ 妙 法 比 丘 尼 御 返 事 ︵ 定 遺 一 五 六 二 頁 ︶ 弘 安 元 年 九 月 六 日 外 に は 遠 流 と 聞 へ し か ど も 内 に は 頸 を 切 べ し と て 、 鎌 倉 龍 口 と 申 処 に 、 九 月 十 二 日 の 丑 の 時 に 頸 の 座 に 引 す へ ら れ て 候 き 。 い か が し て 候 け ん 、 月 の 如 く に を は せ し 物 江 島 よ り 飛 出 で て 使 の 頭 へ か か り 候 し か ば 、 使 お そ れ て き ら ず 。 と か う せ し 程 に 子 細 ど も あ ま た あ り て 其 夜 の 頸 は の が れ ぬ 。 ︵ 十 一 ︶ 聖 人 御 難 事 ︵ 定 遺 一 六 七 三 頁 ︶ 弘 安 二 年 十 月 一 日 中 山 法 華 経 寺 ︵ 真 ︶ 文 永 八 年 辛 未 九 月 十 二 日 佐 渡 の 国 へ 配 流 、 又 頸 の 座 に 望 。 其 外 に 弟 子 を 殺 れ 、 切 れ 、 追 出 、 く わ れ う ︵ 過 科 ︶ 等 か ず を し ら ず 。 ︵ 十 二 ︶ 中 興 入 道 御 消 息 ︵ 定 遺 一 七 一 五 頁 ︶ 弘 安 二 年 十 一 月 三 十 日 去 文 永 八 年 九 月 十 二 日 に は 御 か ん き ︵ 勘 気 ︶ を か ほ り て 、 北 国 佐 渡 の 島 に う つ さ れ て 候 し な り 。 世 間 に は 一 分 の と が も な か り し 身 な れ ど も 、 故 最 明 寺 入 道 殿 ・ 極 楽 寺 入 道 殿 を 地 獄 に 墜 た り と 申 法 師 な れ ば 、 謀 叛 の 者 に も す ぎ た り 一 三 〇 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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と て 、 相 州 鎌 倉 龍 口 と 申 処 に て 頸 を 切 ん と し 候 し が 、 科 は 大 科 な れ ど も 、 法 華 経 の 行 者 な れ ば 左 右 な く う し な ひ な ば 、 い か ん が と や を も は れ け ん 。 ︵ 十 三 ︶ 法 華 本 門 宗 要 抄 ︵ 定 遺 二 一 六 一 頁 ︶ 祖 減 五 十 年 頃 の 成 立 自 江 島 方 大 光 物 出 現 日 頸 座 上 如 鷹 隼 飛 移 後 山 之 大 木 見 之 忽 出 雲 霧 即 為 昏 。 太 刀 取 越 智 三 郎 左 衛 門 既 持 開 打 日 頸 太 刀 忽 折 親 没 落 手 足 不 動 。 其 時 依 智 三 郎 左 衛 門 大 驚 去 退 早 速 走 御 所 於 使 者 。 資 料 ︵ 五 ︶ 召 捕 の 弁 文 永 八 年 九 月 十 二 日 、 申 の 上 刻 と 申 し ま す か ら た だ 今 の 午 後 四 時 ・ 五 時 の 頃 お い で ご ざ り ま す 。 大 聖 人 い つ も に 変 わ ら せ た ま わ ず 松 葉 ヶ 谷 の 御 草 庵 に お い て 、 獅 子 の 高 座 を 張 っ て 御 説 法 の 真 最 中 。 に わ か に と ど ろ く 人 馬 の 物 音 ト キ の 声 、 大 聖 人 、 何 事 な ら ん と 小 手 を か ざ し て 御 覧 遊 ば せ ば 、 平 ノ 左 エ 門 ノ 尉 頼 綱 以 下 三 百 余 人 の 組 子 の 面 々 、 胴 丸 ・ 腹 巻 ・ こ て ・ す ね 当 に 身 を か た め 、 十 手 ・ 差 縄 ・ 腰 に 帯 し 、 抜 身 の 槍 を 数 十 本 押 し 立 て て 、 松 葉 ヶ 谷 の 御 草 庵 を 十 重 ・ 二 十 重 と お つ と り 囲 ん だ ー り 中 に も 平 ノ 左 エ 門 ノ 尉 、 馬 上 な が ら に 呼 ば わ っ て 曰 く 、 や ー い 日 、 こ れ へ 出 て 上 意 を 受 け よ 、 遠 州 貫 名 の 判 官 次 郎 重 忠 が 一 子 、 天 下 を 呪 う 大 悪 僧 、 今 宵 片 瀬 龍 ノ 口 に お い て 頸 は ー ね よ と の 上 の 厳 命 を 蒙 っ て 、 即 ち 大 老 頼 綱 召 捕 に 向 っ た ー り 、 サ サ 尋 常 に 縄 か ー か れ と 呼 ば わ っ た 。 A 大 聖 人 御 宝 前 に 飾 り あ り け る 法 華 経 一 部 八 巻 開 結 合 せ て 十 巻 、 恭 々 し く 押 し 頂 い て 手 早 く 御 懐 中 遊 ば さ れ 、 御 草 庵 の 扉 を 左 右 に 開 か せ た ま い 、 あ ー ら 面 白 や 平 ノ 左 エ 門 ノ 尉 が 物 に 狂 い し を 見 よ 、 汝 天 下 の 大 老 で あ り な が ら 事 の 善 悪 邪 正 を わ き ま え ざ る か 、 た だ し は 理 否 に 通 ぜ ざ る か 。 日 は 日 本 の 柱 な り 、 日 は 日 本 の 眼 目 な り 、 日 は 日 本 の 大 船 な り 、 日 は 日 本 国 の 礎 な る ぞ 。 そ を 召 し 取 り 頸 打 た ば 今 に 見 よ 見 よ 、 自 界 叛 逆 難 と て 国 内 に は 同 士 打 ち の 戦 起 り 、 マ ー ッ タ 、 他 国 侵 難 と て 、 外 国 よ り は 此 の 国 へ 攻 め 来 る で あ ろ う 。 そ の 期 に お よ ん で 臍 を 嚙 む と も よ も お よ ぶ ま い 、 こ こ な 理 不 尽 者 め が 、 物 に 狂 い し よ な ウ ー ワ ッ ハ ッ ハ ッ ハ ツ ⋮ ⋮ ⋮ 。 一 三 一 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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腹 を 抱 え て 笑 わ せ 給 う 。 性 急 な る 平 ノ 左 エ 門 、 気 違 よ 、 白 痴 者 よ と 罵 ら れ え ー い 悪 僧 日 に 物 な 言 わ せ じ 、 早 や か ら め 取 れ ー エ イ 下 知 の も と 、 岩 瀬 大 助 ・ 斉 藤 三 郎 ・ 磯 野 五 郎 等 の 面 々 バ ラ バ ラ バ ラ ー ッ と 御 草 庵 に 駈 け 上 が り 、 大 聖 人 の 襟 髪 取 っ て 後 の 方 へ タ ジ 、 タ ジ 、 タ ジ 、 と 引 き ず り 倒 し 、 御 懐 中 遊 ば さ れ た る 御 経 を つ か ん で は 投 げ 出 し 、 つ か ん で は 投 げ 出 す 、 受 け 取 っ た り と 組 子 の 面 々 、 も っ た い な く も 御 経 を 引 き 裂 き 鼻 を か み 、 首 に ま き 胴 に 巻 く の み な ら ず 、 足 に て 踏 み に じ り 板 の 間 二 三 間 ば か り 取 り 散 ら さ ぬ く ま も な し 。 B 中 に も 少 輔 房 と い え る 者 、 中 の 一 巻 を 取 り 出 し 大 聖 人 の 眼 前 に な す り つ け ヤ イ ヤ イ ヤ イ 日 、 汝 こ の 期 に お よ ん で も 、 ま だ こ の 経 に 未 練 を 残 し お る か 、 日 頃 の 悪 口 雑 言 思 い 知 っ た か と 、 も っ た い な く も 御 経 巻 を 持 っ て 大 聖 人 の 眉 間 目 が け て 打 々 ハ ー ッ シ と 打 ち た て ま つ る 事 三 度 に お よ ぶ 、 ま た も 打 た ん と す る 少 輔 房 が 右 の 腕 を 大 聖 人 し っ か と 握 ら せ た ま い 日 も 凡 夫 の 身 な れ ば う た て か り 、 力 あ る な ら ば こ の 腕 を も 、 ね じ 、 折 ら ん ず と 御 覧 遊 ば せ ば 、 妙 法 華 経 は 第 五 の 巻 、 こ の 第 五 の 巻 に は 提 婆 達 多 品 渡 ら せ 給 う 、 悪 人 、 女 人 成 仏 の 御 経 、 ま っ た 勧 持 品 渡 ら せ 給 う 、 末 法 に こ の 経 を 弘 む る 時 は 大 難 来 り 、 杖 も て 打 た る べ し 。 と 説 か れ し も こ の 第 五 の 巻 、 日 が 今 打 た れ し も 第 五 の 巻 、 不 思 議 な る か な 未 来 記 の 符 合 、 金 言 た が わ ざ る 上 は 広 宣 流 布 も 疑 い な か る べ し 、 ア 、 忝 な し 、 も っ た い な し と 、 思 し 召 さ せ 給 い 、 サ サ 思 い の ま ま に 縄 打 た せ 給 え と 、 お ん み ず か ら 両 の 手 を 後 へ 廻 さ せ 給 え ば 、 も っ た い な く も 御 衣 の 上 よ り は 縛 め 強 き 三 寸 縄 、 か ね て 用 意 の 荒 筵 敷 き け る 、 や せ 馬 に 打 ち 乗 せ 参 ら せ 、 鎌 倉 の 大 町 小 町 雪 の 下 、 大 路 小 路 を 引 き 廻 し 、 や が て 七 里 ヶ 浜 へ 差 し か か る 。 六 丁 一 里 の 七 里 ヶ 浜 四 十 二 丁 の 磯 づ た い 磯 打 つ 波 も 静 か に て 物 の 哀 れ や 秋 の 空 十 二 夜 の 月 高 け れ ど 晴 れ つ 曇 り つ 定 め な き 人 の 寿 命 と 言 い な が ら 今 宵 に か か る 御 最 期 か と 思 え ば 袖 に し ぐ れ 降 る 涙 の 雨 や 竜 の 口 一 三 二 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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土壇場 ( 画 ) 高 座 ( 日 宗事典 より) 一 三 三 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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資 料 ︵ 六 ︶ 土 壇 場 の 弁 文 永 八 年 九 月 十 二 日 、 我 祖 大 聖 人 松 ヶ 谷 の 庵 室 よ り 召 し 捕 ら わ れ て 裸 馬 に 召 さ せ ら れ 、 鎌 倉 の 大 町 ・ 小 町 ・ 雪 の 下 ・ 大 路 ・ 小 路 を 引 廻 し 、 名 を 聞 く だ に も 恐 ろ し き 龍 ノ 口 刑 罪 の 場 所 。 刑 罪 の 場 所 と 申 し ま す の は 、 十 間 四 面 青 竹 の 矢 来 を も っ て 結 い 廻 ら し 、 矢 来 の 外 に は 白 地 に 北 条 家 水 色 三 ッ 鱗 の 紋 を 染 め 抜 き た る 幔 幕 を 打 ち 張 り 、 矢 来 の 四 方 に は ツ ク 棒 ・ サ ス 又 ・ 抜 身 の 槍 を き ら め か し 、 矢 来 の 内 に は 警 固 勤 番 の 諸 士 眼 を 怒 ら し 肘 を 張 り 、 出 で と も 言 わ ば 目 に 物 見 せ ん と 控 え た り 。 一 方 小 高 い 所 に は 平 ノ 左 エ 門 ノ 尉 頼 綱 、 検 視 の 役 を 兼 ね て 床 几 に 腰 打 ち か け て 待 ち 構 え た り 。 大 聖 人 馬 よ り 静 々 と 下 り さ せ 給 う 。 か ね て 設 け し 敷 皮 土 壇 の 上 、 泰 然 自 若 と し て 、 南 無 妙 法 華 経 南 無 妙 法 華 経 と 唱 題 三 昧 。 頸 を 切 る と い っ て も 何 時 で も 切 れ る も の で は あ り ま せ ん 。 何 時 か と 申 し ま す と 子 丑 の 刻 と 御 妙 判 に あ り ま す 。 た だ 今 で は 午 前 二 時 ・ 三 時 の 頃 、 子 丑 と は 陰 の 終 り 陽 の は じ ま り 、 昔 も 今 も 同 じ こ と 、 草 木 も ね む り 、 流 る る 水 も 一 時 は 止 ま る 頃 合 い で す 。 時 刻 は 移 り 平 ノ 左 エ 門 ノ 尉 頼 綱 の 命 と し て や ー い 、 太 刀 取 依 智 ノ 三 郎 直 重 、 時 刻 は 来 れ り 日 が 頸 早 や 打 て ー い ! 下 知 に 従 い 太 刀 取 依 智 ノ 三 郎 直 重 ス ー ッ ク と 立 上 が り 、 北 条 家 九 代 伝 わ る 三 尺 二 寸 の 太 刀 、 こ れ ぞ 蛇 胴 丸 の 名 剣 に し て 鈴 木 弥 太 郎 定 勝 が 心 魂 こ め て 鍛 え し 悪 魔 降 伏 の 業 物 。 を は ら え ば 、 明 々 た る 十 二 日 の 月 、 そ の 影 映 っ て 物 凄 く 、 か ね て 用 意 の 切 柄 、 鍔 元 よ り 、 刃 裏 刃 表 サ ラ サ ラ サ ラ と 水 打 ち そ そ ぎ 露 を 切 り 、 高 祖 の 首 を 打 つ 、 か と 見 え し が 三 郎 直 重 、 何 思 い け ん 小 腰 を か が め い か に 日 の 御 房 、 御 身 は 高 徳 の 出 家 と 承 わ る 。 夜 打 強 盗 の 罪 も な く 謀 叛 殺 害 の 科 も あ ら ず た だ 、 妙 法 華 経 を 弘 め ん と 諸 宗 を 謗 り 給 う が 故 に 今 日 こ の 場 の 仕 儀 、 こ の 三 郎 直 重 も 齢 早 五 十 の 坂 を 超 え 、 い か に 役 柄 と は い い な が ら 、 老 先 き 短 き 身 を も っ て 仏 法 弘 通 の 出 家 の 頸 を 切 る 、 そ の 罪 い と 重 か る べ し 、 未 来 の ほ ど も 恐 ろ し ゅ う 存 ず る 。 よ っ て 今 日 よ り 改 心 あ っ て 念 仏 無 間 の 法 義 を 捨 て 、 念 仏 の 行 者 と な り 給 わ ば 、 我 身 に か え て も 此 の 義 を 御 上 に 申 し 上 げ 、 一 命 を お 助 け 申 さ ん が 如 何 で ご ざ る 日 御 房 あ あ 如 何 に も で あ り ま す 。 命 あ っ て の 物 種 、 こ れ が も し 我 々 凡 夫 凡 僧 で あ っ た な ら ど う で し ょ う 。 本 日 よ り は 仰 せ に 従 っ て 伏 鐘 た た い て 念 仏 を 唱 え ま し ょ う と 言 う の が 人 情 、 直 重 の 言 う の も や は り 人 情 、 然 る に 本 化 上 行 の 御 再 来 た る 我 祖 大 聖 人 、 あ い や 三 郎 直 重 殿 と や ら 、 た だ 今 の 御 親 切 な る お 言 葉 あ り が た く 承 わ る 。 な れ ど も 今 や 御 身 の 言 葉 に 従 い 念 仏 を 唱 え 、 題 目 の 修 行 を 止 め な ば 年 来 の 大 願 も 水 の 泡 、 日 す で に 建 長 五 年 一 三 四 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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四 月 二 十 八 日 一 宗 建 立 の そ の 時 よ り 、 か ね て 期 し た る 今 宵 の 大 難 、 一 命 を 法 華 経 に 捧 げ 奉 る は 、 砂 を 以 て 黄 金 に 代 え 石 に 玉 を 商 え る が 如 し 、 こ れ に 過 ぎ た る 喜 び な し 、 早 や 頸 打 た せ 給 へ 三 郎 直 重 ゆ り 据 え た る 大 磐 石 、 い っ か な 動 く と し も 見 え ま せ ぬ 。 C 今 は 是 非 に お よ ば ず と 三 郎 直 重 、 高 祖 の 後 に 立 ち 廻 り 、 し か ら ば 日 、 観 念 せ よ ! 高 祖 の 首 は バ ー ッ サ リ と 、 眼 を 開 け ば 是 は い か に 、 太 刀 は 刀 尋 段 々 壊 、 一 ・ 二 ・ 三 ッ あ ち ら に 一 片 、 こ ち ら に 一 片 、 手 に 残 り し は 柄 ば か り 。 是 は 仕 損 じ た り 、 天 下 の 恥 辱 武 門 の 名 折 れ と 、 柄 を 向 う へ 投 げ 出 し 、 差 添 え の 柄 に 手 を か け ん と せ し 折 り か ら 、 江 ノ 島 辰 巳 の 方 よ り 戌 亥 の 方 へ わ た っ て 満 月 の ご と き 光 り 物 ピ カ ピ カ ピ カ そ の は や き こ と 恰 も 隼 の か け る が ご と く 、 毬 の こ ろ ぶ に さ も 似 た り 後 の 松 が 枝 に か か っ て あ り と 見 え け る が 、 や や あ っ て 三 郎 直 重 の 頭 の 上 に ヒ ラ ヒ ラ ヒ ラ と 覆 い か か れ ば 、 直 重 恐 れ お の の き 差 添 え 抜 い て 、 突 き 上 げ ん と せ し が 五 体 す く ん で 立 木 の ご と く 、 眼 く ら ん で 真 の 闇 後 の 方 へ タ ジ タ ジ タ ジ 、 ウ ー ン と ば か り 、 の っ け に そ る 。 恰 も 朽 木 を 倒 す が 如 し 。 折 か ら 一 陣 の 怪 風 サ ー ッ と 吹 き 来 れ ば 、 栅 の 矢 来 も 一 時 に 倒 れ 白 地 の 幕 は 虚 空 に 飛 ん で 白 竜 天 を か く る が 如 し 、 立 ち な ら べ た る 幕 串 も 一 時 に 倒 れ て バ タ バ タ バ タ 、 松 明 か が り 火 フ ー ッ と 消 え て 真 の 闇 、 警 固 勤 番 の 諸 侍 、 馬 上 に う ず く ま る も あ り あ る い は 馬 よ り 落 ち る も あ り 、 一 町 二 町 と 駈 く る も あ り 三 町 五 町 と わ し る も あ り 血 へ ど 吐 い て 悶 絶 僻 地 前 代 未 聞 の 龍 ノ 口 の 大 騒 動 。 大 上 人 は 御 安 泰 、 我 此 土 安 穏 天 人 常 充 満 園 林 諸 堂 閣 種 種 宝 荘 厳 あ た り の あ ま り の 騒 が し さ に 大 聖 人 い か に 方 々 、 か か る 大 罪 あ る 日 を 差 し お い て い か な れ ば 遠 の か る る ぞ 、 早 々 頸 打 た せ 給 へ 、 夜 も 明 け な ば 見 苦 し か ら ん 、 鎌 倉 武 士 の 名 折 れ に な る ぞ と 、 こ の 期 に お よ ん で も 鎌 倉 武 士 へ の 思 い や り は 、 大 慈 大 悲 の 大 聖 人 の 御 心 持 の 尊 さ で あ り ま す 。 一 三 五 高 座 説 教 に 見 ら れ る 日 神 話 ︵ 中 條 秀 ︶

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