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大森義彦先生のご退職によせて

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Academic year: 2021

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KONAN UNIVERSITY

大森義彦先生のご退職によせて

著者 秋元 孝文

雑誌名 甲南大學紀要.文学編

巻 171

ページ 47‑48

発行年 2021‑03‑31

URL http://id.nii.ac.jp/1260/00003757/

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大森義彦先生は,2021年 3 月末をもって文学部教授 を定年退職されます。大森先生は,上智大学文学部英 文学科を1975年 3 月に卒業され,同大学院文学研究科 英米文学専攻を経て,1977年 4 月に24歳の若さで名古 屋学院大学に助手として採用されました。その後甲南 大学文学部英語英米文学科に着任されたのが1984年の ことで,1988年には助教授,1998年には教授となられ,

現在まで甲南大学で過ごされた期間は37年の長きに亘 ります。

大森先生の研究分野はアメリカ文学で,研究生活の 初期では,1976年にノーベル文学賞を受賞したアメリ カのユダヤ系作家の代表格,ソール・ベローを主な対 象として論文や研究発表を積み重ねて来られました。

その後,90年代に入った頃から大森先生の関心は,同 じエスニック・マイノリティでも,すでにエスタブ リッシュメントとなっていたユダヤ系よりもさらにマ イナーなチカノ文学へと傾き,南西部のメキシコ系の 文学という肥沃な地へと分け入っていくことになりま す。そうした中で達成された大きな成果が,2005年に 単著としてまとめられた『アメリカ南西部メキシコ系 の文学─作品と論評─』です。レイモンド・バリオ,

トーマス・リベラ,ルドルフォ・アナーヤといった主 要チカノ作家の紹介から,チカノ文学とインディアン 性の関わりやリチャード・ロドリゲス論にまで至る本 書は,日本のアメリカ文学研究の世界においてチカノ 文学が初めて本格的に紹介された記念すべき達成です。

チカノ文学は,ニューイングランドのピューリタン起 源というアメリカ文学の神話に対して,南西部からそ のオルタナティヴたる視点を提供してくれます。サン ドラ・シスネロス,カリ・ファハルド=アンスタイン といった昨今活躍する女性チカノ作家たちを考える上 でも,大森先生が著された『アメリカ南西部メキシコ 系の文学』はその出発点を知る上で非常に重要な一冊 であり,日本のアメリカ文学研究における本書の貢献 には多大なものがあります。

また,1995年には 3 人の共著という形で『はじめて 学ぶアメリカ文学史』を出版され,大森先生は第一次

世界大戦以降の章を執筆されています。文学史を編む には専門分野以外をも含む広範な知識が必要であり,

前掲の単著が大森先生の学識の「深さ」なら,こちら はその「広さ」が発揮されたお仕事だと言えるでしょ う。

大森先生の学内の仕事で特筆すべきことは,やはり 国際交流センターにおいて,1992年から5年間を副所 長として,そして1999年からの2年間を所長として務 められたことでしょう。国際交流センターは1990年に 甲南・イリノイセンターを改組して設立されましたが,

その設立にも尽力された大森先生は,副所長として甲 南大学の国際交流の先頭に立ち,学生の海外留学を積 極的に推し進めて来られました。受け入れ留学生を対 象として甲南で行われる「ジャパン・スタディーズ」

の講義も担当されました。現在の充実した留学プログ ラムの始まりには,大森先生の献身的な貢献がありま した。また,2004年からは入試実施委員長の大役もお 務めになられました。

青春ドラマの主役のように爽やかかつダンディで,

いつも真面目で,確実に仕事を進めていく大森先生は,

学科同僚からの信頼も厚く,何かと頼りにされる存在 でした。私は個人的にも大森先生を大いに頼りにして いて,何か困ったことや悩みがあるといつも大森先生 のオフィスを訪ねては話を聞いてもらっておりました。

そんな時の大森先生はいつも穏やかで,でも正直で,

威張らず強がらず,なんでも話せるちょっと歳の離れ たお兄さんのような感じです。そういう大森先生の懐 の深さは学生たちにも広く知られており,大森先生の 授業は面白いと評判で,ゼミはいつも人気があり,特 に卒業した学生が大森先生を懐かしがる場面には何度 も遭遇しました。そして大森先生が授業内外で披露さ れた英語に関する蘊蓄を,みなよく覚えているのです。

お酒は飲めないけれど学科の飲み会には必ず参加し てジンジャー・エールを飲みます。みんなが酔っ払っ ている中で,酔っていないのに上機嫌でダジャレ(一 部の通からは「ウィットに富んだおしゃれなオヤジ ギャグ」との声も)を飛ばします。

大森義彦先生のご退職によせて

英語英米文学科教授 秋 元 孝 文

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その大森先生がご退職されるというのは,英語英米 文学科スタッフ一同にとっても,本当に寂しいことで す。「大森先生がいれば大丈夫」という安心感を先生 は私たちに与えてくれていました。学科や学内のこと を大局的見地から見て,判断を誤ることがありません でした。そんな大森先生がご退職されたあとの英語英 米文学科はどうなるのか,正直ちょっと予想がつきま せん。それでも我々は,大森先生が作って来られた英 語英米文学科をさらに発展させるべく努力することだ

けは約束したいと思います。ダジャレを引き継ぐのは 誰か,これはもう少し考えさせてください。

仕事熱心で打ち込んでこられた大森先生ですから,

退職された後も,きっとすぐに新しい目標を見つけて 楽しい日々を送られることと思います。ご健康には十 分留意され,いつまでもお元気でいてください。長い 間のお勤め,本当にご苦労様でした。そして今まで,

ありがとうございました。心より感謝申し上げます。

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