• 検索結果がありません。

2007年度から,2つの「教えることを通して学ぶ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2007年度から,2つの「教えることを通して学ぶ"

Copied!
25
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1.はじめに10年にわたる

PBL

型プログラムに一区切りつける理由

2007年度から,2つの「教えることを通して学ぶ

PBL

型プログラム」に 取り組んできた。1つは,地域連携プロジェクトである「書く力をきたえる プログラム」(通称,書く

P),もう1つは産官学連携プロジェクトである

「中高生夢チャレンジ大学」(通称,夢チャレ)である。ともに正課外のプロ グラムであり,地域社会や時代の要請に応じて誕生したプログラムだと自負

「教えることを通して学ぶ」を信条とする PBL 型プログラムとは何だったのか

―― 10年にわたる地域連携プロジェクトと

産官学連携プロジェクトを対象に ――

田 村 馨

兵 土 美 和 子

1.はじめに ― 10年にわたるPBL型プログラムに一区切りつける理由 2.2つのプログラムの軌跡

参加する大学生のプロフィール 書くPの概要

夢チャレの概要 書くPと夢チャレの違い 書くPと夢チャレに託したこと

3.私たちのPBL型プログラムの限界はどこにあったのか?

書くPと夢チャレは相互依存関係 志のメタファー理解がネックとなる PBL型プログラムの効用を検証する

4.おわりに ― 準備した探索系プログラムにゴーサインはださなかった

( 1 )

(2)

している。

ここにきて,その2つのプログラムに区切りをつけようと決断した。理由 は4つある。1つは,書く

P

に関わる理由だが,直接的には中学校からの

「立志式支援」の要請が一昨年からなくなったからである。当初の書く

P

は, 中学校が抱える様々の課題に対するオープンイノベーション型のプログラム として中学校に受け入れられていた。それが,福岡市立の中学校すべてが立 志式に取組むことが決まってから,立志式における立志の作文制作を支援す るプログラムに特化するようになった。

立志式の導入に伴い,多くの中学校が「立志を2年生にどう伝えるか」や 立志の作文制作に不安を抱えていた。書く

P

に対する支援要請は中学側の 不安がベースにあった。それだけに,中学校側が実績を積み,学校行事とし てルーティン化されるに伴い,学外の協力を必要としなくなった。そのよう な変化に照らすとき,区切りをつけるタイミングだと判断した。

2つには,夢チャレに関わる理由だが,7年も続き,行政プログラムとし ての賞味期限がきたからである。行政の事業は続いても2,3年が限度だと いわれる。事業を立ち上げた係長,課長が人事異動で代わり,新たな係長,

課長になると新たなプログラムを立ち上げる誘因が働き,多くの事業は2,

3年で終焉する。そういった行政メカニズムに照らすなら,事業予算規模と して大きな夢チャレが7年も継続できたのは奇跡に近かった。

夢チャレに関わる理由としてさらに付け加えるなら,中高生が対象である にもかかわらず,この2年は参加者の7,8割が中学生で占められ,かつそ の9割近くが1,2年生だという歪(いびつ)なメンバー構成になってきた ことである

。夢チャレのプログラムは,異なる世代で構成されるグループ ワークをベースに開発される。中学生にとっては「お兄ちゃん,お姉ちゃん にあたる」高校生がいて,その高校生には大学生がいるからこそ,深い学び が促され,多くの気づきに中高生は触発されてきた。それが難しくなった点

( 2 )

(3)

も潮時だと判断した理由であった。

*高校生は夏期講習,クラブ活動で夏休みはほぼない状態にある。夢チャレへの参加を公 欠としてくれる高校もあったが,そうではない高校も多いときいた。そして9月の運動 会の開催時期が早まり,夏休みも短縮される中,高校生が夢チャレに参加する障壁はこ こ数年で非常に高くなった。

4つに,PBL の限界を打破する突破口が見いだせなかったからである。

上3つの理由は外部環境の変化がもたらしたもの。その点,4つ目の理由は 内部環境の変化がもたらしたもので,実は,2つのプログラムに区切りをつ けようと決断した一番の理由だと私たちは考えている。外部環境の変化に関 係なく,姿,形を変えて両プログラムを継続することは可能である。にもか かわらず,このタイミングで「一区切りつける」判断と決断に至ったのは,

内部環境の変化が「プログラムの終わり(または大幅な見直し)」を要請す るほど大きなものだと認識したからに他ならない。

本稿の目的は2つある。1つは,10年にわたるプログラムの軌跡を素描し 記録として残すことである。2つに,内部環境の変化とは何であったのかを あらためて点検することにある。

2.2つのプログラムの軌跡

参加する大学生のプロフィール

大半が商学部の学生だが,他学部(人文学部,理学部,薬学部),他大学 (福岡女子大学,九州大学,九州産業大学,タイ国

Rangsit

大学,西南大学) の学生も学内報やネットで知ってアプローチしてくる。商学部の学生は2年 生以上で,田村ゼミの学生は半分ほど(ゼミのプロジェクトとは位置づけて いない),あとの半分は他学科,他ゼミの学生が占めるのが「いつものメン バー構成」であった。

( 3 )

(4)

書く

P

の概要

書く

P

は福岡大学地域ネットの地域連携プロジェクトとして位置づけら れてきた。まずは2008年2月に,平尾小5年生全クラスを対象にスタートし た(地域ネット設立前なので,正式には平尾小での書く

P

は福大の地域連 携プロジェクトではない)。それ以来,今日に至るまで,延べ32校で39のプ ログラムを投入してきた(図表1)。そして,延べ916名の大学生が,延べ44 92人の生徒を対象に,「教えることを通して学ぶ」プログラムを企画・開発 し,プロジェクトを運営してきた(図表2)。田村は学校との折衝から終結 までの責任者であり,プログラム企画・開発およびプロジェクト運営の総括 プロデューサー兼総括ディレクターとして,兵土は現場管理,進捗管理,運 営管理などを総括するプロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを担っ てきた。

図表1 書くPを受け入れてくれた小中学校・高校

小学校 中学校 高校

2007年度 平尾小

2008 長尾中!3 修猷館高

2009 長尾中 梅林中!3 修猷館高

2010 長尾中 梅林中!2 平尾中 修猷館高

2011 梅林中 平尾中!2 高宮中 宮竹中 修猷館高

2012 梅林中 平尾中 修猷館高

2013 梅林中 平尾中 修猷館高

2014 梅林中 城西中 修猷館高

2015 梅林中 原中央中 修猷館高

2016 梅林中 修猷館高

2017 修猷館高

2018 修猷館高

注:括弧内の数字はプロジェクト数。2008年度の長尾中でいえば異なる3つのプロジェクトを 回した。

( 4 )

(5)

最初の3年は「中学を卒業する生徒全員が答辞を書くプログラム」「職場 体験を深めるプログラム」「高校オープンキャンパス参加での気づきを深め るプログラム」など多様だった。中には「勉強アシストプログラム」という, 1年生5クラスを対象にした,放課後の時間に勉強をアシストするプログラ ムにも取り組んだ。それが2010年度の梅林中からは,立志式支援プログラム (立志の作文を書く2年生を支援する)一色になった。福岡市立の中学校に 立志式導入が義務付けられ,試行も含め立志式に取組む中学校が増えたから である。

図表2 プロジェクト数・大学生数・生徒数 プロジェクト数 大学生数 生徒数

書くP 39 916 4,492

夢チャレ 25 324 861

計 64 1,240 5,353

注:夢チャレのプロジェクト数には開校式,閉校式,プレ講座,合宿特別講座, 勉強会を含む。生徒数も同じ。

図表3 書くPの報告書(未刊行,田村研究室)のイメージ

( 5 )

(6)

夢チャレの概要

夢チャレは,福岡市こども未来局,西日本新聞社,NPO グリーンバード 福岡チームと福岡大学による産官学連携プロジェクト(運営は実行委員会形 式で,協定的なものは締結していない)として,2012年にスタート。2018年 をもって終了した。田村は夢チャレの学部長を拝命し(学長は高島市長),

実務的にはプログラムの企画・開発とプロジェクトの運営を総括するプロ デューサーとして,兵土はプロジェクト全般にわたるディレクションとマネ ジメントを担当した。

夢チャレは,7年間で861名の中高生を相手に(中高生は福岡市内の中学, 高校に通う私立・公立の中高生で,1つの中学,高校から一人での参加が多 い),延べ324名の大学生が伴走してきた(前掲図表2)。大学生が担当する のはプレ講座,宿泊研修,閉校式と,プログラムの基幹を担った(それ以外 の講座は実務家が講師となり,必要に応じて大学生が関与する)。

中高生に提供するプログラムは「世界標準の教育プログラム」をコンセプ トに,田村が企画・提案した。7年間に提供したプログラムの柱は図表4に ある通りだ。最初の3年間は「創造性の発掘」を掲げ,日本の中高生向け世 界標準教育プログラムの開発(図表4)と効果分析(図表5)に注力した。

特に最初の3年間はデータによる検証をベースに方向性やプログラムの内 容を入念に点検した。それをベースに,4年目は「次世代リーダーシップの 開発」,5年目は「デザイン思考の体得」,6年目は「STEAM 教育を体験す る」,7年目は「イノベーション人材になる」といったプログラムを投入し た。7年目で夢チャレが終わることは想定外だったが,結果論として,7年 間の取り組みは図表6に示せるように,一応の完結をみた。

( 6 )

(7)

図表4 夢チャレの柱となったプログラムー累積的,重層的な開発と投入 1年目

(2012年) 2年目 (2013年)

3年目 (2014年)

4年目 (2015年)

5年目 (2016年)

6年目 (2017年)

7年目 (2018年) 創造性の発掘

次世代リーダーシップ デザイン思考

AI・ロボット 21世紀型

スキル STEAM教育

アート イノベーション人材

!自分が何をしたいかが自分でわかっているし探すことができる

!自分がしたいことをやれる力を学ぶ学び方を知っている

!他者と学びあい一緒に何かを成し遂げる関係性が築ける

図表5 創造性に対する自己肯定性が高いほど他者や未来に対する前向きさが増す (創造性発掘プログラム受講前と受講後の創造性に対する自己肯定度との相関係数)

他者と協力し助 けあうことで自 分も他者も創造 的になれる

自分の未来の可 能性を信じるこ とができるよう になった

自分の未来がイ メージできるよ うになった

自分の人生は自 分で創るんだと 思 え る よ う に なった 2012年

(108)

受講前 − 0.220** 0.259*** − 受講後 − 0.668*** 0.413*** − 2013年

(85)

受講前 0.102 0.257** 0.256** 0.113 受講後 0.432*** 0.379*** 0.340*** 0.242**

2014年 (85)

受講前 0.096 0.337*** 0.173 0.215 受講後 0.461*** 0.548*** 0.527*** 0.509***

2015年 (82)

受講前 0.294*** 0.081 0.032 0.118 受講後 0.338*** 0.464*** 0.503*** 0.559***

2016年 (75)

受講前 − 0.230 0.252 0.184

受講後 − 0.542*** 0.624*** 0.397***

2017年 (91)

受講前 − 0.124 0.132 0.315***

受講後 − 0.309*** 0.464*** 0.161 2018年

(85)

受講前 − 0.115 0.073 0.232**

受講後 − 0.316*** 0.234** 0.308***

注:括弧内はサンプル数(参加者数と異なる)。**は5%,***は1%で統計的に有意なことを示す。

( 7 )

(8)

創造性の発掘

次世代の リーダーシップ

デザイン思考

イノベーションの 起爆剤となる人材

STEAM 教育

(科学・技術・工学・

アート・数学)

書く

P

と夢チャレの違い

中高生を対象に大学生が「教えることを通して学ぶ」点は書く

P

も夢チャ レも同じだが,両者は大きく違う。まず,夢チャレはオープンエンドで終わ るプログラムであり,中高生に体験や気づきを成果として持ちかえってもら うことでいい。その点,書く

P

は作文(成果品)として仕上げるところま で中学校側から求められる(修猷館はオープンエンド)。

中学校に入る書く

P

は学年の全クラスに入る。ある中学では8クラス320 人を相手にしたこともある。大学生は生徒一人一人の状況(進捗度,完成度) を一日のワークが終わると綿密に点検し,見える化する(図表7)。

大学生は担当する生徒の進捗状況(作文は大学生が作成する数枚のシート を中学生が埋めるに従って完成に近づく)をメモするなり写メに撮り,それ らを材料に個人かつグループで次の攻め方を練っていく(まさに学生は

PDCA

サイクルを回す)。参加する大学生にかかる負荷は夢チャレの数倍だ ろうか。グループリーダー,クラスリーダー,統括リーダーへの負荷はさら

図表6 夢チャレがミッションとしたのはイノベーション人材の発掘・育成

( 8 )

(9)

月 火 水 木 金 土 日 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

12月

1月

月 火 水 木 金 土 日 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

実施日 4日 全体 MTG 21回 2月

に大きくなる。結果,MTG の回数や取られる時間が増え(図表8),春休み にバイトを入れることは難しい。最近は田村が全体

MTG

の回数を減らす方 向で統括リーダーを誘導していたが,単位もバイト代も得られない(どころ か交通費等は自前)プロジェクトに毎回30数名から60名近い学生が参加して きた。

図表7 生徒一人ひとりを評価した結果の集計表(毎回実施)

図表8 梅林中書くPの全体MTGの日程(2017年2月実施)

( 9 )

(10)

2つ目の大きな違いは,大学生にとっての「企画から運営までの自由度の 高低」である。夢チャレは相対的に高く,書く

P

は相対的に低い。それは 書く

P

が①学校業務を担い失敗が許されない,②日程,中身に関して学校 側の意向を尊重しないといけない,③学校内で活動する,ためである。わた したちが書く

P

を「教育界の奇跡のプロジェクト」と称すのは,1つには, 何かあったら校長や教諭が責任を問われる案件を私たちに委ねてくれるから である。2つには,普通の大学生(金髪に染めた大学生,ピアスをしている 大学生)が学校(特に中学校),教室に入るからだ。中高生は感想文で書い てくれた,普通の大学生と話したのは初めてだと。

書く

P

と夢チャレに託したこと

夢チャレも書く

P

も年々変化し,進化し続けてきた。開発したプログラ ムはそれこそ20本以上だろう。夢チャレでは2016・17年に人工知能(AI)

をテーマにプレ講座(本番前に開催する事前講座)を4本開催した。いずれ も文系の大学生が中高生を相手に「AI について教える,一緒に学ぶ」プロ グラムだった。書く

P

ではメタファーワークが開発され,中学2年生に志 を問い,形にするという難問を解決する手法と段取りが開発された(この分 野では最先端のプログラムだと自画自賛している)。

ただ,原点に立ち返るなら,2008年2月に書いた企画書に掲載した2つの 図に集約される。書く

P

のスタートに踏み切ったのは,「何を学びたいのか」

「何をやりたいのか」を自分の頭で考えることなく,教師や親が引いたレー ルの上でひたすら頑張ってきた経験しかない大学生の登場だった。その変化 (危険水域に入る閾値をこえたこと)に気づいたのが2006年前後だ。この変 化を克服するには①課外(教室で行う講義以外)の学びの場,しかも②社会 人から教わる場ではなく,③他者を教える立場に大学生が立ち考えることが できる場,④地域との接点がもてる場が必要だと,わたしたちは危機感をもっ

( 10 )

(11)

自分の「思い」の 掘り起こしを訓練する場

・書くことが柱であるプログラム

・他者との協調(連携、共有)が  求められるプログラム

・多くの気づきが誘発される  プログラム

発見力、洞察力、

仮説生成力を養い試す場 新しい教育の場に求められているのは?

新しい教育の場を提供する プログラムに求められる要素は?

地域との 連携

教育効果

●教育効果を上げることと地域との連携は表裏一体

●地域との連携をテコに教育効果の高度化を図る

●地域との連携を図るためには広報の役割、

 社会貢献としての関与が不可欠

て確信した。

それとは別に方向性として強く意識したのは,「商学部らしい学び」で あった。具体的には,最先端のビジネスシーンでも物おじせず,活躍できる

図表9 2008年2月作成の書くP企画書に掲載したスキーム図

図表10 2008年2月作成の書くP企画書に掲載した「地域との連携」と「教育効果」との関係図

( 11 )

(12)

人材の育成である。田村は九州の財界が設立した九州アジア経営塾(九州,

アジアのビジネスリーダーの育成をミッションとする)に創設期(準備段 階)から関り,この15年間,ビジネスパーソン向けの最先端プログラムの開 発と導入・運営に携わってきた。それらの実務者としての経験から導かれる, 商学部の学生を中心としたプロジェクトだからではなく,社会に出たら誰も が学ぶべきテーマや理論を,大学生がそれとは意識せず学ぶ場と機会を,夢 チャレ,書く

P

を通して提供してきた。

3.私たちの

PBL

型プログラムの限界はどこにあったのか?

書く

P

と夢チャレは相互依存関係

書く

P

が本格的にスタートして(2008年)4年後に夢チャレはスタート した。夏休みは夢チャレ,冬春休みは書く

P

といった時期的すみわけも自 然とできて,大学生は2年生の時に

PBL

型プログラムの登竜門として夢チャ レに参加し,そのあと,書く

P

でしっかり

PBL

型プログラムの厳しさ,過 酷さを体験的に学ぶ形が5年ほど続いた。

書く

P

と夢チャレの関係は図表11をみてもらうとわかりやすい。既に記 したように,夢チャレは成果に関してはオープンエンドでいい。テーマの設 定や内容に関しては大学生にほぼ100%の自由裁量権があった。逆に書く

P

は,立志の作文を完成させねばならず中学校の制度的,時間的縛りの中でや らねばならないために,自由裁量権はそれほど大きくなかった。

なんといっても,立志式支援の書く

P

は大学生にとって厳しく,過酷で あった。手ごわい中学2年生を相手に,上からの押し付けや指示ではなく,

斜めの関係の下で懐柔し促し,志に関わる何かを気づかせて,それを文章に 落とし立志の作文として完成させねばならないからだ。

本当に大学生が鍛えられるのは書く

P

の場である。夢チャレは,ノリや

( 12 )

(13)

夢チャレ

書くP プログラムの

自由裁量権

オープンエンド度

見よう見まねでグループワークを進めれば,乗り切ることができる。だから, 2年の終わりに書く

P

で鍛えられた2年生が3年生として夢チャレのリー ダー的な役割を担い,2年続けて書く

P

で鍛錬された4年生が夢チャレ,

書く

P

で統括リーダーとして全体を仕切るといった人材育成の好サイクル が回っていた。

志のメタファー理解がネックとなる

そこに綻びがみえるようになったのは,既に田村・兵土(2016b)で解説 したように,書く

P

におけるプログラム開発が難度を増す方向の進んだか らに他ならない。

志とは何かを中学生に伝え,立志の作文に落とし込むためには,大学生に

「志」に関する高い理解力が求められる。そのためにも,北極星やコンパス をメタファーに志を理解することが肝心だ。だが,大学生にとってこのメタ ファーがどうやっても腑に落ちない。

図表11 夢チャレと書くPの位置関係

( 13 )

(14)

◆人生は

 connecting the dots

地図 北極星

昔 いま

ライト

●志をたとえるなら北極星・コンパ  ス(A),  地図(B),  足元(数歩先)を  照らすライト(C),  地図(B),  いまの  自分を支える信念, 習慣, 規準(D)

●中学生の立志の作文をA〜Dタイプ  で分類し,「他者志向」(誰かのた  め,社会のため)and /or「未来志  向」があるかないかで作文を評定  する。

◆後から振り返ると「あの一  歩」と「次の一歩」が繋が  る必然性があったのだ!

◆大学生が一歩踏み出す大  切さを自らの体験を通じ  て中学生に伝え,その一  歩に志の要素があるとの  前提で,中学生の一歩に  志的な要素を発掘し作文  とする。

整合性 がない

安宅は「知性の核心は知覚にある」と主張する。安宅がいう知覚とは「対 象の意味を理解することである。(略)自分の周りの環境を理解するために 知覚情報を統合し,解釈すること」をさす。そのうえで「対象の意味を理解 するという意味において,人間が直感的に価値を理解することは,ほぼすべ て知覚の問題だ。(略)人間は価値(意味)を理解していることしか知覚で きない。知覚できる範囲はその人の理解力そのものだ(略)ある人がある局 面で,どのようなことをどのような広がりでどこまで明晰に認知できるのか は,その人の①知的経験の深さ,②人的な経験の深さ,③思索の深さそのも のを表している」と指摘する。

大学生が北極星,コンパスを志とメタファーとして知覚できないのは,い まに始まったことではない。立志式支援に書く

P

が関わり始めた2010年の 時点でそうだった。思えば,何かが決定的に欠落している大学生の登場に危

図表12 本来の志と「一歩踏み出す」は整合的ではない

( 14 )

(15)

志を北極星やコンパスとする プログラム

プログラムの難度

書く P の現実の 軌跡

志の本質に迫る プログラム

機感をもって書く

P

をはじめたのであった。安宅の説に従うなら,それは 知覚力の決定的な欠落であるのではないかと,いまなら確信をもっていえる。

北極星,コンパスを志のメタファーとして知覚できない以上,北極星やコ ンパスに頼らないアプローチで中学生の志を引き出さねばならない。その選 択は難しいプログラム作りの道を書く

P

に進ませることになった。皮肉な ものである。直観的に何かを理解する力が落ちている故に,直観力に頼らな い理路や工夫でプログラムを開発せねばならなくなった。それは大学生を疲 弊させることになり,大学生の「書く

P

離れ」的な現実をまねくことになった。

危機的な状況だからイノベーションが生まれたのか,4年前に,中学生の 志を中学生の直観を信じて形にするメタファーワークが開発され,書く

P

は新たなステージにたった。2年間で3つの中学校にメタファーワークは導 入され,それまでにない,中学生に寄り添った成果をあげた。だけど,既に 紹介したように,中学校にとって書く

P

の役割は大幅に縮小していた。

PBL

型プログラムの効用を検証する

いまの大学3年生は中学校での書く

P

を経験せず,オープンエンドの夢 チャレと修猷館高校での書く

P

だけに取組んだ世代だ。大学生にもたらさ

図表13 書くPが難度を増す軌跡を描き続けたのは志の本質に迫る プログラムを開発できなかったから

( 15 )

(16)

れる

PBL

型プログラムの効用の有無を検証したく,以下のアンケート調査 を実施した。

具体的には,2018年4月に,私が担当する講義で,学習動機と学習方法に 関する調査を行った。仮に

PBL

型プログラムに効用があるなら,それは学 習動機や学習方法の特徴として把握できるのではないかと期待したのだ。

設問は教育心理学が専門の市川伸一氏の心理尺度をそのまま踏襲した。市 川氏は学習動機を大きく2つの軸で想定する。1つの軸は「学習内容の重要 性」が動機となる軸,もう1つは「学習の功利性」が動機となる軸である。

前者は,「こういうことが学べるから学びたい」が動機になり,後者は「得 だから学ぶ」が動機になる。2つの動機を軸に市川氏は6つの動機を配置す る(図表14)。

市川氏は6つの動機に関する心理尺度を作成し(付表1),実際に調査し たところ,「学習内容の重要性」が学習動機の軸として浮上したという。い くつもの調査で同様の結果が得られることから,市川氏は「内容関与的動 機」と「内容分離的動機」の2要因を学習の動機として提起する。私たちが 大学生を対象に行った調査結果(図表15)もそのことを支持する。

図表15にあるように,市川氏が提起された学びの動機要因として「内容関 与的動機」と「内容分離的動機」が検出された。両者には学習している内容 が学びの動機になるか否かの違いが反映される。内容関与的動機は非功利的

図表14 学習動機の2要因モデル

学習内容の重要性 (高)

(低)

充実志向 訓練志向 実用志向

内容関与的動機 学習自体が楽しい 知力をきたえるため 仕事や生活に活かす

関係志向 自尊志向 報酬志向

内容分離的動機 他者につられて プライドや競争心から 報酬を得る手段として

(低) 学習の功利性 (高)

出典:市川伸一(2001),48頁に掲載の図をスタイルを変えて転載。

( 16 )

(17)

な「充実志向」(やっていて楽しくなる充実した内容が学びの動機となる)

から「実用志向」(自分の将来や生活に役立つからが学びの動機となる)ま で幅がある。内容分離的動機は「関係志向」(友人がやっているか動機とな る)から「報酬志向」までの幅をもつ。

図表16によると,内容関与的動機の平均値が高く,内容分離的動機の平均 値が低い(両者の間には有意な差がある)。調査対象の学生にとって学びの 動機は学習する内容に左右される傾向が高いということだ。ただし,夢チャ レ参加経験ありのグループと参加経験なしのグループに分けて動機の平均値 を比べてみると,統計的に有意な差(5%水準)は確認できない。

さらに市川氏が作成した心理尺度を援用して(付表2),学習方法につい ても調査した(図表17)。「失敗に対する柔軟性」は失敗に対して前向きに学 ぶ方法であり,「思考過程の重視」は答えがあっているか否かよりも答えに 至る過程を大切にする学習方法だ。「方略志向」は方法に拘る学習方法,「意

図表15 6つの学習動機間の相関係数

充実志向 訓練志向 実用志向 関係志向 自尊志向 訓練志向 0.367**

実用志向 0.550*** 0.565***

関係志向 −0.089 0.093 0.212

自尊志向 0.072 −0.020 0.168 0.526***

報酬志向 −0.013 0.216 0.323 0.770*** 0.490***

注:N=33。**は5%,***は1%で統計的に有意なことを示す。以下同じ。

図表16 夢チャレ経験者か否か別の6つの動機の平均値

充実志向 訓練志向 実用志向 関係志向 自尊志向 報酬志向 全 体 3.86 3.55 3.72 2.63 2.86 2.72 夢チャレ経験者 (15) 3.97 3.76 3.82 2.67 2.73 2.71 それ以外の学生 (18) 3.79 3.42 3.65 2.60 2.94 2.73 注:よくあてはまる(5点)〜全くあてはまらない(1点)の平均値。以下同じ。

( 17 )

(18)

味理解志向」は理解する深さに拘る学習方法である。平均値は総じて低い。

また,夢チャレ参加の有無での差異(5%水準での統計的に有意な差)は確 認できない。

市川氏によると,学びの動機と学習方法との間には相関がある(数多くの 調査を通して確認されている)。特に内容関与的動機は学んでいる内容に興 味がありそれは学習方法に左右される面があるだろうから,内容関与的動機 が高い人は学習方法にも関心を注ぐことが期待できる。その点,内容分離的 動機は学ぶ内容にこだわらないのだから学習方法との関係は薄いと市川氏は 指摘する。

私たちが行った調査の結果は図表18にある通りだ。内容関与的動機と学習 方法との相関は確認されず,市川氏の想定とは異なる。内容分離的動機と学 習方法は,市川氏の想定通り,ほぼ相関は確認されない。ただ,報酬志向と 思考過程の重視との間にはマイナスの有意な相関が確認できる。これはこれ で納得いく結果だ。つまり,報酬志向の高い学生ほど思考過程を重視しない (逆は逆となる)傾向があるということで,大いに腑に落ちる。

では,夢チャレ参加グループとそれ以外のグループでは,学びの動機と学 習方法の関係はどうであろうか。図表19をみると,まず,充実志向,報酬志 向と学習方法との間にだけ有意な相関が確認される。内発的動機付け,外発 的動機付けの観点からいえば,充実志向は内発的動機付けの筆頭であり,報 酬志向は外発的動機付けの筆頭となる。その両者との間にだけ学習方法との 相関が認められることは興味深い。そしてその傾向は,夢チャレ参加者では

図表17 夢チャレ経験者か否か別の学習方法の平均値

失敗に対する柔軟性 思考過程の重視 方略志向 意味理解志向

全 体 3.39 3.22 3.28 3.05

夢チャレ経験者 3.37 3.26 3.42 2.97 それ以外の学生 3.41 3.19 3.18 3.10

( 18 )

(19)

ないグループで確認されるのだ。他方,夢チャレ参加グループでは,充実志 向と方略志向との間にだけ有意な相関が認められる。

学びの動機と学習方法との間にメリハリある関係があるのは夢チャレ参加 者でないグループであり,彼ら彼女らを一般の学生と呼ぶなら,いまどきの 学生らしい割切りのいい学びのスタイルが垣間見える。学びそのものが楽し いときは失敗から柔軟に学ぶ姿勢や深く理解することを心がけ,得にならな い学びではいろいろ工夫をせず,短期志向を強め,手を抜く。他方,夢チャ レ参加の学生はメリハリがなく,学びそのものが楽しいときには方法論にこ だわる。

夢チャレの効用を信じてきた私たちからすれば納得しがたい結果である。

それは,夢チャレでは「失敗から学ぶ」「思考過程にこだわる」「なぜなぜを 問い深く理解する」ことを大学生が学ぶ場として私たちは位置づけ,それら

図表18 学びの動機と学習方法との相関関係

内容関与的動機 内容分離的動機

充実志向 訓練志向 実用志向 関係志向 自尊志向 報酬志向 失敗に対する柔軟性 0.3361 −0.069 0.0508 −0.1351 −0.0902 −0.0793

思考過程の重視 0.2407 0.0574 0.0404 −0.3396 −0.2498 −0.4138***

方略志向 0.3101 0.2821 0.2098 −0.2632 0.0153 −0.2752 意味理解志向 0.2961 −0.1091 0.1502 −0.1507 0.1837 −0.1912

図表19 夢チャレ経験者か否か別の学びの動機と学習方法との相関係数 充実志向 訓練志向 実用志向 関係志向 自尊志向 報酬志向 失敗に対する柔軟性 0.5158**

思考過程の重視 −0.5433**

方 略 0.6488** −0.6239***

意味理解 0.4256**

注:1%,5%水準で統計的に有意な相関係数だけを記している。無色は夢チャレ参加メンバー,

有色は夢チャレ不参加メンバー。

( 19 )

(20)

が体験を通して獲得できる取り組みを大学生に課してきたからだ。

半面,夢チャレの効用が薄れつつあることは私たち自身が一番感じていた ことでもあり,「やはりそうか」という結果でもある。

4.おわりに準備した探索系プログラムにゴーサインはださなかった

立志式に特化した書く

P

の存続が難しいこともあり,次に模索したのは, 高校生との関係をベースにした「大学生が教えることを通じて学ぶ」場を大 学生の出身地をベースにつくるプロジェクトだった(図表20)。

書く

P

では毎年,修猷館高に入る。心が折れそうになる中学生相手の書 く

P

とは違い,高校生が相手だと大学生の話はほぼ100%理解され動いてく れる。大学生にとってオアシス的な場を提供してくれるのだ。これはこれで ありがたいが,高校生を相手に大学生がストレッチするプロジェクトを修猷 館高で仕掛けるのは難しいということに他ならない。特に難しいのが,書く

P

で当初もくろんだ地域との関わりを意識したプログラムの実施だ。進学校 においては,良くも悪くも,地域との関りを希薄化するメカニズムが支配的 だからである。

ただ,時代は変わりつつある。大学で学んだ人材を地元にお返しすること が,ここにきて,大学にとってのミッションになってきた。文科省もそうい う方向での予算措置を打ち出しいている。図表20に示すプロジェクトは,商 学部のディプロマポリシーを意識したようにみえるが,そうではなく,書く

P

の当初からの目的・ミッションから必然的に導かれたものである。まずは 小さく回すことから2018年度にスタートしようと目論んだ。

だが,その立ち上げは断念した。いや,正確には躊躇した。躊躇したのは,

PBL

型プログラム(PBL 型プログラム一般の話ではなく,「私たち」の

PBL

型プログラム)が役割を終えたのではないかという,本稿で論じてきた感触

( 20 )

(21)

期待される効果

出身地域に貢献する意識 出身地域に貢献する意識 大学生

出身地域との関係 出身地域への興味,共感

高校生 探求学習の経験

「大学での学び」を体験できる 出身地域への興味,共感 地域課題の発見

福岡大学商学部 地元高校

高校生 自治体 大学生

地域創生に寄与する大学として福大を訴求できる 大学進学等で他地域へ転出する若者のUターン策

人材発掘を含む地域力の向上 課題設定力,リーダーシップ

であり,内部環境の変化に起因する不安であった。

もとより,PBL 型プログラムの終わりを導くには,ここに紹介した学習 動機と学習方法の調査結果は十分ではない。そのことは承知している。ので, あくまでも「暫定的な断念」である。

また,別の調査結果を見ると違う側面が見え隠れする。たまたま,卒論の ために,夢チャレ参加が自己肯定感にどう影響するかを調査したものがある。

調査対象は,4月に私たちが実施した調査の対象者に,夢チャレに参加,不 参加の2年生が加わった構成だ。

卒論を執筆した金古は,夢チャレ参加者(プロジェクト経験者)とプロ ジェクト未経験者の自己肯定感を比べると前者が高くなることを先行研究を 根拠に想定した。だが,調査結果によると両グループの間に差異がないこと が明らかになった。ならば夢チャレ参加者だけを対象に,プロジェクトへの 貢献度(統括リーダーによるランク分け)別に比較したが,それもグループ 間に差異は検出できなかった。ここまでの結果に照らすなら,PBL 型プロ グラムの効用(自己肯定感に対する)は認められないことになる。

そこで自己肯定感の伸び率(現在の自己肯定感を100として夢チャレ参加 前の自己肯定度を数値的に記入してもらう)に注目すると,図表21に示す結 果が得られた。この結果をどう解釈するかだが,私たちに都合よく解釈すれ

図表20 出身高校の高校生と一緒に課題設定力を鍛えるプログラム (2018年度はパイロット的に実施予定)

( 21 )

(22)

自己肯定感

プロジェクトへの貢献度(統括リーダーによる他者評価)

自己肯定度を問う30の質問にすべて

「その通り」と回答すると合計値なり 平均値がこのラインに達する。

ば,PBL 型プログラムの成果として自らのパフォーマンスや努力を客観視 する能力が養われ,自らに厳しい自己点検・評価を下している可能性がある。

自己に厳しい評価軸や評価水準が低めの自己肯定感をもたらした可能性は残 しておきたい。

その可能性の検証も含め,原点にたちかえる機会と期間をつくるためにも, 10年に及ぶ

PBL

型プログラムに一区切りをつける判断をし決断したので あった。

*本稿は田村馨・兵土美和子(2018)をベースにするも,内容と主旨を大幅 に変え,加筆・修正した。

参考文献・資料

安宅和人(2017)「知性の核心は知覚にあり」,DIAMONDハーバード・ビジネス・

レビュー2017年5月号,28‑43頁

図表21 自己肯定感の「プロジェクトへの貢献度別」伸び率

注:金古(2018)の調査結果を模式化したもの。

( 22 )

(23)

福岡市こども未来局こども部総務企画課(2013〜2019) 中高生夢チャレンジ大学報 告書』各年版

市川伸一(2001) 学ぶ意欲の心理学 ,PHP新書

市川伸一(2013) 学習と教育の心理学』(第3刷),岩波書店

金古一希(2018)「プロジェクト活動で自己貢定感が上がるプロセス」平成30年度福 岡大学商学部卒業論文

田村馨(2001)「大学プラットフォーム論」,福岡大学商学論叢46巻1号,51‑79頁 田村馨(2005)「海外インターンシッププログラムの可能性と課題」,福岡大学商学論

叢49巻3・4号,585‑593頁

田村馨・兵土美和子(2007〜2016) 書く力をきたえるプログラム』各年各校別報告 書,未刊行,田村研究室

田村馨・兵土美和子(2009)「Project-based Learning型プログラム導入の可能性と課 題 ― 長尾中学校で実施した「書く力をきたえるプログラムfor中学生」をケー スに」,福岡大学商学論叢54巻1号,49‑72頁

田村馨・兵土美和子(2013)「次世代の人材育成プログラムに求められるのは創造性 の発掘である」,福岡大学商学論叢57巻3・4号,233‑252頁

田村馨・兵土美和子(2014)「PBLで大学生が学ぶべきはフレームワークの活用とフ レームワーキングだ」,福岡大学商学論叢58巻4号,419‑440頁

田村馨・兵土美和子(2015)「中高生向け創造性発掘プログラムの効果を検証する」,

福岡大学商学論叢59巻4号,329‑338頁

田村馨・兵土美和子(2015)「フラットなコニュニティにおけるリーダー選出に代替 案はあるのか? ―PBLを左右する大学生リーダー選出をめぐる状況の点検」,

福岡大学商学論叢59巻4号,311‑328頁

田村馨・兵土美和子(2016a)「中高生向けリーダーシップ開発プログラムの効果分析」, 福岡大学商学論叢60巻3号,463‑477頁

田村馨・兵土美和子(2016b)「中高生の立志プログラムはなぜメタファーワークプロ グラムに進化したのか」,福岡大学商学論叢60巻4号,741‑757頁

田村馨・兵土美和子(2018)「大学生が教えることを通じて学ぶ ― 地域連携プロジェ クトと産官学連携プロジェクト」,福岡大学教育開発支援機構2017年度年報,

49‑54頁

東京大学教育学部カリキュラム・イノベーション研究会(2015) カリキュラム・イ ノベーション:新しい学びの創造へ向けて ,東京大学出版会

( 23 )

(24)

付表1 学習動機の心理尺度

充実志向

!新しいことを知りたいから

!いろいろな知識を身に着けた人になりたいから

!直ぐに役にたたなくても,勉強がわかること自体がおもしろいから

!何かができるようになっていくのは楽しいから

!勉強しないと充実感がないから

!わからないことをそのままにしておきたくないから

訓練志向

!勉強することは頭の訓練になると思うから

!学習の仕方を身に着けるため

!合理的な考え方ができるようになるため

!多面的にものごとが考えられるようになるため

!勉強しないと筋道だった考え方ができなくなるから

!勉強しないと脳の働きが衰えてしまうから

実用志向

!学んだことを将来の仕事に活かしたいから

!勉強したことは生活の場面で役に立つから

!勉強で得た知識はいずれ仕事や生活の役に立つと思うから

!知識や技能を使う喜びを味わいたいから

!勉強しないと,将来仕事をするうえで困るから

!仕事で必要になって勉強したのでは間に合わないから

関係志向

!皆やるから,なんとなく当たり前だと思うから

!友だちと一緒に何かをしていたいから

!親や好きな先生に認めてもらいたいから

!周りの人がよく勉強するので,それにつられて

!みんながすることをしないと,不安になるから

!勉強しないと,親や先生に悪い気がして

自尊志向

!成績がいいと他の人よりも優れている気持ちになれるから

!成績がいいと仲間から尊敬されると思うから

!ライバルに負けたくないから

!勉強して良い学校を出た方が評価が高いから

!勉強が人並みにできないのは悔しいから

!勉強が人並みにできないと自信がなくなりそうだから

報酬志向

!これまで,成績がいいと,こづかいやご褒美をもらってきたから

!テストの成績がいいと親や先生に褒めてもらえるから

!勉強すると社会に出てから経済的に良い生活ができるから

!勉強ができると社会に出てから得なことが多いと思うから

!勉強ができないと親や先生にしかられるから

!勉強しないと良い仕事先につけないから

注:市原伸一氏開発の心理尺度。よくあてはまる(5点),全くあてはまらない(1点)。

( 24 )

(25)

付表2 学習方法の心理尺度

失敗に 対する 柔軟性

!ことが思ったようにいかないとき,頑張って何とかする方だ

!失敗を繰り返しながら徐々に完成形に近づけていけばいいと思う

!ことが思ったようにいかないとき,原因をつきつめようとする

!間違いをすると恥ずかしいような気持になる

!巧くいきそうにないと感じると,やる気がすぐに失せてしまう

!失敗すると,すぐにがっかりしてしまう方だ

思考過程の 重視

!答えがあっているかよりも,考え方があっているかが大切だと思う

!ある問題を解いたとして,別の解き方を探してみることがある

!試験でできなかった問題は,あとからでも解き方を知りたい

!なぜそうなるかがわからなくても,答えがあっていればいい

!試験では,途中の解き方よりも,答えがあっているかが気になる

!解き方を自分でいろいろ考えるのは面倒だ

方略志向

!勉強の仕方をいろいろ工夫するのが好きだ

!成功した人の勉強法に興味がある

!試験の結果が悪かったとき,勉強の量よりも方法を見直す方だ

!勉強の方法をあれこれ変えても効果は大きく変わらないと思う

!学習方法を変えるのは面倒だ

!成績をあげるには,とにかく努力,たくさん勉強するしかない

意味理解 志向

!ただ暗記するのではなく,理解しながら覚えるように心がけている

!学んだこと同士の関連性をつかむようにしている

!図や表で整理しながら勉強する

!数学の勉強では公式を覚えることが大切だと思う

!同じパターンの問題を何回もやって慣れるようにする

!なぜそうなるかをあまり考えず,暗記してしまうことが多い 注:市原伸一氏開発の心理尺度。よくあてはまる(5点),全くあてはまらない(1点)。

ただし,のついた項目は反転してから足し合わせる。

( 25 )

参照

関連したドキュメント

自分は超能力を持っていて他人の行動を左右で きると信じている。そして、例えば、たまたま

う東京電力自らPDCAを回して業 務を継続的に改善することは望まし

7.自助グループ

脱型時期などの違いが強度発現に大きな差を及ぼすと

○事業者 今回のアセスの図書の中で、現況並みに風環境を抑えるということを目標に、ま ずは、 この 80 番の青山の、国道 246 号沿いの風環境を

2016 年度から 2020 年度までの5年間とする。また、2050 年を見据えた 2030 年の ビジョンを示すものである。... 第1章

 大学図書館では、教育・研究・学習をサポートする図書・資料の提供に加えて、この数年にわ

た意味内容を与えられている概念」とし,また,「他の法分野では用いられ