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包括的システムによるロールシャッハ・テストの反 応内容

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Academic year: 2021

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(1)

包括的システムによるロールシャッハ・テストの反 応内容

その他のタイトル Content of Rorschach Test by the Comprehensive System

著者 高橋 雅春, 西尾 博行

雑誌名 関西大学社会学部紀要

27

3

ページ 199‑238

発行年 1996‑03‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00022512

(2)

包括的システムによるロールシャッハ・テストの反応内容

高 橋 雅 春 ・ 西 尾 博 行

Content of Rorschach Test by the Comprehensive System 

Masaharu TAKAHASHI, Hiroyuki NISHIO 

Abstract 

For  the  interpretation of  results of  the Rorschach test,  it  is  necessary  to know  the  response pattern obtained from normal  subjects.  We  have  therefore  studied the  frequency of  detailed contents for each  inkblot area  of  the  Rorschach  test.  The test  was  administered to 220 nonpatient adults  (110 males and 110 females)  and  150  schizophrenic  adults  (75  males and  75  females)  by the  Comprehensive System. We made a list  of detailed content  categories,  and  found considerable differences between nonpatients  and  schizophrenics. 

key words : Rorschach test, Comprehensive System, content, nonpatients, schizophrenics. 

抄 録

ロールシャッハ・テストの解釈に当たっては,健常成人の反応様式の基準が必要である。本論文で は,インクプロット領域への具体的反応内容の出現頻度を明らかにした。この際われわれはExner,J. の包括的システムに基づき,ロールシャッハ・テストを実施しコード化を行い,ィンクブロットの領 域への反応内容を明らかにした。被検者は健常成人220人(男llO人,女llO人)と精神分裂病者150

75人,女75人)であった。この結果,特定の反応内容の出現頻度が,健常成人と精神分裂病者で 異なることを見出した。

キーワード:ロールシャッハ・テスト 包括的システム 反 応 内 容 健 常 成 人 精 神 分 裂 病 者

(3)

関西大学『社会学部紀要』第27巻第3

I. 

ロールシャッハ・テストを臨床場面で用い,クライエントのパーソナリティを理解するに当 たっては,その反応様式を健常な人々に通常みられるものと比較することが最初の手がかりと なる。健常な人々にみられる反応様式の基準については,高橋・北村 (1981)などが明らかに してきている。ところで近年,アメリカではロールシャッハ・テストに対する従来の各学派の 実施法,スコアリング法,解釈仮説を検討し統合したExner,J. (1986)の包括的システムが主 流となり,さらにこのシステムが世界のロールシャッハ・テスト研究者の共通言語となりつつ あるといえる。われわれはこの包括的システムの基準に基づき,日本人の反応様式を再検討し た結果をすでに公刊した(高橋•西尾1994) 。そこでは反応様式の中の形式面を主に取り上げた が,具体的な反応内容については述べなかった。

改めていうまでもなくロールシャッハ・テストの解釈においては,構造分析(形式分析)と ともに,内容分析が重要なアプローチである。この内容分析を行うためには,図版のある領域 に多く生じる具体的な反応内容を明らかにしておく必要があり,高橋・北村 (1981)は健常成 人,犯罪者,神経症者,精神分裂病者各群200人についての具体的な反応内容を明らかにしてい る。しかしわれわれ(高橋・西尾1994)は,包括的システムの実施法とスコアリング法によっ て,新しく健常成人220人のプロトコールを得ることができた。そこで各図版の領域に生じやす い具体的な反応内容を明らかにし,包括的システムによるロールシャッハ・テストの解釈をよ

り有効にすすめるための資料としたいと考えた。

II.  目 的

本論文では,内容分析のための基礎資料として,各図版領域への健常成人の具体的反応内容 の出現頻度を明らかにすることを目的とする。さらにこの目的をより有効にするために,新し

く集めた精神分裂病者の具体的反応内容も明らかにした。

III.  方 法

本論文の被検者中,健常成人は220人(男110人,女110人),精神分裂病者は150人(男75 女75人)である。健常成人については高橋・西尾 (1994)の研究の基礎資料の分析によってお り,精神分裂病者についても個人法により,新しく収集した資料の分析によっている。健常成 人の平均年齢は29.74歳(標準偏差12.28)であり,精神分裂病者の平均年齢は34.17歳(標準偏 差7.63)である。

(4)

この資料を基に,各図版に関してExnerのあげた領域(日本人の被検者に関して彼の基準に 従ってわれわれが設定した特殊部分反応領域を含む)への具体的反応内容を明らかにし, IV. 結果に記載した。記載は次の方法によっている。

1) I図からX図までの各図版毎に, W, WS, D,  D S,  Dd,  DdSの順に, Exnerの領域 番号に従い,その領域に答えられた反応をアイウエオ順に並べ,その出現頻度を実数で記載し た。この際,図版の方向は記入していない。なお各図版でDd99DdS99のコードが付けられる 領域の反応内容は省略した。

2)反応内容の頻度の数字の左側は健常成人が答えた数であり,右側は精神分裂病者が答え た数である。われわれはさらに,これらの反応内容が図版への最初の反応,第二番目の反応,

第三番目の反応,第四番目以下の反応として答えられた頻度についても検討した。これによる と同じ反応内容であっても,図版への最初の反応として答える場合とそうでない場合が,健常 成人と精神分裂病者とで異なるものがあることを見出した。しかし本資料では紙数の関係から,

この出現順序については掲載しなかった。

3)領域番号で示された領域への反応内容が一つだけではなく,プレンドの場合は,主要反 応によって表示した。たとえばVWを「うま跳びをしている人」ならHとコードされるが,

「衣装をつけた人」ならH, Cgのプレンドとなる。後者のような場合は, Hの反応内容として

「衣装をきた人」の形で取り上げ,衣装を別個に示してはいない。

4)  2つ以上の領域に別々の対象を見てそれらを統合した反応内容は,領域番号で示した領 域の反応内容のみを取り上げた。たとえばVIII図でDlを「動物」, D4を「人間」と見て,「動 物と人間が握手している」なら, Dlの「動物」のみを表示しD4の「人間」は取り上げては

いない。

5)反応内容に関しては,たとえばIIIDlHであっても,「人間2人」「男2人」「女2

「原始人2人」「黒人2人」「男と女」「足の離れた人間2人」のほか,反応内容のブレンドとし て「2人がハンドバッグをもって挨拶している」「2人の後に人魂がとんでいる」「2人の頭の 後からアイディアが入ってくる」などさまざまな表現がなされる。こうした推敲や修飾のなさ れている反応内容のすべてを詳細に示すことは紙数の関係で不可能であるから,適宜まとめる 必要があった。この統合の基準は,われわれの臨床経験から健常成人に通常見られない表現の

ものは,できるだけ採用することにした。

付記:本研究の資料の具体的な反応内容の分類と集計に当たって,森脇葉菜子,坂上妹子,

逸見美栄子,長田祐子の援助を得たことに感謝したい。

IV.  結 果

(5)

反応内容 悪魔

アゲハチョウ アメリカの地図 アライグマの顔 イヌの顔 イヌの影 インク 宇宙船

ウマ2 王様2 オオカミの顔 オーストラリア 置物

織田信長2 鬼の面2 怪 獣 海藻 カエル カニ カニの甲羅 ガの標本 カプトムシ カマキリ 家紋 カラス 枯葉(葉)

キツネの顔 恐竜 桐の紋

クマ2匹と人間 クモ

クワガタ 勲章 原爆記念像

コウモリ

コウモリ(頭のない)

コウモリ 3 こうもりがさ コウモリ脊髄 コオロギ 骨盤 昆虫 サカナの頭 サカナの骨 サソリ 子宮

シャーマン 写真のフィルム 食用ガエル 女性性器

シラミ

関西大学『社会学部紀要』第27巻第3 I

W (つづき)

頻度 反応内容

心臓

スーパーマン

墨絵

脊椎セミ

対称の図案ゾウ2

千切り絵タツノオトシゴ3

チョウ

チョウ(死んだ)

チョウ2

チョウの標本

鉄兜

47  18  テレビゲームのムシ 天使(頭のない)

天使天使と鐘テントウムシ2

動物的なもの

動物の顔

動物の毛皮

トカゲ(羽の生えた)22羽と何か

鳥とドレス

入道雲と海トンボ

人間(衣装をつけた)

人間(コウモリみたいな)

人間(羽をつけた)

人間人間22人と何か

人間3

人間と影

97  83  人間と鳥2

人間の胸骨

ハチ

バットマンのマーク

葉に隠れたクワガタハト

飛行機

フクロウ

帽子

魔女と木墨汁の散ったもの

松の木

マンタ

湖に映った山ムササビ

頻度

゜ ゜

47  24 

゜ ゜ ゜ ゜

゜ ゜

13 

゜ ゜ ゜

゜ ゜ ゜

(6)

I図(つづき)

W (つづき) ws (つづき)

反応内容 頻度 反応内容 頻度

ムシ 動物の顔 14 

モスラ

動物の面

UFO 

土偶

雪の結晶

人間の顔

妖精2

人間の顔 (4つ目)

リス2

ネコの顔

レントゲン写真 ネコの顔(ディズニー)

レントゲン写真(アプラムシ)

ネコの面

レントゲン写真(骨盤)

レントゲン写真(トンボ)

ハロウィーンのかぼちゃ

レントゲン写真(肺)

パンツ

わかめワシワシのマーク

゜ ゜

ヤギの顔の仮面山の砦ヒッジの顔 1

2

゜ ゜

 

W S   ライオンの顔

悪魔の顔 レントゲン写真(胸)

アリの顔

イヌの顔 15 

ウサギの顔

Dl 

ウシの顔

D2 

王冠をかぶったサカナ

悪魔

オオカミの顔 ,  イヌ

オオカミの面

イヌの顔

鬼の顔 ウサギ

鬼の面

宇宙人

唐獅子

怪獣の顔

カラス

怪獣の面

キツネ

怪物の顔

クマ

サカナの顔

コウモリ

カの頭

サナギとチョウ

カプトムシ(潰れた)

セミ

カボチャの面

ゾウ

カマキリの顔

タツノオトシゴ

仮面 チョウ

仮面ライダーの顔

天使

枯葉(葉) 動物

キツネの顔 23 

キツネの面

ニワトリ

切り絵

人 形

草むらのムシ

人間

首から上クマの顔コウモリコウモリの顔

゜ ゜ ゜

人間(羽の生えた)魔法使い幽霊ムササビ

゜ ゜ ゜

骨盤

獅子舞の顔

DS2 

島と海

lウサギ

建 物

D3 

地図

チョウ

デビルの面

I

女女性性性の器裸 (下半身)

゜ ゜

動物(昔の)

(7)

関西大学『社会学部紀要』第27巻第3

D4 

反応内容 頻度

カエル

カプトムシ 14 

カミキリムシ

神 様2

クマの敷物

クモ

クワガタ

コウモリ

昆虫

地蔵(頭のない)

女性性器スーパーマン

脊 髄セミチョウトカゲ

゜ ゜ ゜

人間 15 

人間(映った)

人間(首がない)

人間2

I

魔女マンドリンムシヤゴロボット

゜ ゜ ゜ ゜

I

図(つづき

r , 1

男性性器

反応内容

< 

巴口叫〗国戸 ゜

1 0  

. 0 1  

1 0  

0 1   5 1 1  

1 0 0  

D7  イヌの頭 オオカミの頭 キツネの顔 動物の顔

0 0 0  00   7 3 1 1 1  

鷹に置翌翻島〗

2 1 1  

0 0 0  

1 1 1 0  

0 0 0 1   Dd24 

戸フの甲羅

Dd25  戸 コ の 頭 DdS26 

1 1  

0 0  

(8)

II

W (つづき)

反応内容 頻度 反応内容 頻度

アゲハチョウ 人間(鏡に映った)

イチジク

人間2 85  19 

イヌ2

人間2人と血

イヌ 2匹と血

人間2人と火

いも判

人間の解剖図

インクのこぼした

人間(部分)

ウシの顔と血

熱帯魚

宇宙人2 バイキン

ウニ

肺と血

鬼の顔 ハゲタカ2

鬼の面

花(アサガオ)

怪人火山カニカニ(石川啄木の)

花(パンジー)ピエロ(鏡に映った)ピエロ 2

゜ ゜

フラミンゴ2

カニ(足がない)

噴火とイヌ

キツネと血

魔女2

キャンプファイヤー

魔法使い2

共産党

魔法のランプ

桐の紋毛皮クマ(焼かれている)クマクマクマクマの顔クワガタコウモリと血コウモリと火コグマの皮222匹と血匹とチョウ(2

゜ ゜ ゜ ゜ ゜ ゜ ゜ ゜

゜ ゜ ゜

ws 模様ムササビムササビと火ムシムシの頭イヌの顔レントゲン写真(胸)ウシの顔

゜ ゜ ゜

゜ ゜ ゜ ゜ ゜

小人2

鬼の顔

サボテン

クワガタの顔

事故現場 コウモリの子宮

しみ

サンタの顔

象形文字か何か

四国と瀬戸大橋と海

心臓

女性性器

水墨画

生物(何か不明)

建物と森

戦 争ゾウゾウソフトクリーム22匹と飾り

゜ ゜

゜ ゜

人 形人間(鏡に映った)内臓ドーナツ2

゜ ゜ ゜

太陽の輝き

人間2

タツノオトシゴと悪玉

人間の顔 10 

抽象画チョウテキとケチャップ

゜ ゜

ネコ(漫画)ネコの顔

゜ ゜

手 袋

花(ラン)

動物2 防空壕

動物2匹(雄と雌)

動物2匹と息

面隠し

トマト

ロケットと宇宙と星

ロボットの顔

2羽(マンガ)

内臓

(9)

Dl 

反応内容 イヌ

イノシシ

オーストラリア クマ

四国 死人 ゾウ 動物 人間 ネズミ D2 

アイスクリーム 赤色

足跡 足にヘビ イタリアの地図 イモムシ ウサギの顔 オットセイ 親指 カラス 肝臓 指紋 竜巻

血(親戚の血)

チョウ

ニワトリの顔 人間 人間の顔 肺の写真

花(カーネーション)

レントゲンの血 D3 

イノシシの顔 インクのしみ 鬼の顔 鬼の面

火山の噴火口 カニの頭 カプトガニ 花弁

関西大学『社会学部紀要』第27巻第3 II図(つづき)

D 3 (つづき)

頻度 反応内容

カモシカの頭

クジャクの羽

肛門からの出血肛門の断面図昆虫

昆虫の頭

子宮

人間の舌

゜ ゜ ゜

女性性器生理の血腎臓

生理の血と性器血(鼻血)

血のシミ

動物チョウ2匹(刺のある)

゜ ゜ ゜ ゜

人間爆発花(カトレア)噴火

D4 

゜ ゜

騎士の兜教会(塔の先端部)男性性器

鉄塔

東京タワー灯台

人間の顔人間の手

ネズミの頭

ミサイル

DS4 モンシロチョウローソク

DS5 

宇宙船アルコールランプイヌのロ

円盤

火山花瓶

宮殿(林の中)空洞クモのロ

こま

サメのロ

頻度

゜ ゜

, 

12 

゜ ゜

0 0   1 1  

゜ ゜

(10)

II図(つづき)

DS (つづき) D 6 (つづき)

反応内容 頻度 反応内容 頻度

ジェット機

骨盤

女性性器

ゴリラ2

人工衛星 昆虫の顔

スペースシャトル

サイ2

スペード

サル2

脊椎の輪切り

四国地図2

戦闘機

世界地図

建 物

ゾウ2 16 

.,.,, 

タヌキ2匹(逆立ち)

寺の屋根

チョウ

電気

テントウムシ

電球のソケット

動物2

電灯 動物の顔

電灯の笠 動物の皮

動物の上半身 (2

灯台

トンカッ

土器

人形2

人間(映った)

人間 人間2

, , 

人間2人(足がない)

飛行機

人間2人(男と女)

ミサイル 人間2人(体と骨)

UFO ランプロケット 1

4  忍者葉(枯葉)ネズミ22

ロケット 2

花(カトレア)

D6  ヒッジ(逆立ち)

アザラシ2

フクロウの上半身

アメリカ

ブタ 2

イヌ2 10  14  ブト

イヌの顔

ムササビ

イヌの顔 (2

ムササビ2

イヌの上半身 (2

ムシ

イノシシ2 モグラ 2

森と建物の風景

ウサギ(氷に映った)

妖怪2

ウサギ2

夜の灯台と海

ウサギ(下が影)

レントゲン写真(不特定)

宇宙人2

ワシ

ウマ2

オーストラリア2

DS6 

石(真ん中くりぬいた)

2

イヌの顔

怪獣2

カニ

岩と海

カニの甲羅 オーストラリア(穴開いた)

カメ

お化けの王様

クマ(氷に映った)

海岸の風景

クマ2 34  15 

クマの顔

コウモリ

クマの毛皮

骨盤

クマの人形2

寺院

車の正面

新幹線の正面

黒い背景と火

心臓と肺

コウモリ 地図

(11)

(つづき)

反応内容 チョウ(穴のあいた)

チョウの幼虫 天使と悪魔 洞窟

洞窟と外の風景 ドーナッ トンネルと岩 人間2 神殿に続く道 森と建物 森と湖 肋骨 Dd21 

Iクマの横顔 Dd22 

I人間の顔 Dd28 

Iウシ Dd31 

│チンパンジーの顔 人間の顔

関西大学『社会学部紀要』第27巻第3

II図(つづき)

頻度

゜ ゜

゜ ゜

参照

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