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教育実習における社会科授業構成に関する考察

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教育実習における社会科授業構成に関する考察

小学校5年「日本の畑作」を素材として 河 南 一

ALessonConstructionofSocialStudiesinTeacherTraining

IntheCaseofTeachingonAgricultureintheElementarySchool

HajimeKAwAMINAMI (ReceivedSeptember30,1988)

Inthisarticleltriedtomakeclearthesutdyofsubjectmatterandconstruction oflessonfortheteachertraininginelementalysocialstudies・

Theresultoftheanalysisisasfollows:

1)Studentteachershavetobebasedonthecontentsoftextbookinteaching,but teacherneednotit,thatisthemostdifferentviewpointintheteachertrainin9.

2)Terefore,itisnecessarythatstudentteachersstudythetextbookandfindthe

problemsofhimselfandattempttosolveit,Inteaching,hehastochangethese e

x p e r i e n c e s t o ‘ ‘ i n q u i r y p r o c e s s , ' 、

3)Iattemptedtomakealessonconstructionof“agriculture”whichisbasedonthe

problemofstudentteachers,andaskedoneofthemtodothatteachingplan、Ifind that,asaresult,theproblemwhichisfoundbystudentsisequaltopupils'inelemen‐

t a r y s c h o o l

問題の所在

制度の試行にともなって、大学 現在、初任者研修制度の試行にともなって、大学 における教育実習のあり方に関する再検討が行われ ている。こうした検討の一環として、片上宗二氏は、

教育実習観自体を「研究・継続型-専門職型一部分型」

へと転換することを主張されている(1)。しかし大学 で行われている検討は「事前指導」とr事後指導」

を中心としており、教育実習の中核とも言うべき教 壇実習の検討は、附属学校に委ねられているのが実 状である(2)。しかも学生が行う教材解釈・教材研究・

授業構成等の具体的な点に関しては、ほとんど明ら かにされていない(3)。したがって附属学校で行われ ている実習指導は、依然として「実践・完成型-見習 修行型-一切型」の実習観で運営されていると考えら れる。

教 育 実 習 に お け る 授 業 構 成 の 問 題 点 こ う し た 教 育観で運営されている教育実習は、どのような問題 を含んでいるのだろうか。社会科授業における学生 の授業構成を検討した場合(‘)、以下の問題点を指摘

*社会科

できよう。

第1の問題点は、附属学校で行われる授業が「教 科書の記載内容を教える」形式になり易いことであ る。このことは、基本的には、学部の学生数と附属 学校の学級数という制度・運営の点から生じる問題 である。附属学校で行われる実習は、l学級当たり の指導学生数という点で、多数の学生を受け入れる 形で運営されている場合が多い。1人の教師が多数 の学生を指導する場合、教科書の記載内容に基づい て授業を割り振らざるを得なくなる。なぜならば、

ある程度の授業内容が明確になっていなければ、学 生が教材研究を行うことは不可能になるからである。

したがって、教科書を基盤としない授業構成の形式 (例えば、学生自身の問題意識を基盤とする授業構 成、優れた先行実践に基づく授業構成等)を経験す

ることは、附属学校の実習では困難とならざるを得 ない。

第2に、教科書記述を中心に授業構成を考えるこ とは、学生が既にもっている内容中心主義の社会科 観を再生産させ易い点である。一般に、学生の多く は知識暗記型の授業体験をもっており、実習におけ る授業の作成と実施を通して、こうした社会科観を

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強固なものにすると考えることができる。したがっ て、実習以前に紹介された理想的な教育理論や授業 理論は、教育実習における授業作成の過程で放棄さ れ、既有の常識的な教育理論のみが保持されること になる。

第3点として、教科書を基盤とする授業分担の割 り振りでは、社会科授業においてもっとも重要な課 題である、単元構成の指導が困難になることである。

学生は担当部分の教材研究で精一杯であり、他人の 授業内容や単元全体の内容を把握することは不可能 な場合が多い。もちろん、学生自身の共同研究によ る単元計画の作成は可能であるが、時間的な制約と いう点で、行われない場合の方が多い。

第4点として、短時間の教材研究では、記述され た内容自体の検討や深い解釈が欠落し易いことを指 摘できる。特に社会科の教科書には、授業で使用す る資料だけでなく、その解釈や授業内容までが記載 されている。記述内容の妥当性を検討するためには、

社会科学の研究成果を必要とするだけでなく、その 成果をもとに具体的な記述に適用して解釈できる研 究方法論が必要となる。したがって教育実習で行わ れる教材研究は、指導書に提示された授業構成を基 盤とし、子供の興味・関心を引くような教材・教具 の作成や子供を動かす作業活動を中心に行われるこ とになり、方法主義的な社会科観に陥り易くなる。

本論の課題以上のように教育実習の問題点をと らえた場合、実習における授業作成・実施の体験を 通して、現在の問題点が拡大再生産されていると言 えよう。したがって、今日必要な課題は、学生が学 部教育で習得した教育理論や教科教育理論と教育実 習における授業実践とを、理論的・実践的に結び付 け得る「教授書」(5)の開発であると言える。すなわち 教壇実習を通して、学部で習得した理論を深めると

ともに、授業自体の面白さ・楽しさを経験できるよ うな、ある程度の「伝達可能性・再現可能性」(6)をも った授業計画書の開発である。本小論では、小学校

5年生で行われる「畑作の特色」を事例として、教 育実習における授業構成の方法を提示するとともに、

学生が行った実験授業の検討に基づいて作成し、学 生の使用を目的とした「教授書」について報告した

いo

教科書記述を基盤とした授業構成の方法 教科書記述の検討

教科書を基盤として授業を作成する場合、その記 述内容を検討することが必要となる。そこで、各社

の教科書(7)における「日本の畑作」の構成及び記述内 容を見てみると、次のようになっている。

全 体 の 構 成 と 記 述 5 年 生 の 学 習 は 、 日 本 の 食 料 生産と工業生産を中心として構成されており、その

「特色並びにそれらの生産活動と国民生活との関連 について理解させる」(8)ことが基本的な目標とされ ている。そこで教科書は、食料生産を農業と水産業 に分割し、さらに前者を稲作と畑作・畜産で構成し ている。これは各社に共通した構成であり、そこで 取り上げる具体的な「特色ある地域」のみが異なっ ている。畑作の場合、千葉県八街町(教育出版)、茨 城県岩井市(東京書籍)、徳島県石井町(大阪書 籍)、茨城県鉾田町(学校図書)等が取り上げられて いるが、その地域における生産の様子を通して生産 農家の工夫・願いを教える点は共通している。一方、

全体的な畑作の特色について見てみると、農業生産 の導入部分(東京書籍・学校図書)、畑作の導入部分 (教育出版)、畑作の終結部分(大阪書籍)といった ように、それぞれ異なった位置づけになっているが、

大都市近郊農業・適地適作によって説明する点では 共通している。

特 色 の 記 述 「 畑 作 の 特 色 」 を 導 入 部 分 に 位 置 づ けている教育出版社(9)の場合、次のような資料と記 述から構成されている。「畑作のようす」を示す資料

として、「おもな畑作物の牛産量、おもな畑作物の産 地、おもな畑作物の作付面積」の3つの図表が掲載 されている。そして「わが国の畑作は、どのように 行われているか調べよう」という学習課題・活動が 示され、「資料からわかったこと」として、野菜・い

も類の生産がさかんであること、それらは地域によ って生産物がちがうこと、北海道や九州は気候の特 色にあった野菜を生産していること、大都市近郊で は野菜生産がさかんであること、といった解釈が記 述されている。

授業構成の困難性さて、学習活動と資料及びそ の解釈が記述されている教科書を基盤として授業す る場合、授業者はどのような教材研究を行い得るの だろうか。具体的な「特色ある地域」を取り上げる 場合であれば、学生は何等かの文献をもとに詳しく 調べ、教科書をより詳しく教えるような一般的な方 法を採ることができよう。また教育出版社以外の教 科書であれば、稲作と比較させたり、具体的な内容 と関連させたりすることも可能であろう。一方、教 師の場合であれば、たとえこの教科書を使用してい ても、この部分を削除したり、1時間を充てないこ とも可能であろう。しかし教育出版社の教科書を使

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用し、この部分を1時間で行うことを分担した実習 生の場合、教材研究や授業構成は困難とならざるを 得ない。そこで指導書に示された授業構成に基づい て、より新しい年度の資料に差し替える、子供に資 料を作成させるような学習活動を組み込む、といっ た方法に頼らざるを得なくなる。しかしこうした方 法では、いくら教材研究を熱心に行ったとしても、

1時間の授業を通して教えることは、結局教科書に 記述されていることになる。したがって授業者の意 図は、授業以前に教科書に目を通している附属小学 校の子供達に簡単に見抜かれ、子供の知的好奇心を 満足させることは不可能となる('0)。

子 供 の 解 釈 の 検 討

では、こうした授業が実施された場合、子供は一 体何を学習することになるのだろうか。畑作を説明 する知識と資料解釈という2つの点で検討してみた

いo

畑 作 を 説 明 す る 枠 組 み 子 供 達 が も っ と も 理 解 し 易いのは、「それぞれの地域では土地や気候に適した 作物が栽培されている」という適地適作論による説 明であろう。しかしこうした自然条件に基づく説明 の枠組みは、子供達が授業以前からもっているもの であり、この時間で新しく習得する知識とは言えな い('1)。一方、社会条件による説明として、教科書は 大都市近郊の畑作生産を取り上げている。しかしそ れは人口と需要で説明するものであり、既有の常識 で容易に推測できるものであって、この時間で新し く習得する知識とは言えないであろう。したがって、

教科書の記述内容を教育内容とする授業構成は、「畑 作の特色」を説明する知識の枠組みという点では、

何も教えないことになる。

資料解釈の問題点資料解釈という点で検討した 場合、教科書の解釈は大きな問題を含んでいると言 える。資料をもとに、「畑作はどのように行われてい るか」という学習課題を設定しながら、提示されて いる解釈は「さかんな地域_,に限定されており、教 科書全体の文脈も同様になっている。こうした限定

された解釈のみを教えることは、実施される授業を 考えた場合、以下の問題点を含むことになる。

第1に、子供に自由な解釈を求めておきながら、

事前に解釈の方向を限定しておくことは「疑似的な 自由」('2)でしかない点である。1つの資料に対する 解釈は数多くあるはずであり、実際後述するように、

この資料から読み取り得ることは他にも存在する。

「さかんな地域」という視点を暗黙の了解事項とし て、特定の解釈を強要することは、「教科書や教師の

解釈も1つの解釈にすぎない」という解釈の主体性 を教えられないことになる。こうした指導のあり方 こそが、事実と解釈を混同させ、知識の暗記主義的 な社会科観を形成していると思われる。

第2に、資料自体の妥当性を検討せずに一定の解 釈を導き出させることは、子供に資料と事実を混同 させることになる点である。この資料自体は、畑作 の事実を表したものではなく、「さかんな地域」を示 すために、「おもな」作物と地域を限定したものであ る。こうした資料自体の性格を明らかにすることな く、資料と現実を同一視させる指導方法では、情報 化社会における社会科授業に要請されている、1つ の資料から現実や事実を推測する能力を育成するこ

とはできないであろう('3)。

以上検討してきたように、教科書記述を教育内容 とする授業では、子供の自由な発想や解釈及び資料 から事実を推測する能力を否定することになる。し たがって、こうした授業体験を積み重ねることが有 効な教師養成の方法になるとは、到底考えることが できない。

資料の検討

では、教科書に掲載された資料に基づいて授業を 作成する場合、その資料から「どのようなこと」が 読み取れるのであろうか。教科書に記述された解釈 ではなく、子供達が関心をもち、しかも積極的に学 習するような解釈を設定できるだろうか。こうした 視点から、学部の演習を利用して、学生に資料自体 の検討を行わせてみた('4)。その結果、彼等は「さか んな地域」だけでなく、「さかんでない地域」や資料 に表現されていないことにも関心を抱く傾向がある ことが分かった。

資料への着目と解釈学生が着目した点とその解 釈は、以下の5点である。

第1は、畑作物が太平洋側を中心に記載されてい ることである。これは、教科書に掲載されている「お もな稲作の産地」('5)と比較すると対称的であり、北 海道を除いて、「おもな稲作の産地」は「おもな畑作 の産地」ではないことになる。このことは、日本の 農業が稲作を中心とし、畑作は裏作利用の形態で行.

われていることを意味している。

第2は、地図の空白部分に着目することである。

特に「おもな畑作物の産地」の資料では、中国地方 が畑作の空白地帯となっている。この点について、

「実際に何も生産していないのか」「生産していると すれば、何をどれだけ生産しているのか」「なぜこの 資料にはそれが掲載されていないのか」といった視

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点から調査を行った。その結果「おもな畑作物の産 地」という表現は、「おもな畑作物の、おもな産地」

の意味であり、畑作の産地を2重の視点から限定し た資料であることが明らかになった('‘)。同じ表現形 式が、同じ頁にあり、しかもこの部分の意味だけが 異 な っ て い る こ と に な る 。

第3は、人口・需要論への疑問である。この資料 でみる限り、確かに関東地方の畑作生産を人口と需 要で説明することは可能であろう。しかし、同じよ うに大都市近郊であり人口と需要が多いはずの近畿 地方には、ほとんど畑作物が記載されていない。こ の理由は、実際には多くの作物が生産されているに も関わらず('7)、この資料の作成者が「おもな」の判 定基準を明らかにしないで、大阪のキャベツとトマ

ト生産を除外したためであると思われる。

第4は、適地適作論への疑問である。子供達は4 年生の時点で、長野県におけるレタスの高地栽培を 学 習 し て お り 、 適 地 適 作 論 に よ る 説 明 の 枠 組 み を 学 んでいる。しかし資料の北海道の部分を調べた場合、

もっとも多くの畑作物が示されているにも関わらず、

レタスは記載されていない。そこで「北海道ではな ぜ生産していないのか」「気候的に不可能なのか」「可 能であるとすればなぜ生産量が少ないのか」という 疑問が生じることになる。この問題は、畑作生産が 自然条件や人口・需要論だけでなく、輸送条件によ っ て も 規 定 さ れ て い る と い う 点 か ら 説 明 で き よ う ' (

8 )

第5は、「いも類がさかんにつくられている」とい う記述への疑問である。牛産量と作付面積の2つの 資料を組み合わせた場合、いも類は「作付面積が少 ないにも関わらず、生産量がもっとも多い」ことに なる。「さかんである」という記述は、前者の資料だ けから判断されており、資料が重量を「指標」とし て作成されている点に原因があると思われる。

演習に参加した3年次生は、最初の段階では、小 学生が使用する資料であり、簡単に読み取れると考 えていた。しかし検討を重ねる中で、次々に疑問が 発生し、その問題を解決するためには、文献を調べ るだけでなく、県庁や九州農政局を訪問したり、電 話による取材も必要となった。こうした探究・調査 過程、特に資料の表現形式の問題に対して、学生は

もっとも関心を示した。

授業構成の方法

付属学校における教育実習が教科書記述を基盤と して行わざるを得ないとすれば、教材研究と授業構 成をどのように行えばよいだろうか。

教材研究の方法現在行われている教材研究の意 味内容は、教科書に記載された内容を教えるために、

その方法を考えることが中心となっている。こうし た教材研究では、学生が自分自身で問題を設定して それを追求するような、「研究」本来の意味を訓練で きるとは思われない。せいぜい、伝統的・常識的な 教材研究観を拡大再生産しているにすぎないであろ う。実習を大学における研究という文脈の中に位置 づけるとすれば、前項で検討したように、教科書の 記述・資料に対して自分自身で疑問を投げかけ、そ の問題を追求するような教材研究の方法が必要とな ろう。そしてこうした探究過程こそが、授業者であ る学生だけでなく、子供にとっても面白いのではあ るまいか。

授 業 構 成 の 方 法 以 上 の 観 点 に 立 っ た 場 合 、 教 科 書記述に対する学生自身の探究過程に基づいて、そ の解釈内容を子供に教える教育内容とし、その解釈 過程を展開過程とするような授業構成を考えること ができよう。教育出版社の教科書を使用し、「日本の 畑作の特色」を1時間で教えることを想定して、2 種類の授業計画を作成した('9)。

1つは、子供に教科書の資料を調べさせ、出され た疑問と解釈を検討するものである。したがって授 業は、子供の疑問を探究課題として設定する過程と、

それを解決する過程から構成されることになる。そ の際、学生が気づいた点を小学生も気づくという前 提で(20)、まず畑作が太平洋側を中心に行われている 点を取り上げ、次に関東地方の畑作を人口・需要論 で説明した後、近畿地方の空白部分を取り上げて「お

もな産地」による限定を発見させる。そして中国地 方の空白部分を取り上げて「おもな畑作物」の限定 に気づかせる、という展開計画を考えた。いも類の 記述の検討は、時間的な余裕があった場合に行うこ

とにした。

第2の授業計画は、適地適作論への疑問を中心と するものである。教科書のいも類の記述からもっと も多い産地を予測し、その原因を自然条件で説明さ せる。次にレタスを取り上げ、自然条件(長野県)

と人口・需要(茨城県)で説明させる。そして「な ぜレタスは北海道で生産されていないのか」を課題 として設定し、畑作生産が輸送条件にも規定されて いることを教える、という展開を考えてみた。

教育実習における授業構成は、教科書記述に対す る学生自身の疑問と解釈をもとに、自分なりの説明 仮説を考える過程と、子供の反応を予測する過程の 両者の検討に基づいて作成する必要があると考える。

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この過程で初めて、学生は教材研究の方法・授業構 成 の 方 法 を 習 得 で き る の で は な か ろ う か 。 ま た こ う

して作成された授業計画を実施することによって初 めて、子供との対応を経験できるのではなかろうか。

そしてこのことが、「授業経験を積む」ことになると 思われる。

授業の実際と考察

前節で検討した授業計画をもとに、1987年度の熊 大附属小学校における教育実習を利用し、実際に授 業を行ってみた。この部分の授業を行う可能性があ る学生の中から4名を選び、授業分担を決定する際 に、この部分を選択するように依頼した(21)。そして 授業の主旨を説明し、発問と「教材」・教育内容及び 予想される子供の解釈を含む授業構成を提示すると ともに、自分でも教科書の資料を検討すること、実 際の授業では、必ずしも授業計画に拘る必要がなく、

自分自身のアイデアを組み込んでもよいこと、とい う条件を示した。

以下、資料解釈を中心とする第1の授業計画につ いて、5年2組と3組で行った授業の記録(22)をもと に、子供の反応を中心として検討したい。

課題の設定過程

導入3組では、「今日から教科書の44頁、『畑作 や畜産にとりくむ人々』について勉強していきます。

44頁の次に日本地図がありますね。少し時間をあげ ますから、それを見て気づいたことをノートに書い てください、後で列毎に発表してもらいます」とい う指示で、子供の作業が開始された。一方2組では、

学生が教具を準備し(23)、次のような導入で行われ た 。

T 今 日 は 先 生 が い ろ い ろ 持 っ て き ま し た 。 こ れ は何かな?(教具を袋から提示する)

P レ タ ス 、 だ い こ ん 、 は く さ い 、 キ ャ ベ ツ 、 に ん じん、きゅうり、なすび、さつまいも、トマ ト、ピーマン、レモン、こめ、じゃがいも。

Tこれだけ持ってきましたが、家庭科の授業で はありません。何を勉強するのかな?

P 社 会 。

Tう-んそうだけど、花田さん。

Pどの県でたくさん野菜を作っているか。

P 同 じ で す 。

T こ ん な 野 菜 は ど こ で と れ ま す か ? 地 域 じ ゃ な くて、田んぼでもなくて。

P 畑 。

Tそう。今日はね、この勉強をします(板書)。

読めるかな?

P 日 本 の 畑 作 。

Tそうだね、今日は畑作について勉強をします。

Tみんな教科書を持ってきたかな?44頁の左に 日本地図がありますから開けてください。こ の図を見て気が付いたこととか、不思議に思 ったことを、今から学習シートを配りますか ら、それに書いてください。誰がいっぱい書 くかな?後で班毎に発表してもらいますから、

一生懸命考えて、たくさん書いてください。

(学習シートを配布する)

この指示の後、約3分の作業時間を保証し、気づ いたことを発表させた。

子供達が気づいたこと(1)3組で発表された内容 は次の通りである。

(1)いろいろ作物のある所とない所がある。

(2)小麦や大豆も作られているが、生産量が少ない。

(3)おもな畑作物は果物や野菜です。

(4)中国地方や中部地方は、ほとんど作っていない。

(5)北海道に野菜類がかたまっている。

(6)茨城県は北海道と同じくらいにとれる。

(7)しやがいもが-番多くとれる。

(8)関東地方が多くとれる。

(9)利根川に沿った県で多くとれる。

子供達が気づいたこと(2)3組の授業者は子供の 発言を確認するだけであったが、2組では、子供の 発表に対して、次のような補足的な問いが提示され た 。

(a)千葉や茨城が多い。また北海道が多い。(茨城は 幾つあるかな?)7つ。

(b)どうして中国地方では野菜が作られていないの か。(他にもあるかな?)沖縄や近畿。

(c)山地の近くが多い。(例えばどこかな?)長野 県 。

(d)なぜ寒いところで野菜が多いのか。(例えばどこ かな?)北海道。

(e)北も南もその気候にあった作物が多い。(例え ば?)青森のりんご。熊本のすいか。

(f)太平洋側は野菜がたくさんとれているけど、日 本海側はあまりとれていない。

(9)なぜ米の生産が多いところでは野菜をあまり作 っていないのか。

(h)大都市ではあまり作られていない。(例えば?)

大阪とか、東京。

(i)なぜ滋賀県は琵琶湖があるのに野菜を作ってい ないのか?

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(6)

発 表 内 容 の 検 討 こ の 授 業 計 画 は 、 学 生 が 気 づ い た内容をもとに、「子供達も気づくであろう」という 仮説を前提に作成したものである。そこで、実際に 発表された内容を検討してみたい。

まず第1に、子供達も空白部分に着目(1,4、b、

f、9)することである。しかも2組の場合、それに付 け加えて「不思議に思ったことで、なぜ・…・・?」と いう形で疑問が提出されている(24)。このことは、子 供達も学生と同様に「さかんでない地域」に関心を

もつこと、しかも学生よりも短時間の観察で気づく ことを示していると言えよう。

第2に、大都市近郊に着目(6,8,a)しながら、

疑問が出されていない点である。これは、人口が多 いという説明理由を保持しているためと考えられる。

第3に、適地適作論(9,e、i)で説明する点であ る。特に(e)の発言は、典型的な形で表明されてい ると言える。

第4点として、畑作を水との関係(9、i)で説明す る点である(25)。この説明仮説が発表され、しかも強 く主張された理由は、稲作を学習した直後であるた めと思われる。

以上の点から、同一の資料に対して、大学生と附 属小学校の子供達が気づくことは、ほとんど変わら ないと言える。したがって、教科書を基盤として授 業を作成する場合、その記述内容を教育内容に設定 するのではなく、教材研究の過程で学生自身が疑問 に思ったことを学習課題とすることは、教育実習に おける授業構成の有効な方法になると思われる。

課題の探究過程

大 都 市 近 郊 農 業 の 説 明 畑 作 は 関 東 地 方 が 多 い (6,8、a)という指摘に対して、その理由を尋ねた ところ、「大都市などの近くでは、野菜を作ってすぐ 送り出せるから」「大都市には人がたくさんいて、食 べる量も多いから」「人口が多いのと、新鮮なままで 送れるから」といった意見が発表された。子供達は、

大都市近郊農業を人口・需要と鮮度(輸送条件)で 説明していることになる。したがって、大都市近郊 農業を中心とし、それを人口と需要で説明するよう な授業構成は、到底不可能であると言わざるを得な

い。

近畿地方の探究資料を読み取る段階で、子供達 がもっとも疑問に思ったことは、中国地方の空白部 分である。近畿地方に対しては、中国の地方の場合 のように「なぜ、どうして」という強い疑問は出さ れていない。ところが、関東地方の畑作を人口と需 要で説明し、その後この点を指摘した場合、子供達

に認知的不協和(26)が生じることになる。この部分に ついて、2組の授業は次のように行われている。

Tじゃあ次はどれをしようかな?これ(板書(b)

を示して)は誰が言ったかな?八木さんが言 ったね。どうしてだろう。だって東京は人口 が多いから、だからその周りでは野菜が多い のね。だったらおかしいよね、だって大阪は 東京の次に人口が多いでしょう。おかしいね。

坂本君だけ?じゃあどうぞ。

Pはい、大阪は東京の次に人口が多いけれど、耕 地がないので作ることができない。

T耕地が狭いから作れない。全然作れないの?

Pいや作れるけど、工業が盛んだから、あんまり 畑など作る場所がない。

T工場がたくさんあるから作れない。そうね。で もね、(OHPを映しながら)先生が調べてみ たら、大阪では、たまねぎ。なす。キャベツ・

きゅうり。さといも・だいこん。トマトも作 っ て い る よ 。 ど う し て こ れ に は 載 っ て い な い の?

Pはい。(挙手)

T は い 浜 田 さ ん 。

P 他 の 県 に 比 べ て 、 そ ん な に た く さ ん 作 っ て い ないから。

P同じです。(拍手)

Tみんな地図帳を持っているでしょう。50頁を 開けてごらん。そこの5番に「野菜の生産(ト マト・キャペツ)」という図があるでしょう、

見てごらん。大阪の所にも丸がついているよ。

たくさん作っているんだよ。

P キ ャ ベ ツ が あ る 。

T そ う 、 ほ ん と は と れ て る け ど 、 こ れ に は ど う し て載っていないの?

P少なすぎる……。

T少なすぎる、生産がですか。うん作っている量 が少ないから……。

Pあつそうだ、あれにはおもなって書いてあっ た 。

こうした発言から考えると、子供達は「土地利用」

で説明する枠組みももっていると言える。そして地 図帳の資料と比較した時、教科書の資料が「おもな」

産地で限定されている点に、初めて気づくと言えよ う 。

中国地方の探究近畿地方を検討した後で中国地 方を取り上げると、子供達は「生産量が少なく『お もな産地』でないから、この資料は空白になってい

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(7)

る」と説明する。そこで、山口・広島・鳥取・岡山 の各県別の生産物とその数量を示し、鳥取と岡山が 梨と桃・ぶどうの「おもな産地」であることを確認 した後、空白になっている理由を考えさせた。2組 では、最初に「プリントミス」(27)という解釈が示さ れ、次に「なしは畑作ではないから」という説明仮 説が出された。これに対して、授業者は次のような 反論を試みている。

P い ま 勉 強 し て い る の は 、 畑 作 だ か ら 、 果 物 じ ゃ ないから。

P同じです(拍手、笑い声)。

Tじゃあちょっと見てごらん。ここには「おもな 畑作物の産地」と書いてあるけど、みかんと かりんごはあるよ。これも果物でしょう?

P は い 、 他 に あ り ま す 。 T は い 、 岩 井 君 。

P畑作だから、なしは畑で作らないから。

P同じです(拍手)。

T そ う ね 、 な し は 畑 で 作 ら な い の か な ? Pりんご、りんご(教科書5頁の右側の写真を示

しながら)。

T そ う だ ね 。 り ん ご は 畑 作 物 に な っ て い る よ ね 。 ここを見てごらん、りんごはこんなにして作 ってるんだね。だったら、どうして鳥取のな し は で て こ な い の ?

発言に見られるように、子供達はあらゆる仮説を 考えだし、なんとかして教師の問題提起に答えよう

としている。そしてこうした反論をくぐり抜けた後 で、子供達は「おもな畑作物だから、なしは鳥取で はあれかも知れないけど、全国で考えるとあまり生 産が多くないんじゃないか。だから『おもな』の中 に入らない」という解釈に到達している。「おもな」

という語句が、生産地だけでなく、畑作物も限定し ていることに気づいたと言えよう。また3組で行わ れた授業では、この部分に続いて「ちょっと気づい たんだけど、これは全部ペスト3位までしか載って ない」という、授業者自身も気づかなかった点を、

子供が指摘している(28)。

いも類の探究この部分の探究は、3組でのみ、

次のように実施された。

Tじゃあね、一番最後に、松下さんが言ったこと を考えてみましょう。日本ではじゃがいもが 一番とれるって言ってくれましたね。そのこ

とを考えてみましょう。

T こ の 地 図 の 左 側 に 棒 グ ラ フ が あ り ま す ね 。 こ れをみるとじゃがいもが一番とれるように書

いてありますね。さっき松下さんはこれを見 て言ってくれたんだと思います。でも右下に 緑色の表がありますね。これを見て何か疑問 に思いませんか?緒方君。

P じ ゃ が い も は 多 く 生 産 さ れ て い る の に 、 い も 類はそんなに多く作られていない。

T な ぜ で し ょ う ? も う ち ょ っ と 考 え て み る か な 。 作付面積ではいも類が少ないのに、じゃがい

もは一番多くなっているね。いも類って書い てあるから、じゃがいもの他にさつまいも.

さ と い も な ど が 入 る わ け で す ね 。 そ れ な の に じゃがいもが一番多い、どうしてだろう?杉 村君。

P い も 類 は 一 株 か ら 何 個 も と れ る 、 作 付 面 積 が 少なくてもいっぱいとれるから。(拍手)

T 拍 手 し て く れ た 人 が 何 人 が い た け ど 、 そ れ 以 外に意見があるのかな。拍手しなかった人に 聞いてみようかな。上野さん。

Pそれだったら、小麦なども多くとれる。

T何粒もとれますね。一つの穂から。

P確かに小麦は一本からいっぱいとれるけど、

じゃがいもみたいに大きくないから、数はと れても量がとれない。

T 数 は と れ て も 量 が と れ な い 。 こ の 棒 グ ラ フ は 何 で 表 し て あ る ん だ ろ う 。 じ ゃ が い も の 個 数 かな。

P重さ。重さで表している。

P さ つ き 上 野 さ ん が 言 っ た の は 小 麦 だ け ど 、 大 豆とかレタスと力〕は重さが軽くて、じゃがい も と か だ い こ ん や キ ャ ベ ツ は 重 い の で 、 そ の 分グラフも大きくなる。

最初の読み取りの段階では、子供達は「いも類が 多い」ということに疑問をもたなかった。授業者が 2つの資料を組合わせ、そこに見られる疑問を提示 した時、子供達は積極的に反応し、説明仮説を発表 するだけでなく、それを相互に検討する形で学習し ていると言える。

小括

以上の検討に基づいて、教育実習における教科書 を基盤とした教材研究・授業構成の方法について、

次のようにまとめることができよう。

(1)教科書に掲載された資料に対する読み取りは、

学生と附属小学校の子供との間に、ほとんど差異が ないこと。

(2)教科書に記述されている内容を教えるのではな く、学生自身が抱いた疑問を学習課題とすることが

- 5 3 -

(8)

有効であること。

(3)たとえ授業者自身が作成した授業計画でなくて も、発問・教材・教育内容と予測される子供の発言 を含む授業構成があれば、授業の再現可能性がある こと。

(4)子供の発言は実に多様な観点から行われ、それ にすべて対応することは不可能であり、ある程度の 予測があった場合に初めて、学生は柔軟に対応でき

ること。

(5)こうした授業を実施し、予測以外の発言に直面 するなかで、子供の発言に対応できるような授業経 験を積み重ね得ること。

(6)こうした授業を通して初めて、教材研究・授業 構成の意味内容が理解できること。

教育実習用「教授書」

当初作成した授業計画について、実際に行った授 業の検討を通して、教育実習における再現可能性と いう視点から、次の形の「教授書」に修正した。

教育実習用教授書

「日本の畑作」

この「教授書」は附属小学校における教育実 習で、社会科の「日本の畑作」の授業を担当す る学生を目的として作成されたものです。2時 間の授業計画になっていますが、どちから一方 だけを1時間で行うことも可能です。

この授業の目標は次の通りです。

教育内容1:日本の畑作は水田の裏作利用 を中心に行われている。

教育内容2:資料は指標によって限定され るため、現実とは異なる。

教育内容3:畑作は輸送条件によっても規 定されている。

この教授書の構成は次のようになっています。

1.それぞれ「NC」の部分で通し番号にな っています。

2.奇数ページは「問い」「教授・学習活 動」、偶数ページは「教材・教具」から構 成されています。

3.通し番号の右側の数字は、授業展開を 表しています。

4.奇数ページと偶数ページを対応させな がら使用してください。

5.教材・OHPは別紙を参考に作成してく

- 5 4 -

ださい。

6.授業を実施する前に、必ず「教材1」

の地図を自分でよく読んで、子供達がど のように読み取るかを予想してください。

7.教科書は「教育出版社」を想定してい ます。

子供の反応については、実験授業とその検討 を通して予想してありますが、実際の授業では 異なった反応が出ることも予想されます、その 場合は、子供の反応に対応して授業展開を変更

してください。

NO1

発 問 1.今日は何の勉強を

す る の か な 2.この資料を見てど

んなことに気が付き ま す か

3.気が付いたことや 不思議に思ったこと を発表しなさい 4.みんなが考えたこ

とを調べてみよう 4-1.なぜ関東地方で

畑 作 が 盛 ん な の が 4-1-1.人口が多い

と、なぜ盛んになる の か

4-1-2.では、近畿 地方も人口が多いの になぜ盛んでないの 力 】

4‐1‐3.本当に何も 作っていないのか 4-1-4.なぜこの資

料には載っていない の だ ろ う か

1.4

教 授 ・ 学 習 活 動

・教具1を提示し興味を も た せ る

・教材1を提示し、考え たことをノートに記入 させる。

・発表させる

・発表させる

・発表させる

.考えたことを発表させ

・教材2を提示し、生産 の事実を指摘する

。考えたことを発表させ

・気が付かなければ、資

料の中にキャベツとト

マトの生産地の数を調

く さ せ る

(9)

Nbl2 1.4-1

教 材 ・ 教 具

7 ) 手 7 r 厩

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第 6 0 次 展 杯 水 産 省 約 900(32.6

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6 1 の 補 布 発 階 の 管 料 に は 各 畑 イ 乍 物 @

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ウ く の 種 蕊 ヨ カ NO3 4.5

甑 で は 弓 ゆ く の 種 類 茜

の オ 題 頚 力 発 問 教授・学習活動

匪洋1F 譜 ん な の 浦 項 型 : 生 産 が 少 な い 地 域 の 丁 冒 砺

El刀画屈 H 作 | 教 材 3 存 標 示 し ~ 顎

第 四 類 型 : 疑 儲

■ ■

産 カ ヌ ’ な い C

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引 本 の 畑

二胸匡

g 責 点 > こ の 項 目 を 最 初 に 印

〃)力

度 、 羽

津 南 春 人 に

- 5 5 -

(10)

4‐3‐2.なぜこの資 料 に は 載 っ て い な い の か

4-4.なぜじゃがいも が 一 番 多 い の か 4‐4-1.作付面積が

少 な い の に 、 な ぜ 多 い の か

5.この時間で分かっ たことや不思議に思 ったことを学習シー

トに書きなさい

NbL4

・指標の中になし。ぶど う が な い こ と に 気 づ か せ る

。考えを発表させる

・資料を比較し考えさせ

・学習シートに記入させ る

4 . 5

教 材 ・ 教 具

の 牛 嘩 局 : 教 ホ 斗 吾 C

【 ) H P で 眺 麺

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呆 留

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陸 地 万 力 封 字 侭

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三I丞のi]Hイ乍の零 ゴ 本 の 農

め ‐ 畑 f E は 水 田 ‘

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い っ た 場 合 目 に 1 国 敢 方 が 空 陸

理 由 存 昇 のヨモ茅謬り

=pl玉l地方の畑 尋 取 県 : 果 樹 の 生 足

。 特 に 廿 世 紀 梨 0 80(全国の189

R 穫 量 は 9

nLJ

- 5 6 -

・岡山県:最近では桃の生産量は減少してきて いるが、温室を利用したぶどう(特にマスカ ット)は、京浜・京阪神で独占的な地位を占 めています。

4-4.〈留意点>時間がないときには、この部分を 削除してください。

資料(教材l)で見る限り、じゃがいもの生産 が圧倒的に第1位になっています。しかし作付 面積を見てみると、いも類全体で6%を占めて いるだけです。

4-4-1.〈予想される子供の反応〉

87年に行った実験授業では、じゃがいもの一 株当りの生産個数が多いことを指摘した子供が いました。この解釈は、いも掘りの経験をもと に推測したものと思われます。授業ではこの解 釈に対して、別の子供が小麦の生産個数も多い こ と を も と に 反 論 し ま し た 。 そ し て 、 じ ゃ が い もの一個当りの量が多いことをもとに、資料が

「量」で表現されていることを発見しました。

<この時間の説明的知識>

l:大都市近郊では消費量が多いため畑作が盛 んである。

2:日本の畑作は水田の裏作利用を中心に行わ れている。

3:資料は指標によって限定されるため、現実 とは異なる。

NbI5 6 . 7

発 問 教授・学習活動

の p く I 緊 豆 葬 確

5-2‐北海i首では全与圧

の 牛 F 軍 量 の う ち ど の I で 確 号

,)茜 稲 い ¥ 、 @

(11)

7-1.多くとれるとこ

ろ は ど こ か

7‐2.長野県が多いの は な ぜ か

7-3.茨城県が多いの は な ぜ か

7‐4.北海道で作って い な い の は な ぜ か 7-4-1.北海道では

作れないのか 7-4-2.気候的には

作れるのに、なぜ作 ら な い の か

7-4-3.レタスとじ ゃがいもはどんな違 い が あ る か

7-4-4.長野のレタ スと北海道のじゃが いもはどの様にして 運 ば れ る か

7-4-5.なぜ北海道 ではレタスを多く作 ら な い の か

N O L 6

・発表させた後、教材7 を 示 す

。考えを発表させる

。考えを発表させる

・理由を発表させる

・教材8で、生産してい ることを確認する

。考えさせる

・教具1を示し、レタス が傷み易いことを確認 する

。時間を予想させた後、

説明する

・発表させる

6 . 7

教 材 ・ 教 具

6-1.〈留意点>おそらく、子供達は北海道が1番 5 - 1 - 〈 留 意 虜 弓 、 詩 の じ ゃ 士

多いと答えるだけでなく、長崎のじゃがいもに 気づき、疑問を出すと思います。その時は、よ く気が付いたと誉めて、理由を尋ねてみてくだ

■ ■

さい。この場面では説明(8-4-2)をせず、 の 場 面 で は 説 明 ( 8 疑 問 の 主 主 塀

疑問のまま残しておいてください。

の 陸 1 日 Ⅱ 隼 困

6-2.「教材5」<じゃがいもの県別生産量:単位 千トン>(1985年:農業センサス) 985年:農

北海道2,703(74.1%)

長崎117.6(3.2%)

福島70.0(1.9%)

青森57.9(1.6%)

、〔

OHPを作成しますが、ここの部分では北海道

b X こ こ 0

弓 1 1 計 県 以 卜 @

7~)と仁陸

吟 の 膏 K 分 ( 8

の生産量だけを示してください。長崎県以下の 牛産量については、後の部分(8‐l)で取り上 げます。

葡 地 適 作 ・ 自 然 条

hxい¥10

6-3.子供は適地適作・自然条件(じゃがいもの 生育条件)で説明すると思われます。

覗 ノ M t b X い ¥ 》 の I 県 便

6-4.「教材6」〈じゃがいもの原産地について>

NbL7

発 問 8.じゃがいもをもう

少し考えよう 8‐1.二番目に多く採 3 - 1 - 二 番 に

れ る と こ ろ は ど こ だ ろ う か

8‐2.なぜ長崎で多く と れ る の か

- 5 7 -

8 . 9

教授・学習活動

・予想させた後、教材5 麦 、 薮

を提示する

・説明させてみる

(12)

8-2-1.じゃがいも を作るのに適した温 度はどのくらいか 8-2-2.北海道と長

崎の平均気温はどの く ら い だ ろ う か 8-2-3.長崎ではど

の時期に作るのか 8‐2-4.西日本で、

なぜ長崎だけ多いの だ ろ う か

9.この時間で分かっ たことを学習シート に ま と め よ う

NbL8

・予想させた後、

教材9-1を提示する

・予想させた後、

教材9-2を提示する

・教材9‐2を参考にし て考えさせる

。発表させた後、補足説 明する

8.9

教 材 ・ 教 具 8.〈授業展開の留意点>

先の授業展開(6-1)部分で、子供の意見が 発表されている場合は、「これまで考えてきたこ

とをもとにして、さっきの問題を考えてみよう」

という形で、授業計画(8‐2)のステップに進 んでください。

8-1.〈予想される子供の反応>

附属学校で行った実験授業では、86,67年度 とも、すぐに「長崎」という発言が出されまし た。これは5~6月頃が、ちょうど長崎の「デ ジマ」が出回る時期であること、子供達は資料 集で生産量の多い県を知っているためであると 思われます。

8-2.〈予想される子供の説明>

自然条件では説明できないので、子供達は答 えられないと予想されます。実験授業では、じ ゃがいもが最初に長崎へ伝来したからと答えた 子供がいました。

8‐2-1.「教材9‐1」〈じゃがいもの生育温度〉

約10から25度で生育します。OHPで該当する 2本の線だけを映してください。

8‐2-2.「教材9‐2」〈長崎と北海道(帯広)の 月別平均気温>

月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 北海財 -8.5-7.4-2.25.110.914.518.419.615.59‘12,2‐44

長 崎 6.47.110.115,018.822.126.527.524.218.913,78,8

(r理科年表1989年版』による)

OHPで、北海道、長崎の順で映し、教材9-1に 島崎の111目で映し、教材9

- 5 8 -

重ねてください。

8‐2-4.「補足説明_,〈長崎のじゃがいも生産に

つ い て >

1:オランダ人によって日本で最初に栽培され た 。

2:昭和30年代後半に奨励作物に指定され、生 産量が増加した。

3:土地条件(段々畑が多い)から水はけがよ く、水田を畑作へ改良することが簡単であ り、生育期間が短い(約3ヶ月)じゃがい もが奨励された。

4:品種改良(ウンゼン・シマパラ・デジマ等)

によって、二期作が可能になった。

5:北海道(春植え:品種はダンシャク・メー クイン)の出荷時期と重ならないように栽 培されており、秋植えでは作付面積・収穫 量ともに圧倒的に多い。

(雲仙馬鈴薯原種農場の説明による)

<この時間の説明的知識>

1:畑作物は生育条件・消費条件だけでなく、

輸送条件によっても選ばれる。

2:北海道のレタス生産は輸送時間が多くかか るため盛んではない。

3:じゃがいもは、輸送時間の条件をレタスほ ど受けない。

4:長崎県のじゃがいも生産は、歴史的に古い

こと・土地条件・品種改良及び北海道と出

荷時期が競合しない等の理由で、長崎県が

奨励したために盛んになった。

(13)

お わ り に

85年度の演習を受講した学生が、翌年教育実習に 参加し、彼の「演習で学んだことを生かした授業を したい。しかし、教科書のこの部分を担当した場合、

どうすれば良いのか」という問題提起をもとに、学 生と資料を検討してみた。その授業をもとに、87年 度の演習で授業記録を検討し、資料を再検討し、授 業計画を作成した。授業の実施を担当した学生から は「社会科の授業って、楽しいですね、授業って面 白いんですね」という感想が寄せられた。さらに、

学生の指導を担当された先生から、子供達が資料の 表題に関心を寄せるようになり、思いがけない視点 から資料を読み取るようになったことを教えていた だくとともに、「学生が指導した1時間の授業で、子 供はどこまで学ぶことができるのだろか」という課 題をいただいた。学生の指導という観点だけでなく、

実習をうける子供という視点からも、今後検討して いく必要があると思われる。

〉王

1)片上宗二「授業づくりを中心とした『事前指導』への転 換を」『茨城大学教育実践研究』第4号、1985

2)教育実習の学生が実施する授業の検討は、ほとんどの場 合、研究授業についてのみ大学が参加し、それ以外は附属 学校のみで行われている。

3)藤岡信勝氏が提案されている「教材づくりの四つの局面」

の定式化(「教材づくりの四つの局面」『教育科学社会科 教育』Nb1216,1981.5)は、教師や研究者が行う教材研究

には有効な説明であっても、教育実習の学生には「課題の 成立」の困難性という点で、そのまま適用できないと思わ れる。

4)この検討は、広島大学附属中・高等学校における実習生 の指導と熊本大学附属小・中学校の実習授業の観察をもと

に行った。

5)森分孝治氏が提案された「教授害」を基盤とし、学生や 新任教師に実施可能な形式という観点から修正を加えた。

その理由については、次の論文を参照されたい。拙稿「二 つの社会科授業構成論の検討」教員養成大学・学部教官研 究集会社会科教育部会編『社会科教育の理論と実践』東洋 館出版社、1988

6)藤岡信勝r授業書方式による社会科授業の方法」『教育科 学社会科教育』Nnl58、62頁、1977.3

7)本論文では、熊本大学付属小学校で使用されている教育 出版社以外に、東京書籍、大阪書籍、学校図書の教科香を

検討した。

8)文部省『小学校指導書社会編』大阪書籍、1978 9)教育出版株式会社『小学社会5上』44-45頁、1987

10)86年度の熊本大学付属小学校における教育実習で、りん

ごとみかんについて、子供達に生産地と生産量の図表を作 成させる授業が実施されたが、まったく興味関心を引き付

けることができなかった。

11)4年生の「高原の人々のくらし」では、適地適作だけで なく、価格の観点も提示されており、有田和正氏は後者の 視点を中心とした授業計画(『子どもの生きる社会科授業の 創造』明治図書、166-70頁、1982)を発表されている。

12)この検討の視点は、次の文献から学んだ。宇佐美寛「有 田氏の授業の分析」『授業研究』Nu283、140-144頁、1985.

8

13)こうした観点は、次の文献で指摘されている。片上宗二 r社会科授業の改革と展望』明治図書、20頁、1985 14)1987年度の「社会科教育演習」で行い、3年次生の橋本

和幸、姫野祐子、原口琢哉、樋渡文代、渡辺幸美、笠聡一 郎君と研究生の甲斐里香さんの7名で検討した。

15)前掲嘗(9)、13頁

16)例えば、鳥取県や岡山県は梨や桃の「おもな」産地であ るにも関わらず、それが「おもな」畑作物とされていない ため、この資料には掲載されていない。

17)特に大阪府のキャベツ・トマトの生産は、生徒がもって いる地図帳(帝国書院r小学校社会科地図帳』50頁、1988)

では「おもな産地」となっている。

18)86年度の教育実習で、この観点を中心として、北海道の じゃがいもとレタスを「教材」とする授業を行った。しか し子供の関心は、学生が予想しなかった長崎のじゃがいも に集中し、準備不足と対応に失敗したため、視点の有効性

を確認できなかった。

19)通常の実習では1時間の授業内容であり、その枠内に学 生が行った検討内容を組み込むことは不可能であると考え

たためである。

20)もちろんこの前提に対して、検討した学生は不満を示し た。しかし、前年度に行った授業の様子から「変わらない」

と判断し、もし子供が気づかなければ、授業者が疑問を提

示することにした。

21)前年度のr社会教材研究」の講義成績を参考に、田中真 弓、福原典子、中山美千代(以上国語科)、藤門幸枝(英語 科)さんを選び、その内の3名に授業を依頼することにし た。3学級で3回の授業を予定していたが、5年2組では 指導教官のご好意により、両方の授業計画を実施できるこ

とになった。

22)6月10日に3組で田中さんが、翌11日に藤門さんが2組 で実施し、観察記録と録音テープをもとに、演習の学生が

再生した。

23)授業計画と3組の授業を参考にして、自分自身のアイデ アで準備したものと思われる。この教具は、次節の「教授 書」に示したように、翌日のじゃがいもとレタスを検討す

る授業場面で、思いがけない効果を発揮した。

24)2組の子供達が「なぜ」という疑問を提出したのは、4 月以来、担任の先生が資料の読み取りを中心とした授業を 展開されてきたためであると思われる。

25)授業計画を作成する時点では、この説明仮説を予測して

- 5 9 -

(14)

いない。しかし、授業では両方の学級で根強く主張されて おり、水利用の観点から畑作と稲作を比較する授業計画の 作成も可能であると思われる。

26)次の文献を参照されたい。フェスティンガー(末永俊郎 監訳)『認知的不協和の理論』誠信書房、1965

27)恐らくこの意見は、担任の先生と資料を検討する学習の 際に、実際に体験したものと思われる。

28)この指摘を行った子供は、資料に掲赦されている作物を 数え、それぞれの作物が3つしか載ってないことに気づい

たものと思われる。

付 記

社会科教育演習を受講し、授業計画を作成するために資料 収集に走り回った7名の学生諸君、及び突然の依頼を快く引

き受けていただいた4名の学生諸君、ご協力をいただいた附 属小学校の芥川公明先生に感謝いたします。

- 6 0 -

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