長野工業高等専門学校紀要第
3 6
号( 2 0 0 2 ) l l
小円柱設置による衝突噴流熱伝達の制御
羽田喜昭 倉澤英夫 土屋良明 中部主敬 鈴木健二郎
Control of an Impinging Jet Heat Transfer with a Small Circular Cylinder
Yoshiaki HANEDA Hideo KURASAWA Yoshiaki TSUCHIYA
Kazuyoshi NAKABE and Kenjiro SUZUKI
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キーワー ド:衝突噴流,熱伝亀 円柱,圧力,
流れの可視化
1 .諸 富
衝突噴流は局所的な加熱 ・冷却の特性に優れてい るため工業上幅広 く利用 されてきた.そのため衝突 噴流熱伝達の促進 ・制御 に関す る研究は多数報告( 1 )
〜 ( 4 ) されている. しか し,衝突噴流中に挿入 した弾 性支持円柱を 自励振動 させ る場合の熱伝達特性‑の 影響 についての報告 は行 われていなかったため, 既 戟 ( 5 ) ( 6 )ではそれに関する報告を行った.その結果, 円柱 を振動 させ ることによって熱伝達促進 ・制御が 可能であるとい う指針 を得た. しか し,熱伝達を制 御す る うえで有効な物体挿入位置や挿入物体の大き さについての検討は不十分であ り,それ らについて さらに詳細な検討が必要 と思われる.
そ こで,円柱を振動 させた場合の詳細な熱伝達特 性を検討す る前に,本報告では衝突噴流中に円柱を 固定支持 した場合に着 目す ることに し,ここでは円 柱直径および円柱挿入位置の変更に伴 う衝突平板熱 伝達および流れ場の変化について検討 した.
* 本研究の一部は平成 13年度長野高専特別研究
経費の助成を受けて行われた.
●l 機械工学科 助教授
●2 機械工学科 教授
●3 信州大学工学部 教授
●4 大阪府立大学工学部 教授
●5 京都大学大学院 教授 原稿受付
2 0 0 2
年5
月8 日
2.
実験装置および方法図 1に座標系を示す.噴出 口短辺 hが 1 5 mmであ り, アスペク ト比 33 の長方形噴出 口よ り空気が水平 方向に噴出する.噴出 口の長辺 と等 しい間隔で噴流 中心面に垂直で互いに平行姿勢で設置 した 2 枚の側 板で噴流を挟み,衝突平板をその側板に垂直に設置 した.ここでは,噴出口と衝突平板 との距離を H‑3 h とした.衝突平板 と噴流中心軸 との交点を座標原点 とし,その点から噴出口に向か う水平軸を
x軸 とし, 座標原点か ら x 軸に直交 して噴出 口短辺方向に y 軸 をとる.噴流中心面上に設置 した円柱の直径 β は, 2,4,6mmの 3 種類であ り,円柱 と衝突平板のす き 間を Cとす る.す き間 Cを 2mm≦C≦33mmの範囲
〟 ⊂ ⊂ L L ⊃ ? ) y
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C
1 2
羽 田喜昭 ・倉淳英夫 ・土屋良明 ・中部主敬 ・鈴木健二郎で変更 した場合の衝突平板面上の変動圧力および局
所熱伝達率を測定 した. 圧力測定孔の直径 は 0 . 5 mm , 深 さは 5 mm であ り,衝突平板裏面側 よ り取 り付 け た圧力セ ンサーを用いて衝突平板面上の変動圧力 を
‑7 ≦y/ h≦7 にわたって 5 mm〜1 5 mm 間隔で測定 し た.変動圧力のサ ンプ リング周波数を 5KHzと し, データー数 を 2 0 0 0 0 としてデー ター レコー ダーに収 録 し,パー ソナル コンピュー ターを用いてデー ター 処理 した.
流れの可視化はスモークワイヤー法で行 った.
熱伝 達 測定用衝 突 平板 は ,5 0 0×5 0 0 mm 2 ,厚 さ 1 5 mm のアク リル樹脂製であ り, 裏側には厚 さ 2 0 mm の断熱材が施 してある.その表面中央部に幅 1 2 mm , 厚 さ 2 0I 上m のステ ンレス銅箔 7 枚 を約 1 mm の間隔
をあけて γ軸に平行になるよ うに貼 り,それ を電気 的に直列 に接続 した.中央部のステン レス銅箔裏面 に按す るよ うに表面温度 Tw測定用直径 0 . 1 mm のク ロメル ・アル メル熱電対が y 軸に沿って1 1 0 ≦y/ h≦
1 0の範囲に合計 61 対固着 されている。また,衝突平 板裏面の同一列上に同種同径 の熱電対 を 2 5 対固着 し,それ らか ら得 られ る平板裏面温度分布 を平板厚 さ方向‑の熱伝導損失の評価 に用いた.ステン レス 銅箔を通電加熱 した場合の総発熱量をステ ンレス鋼 表面積で除 し,その値か ら各測定位置にお ける平板 厚 さ方向‑の熱伝導損失および放射損失を引いた正 味熱流束を q" e lとし,局所ヌセル ト数を
Nu‑q
"e'・ h / A ( Tw‑T o )
で定義す る.T 0 , 1は噴流温度お よび温度 ( Tw+To ) / 2 の空気の熱伝導率である.熱伝達測定の不確か さ
は 6 . 5 % ( 9 5 % 包括度)である.
なお,噴流噴出速度 uo は衝突平板面の圧力測定 お よび熱伝達測定の場合には 1 0 m/ Sであ り,流れの 可視化の場合には 5 m/ Sである. Uo お よび h 基準の レイ ノル ズ数 Re は,それぞれ 9 5 0 0 お よび 48 0 0 で ある.
3.
実験結果および考察3 ‑1 流れ場特性
円柱 と平板のす き間比 C/ Dの値 を変更 した場合の 衝突平板面上の時間平均圧力を β=6mm の場合につ いて図 2 に例示す る.図 2 中には衝突平板面上圧力 pを円柱 を挿入 しない場合 も含め,( p‑ Pa ,)/ ( Po
‑
p ep)の形で示 してある.ここで,Poは円柱 を挿 入 しない場合の衝突平板の幾何学的原点における時 間平均圧力であ り ,P のは大気圧である.円柱 を挿入
した場合に衝突平板面上に平均圧力の極大が生 じる のは,円柱表面か ら生 じたは く離流が平板 に衝突す るためと考えられる. ̲円柱 と平板のす き間比 C/D値 の増大に伴い y/ A‑ 0付近の圧力が減少 し,圧力の極 大値位置は y/ h‑ 0か ら離れ ることか ら推察す ると, 円柱 と平板のす き間が増大す るとそのは く離流の広 が りが増大すると考えられ る.
図 2と同一条件にお ける衝突平板面上の変動圧 力の r ms 値√p ' 2 を( Po‑Pc o ) で除 した形で D‑6 mm の場合 を図3 に例示す る. I y/ AI ≦2 で認め られ る
√ 〆2 / ( po‑p の
)の極大値位置は,図 2 に示 した 衝突平板面上の円柱 を挿入 した場合の時間平均圧 力の極大値位置 とほぼ等 しく,変動圧力の極大値 はすき間比 αD値が増大す るにつれ増大す る.し
1 S
′b4 ヘム一 0 2 0 0 0 0 0I (㌔ . I o J ) \ (CD J I J )
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Fi g . 3Di s t r i b u t i o n so f f lu c t u a t i ngp r e s s u r e
小円住殻芯による衝突
噴 流熱伝達 の制御( a) ヱヒ2mm , CEI Om ( b ) β=2mm , ( >30n ) a
Fi g. 4Fl owvi s ual i z at i on
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1
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Jq・Tu1.
か し. 円柱 を仲 人 しな い場合 にお いて y/ A‑±3. 5 付近 で認 め られ る変動圧 力の極 大は ,… 値 の増 大につれ てそ の値 が減少 し
,C/ D=5の場合 にはそ の極 大が存在せず ,C/ D 値 に よって変動圧 力の分 布形が定性的に異なる.
円柱 拡径お よび 円柱 と平板 のす き間の違 いによ る流れ の追 い を検討す るため,β=2 ,4.6mm の 各円桂 を C=1 0 ,20,30mm の位 位 にそれ ぞれ 泣い た場 合 の流れ の 可視化 を行 った .図 4( a) ( b) には D=2mm ( D/ / 7 =0. 1 3)の 円柱 糾 ' r l 入 したI l b介 の流れ の 吋脱化結果 を例示す る .C I Om m( C D 5 ) のJ b 斜 こは . 噴流が 平板 に' d r i 突‑ . )る
付出 J.で そu )小 I . l v )
増 大は認 め られず 円は挿 入に よるl l n統帖 ‑の形肝
は小 さい.それ に対 して C=3Omm ( ( 1 ( ) ⊃ ) 5 ) の J
h合には 円柱 に衝 突 した流れが対称 的に分岬 し
竹流幅が増 大 してい る.また,円柱波 面か らt とじたは く離 流が噴 流せ ん断層側 に向か って巻き込 上れ る よ うに見て とれ ,その噴流せ ん断屑付址 には . A : 規 模 な渦が認 め られ る.図 3 に示 した変動圧 力分布 形 の C 値 に よる定性 的相違 は流れ様式の相違 に起 因す る と考 え られ る.す なわち C 値 が小 さい場合 には円柱 か ら生 じたは く離流が平版 に衝突す る領 域 と噴流せ ん断層 が平板 に衝突後 大規模渦 になる 領域 で衝 突平板 面上の変動圧力 が極 大にな るのに 対 し ,C 値 が大 きい場合 にはそ の 両領域が衝突 平 版 面上 でほぼ同一 とな るため,そ の付近 で変動圧 力が極 大になると考え られ る.
1 3 3‑2 熱伝達特性
β=2 ,4,6mm のそれ ぞれ の 円柱 を衝突噴 流 中に 挿 入 し‑す き間比 C/ D 値 を変更 した場合 の衝 突平板 局所 ヌセル ト数 Nu の分布 を検討 した.D‑2 , 6mm の 場合 を図 5( a ) ( b) に例示す る.図 5 中には 円柱 を挿入 しない場合 に得 られ た局所 ヌセル ト数 を太 い実線 で 併 記 して あ る. いず れ の 円柱 を挿 入 した場合 と も y/ J l = 0付近では Nu 値 が 円柱 を挿 入 しない場合 の y/ h
=0 でのその値 に比べて著 しく減少す るものの,その 付近 と衝突平板 面上 の 下流領 域 を除 く領 域 で は Nu 値 の増大が認 め られ る . F y / h f ≦2 で得 られ る Nu の極 大値が最大 にな る条件 は D‑6mm ,C/ D‑ 5 であ
り, 円柱 を挿入 しない場合の y/ A‑ 0にお け る局所 ヌ セル ト数 に比べて約 7 6%増大 してい る.この増大比 は既 報
(5)(6)の結果 よ り大 き く,また円柱群
(3)に よっ て得 られた結果 ともほぼ同 じ増大割合 である .帆
100 9 0
80 7 0 葺 60 50 40 30 20
Cの
△ 3 ▲ 1
◇ 5 U 7. ∇ 1 0 1 + 1 0 4 6. 5 5
‑ No C y l .
3 l l l
‑D‑2mm
■ 一
‑ 1 0 ‑ 8 ‑ 6 1 4 ‑ 2 0 2 4 6 8 10
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( a)
Lと2mr n
100 9 0 80 70 葺 60 50 40 30 20
▲
△
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▽ 0 ●
Cの2 2. 3 5 Noc 0. 1 I . . 5 3 5 5 y l ,
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● ▲
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‑ 10 ‑ 8 ‑ 6 ‑ 4 ‑ 2 0 2 4 6 8 10
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1 4
4 3 1 1 2 1
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ロ0 6 4
リ ーA
0 5 1 0 1 5 20 25 30 35
C ( mm)
Fi g. 6 Di s t r ib u t i o n so fme a nNu s s e l t n u mb e r w
it h C
(‑1 0 ≦y / h≦1 0).
の極 大値位置は,衝突平板面上の平均圧力 の極 大値 位置お よび I y/ h I ≦2 での変動圧力の極大値位 置 と
ほぼ一致 し,円柱表面か らは く離 した流れ が衝突す る領域で 〃 〟が極大になると考え られ る.
図 6 にはす き間 C 値 を変更 した場合の‑1 0 ≦y/ h ≦ 1 0の領域 にお ける空間平均ヌセル ト数 Nu m の変化 を,円柱 を挿入 しない場合の同一領域 にお ける平均 ヌセル ト数 Nu o m に対す る比 と して表 してある.円 柱 を噴出 口近 くに設置 した場合 にはいずれ の円柱 を 挿入 して も平均 ヌセル ト数が約 30%あるいはそれ以 上増大 してい る. これは y/ h‑ 0付近では局所ヌセル ト数 Nu が減少す るものの.その付近 を除 く ‑8 ≦y/ h
≦ 8 の領域 で局所 ヌセル ト数が増大す るた めで ある.
4 .
緒 言3種類 の直径の異な る円柱 をそれ ぞれ衝 突噴流の 中心面上に挿入 し,挿入位置の変更 に伴 う流れ場 と 熱伝達特性 の変化 を検討 した.その結果,次の こと が明 らかになった.
( I ) 円柱 を挿 入 した場 合 に衝 突平板 面上 の幾何 学 的 よ どみ点近傍 に生 じる平均圧 力の極大位 置 と変動圧 力の r ms値 の極 大値位 置 とはほぼ一 致す る.
( 2) いずれの円柱 を挿入 した場合 に も,流れは円柱 に対 しほぼ対称的 に分岐す る.特 に円柱 と衝突 平板 とのす き間が大 きい場合 にはそ れが小 さ い場合 と比較 して,分岐す る流れ の幅 が増大す る.
( 3) 円柱 と衝突平板 との隙間が大 きい場合,す なわ ち円柱 を噴出 口に近接 して設置 した場合 には, 衝突平板面上 の局所 ヌセル ト数 が約 7 6%増大
し,平均ヌセル ト数が約 30%増大する.
参 考 文 献