長野工業高等専門学校紀要 ・第
2 6
号( 1 9 9 2 ) 3 9
弾塑性平面応力問題の考察
永 藤 壽 宮
Consideration Of Elasto‑Plastic Plane Stress Problem
Toshimiya NAGATO
Thi ss t ud yp r e s e n tc o n s i d e r a t i o nofe l a s t i c ・ pl a s t i cpl a nes t r e s sbyu s i n gF. E. M‥The p ur p o s eo fs t u d yi st oc o mpa r eva r i o usc a l c u l a t i n gme 仏o d so tpl a n es t r e s spr o bl e ms . Cal c u l a t i n gme t ho d sa r eNe wt on ・ Ra p h s o n ,Mo d i 丘e dNe wt o n‑ Ra p hs o n,Par t i a l s t i f f n e s s ,Hy br i d , Bl o c k .Nu me r i c a le xa mp l ei sp e r f o r a t e dpl a t el o a d e dbyun i f o m l y t e n s i l es t r e s s .
1 . ま え が さ
近年,平面問題 において,種々の方法が提案 されてきた.有限要素法の未知数の解法手法 として数学 的に Ne wt o n・ Ra phs on 法 に関 して多 く提案 されてきた.その手法 の優秀性 はプ ログラムがあま り複雑でないこと及び収束時間が短い ことそ して精度が高い ことが要求 され
る.本研究で数学的手法の Ne wt on‑ Raphs on 法であ る接線剛性法,初期応力法,平均剛性法,
‑イブ リッド法そして消去法の類であるユニット分割法 について比較計算が行われた.解析 計算例 としては種々の文献 で取 り上げられている均一に引張を うける有孔板 について検討 を 行 った. これらの計算 は,本研究室の OKI i f ・ 1 0 0 0 の ミニコンを使用 した.計算時間の比較
はもとよりプログラムの煩雑性 はプログラムの行数で判断 した.
2.
弾塑性解析 における基礎式( 1 ) 変位関数
図 1 に示す三角形要素で平面応力問題では 1 つの節点で 2 つの変位成分を持つ と考 える.
(
△d l ) T = [ △ul AvI ] 要素の全節点での変位 は
( AC) T‑ l Aul Av, AuJ AvJ A um A vm]
変位関数 として
Au=al+a2 X+a3 y Av= Pl + P 2 X + Pa y
α1 ‑a 6 を 6 個の節点変位で表現す るために節点の座標を代入すると
●土木工学科 助教授
原稿受付 平成
4
年9 月 3 0
日4 0
永 藤 詩 宮ul= al+ q2 Xl+ a3 yJ
ul=α1+ α2 XJ+ α3 yJ um= al+ a2 Xm+ a3 ym この式 より
u ‑去 (( al+b▲ Ⅹ・c
ly) ul+ ( a,・b, Ⅹ+c j y)uj + ( am+bmx+cmy)um)
ただ し
aJ=Xj ym Xmyj bI‑
yJ‑ym‑ yl m
CI=Ⅹm‑ ⅩJ=Xmj A は三角形の面積
Ⅴ も同様 に
図 1
三角形要素V ‑去 ( ( aJ bI X.Cl
y)V.+ ( aJ b, Ⅹ+C
,y)V,I( am+bmx・cmy)vm) ここで上述の 2 式を 2×2 の単位マ トリックス Ⅰを使 って
(u v) T‑ [ N]( 6)= [[
I]N
l[Ⅰ]N
J[Ⅰ]Nm] ( 6) ( 2 ) ひずみ増分
Ae‑ ( △e x Ae
,A exy〉 T ‑(∂Au/∂Ⅹ ∂Av/∂y ∂Au / ∂y+ ∂Au/∂Ⅹ) T 上式に代入す ると
Ag‑B u・Ads
ここで O x l s : J‑
yj O NI
o M3 y
伽 o MB o 軸 仙
恥 0 恥 ト
ニu
.B
Ⅹα β= Ⅹα Ⅹβ
yα β‑ yα‑ yβ (
α,β ‑ i , j
,m,
α≠β)
( 3 ) 弾性増分応力 ・増分 ひずみ関係
平面応力問題 における一般化 フックの方程式をつかい,等方性材料 とすると
A ex
‑普l 母
A
e,‑‑V% ・ %
・ yx , ‑2(1 . U)
普ただ し E:
ヤ ング係 数 V:ポ ア ソン比上式 は
Ao ' ‑D e ・ AS
この De は,平面応力状態の弾性剛度マ ト t ) ックスで
弾塑性平面応力間題 の考察
De
‑T
ff l : U 吉 (1
̲32
,)′2 ]( 4) 降伏条件式
材料が Vo nMi s e s の降伏条件式に従 うと仮定すると F( o ・ )
‑‑ o T e q‑5 ,
ただし ‑ o T e q‑
(o k 2 ‑o k ・O T ,+0 1 2+3 T x , 2 )1 1 2
( 5 ) 塑性化要素の応力 ・ひずみ方程式
ひずみ増分ベク トルは弾性,塑性それぞれのひずみ増分ベク トルの和であるから de‑de e+de ,
Pr a ndl ・ Re us s の仮定 に従 うと de ,紘
de 。‑dA ・∂F/∂o ・ ただ し d lは非負債のスカラー量である 文献から
do . ‑De 。 ・ds
D
・,‑D。‑ H D号 ( ( a aF F / /a a d d ) ) T '. ( a , Y E a qF)a D ;)
ここに H' は引張試験の応力 ・ひずみ曲線勾配 H。 ' ( ‑dd ・ / d e) とヤソグ係数 E との関数で
H' ‑1 /E
+1 /H 。'
上述 の d 九 は
d A =
H・ .( … a a F F / / a s ≧ T . I , ? O . ' (a d ;/∂q) D 。 。を具体的に計算 してみ ると平面応力状態では
( ∂F/∂o ・ )‑3/(2 ・ ‑ o T e
。)
(q x ';¢';2T x , )‑3/(2 ・ a e 。 )・o ・ ' ここで 'は偏差応力である. したがって
De・( ∂F/ao ・ )‑ 3/(2 ・ ‑ d e q )・( Sx:S,;2 Sx , ) ただ し
s x
‑毒 ( q x ・ + v q y ・ )
s y
‑毒 ( 小
yq x , )
Sx ,
‑2・G ・T x ,
ま
た
( ∂F/ad) ' ・DeI( ∂F/aq)‑蕊 (
sx
qx 、 sy q y ・ ・2 Sx y 屯y )
[H'+(∂F/
∂が ・De・( ∂F/aq) ]
‑去・s
ここで
s ‑÷ a e 。 2・H、 Sx q x ・ ・S
,6,・・2Sx,ち,
4 1
永 藤 毒 宮
De・( ∂F/∂q)・( ∂F/∂げ ・De‑毒 ・S
S‑l s s x x ; ・ x
2s s x y ,
Sx
・ S, S y 2
Sy
i ・ y 2 S又y s Sx y y Sx y s : x , ;: y y ] ここで
したがって
D。 。‑De‑D。 ただ し D。=1 /S・S ( 6 ) ひずみの反転
前述 の非負のスカラー量 である d lをひずみの反転 の判定 に使用す ると今 までの式か ら d l ‑
聖・S . 'de .'S r ● s S dey 'SI y ●de I Y
したがって塑性変形 が持続 してい ると d入> 0 の正値 であ り ,dA< 0 ならは除荷 ,dA‑ 0 なら応力転移であると考 えられ る.
( 7 ) 節点変位増分ベ ク トル と節点力増分ベク トルの関係 有限要素 の境界辺における節点力増分 は
Af s ‑ ( Af u ,: Af u J:Af u m) ここで
△f u r‑ ( △Fx r:△F, ∫ ) ,( r ‑ i , i,m) 仮想変位 の原理 を使 って
Aq‑D ・Bu
・△d s
ここで D は De ( 弾性要素) と D, ( 塑性要素)にわけて考 えられ る.
したがって
f s
+△f s ‑ks s ・ Ad s+t Bu T・qd A
K
s s ニー 〜 A B
。T・D ・B
。dAここで
変位 増分 ベ ク トル Ad s が生 じる以 前 に はつ り合 いにあ る とす る と △d s ‑ Af 5‑
0 とおき次式が成立す る.
f s‑t ‡ A Bu T・
qdA以上 か ら
Af s‑ks s ・ △d 8
3.種々の解析法
( 1 ) 接線剛性法
弾性要素及び塑性要素が混 じって存在 し てい る全要素 に関 して集成す ると
0
U8図 2
接線剛性法弾塑性平面応力問題 の考察 43
AF,‑K ・AUs
図 2 に示す よ うに外力増分ベ ク ト ル △F s を小 さ くして増分法で解 くことであ る. しか し この方法の欠点 は応力 ・ひずみ曲線 の降状点での折れ曲が りに対 して上手 に追跡できず誤差 が累積 し,精度が低下す る. これを防 ぐために有限要素が 1 つづつ塑性化す るよ うに △F s ′
を決定すれば,各荷重増分区間では全体 の剛性マ トリックスはほとんど変化 しないので線形 問題 として取 り扱 うことができる. したがって十分要素分割を細か く取れは,精度を上 げる
ことができる.ただ し計算時間が増大す ることは避 けられなして‑ Y ー
AF s ′の求め るには,あ る一定 の外力増分ベ ク トル △F sを与 えて解析 を行 いそ して α ・
△Fs の外力増分で次 の新 しい要素を塑性化 した とす る要素の増分前の弾性応力を ( o T x , O T y , 7 , x y ) とす る. △Fs に対す る増分応力 を ( A o T x ,A o T , ,AT x , ) とすれば
( q x+α ・Aq x ) 2 ‑ ( q x+α ・Ao T x )・( o T ,+α ・Aqy )+ ( o T y+α ・△0 ' , ) 2 + 3( 7 , x ,+α ・△7 , x , ) 2‑o i y 2 か ら a = B+( B2+ 4・C ・( qy 2‑ ‑ o r ' e 。 2 )) l I 2
2・C ここで
B ‑ ‑2o T x・△o T x+ o T y ・ A o T x +o T x・△ q y‑2 o T , ・△o T y‑67 T x ,・ △1 x ,
C
‑Ao T x 2‑ △ o T x・△6 ,+Aq , 2+3 △屯, 2
‑
0・ 事eq ‑( o T x 2‑ q x・6 ,+o T , 2+3
Tx, 2 〉 1 / 2
( 2) 初期応力法
前述の解析では塑性要素が増 えるにつれて K が変化す るので各荷重段階 ごとに連立方程式 を解かねはならなかったのに対 し, この方法は全要素が弾性 の場合 の剛性 マ トリックス K e
を
Kの代わ りに用いて常に一定の
Kを剛性マ トリックスで解析できるようにした ものであ る.
初期応力法では応力 ・ひずみ曲線上を反復を繰 り返す ことで収束が行われてい る.弾性計 算 による応力増分ベク トル △ o T e ,同様の計算によりひずみ増分 ベク トル △ Sに対す る弾塑性 を考慮 した真の応力増分ベク トルを A qとすると
△o ' =A oT e‑ A
‑qpここで
△‑
oT ,が初期応力ベク トルであ る.
したがって
△f s‑KS e s )・Ads‑Af b こ こに
KSes)‑
t
A
fbニー
〜
A
〜
A
B uT
・De・Bu
dA FB
B UT
・A‑oT,dA全要素に集成す ると
AF,‑K e ・AUs‑AP したがって
AUs‑K e ・( AFs+AP) ( 3 ) 平均剛性法
0
Us図 3
初期荷重法4 4
永 藤 喜 宮接線剛性法の誤差を生みだす原因は,
荷重増分中に塑性化す る要素が存在す る か らである. このような遷移領域 にあ る 要素の剛性マ トリックスとして以下の式 を使 って反復法を適用 させる方法である.
弾性 ( De ) ,弾塑性 ( De 。 ) ,加重平均的 な ( De , )を用いると
i 3 e ,‑α ・De
+(1‑α ) ・De , 上述 の αは接線 剛性法 の所 の αと同 じである.
αはこの場合 に遷移領域にある全要素 によって異 な り,反復計算 ごとにも異 な って くる. したが って αが一定値 にな るまで反復が実行 される必要がある.
( 4) ‑イブ リッド法 '
増分区間中に新たに塑性化す る遷移要 素のために全構造系の剛性を過大評価 し てしま うので,それを初期荷重 を用いて 調整す る方法である.
応力変化に注 目すれば弾性要素,塑性 要素,遷移要素の 3 つに分類 される.そ れぞれの要素 に対 して節点力増分ベク ト ル A f sと節点変位 増分 ベ ク トル Ads は 次 のようになる.
Ⅰ. 弾性要素
A f s‑KS e s )・Ads I I.塑性要素
ここで
Ⅲ. 遷移要素 ここ に
したがって
ここで
F ヨ
0
U8図 4 平均剛性法
. 1
A F S △P1 0 AU8 . 0 2 AU 6 , 1
0 u8
図 5 ‑イブリッド法
Af s ‑k S t s )・ Ad s
k g t s ) ‑t Bu T ・D e 。 ・B 。 dA
Af s ‑k( s e s ) ・△ds‑△f b Af
b‑(1 ‑α ) ・( k 法 L k( s t s ) ) ・△ds
Af
b‑k
h・Ads
k b ‑ ( 1‑α) ・B 。 T ・D 。 ・B 。 ・t ・A
弾塑性平面応力問題の考察
4 5 それぞれであげた要素で集成す ると
AF
s =
K・ △u s‑
APしたがって AP‑0 とおき AUs , o =Ko ‑ 1・ △F sか ら AU s , Oが求 ま り,次 にこの AU s , 。を用い て各遷移要素における αを求めて,上述の
A fbを集成 して AP lを計算す る. この増分中に 塑性化 した要素 は塑性要素 として次の反復計算のための接線剛性 マ トリックス
Klを得 る.
前段階で得た △P lを用いて AUs , I‑Kl l・ AP lを計算 L AP ‑0 になるまで反復計算 を行 う.そ して次の荷重増分を行 ってい く方法である.
またひずみの反転を生 じる要素 の取 り扱いは AF sに対す る全 ひずみ増分で行 った.す なわ ち,あるつ り合い状態か ら
i回反復後の全変位増分ベク トル △ ロS , .杏
AUs ; I ‑ AUs , 1+AUs , 2+AUs , ,+
・・ ・
・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ + AUs , L ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ これに対す るひずみ増分で前述のひずみの反転の項で述べた方法で判定 した.
Ⅳ. ユニット分割法
消去法による方法で今 まで述べてきた反復法 とは全 く異質のや り方である.解析 は,要素 内部の節点 と外部の節点 とで剛性方程式を分割 し,要素内部の節点を消去 し外節点変位増分
と外力増分ベク トル とを結び付ける関係は
(d♂且
)‑[ KA A ]1 ( dFA+df A
〉‑[ KA A ]1 [ KA S ] ( d♂B 〉 ( [ KB B ]‑[ KB A ][ KA A ] ‑ 1 [ KA B ] )( dOB )‑( dFB+df B
)‑[ KB A ][ KA A ]1 ( dFA+df A
}したがって
F
lI
E qy H' 7 /= =
a7 /
a̲ 20mI .@=10 n
m
I
Q̲
図 6
数値計算例P
a P P P
lfP′\ ′ \ \ ′ / Wヽ \ /
ノ′1ノイZ ′ ^/ M ヽ ノ 1
l ヽ∫\ I W
I \∧ ノ し イ ノ ダ9 4 軌 . 、 . a ̲
図 7 有限要素分割
4 6
永 藤 等 官[ KB B ]‑[ KB A ][ KA A ]1 [ KA B ]‑[ A]
ただ し要素内部の節点 の添字 を A とし外部 の節点 の添字 を B とす る.
降伏 した要素 についても上記 マ トリックスが使用で き,計算中は降伏 した要素 のみ を記憶す るに とどまる.
4.
数値解析結果種々の解析手法の比較 を行 うため参考文献 の北 田の行 った もの と同様 な計算 を実行 した.
解析手法 は,接線剛性法,初期応力法,平均剛性法,‑ イブ リッド法及 びユニ ット分割法 で なされた.
図 6 のよ うな均一引張 を受ける有孔帯板 を解析対象 とした.
初 期 応力法 につ い て は前荷 重段階 にお いて収束 し七い ない為 にお こる不 つ りあ い力 AP
LASTを次 の荷重増分 AF s に もちこむ修正増分法 で行 った.各荷重段階での収束判定 は全 塑性要素 について m‑o t y / すe ' qでその最大が0. 95 を越 えない ように判定 を行 った.
図 7 のように有限要素 を分割 して行 った.
塑性領域 の広が りに関 しては以下参考文献 の値 とよ く類似 しているので ここでは図は載せ なか ったが,応力集中に よ り孔 の付近 か ら塑性化 し始めて応力増加 と共 にその塑性域 は坂 の 側辺 に広がっていった.弾性域 では応力集中が顕著ではなか った.
接線剛性法,初期応力法,平均剛性法,′ 、イブ リッド法, ユニ ット分割法 の計算時間 とプ ログラムライソ数 を図 8 に示 したが, ‑イブ 1 )ッド法が計算時間 については優秀であること が確認 された.
表 1 計算時間とプログラムライン数
接線剛性法 初期応力法 平均剛性法 ′ ド法 、イブリッ 割法 ユニット分 RUNTⅠ ME . 5' 4 5 " 6' 5 4 " 4 ' 23 " 2' 4 0 " 1 ' 34 "
ユニ ット分割法の消去法 も, プログ ラムの煩雑 さを抜 きにすれ ば余 り問題 がなく直接法で あ る消去法の特質か ら演算時間 も比較的に短 く良好 の結果が,得 られた.
参 考 文 献
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