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社会科授業案

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著者 勝又 悠太

雑誌名 教育研究協議会要項 : 共に創りあげる授業 : 資質

・能力を育みながら,「教科ならではの文化」を味 わう子どもたち

巻 令和元年度

ページ 20‑30

発行年 2019‑10‑17

出版者 静岡大学教育学部附属静岡中学校

注記 題材名 : 持続可能な社会をめざしたエネルギーの あり方を考える

著者版フラグ publisher

URL http://hdl.handle.net/10297/00026823

(2)

企』 ココZ 科 授 業 案

授業者 勝 文 悠 太

1 2 3 題 材名

令和元年10月17日(木) 第 1 時 10 : 20 -11 : 10 2年B組 ( 2年B組教室)

持続可能な社会をめざしたエネルギーのあり方を考える

4

題材の目標

日本が直面しているエネルギーに|却する問題の背景や原因について調査する活動を通して, これからのエネル ギーを考えていくうえで考慮すべき事柄を明らかにし, 多様な視点や立場から根拠を示しながら対話を重ね, 持続 可能な社会の実現に向けたよりよいエネルギーのあり方について自分の考えを深めることができる。

5 題 材観

(1 ) 日本のエネルギー問題

昨夏, 全国各地で最高気温の記録更新が相次ぎまし た。 そのような状況を受け, 全国の公立小中学校では エア コンの設置が急がれ, 今では実際に設置された学 校も多いでしょう。 本校も9月に一部エアコンが導入 され, 子どもたちにとって快適な環境が整備されつつ あります。

しかし, 見方を変えてみると, 日本のm力協袈, つ まりエネルギー需要が増加するとも言えます。 私たち の生活はm気やガス, ガソリンなどのエネルギーなく しては, 到底成り立ちません。 最近流行している便 利なAIやIoTなどのデジタル製品も, エネルギーが あってこそ利用できるものであり, 今後も増加が見込 まれていくでしょう。 国民生活の向上や産業活動の高 度化において, エネルギーは欠かせないものです。 実 際の数値を見ても, エネルギー消費は 40年間で約10 倍に増加しています。 日本人一人あたりの屯力消費品 (kWh/人・年〉は. 105 64kWh/人・年であり, カナダ,

アメリカ, 斡固に次いで第四位です。 国別消費電力割 合も,日本は世界の総消費電力の5 %を使用しており,

閉じく世界第四位です。 つまり, 世界的に見ても日本 はmカ消費大国であることは明らかです。 しかし, 日 本は資源の乏しい国です。 そのような日本がl時代に合 わせながら, どのような資源を利用してエネルギーを 生み出すのかは, 長い間議論され, 研究され続けてき た課題でもあります。

日本がエネルギー(電力)のあり方について改めて 考えるきっかけとなったのが. 2011年 3月11 日の東 日本大震災でしょう。 東北地方太平洋沖地震による地 震動と津波の影響により, 福島第一原子力発電所での 放射性物質の放出を伴うー述の事故が起こりました。

この事故を境に, 日本のみならず, 国際的にも原子力 発泡の安全性をめ ぐっての議論が高まり, その是非を 問い直す機会となりました。 そして, 悲 惨な震災か

ら7年後. 2018年7月に政府は原子力発屯の再稼働 を必須とした第五次エネルギ一計画が閣議決定され,

20 30年に向けたエネルギーの方向性を打ち出しまし た。 しかし, 世論調査における原子力発電に対して否 定的なイ メージが約65 %を越え, 不必要であるとい う考えも年々増加しています。 その一方で, 原子力発 mの安全性への関心が高まってきているというデータ も見られます。(日本原子力文化財団f 2017年度原子 力に閲する世論調査」 調べ )

私自身, 時代の流れや世界情勢, 圏内情勢に合わせ ながら, 長い間議論され続けてきたエネルギー問題に,

本気で目を向けてきていなかったように思えます。 現 に, 電気を代表するエネルギー供給が途絶えて困った 経験はありません。 しかし, 来日本大鹿災は, 私を含 めた多くの国民がエネルギーのあり方やどのように電 力を生み出すのかについて改めて考え直す機会となり ました。 また, 圏内の原子力発電の停止による計画停 氾では, 電気の供給があたり前ではないことを痛感し ましTこ。

これからの社会は新たな産業開発が進み, 新技術を 駆使しながら, 人々の生活は並かさや便利さを求めて ますます変化していくことでしょう。 その並かな生活 には, 電力に代表されるエネルギー供給が欠かせない ことは間違いありません。 私たちは, 当たり前に存在 するエネルギーを改めて見つめ直し, 持続可能な社会 や地球環境を実現するためのエネルギーのあり方を 探っていくべき大きな転機を迎えているのです。

(2) 日本が抱えるエネルギーの課題

①高い輸入依存度・低い自給率

日本の電源構成比の約85%は,石炭,石油.LNG (液 化天然ガス )といった化石燃料による火力発電です。

その燃料の多くを中東からの輸入に依存しています。

そのため,日本のエネルギー自給率は約7 %に留まり,

- 20-

(3)

先進諸国の中でも圧倒的に低いのが現状です。 このよ うに日本は, ほとんどのエネルギー源を海外からの輸 入に頼っているため, 海外(特に中東地域)の政情が 不安定になるなど, エネルギー供給上の問題が発生し た場合, 自立的に資源を確保することが難しいという 脆弱性を有している国と言えます。

歴史を紐解いてみると, 1973年に第四次中東戦争 が起き, 原油価格が急上昇したオイルショ ックでは,

日本経済が混乱しました。 その反省から, 原子力発電 の有用性が認められ, 火力発屯の割合が減っていき ました。 しかし, 現在の日本の火力発電比率は, 約 85%とオイルショ ックl侍の割合を超え, 過去最高の水 準となっています。 その理由は, 先に述べた震災の影 響です。 安全性の椛ïi保や安全であることの確証がもて ないため, 全国の原子力発電の稼働が次々に停止しま した。 現在は, 九州屯力の川内, 玄海原発と関西電力 の大飯, 高浜原発と四国電力の伊方原発が稼働( 2019 年7月現在) していますが, わずか1%程度の供給割 合に留まっています。 そのため, 火力発'ïUの割合が多 くなり, それに伴いエネルギー自給率も約7%に下 がっているというわけです。

〈電気の圏内供給割合と化石燃料依存度〉

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経済産業省資源エネルギー庁HP

②温室効果ガスの増大

先述したように, 震災後の日本の火力発電の割合が 地したことによって, 温室効果ガスの哨加が問題と なっています。 楓室効果ガスの削減は, 日本のみなら ず世界的な記長題です。 2015年にパリで捌かれた, 組 室効果ガス削減に閲する国際的取り決めを話し合う

「国迷気候変動枠組条約締約国会議(COP)Jでパリ 協定が合意されました。 日本も批准し, 中期目標とし て, 2 030年度の温室効果ガスの排出を 2013年度の水 準から 26%削減することが目楳として定められまし た。 このような世界的な取り組みが進む中で, 火力発 電に大きく依存している日本が危機感を抱くのは当然

〈世界の電源構成比の比較〉

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日本 -司r. -E圃圃 国'

アメリカ

イギリス

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ドイツ -E盟盟国

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経済産業省資源エネルギー庁HP

のことでしょう。 脱炭紫化という国際社会の方向性の 中で, 日本がどのようなエネルギーのあり方に舵を切 るのか, 今まさに判断がせまられているというわけで す。

また, 新興国のl正雄なエネルギー需要は, 世界規模 で温室効果ガスの様相も一変させるに至っています。

世界のエネルギー起源の二酸化炭素排出品は, 全体と して増加してきており, 特に新興国における増加は顕 著です。 世界全体の排出品全体に占める先進諮問の排 出量の割合は, 19 9 0年には約70%であったものが,

2010年には約40%に低下し, 先進諸国と新興悶の排 出品の割合が逆転しました。 パリ協定に基づく各国の NDC (自国が決定する貢献)を踏まえた新政策シナ リオにおいても, 2016年の約 320 億トンから, 2040 年に 3601!lトンへ増加する見通しになっています。 さ らに, 国際エネルギー機|品'1 (IEA)によると, 204 0 年の世界のエネルギ-

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ï!l品は, 2014年と比べてお よそ 1.3 倍に増加し, その増加分の多くを占めるのが,

中国やインドなどのアジアを中心とした新興国だと予 測されています。 これらの新興国は, 近年大きな経済 発展を遂げており, 今後ますますその成長は加速して いくでしょう。 これに伴い, 経済を支える化石燃料の 需要も増加し, 資狐の独得競争がさらに激化していく だろうとの見解もあります。

③限りある資源

人類は, 石油や石炭, 天然ガスといった化石燃料を あとどのくらい利用することができるのでしょうか。

現H寺点で確認されている経済的, 合理的な範囲で採掘 可能な資源の埋蔵立を年間の生産量で割ったものを,

唱-A n,b

(4)

〈将来の電源構成比〉

車子力

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この屯源構成を実現するために官民協力の下, 徹底 した省エネを推し進めながら, 再生可能エネルギーを 最大限に利用していく必要があります。 さらに, 安全 性の確保を大前提sとして, 原子力発電を一定程度活用 しつつ, 将来的には原子力発氾への依存度を可能な限 り低減させるというのが政府の考えて4す。

経済産業省資源エネルギー庁HP

エネルギー資源確認捜蔵品と言います。 それは, 1こ のまま使い続けると, あと何年資源を採取できるか」

という数字を表しています。 このエネルギー資源確認 埋蔵盆は, 石炭とウランが 100 年超, 石油, 天然ガス は50 年ほどと見られています。 ある意味, 私たちの エネルギー消費は, 化石燃料という貯金の切り崩しで あり, 新たな生成にはl信;年かかるとも言われていま す。

今後, 新たな油田や鉱山が発見されたり, 飛躍的に 技術革新が進んだりすることで, この数字が変わって いく可能性はありますが, 化石燃料はいつか尽きてし まう資源であることに変わりはないでしょう。 限られ た資源であるからこそ, 日本は資源を持たざる固とし て, ますます不利な状況へと追い込まれていくことが 予想されます。

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(3) バランスのとれたエネルギー利用をめざして

以上のような日本のエネルギーにおける諸課題を,

どのような視点をもって解決していくことがよいので

原子力発電と再生可能エネルギーによる発電

エネルギー第五次計画の 2030 年の政府目標を見て も, 原子力発電の再稼働と再生可能エネルギーの拡充 に期待するところが大きいように感じます。 その一方 で, 課題とされる点がいくつかあることも確かです。

どのような点に課題があるのでしょうか。

(4)

①原子力発電

原子力発電の メリットは, コストが安いという点で す。 安定して大量の電力を供給できるため, 発電量当 たりの単価が安く, 経済性という面で非常に優れた発 m方法と言えます。 また, 一度燃料を補充すると約l 年は交換の必要がないというリソースの面での メリッ

トもあります。

また, 発電時に地球温暖化の原因となる温室効果ガ スを排出しないという点は高く評価できます。さらに,

酸性雨や光化学スモッグのような大気汚染の原因とな る酸化物も排出しません。

一方で, 発電所周辺地域の経済効果が高いという面 もあります。 日本では, 固からの補助金や原発周辺で 新たな庖用が生まれるため, 周辺エリアの経済が潤う こともメリ ットのーっと言えるでしょう。

その反面, 放射性廃棄物の処理に手間と時聞がかか るというデ メリットもあります。 放射能レベルが十分 に低下するまで, 人間の生活環境から長期間にわたり 隔離するため, 地下 300m以深の安定した地府中へ処 分することとなっています。 つまり, 燃料をライフサ

nL nL

しょうか。

身体の健康を維持するためには, 栄養バランスのと れた食事をとることが重要とされるように, 伝ß全なエ ネルギーシステムを構築するには, 石油などの化石燃 料や,水力や太陽光などの自然から得られるものなど,

様々なエネルギーをバランスよく組み合わせることが 求められています。 各種エネルギー資源や供給方式に はそれぞれ長所や短所があり, 複数のエネルギーを組 み合わせることで, あるエネルギーの短所を補えると いうわけです。

そこで, 日本政府はバランスのとれた電源構成をめ ざし, 1エネルギーミックス」という形でこれからの エネルギーの方向性を示しています。 具体的には, 時 代に合わせて火力発mと原子力発屯, 再生可能エネル ギーをノ〈ランスのよい割合(構成)で使用していく という方向です。 その中で, エネルギーの基本的な 考え方として1 S + 3 EJを打ち出しています。I S

+

3 EJとは, 安定した社会を維持するために, 安

全性(Safety)を大前提として, 安定供給(Energy

Security)と経済性(Economy )を向上させ, かっ

環境保全(Environmental conservation)を意識し

ようという考え方です。 日本政府は,1エネルギーミッ

クス」とIS+3EJを同時達成するために, 20 18

年7月にエネルギー第五次計画を作成し, 2030 年時

点の望ましい屯淑梢成を下 図のように発表していま

す。

(5)

イクルで見ると, 5 0年以上もかかっているというわ けで‘す。 コスト面から見る発電 コストは低い一方で,

発電以外のコストがかかってしまいます。 さらに, 発 電所の寿命は 30- 4 0年です。 廃炉にする際も同様に コストもリソースもかかります。

忘れてはならないのが, 事故の際には極めて高い危 険性を有しているということです。 来日本大震災のと きのように, 事故が起きると様々な方面へ影響が出ま す。 地震大国の日本では地震から発生する津波の影響 もリスクとして考えなければなりません。

以上のように, 原子力発電は, I経済性 JI環境性」

という点で優れた発市方法ということです。 しかし,

その優位な点が発事líされるのは, I安全性」が絶対条 件です。 地震の多い日本で, どこまでの安全が確保さ れているのかが原子力発屯を行うにあたり, 大変重要 です。

②再生可能エネルギー(主に太陽光発電)

東日本大震災以降, 再生可能エネルギーには追い風 が吹いていることは1ì(1iかです。 再生nJ能エネルギ-ílI 源に対する手以い発mm力固定口取制度 (FIT)が導 入され, 特に太|助光発電設備(PV)の導入が急速に 進んできま した。 しかし, 乗り越えなければならない 諜題もいくつかあります。

第一は, PVや風力発電のような自然エネルギーに 頼る再生可能エネルギーは気象変動の彬轡を受けやす く, 出力の変動が不安定な点です。 例えば, PVは太 陽光のエネルギーを利用して発電するため, その発電 量は天候に大きく左右され, 曇天や雨天i時には出力が 大きく下がり, 夜間には出力が得られません。 さら に, 電力システム需要と供給を瞬時に一致させる必要 があるため, 変動が大きくなると運用が難しくなって しまいます。 太陽光発電による屯カの割合が, ベース 電力となる火力発むなどの出力と比較して小さい場合 には, この出力の不安定さはそれほど大きな問題とな りません。 しかし, メガソーラーなど大規艇な太陽光 発電所が多く建設され, 太陽光発屯の割合が高まる と, 天候による太|場光発電の出力変動をベース電力の 出力の増減で制強することが難しくなる可能性があり ます。 屯気はl行2めておくことが難しいため, 時々刻々 と変動する需要量に合わせ, 発電所からの供給量(発 電量)を一致させ続ける必要があります(同時間量)。

この同時間i誌が維持されず, 使用氾カに対して発電 電力が不足したり, 過剰であったりすると, 屯圧や周 波数が不安定となり, 電気製品の使用に支障をきたす 場合があります。

第二は, 発屯設備の建設についてです。 太陽光発電

は, 太陽の光エネルギーを利用して発電しますが, 太 陽光自体のエネルギー密度がそれほど高くないことに 加えて, 現在一般に使用されている太陽電池の変換効 率が数%-20%程度と決して高くないため, 他の発 電方法と比較ーして発屯設備の建設により大きな面積が 必要となってしまいます。

第三は, 発電 コストです。 太陽光発電では, 発電の ためのエネルギーは太陽から供給されるため, 発砲l時 のエネルギーコストはゼロですが, 設備導入コストが 他の発電方法と比較して高いため, 発電に要するコス ト全体で比較すると, 他の発電方法と比較 して高く なって しまいます。風力発電にも同様のことが言えます。

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1 kWh電力量あたりの発電コスト〉

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43.4円

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経済産業省資源エネルギー庁HPより

以上のような点から, 屯気エネルギーの専門家から 見れば, FITの技術的 ・ 経済的に適正な受け入れには 限界があることは明らかであり, 遅かれ早かれは制度 が機能しなくなることは予想されていました。実際に,

太陽光発電の導入のペースは予想を大きく上回り, 認 定された設備の容ii1は想定をはるかに越え, 2014年 後半になっていくつかの屯力会社では, これ以上の受 け入れは困難だとして, 接続申し込みへの回答を保留 するという宣言を行い, 問題となりました。 安易に太 陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を進めてい くのではなく, 慎重な判断や議論が必要であることに 直面しました。

(5)

エネルギーの地産地消

2011年8月に再生 可 能 エ ネ ル ギ ー 特別措置法,

2012年7月には国定価格買取制度が始まり, 再生可 能エネルギーで発電した屯力を屯気事業者が買い取る ことが義務付・けられました。 そして, 2016年4月よ り「屯力自由化」が始まりました。 それ以前は, 各地

nペU nd

(6)

域の電力会社のみが1[1気を販売しており, 附入先を選 択することはできませんでしたが, m力自由化によっ て, 地域の屯カ会社に加えて, 様々な新m力会社を選 択することができるようになりました。 一般的な電力 会社だけでなく, 峨々な事業社も参入しています。 さ らに, 地方自治体も新電力会社と協力し, 自治体電力 という形で参入しています。

これら制度によって, 各自治体が再生可能エネル ギーを利用し, 自分たちの市町村で使用する屯気を自 分たちの手で発電しようという「エネルギーの地産地 消」の取り組みが大きく広がりを見せています。 つま り, 以前までは使用する屯力は発電所のある地域から 得ていたため, お金が外に流れていたのが, 発電から 使用までを自治体で行うため, お金が循環するように なるというわけです。 すると, 必然的に生み出すこと ができる電力は, 自治体でも発電できる再生可能エネ ルギーを利用したものになります。 私たち消費者の選 択の幅が広がり, 再生可能エネルギーの拡充にもつな がることは, エネルギーミ ックスを考えるうえでも大 きな進歩と言えるのではないでしょうか。

実際に静岡市では, 環境局環境創造諜が市内におけ る再生可能エネルギーの普及拡大をねらい, エネル ギーの地産地消事業を進めています。 さらにI r静岡 型水素タウン」と称し, 水素エネルギーを利活用した 地産地消体制の構築がめざされています。浜松市では,

「浜松版スマートシティ」実現のため, 屯力の自給率 向上に向け, 行政と民間事業者などと辿携の下, 電力 の地産地消をめざしI 2015 年10月に株式会社浜松新 電力が設立されています。

(6)

本題材で味わう 社会科ならではの文化

本題材で子どもたちが味わう社会科ならではの文化

を「日本が直面しているエネルギーに関する問題につ いて, 多様な視点や立場から根拠を示しながら対話を 重ね, 持続可能な社会の実現に向けて, よりよいエネ ルギーのあり方を見いだしていくこと」とします。

日本が直面しているエネルギーに関する問題を解決 するための決定的な手だてはありません。 だからこ そ, 視点や立場の;迎いによって問題の捉え方などによ る考えのズレやI r何を最も重視すべきか」 といった 価値観の違いが生まれ, 現実の社会でも議論され, 選 挙においても争点となっているのです。 現実に議論さ れているこのような問題に対して, 子どもたちは視点 を変えて捉えたり, 問題に携わる異なる立場の人の考 えや思いにふれたりすることで, 日本の現状に向き合 い, 解決に導くためI r持続可能な社会の実現に向け てすべての人にとってよりよいエネルギーのあり方と

はどのようなものだろう」と自分の考えを深めていく でしょう。 その過程で, 子どもたちは考えの似拠や価 値観について対話し, 他者の見方や考え方に対する理 解を深め合いながら, 解決していこうとするのだと考 えます。

(7)

題材と子どもたち

子どもたちにとってm気があることはあたり前で,

意識することすら少ないものです。 そのためI rどの ような過程を緩て発屯しているのか」や「もし, 電気 の供給がなくなったら…… Jと思いを巡らせた経験が ある子どもは少ないでしょう。 それは, 私を含む多く の日本人にも言えることです。 東日本大震災のような 不測の事態に直面したときに, はじめて電気について 考えるのだと思います。 その一方で, 日本は資源の少 ない国であるということや世界が温室効果ガスの発生 を減らすための取り組みをしているという現状は, 多 くの子どもたちが知っています。

子どもたちがこのような現状を目の当たりにしたと きに, 日本が直面しているエネルギー問題を瓦愁に受 け止めI r何か解決策はないだろうかJ r将来のエネル ギーをどのように確保すべきか Jrよりよい屯減梢成 をどのように設定すべきか」など, 問題意識を抱きな がら追求していくことでしょう。

子どもたちは, 日本のエネルギー問題の現状と, 問 題を解決するためのよりよいエネルギーのあり万を模 索していく中でI r今だけではなく長期的な視野で最 もよいエネルギーのあり方はどのようなものか」など,

持続可能な社会の姿を互いに共有しながらI rどのよ うなエネルギーが安価で経済的にも優れているのか J

「多くの国民が利用しやすいエネルギーにしていくに はどのようにすればよいか」 などの経済的な視点での 見方やI r担室効果ガスを減らすという世界的な動き に沿いながらも, 安定した供給ができるエネルギーを 普及させるにはどのようにすればよいか」などの環境 保全や安定供給に閲する視点で対話を重ね, 自分の考 えを深めていくことでしょう。 また, 多様な視点で対 話するとともに, 実際にエネルギー問題の解決やより よいエネルギーを提案に尽力している人に出会う機会 をつくります。 そのような経験は, 子どもたちの見方 や考え方を広げることにつながるきっかけとなること でしょう。

以上のように, 仲間や他者との対話を通して, 多面 的 ・多角的に考えを深めていくと「自分たちの地域で はどのようにエネルギーを確保していったらよいのだ ろうか」などI rエネルギーの地産地消」 や「創エネ」

という新たな視点に気づいていくのではないでしょう

daa nd

(7)

か。 より当事者意識をもつことで. í省エネ」という 視点で自分の生活を見直していく子どももいるかもし れません。

10年後の日本を見通すのであれば, 一つの発電方 法に頼らず, 多様な発電方法をうまく組み合わせてい くことが最も重要です。 それはある発電方法を推奨す る一方で, ある発電方法を批判し排除するというもの ではありません。 また, エネルギー問題の解決を国だ けに頼るのでもなく, 今までのようにある特定の電力 会社だけに頼るものでもないでしょう。 子どもたちが 授業を通して, エネルギー問題は, 国や地域, そして

側人が, エネルギーのかかわる主体者としての意識を もって, 協力し合い向き合ってL、かなければならない 問題であることに気づき, 解決策や今後のあり方や方 向性を導くような姿や語り合いが見られたのならば,

素晴らしいことです。 日本のエネルギー問題を学ぶこ とによって得た視点を材料に, 子どもたち一人一人 が, これから先の社会の姿を想像し. íどのような日 本を創っていくべきなのかJ íどのような地域のあり 方が求められるのか Jí自分には何かできないだろう か」という思いや考・えをもてる人聞に成長してほしい と願っています。

参考文献 : 締川武朗(20 13)r日本のエネルギー問題J NTT出版

河野間子(20 17)r里地虫山エネルギーJ 中央公論新社

小林義行(2011)rどうなる?日本のエネルギー問題。』 マガジンハウス 高橋立樹(2015 )rご当地屯力始めました!J 岩波ジュニア新書

参考資料 : 一般社団法人 屯気学会『 安全 ・ 安心社会の屯気エネルギーセキュリ ティ』 特別調査専門委員会資料 (株)ほうとくエネルギー. (株)湘南屯カ『小国原市の地産地消エネルギーの取り組み』

経済産業省資源エネルギー庁 https:jjwww.enecho.meti.go.jpj 静岡市 環境局 環境創造諜『エネルギーの地路地消事業について』

中部m力パンフレット

m気事業迎合会DVD教材『エネルギートラベラー~エネルギーの現状と課題を採る-�

浜松新屯カノfンフレット

6

新学習指導要領との関連

(2)

日本の地域的特色と地域区分

次の①から④までの項目を取り上げ, 分布や地域などに稲田して, 課題を追求したり解決したりする活動を通 して, 以下のア及びイの事項を身に付けることができるように指導する。

③資源 ・エネルギーと産業

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ウ)日本の資源・エネルギ一利用の現状, 圏内の産業の動向, 環境やエネルギーに関する課題になどを基に,

日本の資源 ・エネルギーと産業に|刻する特色を理解すること。

イ 次のような思考力, 判断力, 表現力等を身に付けること。

(7)①~④までの項目について, それぞれの地域区分を, 地域の共通点や差災, 分布などに着目して, 多面 的 ・ 多角的に考察し, 表現すること。

7

題材構想(全10時間)

(1) 日本のエネルギーの現状に出会い, 追求する間L、を共有する(2時間) (2 ) 問いを追求するための調査の見通しをもち, 調査する(2 11寺間) (3) 調査内容を共有し, 問いに対する考えを語り合う(2 I時間)

(4)

エネルギーの現実の姿を知るために(2時間)

(5)

それぞれが考えるエネルギーのよりよいあり方について対話する(2時間 本時はその1 )

(1) 日本のエネルギーの現状に出会い, 追求する問い を共有する(2時間)

授業者は,映画『サパイバルファミリー』のワンシー

ン を流します。 その映像を見て, 子どもたちは次のよ うな感想を口にするでしょう。

戸hu nL

(8)

-ー・ー・ーーーーーー・・ー・・・・・ー・・・・・ー・ー・ーー---. .

-冷蔵庫が機能しなくなったら, 食べ物が保存でき

ない

・屯気がないと, テレビやネットで情報も手に入れ られなくなる可能性がある

・トイレの水もHt気がないと流れないのか .私たちの生活にはm気が欠かせない

-でもこれは映画だから, 実際にm気がなくなるこ:

とはあり得ないだろう

など:

子どもたちの感想を聞いたところで, 授業者は, 他 国と比べた日本のエネルギー自給率の資料とエネル ギー消費量の資料を配付します。 子どもたちは, 次の ように読み取り, 考えを述べるでしょう。

-以前学んだ食料自給率が約40%で危機感を抱い たのに, それよりずっと低い7%だなんて驚いた

・他国と比べてみても, 圧倒的にエネルギー自給率 が低L、

・日本は資源が少ない国だとは知っていたが, 改め て見ると事態は深刻かもしれない

・自給していないということは, 輸入に頼っている' のだろう

・資源が少ないのに, 消費量は世界の中でも多L、。

このままで平気なのか

など

子どもたちは, 日本のエネルギーの現状に問題があ ることを確認すると, 危機感を抱いたり, 解決策を述 べたりするでしょう。 そこで, 電気の供給に携わって いる中部電力の方を招き, 日本が直面しているエネル

ギーに関する問題や, エネルギーの実情について話を していただきます。 すると子どもたちは, 次のような 感想を述べるでしょう。

-日本に資源が供給されなくなったら, 発電できな j

くなる可能性も出てくる。 エネルギーについて考:

えていかなければならなL、かもしれない : .エネルギーに携わる人は危機感を抱いているのだ;

から, もしもの話ではなく現実的な問題なのだろ:

ふM -つ ろ だ

・luw

46

策 決 解 ムHH

う 何

-エネルギーについて, これから私たちはどのよう!

な取り組みをしていくべきか考えたい

など:

・・ー・・・・・・・・・ー---ーー・ーーーーーー・・ーーーーー・ーーーーーー- .

感想を語り合う中で, 子どもたちの思いをまとめな がら「これからの日本のエネルギーはどうあるべきか」

という問いを共有します。

(2) 問いを追求するための調査の見通しをもち, 調査 する(2時間)

前11寺に共有された「これからの日本のエネルギーは どうあるべきか」という問いを追求するために, í日 本のエネルギーの現状にはどのような問題があるの か」と問L、かけます。 子どもたちは, 次のような予想、

や考えを述べるでしょう。

-資源の少ない日本だから, 発屯するための資源をl 輸入に頼っている点が問題だろう。 どのくらいの:

訟を輸入しているのだろうか

1

.石油などの資源は無限に採掘できるわけではな

い。 資源をめぐる競争が起こったときに資源の少 ない日本は不利になるかもしれない

・�ミ日本大震災による稲山県の原子力発電所の事故 によってその危険性が騒がれている。 原子力発m を再稼働するかどうかということが日本の直面し ているエネルギーに関する問題なのだろうか

・現在, 原子力発屯所はほとんど稼働していないと いうことを聞いたことがある。 原子力発屯がなく ても安定した電気は供給できているのか

' ・いろいろな発電方法があるが, そのメリットやデ.

メリットを調べたい

-再生可能エネルギーが増えていかないのが問題な のではないか。 なぜ増えてL、かないのだろう

など

授業者は,子どもたちの予想や考えを①資源の自給・

入手先からみる問題点②税境問題から見る問題点③原 子力発mから見る問題点④再生可能エネルギーから見 る問題点の四つの調査の視点に分類し, 4人でそれぞ れが分担して調査していくことを伝えます。 子どもた ちの興味を大切にするため, 担当する視点以外のこと についても調べてもよいこととします。

なお, 子どもたちが科学的な視点や技術的な問題点 よりも, 社会的な視点に着目できるように, 資料をあ らかじめ用意しておき, それらを活用しでもよいこと を伝えます。 用意した資料を活用するかどうかは, そ れぞれの子どもの判断に委ねます。 子どもたちは, 調 査活動を経て, 日本が直面しているエネルギー問題の

背景や原因を, 次のように見いだすことでしょう。

ρhv nL

(9)

:①資源の自給 ・入手先からみる問題点

・日本のエネルギー自給率はわずか7%であるこ とがわかった。 エネルギーの大部分を自国でJI有 えていないことが問題だ

・資源を輸入に頼っていると, 国際情勢が変化し たときに, 日本に資源が入ってこないことが予:

恕される。 また, 価格も突然高くなることがあ;

るかもしれない

・エネルギーを使用するのは主に先進諸国である;

ことがわかったとともに, 新興国の使用量が増:

えていることもわかった。 経済の発展にはエネ ルギーは欠かせなし、。 世界でエネルギー獲得競 争が起こるかもしれなし、。 もともと資源の少な い日本は圧倒的に不利である

-石油や石炭, 天然ガスには|浪られた資源でいつ か尽きてしまう。 長期的に考えると, 有限な資

ilhlを使用し続けることはよくないのでないか

②蹴境問題から見る問題点

・日本の屯似{梢成をみると, 火力発電の割合が非 常に大きし、。 そのため, 編室効果ガスの排山iì!

も多L、。 地球椀暖化を防ぐためには問題である

・原子力発屯が停止してから, 火力発電の負担が ますます大きくなっている。 それに伴い, 淑室

効果ガスの排出品が増大している

・パリ協定で日本は2013年から2040年までに沼L 室効果ガスを26%削減することを目標として 定めている。 世界も温室効果ガスを減らそうと している中で, 火力発電のl�IJ合が増えているのi

は問題がある :

③原子力発電から見る問題点

・原子力発屯が稼働していない状態自体が問題で ある。 いずれは火力発屯や水力発電, 再生可能 エネルギーによる発電だけでは, 増大していく エネルギー需要を賄えなくなる

-原子力発屯を再稼働することが問題だ。 安全性 が確認されていなL、。 地震の多い日本において は, 原子力発mは危険である

・東日本大震災の事故でわかったように, 発m所 のある地域に人が住めなくなる可能性がある。

現時点で再稼働しでもよいのだろうか

・発電時に使用された放射性廃棄物の処理は問題 だ。 高濃度の放射性廃棄物が完全に中和される まで10万年かかると言われている。 そのよう な速い未来まで保存, 隔向性が可能なのか

④再生可能エネルギーから見る問題点

・世界の電源構成と比べて, 日本に再生可能エネ ルギーの割合が少ないのが問題だ

-再生可能エネルギーは他の発屯よりもコストが かかるというデメリットがあるためあまり導入 が進んでいない

-安定して電気を供給できないことや発電力も弱 いことが, 割合が増えてL、かない原因だ

など:

子どもたちはそれぞれで調べた問題や 背景を共有し ながら, 自然と本題材を貫く問いである 「これからの 日本のエネルギーはどうあるべきか」について, 語り 合うことが予想されます。 そのような対話がなされは じめたところで, 子どもたちの発言ーから, 日本のエネ ルギーのあり方を考えていくうえで考慮されるべき四 つの観点を見いだしていきます。

【四つの観点】

O経済性 O安定供給 O環境保全 O安全性

また, 四つの観点をもとに, これからの日本のエネ ルギーのあり方を考えていく|燃に. í持続可能性」を 考慮することは, 全ての観点に共通する大切にすべき ことであることを硝:認します。

(3)

調査内容を共有し, 問いに対する考えを語り合う (2時間) 前11寺に確認された四つの観点のどの視点を重視し,

優先していくべきかなげかけます。 なげかけを語り合 いの切り口とし. íこれからの日本のエネルギーはど うあるべきか」について対話を重ねて追求していきま す。

【経済性を優先する】

・原子力発�1Iは.

1

kWhあたりの発電コストが最:

も安く. 10.1円である。 経済的に, 安価な発m方:

法を選択していくべきだ

j

-一般水力発電も発電コストは安L、。 日本の自然環:

抗を考えても水力発屯は我が国にとって頼れるも:

のだ

i

-消費者は, より安いものを選択するのが自然な発:

恕だ。 広く普及させていくうえで, 経済性を重視 するのは妥当である

(【安定供給を優先する】

円i nL

(10)

-突然, 電気が供給されなくなり, 停mになってはi 圏内が混乱する。 常に安定した供給がされること:

が, 発電方法の信頼性につながるだろう

-原子力や火力発屯は, 屯気需要が高まったl時に,:

瞬時に供給できるという点で非常に優れている。;

一方で再生可能エネルギーは, 天候や自然環境に,

左右されるため, 不安定である

・再生可能エネルギーは, 発電に使う資源が無限に:

あるのが特徴で最も有効だろう。 有限な石油や石:

炭を使用する火力発電は, 持続可能という点では:

欠点、がある

'【環境保全を優先する】

-再生可能エネルギーは, 圧倒的に温室効果ガスの 排出品が少ないのが利点である。 地球協暖化のこ とを考慮すれば, 再生可能エネルギーの割合を高 めていくことが必要だ

・ 原子力発電も潟室効果ガスをまったく排出しな い, 環境保全という点でも優れている発電方法だ。 j しかし, 放射性廃棄物の処理の問題や事故があっ;

たときの影響が計り知れない

:【安全性を優先する】

-安全性で最も懸念されるのはやはり原子力発電:

だ。 安全であることを優先するのであれば, 原子:

力発電の再稼働には到底賛成できない

-原子力発屯以外の発電方法は安全と言えるだろj う。 過去を振り返っても, 大きな事故が報告され:

ているものはない

など;

子どもたちは, 四つの観点を手がかりに, 多様な視 点や立場から, これからの日本のエネルギーのあり方 について対話し, 考えを深めていくでしょう。 考えが 深まるにつれて, 話題の中心は, 原子力発屯の賛否や これからの扱い, 再生可能エネルギーへの期待や懸念 になることが予想されます。

�---・---・ー・ー・・・・・・・・・・・・・・・---ー.

-原子力発屯を再稼働すべきだろう。 なぜならば,

安定供給, 環境保全, 経済性という三点でもっと;

も優れているエネルギーだからだ

・本当に安全性は確保できているのだろうか。また,;

再稼働するにしても火力発電に代わる主な発電と していくのかどうかは考えたい

-原子力発電の再稼働は反対だ。 絶対に安全である という保障はない

・原子力発電を稼働させないのであれば, 当然再生

可能エネルギーへの期待が高まってくる。 安定し(

て供給できるような技術の研究が必要だ

など:

‘ー--司・・・ーーーーーーーーーーーーーーー・・ーーー・ー司ーーーー・ーーーーーーー---_ ..

以上のような語り合いを, 静岡市環境局環境創造課 の方を招き, 聞いてもらおうと考えています。 授業の 品後には, 静岡市はどのようなエネルギーの方向性を 考えているのかということと, 子どもたちのエネル ギーに対する考えの講評をいただきます。 さらに, I時 間が許す限り, 質疑応答の場を設けようと考えていま す。

本i時までの学びを振り返り, 子どもたちの「追求の 記録」には以下のような内容が記されるでしょう。

-経済性, 安定供給などすべてにおいて優れている mカがないということがわかった。 その中でも,

多くの面で優れているのが原子力発電なのではな いか。 しかし, 安全性という点で疑問が残る。 人 の命がかかっているので, 安全性は最優先される 視点だと思う。 何をもって安全と捉えるか, 屯力 会社の方にぜひ悶H、てみたい

・再生可能エネルギーがもっと研究され, 発電量や コストの面で向上が見込めれば火力発電に頼る割 合を減らして, 地球温暖化の進行を止められるか もしれなL、。 環境をA管えるということは, 持続可 能な社会や地球の実現にもつながってくる

・いろいろなエネルギーをうまく組み合わせていく ことが大切であることがわかった。 しかし, 本当 にうまくいくのだろうか。 原子力の再稼働をめ;

ぐっても, 私たちが議論したように実際の社会に・

おいても賛否がわかれている。 世論と政府の考え でズレが生まれているのが事実である。 何か他の 手立てはないか考えたい

・ 静岡市は再生可能エネルギーの普及拡大をねらっ ていることがわかった。 行政と民間企業が手を組 んで, 地域で使用するm力を生み出す取り組みを しているなんて知らなかった。 また, 水素エネル ギーを推進するまちづくりをめざしていることに 興味をもった

・自治体によって, 原子力発電の再稼働についての 考え方が異なることがわかった。 そのような状況 で, 実際にエネルギーを供給している企業はどの ように思っているだろうか

など

このような振り返りを受けて, 次i時からは静岡市に 屯力を供給している中部電力の方と, 再生可能エネル

- 28-

(11)

ギーの推進やエネルギーの地産地消を掲げている浜松 新電力の方にそれぞれ話を伺い, さらに多角的にエネ

ルギーのあり方を探っていくように伝えます。

(4)

エネルギーの現実の姿を知るために(2時間)

中部電力の方からは, これからの屯源構成について の考え, 原子力発電はどのような状態なのか, 安全性 はどこまで高まったのかなど, 話を伺います。 浜松新 電力の方からは, エネルギーの地産地消の理念や, 再 生可能エネルギーの可能性, 地域で屯力を生み出すこ との有用性などの話を伺います。

子どもたちは, これまでの学びを振り返りながら話 を聞き, 多くの質問をしながら未来の日本のエネル ギーのあり方の考えをさらに膨らませていくことで しょう。

..---司---・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・.

【中部屯カの方の話を聞いて】

-原子力発屯の安全性を高めるために, 地震による;

津波などの自然災害に対応した設備を整えている・

ことがわかった。 桶島での事故を教訓にしたから こそ, 安全性がより高まったのではないか

・火力発屯への依存が問題だから, 同じように安定 供給ができ, 資源を他国に頼らない原子力発電は,

持続可能性を考えるのであれば必要だ

・本当に安全と言えるのだろうか。 発m所で働いて,

いる人たちは, 世論や世間の声をどのように受け:

止めているだろうか

・発電所で働いている人たちを考えると, 一方的に 原子力発mを廃止すべきとは言えない

・原子力発nl所がある地域に住む人は, どのように 思っているのか矢口りたい

【浜松新111カの)1の話を聞いて】

・エネルギーの地産地消という考えを初めて聞い た。 地域でmカを生み出すことができるのであれ ば, 大きい屯力会社に頼らなくてもよい

-再生可能エネルギーは発電量が不安定だが, 小さ い範囲での市要は賄えるから安心かもしれない

・地域でm気をつくるには, 自治体の協力が必要不 可欠だ。 住民の理解を得るための努力や工夫がな いと実現できないだろう

など

(5)

それぞれが考えるよりよいエネルギーのあり方に ついて対話をする(2時間 本時はその1 )

日本のエネルギー問題の背景や原因から見いだした

ことやエネルギーに悦わる方からの話をふまえて, 改 めて「これからの臼本のエネルギーはどうあるべきか」

と問います。 子どもたちは, これまでの学びを生かし て次のような考えをもち, 対話するでしょう。

【エネルギーをうまく組み合わせる・ベストミック:

スを追求する】

-経済性や安全性など, すべてにおいて優れている:

発電方法はなし、。 現H寺点で, 原子力発泡がもっと:

も優位な発電方法だ。 安全性に関しては疑問が残:

るが, このまま火力発電に頼ることも現実的では:

ない。原子力発電を再稼働し, 再生可能エネルギー:

の発電設備を整えて, バランスのよい発屯割合に ・

するべきだ :

・現時点で火力発mのm力需要がj府えているので, : 原子力発電は稼働すべきではなL、。 温室効果ガス:

の排出問題もあるが, 人命がかかっている安全性

:

の確保が優先だろう。 火力発電の割合を小さくし・

ながら, 再生可能エネルギーなどの新エネルギー:

の実用性を高めていくのがよい

【m気の供給者・創エネ】

・大きな電力を広範囲に供給することに問題があ る。 地域でエネルギーを創り消費する, よりコン パクトな電力供給が求められていると考える。 供 給の主体を地域にシフトすべきだ

-再生可能エネルギーをよりよく実用するために は, 供給量や供給範囲を限定する必要がある。 多 少価格が高L、かもしれないが, 持続可能な社会を 考えるのであればやむを得ない

; 【111力の使用者(消費者)・省エネ】

: ・そもそも, 私たちが英大なエネルギーを使用して いることが問題だ。 限られた資源だからこそ, 卸i : 約する意識が必要だ。 このような取り組みであれ

ば, 私たちでも今す ぐにできることである -再生可能エネルギーの発電コストは高L、かもしれ;

ないが, 地球視暖化などの環境問題を考えたら仕

j

方がない。 高L、からこそ, 使用量を減らす努力を;

すればよい

など;

.

�---ーーーーーーーーーーー---ーーーーー・ー・ーーーー・---�

子どもたちの対話や発言が, 理想的なエネルギーの あり方に終始するかもしれません。そのような場合は,

より現実的な考えをもっ子どもの発言を意図的に取り あげたり, 注目させたりします。 また, 7眠気の供給者 に話が及んだ場合は, 自治体でうまくL、かなかった例

AUd nγhu

(12)

の資料や映像を準備しておき, 子どもたちに提示しよ うと考えています。 このような手だてによって, より 現実性を考慮、し, 子どもたちは自分の考えを深めなが ら, 以下のように対話していくことでしょう。

l -再生可能エネルギーはょいと思うが, 高い電気料 金の電力会社は選ばないのが一般的だろう

・ 持続可能性を重視するのであれば料金が高くても 仕方がない。 再生可能エネルギーを選択する人が 多くなれば, 開発が進み, 将来的に安くなる :

・ 電気の供給者は大手の電力会社にすべきだ。 より 安価で安定した電気を供給するには, それなりの 設備やしくみが必要でユあり, 現実的な選択だろう .環境保全という点で再生可能エネルギーは優れて いると思っていたが, メガソーラーなどの大きな 発電施設を建設するために森を切りひらくのは,

矛盾している

-住民が議論もせずに, エネルギーを地域で創ると いうのは危険かもしれなし、。 きっとそれぞれの地 域にあった発電方法がある。 自治体の住民がもっ : とエネルギーについて考えて議論すべきかもしれ

ない

など

子どもたちの対話により, 様々な視点や立場から,

これからの日本のエネルギーのあり方についての考え が深まったところで, 最終的な 自分の考えをまとめる ように促します。 また, 疑問点や今後さらに追求した いことを併せて記述するようなげかけ, 授業を閉じま す。

-ほとんど資源のない日本だからこそ, 一つの資源 に頼らずに, バランスよく発電方法を振り分けて いかなければ, 世界情勢で何か問題が起こったと きに, 電気が供給されなくなるのかもしれなし、。

しかし, どの発電方法を選択するのかは, 電気の 使用者である私たちが正しく判断してし、く必要が あることがわかった。 原子力発電を稼働させ, 火t 力発電の依存を減らし, 再生可能エネルギーの割 合を増やしていくのが現実的で持続可能なエネル ギーのあり方である。 原子力発電の安全性や必要 性をもっと訴えて, 国民や住民の理解を得ること が急がれる。 その過程を経ずしての再稼働は賛成 できなL、。 まずは家族で, どのような電力を選択 していくか話し合いたい

・電気を創り出すのも, 使用するのも私たちである;

ということがこれからのエネルギーのあり方だろ;

う。 大規模に電気を供給する方法は, 人口減少がJ 見込まれる日本には合っていないだろう。 再生可:

能エネルギーを用いた地域に合った発電方法を,

自治体と住民や地方の企業が協力し合って考えて:

いくべきだ。 国民や住民一人一人が, もっと本気e でエネルギーについて考えていかねばならない。

私は, 静岡市に適したエネルギーのあり方を見つ けていきたい

・ 発電方法のバランスだけに注目してどのようにベ ストミックスさせるかという議論だけが日本のエ ネルギー問題を解決するための議論ではなし、。 発,

電方法(原子力 ・火力 ・再生可能エネルギー ・水 力など), 供給者(国 ・地域の電力会社・ 新電力 会社・個人など),どのように電力を使用するか(省 エネと豊かな生活)などの様々な視点や立場を総 動員して考えてL、かなければ日本のエネルギー問 題は解決に至らないだろう

など

ハU nd

参照

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