長崎大学工学部研究報告第1
1号 昭和5
3年
7月
97粘性土の弾塑性・応力ヒズミ関係について
一 ー そ の
1増分関係の定式化一一一
棚 橋 由 彦 *. 内 藤 秀 信 * *
On an ElastかplasticStress‑Strain Relationship of the Cohesive Soi1s (Part. 1)
by
Yoshihiko TANABASHI
(Department of Civil Engineering)
Hidenobu NAITO
(Graduate 8tudent
,
Department of Civil Engineering)One of the authors proposed in the previous paper (
1 ) an i
ncremental stress‑strain relationship in terms of the tensor considering the subsequent anisotropy of a 8and, which can evaluate the dilatancy characteristics under multi‑axial stress condition with the rotation of the principal stress axis. But it neglected the effect of time‑dependancy and the inf 1
uence of the stress histories on the stress‑strain behaviour of soils.In this paper Part.
1
, the authors attempt to apply it to the cohesive soils, which contain more significant practical problems than 8ands. However,
it cannot be applied to the cohesive soils a pliori, because the deformation of the cohesive soils is time‑dependant, and is large1y inf 1
uenced by the stress histories.80, as a first step to the development of the constitutive equation of the cohesive soils, an elasto・plastic incremental stress‑strain relationship is derived by considering them as strain‑ hardening materials not only for shear but for compression
,
by admi比t抗出ting the well.去nown 1deformation characteristics reported by many investigators.
In next paper Part. rr
,
the examination of the postulates used to derive the incremental relationship in sec. 3 will be carried out,
from the results of both repeated isotropic consol .
tests and repeated mean principal stress const. tests for Ariake Clay. And the verification of the incremental relationship wiU be done by the comparison of both ca1 c
ulated and observed stress‑strain behaviours of Ariake Clay experienced some stress histories.1.
まえがき
著者らは地盤の変形解析に土質材料のもっているダ イレタンシー特性を適確に反映させるべく一連の研究 を行なっている.その主旨は負荷をうけて生じる土の 昭和5
3年
5月
13日受理
*土木工学科
**土木工学専攻修士課程
後発異方性を評価することにより,土のダイレタンシ
ー特性を表現しようとするものである.ここに後発の
異方性を呈すると大幅に増えるフレキシピリティーを
室内実験でどのように評価するか,また地盤の変形解
98 粘性土の弾塑性・応力とズミ関係について
析に必要な応力・ヒズミ・テンソルの増分関係をいか にして誘導するかが問題となる.砂に関しては上記の.
問題を解決し,地盤の変形解析も含めて既に報告した ω(2).本報告は同様の考え方を,工学的により重票餐、
粘性土への適用について考察したものである.
粘性土の構成関係には,砂では近似的に無視すると とができた応力履歴の影響と時間依存性について考慮 しなければならない.
本報告では粘性土地盤の変形解析への第一段階とし て,粘性土を圧密・セン断に対するヒズミ硬化体とみ なして,応力履歴の影響を考慮した弾塑性・有効応力 ヒズミ増分関係の定式化を試みた.
2.弾塑性応力ヒズミ増分関係
応力・ヒズミを球テンソルの1次不変量と偏差テン ソルの2次不変量で評価していく正八面体応力ヒズミ 理論(3)の立場からは,ヒズミを弾・塑性成分に分ける と,体積ヒズミ増分伽,正八面セン断ヒズミ増分4γ は次式で表わせる.
〔1;〕一〔釘+〔1;〕lr〔寄1了
+〔1;1〕6+〔審1〕カ+〔篇〕〃 (・)
ここに伽,6γは文献(1)においてそれぞれd吻,
4γ。。 と称していたが,本報告ではサフィックスの繁
雑さを避けるために以下伽,4γで表わす.(1拭の サフィックス6,4はそれぞれ平均有効応力増分の
(=4σ翅ノω),正八面体セン断応力増分4g(=4τ。。 ω)
により生じるヒズミ増分を意味し,上サフィックスε,
ρはヒズミの弾・塑性成分を意味する.なお本報告を 通して;応力は全て有効応力の意味で用い,圧縮応力
・収縮ヒズミをともに正と約束する.
(1)式中の4γ・は著者らがディストーション項と名 付けるもので,4ρにより生じる正八面体セン断ヒズ
ミ増分壷意味する.砂に関して,4γ。βの存在はEレ Sohby( )やParkin(5)らにより報告されているが,4γ〜
に関する報告は著者らの知る限りでは皆無である.
d7。飼γ〜が,『ダイレタンシ増分4蟻酵に比べ
て無視できるものとみなせば,後発異方性を考慮した 正八面体応力ヒズミ増分関係は②式で与えられる.弾性ヒズミの増分関係は
6 θ
〔ll〕一〔餓〕・〔劣〕
塑性ヒズミの増分関係は
〔ll〕ρ一〔浄§ゴ〔窃〕
(2)1
(2)2
全ヒズミの増分関係は
〔1;〕一〔鋤・〔劣〕 (2冶
(1),(2)式からただちに③式が導ける.
〔8c34083〕一〔餓丁+〔濃〕㌔)
ここに86,86,8sはそれぞれ圧縮による体積ヒ
ズミ,ダイレタンシー,正八面体セン断ヒズミ各増分 のフレキシビリティーであり,上サフィックスθはそ のうちの弾性成分に関するもの,上サフィックスρは 塑性成分に関するもの,サフィックスなしは全ヒズミ 増分に関するフレキシビリティーを意味している.②式に与えた正八面体増分関係から応力ヒズミテン ソルの増分関係の誘導は文献(1)に詳しいが,その概略 は次のようである.i)正八面体面上の諸量が不変量で あることを利用し,②式から軸対称の2つの径路(圧 縮,伸張)の増分関係を導びく.ii)一般的な主応力
・主ヒズミの増分関係は先の2つの軸対称の増分関係 を包含していなければならない条件から主応力・主ヒ ズミの増分関係を得る.iii)最後に,線形異方弾性材 料のフレキシビリティーとのアナロジーを仮定して,
テンソルの増分関係に拡張する.上述の誘導の結果,
主応力増分軸(κ プが軸)が回転しない場合のテ
ンソルの増分関係は次式で与えられる.〆雛i縷〕縢1〕
薦〕
2(C22−C23) 0 0 0 2(()33一()31) 0
0 0 2(elrC12)
C11・={(Sc十38s)十》万84}/9,
C22= (80十3εs)/9,
()33={(β o 十38s)一》百84}/9,
C23一{(28・一38・)一2》歪一84}/18 C31={(2So−38s)十2》万β4}/18
()12=(280 −3β ε)/18
麟〕
(4)1
(4)2
(4>式は全ヒズミテンソルの増分関係であり,(4}2の
80,34,3sを8cθ,8誤8』θ,または8〜,8!,
S〜で置き換えると,(4)1はそれぞれ弾性,塑性ヒズ ミテンソルの増分関係となる.
②1式は弾性ヒズミの増分関係だから,応力履歴,
時間依存性に無関係に全応力平面上で成り立つ.いい かえれば弾性ヒズミ増分のフレキシビリティーS。θ,
棚橋由彦。.内藤秀信
998!,85θは状態量(例えば,間隙比8,現在の応力状 態σかなど)のみの関数で与えられる.
一方(2)2式に示した増分関係は塑性ヒズミに関する ものであり,応力履歴の影響や,時聞依存性は全て,
塑性ヒズミ増分関係②2式が受け持つ.このことは,
塑性ヒズミ増分のフレキシビリティー3〜,8ノ,8〜
が,状態量の他に,応力履歴∫4吻(またはヒズミ履 歴∫4鋤)と時間孟の関数で与えられることを意味し そいる.ただし,本報告においては時間孟は考慮せず,
今後の課題として残しておく.
5.弾・塑性フレキシビリティーの決定
②,(4)式にそれぞれ弾性・塑性・全ヒズミに関する 正八面体面上,あるいはテンソル表示の増分関係が与 えられたが,次にその係数行列の成分,すなわちフレ キシビリティーの関数形の具体的な決定方法を示さね ばならない.工学的な見地からは,できるだけ簡単な 試験機,数少ない径路,短かい時聞,簡単なデータ処 蓮で全てのフレキシビリティーを決定できることが望 まれる.この観点に立って従来報告されている粘性土 の変形特性を背景として,弾塑性フレキシビリティー の関数形の定式化およびそれに用いる土質定数の実験 による決定方法について考察する.(2)式から明らかな
ように,繰り返し等方圧密試験(49=OTest)から
一8θ,8ρ,8が,繰り返し平均主応カー定試験(4ρ寓0じ リ
ニ
Test)から3浜8塾84および8ξ,88,興が決
定できそうである.
i)8雲,82,8c
例えば液性限界以上の含水比で練り返した飽和粘土 に窃の圧力で先行等方圧密し,その後Fig.1(a)の 径路の繰り返し等方圧密試験を行なったとしよう.こ のときθ〜10gρ関係を図示すると,一般にFig.1(b)
のようになるといわれている.すなわち,i)処女載 荷時(12,45,78)のθ〜Zogρ関係は,ほぼ直線で 近似できる〔正規圧密線〕.ii)除荷時(230γ56).
再載荷時(34,67)のθ〜10gρ関係は,図にみられ るわずかなヒステリシスループを描くが,このヒステ リシスを無視してそのループの中線で近似できる〔膨 潤線〕.iii)各膨潤線は,互いに平行である.したがっ てFig.1(b)はFig.1(c)のように近似できる。
なお正規圧密線,膨潤線の勾配はそれぞれ圧縮指数 C。,膨潤指数Csと呼称されている.正規正翌年18
は,圧縮による全体積ヒズミ増分の特性を,膨潤線34,67は圧縮による弾性体積ヒズミ増分伽雲の特性を示
している.
上記の事情を式により展開すればFig.1(c)を参
q
0
el
e
・6
7
(α)
@ 8 3
1P{ 2Pl
P艶
P3 P
1
3ドー 24
:
コ6・一一___
1 { 葦 {
57
(b)
8
Φ
,9
も
』
コ
◎
〉・
Pt P1
1 {e PJ
l 1
P2 P3
10916P
(c)
3 1
2み
61 e4P 〜
⊂§、
Cc
5,7
8
ゆi・P∬ P2meαn priりcipql stress (IOすSCGte)
Fig.1
(a) Stress path (b) e409 P relationship (c)
Cs)
考にして,
P3 togl。P
Repeated Isotropic Comp. Test
On the soil constantsλandκ(Co and
正規圧密線18に対して,次式が成り立つ.
θ一θf=一Co lo9(ρ/ρの
=一〇.435C61n(ρ/ρの (α)
膨潤線67に対して
θ一θ6=一CS 109 (ρ/ρゴ)1
==一〇.435Cs ln (ρ/ρ∫) (b)
Roscoe, Burlandら(6)の用いた記号にならい λ=0.435Cc,κ=0.435Cs (5)
とおき,(a),(b)両三の微分をとれば,
4θ=一λ・ゆ/ρ,4ε=一κ・4ρ/ρ (c)
いま,圧縮ヒズミを正と約束しているから,吻=0に おける体積ヒズミ増分伽。と間隙比増分4θとの関係
100 粘性土の弾塑性・応力ヒズミ関係について
は次式で示される.
.2、ぺ.」. 「:
4のヒ1≒(一4θ)/(1十θ) (d)
ただし・くP)の第2式は膨渾線 (b)式の増分関係だ
から・こめ式の4・・は④鵡介レて・4rcθと結び
つけちれる.したが.うて(d) 式に(c)の②式を代入 すれば次の増分関係を得る.砺一鞭・麺酷f≒参吻(・)
②,(3)式と(e)式から圧縮による体積ヒズミ増分の フレキシビリティー8。,866,3〜は,(6)式で与之ら
れる.
・ズ 1 8・一点g≒o/の一面・/の「π●万 κ 1
3、θ=⑳・i吻一〇/ゆ=4・,θ/ゆ「:π ア
λ一κ 1 8・ρ=80−8θ=
へ 1+θρc o
(6)
ii)8洛8『,84
次にPしで先行等方圧密された飽和粘土に,応力制
御,排水条件でFig.2(a)に示す径路の繰り返し平 均主応カー定試験(ゆ=OTest)を行なう.このとき の体積ヒズミ,すなわちダイレタンシー⑳4は間隙比 に関係なく,正八面体応力比η=g/ρにより一義的に規定され,しかもηの1次式で表わせることが,
柴田ωにより報告されている.以来,種々の粘性土に 対してこの関係は確かめられている(8x9).
ダイレタンシーは本来土の非可逆的な変形に伴ない 生じるものとされて㌣・るかう2靱『34の除荷・再載荷時 のり4一η関係の勾配4ザ/吻.はほぼゼロになり,
Fig.2(b)のように近似してよいものと思われる.
事実,平均主応カー定試験(の=OTest)における弾 性抹積ヒズミ増分4り!を無視している例は多い(6)㈹.
婦一〇 L(f)
を認め,Fig.2(b)から呪一η関係の勾配を
4昭/吻=μとおくとダイレタンシー増分は次式で表 わせる.4・4一回忌一点層伽!一〇 . (9)
一方η一g/ρより,ηの全微分をとると
4η=(一ηゆ+49)/ρ (7)
上式にの一〇を代入するとの=OTestにおける吻
は4g/ρとなり,これを(g)式に代入し,次式を得る.
4・4−4ザー(μ/ρ)・4弘曜ま。 (h)
②,㈲式と(h)式から,ダイレタンシー増分のフレ キシビリティ遍厚,身,34が,、(8)式で与えられる.
q
2
(ω 1
5ず
4
3 0 PしP
雪
ご
9
こ⊇
u
4
25
3
年
£
2
沼 豊 蕊 遵
Bエ
2 8
1
0
1 μ
(b)
ノ
/
/
! ノ
よもh。dピd。t陀ss照ti。々 卜5
2∠
z 1
3z
砧P
翻e
(c♪−
octαhedru! she(1r strQin 6d
ぐ
£9M。
紛
2
筋 セ 看
9
0pl・stl・st旧i・i…emg・t耐i・d叱シdびdp Fig.2Repeated Mean PrincIpaI Stress Const.
Test
(a) Stress path
(b) Relationship between dilatancyの4 and ocセahedral stress ratioη;On the soil constant μ
(c) Relationship between octahedral shear strainγ4 and stress ratioη;On the soil constantレ
(d) Stress−dilatancy plott;On the soil con−
stants 2レ1b and 2>b
8『一4・ρ14ρ一・/吻一婦/49一μノ♪
84−4り1の霜。/49=伽4/49=μ/ρ 8!一伽引4ρ一〇/49−4り!/49=o
(8)
iii)興θ,8〜,8s昌
砂,粘土を問わず,土質材料の変形特性を示す最も 基本的な式としてRoweO1)が等径の球の規則配置につ
棚橋由彦・内藤秀信 101
いて得られた関係式にエネルギー比最小原理を適用し て理論的に導いたストレス・ダイレタンシ一式(i)が
ある.
舞一・…(45・+塾μ)(・+器)(i)
ここにφμは粒子間摩擦角であり,σ2一σ3,4ε2=4ε3 である.ストレス・ダイレタンシー式とは,塑性ヒズ
ミ増分比と応力比の間に存在する1次式の関係をいい,
Rowe以後も,Schofieldら㈱,松岡㈲, Frydmanら㈹
により,種々の形で提案されている.
例えばFrydmanらは,粒状体(砂・ガラスビーズ
etc)に関して正八面体面上でのエネルギー釣り合い式から・の=OTestにおけ属正八面体面上の塑性ヒズ ミ増分上溝ノ/吻2と応力比ηが1次式で表わせる
(j)式を与えた.
2 4ザ
7=tanφμ一丁4γr (j)
Frydmanは,(j)式を導びくに際し,応力・ヒズミ増 分の軸対称条件を仮定している.しかも (」)式は,
粒子間摩擦角φμを含んでおり,もともと粒状体に対 して導かれたものであり,粘性土へそめまま適用でき るものではない.
したがって,粘性土の場合は,実験定数として,(j)
式のtanφμのかわりに.Mo,2/3のかわりにNoと
おくと(k)式で与えられる.η一理・一珊(4・!/4γ『) (k)
(k)式に(g)式に与えた4嬬を代入し,4γ!で整理 して(1)式を得る.
47r一丁▽÷吻. (1)
一方,繰り返し平均主応カー定試験結果(Fig.2(c)
参照)から,全セン断ヒズミ74と応力比ηの関係を
プロットすれば,電荷時(23)・再載荷時(瓢)のη 一γ4関係に,Fig・2(c)に示すわずかなヒステリシ スループを描く.等方圧密試験と同様,その中線でも って,近似すればその勾配レは,次式で表わせること が図より明らかである.吻/4γ!一1/・
4ρ一〇のとき吻=4g/ρより,吻!は上式より(m)
式となる.
4γ!一(り/ρ)・49 (m)
②,㈲式と(1),(m)式から,正八面体セン断ヒズ ミ増分のフレキシビリティー興θ,5〜,8、は次式で 与えられる.
角ρ一47・圓4・一4・2/4・「器,・一夢
レ
β塔ニ=4γθ@i41》一〇/49=4761/6♂9==一】6一一 (9)
餌づ〜+二一( 瓦。・μり十 ハ猛0一η)÷
ここに実験定数1臨,!>bは平均主応カー定試験結果 をFig.2(d)のようにプロットしたときの切片と勾 配で決定できる.
以上の考察から明らかなように,繰り返し等方圧密 試験からFig.1(b)のプロットにより,λ,κの2つ,
繰り返し平均主応カー定試験からFig.2(b),.(c),
(d)のプロットによりり,μ,,Mo, Noの4つの実験 定数が得られる.
iv) 具体的な粘性土の増分関係
(6),(8),(9)式に与えたフレキシビリティーを(2)式に 代入すると粘性土の具体的な正八面体増分関係が,ま
た(4)式に代入すれば,応力ヒズミテンソルの増分関係 が与えられる.正八面体増分関係のみを示すと次のよ
うである.
弾性ヒズミの増分関係は,
[1ゴー参[誉
1〕[甥〕塑性ヒズミの増分関係は,
[1ゴー参[キ1礁〕[劣〕⑩
全ヒズミの増分関係は,
[ll〕一去論断〕〔劣〕
4.応力履歴の考慮
まず一般的な論議としてヒズミ硬化体の癒力空聞に おける降伏曲面(降伏条件式)は次式で与えられる㈲.
∫(σげブ)=メ。
ここに∫は降伏関数であり,応力σガの関数で与え られる.ゐは一般には応力(またはヒズミ)履歴の
影響をうけ定数ではない.七ズミ硬化体では,降伏関数∫が
∫=!:c, カ〉つ 4ブ>0
を満足するとき降伏が生じる.
また∫が
ノ<∫c,またはの気(0
を満足するとき降伏は生じず弾性ヒズミのみ生じる.
応力空間で現在の降伏曲面の外側の応力点には塑性ヒ ズミを伴なわなければ到達できず,その内側応力点に は弾性ヒズミのみで到達できる.
102 粘性土の弾塑性・応力ヒズミ関係について
砂の場合には,文献(1)に示したように降伏関数∫と
して正八面体応力比ηをとり,んとしてη67なる初
期間隙比εoのみで決まる定数とした.すなわち砂で は応力履歴によらない降伏曲面η=η67が存在したが,粘性土の場合には,負荷の初期の段階から,弾性ヒズ ミと塑性ヒズミが共存しており,状態量のみで決まる 降伏曲面をもたない.しかも,Fig.1(c), Fig.2(b),
(c)は粘性土の場合,セン断に対してだけでなく,圧 密に対してもヒズミ硬化体として扱かえることを示し ている.したがって,粘性土の場合には,(n)式のよ うに圧密に対する降伏条件式と,セン断に対する降伏 条件式を別々に規定するのが,正八面体応力ヒズミ理 論の立場からみても合理的であると考えられる.
圧密に対する降伏条件式 :∫ξ=∫6ξ (n)
セン断に対する降伏条件式:ん=∫・η
それでは,それぞれの降伏関数として何を選ぶか,パ ラメーターんξ,!ヒηとして何を採用するかが問題とな
る.
Fig・2(b),(c)に示したようにダイレタンシー,
正八面体セン断ヒズミともにηにより規定されること からも,セン断に対する降伏関数∫ηとしては正八面 体応力比ηが適当であろう.一方圧密に対する降伏関
数たとしては圧縮による体積ヒズミリ。が平均主応 力ρにより規定されるから,pを採用するのが妥当 であろう.なおんが正八面体応力比ηなる無次元量
だから,無次元量で統一する意味から,ρを静水圧の 基準量;大気圧ρo−1晦/(涜で除した値,ξ一ρ/Poを 用いる.∫ξ==ξ, ∫η =η (o)
結局,圧密・セン断に関する降伏関数は,(o)式で
与えられる.数理塑性論ではみは一般に塑性仕事
∫4吻の関数とされるようだが,本報告は異方増分関 係を用いるため一般には主応力軸と塑性主ヒズミ増分 軸が一致しないので塑性仕事の計算が困難である.
したがって本報告では,んξ,んηは応力履歴のみの 関数とし,次式を採用する.
メ。ξ=ξ祝,ノ㌔η=η〃z (P)
ここにξ祝,物は,応力履歴により,ξ窺ρ/ρo,
η=g/ρの現在までに経験した最大値である.粘性土 の具体的な降伏条件式は,(o),(p)両式から(11)式で 与えられる.
圧密に対する降伏条件式 ; ξ=ξ彿 (11)
セン断に対する降伏条件式; η一物
現在の応力状態を(ξ,η)とすると,圧密に対して はξ一ξ〃z,かつ4ξ>0のとき降伏が生じる♂すなわ
ち,圧縮による体積ヒズミ増分4確=S2・4ρが生じ
る.一方,ξ<ξ卿または4ξ<0のときには,降伏は
生じず4確=0;82=0となる.同様にしてセン断 に対してもη一雨かつ4η>0のとき,降伏が生じ
る.すなわち,塑性ダイレタンシー増分伽多=8多・4ρ,塑性正八面体セン断ヒズミ増分4γ多一82・吻が生じる.
一方η<物,または4η〈0のとき,伽多=47多=0;
8多=32=0となる.
上記の事情を(ξ,η)平面を用いて,模式的に示す と,Fig.3のようである.
やB
£ 巨 沼
£
2
9
冨
・量
8
0m…p・i・・ipd・t・e,…ti・琴A
Fig.3 Current Yield Locus on the Stress R盃tio plane(ξ,η)
ク・クm 2
P(ξ,々)
@ 、 q)(i勧佑)
S(ξ暁?
P5護m
}
粘土が初期の応力状態PO(ξ0,η0)から,負荷を
うけて図中Po→1→2→Pなる径路をたどり現在の応
力状態ρ(ξ,η)になったとしよう.このとき,この履歴によりξ吻は点1で,物は点2で経験しており,
したがって現在の降伏曲線は,(ξ,η)平面上□0オ8お で表わされる.ただし,沼3(ξ一ξ解)が圧密に対する 現在の降伏曲線,B8(η=伽)がセン断に対する現在 の降伏曲線である.
さて,現在の応力状態を示す点P (ξ,η)のとり得 る範囲は,その定義からξ〈ξ翅,η<伽より i)隅 角8と一致する場合,ii)オ8上, iii)B8「上, iv)〔コ 0・481Bの内部にある場合の4通りである.
従来,土質工学では正規圧密,過圧密なる用語は,
一次元圧密における過去と現在の軸方向応力σgの大
小関係で定義されてきた.すなわち,過去のσgの最大値σg〃zが現在のσgと 等しければ正規圧密状態,σgくσg〃3ならば過圧密状 態という.しかし,本研究の立場からは,圧密,セン 断に対しy次のような新たな定義を与えるあが望まし い.以後,次のように用語を定義する.
それぞれ正規圧密状態はξ=ξ〃z,過圧密状態は・
ξくξ翅,正規セン断状態はη=物,過セン断状態は
η<伽なる応力状態を意味するものとする.したが
って,例えば,正規圧密・過セン断状態とはξ=ξ吻,andη<伽なる応力状態であり, Fig・3に則してい
棚橋、由彦・内藤秀信
103Table−1
case
.cu:rτentstreSS condition
naming of the conditioR ・(a)
ib)
kc)
bd)
ξ=
フ=
フく フく
1ξ1n and Dξ皿 and フ皿1 a筑d フln 哉nd
h= ηm 氏メ@ηm ナ= ηm ナ〈 ηm
●
獅盾窒高≠撃撃凵│consolidated a夏d no密mally−sheared
獅盾窒高≠撃撃凵│co夏solidated and oveτ一sheaτe尋 ρ ,over−co並solidateζ and nor皿ally−sheared
盾魔・秩│consolidated and over−sheared
えぱ,現在の応力点P(ξ,η)が沼8上にある場合
にあたる.表にまとめてみると,Table−1となる.次に,現在の応力状態点P(ξ,η)から,新たなる 負荷増分により生じる応力増分4σ行より計算される 応力比増分4ξ,4ηの正負の組み合わせとして,やは り,Fig、4(a), Table−2に示すように,圧密・セン 断に対する負荷・高言過程の組み合わせとして4通り が考えられる..
なお,参考のためにFig.4(b)に正八面体応力平面
や
.9
肩
総
£.
2 9
召 も
な…
茄ン冒1ξ8
_函L■■胴■__ _ _ _
(Q).
i)冒1;8
{ )諜8
P(〜、?)
iv)冒1ζ8
Table−2
case ・ig・・f.毛he stre・s f。r c。mpression for s.hear ratio incrle皿ents
一i竃) dξンO and dn>0 ● 10ading 10ad加g
冒 陰
f(ll〕 dξ・0 and dn.>0. unloading ,・盾≠р演N9
.亀● ,
f㈹ ,@ GрX・・O aRddnく0. un1。aヨing ●
{iヒ). .lg・di喚9 Unloading
(ρ,g)上の応力増分との対応を示しておく.
Table−1に示したcase(a)〜(d)とTable−2に.示 したcase i)〜iv).の組合せ16 caseに対する塑性ヒ ズミ増分もしくは,塑性フレキシビリティーのゼロ,
ノンゼロの条件としてはTable−3に示した4通り.の case 2>:N;NZ, ZN, ZZが考えられる1
OmeQn principd獣ress rぐ1tIoヨ
σ
ω 醜き
辺
8
物 種
B
看・9
(b)
●D
/
//イ.循(Rq).
iレ)
Table−3
ii)
● //
//
// i)
!
omeαn principd stress p
Fig.4 Stress Increments
(a) on the stress ratio Plane (ξ,η)
(b) on the octahedral stress plane (P,9)
case
,kD
曹c● ■ 0 7● ●〔IV)(a〕
ib〕
ic)
id)
NN
mZ yN yZZN yZ yN
嘯
ZZ D ZZ
@ ZZ
@ ZZ
NZ mZ yZ yZ
Table−3に示したcase N瓦1>Z, Z〜V:, ZZに対応
『する塑性ヒズミ増分,全ヒズミ増分のフレキシビリテ ィーをまとめて,Table−4に示す.
Table71〜4を用いて現在の応力状態(ξ,η)、と,現 在までの応力履歴(ξ勉,η〃z)から次の応力増分(4ξ,
4η)が生じる.とき,用いるべき塑性ヒズミ,全ヒ.ズ ミ増分のフレキシビリティーが決定され,それを(4)2 式に代入することにより,塑1生ヒズミ,全ヒズミテン ソルの増分関係が与えられる.
例えば,過圧密,正規セン断状態(ξ<ξ粥andη≒
η勉)で,応力比増分がFig.4のP点を原点として
第2象限(4ξ<Oand 4η>0)にある場合, Table−1 のcase(c),Table−2のcase(ii)にあたる. Table−3,4を用いフレキシビリティーは,dase ZNすなわち
&「無÷34一多三三( No・μり十 輪一η)
104 粘性土の弾塑性・応カヒズミ関係について
Table−4
ca.se
flexibilities of・the
皿at・i・spmatrix SeP
o1ζStiC St・ain incr・皿・nt・Scp
SdP,Ssp{slや1到 図無】−
N想
not ze:ro
@ ヤ0
not ze:ro
@ ≒0
λ一K
g∵ 鯨 Mo一丁
λ
P ⊥+e }匙
o・ノ・M讐1
NZ
not zero@ 蔑。zero
≠O
÷饗 ・「 o o り λ
P 1+e O
o O ソ
ZN
2:ero≠Onot zero
@ 戦0 、
一L O μP 」吐 ρ M・一々 κ 、
ロπ 替P・ソ・階
ZZ
zero
≠O
zero
≠O
0 0 P−P O O
κ
P 1+e O−P o ギ
であり,上式を(41式に代入して,全ヒぎミテンソルの 増分関係が求まる.(4)2式に代入すれば明らかなよう
に184≒0のとき,係数行列は非対称となりヒズミ
の応力径路依存性はいうまでもなく考慮されている.なお,弾性ヒズミテンソルの増分関係の係数行列は 対称でなければならないが,(1①式の第1式に与えた弾 性ヒズミ増分のフレキシビリティーε。θ=κ/(1十e)6ρ,
856=以ρ,8チ=0を(4)2式1こ代入すれば,
C・・一C22一ρ33一(8θ十38θ o s)/9
一( κ1十θ十3レ)・毒
C23=C31窺C12=(28θ一33θ)/18 6 ε
一(2κ 一3り1十θ)・毒
となり,弾性ヒズミテンソル増分関係の係数行列は確 かに対称行列となる.
したがって,Table−1〜4と(4)式を用いて,任意の 応力履歴をもつ,任意の応力径路下の粘性土の弾塑性 応力ヒズミ挙動を計算することができる.
5.あとがき
粘土地盤iの変形解析に適用可能な構成関係,すなわ ちテンソル表示の全応力・ヒズミ・時間関係の確立へ の第一毅階として,本報告においては正八面体応カヒ ズミ理論の立場から,粘性土を圧密・セン断に対する ヒズミ硬化体とみなし,弾塑性有効応力・ヒズミの増 分関係について考察した.
その結果,従来報告されている粘性土の変形特性,
例えばi)等方圧密におけるθ〜10gρ関係の直線性,
ii)ダイレタンシーと応力比の直線性, iii)ストレス
・ダイレタンシー式などを背景として,応力履歴を考 慮した粘性土の具体的な弾塑性の応力ヒズミテンソル 増分関係を定式化した.また増分関係に用いる6個の 土質定数λ,κ,μ,.ッ,」脇。,Noの室内試験による具 体的な決定方法査示し1た
現在翻粘土麟料として璋F・的(・)・Fi昏
2(a)に示しお繰り返しの等方圧密試験と車均主応カ
ー定試験,
ィよび種々の履歴をあたえた後,軸対称径
路の試験を行なっている.
次報において,試験結果から増分関係の定式化に際 し用いた種々の仮定の可否について検討していくと同
時に,3章に示した決定方法に従い,有明粘土の6個
の土質定数を求める.また種々の履歴を経た軸対称径 路に沿う弾塑性応力ヒズミ挙動を計算し,実測値との 比較により本報告において定式化した増分関係の検証 を行なう.謝. 辞「
末筆ながら,本研究をすすめるにあたり有益な御助 言を頂いた本学伊勢田着也教授,同落合英俊助教授に 感謝の意を表します.
二二三芳.・
1)棚橋:砂の後発異方性について一応力ヒズミテン ソルの異方増分関係;長崎大学工学部研究報告第10 号,PP.47−56,1月,1978
棚橋由彦・内藤秀信 105
2)棚橋・安部・伊勢田ひ土のダイレタンシー特性を
考慮したFEM非線形解析;長崎大学工学部研究
報告第10号,PP.57−65,1月,19783) 棚橋:不変量表示の応力ひずみ関係式一砂の場合 一;長崎大学工学部研究報告第6号,pp.103−112,
12月, 1975
4) El−Sohby. E. A and Andrawes. K. Z:Experi−
mental Examination of Sand Anisotropy;8th I.
C.S. M. F. E. vol.1, pp.103−109, Moscow,1973 5)Parkin. A. K, Gerrard. C. M and Willowghby.
D.R:Disccusion on Deformation of Sand in
Shear;proc. A. S. C. E., vol.94, No. SMI, pp。
336−340, 1968
6)Roscoe. K. H and Bdrland.」. B:On the Generalized Stress Strain・Behaviour of喝Wet Clay ;in Engineering Plasticity pp.535−610,
Cambridge Univ. Press,1968
7)柴田徹:粘土のダイレタンシーについて;京大防 災研年報第6号,pp.128−134,1958
8)例えば,安原・山内:異方圧密粘土の三軸圧密に
おける変形特性;土木学会論報,第246号,pp.
93−103, 2∫ヨ, 1976
9)安藤幹也:不変量表示の応力ヒズミ関係式一正
規圧密飽和粘土の場合一;長崎大学工学部土木工学 科,卒業研究論文,3月」197610) Frydman. S, Zeitlen.」. G and Alpan.1:The Yielding Behaviour gf Particulate Medla;Can−
adian Geotechnical Journal, voi.10, PP.341−362,
1973
11)Rowe. P. W:The Stress−Dilatancy Relation for Static Equilibrium of an Assembly of Parti−
cles in Contact;Proc. Roy. Soc. London, Se鵡 A,vol.269, pp.500−527,1962
12)Schofield. S and Wroth. P:Cam℃lay and the Critical State Concept;in Critical State Soil Mechanics, pp.134−164, McGraw−Hi11,1968
13)松岡元:せん断時の土の応カーひずみ関係につ いて一;京大防災研年報第15号B,pp.499−511
4月,197214)例えば,竜岡文夫:粒状体のセン断特性(1);
土質工学会,粒状体の力学研究委員会資料,Nα3,
11り弓, 1974