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陸上競技の効果的指導に関しての研究

著者 宮口 尚義

雑誌名 教科教育研究 │ 金沢大学教育学部

巻 12

ページ 51‑63

発行年 1979‑02‑28

URL http://hdl.handle.net/2297/23553

(2)

51

陸上競技の効果的指導に関しての研究

宮口 筒義

う。誰れでも苦しゑにうち勝ち,一つの苦行と もいうべき行程をなし遂げた喜びこそ真の喜び であり,満足感の湧くものである。

現実には,指導者の中には,走らせることの 苦痛を徴罰の代償として取扱い,運動場を何回 走れというような取扱をしている者のある限 り,陸上競技は苦痛以外に何物でもないかもし れない。これらは要するに指導者自身が,陸上 競技の本質を把握せず,しかも,指導方法や教 材の研究不足のため,教材に対する興味づけ や,動機づけの不足が大きな問題となっている のではないかと考えられる。

本稿は,これらの問題解決のために,従来行 なわれてきた指導法改良の動向を明らかにする とともに,現状をいろいろな角度から検討を加 え,陸上競技の本質をとらえ,教科体育の立場 として,そのねらいを正しく把握する中で,陸 上競技の運動学習を,より効果的に指導する方 法を提供しようとするものである。

〔はじめに〕

陸上競技の指導にあたっての教師の'悩糸は,

他の運動のように喜んで学習してくれないこと である。これまでも,このI悩承から抜け出し,

効果的な学習をするために,いろいろな指導方 法が生承出され,さらに改良を加えたわけであ るが,なぜ生徒達は喜んで学習をしないのだろ うか。

たしかに,陸上競技を嫌忌する理由のひとつ として,あまりにも各人の能力の限界がはっき りしていて,勝敗は最初からきまっているよう なもので,勝者は常に勝者であり,大多数のも のが常に敗者となるとの理由があげられる。

定.跳・投いずれにしても,陸上競技は他か らの力を借りることもなく,また何の手加減し なく,それぞれの能力差をはっきり表現するの がこの種目の特徴というべきものである。人々 はそれぞれの身長,体重差のあるものであり,

顔,形の異なるごとく,個体のもつ能力にも差 異のあることは当然のことで,各人がその当然 のことを知りながらも敢えて練習を積糸,努力 し,最善をつくして自己のもつ能力の限界の点 までを,いかに発揮するかというのが,そもそ も陸上競技のもつ本質的なものであろう。

また,走ること,跳ぶこと,投げることが素 朴な人間の基本的な運動形式であるだけに,興 味や技巧が比較的少なく,あとには苦しゑや,

疲労の承が残るように印象づけられている点で ある。42〃脇の道を疲労困腫して走り抜くマラソ ンは,単に苦痛との承は決して考えられない。

むしろ,苦痛の中にも興味津々たるもののある ことは,マラソン選手の承の知る境地である

〔I〕教材としての陸上競技の位置

体育の指導上の最も重要な着眼点は,誰れ が,どれだけ進歩したかであり,それが自然的 成長度のほかに,練習によってどれだけ進歩し たかを確かめることである。すなわち,体力,

技術,自主性,社会的態度など,体育の目標に 照らして評価することにある。とくに陸上競技 の学習指導の成果については,教師が個人個人 の体力の各要素において,また総合してどれだ け進歩したか,それが学習者のどのような態度 に基づいて獲得されたかまでを観察し,評価す ることが前提条件とされなければならないし,

それが容易に出来るところが陸上競技の特色で

(3)

52金沢大学教育学部教科教育研究 第12号昭和54年

屯ある。

さらに,陸上競技は,他の運動領域に対し て,基礎的役割を果たす立場にもある。疾走能 力や,跳躍力,投力は球技や格技・ダンスのス ピーディーな動きの中に生きるものであらねば ならないし,それらは,陸上競技によって,体 力の要素として高められているからである。同 時に他の運動種目の応用技術に対する基礎的技 術の立場をも占めていることにもなる。従って 陸上競技は,定・跳・投の大記録を生むことを 目指し,専門的体力や技術の向上の糸を目指す ものであってはならない。

つまり,短時間の授業で,いかにしてその望 ましい方向づけをしつつ,適宜な指導を加え,

より多くの質のよい練習を行わせるかという教 育技術にかかっていることになる。

いかに陸上競技の学習活動が個々の生徒達の 能力開発のために情熱的で,注意深く計画され たとしても,学習時間は急速に経過していくこ

とを知らねばならない。ややもすれば,教師の 教育技術は適確性を欠くことさえ生ずることも ある。理論を強調する余りに,練習の時間は短 縮されたり,指示や助言に必要以上の時間をか けることは,時には生徒から満足感を奪う結果 にもなりかねない。

陸上競技に長らく親しんできた人の多くは,

陸上競技は走・跳・役などの人間の基礎的運動 能力を高めることができ,また,体力を効果的 に高めることのできる領域で,学校体育におけ る運動教材の中核であると考えている。これと は反対に,陸上競技に理解の浅い人の中には,

定・跳・投など,陸上競技の動きの面だけに着 目して,これらの運動は,他のスポーツでもし ばしば行なわれているので,陸上競技という運 動教材は不可欠のしのではないと考えている人 も多いようである。このような考えの場合には 陸上競技を学校体育に取り入れるべき運動教材 全体の中に位置づけていないこと,換言すれ ば,その他の運動教材には見られない陸上競技 の特色を正しくとらえていないことから生じた 誤解が多く含まれていることになる。

教材としての陸上競技の特色を端的に指摘す るならば,第1に,人間の基礎的運動そのもの を競うスポーツとして位置づけることができ る。従って,歩く,走る,とぶ,投げる,など のほかに,挙げる,運ぶなどの運動も考えられ るが,これらをどのように運動教材,あるいは スポーツ化するかが一つの課題になると思われ る。第2には,人間の基礎的運動そのものの中 で,体力が最高度に,しかも効果的に発揮でき る技術を身につける運動教材として位置づける ことができる。

他の領域での定・跳・投などに用いられる技 術との違いはここにある。しかし,スポーツと

しての陸上競技に用いられている種目は,人間 の基礎的運動を体系的にとらえたものではない ところに問題がある。現行の陸上競技の教材に は定・跳・役などに関する基礎的運動技能の一 部が含まれているにすぎない。これからの学校 体育における陸上競技教材は,スポーツとして の陸上競技にこだわらないで,新しく理論体系 化されなければならない。このことが,陸上競 技を通しての効果的体力づくりにも連なってい

くことになろう。

第3には,歩・走・跳・役などの基礎となる 体力が最も効果的に高められる運動教材として 位置づけることができる。どの領域においても 技能の基礎としての体力づくりが重要である。

特に陸上競技では,よい記録を出すには,体力 そのものが決定的itR重要さを持つという特色,

体力づくりが,結果的に行なえる個人差に即し た運動負荷をかげやすいという特色が目立つ。

このような観点からは,陸上競技が技術づくり に片よることは陸上競技の教材特色を忘れたも のということができよう。

〔H〕教材としての扱い方

陸上競技の指導の考え方には,指導者それぞ

れの異なるところがあり,思想的にはまとまっ

ていないのが現状である。このことは,指導の

独自性から云々する意味においては意義あるも

のかもしれないが,陸上競技の場合,大別して

(4)

宮口・陸上競技の効果的指導に関しての研究

53

二つの考え方に分けられる。その一つは,「純

粋な陸上競技で占めていこう」という従来の復 活型であって,スポーツ中心の学習指導に対す る反抗であり,精神面の強調であろう。これに 対して他の一つは,「新らしい陸上競技を創造 していこう」という進歩型であり,新らしい教 育理念に即応して,面白く,喜ばれる陸上競技 である。これらの考え方には,それぞれの理由 があり,どちらがどうということは出来ないに しても,ただ単なる昔の繰り返えしであっては ならないし,また,新らしい陸上競技にして も,まず純粋な陸上競技について,しっかりし た考えを打ち立てて,その上に,発育,発達段 階に即して,目的に適応したものを創意工夫し ていく必要があろう。

とくに,前述した陸上競技を教材としてとり あげていく際の,根本的な問題点,即ちご体力 づくり=が主か,ご技術づくり=が主なねらい かについて十分検討する必要がある。

ねらいとする手段と,体力づくりを主なねらい とする手段に分けておくことは便利であるが,

それぞれの内容について指導者は,それぞれの ねらいと,実施上の着眼点を'慎重にわきまえて いく必要があろう。

.主として体力づくりをねらいとするならば,

体力づくりの着眼点を明らかにしておくとと もに,なるべく技術づくりも効果的にできる ように注意する。

.主として技術づくりをねらいとするならば,

技術づくりの着眼点を明らかにしておくとと もに,なるべく体力づくりも効果的にできる ような負荷のかけ方を工夫する。

このように,陸上競技を通して基礎体力を効 果的に養成するには,まず体力づくりを主なね らいとする手段をとり,体力づくりが効果的に できる負荷をかけるようにして実施しなければ ならない。体力づくりを補強運動に頼りすぎる 考え方には一般に次の二つの誤りが見かけられ る。その第1は,補強運動の処方にあたって技 術づくりを考えないという誤りであり,第2は 運動技術の全習法・分習法による手段を,技術 づくりの手段としての承位置づけるという誤り である。

以上,基礎的体力の養成が,効果的にできる 陸上競技の指導について,原則的な事柄を述べ たが,現場の指導において,このような事柄を ふまえ,実践的な研究を行うことが必要と思わ れる。

〔M〕教材としてのねらい

運動を通して養成される基礎体力の要素とし て,筋力・敏捷性・パワー・持久力・柔軟性・

調整力などをとりあげることができる。これら を高めることは,からだに着目すると,筋肉づ くり,内臓づくり,神経づくりなどをすること である。

運動を通して体力を効果的に高めるために は,諸要素に着目して,体力の効果に高められ る負荷をかけることが要求される。陸上競技専 門の指導者からも,よく,「1時間の授業の何 パーセントを体力づくりに使い,何パーセント を技術づくりに使うのがよいか」との質問にあ う。このような質問は,体力づくりの手段の中 では体力づくりが効果的にできないことを前提 として出されるものであろう。しかし,体力 は,体力の効果的に高められる負荷がかかって いれば養成されるのであって,用いる運動が,技 術づくりに効果的なものでもよいわけである。

このように考えてくると,陸上競技の指導に 用いられる練習手段として,技術づくりを主な

〔Ⅳ〕従来どのような指導がなされてきたか

(主に興味づけ指導について)

指導要領の中で,小・中・高校を通して,陸

上競技(陸上運動)のねらいを要約するなら

ば,「走・跳・投の能力は,各種スポーツの上

達や,体位の向上に不可欠な要素であり,この

基礎能力の養成が主なねらいとされ,それに加

えて,他の運動教材の場合にもふられるよう

な,精神的,社会的目標など……」があげられ

る。この目標のもとに,いろいろ創意し,工夫

して指導をしているが,直面する共通の問題は

(5)

第12号昭和54年 54金沢大学教育学部教科教育研究

ご生徒達が自発的な学習態度をもつことができ興味をもたないスタート練習や,スプリント練 ないので,効果があがらないご従ってご生徒達習の必要性を説き,練習させるという考え方。

に興味を持たせて指導することができれば,効(3)「発育・発達段階に応じて,生徒ができる 果があがるのではないか=ということにある。 範囲のことを与える」という方法で,正式な種 とくに興味づけの指導については,これまで目や,ルールも発達段階に応じて変化をもたせ 各方面の研究者や,現場の教師によって,種々る。(高さの変化,重さの変化,距離の変化な の角度から研讃を重ねてきたようであるが,几ど)いわゆる,リードアップとして工夫された そ次の5つに大別できるものと思われる。 ものである。

(1)「興味を高めるには,技術や能力の向上が (4)「余暇の活動や,行事と結びつけた指導」

必要である」という考え方から,フォームの徹で,これは,習得した技能を行事や余暇活動に 底,反復練習,また生理学や運動力学的な知識有効に役立たせるようにしくんだやり方で,行 を深めるとか,体力が伴なわなければ技術の練事や余暇の活動に対する興味を利用して練習を 習をしても無理だという考え方や,各種のトレさせるというやり方。

-ニング(インターバル・トレーニング,ウニ (5)「学習の集団や学習の形態の研究」で,グ イト・トレーニング)などの有効な練習法の研ループ学習の重要性を説き,等質や異質の学習 究などがなされてきた。また,競技を得点化す集団,班別やグループ学習,問題を発見し解決 るという立場から,記録の比較のしかたについする学習の形で,協力や社会性,計画性などを て得点制の採用,グループ全体の得点の合計で高める自発性や自由性を増そうとする考え方。

比べるなどの工夫が成されてきた。

(2)「興味をもつような種目を中心に指導を広以上のように,興味づけ指導方法の改良は成 げる」というやり方で,障害定,定高跳,リレされてきたにもかかわらず,いまだに興味をも

-競技,やり投げなど,生徒に人気のある種目って,自主的,意欲的な学習をする教材とはな を中心にとりあげ,基礎的・総合的体力を養っていないということは事実である。

い,その種目に対する興味を利用して,あまり

表(1)運動のすきな種目ときらいな種目%

ナヨ|洲い'章りた湊|葦,=言11=~妄|汕い'二,た雲|洲

手体操’31125.41291248 3.8112.0’4,1113.0

械I62119.6136120.6 5.0124.814.2124.0

上競技’112118」’1211164 49132.115.1123.1

技’6.118.91Ⅱ81821108115,’8.91130

技’34.7112129.111.6 32.1138126.815.0 ク種目’27011.5124810.2 30.111.1132.111.2

ンス’2814.718.0118.8 19,816.2112.5112.1

明’8.9110.6114.919.4 3.515.0’6.318.6

(6)

宮口・陸上競技の効果的指導に関しての研究

55

表(2) 陸上競技のすき・きらいの理由 %

|男

女子

記録の向上がはっきりわかるから 172 128

21相手との比較ができるから 8.0 17.1

す.きな理由

31自分のすきなようにできるから 9.6 11.7

41自分のすきな種目をえらべるから 12.4 98

51技術的にむづかしくたいから 1.2 2.8

|’

61運動の基礎であり体力づくりに役立つから 46 32

71その他 62 3.8

81不 40.8 48.8

自分の劣っているのがはっきり相手にわかるから 6.0 10.3

21技術が単純であり,体力で優劣がきまるから 9.1 11,8

きらいな理由

|’

31作戦やスリルがないから 8.8 7.4

41個人種目ゆえに,たがいに協力ができないから 9.0 69

51短時間に運動量を多く要するから 12.0 16.1

61ならわないとできないから 7.7 79

71その他 3.4 4.2

|’

81不 44.0 35.4

表(3) 陸上競技の種目で一番すきな種目

短距離走 11.0 9.8

リレ 17.4 20.4

障 害 定 15.4 132

走幅跳 12.1 13.6

走高跳 29.8 30.6

砲丸投 7.8 6.9

長距離走 6.5 5.5

(7)

第12号昭和54年 金沢大学教育学部教科教育研究

56

短距離走で一番たのしく感じたとき % 表(4)

女子

自分の記録が向上したとき 50.2 56.7 21相手と競争して勝ったとき 116 8.0 10.4 120 31負けたときでも自分で力を出しきったとき

4l思ったとおりのフォームで走れたとき 96 7.3

51相手にせりあって抜いたとき 9.1 7.8

61ピストルの合図で緊張するとき 5.4 5.8

71その他 3,7 28

短距離定で一番いやだと感じたとき % 表(5)

女子

練習しても記録が向上しないとき 33.2 28.6

21競争して負けたとき 184 22.2

3|苦しくてフォームが糸だれたとき 133 10.4

41スタートを失敗したとき 10.6 7.8

51全力で走れなかったとき 9.4 86

61からだが苦しくなったり,痛くなるとき 86 132

71その他 6.5 92

砲丸役がきらいだという理由

表(6)

女子

32.1 33.9

体力の差できまるから

21何回も投げるとつかれてくるから

20.4 220

31遠くへとばないのでおもしろくないから

11.9 9.8

103 112

41投げる要領がわからないから

1砲丸が鉄のためその感触がきらいだから 9.1 134

61動作が単純だから 107 6.9

5,5 28

71その他

・期日昭和51年11月

・対象市内高校(5校)男子148名・女子122名

(「陸上競技意識調査より」抽出したもの)

(宮口・山内・筒井の調査)

〔調査〕

(8)

宮口・陸上競技の効果的指導に関しての研究

57

そこで,陸上競技を効果的に指導するための

一資料を得るため,とくに,興味づけ指導の具 体的な資料として表(1)~表(6)を列挙した。

表(1)でもわかるように,体育の教材として扱 われている種目のうちで,陸上競技はあまり好 まれていない。とくに男子に比して女子生徒は 教材の中で最も=ぎらいごと回答している。

表(2)は陸上競技のごすぎ=,=きらい=を理 由づけした調査であるが,とくにごきらい=と している理由として,男子,女子生徒ともに

「短時間に運動量を要する」ことや,「技術的 に単純であり体力の差で優劣が決まる」などを 主な理由としている。

これらのことから,教材としての陸上競技で は,-体どのようなことが欠けているのだろう か。その一つは,体育における「運動」の位置 づけを手段として考えていることであり,その 二は,従来の運動における人間疎外の問題を究 明しなかった点にあるものと思われる。

さらにまた,人間疎外の問題として,たとえ どんなに必要なことがらでも,それが全ての生 徒達に平等に学習できるやり方でなかったり,

あるいはそれをやることにより誤った競争概念 が育てられるような要素を含んでいたのでは,

教材としての価値は全くなくなってしまうとい うことである。例えば,多くの生徒達に好まれ ているバレーボールにしても,9人制ルールは 誰もが平等に楽しく行なう機会が少ない。つま り,ポジションによって,つまらないところが あったりするので,攻撃したいとか,ポールに 多く触れたいなどという生徒達の欲求と一致し ない点を指摘することができる。ポールのあま りこない後衛をやりたがらない傾向にあること はわかるが,反対に後衛を好む者にとっての最 大の理由は「技術が下手だから」ポールのこな いところを,という極めて消極的な,ゆがめら れた形での希望であることは象のがせない。

「ルール上次方がない」「後衛という地味な働 きの大事さをわからせることも大切である」な どという苦しい弁解ではなしに,再度そのスポ ーツ自体に内蔵する問題を検討することが必要

であろう。

この根本的な矛盾の原因を解明しないままに

(表(1)参照,とくに陸上競技においては,かな りの者が好まないと答えている)ゲームを与 え,自発性や,正しい人間関係をつくり出そう としたため,現実にはゆがんだ形のグループ・

ワーク,換言すれば,技能のすぐれない者は見 過されるという結果に終ってしまうことにな

る。

表(4)(5)は陸上競技の最も基礎種目としての短 距離走を抽出したものであるが,「自分の記録 が向上したとき」に大きな喜びを感じているこ とがわかる。逆に,最も短距離走で嫌うことは

「練習しても記録が向上しないとき」と回答し

ている。

つまり,生徒達の頭は,タイムを縮めること でいっぱいであり,勝敗というよりも,自分の 記録向上に最大の関心を払っていることが明ら かである。このことについてさらに深めれば,

生徒の願いと,指導者の願いには相違があり,

それも,かなりかけはなれたものとして受けと めていく必要があろう。

生徒の喜びを高め,陸上競技という運動文化 を,すべての生徒に矛盾なく与え,人間性を育 てて行くことから考えれば尚更検討する必要が ある。

〔V〕陸上競技の効果的指導法の試案

①指導の形態について

教科体育としての授業では,一般に準備運動 から課題提出,主運動,問題解決(評価),整 理運動のパターンをとる。こうした一連の流れ を通して,生徒達のもつ運動技術の可能性を開 発して,身体的自信を持たせるとともに,運動 技術の持つ面白さ,楽しさを認識させていくも のである。興味性でも述べたごとく,とくに陸 上競技の指導では,この一連のパターンが平盤 で,形式的になり,スムーズに流れるものの,

どこにも盛り上がりがない授業形態におわって

しまうのが多い。いわば,授業という形式で公

規されたミショーニの演技としかゑられない。

(9)

第12号昭和54年 58金沢大学教育学部教科教育研究

ると思われる。第1は運動の負荷が生徒にとっ て十分満足されるものであること,第2は,技 や,力を伸ばしてやること,第3は,新しく発 見をして,問題を解決してやることになる。即 ち,「運動の過程」が「学習の過程」によって 裏打ちされていることが望ましい授業過程であ

ると思われる。

そこで生徒達の能力を高めるための本質的ねら いは変わらないにしても,指導者を指導の方法 を通して次の三つの型に分けることができるよ

うである。

(1)時間的な配分がうまく,生徒の動きの頻 度を十分考慮し,施設や用具を工夫し配置す る。いわゆる環境づくりのうまいタイプであ

り,管理的な指導のタイプ。

(2)教材に関する扱い方のミコツニをよく知 っており,教材に対する研究も十分であり,精 通しているタイプ。いわゆる運動の専門家,コ

ーチのタイプ。

(3)生徒の掌握がうまく,授業過程を作りあ げていくことが巧承であり,授業形態も演出的 で,司会者的能力をもつタイプ。運動の専門家 ではないが,生徒の創意や意欲を吸jZAあげる力 を有するタイプ。

このように,それぞれの指導者の特性によっ て分けることができるが,一般的に陸上競技の 授業の場合,多くは第2のタイプ,即ちコーチ 的(専門的)タイプが見られる。種目の特質か ら当然とも思われるが,興味性を重んじた指導 方法の改良から考えるならば,管理的タイプ,

演出的タイプの指導も今後とり入れていく必要 があるものと思われる。

③到達目標と到達基準について

陸上競技を指導する場合,最も能率的に学習 をすすめ,しかも効果をあげるために必要なも のとして,練習目標および到達基準の設定であ る。陸上競技の目標として,歩く,走る,跳ぶ

,投げることは各種運動の基礎となることは幾 度もふれてきたが,この基礎的な運動能力を養 うことが第1の目標であるが,この陸上競技を 行なうにあたって,個人競技としての運動とは 言え,集団が単位となって実施されるものであ ることから,そこには,対人的な関係が当然生 じてくる。従って,競争することによって養わ れなければならないスポーツマンシップが目標 として考えられるわけである。これが第2の目 標である。さらに,第3の目標としては激しい 身体活動をするうえにおいて,運動場面からく る危険に対して注意する態度や,習慣を養うこ とが考えられる。

また,走運動や,跳,役運動には,それぞれ の目標があるが,他の領域の運動と異って,そ の結果が数字であらわされるところに特色があ る。ここに記録の価値もまたあるわけである。

この記録の進歩は個人の体力により,また運動 する機会の多少により,年令によってそれぞれ の相違はあるが,しかしその相違なりに個人の 記録は進歩のバロメーターでもある。勿論陸上 競技の目標は記録の向上の糸ではない。たとえ ば,よい走り方,よい跳び方が,よい記録をつ くるための必要条件ではあるが,十分な条件と は言えない。従って,こうしたフォームづくり が,同時にできることも技能の面でおろそかに できないことになる。

現実には,このことが困難であり,一般に陸

②指導過程について

授業にはどの教科でも学習の過程がなければ ならない。教科としての体育ではさらに運動の 過程がそれに並存してくる。ところが,体育で はこれまで「運動の過程」だけを授業と考える 向きが強かったようである。効果的な授業をす すめるためにも,指導者は,「運動の過程」と

ともに「学習の過程」を含めて指導を考える必 要があろう。この両者がうまく融合されるよう に授業の構造を組糸立てていくことである。い わゆる'運動の中に有効な学習があり,学習そ のものが,いつも活発な運動によって支えられ

ていくということになろう。

したがって,前項の指導者のタイプとも関連

づけながら,次の三点をふまえておく必要があ

(10)

宮口・陸上競技の効果的指導に関しての研究

59

上競技は,生徒達にとって興味深いものは,フ生徒のどれだけがここまできたか二という反省 オームの良い悪いよりも,記録の進歩であるこの資料ともなるので,慎重な基準の設定と,扱 とは,当面,指導者の大きな'悩承となるようでい方をしなければならない。生徒達は,この到

ある。 達目標や基準によって意欲的な,自発的な学習

次に,実際の指導において問題となること活動を展開することが可能であろうし,学習結 は,「どこまで指導すればよいのか」というこ果のたしかめという点からも重要な役割をもつ とがあげられる。教材が年令相応の身体的発達&のである。ただし,体育教材としての基準の や,精神的発達から考えて,「どんなことを」場合には,その基準に到達する範囲を問題にし

「どんな方法で」「どこまで」ということがざなければならない。いわゆる範囲以下の者(基 らに問題になる。とくに,「どこで内容をおさ準に達しないもの)が少なく,範囲以上の者が えることがよいのか」については最も指導にあ多いほど望ましいということであって,ここで たり苦しむことであろう。しかし,実はこのこ問題になるのは,主として範囲以下について十 とが最も重要なことでもある。陸上競技は単な分なる検討をする必要があろう。たとえば,こ る記録だけではないことは勿論である。従っの到達範囲について「全員到達しなければなら て,到達目標としての技能(記録やフォームづない粋」としたり,「60%から70%の到達率で くり)それに,社会的態度などの習』慣の形成とあればよい」などの解釈がある。とくに陸上競 それぞれに基準が必要なわけでもあるが,他の技の場合,種目の特性から,これらの解釈には 領域と異なって,記録により,数字によって,かなり疑問も残るようである。たとえ60%~70 一応の目安が考えられるところに,この運動教%の到達率を打ち立ててゑても,種目によって 材の特色があるとも言えよう。’よ約20%の到達率しか示さないものもあること 故に,当然次の展開としてとりあげるべく評を考えると迷いは一層深まるだけである。ただ 価とも関連をもち,教師の立場からは,ご生「指導する」だけでは,一向にこの問題を解決 徒を何とかここまで二という指導の手がかりにすることにはならない。従って,撹導に当た して,また,指導的においては,=はたして,り,何か物差し的なものの必要さを感ずるわけ

表(7)体育専攻生100加走の結果□到達基準

人数%’段階%|人数%

357秒秒秒111

~11秒4

~11秒6

~11秒8

(35%)

(23)

(47)

324

10%

47

913秒秒秒122

~12秒O

~12秒2

~12秒4

(8.1

(8.1

(4,7

J,,774

21% 547%

12秒5~12秒6

12秒7~|函

12秒9~13秒0

(105 (128 (17.4

JJ一J

11

15 41%

135秒秒秒333

~13秒2

~13秒4

~13秒6

(9.3

(9.3

(7.0

JJ』886

39

22% 45.3%

13秒7~13秒8 2(2.3) 2%

S51~S53年男子学生(計86人)

(11)

第12号昭和54年 60金沢大学教育学部教科教育研究

小学校課程(個人運動)障害定の結果

表(8)

人数%|段階%|人数%

(1.7%)

(55)

4秒6~4秒7

4秒8~4秒9

5旧

72% 184

(8.9)

(19.5)

5秒O~5秒1

5秒2~5秒3

26

57 28.4% 628%

80(27.3)

---戸一一一一一一一一一一一一一一●

56(19.1)

5秒4~’5秒5

 ̄.■■--- ̄----'■■■■■l■■'■■,■■■■-- ̄ ̄ ̄-U■■,■■-- ̄bq--l■■-'■■--- ̄ ̄'■■'■■'■■'■■--●

5秒6~5秒7

46.4%

24(82)

16(55)

5秒8~5秒9

6秒0~6秒1

109 13.7%

37.2%

(31)

(1.4)

6秒2~6秒3 6秒4~6秒5

94

4.5%

.S51~S53年女子学生(計293人)

・低障害3台距離28m

体育専攻生砲丸役の結果 表(9)

人数%’段階%’人数%

(1.1%)

(22)

(3.3)

~11m10

~10,89

~10,69 10m90

10,70 10,50

23

6.6% 30

(55

(7.7 (13.2

JJ』

10,30~1077z49 1077L10~10m29

両5丁|~10噸09

57枢

33,0%

26.4%

JJ』(12.1

(9.9

(88

198

~9机89

~9m69

~9,49 9m70

9加50 977z30

30.8%

(99

(7.7

(66

7J』976

~9,29

~9,09

~8畑89 9m10

8,90 877170

70 242%

67%

(22

(44

(3.3

(22

JJJJ99996420m、、、

8888一一一一

00005319m加加、8887 2432

12.1%

.S51~S53年男子学生(計91人)

・砲丸5.74〃,

基準,また生徒個人の身体状況をも加味した個 人別到達目標や基準の設定をしなければならな いものと思われる。

である。

このような観点から,生徒の学習意欲の喚起

に意をもちい,教師の立場からふた到達目標や

(12)

宮口・陸上競技の効果的指導に関しての研究 61

(到達基準具体例)

表は,到達基準の具体例として,本学体育専 攻学生及び小学校課程(個人運動)の結果を示

したものである。

表(7)は体育専攻学生の100加走の過去3ヶ年 を集計したものである。測定結果は初回テスト のものである。基準(目標記録)は12秒8と示

してきたが,約55%の者が初回のテストで基準 に達しており,到達範囲以上の者とふることが できる。しかし,問題は残り45%,いわゆる範 囲以下の者の取扱い方であろう。そのうちD段 階の者は,追ってテストした結果,全員基準に 達している。E段階の2%は到達を承なかっ た。

表(8)は小学校課程,個人運動の教材のうち,

一種目として女子に課している障害定の過去3 ヶ年の結果である。基準(目標記録)を5秒5 と示し,指導してきたが,63%が初回テストで 基準に達している。残り37%のうち,D段階は 迫てのテストで基準に達しているが,E段階は 体育専攻学生の100m定と同様に基準に達して はいない。

前項で述べたように,60%~70%が列達基準 として望ましいという立場をとるならば,この 両種目の基準は一応妥当なものとし解釈できる

ようである。

表(9)は同じく体育専攻学生の砲丸投げの結果 である。基準の記録として9,90と示したが,

先の2種目と大きく異なり,初回テストで基準 に達した者は,全体の33%である。残り67%が 達していないが,そのうち36%(61名中22名)

が追テストで達したものの,全体の41%は列達 基準に達していない。このことは,砲丸投げと いう種目の特性から基準を設けての結果であ り,陸上競技の教材の中でも,その種目の特性 さらに,記録を重視する立場をとる扱い方とす れば,やむを得ないと解釈することができる。

しかし,効果的に,しかも自発的に興味をもっ て練習にあたることから考えれば,今後検討す る基準とも思われる。

陸上競技の各種目の到達基準を設定するにあ

たり,まず種目の特性を考慮し,次に同一種目 でも年令差,それに男女差を十分検討して,つ

くりあげなければならないことになろう。

④興味づけ指導について

陸上競技は,人間の本能に根ざす競技であっ て,誰れもが,いつでも実施をする極めて容易 な運動種目であるが,冒頭でも述べたように,

運動の性質上から,優劣が余りにも明瞭にあら われるために,能力の劣る者にとって嫌いな種 目の一つになってしまう憂いが多分にある。と くに体格,体力的なハンディや,女子の生徒な どには極めて興味のうすいものになってしま う。したがって陸上競技のもつ体育的意義を果 たすためには,いかにして彼等に興味をもたせ たらよいかということが,実は最も大きなこと がらであり,難問題であるわけである。

陸上競技を教材として取り扱う際の,興味づ けの指導法としてその試案を列挙してゑたい。

(1)組分けの適性を考える。(グループ編 成)

何回かの個人テストの資料をもとにして,組 分けを大体同等にする。あるいは,各グルー プごとで競争する。とくに陸上競技では個人差 がはっきりあらわれることから,同質グループ のなかでも,ひとりひとりは個人差をもつもの で,個人個人の目標をもたせることも考慮しな ければならない。同質グループの方法をいつま でも続けていると,すぐれたグループは優越感 をもつ傾向がでてくるし,逆に劣るグループに 属したものには劣等感をもちがちになる。従っ て,グループを固定してしまうことを留意する 必要がある。

(2)同等の能力者間での競争。

技能の定着した同等の能力者同志で行なう方 法である。たとえば,幾分煩い、取扱いかもし れないが,身長別試技とか,体重別試技とし て,いくつかのグループに分けて実施する。発 育・発達に応じた,比較的体格,体力の近似し たものによって競争する。

(3)団体の得点争

(13)

62金沢大学教育学部教科教育研究 第12号昭和54年

個人でなく団体としての得点化を考慮し,そ の合計の結果にて優劣を争う方法である。たと えば,5人で砲丸投げを実施し,その合計距離 を得点に換算し争う方法がある。

(4)リレー形式をとる。(異質グループの構 成)

各グループとも力が均等化されていることが 学習を効果的に展開することができる。全体と してその能力を均等化して作戦の妙技をあたえ る。たとえば何人かで,一周する,リレー競技 がこれにあたる。

(5)競争の遊戯化。(ゲーム化)

競争をすべて遊戯的に扱う。たとえば,投て ぎ種目にある砲丸投げを,距離で争う方法をと らないで,全員が可能な距離で指示したポイン トに砲丸を投射する。いわゆる的あて投射法で ある。興味に欠ける役てき種目を教材として取 扱う有意な方法である。

(6)各個人の記録の更新を示してやる。

各自の能力に従って,その記録の更新を,表 や,グラフにあらわしてふる方法。

(7)グループ別成績の表示。

各グループごとの成績を表や,グラフにあら わし,一目瞭然とわかるようにして,気持ちを かきたてる。

(8)個人の努力による評価の方法をとる。

評価にあたって,各自の努力の結果について 評価する。能力の優れたものが常によい成績と はかぎらない方法である。

(9)個人の到達目標の決定。

各自に到達目標をたてさせて,表や,グラフ などを利用して励ます方法である。

⑩教師の演出を生かす。

教師の服装,動作,発言,発声,話術,指示 のタイミング,解答など,生徒の感覚に直接影 響する諸条件を整える。一般に陸上競技の授業 では,コーチ・タイプの教師が多いことから,

このことは留意しなければならないことであろ う。教師の発言や,動作,指示は自己表現的な ものとして,その人のもつ人間臭さを感じさ せ,生徒の心情を強くゆすぶるものになり,活

動意欲を1Mたてるのに役立つことになる。陸 上競技の指導には,どうしても伝達的な発言に 終始しやすいことから,細心の注意を払う必要 がある。

⑪学習の体形。

陸上競技の指導の体形は,単独で学習の場面 が設定されることが多い。球技のように,相手 によって変化させられる場面をとることが少な い。望ましい学習場面,学習環境の設定は,

「学習するもの」と「指導するもの」「施設器 具などの環境」の三点によって構成されるが,

とくに指導する立場をもつ教師は,授業場面,

内容,運動の流れに立脚した最も望ましい体形 をつくりあげていく必要がある。画一的な指導 と体形は興味を失することから十分な配慮を要 しなければならない。

⑫必要な環境(施設・用器具)の整備と工 夫。

授業をすすめていくうえに,教えるべき内容 を生徒にスムーズにわからせるためには,生徒 達を囲祷する教育的環境の整備と工夫が当然必 要となってくる。とくに陸上競技の場合,主題 に応じた施設,用器具の配置,数,量,などは 学習の意欲に大きく影響する。鮮やかな白線の 引かれた走路を見ては走って承たくなり,砂浜 のような奇麗な砂でならされている砂場を見れ ば,跳込糸たい意欲が起るのは当然であろう。

⑬写真,映画などによるイメージ学習。

興味を喚起し,関心を持たせるために,視聴 覚を通じて理解を深めるという教育方法は,極 めて有効である。写真,スライド,映画などに よって,フォームの分析や競技会の実況を見せ ることで,とくに,生徒の実践活動から取材す ることは一層効果である。

⑭競技会の見学

一流の競技会などを見ることによって,優秀 者の力強いフォームを見学して,一段と意欲を 湧かす,さらに競技会という独得の雰囲気から 受ける心理的な興奮はきわめて効果的であろ

う。

(14)

宮口・陸上競技の効果的指導に関しての研究

63

ソスの先生というように,極端に種目に偏し,

体育全般を見失うとしている傾向にある。陸上 競技は陸上の担当者に任せるという行き方で,

他の種目担当者は関知せずという扱い方である が,それでは基本的な陸上競技が伸展しないだ けでなく,あらゆるスポーツが弱体化される結 果になることは明らかなことである。

総ての体育指導者はすくなくとも陸上競技に は常に関心と興味をもち,ある程度の指導力を 備えて,時には生徒と共に走り,跳び,投げる ことのできるということが,体育指導者の必須 条件でありたい。一つに深くつきすすんだ研究 や指導のできることも必要ではあるが,総ての スポーツに共通した,基礎教材である陸上競技 を指導できぬとあっては,その資格に疑義をも たれてもやむを得ないと思われる。

〔おわりに〕

生徒達はいろいろな文化を獲得し,人間的高 まりを得ることは教育の目的であり,各教科は 全面発達の一分野として,その文化の獲得,追 求をねらいとしている。このことは,体育にお いても当然のことであり,教科体育のねらい は,人間の生物的,社会的欲求から生まれ,創 造されてきた文化,つまり運動文化を獲得,追 求することになければならない。

=陸上競技は教材として扱いにくい=

=指導の効果がなかなかあがらないこ こ生徒は,よろこんで学習してくれない=

などの多くの問題をかかえながらも,指導者は いろいろの改良を今日まですすめてきた。中に は,漠然とした教師の経験や,科学性のない

「各種スポーツの基礎種目」ときめかかったり する暖昧さをたしかめようともせずに,その必 要性を説いたり,強制したりして,むしろ善根 をほどこしているような錯覚に捕われていたと

ころに大きな問題があったと思われる。

さらに,この根本的な矛盾の原因を解明しな いまま(とくに陸上競技においては多くの者が ごすぎでない=と答えている),面白く,楽し く授業をすすめるために,単なる興味づけに走 り,ゲーム化や得点化を与え,自発性に乏しい 授業におちいっていたようにも思われる。

次にまた反省しなければならないことは,今 日の体育指導が,とかくその教材によって専門 化され,余りにも独占的に陥っているという点 である。バレーボールの先生,柔道の先生,ダ

(参考文献)

・体育の社会心理学的測定野口義之P211~P 213

.陸上競技教室丸山吉五郎大修館P6~P16

゜陸上競技における興味づけ指導(昭和47年日本体育

学会)宮口尚義大島等東木美憲宮口明義

・学習指導要領の展開(保健体育科編)佐々木茂山 川岩之助明治図書P79~P88

゜小学校指導要領の指導事例(体育科編4)梅本二郎 明治図書P29~P37

.新指導要領による小学校体育の指導(総説編)大修 館P151~P159

.体育専攻学生における陸上競技の能力に関する研究

(昭和41年日本体育学会)宮口尚義

・新体育35巻上(1965年)新体育社P70~P88

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