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(1)

静岡大学教育学部研究報告 (自然科学篇)第53号 (2003.3)41〜51

ものづ くり学習における磁気 ライン トレース型 ロボットの教材化

The Development of a Magnetic Line Trace Robot as a Teaching Material

for Making-Thrngs Learning

之 ・ 須 見

OKURA, Naobumi

    

Toshiaki HATA

(平成 14年10月 7日受理)

Abstract

h this researёh, the magnetic line trace robot is designed and manufactured as teaching materials for making― things learning in the lunior―high and/or high schooL

h this magnetic line trace robot,the foundation of control study is included,and the students can make this robot Only with the use of lead switches.MOreover,the students can develop this robOt into more advanced one according to the study of controle With the use of this teaching material for making― things learning, the Originality and creativlty of students tte cherished.  rhe students may experience the feeling of achievement and satisfaction when the robot is made to run perfectly along the whOle given magnetic linese The rnagnetic line trace robot developed in this study is considered to be excellent teaching materials in the making一 things lettning.

1.はじめに

天然資源 に乏 しい日本 は、従来 か ら資源 を有効 に活用 した「 ものづ くり」 によって社会・ 経 済基盤 を支 えて きた し、これか らも独創的な「 ものづ くり」による発展が重要視 されて いる。 しか しなが ら、

多 くの工業製 品 の中で育 った子供 たちは ブラックボ ックス化 された機器 に囲 まれ、取扱説明書 による 機器操作 に従順 させ られた 日常生活 の もとで、 ものづ くりに触れ合 う機会 は少 な くな っている。 この よ うな社会背景 の反省の もと、ものづ くりに対す る関心・興味 を育て、ものづ くりを通 して思考力 。創 造性 を高 め る教育 の意義 は大 き く、学校教育 において平成14年度か ら実施 された新 中学校学習指導要 領解説 の技術・ 家庭科 の技術分野 は「 ものづ くり」が一つのキーヮー ドとな ってお り 。 、積極的 に も のづ くりの機会 を増 や し進 めていかなければな らない。 この ものづ くり学習 に対 して大 きな社会的責 任 が課せ られた技術科教育 では、今 日的 な、有効な ものづ くり教材 の研究・ 開発が行われている の 。

本研究 では、 ものづ くり教材 を開発す るにあた り、 ものづ くりの基礎 0基本姿勢 を、既存 の知識 を 組 み合 わせて新 しい ものを構築 す る実践的・ 体験的な活動 ととらえ、理解で きる原理 を基 に生徒の中 に問題意識 を育 て、問題解決を目指す活動が含 まれ るもの と考えた。

そ こで、本報告 は中学校 や工業高校 な どにお けるものづ くりの基礎的学習の教材 と して、学習者が 発展的 に学習 で きる4種類 の磁気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トを開発 し、この ロボ ッ トが電気・機械・制 41

文.

(2)

42 大 倉 宏 之 0須 見 尚 文・ナ  俊 明

御を融合 した今 日的 ものづ くり教材 として有効であ り、設計・ 製作活動 において多 くの創意工夫を促 す問題解決学習が含 まれていることを示 した。

2。 磁気 ライン トレース型 ロボ ッ トの特徴

ライ ン トレースロボ ッ トの代表的な もの として、床面 に描画 した線か らの光の反射を とらえて ト レースするものなどがあ り、製作方法 も多 く報告 されている0。 また、ライ ントレースロボ ットのキ ッ トの も市販 され、技術科教育の場で も利用 されている。 しか しなが ら、これ らのライ ン トレースロ ボ ッ トは光 セ ンサにフォ トトランジスタなどの半導体 とそれに付随 した電子回路を用 いて制御を行 う ため、制御の理解 には半導体回路の知識が要求 され、中学生では難易度 は高 く、回路設計や製作な ど に創意工夫箇所が少ない。

一方、磁気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トは、床面に埋 め込 まれた磁石の列を トレース して走行するロ ボ ッ トである。 この型のロボ ッ トは、磁気 ライ ンのセ ンサに磁力で接点をON‑OFFする リー ドスイ ッチが使用で きるため、制御回路に半導体回路を必要 としない特徴が ある。 このため、磁気 ライ ン ト レース型 ロボ ッ トは制御の仕組みを機械的・ 視覚的で捉えることができ、中学生 にとって制御の仕組 みの理解が容易で製作 しやすい長所がある。 さらに、曲が りくね った複雑な コースであって も、 リー ドスイ ッチの配置を工夫す ることや リレー回路を付加することで、より正確 に トレースす ることが可 能 とな るなど、設計・ 製作 に技術的創意工夫の機会が与え られる。 また、工業高校で半導体を学ぶ生 徒であれば、磁気 セ ンサにホールICや ホール素子などの半導体を用いた制御回路研究を行わせ ること で、進行方向まで も制御す る、 より高度な ものづ くり学習へと発展できる。

磁気 ライ ンの製作 に関 しては、著者の一人である畑 らによって児童生徒が自分 自身の手で、 自分の 好 きな形のセラ ミックス焼結磁石を作成する方法が考案 され D、 その実践 も行われてお り、磁気 ライ ンに用 いる磁石は生徒 自身が製作できる環境にある。磁石の製作を取 り入れた磁気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トの製作は、更に学習内容の豊富な ものづ くり教材 といえる。

3.磁気 ライン トレース型 ロボ ッ トの回路設計

制御回路の仕組 みの説明にあた り、 セ ンサ と車輪の位置関係 は磁気 ライ ン側か ら見たロボ ッ ト図

(シャー シ裏面)で示す。 また、磁気 ライ ンは、断面を縦101nm、 5‑、 奥行30‑を 1片 とした 磁石を長手方向に 1列 に並べた もので、 ロボッ トの進行方向に対 して磁気 ライ ンの左側がN極、右側 S極となるように配置する。磁石の列の上面 は2mmの塩 ビ板で覆 い、塩 ビ板を路面 として ロボ ッ ト はその上を走行 させ るもの とした。

3.1 リー ドスイッチ2個用いた磁気 ライン トレース型 ロボ ッ ト制御回路

リー ドスイ ッチとは、 プッシュスイ ッチなどの機械的 スイ ッチとは異な り、磁石を近づけるとリー ドが磁化 して接点部が接触する近接 スイ ッチである0。 この リー ドスイ ッチを2個用いた磁気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トの制御回路を図1(a)に示す。

本回路は、手動でモータ電流をON00FFする機械的 スイ ッチを、磁石の力で作動する リー ドスイ ッ チに置 き換えた ものである。2つ の リー ドスイ ッチは図1(b)に示すように シャー シ裏面 に取 り付 け る。 リー ドスイ ッチによる制御の仕組みは以下の通 りである。2つ の リー ドスイ ッチの中間付近 に磁 気 ライ ンが位置す るときは各 リー ドスイ ッチは導通状態 とな り、左右のモー タのスイ ッチはONと り直進する。 また、磁気 ライ ンの位置がいずれかめ リー ドスイ ッチ側に偏 るときは、遠 ざか った側

(3)

ものづ くり学習における磁気ライントレース型 ロボットの教材化

リー ドスイ ッチがOFFとなる。OFFとなると片輪のみの駆動 とな り、磁気 ライ ンに復元 しようと旋回 する。 しか し、何 らかの理由で2つ の リー ドスイ ッチが磁気 ライ ンか ら離れた場合は、すべてのモータ OFFとな って ロボ ッ トは停止する。

本回路の特徴は、制御回路が簡単で、制御の仕組みは極めて分か りやすいことである。 しか し、磁 気 ライ ンの曲線の曲率半径がノJヽさくなるに従い、 ライ ンに追従できな くなる欠点がある。 ここを問題 解決学習の始点 としたい。

ボ ー ル

キ ャ ス ター ードスイッチ(B)

左 車輸 モー タ

右 車輸 モー タ

ードスイッチ

(a)制 御 回 路 (b)ロボ ッ ト底 面 の リー ドスィ ッチ位 置

リー ドスイ ッチ2個用いた磁気 ライン トレース型 ロボ ッ トの制御回路 とセンサ位置

3.2 リー ドスイ ッチ4個用いた磁気 ライン トレース型 ロボ ッ ト制御回路

1(a)で示 した回路では、曲率半径の小 さいコースは追従できな くなる。 この欠点を発展的に解 決す るため、 さらに2個の リー ドスイ ッチを追加 した制御回路を図2(a)に、 リー ドスイ ッチの取付 位置を図2(b)に示す。 リー ドスイ ッチ (A)および (B)は1(b)で示 した位置 とし、 リー ドス イ ッチ (C)および (D)は車軸側寄 りで、外側 とする。

本回路 による制御の仕組みを、図2(b)で示 した磁気 ライ ン側か ら見たロボ ッ ト図において述べる。

ードスイッチ(B)

左 車輸 モー タ

磁 気 ラ

右 車輪 モー タ

(outer) リードスイッチ(D)

(a)制 御 回 路

ードスイッチ(A) ードスイッチ(c)

(b)ロ ボ ッ ト底 面 の リー ドス イ ッチ位 置

43

S ードスイッチ(A)

ードスイッチ(B)

左 車輪モー タ回路

右 車輸 モ ー タ回路

ードスイッチ(D) ( outer )

(inner) 左 車輸 モー タ回路 右 車輸 モ ー タ回路

4:`B)

リー ドスイッチ4個用いた磁気 ライン トレース型 ロボ ッ トの制御回路 とセンサ位置

(4)

44 大 倉 宏 之・須 見 尚 文01田   俊 明

磁気 ライ ンの位置が リー ドスイ ッチ (A)側に寄 るとリー ドスイ ッチ (B)がOFFとな り、右車輪が停 止 して ライ ン中央 に戻ろうとする。 このとき右車輪は直ちに停止できないため、若干 ゆるやかな旋回 となる。 このため、リニ ドスイ ッチ (A)のみでは、ライ ンの曲率半径が小 さい場合はロボ ッ トの旋回 半径の方が大 きくな り、磁気 ライ ンか らリー ドスイ ッチ(A)まで も離れ、結果 として左右のモータ電 流がカ ッ トされて停止状態 となって しまう。そこで リー ドスイ ッチ (C)を追加することにより、リー ドスイ ッチ (A)で補えなかった範囲を リー ドスイ ッチ (C)が補 い、ロボッ トは停止す ることな く磁 気 ライ ン上 に復帰す ることができる。

磁気 ライ ン上を完走 させ るために リー ドスイ ッチ (C)および (D)の取付位置は、ロボ ッ トの速度 や ライ ンの曲率半径を加味 して決定する必要がある。

3.3 リー ドスイッチ4個とリレーを用いた磁気 ライン トレース型 ロボ ッ ト制御回路

磁気 ライ ンの曲率半径が さらに小 さくな り、リー ドスイ ッチ4個 の制御回路では制御できない場合、

3.2節 の図2(a)回路の応用 として リー ドスイ ッチの数を増や して対応す ることが考え られる。 しか し、この方法では リー ドスイ ッチの数が増加 し続 ける。そこで、リレーを使 って解決 したのが図3で示 す制御回路である。

この制御回路は、図2(a)で示 した回路において、 リー ドスイ ッチ (C)がONした瞬間か らロボ ッ トはコースか ら大 きく外れたと判断 し、 この状態を リレーに記憶 (保)させ る。そ して、 リー ドス イ ッチ (A)が ONするまで、すなわち、 リー ドスイ ッチ (A)が磁気 ライ ン上 に移動するまで保持 し、

移動後、直 ちに リレーの記憶を解除 させ るものである。

図 3に おいて、 リー ドスイ ッチ (A)上

に磁気 ライ ンがあれば、 リレーの働 きに よ リモー タはONとな る。次 は リー ドス イ ッチ (C)上に移 ると、 その瞬間か ら リー ドスイ ッチ (C)側の リレー電流は リ レー端子 4と 8が 接続 され、 リー ドスイ ッ (C)がOFFとなって もリレー電流は流 れ、ONの状態を保持 (リ レーが記憶)す

る。 この リレー電流を切断す るためには リー ドスイ ッチ (A)が ONとなって リー

ドスイ ッチ (A)側の リレーの接点 6と 4 を切 り離す必要がある。すなわち、 リー ドスイ ッチ (A)が ONとなる条件が必要 とな る。 この回路 には、以下の様 な利用 価値がある。 それは リー ドスイ ッチ (C)

左 車 輪 モ ー タ回 路

記憶と解除の仕組み

を瞬間的にONさせればモータは廻 り続 けることがで きるので、 リー ドスイ ッチ (C)に並列 にブッシ ュスイ ッチを接続 しておけば、磁気 ライ ンがない所で もスイ ッチ操作で走行が可能 となる。 そ こで、

4(a)に示 したように、回路にスター トボタンを付加することで、磁気 ライ ンのない場所か らスター トして、磁気 ライ ンを検出するとライ ンの トレ‐スを始める。磁気 ライ ンの一部の磁石を抜 いてお く とその位置で停止す るが、 スター トボタンを押す と再 び走行をは じめるといつた利用 も可能である。

4(b)に各 リー ドスイ ッチの配置例を示す。

ッシュスイッチ

9)16

ードスイッチ(A)

(5)

ードスイッチ(c

( inner )

左 車輪モー タ回路

右 車輪モ ー タ回路

(a)制御 回路

リレーを追加 した磁気 ライ ン ト

45

右 車輸 モー タ

(b)シャーシ裏面の リー ドスイッチ位置 レー ス型 ロボ ッ トの制御回路 とセ ンサ位置

ものづ くり学習における磁気ライン トレース型 ロボットの教材化

′左 車輸 モー タ

3.4 ホールlCを用いた磁気 ライン 磁石 の極 に反応 し、 デ ジタル信 号 に変換 して出力す るホールICを センサー と した磁気 ライントレース 型 ロボ ッ トの基本 回路 を図5に す。今回用 いたホール ICは 松下電

トレース型 ロボ ッ ト制御回路

右 車 輪 モ ー タ回 路 ホールICによる制御回路例

子工業製 のDN6849SEで交番磁界 」3V

型である の 。 このICの マーク面 に 垂直に磁界を加え、加えた磁極がN

極かS極かによって端子 3か らH又

Lレベルの電圧を出力 し、異なっ た磁極を検出するまで保持する。

6(a)にホールICを 用いた磁

気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トの制御回路を示す。セ ンサにホールICを 使用する場合、磁気 ライ ンの磁 石の極 を統一 しておかなければな らない。 そこで、 ロボッ ト側か ら見た場合、磁気 ライ ンの中心線 に 対 して左側をN極、右側をS極として磁石を路面に埋設する。 ホールICの 取付位置は、磁気 ライ ン側 か らロボ ッ トを見た場合、磁気 ライ ンを挟んで図6(b)に示すように配置 し、かつ、ホールIC(A)は

リート・スイッチ(A)

ードスイッチ(D) ( outer )

ードスイッチ(B)

7{〉岳方

セ ンサ取付板

ードスイッチ(A) ート・スイッチ(B)

ードスイッチ(c) ードスイッチ(D)

右 車 輸 モ ー タ

(6)

46 大 倉 宏 之・須 見 尚 文01田   俊 明

ICの マーク面が見える面、 ホールIC(B)は逆 にマーク面を裏側 に して取 り付 ける。 このよ うにす る ことで磁気 ライ ンの左右のN極S極をホールICが認識 して、モータ電流のON00FFを制御できる。

ここでは,ホールIC(A)がS極のとき右車輪モータはON、 ホールIC(B)が N極の とき左車輪 モー タはONとな って ロボ ッ トは直進する。仮 にコースを逆走 させようとして も、磁極がモータをOFFに

する組み合わせ となるため走行 しない。 このようにホールICを 用 いた制御は、 リー ドスイ ッチでは出 来なか った通行方向の制御ができる特徴を有する。また、 ロボ ッ トを停止 させたいライ ン上の場所が あれば、その位置の磁石の極を反転 させておけばよ く、鉄道 レールに見 られるような駅の設置などラ イ ンに様々な工夫が可能 となる。更 に、本回路 にはスター トボタンが用意 され、磁気 ライ ンのない所 か らスタ▼ 卜できる設計 とした。

磁 気 イ ン

N

8

G5V‑2

右車輸 モー タ回路

2

2SD635

3

TLP504(1/2)

左 車輸 モー タ回路

TLP504(1/2)

(a)制御回路       (b)シ ヤーシ裏面のホールIC位

ホ ール ICを 用 いた磁気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トの制御 回路 とセ ンサ位 置

4.磁気 ライン トレース型 ロボ ッ トの製作

これまで提示 した制御回路に基づき、教示用 ロボッ トと走行試験用 ロボ ットを製作 した。

4.1 教示用磁気 ライン トレース型 ロボ ッ トの製作

磁気 ライントレース型 ロボットの制御の仕組みを理解させる教具 として、 リー ドスイッチによる自 動制御 と手動による遠隔操作ができるロボットを製作 した。図7(a)に磁気 ライン側か ら見たロボッ

ト本体を、図7(b)に リモー トコントローラ (リ モコン)のパネル部を示す。

ロボット本体の駆動部はタミヤ製のツインモータギヤボックスを低速仕様で用い、モータ電圧は1.

5Vと した。制御回路は図1(a)で示 した リー ドスイッチ2個 による方法を用い、リー ドスイッチは車 S

セ ン サ取付板

(非マーク面)

右 車 輸 モー タ

(7)

ものづ くり学習における磁気ライントレース型ロボ ットの教材化 47

体前方 にお く。 自動・ 手動の切 り替えは本体に取 り付 けられたゴネクタヘの差 し替えで行 う。 リモコ ンのパ ネル部は操作用 スイ ッチとして、 プッシュスィ ッチとリー ドスイ ッチを併設する。

本教示用 ロボ ッ トを使 うことにより、プッシュスィ ッチを押 してモータをON00FFさせ ることと、

リー ドスイ ッチに磁石を近づけることとが同 じ働 きを していることを確認 させ、 リー ドスイ ッチの原 理を理解 させ る。次 に車体 に取 り付けた リー ドスイ ッチに磁石を近づけて、磁石の位置 とモータの回 転 との関係を理解 させ る。

なお、本 ロボ ッ トは磁気 ライ ンが直線か緩やかなカーブで しか完走できない性能 としてある。授業 者は本 ロボ ッ トを提示 しなが ら、 目的 とするコースを完走 させることができる磁気 ライ ントレース型

ロボ ッ トを開発・ 製作 させ る活動へと誘導する。

7 トレース型 ロボ ッ ト

4.2走行試験のための磁気 ライン トレース型 ロボ ッ トの製作 2(a)、 図 4(a)、 図6(a)に示 した制御回

路を用 いた磁気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トの走 行性能を評価す るため、それぞれの制御方式 に よる磁気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トを各 1台 ず つ製作 した。

製作にあたり、ロボットのシャーシは図8で示 す形状 とし、素材は3mm厚のプラバ ン(タ ミヤ )を使用 した。

駆動装置はタミヤ製のッイ ンモータギャボッ クスを低速使用で用い、 タィャはスポーッタィ ヤセット(タ ミヤ製)、 キャスターはボールキャ スター (タ ミヤ製)、 モータ電圧は 1.5Vと した。

シャー シ上面 に制御回路基板、 ッイ ンギヤ ッ クス、電池ケースを置 き、下面にはセ ンサおよび キ ャスターを取 り付 ける。

8‑3.5ご│り  :

(8)

48 大 倉 宏 之・須 見 尚 文・夕  俊 明

4。 2.1  リー ドスイッチ4個用いた磁気 ライン トレース型 ロボ ッ トの製作

9(a)に リー ドスイ ッチ4個用 いた制御 ロボ ッ トを示す。 また、図9(b)にロボ ッ トの シャー シ 裏面 に取 り付 けた リー ドスイ ッチ部を示す。 リー ドスイ ッチは基板 に直接取 り付 け、各 リー ドスイ ッ チの取付位置は図2(a)制御回路に対応 している。極めて簡素な磁気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トであ る。ただ し、 リー ドスイ ッチの配置はライ ンのカープで コースアウ トを防 ぐため、図9(b)で示すよ うに配置する。なお、 この配置を生徒 自身が試行錯誤の中か ら気付 くよ うに問題解決学習を押 し進 め

(b)磁 気 ラインに対す るホールICの取付面

│■│ボ,│卜の外糧

リー ドスイッチ4個用いた磁気ライ (c)ホ ールICの 取付位 置 ン トレー ス型 ロボ ッ ト

リー ドス・イ ジチ│の1取付位 置 ン トレー ス型 ロボ ッ ト り■卜:スイッチ(C

(轟)ロ ボ ッ トの外観

10 リー ドスイッチ4個とリレーを用いた磁気 ライ

(9)

ものづくり学習における磁気ライントレース型ロボットの教材化

4.2.2 リー ドスイッチ4個とリレーを用いた磁気ライン トレース型 ロボ ットの製作

10(a)に制御回路に リレー回路を付加 したロボットを示す。 リレーを作動 させるため、電源電圧 3Vと したもまた、電池ケースの横のスター トボタンを押せば、磁気ラインのない所から走行でき、

磁気 ライ ンを検出するとラインに沿 って走行を始める。

リレーは図10(b)のよ うに4個並べて取 り付 けた。各 リー ドスイ ッチの配置は図10(c)に示す。

ここで、 リー ドスイ ッチ4個のみの場合 と同様に外側の リー ドスイ ッチを下げて配置すると磁気 ライ ンが とぎれた場合、外側の リー ドスイ ッチが不用意にONとな り、ロボ ッ トは勝手 に旋回を始めて しま うことがある。本 ロボ ッ トの場合 もセ ンチの位置は常 に問題解決学習の課題 として取 り扱える。

4.2.3 ホールICを用いた磁気 ライン トレース型 ロボ ッ トの製作

H(a)に磁気 セ ンサにホールICを 使用 したロボ ットを示す。制御回路は図6(a)に示 した回路

を用 い、車体前方の基板 に制御回路は組み込まれている。ホールIC用 電源 として単3電4本用 いた。

電池ケースの横 にスター トボタンを取 り付 けた。モータ用電源には単2乾電池を 1個 使用 した。 ホー ルICは 図H(b)に示すように、一方のホールIC(A)は マーク面を磁気 ライ ン側に、他方のホール

IC(B)は非 マーク面が磁気 ライ ン側 になるように取 り付 ける。また、図11(c)にホールICの ロボ ッ トヘの取付位置を示す。

)ロ ボ ッ トの外観 (b)

49

11 ホールICを用 いた磁気 ライ ン

シヤーン琴爾││‐111イ│イ││す1魯付位簿

トレー ス型 ロボ ッ ト

5。 走行試験 および考察

5.1 テス トコース

図 12に テス ト用磁気 ライ ンコースを示す。磁気 ライ ンの磁石は市販品を用 い、サイズは10rrln×

5mm× 30mmで磁束密度H00Gの ものを使用 した。 コースの最小曲率半径はH5mmである。磁石

(10)

50 大 倉 宏 之・須 見 尚 文・夕  俊 明

の列 は ライ ンの内側はS極、外側をN極となるよ うに配列 した。使用 した磁石の数は 100個 であ る。 コースは破線のところで2分割 されている。

磁気 ライ ンの製作では900m× 600mm×

5mllの合板2枚を並べ、 その上 に磁石の5mln

×30mmの面を置 き、磁石が移動 しないように 両側か ら4mmのバルサ材で固定 した。磁石の 上面 は2mm厚の塩 ビ板で覆 った。

N

C

%

12テス トコース

5̀2走行試験の結果および考察

製作 した ロボ ットの うち、リー ドスイ ッチ4個 による制御 ロボ ッ ト、リー ドスイ ッチ4個 と リレーに よる制御 ロボ ッ トおよびホールICに よる制御 ロボ ッ トの走行試験の結果を述べる。

各 ロボ ッ トとも図8で示 した シャー シ板のセ ンサ位置に各 セ ンサを配置 した結果、すべての ロボ ッ トはコースを完走 した。 リー ドスイ ッチタイプでは磁石か らセ ンサまでの垂直方向の距離 を12mm離

しているが問題 は生 じていない。 このときの リー ドスイ ッチ付近の磁束密度 は50G程度である。 この ことは磁気 ライ ンに使われ る磁石の磁束密度が小 さい場合は リー ドスイ ッチを近づけることで対応で きることを示 している。 また、磁気 ライ ンの上 に合板を敷 き、 いろいろな建造物を用意することで ボ ッ ト走行の演出が楽 しめる。 ホールICタイプでは磁石か らセ ンサまでの高 さは3mと している。

リー ドスイ ッチに比べて磁気 ライ ンに近づける必要がある。

磁気 ライ ンのない任意の場所か ら自走機能を持たせた 2台 のロボ ットを走行 させ、磁気 ラインに交 差 させた結果、ホールICタイプは磁気 ライ ンを認識 して、ライ ンの進行方向を認識 して走行 し、逆走 することはなか った。 リー ドスイ ッチタイプは磁気 ライ ンとの交差角度 によって鈍角側の ライ ンを走 行 し始 める。図10(c)で示 した リー ドスイ ッチの配置では、交差角度が直角に近づ く80〜100度 近の範囲では ライ ンを認識すると停止 した。

ロボ ッ トの製作を通 して、センサの位置や配置によって走行性能は大 きく変化することを確認 した。

ここに生徒の創意工夫 と問題解決学習の成果が ロボ ッ トの走行性能 という評価 に表れ、 ものづ くり教 材 として期待できる。

6.  おわ りに

本研究では、 ものづ くり学習における教材 として、磁気 ライ ン トレース型 ロボ ットを設計・ 製作 し た。 この磁気 ライ ン トレース型 ロボッ トには、制御の基本が含まれてお り、初学者で もリー ドスイ ッ チを使 うだけで製作できるとともに学習 に応 じて、 より高度な制御学習へと発展できる題材であるこ とがわか った。例えば、 リー ドスイ ッチ4個だけ使 って もセ ンサの配置を工夫す ることで複雑 な ライ ン上を正確 に制御でき、更 に、簡単な リレー回路を付加することにより、 ロボ ッ トがコースアウ トし た場合の自己位置のずれを記憶 し、 ライ ンに戻 ったときはその記憶を解除 させ るなど、制御に必要な 記憶・ 解除 といった学習を取 り入れ られることがで きる。 さらに、磁石の極をセ ンスできるホーノンIC を用いることで、通行方向が制限 された コースを磁石の極か ら判断する高度なロボ ッ トヘ と発展で き

(11)

ものづ くり学習における磁気ライントレース型ロボットの教材化

ることが示 された。

ものづ くり学習では、試行錯誤を繰 り返す中で創意工夫を育み、その目的が達成 されたときの喜 び を体験できることが望 まれ る。本研究で開発 した磁気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トも、種々の制御回路 を工夫することがで き、セ ンサの適切な配置を見つけ出すために多 くの試行錯誤などの経験が含 まれ る。 あるときは理論的に、 あるときは実験的に繰 り返す活動の中で創意工夫が育 まれ、 ロボ ッ トを完 走 させた ときに経験する達成感、満足感を与える。 この ことか らも磁気 ライ ン トレース型 ロボ ッ トは

ものづ くり学習における有効な教材 といえる。

引用・ 参考文献

1)文部省 :中 学校学習指導要領 (平成 10年12月)解説 ―技術・ 家庭編 ―,p.102,(1999) 2)大倉宏之、木村誠、須見尚文:ものづ くり学習 としてのロボコンの位置づけと教材研究 0開,

日本産業技術教育学会誌第43巻4号,2001年 12月,pp.25‑33,(2001)

3)鈴木憲次 :ライ ン トレースロボ ッ トの製作,ト ランジスタ技術,2000年8月 号,pp.222‑230,

(2000)

4)ト ップマ ン :技 術教材 カタログNoe148(平成 14年 度版),poH3,(2002)

5)畑俊明、塚本朋子、中村勇 :児 童生徒 自身で作 るセラミックス磁石の教材化に関す る研究日本 産業技術教育学会第45回全国大会講演要 旨集,p.33,(2002)

6)柏倉宏美 :位 置検出セ ンサの使 い方、 トランジスタ技術,2000年 H月,pp。188‑191,(2000) 7)松下電子工業 :Panasonicホ ールICシ リーズ第4版'93/9商品別 カタログ,ppe26‑27,(1993)

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参照

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