数学および数学教育における集合の役割について
若 槻 実
緒 言
昭和44年度に文部省の示した学習指導要領(数学)について,最も論議の的となってい るのが集合である。小・中学校数学教諭が主である研究会に〔註1〕三回程参加して見て,
そこでは「集合がはいることによって教科内容がさらに難しくなり,教科の不消化をもた らさないか。」 「集合を取り入れた教育は技術教育につながり,企業家にとっては有利な 人材を養成するかも知れないが,真の数学教育ひいては人間形成教育の立場で見ると疑問 である。」 「集合は何故必要なのか。現代数学において如何なる役割を果すのか。指導要 領はそのことには答えてくれないが,生徒に指導するからにはその意義を明確に知って置:
きたい。」などの意見があった。
筆者はここで,数学および数学教育における集合の役割を考察して見ることにする。
第一章 数学における集合の役割
集合とは「ものの集まりであって,任意に一つのものを持って来たときに,それが集合に 属するか属しないかが明確に示されたもの」というのが数学上の一つの定義である。〔1〕
例えば気「00より大きい数の全体 は集合であるが恥きい数の全体 は集合ではない。
一つの数をとったとき,前者はそれが入るか入らないかが明確であるが,後者は不明確で あるからである。
数学の対象には文字,数,式,関数,図形,図形の運動……等があるが,これらの中で
曳く?髀 件を満足するものの全体 とすると集合になる。たとえぽ∵更1より大きい実数の 全体 とか 定点Pを中心とする回転運動の全体 などは集合である。この他集合,群,
環,体などもそれ自体が集合でありながら,これらもある集合の要素と見倣せる。こうし て見ると数学の対象の軽んどが集合であるといってよいであろう。
それなら集合の概念は数学 のはじめからあるべきではなかったか。19世紀後半になって からはじめて現われたのは何故であろうか。
建築の場合,簡単な平屋なら土台が少し粗末でも差支えないが,高層建築では土台は十 分強固でなければならない。19世紀になってから急激に発展し,かつ微妙な問題にも直面 するようになった数学は,もう一度その土台を深く強固にする必要に迫られた。G.Cantor
(1845〜1918)はフーリエ級数の係数の一意性を証明する必要から実数の集合論的ならびに 位相的性質を研究し,その結果一応の解決を得た。(1872)〔3〕それが動機となってCantor
の導いた濃度の意義を通俗的に述べて見る。ここに一辺が一糎の正方形があるとする。こ の中の一点の面積は零であるが,この点全体すなわち正方形の面積は1である。我々がこ の正方形の点を一つづつ永久に拾いつづけたら全部の点を拾えるだろうか。否,我々がこ の方法で得ることのできる無限個の点全体の面積はやはり零であって,正方形の点全体か
らなる無限集合に比較すれば一一対零,すなわち無に近い。この一つづつ永久に拾いつづけ ることによって得られる無限集合の濃度が可附番濃度であって正方形の点全体の濃度は連
港門の濃度なのである。数学的帰納法は可鷹番集合には通用するが非可門番集合には超限 帰納法を用いなければならない。それ故測度論で測度の定義に可算加法性の成立を条件と
したり〔10〕,位相空間論で第一可算公理,第二可算公理の成立が他の定理の成立に重要 な役割りを果したり〔11〕,任意の可算開被覆から有限開被覆がえらべるか,任意の開被 一覆から有限開被覆がえ.らべるかによってコンパクトかピコソパクトかに区別したり〔4〕
等々無限を対象とするとき集合論的考察なしではすまされない。その他集合論には順序型 超限数などの概念があるが,何れも現代数学の最も基本的な部分を受け持っている。
このように微妙かつ複雑な現代数学においては集合論が重要な役割を演ずることがわか るが集合にはもう一つ極めて重要な役割がある。それは現代数学の主流をなす公理主義に
.おける役割である。その意義を知るためにまず無定義要素の考察からはじめよう。
Euclidの原論に更更点とは部分のないものである とあるが更更部分 とは何か?く更部分 を 数学的に定義しようとすれば,他の語が必要となろう。その語を定義するにはまた他の語 を用いて……というようについにはすべての語を定義しなければならないことになるが,
最後の語は何を用いて定義すればよいのだろう。
実際論理的に,完全な定義というものはあり得ないではないか。ただわれわれが点とか 直線とかの定義をそれなりに認めて来たのは,点や直線に関して,互に通じあう既成のイ
メージがあるから「ああ,あれだな」と納得するからではないか。どうせくくあれ なら て更点 ,気恒線 ,坪面 などは単なる名前であって,それが何であるかは定義しない
ことにしよう。同様に坪行である ,く咬わる ,更更の上にある , 更更の上を通る , 更更の間にある などもそれがどのような関係を表わすのかは定義しないことにしよう。何
を意味するかを定めないのであるから巡行線は一つもない といってもく喝一直線外の一 点を通ってこの直線に平行な直線は無数にある といってもよい。丁度更灰は言い
といってもくく火 やく怜い がどういうことかを定義していなければ,誤りであるとは いえないのと同様である。われわれはここでつぎの事に気がつく。 更更点 とかく電線 と か坪面 とかいっても,それは無定義な要素の集りであるから,真白なキャンバスと同 様,どんな仮定を設けようと自由なのである。いまこのくく点 ,く恒線 ,坪面 に対
してユークリッド幾何学における公理系が成り立つと仮定すれば,そこからユークッド幾 何学上の更足点 ,く下線 ,坪面 に関する性質が導かれることになるが,もしもユー
クリッドの公理系のうち,平行線の公理虻ヒー直線外の一点を通って,この直線はただ一つ しかない の部分を, ……一つもない としたり,あるいはまた更足……無数に多くある としたりすると,それぞれ別の体系ができることになる。
これらの体系は,まったくわれわれの直観を通さず,論理のみで導かれたものである が,現実の対象に対して,更く点 ,更疸線 ,半面 が何を表わすかを定めるとき,そ の対象において公理系が成り立つならば,この公理系が導かれた理論体系は,その対象に 適用できることになる。実際,上の三通りの公理系に対して,それぞれ適当に憶 ・ 更値線 ,野面 などを定めてやると,それらの公理系にそれぞれ適合する対象のある
1ことが知られている。 〔註2〕
さてこのような無定義要素の集合を考え,これらの要素の間に,ある無定義関係を定 め,この集合の満足すべき,いくつかの公理(公理系)を仮定して出発すれば,直観的要 素の全くない,論理のみの理論体系がつくれることになる。
無定義要素の集合は,いわば医学における無菌動物のように,われわれが欲しいと思う 仮定だけを公理系として設定して,純粋にその公理系における理論の体系が培養できるの
である。
たとえば集合Aと,Aに属する任意の要素σ,わ, oに対して次の公理系をつくって見
る。
(0)σ+ゐはAに属する。 (0 )励はAに属する。
(1) (α十6)十〇=・α十(ゐ十〇)
(2)α+ゐ=わ+α (3)α+θ=αのような要素θがAに属している。
(4)σ十κ=θのような要素κがAにただ一つ属している。
(5) α(ゐ。)=(α∂)o
(6)σ6=6α
(7) α(1う十〇)==α6十αo, (ゐ十〇)α=∂α十〇ごz
(8)α2=σのような要素6がAに属している。
(9)σ6=θであればα,6のいずれかはθである。
(10)α≒θであればακ=θのような要素κがただ一つのAに属している。
ここで=は無定義関係で,α+ゐ,α∂はσとみとの無定義結合である。それらが実際 の何を意味するかは任意である。θは零要素(零元),6は単位要素(単位元)といわれ
それぞれ数の0,1に比すべきものであるからそれぞれ0,1ともかく。 (0), (1)
(2), (3), (4)の成立を仮定した集合を(加)群, (0), (0 ), (D,
(2),(3),(4),(5),(6),(7)の成立を仮定した集合を環, (0),
(0 ), (1),(2),(3),(4),(5),(6),(7),(8),(9)の 成立を仮定した集合を地域,全部の成立を仮定した集合を体といい,これらおよびプール 代数,ホモロジー代数……などを総称して代数系といっている。σ+ゐ=ゐ+α,σゐ=
ゐσなどの成立を仮定しない代数系に対しては非可換群,非可換環……などとよぶ。なお
(0)と(0 ),(1)と(6),(2)と(7),(3)と(9),(4)と(11)は 和の記号と積の記号のちがいだけであり,もともと和とか積とかいっても無定義関係で
あるから{(0), (1), (2), (3), (4)}と{(0 ), (6),(7),(9),
(11)}とはこれだけを問題とする限り同笹である。したがって{(0!),.(6),(7)
(9),(11)}の成立を仮定した集合も群とよび,これに比して前者を加群とよぶ。内 容は同じものであるが,場合によって都合のよい表わし方をえらぶのである。仮定される 公理が多くなる程,一般性は失われ,精密度は増す。代数系の理論が適用される対称は,
各専門分野にわたって無数といってよい程多いので到底あげ切れないが,大学教養課程程 度の例を表にして見ると,つぎのようになる。
群
1
し
環 整 一
体
{有理数},{実数},{複素数},{四元数}(非可換)
{有理式},{代数式},{巾級数},
{固定された素数Pに対してPを法とする剰余類}
{整数},{多項式}
{固定された整数mの倍数}
{固定された多項式Pの倍数}
{正方行列}(非可換)
{ベクトル空間の一次変換}(非可換)
{ある環を値域とする写像}
{ベクトル}, (加法に関して)
{固定されたm,nに対して(m,n)行列}(加法に関して)
{正則行列}(非可換){ユニタリ行列}(非可換)
{直交行列}(非可換)
{ベク.トル空間の正則変換}(非可換)
{複素ベクトル空間のユニタリ変換}(非可換)
{実ベクトル空聞の直交変換}(非可換)
{n個のものの置換}(非可換)
{正の有理数},{正の実数}(乗法に関して)
{0を含まぬ実数},{0を含まぬ複素数}
{絶対値が1の複素数}
このように無定義要素の集合,無定義関係に公理系の成立を仮定して理論を構成して行 く公理主義の利点はどのようなものか。
第一の利点は全く論理的なものだということである。平行線は更ある思う とか更隻ない と思う とかのような直観的要素の隔り込む余地がない。現実の社会ではq泊由 , 足民 主々義 などの語はそれぞれ個人々々の意味する所が一致しないので,議論をしても,お 互の一致点を見出すことは難しいが,この場合は単なる要素の集合に仮定があるだけだか
ら,人間の思惟形式が異ならない以上,議論の分れる余地はない。
第二の利点は,研究の対象を必要最小限に抽象してしまうので,対象が単純になり,見 通しがよくなるということである。不必要な要素がすっかり取り払われているので,問題 の核心が捉え易い。
第三の利点は,理論の一般化にある。要素も関係も結合も無定義なのであるから,なん らかの意味でそれにあてはまる対象にはすべて適用される。たとえば代数系の適用範囲 は,i数学の各分野は勿論,物理学,化学,工学にまでおよぶという。一般的法則の効用は 大きい。
第四の利点は,つくられた体系が道具として用いられることである。たとえば,空間そ れ自体は群や環に適合しないけれども,空間上にある意味の群や環(ホモロジー群(環)
ホモトピー群……)をつくるとき,これが位相的な不変量であったりして,その空間の性 質をある程度表わす。 (空間が同相ならば群は同型になるので,群が同型でなければ空間 は同相ではないなど)代数一位幾何学では,種々な群や環をつくって空間の研究の手掛り にしようとする。海底の地形をしらべるために発する音波や電波の役割を果させるのであ るo
今日の数学では,公理主義が主流をなしているが,種々の理論の中で,いずれの分野に
・もまたがる基本的な理論は,前出の集合論と代数系の他に,位相空間論と測度論であろ う。このうちたとえば位相空間に関する公理とは次のようなものである。
集合Rの任意の部分集合Mに対し,Rの部分集合粛を対応させる(閉包)作用素が定め
られて,
1)Mがただ一つの元から成る集合ならば翫=M 2)Rの二つの部分集合M,Nに対して MUN=巫U盲
3)M=N
が成り立つときRをこの(閉包)作用素をもつ位相空間という。 〔4〕著者によってはこ れをT1空間といい,もっと条件の弱い空閲を位相空間とよぶ。またもっと条件を強めてい くとHausdorff空間,正則空間,完全正則空間,正規空間,……など詳しい構造をもつ 窒間になっていく。また測度論は部分集合に対して数を対応させる公理をもととする。こ
.れらの理論と数学の各分野とのつながりを表示すれば次のようになろうか。
集合論
代数系の理論
(給合に関する公理系と集合)
一位相空間論一
(連続性に関する公理系と集合)
測 度 論
(量に関する公理系と集合)
(ある公理と集合)
この他にくくすべての集合 ,更曳すべの位相空間 などのように集合ではないものを対象 にする理論,Ca七egoryに関する理論がある。これは集合論,代数系,位相空間,……な どのすべてにまたがる理論で,その対象は集合論的集合としては成り立たないものまでも 含めて,ある公理を満足する系に関する理論である。 〔5〕
それにしても集合という概念は現代数学から切りはなすことのできない最も基本的なも のであることに気づく。集合を抜きにして数学は論じられないのである。
第二章 数学教育における集合の役割
数学の対象のほとんどが集合であり,数学は集合の上に築かれる理論体系であるともい えることを前章で述べた。したがって集合を用いた指導は,数学教育本来のあり方といわ ねばならない。また数学に限らずわれわれの対象をelementの集合として捉える事は物 の見方の重要な一面でもある。それ故もし義務教育に集合を取り入れることが問題だとす
,れば,それは集合に関する用語や記号が難し過ぎるということであろう。数学の教材の殆
んどが集合であることは前章で見たが,この数学を教える際に集合に関する用語や記号を 用いると本当に従来より難しくなるのであろうか。
われわれは,博門語は難しい という先人観をもちがちである。たしかに自分の専門 外の専門語には難しいものがある。しかし専門語はその専門上の事を表現するのに最適な 語の筈である。数学においても,たとえばグラフの交点の座標が連立方程式の解である理 由を説明する場合に「グラフは方程式の解集合である。二つのグラフの交点は二つの方程 式の解集合の共通集合だから連立方程式の解である。」と説明すべき所を解集合という用 語が使えなければ賦グラフは方程式を満足する劣,yの対(κ,ツ)の集まりであ る。…
… フように更解集合 カい満足するκ,ツの対(κ,y)の集まり となる。またある 二元不等式の成り立つ範囲を表現する場合に更℃の不等式の解集合の範囲 とすべき所が
賦この不等式を満足するκ,yの対(κ, y)が存在する範囲 となる。しかも文章で表.
現する場合は人によりあるいは場合により表現が異なってくる。たとえ易しい言葉で表現.
されても,文章となるとかえって捉えにくいものである。幼児は難しい漢字をかえって先 に憶えるというが,生徒にとって熟語は難かしかろうというのは,大人の誤解である。解 集合,共通集合,和集合,全集合,部分集合,集合の概念は二,三の例をあげて説明すれ ば,一応納得できる筈である。言語というものは,伝達のためだけでなく思索のためにも 重要な役割をもつ。解集合,補集合,……などの概念が生ずること自身にも大きな意味が ある。勿論集合の概念はRussellの逆理〔註3〕などから見られるように実際は微妙であ る。二,三の例をあげて説明すればよいというのは一応はそれで十分間に合うという意味 である。極端ないい方をすれば集合とは風集り とだけ解釈した生徒があったとしてもそ れ程問題はない。その解釈で不都合が起ったらそこで修正して行けばよい。実際また足空 間の全体 とか璽写像の全体 とかのように必ずしも集合論的集合をなさない 喋り
更℃011ection に関して論ずるcategory論もある〔2〕, 〔5〕。
集合に関する記号についても用語と全く同じことがいえる・積極的に取り入れるべきで ある。長い文章で表現されるより,一つの記号で示される方がはるかにわかり易い。逆に 記号の全くない数学を想像して見るだけでも,記号の重要さがわかる。義務教育の段階で は専門的な用語や記号をなるべく避けて日常の親しみ易い言葉を用いるべきだという先入 観は,ややともすれば本末転倒を起しかねない。
さて集合は義務教育にも取り入れられるべきだとして,実際にどのような場合に生かさ れるかを考察したい。
1.論理の説明において
ミツ>oならばy≧oである がわかってない大学生がある。必要条件と十分条件の関,
係,同値な条件の意味,逆,裏,対偶の真偽などについて説明する場合に集合の考え方は 効果的である。
賦AであるならばBである とはく盛である という仮設の解集合が監℃である とい う終結の解集合に含まれるという事である。この事は更猫であるならば動物である を例 にとってベン図で説明しておいてから,(2.1,2.2)
動物 終結
猫 仮説
(2,1) (2,2)
その特殊な場合として manは男である 野口英世は人間である , 曳凍京は日本:
の首都である のようなものがあることも説明する。 (図2.3,2.4,2.5)
MAN
巨
人 間.
② 野ロ英世
● 東京 日本の首都
(2,3) (2,4) (2,5)
星猫である だけで働物である 資格は十分にあること,働物である ことは更猫 である ためにまず必要な資格であることを例にとって
必要
十分
◎
(2,6) (2,7)
必要条件,十分条件の関係を理解させる。 (図2.1,2.6)つぎに く足manである こと は甥である ために必要にして十分な資格であることを例にとって同値な条件(必要十 分条件)の意味を理解させる。(図2.3,2.7)逆,裏,対偶の真偽については,く更Aなら ば:Bである という事は{A}が{:B}に含まれることであることであるが,そのとき{非
A}と{非B}の包摂関係はどうなるかを示す。(図2.8)その他帰謬法(図2.9)三段論法
(図2.10)。
(2.8)
A 非A
AかつBである の否定は更更非Aまたは非Bである , は叱足非Aかつ非Bである (図2.11)などの説明にもよい。
A
(2.9)
更更̀またはBである の否定
非A
(2,10)
Bτ
冠
(2,11)
要するに論理という目に見えないものを,図で表現でる所に妙味があるのである。
2.関数の捉え方について
前章で述べたように,集合は数学の基本的な部分を受持っているが,実は集合から集合 への写像という概念も,集合と同様に数学の基本的な部分を受持つ。集合から集合への写 像,空間から空間への(連続,位相,……)写像,代数系から代数系への(準同型,同 型,……)写像,……など,これらのelemen七aryなものが初等教育における関数であ
る。関数はすべて集合から集合への写像であるが,数の集合は空間とも代数系とも見倣 せるので,空間から空間への,代数系から代数系への写像でもある。ノ(κ)=ακは位 相写像,同型写像,線型写像,一次変換,∫(κ)=・ακ+ゐは位相写像,アフィン変i換,
∫(κ)=κ2は連続写像,∫(κ)=がは位相写像,同型写像,∫(κ)=10g。κはその 逆写像・∫(κ)一ta瑚ま(一考・晋)から(一・・・…)への位相臓……など・
義務教育ではまだ空間,代数系の概念はないが,これらへ発展的につながるものとして,
数の集合から数の集合への対応(写像)として捉えることが重要である。しかもこの捉え 方の方が従来よりもかえ.って易しいように思われる。たとえば更【みかんの個数とその値 段 , 時間と燃えているろうそくの長さ の関係などを従来もまず表(2.12)
みかん
値段
雀
10 2
20 3
30
間 時
長 さ 0
10 1
9 2
8 3
7.
(2.12>
のようなものをつくったが,これらがすなわち上段の数の集合から下段の数の集合への 対応を表わしているからである。(図2.13)
1 2
プ
3
プ ブ
みかんの個数
10 30
20
詫1 詔2
!
!
値段 定義域
(2,13)
ブ(コσ2)
∫(・σ1)
値 域
関数をグラフに表わしてその変化の状態をしらべることも重要であるが,(図2.13)の ような表わし方も関数を考察するとき役に立つものである。
3.一般と特殊の関係について
特殊は一一般に対してあり得るので,特殊なものの位置は,一般のものと比較して明らか になるαこれらを集合の形で説明すれば効果的である。
台 形四辺形
平行四辺形
正ひし形 方 長方形
形 自 然数
十 :有
理数 数 実 数
複 素 数
4。統合的な捉え方について
数学の対象となるものは,ほとんど集合であるといってよい。集合と見なすことによっ て,それらの間に共通性を発見することが多い。たとえば方程式κ2−3κ+2=0の解
集合は不等式κ2−3κ+2≦0の解集合の部分集合であり,κ+ツ課1のグラフはκ+y
≦1の領域の部分集合である。その意味で方程式も不等式も統一的に論じることができる し,解法の共通点,相異点を発見し,その共通点,相異点の存在する理由を考察できる。
5.方程式の解法において
分数方程式A=Bが与えられたとき,分母の最小倍数Qを両辺にかけてAQ=BQとし て解く。このときAQ鍔BQの解集合は, A=Bの解集合とQ=0の解集合の和集合であ るが,Q=0の解集合は定義域外のものであるから採用してはならないと説明する方が従 来のように単に分母を0とする根は捨てるというよりも論理的である。平方根号の無理方 程式A=Bは平方してA2=B2としてとく。A2=B2の解集合はA=:Bの解集合とA=一
Bの解集合の和集合であるが,このうち両辺の符号を異にする解集合は採用できないと説 明する方が従来のようにもとの方程式に代入しても満足されないからというよりも論理的
である。
以上のように集合の概念は基本的かつ発心的であると同時に,教育効果の面からも重要 な役をもつ。集合を入れる事によって,教材がより明快に,論理的に,統合的に捉えられ
るため,教育的な負担はかえって軽くなるとさえいえる。また集合の概念は数学を超え て,自然科学,社会科学でも生かされるのではなかろうか。たとえば,民主々義の発想も 国家を個人というelementの集合の見る所から生じたのではなかろうかか。人間形成の
・教育という見地からも集合は重要であると信ずる。
〔註1〕 第18次教育研究長崎県集合(1968.11.15〜16)
第13次九州地図教育科学研究集合(1968.12.26〜27)
長崎数学教育協議会G969.6.1)
、〔註2〕 通常の点,直線,平面を駅点 ,贋直線 ,R平面 として採用するときw……ただ一つし かない に対応する幾何学すなわちユークリッド幾何学ができる。与えられた一つの(通常の)球面 を曜平面 ,そこにおける大円を鷲直線 ,その球面上の点を蟹点 (ただし直経的対点は同一点と
.見徹すことにする)とすると蟹……一つもない に対応する幾何学(り一マンの非ユークリッド幾 何)ができる。また与えられた(通常の)円の内部を霊平面 ,その弦(ただし両端を含ま.ないとす る)を値線 ,円内の点R点 と定めると謄……無数に多くある に対応する幾何学(ロバチェフ スキー・ボリアイの非ユークリッド幾何)ができる。曲面上の二点を結ぶ測地線(曲面上における二 点間の最端距離を通る線すなわち平面上の直線に当るもの)を直線として採用するとき,楕円点の近 傍ではリーマンの非ユークリッド幾何が,双曲点の近傍ではロパチエクスキー・ボリアイの非ユーク
リッドi幾何が成り立つことが知られる。〔6〕
1〔註3〕Rすべての集合からなる集合 は考えられるであろうか。集合の定義からいえぼ,駅任意の要 素をとったとき,それが属するか属さないかの基準が与えられているような,ある要素の集り であ るから,これは集合の定義にかなうものであるから集合にならねぽならない。そこでこれをいま集合 Aとしよう。Aはまた集合だからA自身の要素でもある。このように自分自身を要素として含むよう な集合を第二種の集合とし,自分自身を要素として含まない集合を第一種の集合とする。このとき第 一種の集合全体からなる集合をFとする。このFは第r種の集合であるかまたは第二種の集合であ
る。いまFが第一種の集合だとするとFはFの定義によって第一種の集合を全部含んでいるからFは Fの要素である。これはFが第二種の集合ということになって不合理である。よってFは第一種の集
合ではない。つぎにFが第二種の集合だとすると,第二種の集合は自分自身を含むのだからFはFの
要素である。これはFが第一種の集合の全体からなる集合と定められた事に反して不合理である。F は第一種でも第二腫でもないことになるが,すべての集合は第一種または第二種なのであるからFは 集合ではないということになる。属するための条件がこのようにはっきり与えられていても集合とは いえないような要素の集りがあるのである。
〔1〕
〔2〕
〔3〕
〔4〕
(5〕
〔6〕
〔7〕
〔8〕
モ〔9〕
匡〔10〕
工11〕
参 考 文 献
矢野健太郎:集合共立出版
D,B.:Fucksl:Eckmann−Hil七〇n Duali七y And The Theory of Functor in The Ca七egory of Topelogical Spaces 1964,10頁
松村英之 集合論入門 朝倉書店 2頁
:L.Po磁rlagin Topological graup Prince七〇n U.互 42頁一45頁,26頁
:P.Freyd●:Abelian. Ca七egories Harper&Raw N. Y.
中沢貞治 いろいろな幾何 共立出版 7頂一93頁 中谷太郎 論理 共立出版
土倉保 数:学新講 学術図書出版 21頁
弥永昌吉編
購縷算数糧i}一
伊藤清 ルベーグ積分入門 岩波書店 30頁 河野伊三郎 位相空間論 共立出版 125頁,178頁