一・問題の所在
二 間題となった組織の実態
三 地方公務員組織の法的規制
四 労裁会議での討議
五 労働法の理論と実際
一問題 の所在
−さる二月︑2地方盃ハ団体の単純労務に雇用される職員で結成する﹁現業職員評議会﹂という労働組合が︑
︵1︶ 県地方労働委員会に対して︑不当労働行為事件救済の申立をしたり地労委でほこの事案を受理して︑現業職貞評議
会の資格審査を開始するかたわら︑それと並行して︑不当労働行為の審査を進めることに決定し︑四月以降︑調査の段
階に入った︒わたくしは公益委員としてこれらの審査に関係したが︑事案の調査が進むにつれて︑わたくし自身これ
労働法の理論と実際 ︵五八七︶ 一
目一 地方公務員のある組織に関連して ー
次 田
︵五八八︶ 二 第三十五巻第正号
まで全く検討の機会をもたなかった地方公務員舶織についての勉強を余儀なくされたの
務員法および地方公営企業労働関係法の規定の適用上︑ここにも︑さまざまの制限がおかれていること公労法の場
合と全く同断であることを実際に発見した︒また︑地方公務員としておなじ身分を有し︑おなじ地方公共団体から
給与をうけていても︑おなじ組合組織のなかで活動をおし進めることは︑制度上認められているのか︑否か︑また
敢て組地嘉二つにしていった場合には登録ができず不利益な取扱をうけることになるのか否か︑などの点につい
て︑考え方の対立があることを知って困惑を感じた次欝である︒
しか七︑本稿′では右の不当労働行為事件を取りあげ︑これを論じょうとするものでほない︒それとは全く無関係
に︑団結とこれを規制する法律との関係について︑平素から気になっていた点を︑たまたま本件の申立人たる現業
職員評議会という粗放が提供した問題を手がかり虹して考察しようとするものである︒
︵2︶
二 すでに︑昨年の二一月にILO結社の自由委員会は︑第五八次報告のなかで︑日本政府に対して地方公務員
︵3︶ の組織に閲し︑多くの質問を発してきている︒後述するように︑地方公務員の剋地の問題は︑法律の規定が入りぺ
んでいて︑即座には答えにくいはぜ錯雑をきわめている︒法律の建前からどのような縦断的︑横断的組合が組織可
能であるのか︑∵寸やそっと法律を読んだ程度では理解できない点が多いというのが︑実は︑学名の偽らぬ指摘
︵4︶ でもある︒ILO結社の自由委員会が日本政府に対して質問を発したということも︑まことに無理からぬところで
あって︑考えてみれば﹂おなじような問題ほまだいくらでも地方公務員法や地方公営企巣労働関係法のなかに横た
わっているのではないかと考えられるのである︒
本筋のとりあげる現義貞評議会の組織に関連して生じた疑問も︑\そのようた二例としてこれを提出するもので
要から︑資格審
れを行った軋すぎない︒しかし︑︑調査を進めるにつれて︑∴わたくしは当面の事案解決とは別箇匿︑次夢路﹁団結と
法律の関係﹂というあらたな問題意識に駆られ︑この機会に︑難解にして非合理的な地方公務員組織の分断制度匠つ
いて究明したいと考えるようになった︒おそらくはILO結社の自由委員会が日本政府に質問を発した気持ちも︑
おなじような理由に基づくものであったろぅと推察されるのである︒このよケなわけで︑地方公務員組織のなかの
全く忘れられたような︑まことにささやかな組合についてではあるが︑問題略あくまでも大きく深いので︑これを
追求してみたいと思ったのが本稿執筆の動機である︒
三 ところで︑地方公務員組織のなかの︑ささやかな団結のいか
ろうかっ 二言でいえば︑それは組織の形態とそれを規制する現行法との関係からくるものである︒問題を提供した
現業職員評議会という組織は︑単純な労務に雇用される職員をもって結成する.則般職地方公務員の労働組合である
が︑その概要についてほ︑地労委の調査と相侯ち︑資格審査において仙応のことは掴めていた︒′しかし︑いよいよ
不当労働行為の審査が始まり︑審問にさきだつ調査の段階で︑当事者の陳述を直接聴取している間に︑この組合の
殖合員は同時に︑またP地方公共団体の一般職口貝で結成する職員団体にも加入している事実が判明してきたのであ
る︒しかも︑この事実は︑見る人によってほ首肯することのできない逮態な事態として眼にうつり︑排撃すべきも
のとして指摘されているユうでもある︒そして︑強くこれを指弾するその態度は︑わたくしどものようにこのよう
な組織の在り方を必ずしも否定せず︑むしろ容認するに近い態度や考え方と︑甚しく噴いちがっているようにも感
ぜられてきたのである︒ここから︑わたくしほ事案の審査とは別簡に︑わたくしの学問的興味から︑いま少し立入
って︑右の組織の実態に触れてみたい関心を唆られ︑同時に︑わたくし自身の考え方も吟味しなければならないと
願うに至ったのである︒そこで︑わたくしは︑大体︑つぎのような手順で問題点を確かめる努力を重ねてみた︒
労働法の理論と実際 ︵五八九︶ 三
︵五九〇︶ 四 第三十五巻 第五骨
まず︑そのような組織の在り方はP地方公共団体だけにみられる独特の形態であるのか︑それとも他にもあるの
か︑たとえば︑県庁職員の場合はどうなっているのか︑また県下の他の市町村ではどうなのか︑これらの点を明か軋す
る必要に迫られていった︒幸いに県下の地方公共団体における実情に′ついては︑すでに地労委事務局の調査があった
︵5︶ ので︑県職をはじめとして県下の大勢は︑P鞄方公共団体の例と同山の行き方をとっている事実の多い乙とが明白に
なった︒そこで︑つぎに他県の場合はどうであろうかと考えて︑四国全般についてその実情を明かにするために︑この
点についても地労委事務局を煩わして︑各県地労委に照会して貰った︒・その臥答は︑五月末に松山市で開催された労
働委員会四国ブロック会議の席上へ 各地労委代表者からの報告のなかで︑直接にわたくしが詳しく聴取することが
できた︒これらの調査の結果︑﹁地方公共団体の職員中︑地方公務員法第五七条にいう単純な労務に雇用される職員
のみが組拙する労働組合の組合員は︑同時にその地方公共団体の脚般職の職員の組織する職員団体にも加入してい
る﹂という事実が︑ひとり本県下だけでなく︑四国全般にわたって一般的に指摘できることを確めえた︒おそ
らくは全国的な現象でもあろうかと想像してみた次第であるが︑こLで問題となるのは︑地方公務員の労働関係を規
制する各種の法律が︑このような事実を必ずしも認めていないとして︑その適法性を強調する立場があると考えられ
︵6︶ る点である︒現に自治庁辺りの行政指導にも︑明かにこの点を問題にして通達を発していると指摘する向きもある︒
そこで︑わたくしほさらにこの点についての法律的見解を確かめることを思いたち︑重ねて地労委を煩ゎして︑
︵7︶ 本年度高松高裁管内労裁会議の議題の一つとして︑このことを予め提出しておいて貰った︒この会議はさる七月中
旬匿高松市で開催されたが︑当日の会同員ならびに参列良からこもごも発言があり︑長時間にわたって討議する㌃
きた︒結論的匿は︑労働委員会側 の積極説と戯判所例の消極説とが対立した形になって︑決定約な二つの凝
拠の説明紅ついて必ずしも判然としないものが多かった︒わたくしは議題の提案理由についての説明と補足を行っ
たはかに︑特に︑最高裁派遣裁判官の見解と中労委公益代表の考え方に対して肇問を試みたのであるが︑いずれから
も平素わたくしが抱懐しているような考え方に触れる回答はえられなかっ尭︒わたくしにとってほ問題ほ依然とし
て未解決のまま存続している形になっている︒畢菟︑本稿では前述の調査で明かとなった団結の虜態について︑わ
たくしなりにこれを追求して結論をだすはふなさそうである︒
︵1︶ ﹁地労委における不当労働行為事件審査の概況﹂ ︵中央労働時報 第三八三号︶二叫頁参照︒本件申立の概要は︑印刷工
場を管理する会計課長が︑第二組合結成.のきざしが表面化すると積極的に第二組合加入用紙を取寄せ︑印刷所内の職員七名
を強制的紅第二組合に加入せしめたというものである︒なお︑本件ほ七月四日に至り︑申立人から取下げた︒取下げの理由
は明かでない︒
︵2︶ 昭和三六年一山月開催のILO簡﹂五〇回理事会ほ︑次の通常国会にはILO条約関係法案を提出し承認を求める努力を
おしまないとの日本政府の言明に留意し︑第八七号条約がまだ批准されない事実転失望するとのILO結社の自由委員会第
五八次報望を承認した︒その結果︑同年ニー月のILO結社の自由委員会は︑第五八次報告を通して日本政府に対して︑地
方公務員組織紅ついて多くの質問を発している︒野村平爾↓地方公務員の組織﹂ ︵法律時報 昭和三七年二月号︶六六頁︒
︵3︶ 本稿一エ﹁地方公務員組織の法的規制﹂一二貰以下参照︒
︵4︶ 野村前掲論文参照︒
︵5︶ ただし︑それらの態度ほ自治体によって︑いろいろになっているようである︒現行法上差支えないとしているもののはか
に︑たとえば︑単純な労務に雇用される職員は加入していないとの劇札を組合に提出させた上で︑登録の手続をすませ︑あ
︵五九こ 五 労働法の理論と実際
第三十五巻 第五号 ︵五九二︶ 六 とほはは被りでいくもの︑あるいほ︑他の自治体でも認めているという理由で登録にふみきったもの等々◇
︵6︶ 昭和二七︑仙○︑三一日行公発第九〇号自治庁公務員課長発 大阪府総務部長宛
︵7︶ 労裁会議は︑正式にほ労働委員会︑裁判所合同協議会とよぶ︒本年度は七月ス︑完両旦向松市で開催︑会同員ほ裁判
所側から裁判官玉名︑地労委側から委員劇八名︑参列貞として最高裁︑高松高裁︑中労委︑︑各地労委関係者のはか県知事︑
関係部課長ら二〇名︑計四三名を以て構成︑本件ほ議題七﹁地方公共団体の職員中︑地方公務員法第恵七粂にいわゆる単純
な労務に雇用される老のみが組織する職員組合の組合員は︑同時にその地方公共団体の′﹁般職の轡貝︵但し革労を除く︶の
組織する組合の組合員となることができるか﹂として提案された︒
︵8︶ 後出血七頁 四 ﹁労裁会議での討議﹂参照
こ 問題となった組織の実態
一間題を考えていく順序として︑初めに指摘した︑﹁現業職員評議会﹂の組織の実態をみなければならない︒し
かし︑わたくしは本稿の直接目的として現業職員評議会を問題にするのではない︒すでに妄口したように︑たまたま︑
この現業職員評議会の資格をみていくうちに︑その構成員が同時竺般職員団体の腐成員でもあるという事実が問
︵l︶ 題となったのである︒しかも︑そのような事実は広く山般に行われているにもかかわらずハ地方公務員組織を規制す
る現行法の立場との関係から︑かえって︑現実に行われているこの形態が︑遵法なものとして否定さるべきだとする
意見や指導がなされる七ころに︑本稿の問題があるのである︒わたくしはごこで︑さしあ尭り現業職員評議会の実態
うな組抽の在り方
︵2︶
現業職員評議会の成立の経緯は︑おおよそ︑つぎのようである︒さる三四年の夏︑P地方公共団体職員労働組合︵
以下P職労という︶は︑臨時職員の全員定数化を主要闘争目標に掲げて︑現在の現業職員評議会の構成員たるとこ
去の単純労務に雇用される職員舎貝を︑P職労へ加入させることによって︑P職労の組織を一層強化するという運
動をはじめた︒従来︑これらの臨時現業職員の労働条件は所属各課により差別があって︑格別に労働者としての権
利の保障もなかったらしい︒ある諌では職制の迫圧から殆んどP職労に加入するものがなかったとか︑またある職
場では職場委員の組合会議出席や職場活動に対していやがらせが行われたとか︑とかく職場の環境にはめぐまれな
かったという︒しかし︑三五年に入っ.てからは︑未組織状態に低迷しっづけたこれらの臨時現業職最も︑その労働
条件や職場の実態が劇般職員と相当に懸阻のある点を自覚しはじめて︑ようやく自らの要求をかかげ︑自主的な立
上りをみせるようになった︒こ︑の動きは︑かねてから現業隊員のために特別の組織対策と待遇改善を求めて︑これ
を2職労強化の蒜とするよう斗いつづけたP職労の努力の成果でもあったようである︒こうして同年有末︑現
業職員はP職労のなかで︑その組織の強化と自らの労働条件の改善をめざして︑はじめて﹁現業職員評議会﹂を結
成することができたのである︒もっとも︑この段階での現業職員評議会は︑︑まだ独立の労働組合ではなく︑いわば
P職労のなかの脚部会としての存在にすぎな.かったようである︒だから︑この点を指摘した管理者は現業職員評議会
を否認する態度を固持し︑強硬に看板の取外しを要求してきた事実などもあったらしい︒このことに対抗してP聯
労では︑現業職員評議会の自主的運営を期待し︑速かに労組法第二条および第五条の資格要件を具備できるよう援助 一
に努めた事実もあったという︒ただ︑形式的にほ無資格組合であっても︑現業職員評議会が実際活動において現に幹
事会を中心に自主的運営ができるまでに成長を遂げている以上︑管理者の右のような態度ほ不当な干渉であるとす
︵五九三︶ 七 労働法の理論と実際
第三十五巻 第五号 ︵五九四︶ 八
るP職労の抗議や︑法外組合といえども当然憲法第二八条の団結権が保障されて・いるというやりとりも記録されて
い㌢こうした状況のなかで︑現業職員評議会自身にあっても幹事会を中心とする活動は次第覧実を示し︑P職
労のなかで鵜合員資格を偲有しっつ︑仝時粧当然に労組法の適用上その保障もえられるものとして︑労組法第二条
ぉよび第五条の要件を傭える努力がつづけられた︒その結果︑昨年六月︑第二回現業職鼻評議会の定期大会におい
て︑さきの給成大会で作成された規約ノについ・て︑あらためてその不備を補正し︑﹁P地方公共団体職員労働組合囁
兼職員評議会規約改正の件﹂として諮り︑ここに︑現業職員評議会の資格要件は整備され︑法内組合であることが 丁こ 確認されるに至ったという経過をたどって′いる︒
ニ現業職員評議会の構成員は︑単純な労務に雇用される十般職の地方公務員である︒その所属は清掃︑道
路︑失対︑河港の各課にわたっており︑その種類も各課紅勤務する現業職員のはかに︑なお︑学枚給食調理員や用
務員︑看護婦あるいは印刷現業員なぞ︑甚だ広汎多岐払わたっている︒これらの単純労務に雇用される職員の具体的
範囲は︑恐らくほ﹁単純な労務竺展用される﹁般職の地方公務員の範囲を定める政令﹂ ︵昭和二六年政令第二五号︶
の規定するところ紅準拠したものであろう︒ただし︑管理︑監督の地位にある老および機密の事務を扱う者は︑そ
︵4︶ の職種にかかわらず︑単純な労務紅雇用される職員にほ該当しないものと解せられている︒しかし現業職貞評議
会の構成員申に若干のこれ軋該当する者が存在していることは事実である︒
この労働組合の法律上の板拠は︑後述するとおり︑地方公務員法第恵七条に規定する職員中︑単純な労務に雇用さ
れる〟般職地方公務員の労働関係その他身分取扱について︑地方公営企業労働関係法が準用される︵地公労法附則4︶
ことを規定レたところ匿考つくものである︒ここから︑靂滋︑単純な労務に雇用される職員は︑労働組合を結成
入するこ
・ぎるし︑二に︑このように地公労法上︑単純な労務に雇用される職員は︑地方公営企業の職員と同様に扱われるが︑本来︑
地方公営企業労働関係法ほいわゆる縦割現業たる地方公営企業およ必その職員を規律の対象としてぃるのに対し
て︑ここにいう単純な労務に雇用される職員は︑右にみたとおりに︑
員のなかに混って勤務するところの頗割現菜ともいうぺき労働者である︒かくして︑これらの単純な労務堅展用さ
れる職員は︑地方公営企業軋相当する企業組織を有しない場合が多い点において︑さらに性格上の特色をみせてい
るということができる︒
ところで︑単純な労務に雇用されるこれらの職魚は法律上の取扱でほ︑地方公嘗企業労働関係法の準用をうけるけ
れども︑以上のような性格上の特色をもつ組織の常識からいえは︑職場を同劇にする一般職の地方公務員の結成する
職員団体に加入することは極めて自然であり︑現実にも仙般職の地方公務員と合して︑地方公務員法の適用下に運用
されているという実態がある︒しかしまた反対に︑仝一条件で待遇されるならともかく︑差別のなかでは自ら単組形
態を欲せざるをえないという事情にもあるのである︒それにもかかわらず︑なおかつ単純な労務に雇用される職員だ
けではやっていけないところに︑現業職員評議会が右ノのような存在形式をとった理由があるといっセよいであろう︒
三 以上に考察したところをまとめると︑つぎの二点が目につく︒すなわち︑単純労務堅展用される磯風は︑劇般
職地方公務員と合して︑その職員組合に加入し︑地方公轡貝法上の職員団体の﹂嵐たる地位を保有していること︑
同時にまた︑これらの単純労務些雇用される職員は︑別に一箇の独立労働組合上して︑地方公営企業労働関係法上
の労働組合に結合し組織されて︑その二見たる地位をも保有していることの二点が特徴的で濁る︒
しかし︑組織のこのような在り方の評価については︑労使両当事者間は必ずしも一致していない︒使用者たる当
︵五九五︶ 九 労働法の理論と実際 るのである︒この点にぉい
第三十五巻 第五号 ︵五九六︶ 岬○
局の指摘するところでは︑地方公務員法第五七条および地方公営企業労働関係法附則第四頓に規定するとおりに︑
現業職員が地公労法によ.って労働組合を設立するこどがてきる点ほ︑これを争うもので軋ないが︑ただ︑現在の現
業職員評議会は労働組合法第二粂本文にいう自主性ない.し主体性dある労働組合とはいえないというのである︒そ
の理由と・してつぎの二つをあげている︒理由の山は︑P職労が単位組合として登録され︑現業職員評議会はP職労
の組織のなかに包摂されているにすぎないという主張である︒理由の二ほ︑単独の労働組合として組織された地公
労法上の軸合たる現業職員評議会は︑労組法のいわゆる資格要件を欠いでいるが故に︑これを認めることができな
いという指摘である︒
嘉の理由の第一紅ついてみると︑現業職貞評議会はP職労がその組織を強化するためにつくったもので︑組織内
の単なる山部会としてしか考えられないと当局はいっている︒たとえば現業職員評議会結成後のP職労の役員選挙
の際紅も︑従来通りに現業職員を含めた全職員を対象に選挙が行われたと拇摘し︑かつ︑P職労は現巣職員評議会
との連合体としてでほなく︑単位組合として職員団体登録が行われているとも指摘している︒また︑第二点につい
てほつぎのような説明を加えている︒もし︑現業職員評議会が地公労法上の労働組合であるとすれば︑地方公務員
法紅よる職員団体と異って︑組合活動の抑制が腰和されて︑鹿用着たる当局と団体交渉ができるし︑︑また︑労働協
約を締結することも認められているはずである︒こうしてこそ現業職員評議会を結成した基本的な目的も連せられ
るわけであるが︑現業職員評議会は︑かえってその規約のなかで︑団体交渉権をP職労に委任している︒このよう
に自己の組合活動権を放棄七てかえりみない行為は︑組合としての白宜性︑主体性を欠く証左であって︑労組法第
二条欝−項匿いう労働組合とはいいがたいといケ′のである︒
労組織の応援指導は当然のことであると主張している︒いわんや︑親組合ともいうべきP職労の支援指導は︑自治体
労働者の立場からいっても当然すぎるはど自明の相互協力であると強調し︑また︑P職労の執行部に対して現業職
員評議会の役鼠を送りこむことも︑なんらの不思議ではないと反論している︒さらに︑使用者側の指摘する第二点
軋ついては︑当局が組合規約琴二条﹁団交委任﹂の項をとりあげて︑基本権たる組合活動権の放棄であるという
のは︑事実誤認賢る不当な解釈であると主讐︑周業警評議会疫︑現業職員が主体となっ盲計に組織し道
営する団体であるととを述べ︑その証明収︑由兼職員評議会の第一回結成大会以後の経過点よび第二回定期大会が
自主的把道営され︑かつ︑執行観閲たる幹事会も定期側に開催されるなど︑常に自主的活動をつづけてきた点呼裏
付けられている旨を強調している︒
以上の論点のうち︑その後者︵第二点︶に関するものほ︑現業職員評議会に対する支配介入事件としての繋争事
案たる不当労働行為の中核に触れる部分であるが︑本稿の取扱う問題ではない︒ここではその前者︵第†点︶につ
いて︑単純な労務に雇用される職員の加入したP職労という職員団体に関連する限りにおいて︑現業職員評議会の
組織な問題とすれば十分である︒
︵l︶ 前述の不当労働行為事件を問題にしていない本稿の立場では︑現業職員評議会の資格に触れる必要はない︒ここでの問題
は︑〟般職員団体の資格が中心となる︒しかも︑このような一般職員団体の事実上の組織が可能であるか不能であるかの問 ︑
題でなく︑法律の適用の結果︑登録をうけうる団体となれるか否か︑または労組法罪五条一項のいうような意味での組合と
しての資格を具備しているかどうかといった視点からの問題が中心となる︒
︵2︶ 成立経緯についてここに述べるところは︑すべて現業職貝評議議会第二回定期大会議案集写しによったものである︒
︵3︶ 以上の記述ほ︑現業職員評議会の成立経過のなかに盛付けられた一般職員団体との盟密関係の自然発生する姿を伝える過
労働法の理論と実際
︵五九七︶ ㌦〟ー公務員の労働法上の地位は︑戦後︑いろいろの変速をみせている︒最初︑旧労働組合法︵昭和二〇︑二﹁法律
第至号︶は公務員の労働関係を︑原則として民間労働者の労働関係と同這取扱うことを本旨とし︑わずかに警察
官︑消防職員および監獄勤務者についてだけ︑労働組合の結成︑加入を禁止した紅とどまった︵同法第四条議︶︒
ただ︑旧労働関係詞整法︵昭和三︑九︑法律第二五骨︶が公務員の特殊性に基づく最少限度の例外として︑表公務
員の争議行為を禁止し︵同法第三八条︶また現業公警貝については︑抜打争議を禁止するため冷却期間の制度を設け
た︵同法第三七条︶ことなどを除けば︑民間労働者となんら差別されるところはなかったといえよう︒従ってこの段
階では︑地方公務員の労働法上の取扱について︑特に取りたてて論議を必要とする問題は山つもなく︑地方公務員
は国家公務員と並んで︑原則として労働三法の適用をうけたのである︒いわゆる全官公労組というわが国最大の労
働組合が結成されて︑これが終戦時の官居合同の労働戦線の先頭に立って活動をつづけたことは︑なお︑世人の記 憶にあら尭なところである︒
しかし︑やがて︑昭和二三年七月︑労働運動の高揚期における官公労のそれを抑圧するために︑国家︑地方各公
務員の労働運動を制限することとなったマ醤簡と﹂ それに基づく政令琴一〇山号︵昭和二三年七月三言公布施行︶
は︑現釆と非現釆をとわず︑公務員の争議行為を禁止し︑ 第三十五巻 第正号 ヒ日であるから︑現業職員評議会の内部問題にほ放て立入らない︒
︵4︶ 昭和二七︑九︑ニュ労政局長発第二ハ書写参照︒
︵1︶ 三 地方公務員組織の法的規制
かつ協約締結を眉的とする団体交渉を否認した︒とこか ︵五九八︶ l二
まず︑改正国家公務員法の施行︵昭和二三︑一二︶によって︑国家公務員ほ︑労働法上︑民間の労働者とは全く興
る地位を有するものとなってしまった︒その勤務条件についての自主的協定が認められないばかカでなく︑争議行
為は全く禁止されたのである︒また︑これと前後して︑国鉄︑専売などの現業官庁を公社制皮紅切⁚替え︑それらの
職員の労働関係を規制するために︑旧公共企業体労働関係法︵昭和二三︑二﹁法枠第二五七号︶が制定され︑ここ匹
公務員組織の分断制度の一半が発足したことほ周知のとおりである︒
しかし︑地方公務員の組織転ついては︑右の分断制度の構想を踏襲するものとしての︑地方公務員法と地方公営
企業労働関係の制定は︑なお︑見送られたままとな?ていた︒て?には︑統・劇的な公務員制度確立のために国家公
務員法の実績をまつという意味もあったであろう︒しかし︑おノそらくは︑すでに大体において暫定措置としての政
令第二〇一号および第三二五号が作用していたため︑急速の立法を必要としなかったからであろう︒
二 このようにして︑しばらく暫定措置ですまされていたものの︑地方公務員法の立法促進の要求は︑法案の国
会提出をいつまでも遷延することを許さなかった︒ついに︑地方公務員法は昭和二五年仙 仙月︑第九臨時国会把捉
∴潰され︑若干の修正を経て両院を通過し︑一二月に法律欝二六〟号として公布された︒本法は基本的には国家公務
員法の定める原則の多くをそのまま採用して成立していることもちろんである︒国家公務員法における経験から︑
︵2︶ 政治活動や団体交渉権について多少の緩和が庵されたようにみえるふしもあるが︑なお︑厳重な制約が附されてい
る︒すなわち︑国家公務口貝法の場合とおなじく仙般磯の地方公務員に対しては︑労組法︑労調法および二部労働基
準法の適用が排除されている︵同法第五八灸︶︒もっとも︑地方公共団体の職員ほ︑職員団体を結成し︑加入し︑これ
を人事委罠会に登録し︑給与へ 勤務時間その他勤務条件に閲し当局と交渉ができる︵同法第五二条︶としているが︑
労働法の政論と実際
︵五九九︶ ヤ三︵6︶ ′こ之を検討しなければならないが︑後述するところにゆずる︒ 第三十五巻 第正号 ︵六〇〇︶ ㌦四 職員団体はこれを組合という名称で呼ん・でも︑労働観合法はもはや二般職の公響貝に適用されないから︑それは労
︵3︶ ︵4︶ 働法上の労働組合ではない︒職員団体にほ団体協約を締結する権利もなく︵同法第五五条二男但書︶この点においで︑
職員団体の交渉は団体交渉権に基づく団体交渉とは異るものである︒争議梅についてもこれを全面的に剥奪し︑職員
団体の争議行為および職員のなす怠業行為が禁止されるばかりでなく︑進んでさらに︑職員および職員以外の者も︑
本項によって禁止される行為の実行につい︑て共謀し︑そそのかし若くはあおってはならない︵同法第︑三七条−項︶ しと規定している︒
ところで︑地方公務員のうち︑地方財政法璽ハ条に規定する地方公営企艶の職員の労働関係および身分取扱につ
いては︑地方公務員法はこの法律に対する特例を定める法律が制定実施されるまではへなお従来の例による︵同法
附則二〇項︶こととした︒また︑これと並んで︑嘩純な労務に雇用される職員疫ついても別に法律で定める︵地公法
第五七粂︶と規定し︑つづいて︑地公法附則二堵は︑右の職員の身分取扱については︑その職員に関して同様の規
︵5︶ 定に基づきこの法律に対する特例を定める法律が制定実施されるまでの間は︑なお︑従前の例によるこ\ととした︒こ ︑
れらの規定の結果︑ここに地方公営企業職員および単純な労務堅属用される一般職の地方公務員は︑なお従来通り
に︑政令第ニ○劇号による拘襲のもとに争議権と団交権を制約されたまま︑労躯法の適用をうける労働組合とし て︑組合活動をつづけることができたわけである︒
問題はこの段階で脚般職地方公務鼠の組織する職員団体と右の単純な労務に雇用される職員の組放する労働組合
とは敢然として分断され︑全く割切られたものとなったとみてよいのか︑それとも必ずしもそうでないのか︑この
基調堅止って︑地方公営企業職員︑を地方公共団体の表駿の職員から区別しで取扱う単独立接である︒地方公務員 のうち︑地方公営企業の職員および単純な労務に雇用される職員の労働関係については︑地方公務員法附則第二〇 項および第三頓において︑別に法律が制定実施されるまでは従前の例によることとし︑暫定的措置としての政令欝 二〇喜の枠内において︑労働組合法が適用されてきたことほ前述したとおりである︒しかし︑今後は地方公営企
業労働関係法および地方公営企業法︵昭和二七年法律竺九毒︶の実施によってあらため≡れらの法律による新 しい姐律が始まることとなったのである︒すなわち︑地方公営企業職員の労働関係については地方公営企菜労働関
係法の定めるところ賢るのであり︑それに規定のないものについてほ︑労組法︵第七条廉二号但苔︑第八条および欝
Tハ条の規定を除く︶および労調法の定めるところによる︵同法第四条︶わけである︒また︑地方公務員法第五七条に / 規定する単純な労務に雇用される義職の職員であって︑地方公営企業の職員でない者に係る労働関係その他身分
取扱については︑特別の法律が制定施行されるまでの間は︑地方公営企業労働関係法が準用される︵地公労法附則第
四項︶のである︒ こうみてくると︑地方公営企業労働関係法は地方公務員たる地方公営企業の職員および単純な労務些雇用される 職員の身分取扱に関する面からみれば︑地方公務員法の基本的原則に対する特例をなすものである︒また︑他方︑労働 関係に関する面からみれば︑労働関係に関する基本法たる労組法︑労調法に対する特別法をなすものであるというこ
とができる︒なお︑この際︑見おとすことのできない点として︑地方公営企業労働関係法第云粂が︑地方公営企業 ︵7︶ 法第三七条から第三九条までの規定は︑これを同法第三六条の企業職員以外の職員について準用すると規定してい る箇所が重要である︒本条の規定は地方公営企業労働関係法の準用をうける単純な労務に雇用される職員にも準用
されることとなるのであろうか︒従っ妄た︑地方公営企業法算三九条の規定する︵地方公務員法上の当該︶条項ほ
︵六〇こ 妄 労働法の理論と実際
第三十五巻 第五号 ︵六〇二︶ 二ハ
適用を排除されて︑単純な労務に雇用される職員は地方公共団体の蒜職の職員団体に加入することは︑これを否
定されているものと解しなければならないのか︑これらの条文適用上の関係については見解が岐れているようであ ︵8︶ る︒
︵1︶ 本節に引用した資料の主なものは左の通りである︒
峯村光郎﹁公共企業体等労働関係法公務員労働関係法﹂︹法律学全集︺四八巻︒
松岡三郎外﹁条解改正公労法︑地公労法︒﹂労働省労政局労働法規諜﹁労働関係法令解釈総覧︒﹂
高窪︑横井﹁官公労法︒﹂
︵2︶ 地公法第五五条二項は﹁職員団体は︑法令︑条例︑地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程にてい触し
ない限り紅おいて︑当該地方公共団体当局と諾面による協定を結ぶことができる﹂と規定している︒国公法と比較して︑一
見して差異があるか紅みえるが︑実質ほ興るものではない︒なお︑このような規定が現われた政治的背景として﹁団体協約
締結権の回復への礎石を布きたいという政治的な動きが透った﹂とする浅井説の指摘がある︑峯村前掲﹁公務員労働関係
法﹂ 三五頁註五参照︒
︵3︶ 従前の関係から︑職員団体が職員組合という名称を用いるであろうことを予想して︑組合という文字を用いたにすぎな
い︒佐藤︑鶴海 公務員法 三八六頁参照︒
︵4︶ 前掲 註︵2︶参照︒
︵5︶ 後出 塾貝参照︒
︵6︶ 後出 ㌦八頁以下参照︒
∴7︶ ﹁魔公労法の凝行につ・いて﹂膳和二七︑九︑﹂三労発第二ハ号労政局長通達文参照◇
見参照︒
−わたくしは冒頭に提起した問題に答えるために︑些か迂回しすぎたようである︒しかし︑前に﹁問題となっ た組織の実態﹂として述べたところは︑あくまでも︑この問題を検討するための卑近な手がかりとして︑劃応の参 考までに提供した事例にすぎないが︑現業職員の組合が忘職員団体との緊密関係のなかで︑白魔発生する姿を理 解してもらえはよい︒また﹁地方公務員組織の法的規制﹂について眺めたなかからも︑果しで右の組織上の疑問点 を解明するに足るだけの根拠がえられそうにもみえないが︑後に展開する議論の前提としての関連が判れば十分だ
と思う︒しかし︑ともかくこの辺で本題に戻り︑各地におい三般把持摘されている前述の組織−単純な労務に雇
用される職員を湛えで姑成された自治労の組織−についての問題点を追究することにしよう︒問題に迫っていく 順序として︑まず解釈論的立場から︑右Ⅵような地方公務員の組織は︑現行法上是認されるか否かの点から始めよ う︒そのためにほ︑最初に紹介した労裁会議での討議について︑これを検討することが便利である︒
︵1︶ 労裁会議の当日︑わたくしはこの議題について提案の趣旨を説明し︑会同口湯発言を求めたが︑これに対して︑
まず各地労委の会長から︑それぞれを代表して見解の発表があった︒それらの見解は理由としてあげるところは異 っても︑述べるところは姦して︑問題の組織を現行法上差支えのないものとして是認する砿極説の展開であっ た︒しかし︑その法的根拠として︑第何条の規定によってそうなるのたといった点については︑明確な指摘がなか ったようである︒例えば︑関係法条のどこを探がしても︑単純な労務に雇用される職員が一般職員団体に加入する ことを禁止する規定は存在しないとか︑あるいは単純な労務に雇用される職員が地公労法の準用をうけて労組法上 の取扱をうけうるのは︑それだけ山般職員よりも優遇されているわけであって︑もしそれ以下の規制に甘んじて劇 般職員団体に加入するならば︑それほそれとして差支えのないことであるというように理由説明がなされた︒しか
︵六〇三︶ 仙七
労働法の理論と実際
︵六〇四︶ 一八 第三十五巻 第五号
し︑各地労委のこれらの見解に対して︑会同の各裁判官の側からほ全く意見の発表がなされなかった︒そこで︑わ
︵2︶ たぐしはさらに補足して︑地方公営企業■労働関係法鷺二七条の規定を取上げ︑この規定ほ地公労法の準用をうける
単純労務者にも準用されるのか︑従って単純な労務に雇用される職員は地方公共団体の一般職貝田体に加入するこ
とは否定されていると解すべきかと質問してみたのであるが︑ゝ﹂の点についてほ労・裁いずれの側からも適切な答
をえることができなかった︒
こ ただ︑最後に︑オブザーバーとし一て参列の中労委公益代表と最高裁派遣裁判官との双方から︑この議題につ
いて予め検討されてきた点を︑中労委並紅最高裁の公式見解として伝えられたことほ︑わたくしにとって甚だ有益
︵3︶
であった︒つぎ彗その概要をのべておこう︒
中労委の統創見解として示された内容は︑大体︑つぎのようにまとめてよいと思う︒すなわち﹁明文の規定もな
いことだし︑法的根拠を正しく指摘して説明することはできないが︑結論的にほ各地労の述べたように︑単純な労
務に雇用される職員が︑山般職員団体に加入してその組合員となることは差支えない︒ことに︑仙単純な労務に雇
用される職員が馴般職員団体に加入している事実が︑劇般に黙認されていること︑㈲ILO琴八七号条約の批准が行
われると立法的誓﹂れらの問題が措際されると期待しうること︑以上二点を勘案すかと︑いま恵ちにここで結論を
出す必要はない︒しかし︑単純な労務に雇用される職員が仙般職員団体に加入して︑その構成口貝となることはでき
る﹂というのである︒
中労委のこのような見解に対して最高裁の考え方ほ正反対に示されたが︑その要点ほ次のようなものであった︒す
なわち﹁減員団体に職員以外の者が加入できるか︑できないかの問題は︑山般に堅剛者であると解したい︒こと紅組
︑職長が主体となって眉主的匿・結成す㌧恩限り問題はない︒しかし︑この
用される職員ほ\それらの職員の仲間同志で団結することは差支えないが︑それ以外は認められない︒この意味で
も︑単純な労務に雇用される職員に対して地公労法第一七条の準用があるものと考ゝ忽ている︒なお︑この間題は別
の角度から︑法律適用の効果を検討することによっても理解しぇられるのではないか︒たとえば馴般職員の団体に
加入できるか否かは︑そこでどのような救済がえられるかを考えてみるとわかりやすい︒単純労務に雇用される職
員に対して人事倭員会や公平委員会が︑仙体どのような救済を与えることができるのか︑また︑労組法上の救済を
考えてみる場合にも︑﹁般職員団体のために活動しても労働委口民会の救済はうけられないではないか︒このように
考ゝえ︑諸規定を照らしてみると︑単純な労務に雇用される職員が劇般職員団体に加入することは︑現行法上認めら
れてはいない﹂というのである︒
労裁会議で提出されたこの議題に対して︑会同の各裁判官から何らの見解をもきくことができなかったことは︑
甚だ遺憾であったが︑それだけ法律規定め関係が複雑難解の一証左であぉともみえよう︒しかし︑それほともかく
として︑地労委︑中労委を含めた労働委員会側と最高裁によって代表された裁判所側の見解とが反対に表われたこ
とほ︑甚だ意味深長である︒しかし問題の組織についての法的解明を与えたものとしては︑果してそのいずれに組
みしてよいのか︑依然として去就に迷わざるをえないものがある︒わたくしは︑つぎに︑以上双方の発言につい
て︑若干の検討を加えようと思う︒
三 まず︑労働委員会側について劇様に指摘できる点ほ︑問題の組織が現行法上差支えのないものであると結論
づけているが︑その根拠は必ずしも明瞭ではないことである︒せいぜい︑それは規定の上で積極的に禁止されて小
ないから︑差支えない七あろうという程度である︒わたくしは︑むしろ中労委が単純労務に雇用される職員の山般
︵六〇五︶ 山九
労働法の理論と実際 純な労務に雇用され る職員につ いて︑ことさらに特例 めることにな ている︒その結果として︑
第三十五巻 第五号 ︵六〇六︶ 二〇
職員団体紅加入している事実を取上げて︑それが則般に行われているという点をみつめ︑ここに最大の根拠を求め
︵4︶ てその合理性を見出そうと努めている態度が重要であると考えている︒
ところで︑最高裁見解として打出された裁判所側の態度は︑どこまでも法文の脈絡のなかに現行法の法意を摘も
うと努めていることは疑いがないが︑はたし七その結論の通りにうけとってよいであろうか︒ことに単純労務に雇
用される職員の脚般職員団体への加入を認めるべきでない根拠として︑地公労法東七粂の準用の結果が単純労務
者にも及ぶという説明ほ︑どうしても首肯すかことができない︒いうまでもなく︑地方公営企業法でほ同法の地方
公営企業職員について︑地方公務員法ノとは別箇に取扱うことを規定し︑その節lニ七条以下において︑地方公務員法
紅基づかない職階性を採用すること︵同法第三七条︶給与の種類および基準は条例で定めること︵同法第三八条︶地方
公務員法の山部が適用を排除されること︵同法第三九条︶などを定めている︒けれども︑わたくしの考えでは︑地方
公営企業労働関係法笛二七条の規定ほ︑右の企業職員に対する身分取扱の特例を︑企業法の適用をうけない小規模
の地方公営企業の職員にも及ぼし︑その取扱を同一にするために設けられた規定であるにすぎないと解している︒
地方公営企業の職員が︑その労働関係についてほ地公労法を︑また︑身分関係についてほ地方公営企業法を有して
いることは︑全くその通りであってこれを否定するものではない︒しかし︑地方公営企業の職員の労働関係に関す
る法律たる地方公営企業労働関係法を︑単純労務堅展用される職員に準用するという場合に︑地方公営企業職員の
身分取扱に関する規定としての地方公営企業法が当然に準用されるべきだと立論できる根拠はない︒このように考
えると︑地方公営企菜労働関係法第一七条の結果として︑尊純労務に雇用される職員が地方公営企業法第三九条の
準用をうけ︑地方公務員法の通風を除外され︑その結果︑地方公務員の一般職貝田体叱加入する七とができなくな
は結論を誤ったりしていて︑とうてい満足なものとはいえない︒わたくしにとって問題は依然として残存している
わけである︒しかし︑労・裁いずれの儲が廃るかといえば︑わたくしは労働委員会側のそれに軍配をあげたい気持
ちである︒わたくしは︑このように問題に対する結論が何処でも必ずとい?てよいはど対立し︑常に紛糾をつづけ
る根源には︑おそらく地方公務員に関する現行法の構造それ自体の無理があり︑あるいは規定の不備とか︑ないし
︵さ︶ は法規の欠炊があると考えている︒そもそも︑こうした事態のなかで︑どんな法律解釈が可能だというのであろう︒
わたくしは図らずもこの討議をめぐって︑労働問題の解決桓宙与する二つの国家級関としての労働委員会と裁判制
度との比較を余儀なくされ︑ここから両者の機能上の差異と限界について︑あらためて考察を迫られているような
気がしている︒労働委員会制度が労使関係の特色に応じそ︑裁判制度の外に生れ出た理由を考えると︑前述の労働
委員会側の見解ほ︑巧まずしてその有する本来の機能を実証しているように思えてならない︒抽象的ないいまわし
をやめて︑も?と正確に卒直に表現しよう︒前述の最高裁の見解は︑公務員の組織状態や労使関係を︑法規の現状
に即して固定的に捉える態度であるが︑労働委員会側の主張は︑団結の目主的な運動こそすぐれて秩序を形成する
基礎であるとして︑問題を展望的に捉える態度を示すものであ竃︒本稿の提起する問題を正しく解決する鍵ほ︑明
かに後者の視点から接近してのみこれをみつけだすことができる︒わたくしは︑つぎになお若干のことを︑右の角
度から考察しながら︑太稿の結論を急ぐこと上したい︒
︵1︶ 前出 六頁註︵7︶参照︒
︵2︶ 三﹁地方公務員組織の法的規制﹂ 劇五〜二ハ頁参賦︒
︵3︶ 本提出議題紅ついて︑予め部内の見解をまとめて遠路出席下さった中労委公益代表平田富太郎教授ならびに最高裁派係遥
労働法の理論と実際
︵六〇七︶ ニー五 労働法の理論と実際
仙 以上の検討を通して︑いくつかの屈要な問題点をひきだすことができる︒ことは立法論︑解釈論ないし運用論
の諸問題紅わたるが︑まず︑その儀二点として︑地方公務員の組織に関する法的規制が錯綜していくつにも分断され
て\いる点に問題がある︒立法におけるこのような分断制度ほ︑単発︑労働政策と労働運動との背離に基因するもの
であるが︑劇体︑連動の法則を無視して労働立法が許されるものであろうか︒あらためて指摘するまでもなく︑労
戯組合はなによりも労働者の自主的組織であることを本傲として発生し︑自らの運動のなかで︑自らの在り方や進
み方を学びとりながら育ってきた︒そして︑その日然発生的な成立と自主的な運動は︑本来︑国家の承認とほ無関係の
ことである︑なるはど︑組合遅効の歴史は︑国家との関係で︑こと配その政治的側面においては不断の緊張を物語
っている︒しかし︑今日︑世界の大勢はすでに労働組合の自然の姿を是認し︑それをそのまま法制上の組合として
︵1︶
承認する段階紅到達している︒このことは︑国家が団結のなかにこそ労働者の人格は充実するものであると知った
からである︒立法は運動を妨げないようにすべきものであるし︑またそれを妨げるものを防ぐのが︑労働立法の役
︵2︶ 割でなければならないのである︒学者が﹁団結にひろい余地を与える政策こそ民主的な社会の実現を少いまさつと
︵3︶
燐牲とで保障す各所以である﹂と力説しているのもこの意味であろう︒このようにみてくると憲法第二八条の存在 第三十五巻 第五号
音越山安久裁判官の厚意と労苦に対して︑深い感謝を捧げる︒
︵4︶ 後出 五の二 二西京以下参照℃
︵.5︶ノ後出 五の山 劇二頁参照︒ ︵六〇八︶ 二二
にいかに多くの問題を投げかけたかを考えよう︒極度に小さく分断された山般行政職良の組織が︑蒐大な国家機構の
末端組織としての当局と交渉する仕観みが︑いかに巧妙なものであるかは説明を要しないが︑すべての分断制度は
このような狙いに適っているのである︒ここに︑わたくしは︑純粋な労働組合の抽象的︑理論的要論が︑制度的︑実
際的には︑労働組合の労使関係にとって全く異質的な規制のなかに埋没し去っている姿を指摘せぎるをえないので
ある︒立法におけるこのような実際は︑かえって憲法上の保障と抵触し︑労働法の原理と矛盾するものとなり︑ひ
いては労使関係の安定を阻害するような胎果をもはらんでいるのである︒ILO条約批准に伴う立法措置が問題と
されているこの際に︑地方公務員組織を規制する政策決定はどこまでも理論を無視するものであ?てはならない︒
二 問題点の第二は︑本稿め問題を検討する途上︑労使関係を規律する法の領域で︑多くの意見のなかに︑市民法的
な考え方や概念法学的な解釈論に傾斜した議論が︑しばしばみうけられた点である︒これは︑労使関係を規律する法
の領域においで︑労働事件を市民法でやると言明する裁判官もいるといわれる世の中では︑あるいは当然のことであ
ろう︒しかし︑一体︑ひろく団結権を保障しているわが実定法を︑市民法理論に解体してしまってもよいであろうか︒
いかにも︑労働事件の解決にあたって︑解釈論に血眼になり︑そのことだけに解決を求める姿ほ︑慎重な態度をと
ったという意味では非難すべきことではないかもしれない︒しかし︑他の商品取引と全くその性格を異にする労使
︵4︶ 関係の特賀を考えると︑面子や法律の解釈論に重点がおかれすぎているようにみえて︑必ずしも妥当ではない︒こ
のことは労働法をどういうものとして理解するかという根本問題にも関連するが︑前述の問題討議のなかでみられ
たように︑解釈と運用をめぐり︑わが国の現実との関係においで︑どのように理解したらよいかが問題である︒本
稿の問題を契機にし七︑わたくしは市民法に対する労働法の特殊性の解明という課題を︑いまさらながら改めて意
︵六〇九︶ 二三