論 説
≪コロナ給付金の課税問題
≫浦 野 広 明
序
新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 感 染 症 ( 以 下「 コ ロ ナ 」 と い う ) が 世 界 を 震 撼 さ せ て い る。 経 済 面 で は、 コ ロ ナ の 影 響 で 苦 境に立たされている事業者への補償や、失業、困窮者への支援策が緊急重要課題となっている。 「特別定額給付金」は、新型コロナウイルスの緊急経済対策として、国民一人当たり一律一〇万円を給付する制 度 で あ る。 給 付 対 象 者 は、 基 準 日 ( 二 〇 二 〇 年 四 月 二 七 日 ) 時 点 で、 住 民 基 本 台 帳 に 記 録 さ れ て い る 者 で あ り、 受 給 権 者 は 給 付 対 象 者 の 属 す る 世 帯 の 世 帯 主 で あ る。 こ の 給 付 金 は 所 得 税 の 課 税 対 象 と は な ら な い ( コ ロ ナ 臨 時 特 例
法四条) 。 「持続化給付金」は、売上が前年同月比で五〇%以上減少している事業者を対象に、中小法人等の法人は二〇〇
万円、フリーランスを含む個人事業者は一〇〇万円を上限に、現金を給付するものである。様々な業種、会社以外 の法人など、幅広い対象となっている。 経 済 産 業 省 は、 「 持 続 化 給 付 金 は、 極 め て 厳 し い 経 営 環 境 に あ る 事 業 者 の 事 業 継 続 を 支 援 す る た め、 使 途 に 制 約 の な い 資 金 を 給 付 す る も の で す。 こ れ は、 税 務 上、 益 金 ( 個 人 事 業 者 の 場 合 は、 総 収 入 金 額 ) に 算 入 さ れ る も の で す が、 損 金 ( 個 人 事 業 者 の 場 合 は 必 要 経 費 ) の 方 が 多 け れ ば、 課 税 所 得 は 生 じ ず、 結 果 的 に 課 税 対 象 と な り ま せ ん。 」 と説明し、法人は益金、個人は総収入金額に算入するとしている。 「休業協力金」は、都道府県の休業要請に応じた事業者に支給されるものである。この協力金について、財務省 は「課税対象になる」との見解を示している (東京新聞二〇年五月九日) 。
一 法律なくして課税なしの原則
コロナ関連給付金の課税問題で考えなくてはならないのは法律なくして課税なしの原則である。 フ ラ ン ス 革 命 ( 一 七 八 九 年 ) な ど の 市 民 革 命 ( ブ ル ジ ョ ア 革 命 ) は、 国 王 な ど が 人 民 か ら 一 方 的 に 税 金 を 取 り 立 て るという封建体制を変えて、税制を議会のコントロールの下に置くことが出発点であった。市民革命の結果、租税 の賦課
・徴収は、必ず国民を代表する議会の決めた法律に基づき行わなければならないという近代税制の基本原則 が生まれた。 憲法は、一国の法秩序の頂点にある根本法である。税について考える際には、憲法から出発し、憲法にかえると いうことを忘れてはならない。
憲 法 は、 「 あ ら た に 租 税 を 課 し、 又 は 現 行 の 租 税 を 変 更 す る に は、 法 律 又 は 法 律 の 定 め る 条 件 に よ る こ と を 必 要 と す る。 」 ( 八 四 条 ) 。 ま た、 「 国 民 は、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り、 納 税 の 義 務 を 負 ふ。 」 ( 三 〇 条 ) と 規 定 し て い る。 この規定は、国民の納税の義務を憲法的に確認すると同時に、国民の納税義務の限界、逆にいえば具体的な徴税権 行使の限界をも示している。つまり、国家は法律の根拠なしに租税の賦課
・徴収はできないし、国民の立場からす れば法律の根拠なしに租税を負担する義務を負わない。
二 コロナ関連各種給付金の課税問題
課税庁が課税だと説明する「持続化給付金」 、「休業協力金」及び「その他給付金」 (以下「コロナ給付金」という。 ) が課税されるかどうかは税法の解釈問題である。科学的な法の解釈においては次の点に注視しなければならない。 法の解釈は、一定の事実に法規を適用して結論を下し、その事実に対する法的価値判断を行うことである。それ は、次に述べる一定の論理的形式、すなわち法規を大前提とし、事実を小前提とする三段論法形式によって成り立 つ。 こ の 三 段 論 法 形 式 に も と づ い て 導 か れ た 結 論 ( 一 つ の 具 体 的 価 値 判 断 ) が 正 し い か ど う か は、 そ の 大 前 提 お よ び小前提が正しいかどうか、および両者の関連の仕方が正しいかどうか、という三つの問題に帰着する。
者の価値判断の違いによって異なる。そしてこの場合、どの価値判断が、当該法規の持つ歴史的意味内容をもっと 法の文章や文字そのものは客観的にただ一つしかないが、それにいかなる具体的意味内容を付与するかは、解釈
1)大前提 (法規の内容)
も正しく反映しているかを確定することが必要となる。 法規ないしその論理の具体的意味内容は、当該法規の歴史的性格によって規定され、制約されるのであり、決し て個人の恣意的な価値判断によって支えられるのではない。そこで、法規の意味の確定には、根本的に、その趣旨 や目的、つまり、法規が目指している価値判断が明らかにされねばならず、これら趣旨や目的は、社会的歴史的根 拠にもとづいてのみ説明しなければならない。
なければならないのである。 られた「法的事実」のうち、どれが果たして客観的に存在する社会的事実を最も正しく反映しているかを、吟味し して法的事実を構成してよい、というものではない。つねに、解釈者の価値判断にもとづいて再構成され類型づけ こ と も ま れ で は な い。 勿 論、 「 事 実 」 は、 解 釈 者 が 恣 意 的 に 自 分 の 判 断 に 都 合 の よ い あ れ こ れ の 事 実 だ け を 引 き 出 同じ一つの社会的事実であっても、解釈者が全く異なる認定を下し、全く異なる「法的事実」をひきだしてくる って、すでに解釈者のふるいにかけられ、再構成された法的事実である。 なる事実は、現実の客観的事実そのままの再現ではなく、法的価値判断の対象ないし素材たる事実であり、したが 小前提である事実の認定もまた、現実にはしばしば価値判断の相違によって異なる。それは、法の解釈の基礎と
2)小前提 (事実の認定)
大前提と小前提との関係の適合性、すなわち、一定の事実に一定の法規を適用することの可否という問題は、実
3)大前提と小前提との適合性
際には第一、第二の問題の中に含まれている場合が多い。なぜなら、一定の法規に対する理解の相違や、一定の事 実に対する認定の相違が、当然に、事実の法規への適用の仕方、すなわち両者の関連の仕方の相違をもたらすこと は自明であるからである。したがって、第三の問題は、本質的には、第一、第二の問題と同じ問題を、別の角度か ら述べるものである。
③消費税 除した金額とする (同二二条一項) 。 税 法 二 一 条 ) 。 内 国 法 人 の 各 事 業 年 度 の 所 得 の 金 額 は、 当 該 事 業 年 度 の 益 金 の 額 か ら 当 該 事 業 年 度 の 損 金 の 額 を 控 内 国 法 人 に 対 し て 課 す る 各 事 業 年 度 の 所 得 に 対 す る 法 人 税 の 課 税 標 準 は、 各 事 業 年 度 の 所 得 の 金 額 で あ る ( 法 人 ②法人税 控除した残額とする (所得税法二八条二項) 。 除 し た 金 額 で あ る ( 所 得 税 法 二 七 条 二 項 ) 。 給 与 所 得 の 金 額 は、 そ の 年 中 の 給 与 等 の 収 入 金 額 か ら 給 与 所 得 控 除 額 を 所得税は個人の所得に対して課す。事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控 ①所得税 所得、法人及び消費の三税は課税対象について次の規定をしている。 ⑴ 税法の規定 (大前提) 科学的な法の解釈によるコロナ給付金の租税問題 (課税問題) は次の結論となる。
4)コロナ給付金の課税問題
事 業 者 は、 国 内 に お い て 行 っ た 課 税 資 産 の 譲 渡 等 に つ き、 こ の 法 律 に よ り、 消 費 税 を 納 め る 義 務 が あ る ( 五 条 一 項) 。資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう (二条一項 八号) 。 ⑵ コロナ禍 (事実) 東京大学保健センターは新型コロナウイルスについておおむね次のように述べている (二〇年五月一三日現在)
新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス(
SARS-CoV-2) 感 染 症
COVID-19は、 2 0 1 9 年
て 発 見 さ れ ま し た。 現 在 で は 世 界 的 に 感 染 が 拡 大 し、 2 0 2 0 年
12月 に 中 国 湖 北 省 武 漢 市 で ア ウ ト ブ レ イ ク が 起 き て 初 め
5月
4日 現 在、 総 症 例 数 は
4、 死 亡 率
3、4 3 5、 894、 死 亡 例 2 3 9、 60
7・ 0% と、 そ こ ま で の
1
週 間 で 症 例 数
1・ 2
倍 弱、 死 亡 例 数 は
1・ 2
倍 強 に 増 加 し て、 死 亡 率 は ほ ぼ 不 変 で し た。
た り の 新 規 感 染 者 数 は
1日 あ
4月
4日 の
10万 人 / 日 を ピ ー ク に 増 加 傾 向 を 脱 し た 様 で は あ る も の の、 現 在 も
各国で様々な対策が講じられているにも関わらず世界的な感染者数の増加は続き、人類が直面する大きな危機となっていま す
1) 8万 人 / 日 近 く に の ぼ り ま す。
(注
。
コロナ禍は人類が直面する大きな危機であり、いつ解決するのか予測できない長期に及ぶもので、被害者が受け た経済的、精神的、肉体的苦痛は計り知れない。 ⑶ 結論:コロナ給付金は不課税 (課税対象外) コ ロ ナ 禍 の 被 害 者 ( 法 人 を 含 む ) が 受 領 し た コ ロ ナ 給 付 金 は、 所 得、 法 人 お よ び 消 費 の 三 税 の い ず れ に お い て も 不課税 (課税対象外) となる (非課税ではない) 。 非課税は課税対象になじまないことや社会政策的配慮から課税しないことを法が規定するものである。コロナ給 付 金 は、 法 規 に 基 づ く「 非 課 税 」 で は な く、 最 初 か ら 課 税 さ れ る こ と に な い 不 課 税 ( 課 税 対 象 外 ) で あ る。 不 課 税 となるのは、以下の理由からである。
①所得税 所 得 税 の 課 税 対 象 で あ る 事 業 所 得 の 金 額 は、 総 収 入 金 額 か ら 必 要 経 費 を 控 除 し た 金 額 で あ る。 総 収 入 金 額 は 事 業 か ら 生 じ た 収 益 で あ る。 収 益 は 企 業 が 外 部 に 商 品 の 販 売 を し、 役 務 を 提 供 す る こ と に よ り、 対 価 と し て 受 け 取 る 金 額 で あ る。 企 業 が 主 た る 営 業 活 動 の 結 果 と し て 獲 得 す る 売 上 高 と
,そ れ に 付 随 す る 活 動 か ら 生 じ る 受 取 配 当 な ど の よ う な 営 業 外 収 益 か ら 成 る。 給 与 等 の 収 入 金 額 は、 労 働力商品を販売した収益である。コロナ給付金は収益ではなく所得税が不課税(課税対象外)となる。
②法人税 法 人 税 の 課 税 標 準 は 各 事 業 年 度 の 所 得 の 金 額 で あ る。 内 国 法 人 の 各 事 業 年 度 の 所 得 の 金 額 は、 当 該 事 業 年 度 の 益 金 の 額 か ら 当 該 事 業 年 度 の 損 金 の 額 を 控 除 し た 金 額 で あ る。 コ ロ ナ 給 付 金 は、 前 記 所 得 税 で 述 べ た よ う に 収 益 で は な く 法 人 税 が 不 課 税( 課 税 対 象 外 ) となる。
③消費税 消 費 税 は、 事 業 者 が 事 業 と し て 資 産 の 譲 渡 等 を し た 場 合 に 課 税 す る。 消 費 税 法 は「 事 業 」 の 定 義 を し て い な い。 定 義 規 定 を 欠 く 場 合 に は、 条 理( 社 会 通 念 ) と い う 一 般 社 会 の 常 識 に よ っ て 事 業 の 法 解 釈 を 行 う こ と に な る。 社 会 通 念 上、 消 費 税 法 が 規 定 し て い る 事 業 と は、 「 一 定 の 目 的 と 計 画 に 基 づ い て 経 営 す る〈 会 社 や 個 人 営 利 事 業 者 な ど 〉 経 済 的 活 動 」( 広 辞 苑 ) の こ と、 つ ま り、 営 利 事 業 を 指す。コロナ給付金は営利事業(経済的活動)とは無縁であり、消費税が不課税(課税対象外)となる。
(注
1
)東京大学保健センターはさらに次のように述べている。
国 別 の 感 染 者 数 を 見 て み る と、 最 も 多 い 国 は 米 国 で、 累 計 の 感 染 者 数 は 1、 093、 880( 7 3 5、 366) 、 死 亡 数 は 6 2 4 0 6
’( 3 9、 0 9 5) に 上 り ま す。
4
月 上 旬 ま で に 見 ら れ た 急 激 な 感 染 者 増 加 は や や 落 ち 着 い た も の の、 依 然
当 た り 全 世 界 の お よ そ
1日
3- 4割 に 当 た る
3
万 人 / 日 程 度 の 新 規 感 染 者 が 現 在 も 発 生 し、
1
日
3- 5千 人 程 度 の 死 亡 例 を 認
めます。
ま だ 多 く の 新 規 感 染 者 が 見 ら れ る も の の ピ ー ク は 脱 し て い る 欧 米 諸 国 に 対 し て、
5
月 続 け て い る 主 な 国 は ロ シ ア と ブ ラ ジ ル で す。 両 国 と も 新 規 感 染 者 数 は 急 速 に 増 加 し ロ シ ア で は
4日 現 在 も 新 規 感 染 者 数 が 増 加 し
1万 人 / 日、 ブ ラ ジ ル で は
7千 人 / 日 を 超 え て お り、 累 計 患 者 数 も そ れ ぞ れ
14
万 人、
10
万 人 以 上 に の ぼ り ま す。
増 加 傾 向 が 続 い て い ま す が、 ブ ラ ジ ル の 死 者 数 が 累 計 6 7 5 0、 4 7 1 例 / 日 に 対 し て の ロ シ ア で は 累 計 1 3 5 6 例、
1日 あ た り の 死 者 数 も 両 国 に お い て
76
/日ととても低い水準です。ロシアの死者数は欧米諸国と比べてとても少ないのでその理由は究明を待たれます。
本 邦 に お い て は、 2 0 2 0 年
1
月 ャーター便による日本人帰国者などに感染が散見されるようになります。
16日 に 武 漢 市 よ り 帰 国 し た 男 性 に 初 の 感 染 が 確 認 さ れ ま し た。 そ の 後、 武 漢 か ら の チ
2
月 発 生 状 況 の 報 告 に お い て は、 日 本 国 内 の 発 生 件 数 と は 別 に 取 り 扱 わ れ て い ま す )。 客 と 乗 員 の 全 て( 3 7 1 1 名 ) に 対 し P C R 検 査 が 実 施 さ れ、 6 9 6 名 が 陽 性 と な り ま す( た だ し、 W H O に よ る 各 国 の イ ヤ モ ン ド
・プ リ ン セ ス 号 」 に て、 集 団 感 染 が 確 認 さ れ、 水 際 対 策 と し て、 全 乗 客 が 船 室 隔 離 さ れ ま し た。 最 終 的 に、 乗
5日、 横浜港に停泊していたクルーズ船「ダ
3
月 船が完了しました。
1日 に は、 す べ て の 乗 客
・船 員 の 下 政 府 は、
2
月 湖 北 省 か ら の 外 国 人 が 入 国 拒 否 さ れ る こ と と な り ま し た。 ま た、 断 さ れ た 方 を、 強 制 的 に 入 院 さ せ る こ と が で き る よ う に な り ま し た。 同 時 に「 検 疫 感 染 症 」 と す る 政 令 が 施 行 さ れ、 中 国
7日、 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス に よ る 肺 炎 な ど を「 指 定 感 染 症 」 と 定 め、 こ れ に よ り 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス と 診
2
月 さ れ、
25日 に は、 厚 生 労 働 省 内 に ク ラ ス タ ー 対 策 班 が 設 置 取りました。
1人 の 感 染 者 か ら 大 勢 の 人 に 感 染 す る ク ラ ス タ ー( 感 染 者 の 集 団 ) を 制 御 す る こ と で、 感 染 の 制 圧 を 目 指 す 方 針 を
三 不課税の実践例
筆者は一七年一二月二五日に以下の税務署長宛の鑑定書を作成し、県から受領した東日本大震災に係る復興補助 金について不課税を勝ち取った。コロナ給付金にもこの復興補助金と同様なことが言える。
【鑑定書】 鑑 定 人 は、 岩 手 県 補 助 金 交 付 規 則 五 条 の 規 定 に 基 づ き 藤 内 博 氏 ( 自 動 車 整 備 を 行 う 個 人 事 業 主、 青 色 申 告 者、 仮 名 ) が 受 領 し た 補 助 金 ( 以 下「 復 興 補 助 金 」 と い う。 ) に つ い て、 一 関 税 務 署 長 が 所 得 税 の 修 正 申 告 の 勧 奨 を 予 定 し て い る事件に関して、税法学の見地から鑑定をした。鑑定書は、藤内博氏が所得税の修正申告をする義務がないことを 述べたものである。
Ⅰ 鑑定事項 1本件復興補助金は所得税が課税されるのか。
2
本件復興補助金について所得税の修正申告義務があるのか。
Ⅱ 鑑定主文 1本件復興補助金は所得税が課税されない。
2
本件復興補助金について所得税の修正申告義務はない。
Ⅲ 理 由
鑑定主文に至る理由は以下のとおりである。
び小前提が正しいかどうか、および両者の関連の仕方が正しいかどうか、という三つの問題に帰着するのである。 つ。 こ の 三 段 論 法 形 式 に も と づ い て 導 か れ た 結 論 ( 一 つ の 具 体 的 価 値 判 断 ) が 正 し い か ど う か は、 そ の 大 前 提 お よ は、次に述べる一定の論理的形式、すなわち法規を大前提とし、事実を小前提とする三段論法形式によって成り立 法の解釈は、一定の事実に法規を適用して結論を下し、その事実に対する法的価値判断を行うことである。それ は次の点の理解が欠かせない。 本 件 復 興 補 助 金 が 課 税 さ れ る か ど う か は 法 ( 税 法 ) の 解 釈 問 題 で あ る。 客 観 的 ( 科 学 的 ) な 法 の 解 釈 を 行 う 上 で
1客観的な法の解釈
意味の確定には、根本的に、その趣旨や目的、つまり、法規が目指している価値判断が明らかにされねばならず、 定され、制約されるのであって、決して個人の恣意的な価値判断によって支えられるのではない。そこで、法規の て成立し、且つ機能している。だから法規ないしその論理の具体的意味内容は、当該法規の歴史的性格によって規 それぞれの法規はそれぞれの歴史的根拠にもとづき、一定の経済的
・政治的
・社会的
・人間諸関係の必要に応じ 確定することが必要である。 なりうる。そしてこの場合、どの価値判断が、当該法規の持つ歴史的意味内容をもっとも正しく反映しているかを に唯一つしか存在しないが、それにいかなる具体的意味内容を付与するかは、解釈者の価値判断の違いによって異 かなる内容の規範命題を意味しているかは、必ずしも、客観的なわけではない。法の文章や文字そのものは客観的 大前提である法規に含まれる言葉や概念または文章、およびそれらによって構成される論理構造が、具体的にい
1)大前提 (法規の内容)
これら趣旨や目的は、社会的歴史的根拠にもとづいてのみ説明されねばならない。
し た が っ て、 す で に 解 釈 者 の ふ る い に か け ら れ、 再 構 成 さ れ た 法 的 事 実 で あ る か ら で あ る。 た と え ば、 松 川 事 件 の基礎となる事実は、現実の客観的事実そのままの再現ではなく、法的価値判断の対象ないし素材たる事実であり、 小前提である事実の認定もまた、現実にはしばしば価値判断の相違によって異なりうる。というのは、法の解釈
2)小前提 (事実の認定)
(一九四九〈昭和二四〉年八月一七日に東北本線松川駅付近で起こった列車転覆事件) について言えば、結局は被告たち が列車を顚覆したかどうかという事実認定そのものが争われているのであるが、認定の証拠としては「自白」が中 核 に 置 か れ て い た。 し た が っ て、 自 白 の 証 拠 能 力 に 重 き を 置 く べ き か ど う か と い う 価 値 判 断 の 相 違 ( こ れ は 当 然 に 自 白 の 任 意 性 等 々 の 法 律 問 題 に 関 連 し て く る ) に よ っ て、 そ こ か ら 導 き 出 さ れ る 事 実 認 定 も ま た 全 く 異 な っ た も の と なる。 このように、同じ一つの社会的事実に対し、解釈者が全く異なる認定を下し、全く異なる「法的事実」をひきだ してくることもまれではない。しかし、このことは、解釈者が恣意的に自分の判断に都合のよいあれこれの事実だ けを引き出して法的事実を構成してよい、ということを意味するものではない。解釈者の価値判断にもとづいて再 構成され類型づけられた「法的事実」のうち、どれが果たして客観的に存在する社会的事実を最も正しく反映して いるかを、吟味しなければならない。
の角度から提出するのである。 は自明なことに属するからである。したがって、第三の問題は、本質的には、第一、第二の問題と同じ問題を、別 実に対する認定の相違が、当然に、事実の法規への適用の仕方、すなわち両者の関連の仕方の相違をもたらすこと 際には第一、第二の問題の中に含まれている場合が多い。なぜなら、一定の法規に対する理解の相違や、一定の事 大前提と小前提との関係の適合性、すなわち、一定の事実に一定の法規を適用することの可否という問題は、実
3)結論 (大前提と小前提との適合性)
客観的な法の解釈による本件復興補助金の租税問題は次の結論となる。
2本件復興補助金の課税問題 国民は法律の根拠なしに、課税をされないし、租税を払う義務も生じない。憲法は次のように規定している。 ⑴ 憲法の法律なくして課税
・納税なしの原則
1)法規の内容 (大前提)
ことを必要とする。
84条 ( 法 律 な く し て 課 税 な し の 原 則 ) あ ら た に 租 税 を 課 し、 又 は 現 行 の 租 税 を 変 更 す る に は、 法 律 又 は 法 律 の 定 め る 条 件 に よ る
30条 (法律なくして納税なしの原則) 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
⑵ 憲法の生存権的財産
憲法は生存権と財産権について次の規定をしている。
す べ て 国 民 は、 健 康 で 文 化 的 な 最 低 限 度 の 生 活 を 営 む 権 利 を 有 す る。
25条 (生存権)
及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
2国 は、 す べ て の 生 活 部 面 に つ い て、 社 会 福 祉、 社 会 保 障 財 産 権 は、 こ れ を 侵 し て は な ら な い。
29条 (財産権)
2
財 産 権 の 内 容 は、 公 共 の 福 祉 に 適 合 す る や う に、 法 律 で こ れ を 定 め る。
正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
3私 有 財 産 は、
本 件 復 興 補 助 金 は 事 業 者 が そ れ を 使 用 し て 生 存 す る た め に 欠 か せ な い 財 産 権 ( 憲 法 二 九 条 ) で あ る。 本 件 復 興 補 助 金 は、 憲 法 論 的 に い う と 憲 法 二 五 条 の 生 存 権 を 原 点 と す る 同 二 九 条 の 財 産 権、 す な わ ち 生 存 権 的 財 産 ( 人 権 と し ての財産) である。 ⑶ 地方自治法による住民の福祉の増進 地方自治体の基本的な役割は住民の福祉の増進を図ることである。地方自治法一条の二は住民の福祉について次 の規定をしている。
地 方 公 共 団 体 は、 住 民 の 福 祉 の 増 進 を 図 る こ と を 基 本 と し て、 地 域 に お け る 行 政 を 自 主 的 か つ 総 合 的 に 実 施 す る 役 割 を 広 く 担 う も の と す る。
する制度の策定及び施策の実施に当たって、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。 は で き る 限 り 地 方 公 共 団 体 に ゆ だ ね る こ と を 基 本 と し て、 地 方 公 共 団 体 と の 間 で 適 切 に 役 割 を 分 担 す る と と も に、 地 方 公 共 団 体 に 関 国 的 な 視 点 に 立 っ て 行 わ な け れ ば な ら な い 施 策 及 び 事 業 の 実 施 そ の 他 の 国 が 本 来 果 た す べ き 役 割 を 重 点 的 に 担 い、 住 民 に 身 近 な 行 政 に 統 一 し て 定 め る こ と が 望 ま し い 国 民 の 諸 活 動 若 し く は 地 方 自 治 に 関 す る 基 本 的 な 準 則 に 関 す る 事 務 又 は 全 国 的 な 規 模 で 若 し く は 全
2国 は、 前 項 の 規 定 の 趣 旨 を 達 成 す る た め、 国 に お い て は 国 際 社 会 に お け る 国 家 と し て の 存 立 に か か わ る 事 務、 全 国 的
⑷ 所得税の事業所得 所得税は個人の所得に対して課される。所得税二七条は事業所得について次の規定をしている。
事 業 所 得 と は、 農 業、 漁 業、 製 造 業、 卸 売 業、 小 売 業、 サ ー ビ ス 業 そ の 他 の 事 業 で 政 令 で 定 め る も の か ら 生 ず る 所 得( 山 林 所 得 又 は 譲 渡 所 得 に 該 当 す る も の を 除 く。 ) を い う。
た金額とする。
2事 業 所 得 の 金 額 は、 そ の 年 中 の 事 業 所 得 に 係 る 総 収 入 金 額 か ら 必 要 経 費 を 控 除 し このように事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額である。 ⑸ 岩手県中小企業等復旧
・復興支援事業費補助金交付要綱 岩手県と沿岸市町村では、東日本大震災津波により被災した地域の経済の復興と雇用の場の回復を図るため、被 災した中小企業の店舗
・工場等の復旧経費を補助している。岩手県中小企業等復旧
・復興支援事業費補助金交付要 綱は次の規定をしている。
第
の 適 正 化 に 関 す る 法 律( 昭 和
1( 通 則 ) 中 小 企 業 等 復 旧
・復 興 支 援 事 業 費 補 助 金( 以 下「 補 助 金 」 と い う。 ) の 交 付 に つ い て は、 補 助 金 等 に 係 る 予 算 の 執 行
30
年 法 律 第 1 7 9 号 )、 補 助 金 等 に 係 る 予 算 の 執 行 の 適 正 化 に 関 す る 法 律 施 行 令( 昭 和
5 号 )、 及 び 岩 手 県 補 助 金 交 付 規 則( 昭 和
30年 政 令 第 2 5
32年 岩 手 県 規 則 第
第 る。
71号。 以 下「 規 則 」 と い う。 ) に よ る ほ か、 こ の 要 綱 に 定 め る と こ ろ に よ
2( 定 義 ) こ の 要 綱 に お い て「 東 日 本 大 震 災 」 と は、 平 成
23
年
3月 力 発 電 所 の 事 故 に よ る 災 害 を い う。
11日 に 発 生 し た 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 及 び こ れ に 伴 う 原 子
2こ の 要 綱 に お い て「 中 小 企 業 者 」 と は、 中 小 企 業 支 援 法( 昭 和
38
年 法 律 第 1 4 7 号 ) 第
第
2条
1項 に 規 定 す る 者 を い う。
お、 第
3こ の 要 綱 に お い て「 中 小 企 業 等 グ ル ー プ 」 と は、 複 数 の 中 小 企 業 者 か ら 構 成 さ れ る 集 団 を い う。 な
3の 目 的 を 遂 行 す る に あ た り、 中 小 企 業 等 グ ル ー プ の 構 成 員 に、 中 小 企 業 者 以 外 の 者 が 一 部 入 る こ と を 妨 げ な い。
綱において「復興事業計画」とは、東日本大震災に係る復興のために、中小企業等グループが実施する事業の計画をいう。
4こ の 要
第 第 その事業に要する経費の一部を補助することにより、東日本大震災に係る被災地域の復旧及び復興を促進することを目的とする。 基 づ き、 産 業 活 力 の 復 活、 被 災 地 域 の 復 興、 コ ミ ュ ニ テ ィ の 再 生、 雇 用 の 維 持 等 に 重 要 な 役 割 を 果 た す と 見 込 ま れ る 場 合 に お い て、
3( 交 付 の 目 的 ) 補 助 金 は、 東 日 本 大 震 災 に よ り 甚 大 な 被 害 を 受 け た 地 域 に お い て、 中 小 企 業 等 グ ル ー プ が、 復 興 事 業 計 画 に
費 と す る。 業 を 行 う の に 不 可 欠 な 県 内 に 所 在 す る 施 設 及 び 設 備 の 復 旧
・整 備 並 び に 商 業 機 能 の 復 旧 促 進 及 び 賑 わ い 創 出 の た め の 事 業 に 要 す る 経 震 災 に よ り 損 壊 若 し く は 滅 失 又 は 継 続 し て 使 用 す る こ と が 困 難 に な っ た も の の う ち、 中 小 企 業 等 グ ル ー プ が 復 興 事 業 計 画 に 基 づ き 事
4( 交 付 対 象 経 費 ) 補 助 金 の 交 付 対 象 と な る 経 費 は、 中 小 企 業 等 グ ル ー プ 又 は そ の 構 成 員 の 施 設 及 び 設 備 で あ っ て、 東 日 本 大 ることを妨げない。
2前 項 の 経 費 に は、 復 興 事 業 計 画 の 実 施 に 不 可 欠 な 範 囲 で、 県 内 に 施 設 及 び 設 備 を 新 た に 整 備 等 す る た め の 経 費 を 加 え
3
前 第
2項における交付対象経費については、別表のとおりとする。
5
( 補 助 率 等 ) 補 助 金 の 額 は、 第
の 事 業 に 要 す る 経 費 の
4に 規 定 す る 施 設 及 び 設 備 の 復 旧
・整 備 等 並 び に 商 業 機 能 の 復 旧 促 進 及 び 賑 わ い 創 出 の た め
4分 の
3以 内 と す る。
項において「
2中 小 企 業 者 以 外 の 会 社 の 施 設 及 び 設 備 の 復 旧
・整 備 等 に 要 す る 経 費 に つ い て は、 前
4分の
3以内」とあるのは「
2
分の 第
1以内」と読み替える。
ろ に よ り、 こ れ を 知 事 に 提 出 し て、 そ の 復 興 事 業 計 画 が 適 当 で あ る 旨 の 認 定 を 受 け る こ と が で き る。
6( 復 興 事 業 計 画 の 認 定 ) 中 小 企 業 等 グ ル ー プ は、 復 興 事 業 計 画 を 作 成 し、 岩 手 県 知 事( 以 下「 知 事 」 と い う。 ) が 定 め る と こ
っ て い る こ と。 イ 東 日 本 大 震 災 の 後 で あ っ て、 直 前 じ て い る こ と。 ア 東 日 本 大 震 災 に よ り 事 業 所 の 一 部 又 は 全 部 に 甚 大 な 被 害 が 生 じ て い る こ と 又 は 継 続 し て 使 用 す る こ と が 困 難 と な 部 又 は 一 部 が、 東 日 本 大 震 災 に よ り 次 の い ず れ も の 影 響 を 受 け て い る こ と に よ り、 当 該 中 小 企 業 等 グ ル ー プ の 機 能 に 重 大 な 支 障 が 生 に 基 幹 と な る 産 業 群 を 担 う 集 団 で あ り、 当 該 地 域 に お け る 復 興
・雇 用 維 持 に 不 可 欠 で あ る こ と。 ⑵ 中 小 企 業 等 グ ル ー プ の 構 成 員 の 全 事 業 規 模 や 雇 用 規 模 が 大 き く、 岩 手 県 の 経 済
・雇 用 へ の 貢 献 度 が 高 い こ と。 ウ 岩 手 県 内 の 一 定 の 地 域 内 に お い て、 経 済 的
・社 会 的 機 能 を 果 た す と 見 込 ま れ る こ と。 ア 当 該 中 小 企 業 等 グ ル ー プ 外 の 企 業 や 他 地 域 の 産 業 に と っ て 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る こ と。 イ 復 興 事 業 計 画 の 提 出 が あ っ た と き は、 次 の 各 号 の い ず れ の 要 件 に も 該 当 す る か を 審 査 す る。 ⑴ 中 小 企 業 等 グ ル ー プ が 次 の い ず れ か の
2知 事 は、 前 項 の 規 定 に よ り 事 業 所 等 の 属 す る 市 町 村 が、 東 日 本 大 震 災 に 対 処 す る た め の 特 別 の 財 政 援 助 及 び 助 成 に 関 す る 法 律( 平 成 等 グ ル ー プ 内 で 果 た す 機 能 に 重 大 な 損 傷 が 生 じ て い る と 認 め ら れ る こ と。 ⑶ 補 助 金 を 受 け よ う と す る 中 小 企 業 等 グ ル ー プ の 構 成 員 の
1月 の 売 上 が 震 災 前 の 同 期 に 比 べ て 著 し く 低 下 し て い る こ と 又 は 当 該 中 小 企 業
23
年 法 律 第
40
号 ) 第
2条 第
3項 に 定 め る 特 定 被 災 区 域( 以 下「 特 定 被 災 区 域 」 と い う。 ) で あ っ て、 か つ、 東 日 本 大 震 災 に よ り 甚 大 な 被 害 を 受 け た 津 波 浸 水 地
域 で あ る こ と。
等 の 属 す る 市 町 村 が、 特 定 被 災 区 域 で あ っ て、 か つ、 東 日 本 大 震 災 に よ り 甚 大 な 被 害 を 受 け た 津 波 浸 水 地 域 で あ る こ と。 使 用 す る こ と が 困 難 と な り、 事 業 の 継 続 が 困 難 に な っ て い る こ と。 ⑶ 補 助 金 を 受 け よ う と す る 中 小 企 業 等 グ ル ー プ の 構 成 員 の 事 務 所 集 積 を 維 持
・管 理 す る 蓋 然 性 が 高 い と 認 め ら れ る こ と。 ⑵ 商 店 街 等 の 構 成 員 の 全 部 又 は 一 部 の 施 設 が 甚 大 な 被 害 を 受 け 又 は 継 続 し て て 中 心 的 な 商 業 機 能 を 果 た す 蓋 然 性 が 高 い と 認 め ら れ る こ と。 ウ 今 後 の 当 該 地 方 公 共 団 体 に お け る ま ち づ く り 施 策 に お い て、 商 業 進 す る 社 会 的 機 能 を 有 す る も の で あ る こ と。 イ 当 該 商 店 街 等 が 属 す る 商 圏 内 に お け る 人 口 規 模、 商 業 量 を 勘 案 し、 当 該 地 域 に お い の い ず れ に も 該 当 す る と 見 込 ま れ る こ と。 ア 地 域 住 民 の 生 活 利 便 や 消 費 者 の 買 い 物 の 際 の 利 便 を 向 上 さ せ、 地 域 の 人 々 の 交 流 を 促
3前 項 の 要 件 に つ い て は、 商 店 街 等 に あ っ て は、 次 の 各 号 の い ず れ に も 該 当 す る も の と す る。 ⑴ 当 該 商 店 街 等 が 次
第 業計画の認定に関するその他必要な事項は、知事が別に定める。
4復 興 事
7( 交 付 申 請 ) 知 事 は、 前 条 の 規 定 に 基 づ き 認 定 し た 復 興 事 業 計 画 に 係 る 第
4
第 補 助 金 を 交 付 す る。
1項 に 規 定 す る 経 費 に つ い て 予 算 の 範 囲 内 で
2中 小 企 業 等 グ ル ー プ 又 は そ の 構 成 員 は、 前 項 の 規 定 に 基 づ き 補 助 金 の 交 付 を 受 け よ う と す る と き は、 様 式 第
1に よ る 補 助 金 交 付 申 請 書 を 別 に 定 め る 日 ま で に 知 事 に 提 出 し な け れ ば な ら な い。
費 税 及 び 地 方 消 費 税 相 当 額 の う ち、 消 費 税 法( 昭 和 の 補 助 金 の 交 付 の 申 請 を す る に 当 た っ て、 当 該 補 助 金 に 係 る 消 費 税 及 び 地 方 消 費 税 に 係 る 仕 入 控 除 税 額( 補 助 対 象 経 費 に 含 ま れ る 消
3中 小 企 業 等 グ ル ー プ 又 は そ の 構 成 員 は、 前 項
の 金 額 及 び 当 該 金 額 に 地 方 税 法( 昭 和
63年 法 律 第 1 0 8 号 ) の 規 定 に よ り 仕 入 れ に 係 る 消 費 税 額 と し て 控 除 で き る 部 分
消費税等仕入控除税額が明らかでないものについては、この限りでない。 (以下略す。 ) じ て 得 た 金 額 を い う。 以 下「 消 費 税 等 仕 入 控 除 税 額 」 と い う。 ) を 減 額 し て 交 付 申 請 し な け れ ば な ら な い。 た だ し、 申 請 時 に お い て
25年 法 律 第 2 2 6 号 ) の 規 定 に よ る 地 方 消 費 税 の 税 率 を 乗 じ て 得 た 金 額 の 合 計 額 に 補 助 率 を 乗
県沖から茨城県沖にかけての幅約二〇〇㎞、長さ約五〇〇㎞、およそ一〇万平方キロの広範囲にわたった。地震の 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 ( 東 日 本 大 震 災 ) は、 二 〇 一 一 年 三 月 一 一 日 一 四 時 四 六 分 過 ぎ に 発 生 し た。 震 源 域 は 岩 手 ⑴ 東日本大震災
2)東日本大震災 (事実)
規模を示すマグニチュードは
しない困難な生活苦に陥っている。人類史上最悪の人災である原発事故の被害は、いつ解決するのか予測できない の被害は留まることを知らない。水の汚染、原乳、野菜、家畜、米と農林水産業は大打撃を受け、地域住民は予期 範囲に大量の放射性物質を放出し、その放射性物質は、今なお地中、地表、海中、海上、空中に留まっており、そ 本の原子力発電所の再稼働問題、電力危機なども発生した。東京電力福島原子力発電所事故は、福島県内外の広い 退避や警戒区域外への避難を余儀なくされた。警戒区域外でも、放射性物質漏れによる汚染が起きているほか、日 一方、地震と津波を要因とする人災により福島第一原子力発電所事故が発生し、一〇万人を超える被災者が屋内 た。 また、発電施設被害による大規模停電や一連の震災により、日本全国および世界に経済的な二次被害がもたらされ し た 被 害 は 大 き く、 こ の 地 震 に よ る 死 者
・行 方 不 明 者 計 約 一 万 八、 五 〇 〇 人 の 大 半 は 東 北 の 三 県 の 人 々 で あ っ た。 津波、液状化、建造物倒壊など、東北の岩手県、宮城県、福島県の三県、関東の茨城県、千葉県の二県を中心と 余震も過去例に無いペースで発生したうえ、通常の余震域外でも地震活動が活発化している。 埋立地で大規模な液状化現象が発生した。一方東北太平洋岸では、地盤沈下により浸水被害が長期的に続いている。 北部で最大震度七、岩手県から千葉県にかけて震度六弱以上を観測するなど広範囲で強い揺れとなり、関東地方の 津波は関東地方の太平洋岸でも被害をもたらしたほか、環太平洋地域を中心に世界の海岸に達した。また、宮城県 ( 岩 手 県 大 船 渡 市 ) を 記 録 す る な ど、 震 源 域 に 近 い 東 北 地 方 の 太 平 洋 岸 で は、 高 い 津 波 が 甚 大 な 被 害 を も た ら し た。 通 り 北 部 で は 津 波 の 高 さ が 八 m ~ 九 一 m に 達 し、 明 治 三 陸 地 震 ( 一 八 九 六 年 ) の 津 波 を 上 回 る 最 大 溯 上 高 四 〇
・一 m 地震によって大規模な津波が発生した。最大で海岸から六㎞内陸まで浸水、岩手県三陸南部、宮城県、福島県浜
Mw九
・〇で、大正関東地震 (一九二三年) を上回る日本観測史上最大である。
長期に及ぶもので、被害者が受けた精神的、肉体的苦痛は計り知れない。 ⑵ 藤内博氏の被害 藤 内 博 氏 ( 以 下「 藤 内 氏 」 と い う。 ) が 営 む 自 動 車 整 備 工 場 お よ び 事 務 所 は、 二 〇 一 一 年 三 月 一 一 日 の 東 日 本 大 震 災および同年四月七日の余震によって損壊した。そのため営業の継続が困難になった。 藤内氏の罹災状況について一関市長が発行した「罹災証明書」には、地面の亀裂、建物基礎部分の損壊、水道配 管の断裂、ガラス戸の破壊等と記載されている。 ⑶ 岩手県中小企業等復旧
・復興支援事業費補助金交付の確定 藤内氏は、以下の復興補助金交付の確定通知を受けている。 ①平成二七年三月三一日 確定額金一、 八八三、 三二〇円 ②平成二八年一月二八日 確定額金五、 一九五、 八六八円 (うち再交付分金三、 三一二、 五四八円)
から生じた収益である。収益は企業が外部に商品の販売をし、役務を提供することにより、対価として受け取る金 所得税の課税対象である事業所得の金額は、総収入金額から必要経費を控除した金額である。総収入金額は事業 ⑴ 所得税 はなく、最初から課税されることにない「課税対象外」である。課税対象外となる理由は以下のとおりである。 ことや社会政策的配慮から課税しないことを法が規定するものである。復興補助金は、法規に基づく「非課税」で 藤 内 氏 が 受 領 し た 復 興 補 助 金 は、 所 得 税 の 課 税 対 象 外 と な る ( 非 課 税 で は な い ) 。 非 課 税 は 課 税 対 象 に な じ ま な い
3)復興補助金は課税対象外 (結論)
額である。企業が主たる営業活動の結果として獲得する売上高と
,それに付随する活動から生じる受取配当などの ような営業外収益から成る。 復興補助金は、日本観測史上最大の地震被災した地域の経済の復興と雇用の場の回復を図るため、被災した中小 企 業 の 店 舗
・工 場 等 の 復 旧 経 費 を 補 助 す る も の で あ り、 事 業 か ら 生 じ た 収 益 ( 総 収 入 金 額 ) で は な い。 総 収 入 金 額 でないのであるから、課税の対象から除かれる。 ⑵ 憲法の法律なくして課税
・納税なしの原則 総収入金額でないものを課税することは、憲法八四条および憲法三〇条違反となる。 ⑶ 憲法の生存権的財産 総収入金額でないものを課税することは、憲法八四条および三〇条違反に加えて、生存権的財産を侵すものであ り、二五条および二九条違反となる。 ⑷ 住民の福祉侵害 復興補助金は地方自治体が住民の福祉の増進のために支給するものである。復興補助金への課税は住民の福祉を 破 壊 す る も の で あ り、 地 方 自 治 法 一 条 の 二 ( 住 民 の 福 祉 ) に 違 反 す る。 さ ら に、 岩 手 県 が 東 日 本 大 震 災 津 波 に よ り 被災した地域の経済の復興と雇用の場の回復を図るため、被災した中小企業の店舗
・工場等の復旧経費を補助して いることに、国が課税で介入するものであり、到底許されない。 以上
四 財産権の侵害と補償
には、論理的手続によって基準の客観化を保障する必要がある。 コントロールすることを使命とする以上、その解釈が人間の主観によって勝手に左右されてはならない。そのため つまり、法は論理の体系である。法が、人間の自分勝手な考えや主観を除いて、客観的基準によって人間の行動を ら な い。 法 は、 結 局 の と こ ろ、 解 釈 と い う 論 理 的 操 作 を つ う じ な け れ ば、 「 こ れ が 法 だ 」 と い う 理 解 は で き な い。 契約書でも税法の文章でもそのことばの意味を論理的に明らかにするためには、解釈という操作を経なければな う過程を経て、法は、歴史的に変動してゆくわけで決して固定的なものではない。 組をものりこえる必要が出てくれば、制定法そのものを改正することになる。このように、立法、解釈、立法とい 制定法が成立し、法解釈の変化をつうじて、制定法の意味内容が事実上変化し、ある段階で、制定法の言語的枠 づける。そのような選択をした解釈者は、その結論に責任をとることになる。 という創造的な作業である。実際には、結論に合うように、解釈を選択することによって、結論を正当化し、根拠 章 ( 法 源 ) を 素 材 と し な が ら、 そ の 一 般 的 命 題 を、 具 体 的 事 実 に 適 用 し て、 個 別 的 な 問 題 に つ い て 新 し い 法 を 作 る 用であり、その実践的立場から、法規に、あらたな意味を与える行為である。法の解釈とは、解釈者が、法規の文 解釈という人間の行為は、その素材を使って、具体的問題について価値判断を行う、という人間の創造的実践作
1)法の論理と解釈
「人権としての財産権」を侵害する立法
・行政を違憲として排除する権利を有する。 国 民 は、 本 条 本 項 を 根 拠 と し て、 「 人 権 と し て の 財 産 権 」 を 保 障 す る よ う に 国 家 に 要 求 す る 積 極 的 権 利 を 有 し、 の財産権」の保障これこそが政策判断=憲法二九条二項の公共の福祉の内容を規定する要因である。 不 可 侵 な 権 利 で あ る。 こ の 財 産 は 基 本 的 人 権 で あ り、 政 策 判 断 に よ っ て 左 右 す る こ と は 許 さ れ な い。 「 人 権 と し て 「人権としての財産権」は、それがなければ人が生存できない権利であるから、市民革命期から現在に至るまで で憲法二九条を解釈しなければならない。 し か し、 こ の 二 つ は 全 く 性 格 が 異 な る。 「 人 権 と し て の 財 産 権 」 と「 人 権 で な い 財 産 権 」 の 二 つ を 区 別 し た う え 本主義的財産制度を支える財産権を区別しないで、ひとくくりにしている。 と す る 制 度 的 保 障 の 理 論 が 登 場 し て く る。 憲 法 は、 こ の よ う な 対 立 関 係 に あ る 人 権 ( 生 存 権 ) と し て の 財 産 権 と 資 義 が 進 み、 資 本 主 義 的 財 産 権 ( 資 本 所 有 権 ) が 確 立 す る と、 資 本 所 有 権 が 資 本 主 義 国 家 体 制 に と っ て 不 可 侵 で あ る 歴史的には、自己の労働に基礎を置く生存権としての財産権が市民の基本的人権として不可侵であった。資本主 的財産権を保障する側面と、私有財産制度という客観的法秩序を保障する側面との二つの側面がある。 憲 法 二 九 条 一 項「 財 産 権 は、 こ れ を 侵 し て は な ら な い。 」 と い う 規 定 は、 個 人 の 基 本 的 人 権 と し て の 個 々 の 具 体 単に二九条だけを取り上げるのではなく、二五条の生存権条項の精神を加味しなければならない。 コロナで国民の生存権が圧迫される事態においては、日本国憲法の精神を全体としてとらえ、正当補償の理解を めに用ひることができる。 」と規定している。 憲 法 二 九 条 三 項 は、 財 産 権 の 侵 害 と 補 償 と の 関 係 に つ い て、 「 私 有 財 産 は、 正 当 な 補 償 の 下 に、 こ れ を 公 共 の た
2)人権としての財産権
憲 法 一 三 条 は、 国 民 の 権 利 と し て、 生 命、 自 由 と な ら ん で「 幸 福 追 求 に 対 す る 国 民 の 権 利 」 を う た っ て い る。 「人権としての財産権」を守る権利は外からやってくるものではなく、自分がつかみとるものである。国民は、あ くまでも主体的に幸福を追求する精神をもち続けなければならない。 コ ロ ナ の 影 響 で 苦 境 に 立 た さ れ て い る 事 業 者 へ の 補 償 金 や、 失 業、 困 窮 者 へ の 支 援 金 に 課 税 さ せ な い ( 不 課 税 ) ことは、緊急課題である。 不課税と非課税の違いを理解しなければならない。不課税は、もともと課税の対象に当たらない取引である。 非 課 税 取 引 は、 本 来 は 課 税 す る も の で あ る が、 政 策 的 な 理 由 か ら、 税 法 規 定 に お い て、 課 税 除 外 ( 課 税 要 件 除 外 ) する取引である。 不課税であることを実現させる主張は、積極的にみずからの主体的努力でかちとることである。不課税への展望 は、納税者運動や世論の高まりがその鍵をにぎる。
この自由と権利は「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」 (一二条) としている。 を も ち 続 け な け れ ば な ら な い。 憲 法 は「 基 本 的 人 権 は、 人 類 の 多 年 に わ た る 自 由 獲 得 の 努 力 の 成 果 」 ( 九 七 条 ) と、 権利は外からやってくるものではなく、自分がつかみとるものである。あくまでも主体的に幸福を追求する精神 ずである。 勤 労 者
・年 金 者 な ど ( 非 支 配 階 級 ) に 属 す る 人 で あ る か ら、 国 民 の 意 思 と は、 つ ま る と こ ろ 非 支 配 階 級 の 意 思 の は 法律は、国民主権
・議会主義の下では、国民の意思を反映し、表現するものとしてでき上がる。国民の大部分は、
3)権利はつかみとるもの
法律は一般に、社会において利害対立する力関係を反映し、その妥協の結果としてつくられる。消費税の悪い点 を多くの人にていねいに説明して一歩一歩力関係を変えてゆくことがその鍵をにぎる。栄枯盛衰は世の習いという。 課税を許すか、阻止するかは国民の運動にかかっている。 対 立 す る 階 級 の 間 で 展 開 さ れ る 闘 争 ( 運 動 ) の 歴 史 は、 非 合 法 で あ る と さ れ る も の を 合 法 な も の と し て 勝 ち 取 っ てゆく闘争の歴史である。法律闘争をはじめから、法律で決まっているという合法闘争の枠の中に限定することは できない。 税 務 職 員 な ど の 公 務 員 は、 国 民 に 対 す る 奉 仕 者 ( 憲 法 一 五 条 ) で あ る か ら、 主 人 で あ る 国 民 に サ ー ビ ス す る 義 務 がある。しかし、現実には、国民の上にたつ支配者として行動しがちである。なぜ支配者としての行動ができるか といえば、その体質の奥にひそんでいるのは「秘密主義」である。税務署などの行政ぐらい膨大な情報を抱えてい る組織はない。行政の権威は、ほとんど情報独占によってもたらされているといってもいい。だから、行政の秘密 情報とノウハウを、個人的ルートでつかむ人脈として官の「天下り」が横行する。官の「学会」への天下りも見過 ごせない。納税者を支配
・管理するための技術にすぎない「学説」の研修に力を入れている団体も少なくない。こ のような学説公害
・学者公害の拡大をたち切ることが重要であ る
(注)。 法の根本的使命は、権力者の恣意から国民の自由と権利を守ることにある。一切の国家作用は、このような意味 での「法」に服さなければならず、違法な国家行為に国民は拘束されない。法は万物が流転するがごとく動き変化 している。その背景にあるのは、何が正義であるかの考え方の対立である。古い正義感と新しい正義感とが対立
・闘争をくりかえし、法は発展してきた。さまざまの運動は、そのひとつひとつが「人間の尊厳」をめざす闘いであ る。
(注)村井敏邦教授は次のように指摘する。
「 学 者、 と く に 法 学 者 が、 時 の 支 配 的 な 政 治 的 権 力 と、 そ れ の 推 進 す る 政 策 に 対 す る 批 判 的 精 神 を 失 い、 む し ろ そ の 政 策 を 実 現 す る 積 極 的 役 割 を 果 た す と き、 学 問 研 究 に と っ て 重 要 な 価 値 で あ る 政 治 か ら の 自 由 を み ず か ら 捨 て 去 る こ と に な る。 そ れ が 学 者 個 人 の 問 題 に と ど ま る な ら ば、 そ れ は 自 己 責 任 の 問 題 で あ る と も 言 え よ う が、 法 律 の 性 格 を 変 え、 人 々 の 基 本 的 人 権 に 多 大 な る 侵 害 的 影 響 を 与 え る と い う こ と に な る と、 単 に 学 者 個 人 の 問 題 で 済 ま さ れ な い。 『 あ な た は そ れ が 招 来 す る 結 果 に 対 し て、 政 治 的 責 任 を ど う と り ま す か 』 と 問 い 掛 け ら れ る こ と に な る。 『 私 は、 政 治 家 で な い 』 と い う 答 え で は 逃 げられない」 (『法律時報』
71