• 検索結果がありません。

−鞆港〜松港−

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "−鞆港〜松港−"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

           

                

海上からみた多島海景観分析

−鞆港〜松港−

                  

1 はじめに

 瀬戸内海はむかしから畿内と大宰府、さらには大 陸を結ぶ海上交通の重要なルートであった。現代で は海上交通より陸上交通の方が活気づいている。瀬 戸内海には多数の島があり、海上からの眺めは独特 な景観を構成している。むかしの人は瀬戸内海の美 しい景色をながめ、海のネットワークを利用しなが ら、港町の交流をはかっていたにちがいない。

 今年の8月、私たちは船をチャーターして、広島 県福山市鞆の浦から愛媛県松山港までの航海を試み た。瀬戸内海の海上からの独特な眺めにおいて、ど のような景観が注目を集めるのかを知るため、航海 途中でながめた多島海景観のアンケート調査をおこ ない、分析した。

2 調査方法

 平成 14 年8月9・10 日の両日、航海を共にした 10 人の方に船上での景観アンケートをお願いした。

アンケートは、大きく3部で構成され、第一が

「入港・出港時の間」で、4箇所の港(鞆・御手 洗・下蒲刈・釣島)について、船から見てどのよ うなものが印象に残るかを聞いた。第二は、港か ら港の移動中に写真撮影をお願いした。第三は回 答する・しないは回答者にまかせたが、設問が一 番多く 20 もあった。20 の設問は、景観のなかで際 だったもの、目だつもの、気になるものまた鞆港 との比較などを聞いている。第一・第二とも、複 数回答とした。

 設問内容を整理すると以下の9つになる。

1) 入港時・出港時に印象に残った 対象物。

2) 港周辺の景色の中で新たに際だったもの。

3) 港間で何か目だつもの、気になるもの。

4) 港に着く際、最初に何に目がいったか。

5) 港全体を見渡して何が一番目だっていたか。

6) 鞆港とどんなところが違うと感じたか。

7) 鞆の雁木とくらべて違うか。

8) 鞆では見ることのできない新たな発見はあっ たか。

9) 港を去る際、何が一番目だっていたか。

  3 分析方法

  3−1 アンケートの分析方法 図−1 KJ 法(全設問)

     図解した結果を KJ 法 B 型で文章化してみると、

  次のようになる。「鞆〜手洗間で見た船からの目線  は、他の港間より、開発された新しい家々のかたまり  をみている。また集落が大きいため、島の人工物が目  だっていたと考えられる。初めの出港地である鞆で   は、家々の間に樹木があるため、かたまって見えたの  ではなかろうか。修理中の灰色の船が、そのような場  所にあったため、目だった。また航海途中ですれち   がった 海砂採集船が目  だっていたと考えられる。」  (図− 2)

    「御手洗〜下蒲刈間では、大きな島が無くなり、

 無人島の多さが目につく。またはげ山が目だつ。その  ような中でも、島並みの緑が濃く、異常にとんがった  山や異常に丸い島のコントラストがあった。多島海に  おける眺めの特徴であると考えられる。また小さい集  落が点々としている様子や、上蒲刈の土取り場といっ     

①鞆〜御手洗間で何か目だつもの、気になるもの。

②御手洗〜下蒲刈間で何か目だつもの、気になるも   の。

③下蒲刈〜釣島間で何か目だつもの、気になるもの。

アンケートの分析方法としては、川喜多二郎氏が発案

キーワード 鞆の浦 多島海景観 KJ 法 瀬戸内海

連絡先 〒 274‑8501 千葉県船橋市習志野台 7‑24‑1 電話 047‑469 − 5572 FAX 047‑469 − 2584   した KJ 法を 用いた。全ての設問に対しておこなった   (図−1)。

  3−2 分析結果

     図−2〜4は、KJ 法の A 型図解法を用いて、アン  ケートを図解したものである。アンケートには 28 個  の設問があり、すべてを載せることができないので、

 ①〜③までの設問を載せた(図−2〜4)。

日本大学 学生会員 ○西塚 泰道 日本大学 学生会員    高橋  寛之 日本大学 正会員    嶌田 真一 日本大学 正会員   伊東 孝 

(2)

たようなものが目だち、島を見たとき見られたもの なので、島を表す単語と相関していると考えられる。

またイリコ舟・砂利り船の存在が気になっていたと 考えられる。」(図−3) 

   「下蒲刈〜釣島間で、乗船者が気になった対象 として、多島海における全景・海面・海にある人工 物という分類ができると考えられる。直線的で殺風 景すぎて味気なく、雨が降っている場所が見え、海 を見るとゴミが多すぎて、その海で漁をする小さい 漁船群団と行きかう船が気になり、目だっていたと 考えられる。」(図−4)

  図−2は、人工物に目が向いているという特徴 がある。  図−3は、多島海における景観の特徴の 島・海・船という単語がでてきており、また、瀬戸 内の景観として思い浮かべられるようなものになっ ている。  図−4は、下蒲刈と釣島間のことであるが、

多島海における島がなく、あまり評価が良くない。

これは中国地方から四国方面へ、船が下へと移動し ているため、まわりに島などの景色が見られなかっ たためと思われる。

4 おわりに

 今回 10 人の人たちのアンケートを読むと、多島海 景観において、全体をとおして必須単語である「島」

「島並み」などの単語の出現頻度が予想より少なかっ た。これは、航海途中の眺めが、島・海・空という 単調な景色が続く中で人工物が現れると、むしろ人 工物の方が目だつと考えられる。ただ、その人工物 が良いと判断したのか、またはあまり好ましくない 判断したのか、はっきりしない回答もあった。今度 アンケートをとるときは、化できるようなアンケー ト設計をおこなわねばいけないと思った。    

       

      図−2 KJ 法図解(鞆〜御手洗)

        

       図−3 KJ 法図解(御手洗〜下蒲刈)

 図−4  KJ 法図解(下蒲刈〜釣島)

•@             図−5 鞆              図‑ 6 

御手洗 

図−7 下蒲刈        図−8 釣島

参照

関連したドキュメント

 台湾の船舶解体業は第2次世界大戦後の港湾整備のための沈没船引上げか

[r]

明媚な海岸でも、離岸堤が存在するところがあるのも事 実である。このうち和歌山下津港海岸・片男波地区につ

チラシ配布 約65,000部 約60,000部 ポスター配布 約1,100部 約1,100部 行政だより配布 約270万部 約332万部 ニュースレター配布 約520万部 約520万部.

フラである (池上,2013)

1907 年(明治 40 年)以降、官営八幡製鐵所は独自に埋 立て・浚渫を行ない、工業港湾としての洞海湾を造り出 していった。そして、 1938 年(昭和

総個体数とは,各時間の総個体数を全て加えたもの. 図-3 より,10 月をピークに徐々に個体数が減って いくという事と,野鳥公園を利用する主な水鳥はカワ

日射量とコンクリート温度のデータは横浜市港北 区役所から提供されたものである.区役所屋上ではヒ