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第 2 章
圧密とケーシング
2.1 圧密
堆積物は、鉱物・岩石・生物遺骸などの砕屑粒子とこれらの粒子間孔隙に含まれる流体 から構成される。堆積物中の砕屑粒子は、それらが堆積した当初は凝集して固まらず、流 体の中にばらばらで浮遊している状態にある。このような流体を多量に含んだ状態にある 堆積物は、長い地質時間の間の種々の物理的・化学的作用の影響から固化して岩石化し堆 積岩に変化していく。この続成作用の継続の進行に伴い粒子間孔隙は徐々に減少すること になる。長期の地質年代に行われる孔隙率の減少が圧密である。圧密を起こす原因は
(1)堆積物の弾性ひずみ (2)構成粒子の再配列 (3)孔隙圧の減退
などである。(2)は砂層の、(3)は泥層の圧密の主な原因となっている。また、荷重が増加し なくても、孔隙流体が排出されれば孔隙圧が減少し、圧密現象を起こす。すなわち、採油 の現場では、油ガスの生産を行うことにより貯留層の孔隙圧が下がり、その結果圧密が起 こる。
2.2 貯留層岩石
油ガス生産にとって良い貯留岩とは、高孔隙性・高浸透性と堆積盆内での適度な層厚と 層幅である。前者は続成作用要因、後者は堆積時の地質学的および地理学的条件に支配さ れるものである。集積に都合の良いトラップは、低孔隙性・浸透性の帽岩と組み合わされ シールされている。これらの条件を満たし、実際に油ガスの貯留岩となる主な岩石には
(1)砂岩:
もっとも一般的な貯留岩であり、未固結の砂および砂岩が主となるもの。
(2)炭酸塩岩:
砂質貯留岩に次いで多く、成因は砕屑性のものと礁石灰岩とに分かれ、組成は石 灰岩と苦灰岩とに区分されるもの。
3 (3)火山性砕屑岩:
凝灰岩などの火山性砕屑岩を貯留岩とするもの。
(4)火山岩:
玄武岩・安山岩などの火山岩を貯留岩とするもの。
(5)珪質岩:
珪質頁岩やチャートなどの珪質微生物に起因する珪質岩を貯留岩とするもの。
(6)深成岩:
花崗岩や閃緑岩などの深成岩を貯留岩とするもの。
(7)変成岩:
片岩や珪岩などの変成岩と貯留岩とするもの。
などがある。
2.3 ケーシング
油ガスの生産をする場合、貯留層まで掘削することになる。その掘削の進行に伴って、
掘られた坑井内に鋼管を通す作業、あるいはそのものをケーシングという。ケーシングに 用いられる鋼管はAPI 規格によりグレード毎に分類され、ケーシングプログラムに従い選 択される。ケーシングと坑井周りの地層との間は通常セメントによって固着される(セメ ンチング)。セメンチングされたケーシングは次のような役割を主に果たす。
(1)坑壁崩壊防止
(2)地層間流体移動の防止 (3)水層と油ガス層の隔離
(4)地圧コントロールを主とした坑口装置の設置 (5)ケーシング内での油ガス採取装置の設置
ケーシングに際しては、地質分析、生産・掘削分野の意見や地球物理学的情報といった ものを元にして、ケーシングプログラムを作成する。ケーシングプログラムの大まかな流 れは、ケーシング設置深度の設定、ケーシング寸法の設定、ケーシンググレードの設定で ある。ケーシングプログラムを大きく左右するものは、坑径、生産層の深度、そしてその 潜在産出能力などである。これらはケーシングのサイズ、タイプ、材質の選択に大きな影 響を与える。ケーシングは約40 ftのものが一般的であるが、これらケーシング同士がジョ イント部でCouplingにより接続されている。後述の3章での実験で想定するCouplingの 2種(ButtressとExtreme)の形状についてはAppendix Aに付記する。
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図2.1 ケーシングプログラムの例
(出典:APPLIED DRILLING ENGINEERING)
2.4 研究対象とする貯留層の特徴
近年、北海やメキシコ湾といった地域で従来のものよりも孔隙率が非常に高い貯留層で の油ガス生産が盛んである。単純に考えれば孔隙率が高いということは優良な貯留層であ るといえるが、反面、生産に伴う貯留層の圧密は非常に大きいものとなり、想定していな かった問題が発生している。例えば、4章のケーシングの引張による破壊というものは、現 在までの生産現場では、たとえ示唆するデータが存在したとしても考慮されるようなもの ではなかった。しかしながら、実際に生産障害が生じ、このような現象が起きているとし か考えられない状況になってきている。序論で述べたように、本研究では異なる側面から2 つのケーシングに関わる問題について扱っている。それぞれの貯留層は想定している貯留 層形状は異なるものであるが、高い孔隙率という、近年そして将来にわたり有望な地域で の貯留層特徴を前提としている。